JP2015137233A - 5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法及びマンニッヒ塩基の製造方法 - Google Patents

5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法及びマンニッヒ塩基の製造方法 Download PDF

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【課題】5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を、より高度な収率で、より効率よく製造することが可能な5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法を提供すること。
【解決手段】沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない第一の有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である酸性溶媒中、特定のカルボニル化合物と、特定のアミン化合物とを反応させて、特定のマンニッヒ塩基を形成せしめ、前記酸性溶媒中に前記マンニッヒ塩基を含有する反応液を得る第一工程と、前記反応液中に、第二の有機溶媒と、前記酸に対して1.0〜20.0倍モル当量の塩基と、特定のジエン化合物とを添加し、加熱して、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめ、特定の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を形成せしめる第二工程と、を含むことを特徴とする5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法並びにマンニッヒ塩基の製造方法に関する。
従来から宇宙・航空用途などの先端産業に欠かせない素材として全芳香族ポリイミド(商品名「カプトン」)が知られている。しかしながら、このような全芳香族ポリイミドは、芳香環系のテトラカルボン酸二無水物ユニットと芳香環系のジアミンユニットとの間で分子内電荷移動(CT)が起きるため、褐色を呈し、透明性が必要とされる光学用途等に使用できるものではなかった。そのため、近年では、分子内CTが生じることがなく光透過性が高い脂環式のポリイミドが注目され、その製造に用いることが可能な様々な化合物(原料化合物等)の開発が行なわれてきた。
このような脂環式ポリイミドの製造には、一般に、脂環式テトラカルボン酸二無水物が用いられている。そして、そのような脂環式テトラカルボン酸二無水物を製造するために好適に利用可能な化合物及びその製造方法としては、例えば、国際公開第2011/099517号(特許文献1)に、特定の一般式で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類、その原料化合物として好適に利用可能なマンニッヒ塩基、及び、それらの製造方法が開示されている。また、特許文献1においては、前記5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を用いて脂環式テトラカルボン酸二無水物を形成し、脂環式ポリイミドを製造した場合に、光透過性が高く且つ十分に高度な耐熱性を有する脂環式ポリイミドが製造できることも開示されている。なお、上記特許文献1に記載のような5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法及びマンニッヒ塩基の製造方法によれば、それらを十分に高度な収率で十分に効率よく製造することが可能であり、上記特許文献1に記載のノルボルネン類の製造方法及びマンニッヒ塩基の製造方法は工業的にも十分に応用可能な方法であった。しかしながら、工業的に、より大量の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を製造するといった観点からは、これらの化合物を更に高度な収率で効率よく得ることが可能な製造方法の出現が望まれる。
国際公開第2011/099517号
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を、より高度な収率で、より効率よく製造することが可能な5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法、並びに、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の原料化合物として好適に利用可能なマンニッヒ塩基をより効率よく製造することが可能なマンニッヒ塩基の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法を、沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない第一の有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である酸性溶媒中、下記一般式(1)で表されるカルボニル化合物と、下記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させて、下記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基を形成せしめ、前記酸性溶媒中に前記マンニッヒ塩基を含有する反応液を得る第一工程と、前記反応液中に、第二の有機溶媒と、前記酸に対して1.0〜20.0倍モル当量の塩基と、下記一般式(4)で表されるジエン化合物とを添加し、加熱して、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめ、下記一般式(5)で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を形成せしめる第二工程とを含む方法とすることにより、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を、より高度な収率で、より効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法は、沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない第一の有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である酸性溶媒中、下記一般式(1):
[式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表されるカルボニル化合物と、下記一般式(2):
[式(2)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の分岐鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の飽和環状炭化水素基及び水酸基を有する炭素原子数1〜10の飽和炭化水素基からなる群から選択される1種を示し、2つのRは互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環からなる群から選択される1種の環を形成していてもよく、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、HOSO 及びHPO からなる群から選択される1種を示す。]
で表されるアミン化合物とを反応させて、下記一般式(3):
[式(3)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり、式(3)中のR、Xは上記式(2)中のR、Xと同義である。]
で表されるマンニッヒ塩基を形成せしめ、前記酸性溶媒中に前記マンニッヒ塩基を含有する反応液を得る第一工程と、
前記反応液中に、第二の有機溶媒と、前記酸に対して1.0〜20.0倍モル当量の塩基と、下記一般式(4):
[式(4)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示す。]
で表されるジエン化合物とを添加し、加熱して、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめ、下記一般式(5):
