JP2015137369A - 製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法および底吹き攪拌製鋼用アーク炉 - Google Patents

製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法および底吹き攪拌製鋼用アーク炉 Download PDF

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Abstract

【課題】有価金属の回収率を低下させることなく炉内装入物の溶解を促進する製鋼用アーク炉における底吹き攪拌方法を提供する。【解決手段】ガス吹込口を炉底中心に一つと、炉底中心とアーク電極のいずれかひとつと結ぶ1本の直線に対して時計回りに120?の角度間隔をなして前記炉底中心を起点とする3本の電極基準直線と、これとら60?をなす3本のガス吹込口基準線等から決定されるガス吹込口領域に少なくとも一つガス吹込口を有する製鋼用アーク炉における底吹き攪拌方法である。【選択図】図1

Description

本発明は製鋼用アーク炉においてガスにより溶融金属の攪拌を行う方法およびその方法を実現する製鋼用アーク炉に関するものである。
非特許文献1に開示されているように、製鋼用アーク炉は三相交流を用いて、炉内に装入された原料と電極との間に直接アークを発生させ、その高温を利用して原料を加熱溶解するものであり、その特徴は非特許文献1に詳しく記載されている。
鉄や合金鉄の製造プロセスにおいて、スクラップ、鉱石、合金鉄等を原料とし、これらの原料を溶融精錬し、鋼や合金鉄溶湯を製造する方法としてアーク炉が使用されるが、原料の未溶解時では原料の嵩比重が一般的に小さく、炉内を満たしているが、溶解が進むと原料全体が沈みこみながら一部が徐々に溶融し、炉底に滴下堆積していく。また、原料の溶解は一般的に大気中でされることから、原料の一部は酸化し、あるいは、鉱石を併用する場合には溶融後にスラグと呼ばれる溶融酸化物混合物を形成し、スラグは比重が鋼よりも小さいから、溶融した金属の上方に浮遊する。
溶解完了後には、シリコンやアルミニウム等の還元剤が投入され、酸化物としてスラグ中に失われたクロムなど酸化されやすい有価元素が回収される。ここで、有価元素、あるいは有価金属とは、Cr等、合金元素として用いるが、酸化物としてスラグとなってしまう元素のことである。これらを還元し、鋼内に取り込むことによって、新たに添加する必要が無くなり、合金コストを下げることができる。
図7は従来の3相アーク炉を説明する図であり、図8はいわゆるホットスポットとコールドスポットを説明する図であり、図9は従来の3相アーク炉のジュール熱の流れを説明する図であり、図10は従来の3相アーク炉の温度分布を説明する図である。
図7において、1は炉体、2は電極、3はガス吹込口、4はガスの気泡である。アークは、電磁気的作用により互いに反発し、電極と炉の中心を結ぶ線上を炉外周に向けて傾く。また、アークが取り込む周辺空気を浴面に吹き付ける現象を通じて、溶融金属は電極と炉の中心を結ぶ線上を炉外周に向けて流動し、アークからのジュール熱が炉壁周辺に移動する。
図8(a)は、図7に示される製鋼用アーク炉の1つの電極2に着目した場合に、電極2から発生するアーク20により発生するジュール熱が電極2直下の溶融金属あるいはスラグを加熱することで生じる高温の溶融金属あるいはスラグの流れ19が炉壁12に向かって溶融金属あるいはスラグを流動させるところを表現している。高温の溶融金属あるいはスラグが衝突する炉壁12は高温となり、ホットスポット12−Aといわれる。反対に、低温の溶融金属あるいはスラグが衝突する炉壁12は温度が低いので、コールドスポット12−Bといわれる。
図8(b)が示すように、3つの電極2により発生するアーク20により発生するジュール熱が電極2直下の溶融金属あるいはスラグを加熱することで生じる高温の溶融金属あるいはスラグの流れ19が炉壁12を加熱するために発生するのがホットスポット12−Aであり、低温の溶融金属あるいはスラグの流れが衝突する炉壁12は温度が低いために発生するのがコールドスポット12−Bである。
図8(b)が表現する位置にホットスポット12−Aとコールドスポット12−Bが発生する理由は、電極2により発生するアークの向きが炉壁12の方向に向いていることにある。
図9は、21〜23の矢印は電極2により生じたアークの向き(上から見たとき)と、24〜26は吹込口からのガス吹込により発生する溶融金属の流れる方向き(上から見たとき)を示している。図9に示されるように、高温の溶融金属あるいはスラグの流れ19の向きは、アークの向き21〜23に一致しているが、吹込口からのガス吹込により発生する溶融金属の流れる方向24〜26は、高温の溶融金属あるいはスラグの流れ19とは別個のものである。
図10は、従来の方法を実施する製鋼用アーク炉の温度分布のイメージを表す図である。 図10において、白い部分は温度が低いところであることを表わし、黒い部分は周囲よりやや温度が高いところであることを表している。
さて、製鋼用アーク炉において、コールドスポット部の溶解を促進するために供給電力を大きくすると、ホットスポット側は高温となり、耐火物を傷めることにつながるため、生産性を犠牲にして、溶解工程の末期には電力供給をおさえる操業が行うと共に溶解を促進するために、炉底吹込口からガスを吹き込んでガス攪拌を行う方法が用いられている。
特許文献1には、製鋼用アーク炉のコールドスポットの場所におけるスラグライン以下の炉床に、ガス吹込みノズルを設置し、当該ノズルを通じて酸化性ガス、還元性ガス、不活性ガスを、鉄スクラップ装入から出鋼までの各操業段階に応じて選択して、鉄スクラップに吹き付けた後溶鋼中に吹き込むアーク炉における迅速熔解方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されるような、電気炉に単にガスを吹き込む方法では、コールドスポットに高温溶融金属を十分に流れこませることができず、コールドスポットの温度を向上させることは困難である。
特許文献2には、電気アーク熱による溶解および精錬とを併用する電気炉の操業方法において、電気炉の炉床部に設けたノズルから炉内にガスを吹込み、前記ガスによって、溶解期には炉内の装入物の熔解を促進し、精錬期には鋼浴の化学反応を促進するために、炉内に吹込むガスとして不活性ガスを炉床部に設けた3箇所以下のノズルから吹き込むにあたって、熔解期には不活性ガスを炉内のホットスポットに向けて吹込み、装入物の溶解が完了した後には鋼浴面のほぼ中央部に不活性ガスが収斂する方向に吹込む電気炉の操業方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示されるような方法では、最も低温化しやすい炉底部の攪拌が行われず、この部分が溶解を律速し、中央部に存在するスラグが滞留する分その部分の有価金属の回収率が低下するという問題を解決することは困難である。
特開昭57−161021号公報 特開昭60−103109号公報
「4・4 電気炉製鋼法」 鉄鋼製造法(第1分冊) 社団法人日本鉄鋼協会編 昭和47年4月10日発行
本発明は、有価金属の回収率を低下させることなく炉内装入物の溶解を促進する製鋼用アーク炉における底吹き攪拌方法およびこれを実現する製鋼用アーク炉を提供することにある。
有価金属の回収率を低下させることなく炉内装入物の溶解を促進するには、溶融金属を攪拌してコールドスポットを積極的に少なくすることが効果的である。
そこで、発明者らは鋭意研究開発の結果、炉底中心および炉底中心以外に設けたガス吹込口からガスを吹き込んで炉内の溶融金属を有効に攪拌することのできるためのガス吹込口と電極の配置条件を見出して本発明を完成させた。本発明の要旨は以下の通りである。
(1)アーク加熱中に炉底部からガスを吹き込む方法であって、
アーク電極は、炉底中心といずれか1本の電極を結ぶ直線(以下、「電極基準直線」という。)を基準として時計回りに120°の角度間隔をなして前記炉底中心を起点とする直線のいずれかひとつと、前記炉底中心を中心として半径rの円周との交点に位置し、rはdf0を炉底中心の溶鋼浴深とするときに、
f0/2≦r … (式1)
を満足するステップと、
ガス吹込口は、前記炉底中心、および、
は炉底部の内半径、
f0は炉底中心の溶鋼浴深、
θは前記電極基準直線を基準として時計回りに定義される角度、
θcpは60°、180°、300°のいずれかの値、
rは炉の中心からの距離、
であるときに、
θcp−10°≦θ≦θcp+10° … (式2)
≦r<r … (式3)
で表される領域(以下、「ガス吹込口領域」という。)に少なくともひとつ配置するステップと、
を有することを特徴とする製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法。
(2)前記ガス吹込口領域がさらに、
はガス吹き込みを行う位置の溶鋼浴深、
とするときに、
+d/2≦r≦r−d/2 … (式4)
満足すること、
を特徴とする(1)記載の製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法。
(3)前記炉底中心に設置されたガス吹込口の直径を5〜25(mm)とするステップを有することを特徴とする(1)または(2)に記載の製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法。
(4)ガス吹き込み方法として、集合細管あるいは多孔質耐火物を選択するステップを有することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法。
(5)アーク加熱中に炉底部からガスを吹き込む製鋼用アーク炉であって、
アーク電極は、電極基準直線を基準として時計回りに120°の角度間隔をなして前記炉底中心を起点とする直線のいずれかひとつと、前記炉底中心を中心として半径rの円周との交点に位置し、rはdf0を炉底中心の溶鋼浴深とするときに、
f0/2≦r … (式1)
を満足し、
ガス吹込口は、前記炉底中心、および、
は炉底部の内半径、
f0は炉底中心の溶鋼浴深、
θは前記電極基準直線を基準として時計回りに定義される角度、
θcpは60°、180°、300°のいずれかの値、
rは炉の中心からの距離、