[式(5)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり、式(5)中のRは上記式(4)中のRと同義である。]
で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を形成せしめる第二工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
上記本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法においては、前記第一の有機溶媒が、炭素数が3〜20の炭化水素系の溶媒であることが好ましく、メチルシクロヘキサン、炭素数が6〜20のイソパラフィン系炭化水素、シクロヘキサン及びn−ヘプタンからなる群の中から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
また、上記本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法においては、前記第二工程が、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめた後に、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を晶析する精製工程を更に含むことが好ましく、また、前記精製工程が、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を晶析する前に、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめた後の前記反応液から、前記第一の有機溶媒を除去する前処理工程を更に含むことがより好ましい。
また、本発明のマンニッヒ塩基の製造方法は、沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である酸性溶媒中、下記一般式(1):
[式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表されるカルボニル化合物と、下記一般式(2):
[式(2)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の分岐鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の飽和環状炭化水素基及び水酸基を有する炭素原子数1〜10の飽和炭化水素基からなる群から選択される1種を示し、2つのRは互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環からなる群から選択される1種の環を形成していてもよく、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、HOSO 及びHPO からなる群から選択される1種を示す。]
で表されるアミン化合物とを反応させて、下記一般式(3):
[式(3)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり、式(3)中のR、Xは上記式(2)中のR、Xと同義である。]
で表されるマンニッヒ塩基を形成せしめる工程を含むことを特徴とする方法である。
本発明によれば、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を、より高度な収率で、より効率よく製造することが可能な5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法、並びに、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の原料化合物として好適に利用可能なマンニッヒ塩基をより効率よく製造することが可能なマンニッヒ塩基の製造方法を提供することが可能となる。
実施例1及び比較例1において、マンニッヒ塩基を含有する反応液を得る際の反応器内の温度と時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法について説明する。
[本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法]
本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法は、沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない第一の有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である酸性溶媒中、上記一般式(1)で表されるカルボニル化合物と、上記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させて、上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基を形成せしめ、前記酸性溶媒中に前記マンニッヒ塩基を含有する反応液を得る第一工程と、前記反応液中に、第二の有機溶媒と、前記酸に対して1.0〜20.0倍モル当量の塩基と、上記一般式(4)で表されるジエン化合物とを添加し、加熱して、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめ、上記一般式(5)で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を形成せしめる第二工程と、を含むことを特徴とする方法である。以下、各工程を分けて説明する。なお、以下において、上記一般式(5)で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を、場合により、単に「ビス(スピロノルボルネン)類」という。
(第一工程)
第一工程は、前記酸性溶媒中、上記一般式(1)で表されるカルボニル化合物と上記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させて、上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基を形成せしめ、前記酸性溶媒中に前記マンニッヒ塩基を含有する反応液を得る工程である。
このような第一工程において用いる酸性溶媒は、沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない第一の有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有するものであり、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上のものである。
このような第一の有機溶媒は、沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しないものである。このような第一の有機溶媒を用いることにより、酸性溶媒中においてマンニッヒ塩基を製造する際に、副生成物の生成をより十分に抑制することができ、結果的に、前記ビス(スピロノルボルネン)類をより効率よく製造することが可能となる。すなわち、このような第一の有機溶媒を用いることにより、酸性溶媒中において反応を進行させる際に、反応時の温度を、前記第一の有機溶媒の沸点の温度範囲の近傍の温度に容易に制御することが可能となり(例えば、温度制御のための好適な方法として還流する等の方法を適宜採用した場合には、溶媒の還流による冷却効果を得ることも可能であり、反応熱が発生しても前記第一の有機溶媒の沸点の温度範囲の近傍の温度に容易に制御することが可能となる。)、反応熱の急激な発生による酸性溶媒の温度の急激な上昇を抑制でき、より高温において生成され易い副生成物の生成をより十分に抑制して、より効率よくマンニッヒ塩基を製造することが可能となる。また、このような第一の有機溶媒の沸点が前記下限未満では反応時の液温が最適温度まで到達せず、マンニッヒ塩基の生成量が不十分となって収率が低下し、他方、前記上限を超えると温度上昇を抑制する効果が十分に得られず、副生成物の生成を必ずしも十分に抑制することが困難となり、収率が低下する。また、ここにいう「マンニッヒ塩基が溶解しない」とは、20〜65℃の条件下において、有機溶媒に対して上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基が1wt%以上溶解しないことをいう。更に、前記第一の有機溶媒の沸点の温度(85〜110℃)は、圧力が常圧(0.1MPa)の条件での沸点の温度をいう。
なお、一般に、化合物の生成に際して、容量の大きな反応器を利用した場合、容量の小さな容器と比較して、急激に反応熱が発生すると反応温度を制御することが困難となる傾向にある。しかしながら、本発明においては、第一の有機溶媒を利用しているため、容量の大きな反応器を利用した場合であっても、加熱時の温度を容易に第一の有機溶媒の沸点の温度範囲の近傍の温度に制御することが可能である。そのため、本発明は、容器の容量によらず、より十分に副生成物の生成を抑制することができ、工業的な大量生産に好適に利用することができる。
また、このような沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない有機溶媒としては、炭素数が3〜20(より好ましくは6〜10)の炭化水素系の溶媒が好ましい。このような炭素数が前記下限未満では常温・常圧で気体となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると常温・常圧で固体となる傾向にある。このような炭素数が3〜20の炭化水素系の溶媒としては、化学的安定性の観点から、炭化水素基からなる側鎖を有していてもよい飽和炭化水素からなるものがより好ましく、中でも、メチルシクロヘキサン、炭素数が6〜20のイソパラフィン系炭化水素、シクロヘキサン、n−ヘプタンが更に好ましい。このようなイソパラフィン系炭化水素としては、例えば、2−メチルヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン等が挙げられる。また、このようなイソパラフィン系炭化水素としては、市販品を用いてもよく、例えば、出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント」等を適宜用いてもよい。更に、このようなイソパラフィン系炭化水素としては、入手性の観点で、2,2,4−トリメチルペンタン、IPソルベント(商品名:出光興産株式会社製)を利用することが好ましい。すなわち、このような炭素数が3〜20の炭化水素系の溶媒としては、メチルシクロヘキサン、IPソルベント(商品名:出光興産株式会社製)、シクロヘキサン、n−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタンが特に好ましい。また、これらの炭化水素系の溶媒の中でも、メチルシクロヘキサン、IPソルベント(商品名:出光興産株式会社製)が最も好ましい。なお、このような溶媒は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記酸性溶媒中の前記第一の有機溶媒の含有量は、特に制限されないが、5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。このような第一の有機溶媒の含有量が前記下限未満では温度上昇を抑制する効果が十分に得られず、副生成物の生成を必ずしも十分に抑制することが困難となり、収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると精製工程において目的化合物の収率を低下させる原因となる傾向にある。
また、第一工程において用いる前記酸性溶媒は、前記ホルムアルデヒド誘導体を含有する。このようなホルムアルデヒド誘導体としては、いわゆるマンニッヒ塩基を製造する際に用いることが可能なものであればよく、特に制限されるものではなく、反応系中にマンニッヒ塩基の製造に利用される「ホルムアルデヒド」を供給することが可能となるような、公知の化合物(例えば、ホルムアルデヒド自体の他、酸性溶媒中において分解されてホルムアルデヒドを酸性溶媒中に供給できる化合物等)を適宜利用できる。このようなホルムアルデヒドを反応系中に供給することが可能な化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドの環状体(トリオキサン、1,3−ジオキソラン等)、ホルムアルデヒドの多量体(例えばパラホルムアルデヒド等)を適宜利用できる。また、このようなホルムアルデヒド誘導体としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキソール、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキシン、1,3−ジオキセパン、ジヒドロ−1,3−ジオキセピン、1,3−ジオキセピン、1,3−ジオキソカン、ジヒドロ−1,3−ジオキソシン、1,3−ジオキソシン、ホルムアルデヒドジメチルアセタール、ホルムアルデヒドジエチルアセタール、ホルムアルデヒドジプロピルアセタール、ホルムアルデヒドジブチルアセタール、ホルムアルデヒドジフェニルアセタール等が挙げられる。
また、このようなホルムアルデヒド誘導体の中でも、入手の容易性の観点から、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、1,3−ジオキソランが好ましく、ホルマリン、パラホルムアルデヒドがより好ましい。また、このようなホルムアルデヒド誘導体は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよいが、精製上の観点からは1種を単独で用いることが好ましい。
このようなホルムアルデヒド誘導体の含有量としては、前記酸性溶媒中に2.0〜50.0質量%であることが好ましく、4.0〜25.0質量%であることがより好ましい。このようなホルムアルデヒド誘導体の含有量が前記下限未満では、上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、収率が低下したり、精製が困難になる傾向にある。
また、第一工程において用いる前記酸性溶媒は、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有する。
このような酸(HX)の種類としては、上記式:HXで表されるものであればよく特に制限されるものではないが、酸性溶媒中における上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基の安定性の観点から、前記式中のXがF、Cl、Br、CHCOO、CFCOOである酸がより好ましく、前記式中のXがCl、CHCOOである酸が更に好ましい。
また、前記酸性溶媒においては、前記酸(HX)の含有量(濃度)は0.01mol/L以上(より好ましくは0.01〜2.0mol/L、更に好ましくは0.02〜2.0mol/L、特に好ましくは0.04〜1.0mol/L)である必要がある。このような酸の含有量が前記下限未満では、第一工程において調製するマンニッヒ塩基の収率が十分なものとならず、上記一般式(1)で表されるビス(スピロノルボルネン)類を十分に効率よく調製することができなくなる。また、前記酸(HX)の含有量が前記上限を超えると、収率が低下したり、精製が困難となる傾向にある。
このような酸性溶媒において、前記酸(HX)の含有割合は、より高度な水準で収率よくビス(スピロノルボルネン)類を製造することができる傾向にあることから、上記一般式(1)で表される前記カルボニル化合物のケトン基に対して0.01〜0.075モル当量であることが好ましく、0.01〜0.070モル当量であることがより好ましく、0.012〜0.050モル当量であることが更に好ましい。このような酸の含有割合が前記下限未満ではイミニウムイオンを必ずしも効率よく生成することが困難となり、マンニッヒ塩基を、より高度な水準で、より効率よく製造することが困難となり、結果的にビス(スピロノルボルネン)類を、より高度な水準で、より収率よく製造することが困難となる傾向にある。他方、前記酸の含有割合が前記上限を超えると、ビス(スピロノルボルネン)類を、より高度な水準で、より収率よく製造することが困難となる傾向にある。なお、このような酸のモル当量は、反応系中の前記カルボニル化合物のケトン基の総モル量に対する、反応系中の前記酸の総モル量の値([酸の総モル量]/[ケトン基(=C=O)の総モル量])を計算することで算出できる。