であるときに、
θcp−10°≦θ≦θcp+10° … (式2)
≦r<r … (式3)
で表されるガス吹込口領域に少なくともひとつ配置すること、
を特徴とする底吹き攪拌製鋼用アーク炉。
(6)前記ガス吹込口領域がさらに、
はガス吹き込みを行う位置の溶鋼浴深、
とするときに、
+d/2≦r≦r−d/2 … (式4)
満足すること、
を特徴とする(5)に記載の底吹き攪拌製鋼用アーク炉。
(7)前記炉底中心に設置されたガス吹込口の直径が5〜25(mm)であることを特徴とする(5)または(6)に記載の底吹き攪拌製鋼用アーク炉。
(8)ガス吹き込み方法として、集合細管あるいは多孔質耐火物を使用することを特徴とする(5)ないし(7)のいずれか1つに記載の底吹き攪拌製鋼用アーク炉。
本発明によれば、従来技術であればコールドスポットであった部分がホットスポットあるいはこれに準じる高温部となり炉内装入物の溶解が促進されて精錬の効率が著しく向上し、かつ、有価金属の回収率も向上するという顕著な効果を奏する。
本発明の方法を実施する製鋼用アーク炉におけるガス吹込口の位置を説明する図である。図1(a)は、本発明の製鋼用アーク炉におけるガス吹込口の位置を表す図である。図1(b)は、本発明の製鋼用アーク炉の断面図である。 本発明の方法を実施する製鋼用アーク炉におけるガス吹込口の位置を説明する図である。 図2(a)は、本発明の製鋼用アーク炉におけるガス吹込口の位置を表す図である。図2(b)は、本発明の製鋼用アーク炉の断面図である。 本発明の製鋼用アーク炉の図である。 図3(a)は、炉底中心に吹込口を有する製鋼用アーク炉を上から見た図である。図3(b)は、図3(a)の炉底中心に吹込口を有するアーク炉をある断面で見た図である。 本発明の方法を実施する製鋼用アーク炉におけるジュール熱の流れ(シミュレーション)およびアークの傾きのイメージ図である。 本発明の製鋼用アーク炉を使用したときの製鋼用アーク炉の温度分布のシミュレーション結果である。 製鋼用アーク炉の炉底中心に吹込口を設置する場合の吹込口直径と昇温量および耐久時間の関係を説明する図である。 図6(a)は、横軸を吹込口直径(mm)とし、縦軸をコールドスポットの昇温量(℃)として、その関係を表したグラフである。図6(b)は、横軸を吹込口直径(mm)とし、縦軸を耐久時間(は、Hour)として、その関係を表したグラフである。 従来の製鋼用アーク炉を説明する図である。 図7(a)は炉底中心に吹込口を有しない製鋼用アーク炉を上から見た図である。図7(b)は図7(a)の炉底中心に吹込口を有しないアーク炉をある断面で見た図である。 ホットスポットおよびコールドスポットを説明する図である。 図8(a)は、従来の製鋼用アーク炉を側面から見た図で有る。図8(b)は図8(a)の従来の製鋼用アーク炉を上から見た図である。 従来の方法を実施する製鋼用アーク炉のジュール熱の流れ(シミュレーション)およびアークの傾きを説明する図である。 従来の方法を実施する製鋼用アーク炉の温度分布のシミュレーション結果を模式的に説明する図である。 比較例4を実施する製鋼用アーク炉におけるガス吹込口の位置を説明する図である。 図11(a)は、炉底中心に吹込口を有さず、炉底中心以外に4つの吹込口を有する製鋼用アーク炉を上から見た図である。図11(b)は、図11(a)の炉底中心に吹込口を有さず、炉底中心以外に4つの吹込口を有するアーク炉をある断面で見た図である。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、アーク加熱中に炉底部からガスを吹き込むことのできる底吹き攪拌製鋼用アーク炉である。
[装置構成]
アーク電極は、電極基準直線を基準として時計回りに120°の角度間隔をなして前記炉底中心を起点とする直線のいずれかひとつと、前記炉底中心を中心として半径rの円周との交点に位置し、rはdf0を炉底中心の溶鋼浴深とするときに、
f0/2≦r … (式1)
を満足し、ガス吹込口を前記炉底中心、および、rは炉底部の内半径、df0は炉底中心の溶鋼浴深、θは前記電極基準直線を基準として時計回りに定義される角度、θcpは60°、180°、300°のいずれかの値、rは炉の中心からの距離、であるときに、
θcp−10°≦θ≦θcp+10° … (式2)
≦r<r … (式3)
で表されるガス吹込口領域に少なくともひとつガス吹込口を配置する底吹き攪拌製鋼用アーク炉である。
さらに、ガス吹込口領域がさらに、dはガス吹き込みを行う位置の溶鋼浴深、とするときに、
+d/2≦r≦r−d/2 … (式4)
により絞り込まれた領域である底吹き攪拌製鋼用アーク炉である。
[ガス攪拌の問題点の解消]
ガス攪拌を加えることによって流動停滞部への熱供給を行う方法は、設備の配置や流量を工夫することが可能であるが、ガス吹き込み部は損傷しやすく、無制限に設置して良い物ではなく、さらには例えばガス吹き込みによってアーク位置や湯面が変動する場合があり、そのような場合にはアークは不安定となり、かえって安定操業の障害となりうるという問題(以下、「ガス攪拌の問題」という。)が生じることから、ガス吹込口を増設することは得策とは考えられていなかった。また、炉底に吹き込み口を設けることは、溶鋼の圧力が最も高く、かつ、吹き込み口にその高い圧力に抗する応力が集中しやすくなるため、他の位置に比較して損傷しやすく、ガスの吹き込み量も高くする必要がある。従って、炉底中心部に吹き込み口がある場合、損傷しやすくなると考えられていた。そのため、底吹きを目的として、炉底中心に集合細管等の設備を設置することは着想の範囲外であった。