また、このような酸性溶媒においては、前記第一の有機溶媒、前記ホルムアルデヒド誘導体及び前記酸の他に、他の溶媒を含んでいてもよい。このような他の溶媒としては、水、アルコール、グリコール、エチレングリコール、グリセリン、エーテル、セロソルブ、ニトリル、アミド、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
また、このような他の溶媒を含む場合、前記第一の有機溶媒と前記他の溶媒の含有量(溶媒の総量)は、酸性溶媒中に20〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。このような溶媒の総量が前記下限未満では、混合が不均一となり、マンニッヒ塩基の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、反応速度が低下し収率が減少してしまう傾向にある。
さらに、前記第一工程においては、前記第一の有機溶媒、前記ホルムアルデヒド誘導体、前記酸(式:HXで表される酸)を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である前記酸性溶媒を用いることにより、酸が過剰に存在する酸性条件下において、前記カルボニル化合物と前記アミノ化合物とを反応させることが可能となり、これによりビス(スピロノルボルネン)類の調製に用いる反応中間体(原料化合物)である上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基を効率よく製造することが可能となる。
また、第一工程に用いられる前記カルボニル化合物は、下記一般式(1):
[式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表されるカルボニル化合物である。
また、このような一般式(1)中のR、Rとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このようなアルキル基の炭素数が10を超えると、ポリイミドのモノマーとして用いた場合に、得られるポリイミドの耐熱性が低下する。また、このようなR、Rとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。また、このようなR、Rとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
このような一般式(1)中のR、Rとして選択され得る置換基としては、精製の容易さの観点から、上記置換基の中でも、水素原子、炭素数1〜10(より好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜3)のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような一般式(1)において、複数のRが存在する場合(nが2以上の場合)、複数のRはそれぞれ同一のものであっても異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが好ましい。また、このような一般式(1)において、複数のRが存在する場合(nが2以上の場合)、複数のRはそれぞれ同一のものであっても異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが好ましい。また、一般式(1)中のR、Rとしては、精製の容易さ等の観点からは、同一のものであることがより好ましい。
前記一般式(1)中のnは0〜12の整数を示す。このようなnの値が前記上限を超えると、前記一般式(1)で表されるビス(スピロノルボルネン)類の精製が困難になる。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の上限値は、よりビス(スピロノルボルネン)類の精製が容易となるといった観点から、5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の下限値は、原料の安定性の観点から、1であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。このように、一般式(1)中のnとしては、2〜3の整数であることが特に好ましい。このような一般式(1)で表されるカルボニル化合物としては、例えば、国際公開第2011/099517号に例示されているカルボニル化合物(シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン等)を適宜利用してもよい。
また、このような一般式(1)で表されるカルボニル化合物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このような一般式(1)で表される化合物は、市販のものを用いてもよい。
また、第一工程に用いられる前記アミン化合物は、下記一般式(2):
[式(2)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の分岐鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の飽和環状炭化水素基及び水酸基を有する炭素原子数1〜10の飽和炭化水素基からなる群から選択されるいずれか1種を示し、2つのRが互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環からなる群から選択される1種の環を形成していてもよく、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、HOSO 及びHPO からなる群から選択される1種を示す。]
で表されるアミン化合物である。
上記一般式(2)中のRとして選択され得る直鎖状の飽和炭化水素基は炭素原子数1〜20のものである。このような直鎖状の飽和炭化水素基は、炭素原子数が1〜10であることがより好ましく、1〜5であることが更に好ましい。このような直鎖状の飽和炭化水素基の炭素原子数が前記上限を超えると精製が困難となる傾向にある。このようなRとして選択され得る直鎖状の飽和炭化水素基としては、精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
また、このようなRとして選択され得る分岐鎖状の飽和炭化水素基は、炭素原子数が3〜20のものである。このような分岐鎖状の飽和炭化水素基は、炭素原子数が3〜10であることがより好ましく、3〜5であることが更に好ましい。このような分岐鎖状の飽和炭化水素基の炭素原子数が前記上限を超えると精製が困難となる傾向にある。このようなRとして選択され得る分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、精製の容易さの観点から、イソプロピル基がより好ましい。
さらに、このようなRとして選択され得る飽和環状炭化水素基は、炭素原子数が3〜20のものである。このような飽和環状炭化水素基は、炭素原子数が3〜10であることがより好ましく、5〜6であることが更に好ましい。このような飽和環状炭化水素基の炭素原子数が前記上限を超えると精製が困難となり、他方、前記下限未満では化学的安定性が低下する傾向にある。このようなRとして選択され得る飽和環状炭化水素基としては、精製の容易さと化学的安定性の観点から、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がより好ましい。
このようなRとして選択され得る水酸基を有する飽和炭化水素基は、炭化水素基の炭素原子数が1〜10のものである。このような水酸基を有する飽和炭化水素基においては、炭素原子数が2〜10であることがより好ましく、2〜5であることが更に好ましい。このような水酸基を有する飽和炭化水素基の炭素原子数が前記上限を超えると精製が困難となり、他方、前記下限未満では化学的安定性に劣る傾向にある。このようなRとして選択され得る水酸基を有する飽和炭化水素基としては、精製の容易さ及び化学的安定性の観点から、2−ヒドロキシエチル基がより好ましい。
また、一般式(2)中の2つのRとしては、これらが互いに結合して、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環のうちのいずれかの環を形成していてもよい。すなわち、一般式(2)中の2つのRは、R同士が互いに結合して、式(2)中の窒素原子(N)と一緒になって、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、又は、モルホリン環を形成していてもよい。このようにR同士が互いに結合して環を形成する場合においては、臭気上の観点から、モルホリンがより好ましい。