しかしながら、発明者らは鋭意研究開発の結果、電極の位置とガス吹込口を設置する位置とを適切に選択することで、上述のガス攪拌の問題を解決できることを見出した。
以下、ガス攪拌の問題の解決方法について説明する。
[ガス吹込口の個数]
ガス吹込口は部は損傷しやすいため、設備の安定性向上のためには、ガス吹込口は少ない方が良いと考えられていた。
しかし、近年の耐火物技術の発展により、既存の3点に加えて、さらにもう1つの第4の吹込口を炉底中心に増設する程度であれば、第4の吹込口に起因する損傷は製鋼用アーク炉に影響を与えないことをシミュレーションおよび実験により確認した。
そこで、炉底中心に吹込口を増設することとした。
[炉底中心部の吹込口の直径]
炉底中心部に吹込口を設置するに際し、吹込口の直径によりコールドスポットがどの程度昇温し、かつ、耐久時間がどの程度減少するのかを検討した。
図6は、炉底中心に吹込口を設置する場合の吹込口直径と昇温量および耐久時間の関係を表した図である。
図6(a)は、横軸を吹込口直径(mm)とし、縦軸をコールドスポットの昇温量(℃)として、その関係を表したグラフである。吹込口直径(mm)を大きくすると、本発明の効果を奏するようになるので、図6(a)より、吹込口直径の最小値が決められる。
吹込口直径が5mm以上では、コールドスポットの昇温量が150℃以上となり、本発明の効果を奏するので、吹込口直径の最小値を5mmとする。望ましくは、吹込口直径の最小値は、コールドスポットの昇温量が250℃以上となる8mmである。
図6(b)は、横軸を吹込口直径(mm)とし、縦軸を耐久時間(は、Hour)として、その関係を表したグラフである。吹込口の直径を大きくすると、耐久時間が減少するので、図6(b)より、吹込口直径の最大値が決められる。
耐久時間(Hour)は1750時間を下回らせることができないことから、吹込口直径(mm)は25mmが最大となる。望ましくは、耐久時間(Hour)を2000時間程度を維持したいことから、吹込口直径(mm)は20mm以下であることが望ましい。
[電極の位置]
炉底中心にガス吹込口を増設した場合に、電極をどの程度炉底中心から離すのが適切かを、「ガス吹き込みによってアーク位置や湯面が変動する現象が操業に影響しない程度のものとなるか。」という観点で検討した。
その結果、炉底中心におけるガス吹込口の溶鋼浴深が重要なファクターとなることを発明者らは見出した。図2(b)に示されるように、ガス吹き込みを行う位置の浴深df0とは炉底中心に設置されたガス吹込口11から溶融金属5の表面までの距離をいう。
すなわち、炉底中心におけるガス吹込口の溶鋼浴深がdf0である場合には、3つの電極の中心が位置するのは、炉底中心をその中心とし、半径をrとする円(以下、ピッチサークル)という。)であり、半径rは、
f0/2≦r … (式1)
であれば十分であることを見出した。
[他のガス吹込口の位置]
次に、吹込口の1つが炉底中心で、電極が炉底中心といずれか1本の電極を結ぶ直線である電極基準直線を基準として時計回りに120°の間隔をなして前記炉底中心を起点とするいずれかの直線上、かつ、前記炉底中心を中心として半径rの円周上にあるという前提で、「ガス吹き込みによってアーク位置や湯面が変動する現象が操業に影響しない程度のものとなるか。」という観点で他の吹込口がどの位置にあるのが適切かを検討した。
電極とガス吹込口が近いと、ガスがアークに当たりアークに影響を与えてしまうので吹込口の位置は電極の位置から遠ざければ良いと考えられるが、製鋼用アーク炉の中心に吹込口を設置する場合に、電極を製鋼用アーク炉の縁側に設置したのでは、かえって中心部の原料を十分に熔解できないことを見出した。
そこで、製鋼用アーク炉を円と見立てた炉底平面に着目し、炉底中心を起点とした極座標を設定し、炉底中心といずれか1つの電極とを結ぶ電極基準直線を基準にして、時計周りに120°毎の角度に電極が設置されるという条件下で、どの位置に吹込口を設置するとガス攪拌の問題を解決できるかを検討した。
[第1領域]
発明者らは、ガス吹込口は、前記炉底中心、および、rは炉底部の内半径、df0は炉底中心の溶鋼浴深、θは電極基準直線を基準として時計回りに定義される角度、θcpは60°、180°、300°のいずれかの値、rは炉の中心からの距離、であるときに、
θcp−10°≦θ≦θcp+10° … (式2)
≦r<r … (式3)
で表されるガス吹込口領域に少なくともひとつ配置することで、本発明の効果を奏すること、すなわち、従来技術であればコールドスポットであった部分がホットスポットあるいはこれに準じる高温部となり炉内装入物の溶解が促進されて精錬の効率が著しく向上し、かつ、有価金属の回収率も向上するという顕著な効果を奏することを見出した。
以下、図1(a)および(b)を用いて検討の結果得られた知見を説明する。
図1(a)は、本発明の製鋼用アーク炉におけるガス吹込口の位置を表す図であり、図1(b)は、本発明の製鋼用アーク炉の断面図である。
図1(a)において、8は炉底中心ガス吹込口であり、2は電極であり、炉底中心ガス吹込口8を中心として実線で描かれた2つの円は製鋼用アーク炉の壁を表し、15−A、15−B、15−Cの点線による直線はいずれも電極基準直線である。
図2(b)において、3はガス吹込口であり、5は溶融金属であり、6はスラグであり、7はガスであり、11は吹き込まれたガスが拡散する領域である。ガス吹き込みを行う位置の浴深dとはガス吹込口3から溶融金属5の表面までの距離をいう。
そこで、説明を簡単にするため、15−Aの電極基準直線を基準にして説明する。
電極基準曲線15−Aに対して、反時計回りに60°、180°、300°の角度をなす位置に記載された3つの点線による直線(以下、「吹込口基準直線」という。)16−A、16−B、16−Cに対して±10°の角度をなす各2実線に挟まれ、かつ点線で描かれた半径がrの点線で描かれた円と半径がrの点線で描かれた円に挟まれた領域は(式2)および(式3)に記載されたガス吹込口領域(イ)9である。
本発明の底吹き攪拌製鋼用アーク炉は炉底中心ガス吹込口8の他に(式2)および(式3)に記載されたガス吹込口領域(イ)9にすくなくとも一つずつガス吹込口を装備することで、ガス攪拌の問題を解消できることを見出した。
なお、電極基準直線15−B、15−Cを用いても同様の説明をすることができる。
[第2領域]
発明者らは、本発明の効果が好ましい領域について検討した。
ガス吹込口領域がさらに、dはガス吹き込みを行う位置の溶鋼浴深、とするときに、
≦r<r … (式3)
で規定される範囲において絞り込まれた、
+d/2≦r≦r−d/2 … (式4)
満足すると、さらに好ましい効果を奏することを見出した。
図2(a)は、本発明の製鋼用アーク炉におけるガス吹込口の位置を表す図であり、図2(b)は、本発明の製鋼用アーク炉の断面図である。
以下、図2(a)および(b)を用いて検討の結果得られた知見を説明する。
図2(a)において、8は炉底中心ガス吹込口であり、2は電極であり、炉底中心ガス吹込口8を中心として実線で描かれた2つの円は製鋼用アーク炉の壁を表し、15−A、15−B、15−Cの点線による直線はいずれも電極基準直線である。
図2(b)において、3はガス吹込口であり、5は溶融金属であり、6はスラグであり、7はガスであり、11は吹き込まれたガスが拡散する領域である。ガス吹き込みを行う位置の浴深dとはガス吹込口3から溶融金属5の表面までの距離をいう。
そこで、説明を簡単にするため、15−Aの電極基準直線を基準にして説明する。
電極基準曲線15−Aに対して、反時計回りに60°、180°、300°の角度をなす位置に記載された3つの点線による直線である吹込口基準直線16−A、16−B、16−Cに対して±10°の角度をなす各2実線に挟まれ、r+d/2を半径とする円の外側でr−d/2を半径とする円の内側となる領域は(式2)および(式4)に記載されたガス吹込口領域(ロ)10である。
本発明の底吹き攪拌製鋼用アーク炉は炉底中心ガス吹込口8の他に(式2)および(式4)に記載されたガス吹込口領域(ロ)10にすくなくとも一つずつガス吹込口を装備することで、ガス攪拌の問題を解消でき、さらに好ましい効果を奏することを見出した。
なお、電極基準直線15−B、15−Cを用いても同様の説明をすることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態である底吹き攪拌製鋼用アーク炉を用いた製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法である。
[ステップ1]アーク電極を配置するステップである。
アーク電極は、電極基準直線を基準として時計回りに120°の角度間隔をなして前記炉底中心を起点とする直線のいずれかひとつと、前記炉底中心を中心として半径rの円周との交点に位置し、rはdf0を炉底中心の溶鋼浴深とするときに、
f0/2≦r … (式1)
を満足させる。
[ステップ2]ガス吹込口を配置するステップである。
ガス吹込口は、前記炉底中心、および、その他3個であり、df0は炉底中心の溶鋼浴深、θは前記電極基準直線を基準として時計回りに定義される角度、θcpは60°、180°、300°のいずれかの値、rは炉の中心からの距離、であるときに、
θcp−10°≦θ≦θcp+10° … (式2)
で表されるガス吹込口領域に少なくともひとつ配置する。
さらに、ガス吹込口は、前記炉底中心、および、rは炉底部の内半径、df0は炉底中心の溶鋼浴深、θは前記電極基準直線を基準として時計回りに定義される角度、θcpは60°、180°、300°のいずれかの値、rは炉の中心からの距離、であるときに、
θcp−10°≦θ≦θcp+10° … (式2)
≦r<r … (式3)
で表されるガス吹込口領域に少なくともひとつ配置する。
さらに、ガス吹込口領域は、rは炉底部の内半径、dはガス吹き込みを行う位置の溶鋼浴深、とするときに、
+d/2≦r≦r−d/2 … (式4)