さらに、このような一般式(2)中のRとしては、精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、モルホリンがより好ましい。また、上記一般式(2)中の2つのRが環を形成していない場合、入手性の観点から、2つのRは同一のものであることが好ましい。
上記一般式(2)中のXは、いわゆるカウンターアニオンである。このような式(2)中のXは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、HOSO 及びHPO からなる群から選択されるいずれか1種である。このようなXとしては、得られる一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基の安定性の観点から、F、Cl、Br、CHCOO、CFCOOが好ましく、Cl、CHCOOがより好ましい。
また、このような一般式(2)で表されるアミン化合物としては、例えば、国際公開第2011/099517号に例示されているアミン化合物(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミンの塩等)を適宜利用してもよい。また、このようなアミン化合物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができる。また、このようなアミン化合物としては市販品を利用してもよい。
また、第一工程においては、前記酸性溶媒中、上記一般式(1)で表されるカルボニル化合物と、上記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させる。このような反応に用いるカルボニル化合物の量は、酸性溶媒中での濃度が0.01〜5.0mol/Lであることが好ましく、0.1〜2.0mol/Lであることがより好ましい。このようなカルボニル化合物の量が前記下限未満では、前記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基の製造効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副反応による副生成反応物が増加する傾向にある。
また、前記アミン化合物の使用量としては、前記カルボニル化合物に対して2モル当量以上とすることが好ましく、2〜10モル当量とすることがより好ましい。このような使用量が前記下限未満ではマンニッヒ塩基の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副反応による副生成反応物が増加する傾向にある。
なお、前記アミン化合物として市販品を利用する場合において、その市販品が前記アミン化合物とともに前記酸(例えば塩酸等)を含むものである場合には、その市販品を系中に供給することによって、前記アミン化合物と前記酸とを酸性溶媒中に同時に供給してもよい。この場合、酸性溶媒中の酸の濃度は公知の方法で適宜測定して、必要に応じて酸を更に添加する等して反応に用いるカルボニル化合物の量と酸の量との関係を適宜調整すればよい。
また、前記酸性溶媒中において前記カルボニル化合物と前記アミン化合物とを反応させる際の反応条件は特に制限されるものではなく、用いる第一の有機溶媒の種類等に応じて、その条件を適宜変更することができる。このような反応の際の前記酸性溶媒が接する雰囲気としては、特に制限されないが、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。また、前記反応を促進させるという観点からは、前記反応を加熱条件下において進行させることが好ましい。このような加熱条件としては、前記酸性溶媒を30〜120℃(より好ましくは80〜120℃、更に好ましくは85〜110℃)の温度にして0.5〜10時間(より好ましくは4〜8時間)保持する加熱条件を採用することが好ましい。このような加熱温度(前記酸性溶媒の温度)及び時間が前記下限未満では、上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ビス(ビニルケトン)やビニルケトンダイマー等の副生物が増加し、上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基の収率が低下する傾向にある。
なお、このような加熱時の圧力の条件は特に制限されないが、0.10〜10MPaであることが好ましく、0.10〜1MPaであることがより好ましい。このような圧力の条件が前記下限未満では溶媒リサイクル時の熱エネルギー低減効果が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると設備的に実施困難となる傾向にある。
このようにして、前記酸性溶媒の存在下、上記一般式(1)で表されるカルボニル化合物と上記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させることにより、下記一般式(3):
[式(3)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり(その好適なものも同義である。)、式(3)中のR、Xは上記式(2)中のR、Xと同義である(その好適なものも同義である。)。]
で表されるマンニッヒ塩基を形成することができ、これにより前記酸性溶媒中に前記マンニッヒ塩基を含有する反応液を得ることができる。なお、式(3)中の複数のRは、それぞれ、同一のものであっても異なっていてもよいが、入手性の観点から、同一のものであることが好ましい。また、式(3)中の複数のXは、それぞれ、同一のものであっても異なっていてもよいが、入手性の観点から、同一のものであることが好ましい。
また、このような第一工程においては、前記第一の有機溶媒、前記ホルムアルデヒド誘導体、前記酸(式:HXで表される酸)を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である前記酸性溶媒を用いて、前記カルボニル化合物と前記アミン化合物とを反応させることにより、上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基を十分に高度な収率で形成することを可能とする。このように酸の濃度を調整し、かつ、前記第一の有機溶媒を利用することにより、本発明においては、第一工程において、反応中間体(マンニッヒ塩基)の製造効率及び収率がより十分に向上する。そして、本発明においては、このようにして形成されたマンニッヒ塩基を含有する反応液を第二工程においてそのまま用いるため、効率よくマンニッヒ塩基を利用することができ、この点からも最終目的物の収率が向上するものと推察される。
(第二工程)
第二工程は、前記反応液中に、第二の有機溶媒と、前記酸に対して1.0〜20.0倍モル当量の塩基と、上記一般式(4)で表されるジエン化合物とを添加し、加熱して、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめ、上記一般式(5)で表されるビス(スピロノルボルネン)類を形成せしめる工程である。
第二工程においては、前記第一工程において得られた反応液を用いる。このように、本発明においては、第二工程において、前記反応液からマンニッヒ塩基を単離することがないため、反応液中に存在する反応中間体(原料化合物)である前記マンニッヒ塩基を高効率で利用することができるとともに工程の簡略化が図れ、これにより、十分に効率よくビス(スピロノルボルネン)類を製造することが可能となる。
また、第二工程においては、前記反応液に第二の有機溶媒を添加する。このような第二の有機溶媒としては特に制限されず、いわゆるディールス・アルダー反応(Diels−Alder反応)に利用することが可能な有機溶媒を適宜利用することができる。このような第二の有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(グリコール系溶媒、グリセリン系溶媒、その他の多価アルコール系溶媒を含む)、セロソルブ系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒が挙げられ、目的とするビス(スピロノルボルネン)類の種類等に応じて好適な有機溶媒を適宜選択して利用できる。
また、このような第二工程に用いる第二の有機溶媒としては、反応後、抽出工程によりビス(スピロノルボルネン)類を反応液から分離して取り出す場合には、抽出工程の簡便化の観点から、炭素原子数5〜30の飽和炭化水素と混和しない有機溶媒を好適に利用することができる。このような炭素原子数5〜30の飽和炭化水素と混和しない有機溶媒としては、メタノール、メチルセロソルブ、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が好ましく、中でも抽出操作の簡便さの観点から、メタノール、メチルセロソルブがより好ましい。なお、ここにいう「混和しない」とは反応液に対し任意の割合で添加した際に2層に分離した状態となることをいう。
また、このような第二の有機溶媒としては、反応後、晶析工程によりビス(スピロノルボルネン)類を分離して取り出す場合に、晶析工程の簡便化を図る観点から、温度によってビス(スピロノルボルネン)類の溶解度が大きく異なる有機溶媒であることがより好ましい。このような温度によってビス(スピロノルボルネン)類の溶解度が大きく異なる有機溶媒としては、例えば、40〜80℃の条件下においてはビス(スピロノルボルネン)類が5wt%以上溶解し、他方、−20〜0℃の条件下においてビス(スピロノルボルネン)類が2wt%以上溶解しないような有機溶媒を好適に利用することが好ましい。このような第二の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、それらの水溶液等が好ましく、中でもビス(スピロノルボルネン)類の分離操作の簡便さの観点や、製品乾燥時の揮発性の観点から、メタノール、エタノールがより好ましい。
また、前記反応液中に添加する第二の有機溶媒の添加量は特に制限されないが、前記反応液と、添加する第二の有機溶媒との総量に対して10〜80質量%(より好ましくは20〜60質量%)とすることが好ましい。このような第二の有機溶媒の濃度が前記下限未満ではビニルケトンダイマー等の副生物が増加し、目的物の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が低下して収率が減少する傾向にある。
さらに、第二工程においては、前記反応液に塩基を添加する。このような塩基の種類は特に制限されるものではないが、塩基性の観点から、アミン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物を好適に用いることができる。このような塩基の中でも、精製上の観点から、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンが好ましく、ジメチルアミンが特に好ましい。
また、このような塩基の添加量は、前記反応液中に含まれる酸に対して1.0〜20.0倍モル当量(より好ましくは1.0〜10.0倍モル当量、更に好ましくは1.0〜5.0倍モル当量)とする必要がある。このような塩基の添加量が前記下限未満ではマンニッヒ塩基の分解が抑制され、目的物の原料となるビス(ビニルケトン)中間体の生成が困難となり、他方、前記上限を超えると、精製時や晶析時に多量の中和剤が必要となり回収が困難となる。このように、本発明においては、第二工程において前記反応液を中性又は塩基性として、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめることにより、副生成物(例えば、前記マンニッヒ塩基からアミノ化合物が脱離して形成されるビス(ビニルケトン)がヘテロ・ディールス・アルダー反応によって二量化した二量化生成物(ダイマー))の生成を十分に抑制し、目的とするビス(スピロノルボルネン)類を十分に選択率高く製造することを可能とする。
さらに、第二工程においては、前記反応液に下記一般式(4):
[式(4)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される少なくとも1種を示す。]
で表されるジエン化合物を添加する。
このような一般式(4)中のRとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このようなアルキル基の炭素数が10を超えると、ポリイミドのモノマーとして用いた場合に、得られるポリイミドの耐熱性が低下する。また、このようなRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。また、このようなRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
前記一般式(4)中のRとしては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られるという観点から、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、中でも、原料の入手が容易であることや精製がより容易であるという観点から、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
このようなジエン化合物の添加量としては、前記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基に対して2モル当量以上であることが好ましく、2〜10モル当量であることがより好ましい。このようなジエン化合物の添加量が前記下限未満ではビス(スピロノルボルネン)の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副反応による副生成物が増加する傾向にある。なお、このようなジエン化合物としては1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記第二工程においては、前記反応液中に、前記有機溶媒と、前記塩基と、前記ジエン化合物とを添加した後に、得られた混合液を加熱して、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめる。
このような加熱の際の条件は、前記混合液中において、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応させて、上記一般式(5)で表されるビス(スピロノルボルネン)類を製造することが可能な条件であればよい。このようなマンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応させる際の加熱温度としては、30〜180℃(より好ましくは50〜140℃)であることが好ましい。このような加熱温度が前記下限未満ではマンニッヒ塩基の分解速度が低下し、目的物の収率が減少する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ビニルケトンダイマーや、目的物にジエンがもう一分子ディールス・アルダー付加したテトラシクロドデセン等の副生成物が増加し、目的物の選択率が低下する傾向にある。
また、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応させる際の加熱時間としては、0.01〜10時間であることが好ましく、0.01〜7.0時間であることがより好ましく、0.1〜5.0時間であることが更に好ましい。このような加熱時間が前記下限未満では収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生物が増加する傾向にある。なお、かかる加熱の際の雰囲気は、着色防止や安全性の観点から、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
また、加熱の方法については、予め前記加熱温度に加熱してある反応容器に、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物と前記塩基と前記有機溶媒の混合液を滴下する方法を採用してもよい。また、このようにして混合液を滴下する方法を採用する場合においては、前記有機溶媒の一部を反応容器に予め入れておいてもよい。これによって、より安全に反応を進行させ得ることも可能になる。
また、加熱温度よりも沸点の低い有機溶媒を用いる場合は、オートクレーブ等の加圧容器を採用しても良い。この場合、常圧で加熱を開始しても良いし、ある所定圧より加熱を開始しても良い。これによって、様々な種類の有機溶媒が使用できるとともに、溶媒リサイクル時の熱エネルギーを低減させ得ることも可能になる。