満足するさらに絞り込まれた領域としてもよい。
[ステップ3]炉底中心に設置されたガス吹込口の直径を決定するステップである。
炉底中心に設置されたガス吹込口の直径を5〜25(mm)とする。
[ステップ4]ガス吹き込み方法を決定するステップである。
ガス吹き込み方法として、集合細管あるいは多孔質耐火物を使用する。
(シミュレーション)
本発明の効果を確認するために汎用熱流体解析ソフトウェアFLUENTを使用して解析を行った。
[解析条件]
解析領域は、電気炉炉内の溶鋼及び溶融スラグであり、自由表面を解析するVolume of Fluidモデルと底吹きガス気泡を粒子として運動方程式を解き流動と連成させる分散相モデルを使用した。
溶鋼物性は、密度7200kg/m3、分子粘性0.006Pa・s、スラグ物性は、密度3000kg/m3、分子粘性0.1Pa・s、溶鋼と溶融スラグ間の界面張力は1N/m、気泡は熱膨張分のみ考慮し、密度を0.3kg/m3、直径1cmとし、流量は各吹き込み箇所から常温常圧標準状態流量300NL/minとした。乱流モデルは標準k-εモデルを使用した。流動はアークによる力とガス攪拌が支配的であるため、熱の影響である熱対流は無視した。
アークによる溶融金属の流動は、非特許文献(南条、安川:「再び、製鋼用アーク炉の生産性向上について」、工業加熱、Vol.10〜11)に記述されている実績の観察を表現できるモデル相当の流動を再現できるように電極直下に体積力を与える領域を設定し、水平面から30度の角度をなす1m/sの流動を実現する体積力を決定することにより表現した。
電気炉の形状及び電極位置は図3(本発明例)あるいは図7(比較例)に示す通りであるが、代表的な寸法として、溶融スラグ上端位置での炉半径(r)は2.4mであり、中心部の浴深(df0)は0.7m、中心部以外の吹込口での浴深(d)は0.5m、溶融スラグの深さ0.6m、ピッチサークルの半径(r)は1.2mとした。また、中心以外の炉底ガス吹き込み口位置は、炉底中心から半径1.5mの位置とした。
[解析結果]
<本発明の方法>
図3に示すように、炉底中心部その他3カ所の合計4カ所においてガス吹込みを行った場合についてシミュレーションを行った結果について図4、図5を用いて説明する。
図4は、本発明の方法を実施する製鋼用アーク炉におけるジュール熱の流れ(シミュレーション)およびアークの傾きのイメージを説明する図である。
図4において、21〜23はアークの向き(上から見たとき)であり、24〜26は吹込ガスにより溶融金属の流れる方向(上から見たとき)である。
図5は、本発明の方法を実施する製鋼用アーク炉の温度分布のシミュレーション結果を説明する図である。
図5において、黒い部分は温度が高い部分を、白い部分は温度が低い部分を表す。
図4に示すように、中心部の底吹きを行うことにより、電気炉中央部の攪拌が強化されていることが判る。すなわち、ガスの吹込みにより電極に悪影響を与えていないことが確認できる。
また、図5に示すように、ガス吹き込み口を設置した炉底中心部および他の3部位において温度の高い部分が実現されている。
<従来の方法>
図7に示すように、炉底中心を除いたその他3カ所のみについてガス吹込みを行行った場合についてシミュレーションを行った結果について図9、図10を用いて説明する。
図9は、従来の製鋼用アーク炉におけるジュール熱の流れ(シミュレーション)およびアークの傾きのイメージを説明する図である。
図9において、21〜23はアークの向き(上から見たとき)であり、24〜26は吹込ガスにより溶融金属の流れる方向(上から見たとき)である。
図10は、従来の製鋼用アーク炉における温度分布のシミュレーション結果である。
図10において、黒い部分は温度が高い部分を、白い部分は温度が低い部分を表す。
図10に示すように、中心部は温度が低く、かつ、図10において温度の高い部分の面積は、図5において温度が高い部分の面積より小である。
<結論>
本発明の方法を実施することにより、従来の方法を実施した場合に比して、温度の高い部分を増加させることができることを、シミュレーションにより確認できた。
このような効果は、炉底中心部と、その周囲に存在し、図1(a)あるいは図2(a)にてハッチングされたガス吹込口領域(イ)9あるいはガス吹込口領域(ロ)10に設けられた3個のガス吹き込み口からの撹拌効果が効果的に干渉しあうことによって生じる効果であると考えられる。
また、このような効果は、温度が比較的高い領域がひろがるため、その領域にあるスラグに含まれる有価金属が効率的に還元される効果にもつながるものである。
さらに、前記ガス吹き込み口の配置によれば、特に炉底中心部の吹き込み口に集中すると懸念された応力は、分散され、充分に緩和され、吹き込み口の損傷は回避された。
実施例1の目的は中心底吹きの有無の効果を確認することである。
[設備概要]
直径4m、高さ3m、完全溶解時の溶鋼深さ0.7mの100tの3相アーク加熱式の電気炉において、フェライト系ステンレス鋼スクラップ、フェロクロム合金鉄等を溶解する設備を用いた。
炉底中心以外の3個の吹き込み口は、炉底中心を中心とした半径1.75mの円周上に各々炉底中心のまわりに120度回転させると一致する関係の位置に設けた。