なお、このような加熱時の圧力の条件は特に制限されないが、0.10〜10MPaであることが好ましく、0.10〜1.0MPaであることがより好ましい。このような圧力の条件が前記下限未満では溶媒リサイクル時の熱エネルギー低減効果が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると設備的に実施困難となる傾向にある。
このようにして、前記反応液中に、前記有機溶媒と前記塩基と前記ジエン化合物とを添加した後に加熱することにより、下記一般式(5):
[式(5)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり、式(5)中のRは上記式(4)中のRと同義である。]
で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類が得られる。
なお、このような一般式(5)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり(その好適なものも同義である。)、上記一般式(5)中のRは上記一般式(4)中のRと同義である(その好適なものも同義である。)。また、このような一般式(5)において、複数のRが存在する場合(nが2以上の場合)、複数のRはそれぞれ同一のものであっても異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが好ましい。また、このような一般式(5)において、複数のRが存在する場合(nが2以上の場合)、複数のRはそれぞれ同一のものであっても異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが好ましい。また、このような一般式(5)中の複数のRは、それぞれ同一のものであっても異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが好ましい。
本発明において、ビス(スピロノルボルネン)類を得る際に、前記反応液中に前記有機溶媒と前記塩基と前記ジエン化合物とを添加して得られる混合液を加熱すると、中性又は塩基性条件下において、先ず、上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基からアミン化合物が脱離して、下記一般式(6):
[式(6)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義である。]
で表されるビス(ビニルケトン)構造を有する化合物が形成され、次いで、そのビス(ビニルケトン)構造を有する化合物と、上記一般式(4)で表されるジエン化合物とが、いわゆるディールス・アルダー反応により反応し、上記一般式(5)で表されるビス(スピロノルボルネン)類が形成される。本発明においては、このように中性又は塩基性条件下において反応を進行させるため、副生成物の生成がより高度な水準で抑制され、より効率よくビス(スピロノルボルネン)類が製造される。
また、このような反応によりビス(スピロノルボルネン)類が形成された後においては、その反応後の前記混合液中における前記ビス(ビニルケトン)構造を有する化合物の存在率がビス(スピロノルボルネン)類(目的物)に対して2mol%以下であることが好ましい。このようなビス(ビニルケトン)構造を有する化合物の存在率が前記上限を超えると目的物が着色したり、ダイマー化により製品が粘調化する傾向にある。なお、前記ビス(ビニルケトン)構造を有する化合物の存在率をより確実に2mol%以下とするという観点からは、第二工程において、前記塩基の含有量を前記反応液中に含有されている酸に対して2.0〜5.0倍モル当量とし、加熱温度を50〜125℃とし且つ前記加熱時間を0.5〜10時間とすることが好ましい。
また、このような反応によりビス(スピロノルボルネン)類が形成された後においては、その反応後の前記混合液中において、前記ビス(ビニルケトン)構造を有する化合物が二量化した二量化生成物(ダイマー)の存在率がビス(スピロノルボルネン)類(目的物)に対して2mol%以下であることが好ましい。このようなダイマーの存在率が前記上限を超えると製品が粘調化する傾向にある。なお、前記ダイマーの存在率をより確実に2mol%以下とするという観点からは、第二工程において、前記塩基の含有量を前記反応液中に含有されている酸に対して2.0〜5.0倍モル当量とし、加熱温度を50〜125℃とし且つ前記加熱時間を0.5〜10時間とすることが好ましい。なお、このような混合液中のビス(ビニルケトン)構造を有する化合物や二量体の存在率は、いわゆるHPLC分析により測定することができる。このようなHPLC分析に用いる装置等は公知のものを適宜利用することができる。
なお、このような反応により上記一般式(5)で表されるビス(スピロノルボルネン)類を形成された後においては、抽出工程及び/又は精製工程等を適宜施して、反応後の混合液(反応液)からビス(スピロノルボルネン)類を分離して取り出してもよい。また、このような反応によりビス(スピロノルボルネン)類が形成された後において、その反応後の混合液中からビス(スピロノルボルネン)類を分離して取り出す方法(抽出工程や精製工程等)としては特に制限されず、公知の方法等を適宜採用することができ、例えば、晶析法や、国際公開第2011/099517号に記載されているような公知の抽出方法等を適宜採用してもよい。
また、上記一般式(5)で表されるビス(スピロノルボルネン)類を形成した後においては、より純度の高いビス(スピロノルボルネン)類を得るといった観点から、精製工程を施すことが好ましい。このような精製工程としては公知の方法(例えば、昇華精製法、晶析法等)を適宜採用することができる。また、このような第二工程において、精製工程を施す場合において、かかる精製の方法は特に制限されないが、コストの低減といった観点や、より効率よくビス(スピロノルボルネン)類を精製して得ることができ、量産スケールにおける作業工程の簡便性がより向上するといった観点から、いわゆる晶析法であることが好ましい。すなわち、本発明においては、前記第二工程が、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめた後に、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を晶析する精製工程を更に含むことが好ましい。このような晶析の具体的な方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、反応後の混合液を冷却して結晶を析出させる晶析方法等を適宜採用してもよい。また、このような晶析工程に際しては、種結晶を適宜利用してもよい。
また、このような晶析工程(精製工程)の際の温度条件等は目的とするビス(スピロノルボルネン)類の種類によっても異なるものではあり、特に制限されるものではないが、−25〜25℃(より好ましくは−20〜0℃)の温度条件で5〜12時間冷却する条件を採用して晶析させることが好ましい。このような温度条件が前記上限を超えると結晶の析出が不十分で収率が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満では副生成物の析出により純度が低下する傾向にある。
また、このような晶析工程を施す場合においては、前記晶析工程において、晶析母液濃度の向上によりビス(スピロノルボルネン)類の析出量を増加させ、また晶析母液量の削減により晶析後の濾過工程を効率化することが可能となり、前記晶析工程により、より効率よくビス(スピロノルボルネン)類を得ることが可能となるといった観点から、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を晶析する前に、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめた後の前記反応液(反応後の前記混合液)から、前記第一の有機溶媒を除去する前処理工程を施すことが好ましい。なお、前記第一の有機溶媒は、ビス(スピロノルボルネン)類の溶解性が高い溶媒であるため、かかる第一の有機溶媒を除去することにより、より効率よくビス(スピロノルボルネン)類を晶析させることが可能となる。また、このような前処理工程としては、ビス(スピロノルボルネン)類の溶解性が高い溶媒である前記第一の有機溶媒を除去することが可能な方法であればよく、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、反応後の前記混合液から濃縮して前記第一の有機溶媒を除去する方法や、反応後の前記混合液から前記第一の有機溶媒を他の成分と共沸させて除去する方法、反応後の前記混合液を濃縮後に他の成分と共沸させて前記第一の有機溶媒を除去する方法等を適宜採用してもよい。