アーク炉底面は、半径6mの球の一部として近似できる形状であり、電極が並ぶ円周(ピッチサークル)は、半径1.2mであった。
底吹き羽口は内径2mmのステンレス鋼パイプ5本を集めた集合管を耐火物中に埋め込んだものである。
<本発明例>
発明例1は、図3に示すように、周方向3箇所で300リットル/分のアルゴンガスを流し、かつ、同じ集合管羽口を炉底中心にも設置して300リットル/分のアルゴンガスを流すものである。
<比較例>
比較例2は、図7に示すように周方向3箇所で300リットル/分のアルゴンガスを流すものである。
比較例3は、底吹きなしのものである。
[評価方法]
溶鋼上部にスクラップ等が観察されなくなる時点を「融け落ち」とし、そこから時々通電を中止しつつ炉底に未溶解スクラップや合金鉄がなくなるまでの時間を計測した。
計測にあたり、棒を装入することにより未溶解スクラップや合金鉄の存在を確認した。
また、完全溶解後に還元用シリコンを投入し、5分後のスラグ中の有価金属の酸化物の濃度を炉内スラグサンプル分析により調査した。
発明例1の場合を基準「1」として、完全溶解までの保持時間指数、スラグ中有価金属還元率指数を表1に示す。
底吹きがある本発明例1の場合には、底吹きがない比較例1、比較例2に対して著しい改善効果を得た。
発明例1によれば、炉に使用される耐火物の寿命が比較例1、比較例2の場合より長くなった。
特に、発明例1の場合のホットスポット部分の耐火物寿命が、比較例1あるいは比較例2におけるホットスポット部分の耐火物に比較して寿命が50%以上長くなった。
これは、前記シミュレーションで示されたように、炉中心部がガス吹き込みの効果によって中心部が高温度化し、その結果としてホットスポット部分の温度が、比較例1あるいは比較例2の場合に比べて低下したため、ホットスポット部分の耐火物の劣化が緩和されたことが原因であると理解している。
以上から、中心底吹きがないと、スラグ中有価金属還元率指数が大きく劣化することがわかる。
そこで、本発明例1のスラグ中有価金属還元率指数を基準として、スラグ中有価金属還元指数が0.60以上を合格(○)とし、それ以外を不合格(×)を評価することとする。
実施例2の目的は、炉底中心以外の吹込口の位置ずれがスラグ中有価金属還元率指数に与える影響を評価することである。
使用する設備は、実施例1において用いたものと同じものを使用する。
基準の吹き込み口を、炉上面から見て、炉の中心の周りに時計回りに120度回転させた位置にある吹き込み口と決め、その位置を変化させて評価した。
すなわち、θcpを120度とし、(式2)のθを変化させ、基準の位置θcpからのθをからのずれ(Δθ=|θ−θcp|)で評価することとする。
発明例1を基準として、炉底中心に位置していない吹き込み口のうちの一つの位置を変えたものについてスラグ中有価金属還元率指数を評価した。
評価にあたり、スラグ中有価金属還元指数が0.60以上を合格(○)とする。
表2に結果を示す。
表2より、Δθが10度を超えると、大幅に有価金属の還元率指数が低下することがわかる。
実施例3の目的は(式3)
+d/2≦r≦r−d/2 … (式3)
を満足する場合には、スラグ中有価金属還元指数が0.60以上となり合格(○)することを確認することである。
使用する設備は、実施例1において用いたものと同じものを使用する。
実施例1における発明例においては、r=1.2m、df0=0.7m、r=2mである。
更に、炉底面形状は、図2(b)の13に中心のある半径r=6mの球の一部であるから、ガス吹き込み口が並ぶ円周半径rとすると、吹き込み口における溶鋼の深さdは、幾何学的な関係から図2(b)において、df0とdの差である14に着目すると、
f0−d=r−(r −r1/2
の関係があることから、
=df0−r+(r −r1/2 …(式4)
とあらわせる。
r=1.4m、1.6m、1.8mとし、半径rの円周上に、炉底中心の周りに120度回転させた位置に有する3個の吹き込み口(発明例3、発明例4、発明例5)を設けた場合についての結果を、表3に示す。但し、何れの場合も炉底中心部にも吹き込み口があり、吹き込み口の直径は、8mmとした。
発明例1および発明例4は、(式4)
+d/2≦r≦r−d/2 … (式4)
を満足し、スラグ中有価金属還元指数は、0.90以上であり、スラグ中有価金属還元指数において極めて優良な合格(◎)である。
発明例4および発明例5は、(式4)を満足しないが、(式3)
≦r<r … (式3)
を満足し、スラグ中有価金属還元指数は、それぞれ、0.63、0.62であり、合格(○)である。
実施例4の目的は、炉底中心のガス吹き込みを設けず、炉底中心のガス吹き込み以外のガス吹込口を4個とした場合には本発明の効果を奏さないことを確認することである。
実施例4で確認するのは比較例4のみである。
図11に示すように、比較例4は、電極は、発明例のように配置したが、炉底中心にはガス吹き込み口を設けず、炉底中心以外にガス吹き込み口を4箇所、炉底中心を中心とし、一辺が0.8mの正方形の頂点部に直径8mmのものを設けた。
発明例1のスラグ中有価金属還元率指数を1として比較例4のスラグ中有価金属還元率指数を評価したところ、0.45であった。
これは、コールドスポットの温度上昇は充分でなかったことが原因と考えられる。
このように、ガス吹き込み口を、碁番の目のように正方形の頂点に配置した場合、コールドスポットの温度は安定的に高くならず、発明例1のスラグ中有価金属還元率指数を1とした場合のスラグ中有価金属還元指数は、0.50を超えない場合が多いことが確認された。
本発明は、製鋼用アーク炉における炉内装入物の溶解に利用可能である。
1 炉体
2 電極
3 ガス吹込口
4 ガスの気泡
5 溶融金属(溶鋼)
6 スラグ
7 ガス
8 炉底中心ガス吹込口
9 ガス吹込口領域(イ)
10 ガス吹込口領域(ロ)
11 吹き込まれたガスが拡散する領域
12 炉壁
12−A ホットスポット
12−B コールドスポット
13 炉底が球の一部であるときの球の中心
14 df0とdの差
15−A 電極基準直線
15−B 電極基準直線
15−C 電極基準直線
16−A 吹込口基準直線
16−B 吹込口基準直線
16−C 吹込口基準直線
19 高温の溶融金属あるいはスラグの流れ
20 アーク
21〜23 アークの向き(上から見たとき)
24〜26 吹込ガスにより溶融金属の流れる方向(上から見たとき)

Claims (8)

  1. アーク加熱中に炉底部からガスを吹き込む方法であって、
    アーク電極は、炉底中心といずれか1本の電極を結ぶ直線(以下、「電極基準直線」という。)を基準として時計回りに120°の角度間隔をなして前記炉底中心を起点とする直線のいずれかひとつと、前記炉底中心を中心として半径rの円周との交点に位置し、rはdf0を炉底中心の溶鋼浴深とするときに、
    f0/2≦r … (式1)
    を満足するステップと、
    ガス吹込口は、前記炉底中心、および、
    は炉底部の内半径、
    f0は炉底中心の溶鋼浴深、
    θは前記電極基準直線を基準として時計回りに定義される角度、
    θcpは60°、180°、300°のいずれかの値、
    rは炉の中心からの距離、
    であるときに、
    θcp−10°≦θ≦θcp+10° … (式2)
    ≦r<r … (式3)
    で表される領域(以下、「ガス吹込口領域」という。)に少なくともひとつ配置するステップと、
    を有することを特徴とする製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法。
  2. 前記ガス吹込口領域がさらに、
    はガス吹き込みを行う位置の溶鋼浴深、
    とするときに、
    +d/2≦r≦r−d/2 … (式4)
    満足すること、
    を特徴とする請求項1に記載の製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法。
  3. 前記炉底中心に設置されたガス吹込口の直径を5〜25(mm)とするステップを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法。
  4. ガス吹き込み方法として、集合細管あるいは多孔質耐火物を選択するステップを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の製鋼用アーク炉の底吹き攪拌方法。
  5. アーク加熱中に炉底部からガスを吹き込む製鋼用アーク炉であって、
    アーク電極は、電極基準直線を基準として時計回りに120°の角度間隔をなして前記炉底中心を起点とする直線のいずれかひとつと、前記炉底中心を中心として半径rの円周との交点に位置し、rはdf0を炉底中心の溶鋼浴深とするときに、
    f0/2≦r … (式1)
    を満足し、
    ガス吹込口は、前記炉底中心、および、
    は炉底部の内半径、
    f0は炉底中心の溶鋼浴深、
    θは前記電極基準直線を基準として時計回りに定義される角度、
    θcpは60°、180°、300°のいずれかの値、
    rは炉の中心からの距離、
    であるときに、
    θcp−10°≦θ≦θcp+10° … (式2)
    ≦r<r … (式3)
    で表されるガス吹込口領域に少なくともひとつ配置すること、
    を特徴とする底吹き攪拌製鋼用アーク炉。
  6. 前記ガス吹込口領域がさらに、
    はガス吹き込みを行う位置の溶鋼浴深、
    とするときに、
    +d/2≦r≦r−d/2 … (式4)
    満足すること、
    を特徴とする請求項5に記載の底吹き攪拌製鋼用アーク炉。
  7. 前記炉底中心に設置されたガス吹込口の直径が5〜25(mm)であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の底吹き攪拌製鋼用アーク炉。
  8. ガス吹き込み方法として、集合細管あるいは多孔質耐火物を使用することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の底吹き攪拌製鋼用アーク炉。
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