また、このような第一の有機溶媒を除去する前処理工程においては、前記反応液(反応後の前記混合液)中に含有されている第一の有機溶媒の総量に対して60〜100質量%(より好ましくは70〜100質量%)の第一の有機溶媒を除去することが好ましい。このような第一の有機溶媒の除去量が前記下限未満では晶析の際に析出する生成物の量が減ってしまい、収率が低下する傾向にある。なお、このようにして、前処理工程により第一の有機溶媒を除去した後の前記反応液(反応後の前記混合液)中の第一の有機溶媒の濃度が5質量%以下(より好ましくは3質量%以下)となっていることが好ましい。このような濃度が前記上限を超えると晶析の際に析出する生成物の量が減ってしまい、収率が低下する傾向にある。
また、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめた後の前記反応後の混合液から晶析によりビス(スピロノルボルネン)類を析出させて精製する場合には、反応後の混合液の溶媒を、ビス(スピロノルボルネン)類の溶解性の低い溶媒(貧溶媒)とすることがより好ましい。なお、ここにいう溶媒の「ビス(スピロノルボルネン)類の溶解性の低い」という性質は、反応時に用いる第一の有機溶媒に対する20℃における溶解度を基準に判断する。また、このようなビス(スピロノルボルネン)類の溶解性の低い溶媒としては、晶析時の温度条件によっても異なるものであり、特に制限されず、20℃における溶解度が第一の有機溶媒よりも低いものであればよいが、中でも、温度によってビス(スピロノルボルネン)類の溶解度が大きく異なる有機溶媒が好ましく、40〜80℃の条件下においてはビス(スピロノルボルネン)類が5wt%以上溶解し、他方、−20〜0℃の条件下においてビス(スピロノルボルネン)類が2wt%以上溶解しないような有機溶媒がより好ましい。このような溶媒を利用することで−25〜25℃(より好ましくは−20〜0℃)の温度条件下において、より効率よく結晶を析出させることが可能となる。
また、このようなビス(スピロノルボルネン)類の溶解性の低い溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびそれらの水溶液などが挙げられるが、中でも、化合物乾燥工程における溶媒揮発性の観点から、メタノール、エタノールがより好ましい。なお、第二工程に用いる第二の有機溶媒として、このようなビス(スピロノルボルネン)類の溶解性の低い溶媒(例えば、前記メタノールや前記エタノール)を利用する場合、前記前処理工程によりビス(スピロノルボルネン)類の溶解性が高い溶媒(第一の有機溶媒等)を除去しつつ、第二工程に用いる有機溶媒(第二の有機溶媒)を残存せしめることで、前記反応後の混合液の溶媒を、ビス(スピロノルボルネン)類の溶解性の低い溶媒としてもよい。また、製造効率の向上の観点からは、晶析による精製を施す場合には、第二の有機溶媒としてビス(スピロノルボルネン)類の溶解性の低い溶媒(例えば、前記メタノールや前記エタノール)を利用することがより好ましい。
このような本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法によれば、副生成物の精製をより十分に抑制して、上記一般式(5)で表されるビス(スピロノルボルネン)類を、より十分な収率で、より効率よく製造することが可能となる。さらに、本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法によれば、上記一般式(5)で表されるビス(スピロノルボルネン)類中の置換基の立体配置のendo/exoの比率を10/90〜30/70(より好ましくは15/85〜25/75)とすることも可能となる。なお、本発明は、第二工程においてマンニッヒ塩基を分解すると同時にディールス・アルダー反応を起こさせてビス(スピロノルボルネン)類を製造するものであるが、第二工程での加熱温度(反応温度)を上述の好適な範囲(例えば30〜180℃)とした場合には、可変するendo/exo比は上記の範囲に自ずと収まる。また、本発明のビス(スピロノルボルネン)類はケトン基を有し、命名上、そのケトン基が優先されるため、反応上はendo付加体となるが、反応により得られるビス(スピロノルボルネン)類は命名上exo体となる。
また、このようにして得られる上記一般式(5)で表されるビス(スピロノルボルネン)類は、ポリイミド製造用の酸二無水物モノマーを製造するための原料化合物として好適に利用可能であり、このようなビス(スピロノルボルネン)類を出発原料とする無色透明ポリイミドは、フレキシブル配線基板用フィルム、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング剤、液晶配向膜、有機EL用透明導電性フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、層間絶縁膜、センサー基板、プリンタ転写ベルト等を製造するための材料として特に有用である。さらに、このようなビス(スピロノルボルネン)類は、それを単独でメタセシス反応、付加重合、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等によって、所望の重合体または架橋体とすることができ、さらに必要に応じて任意の共重合可能な化合物と共重合反応させて共重合体または共重合架橋体を得ることも可能である。また、このようなビス(スピロノルボルネン)類より得られる酸二無水物は、ポリイミド用モノマーの他にエポキシ硬化剤、マレイミド原料として有用である。
[本発明のマンニッヒ塩基の製造方法]
本発明のマンニッヒ塩基の製造方法は、沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である酸性溶媒中、上記一般式(1)で表されるカルボニル化合物と、上記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させて、上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基を形成せしめる工程を含むことを特徴とする方法である。
このようなマンニッヒ塩基の製造方法に用いる、沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない前記有機溶媒、前記ホルムアルデヒド誘導体、前記式:HXで表される酸、前記酸性溶媒、前記カルボニル化合物、前記アミン化合物は、それぞれ、上記本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法において説明した、前記第一の有機溶媒、前記ホルムアルデヒド誘導体、前記式:HXで表される酸、前記酸性溶媒、前記カルボニル化合物、前記アミン化合物と同様のものである(その好適なものも同様である。)。
また、上記一般式(1)で表されるカルボニル化合物と、上記一般式(2)で表されるアミン化合物との反応やその反応に採用可能な反応条件(加熱条件等)も、上記本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法における第一工程において説明した、反応や反応条件(加熱条件等)と同様である(その好適な条件等も同様である。)。
さらに、このような反応により得られるマンニッヒ塩基は、上記本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法における第一工程において説明したマンニッヒ塩基と同様のものである(その好適なものも同様である。)。
このように、本発明のマンニッヒ塩基の製造方法は、基本的に、上記本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法における第一工程で採用するマンニッヒ塩基を形成せしめるための方法と同様の方法を採用して、マンニッヒ塩基を得る方法である。なお、このような本発明のマンニッヒ塩基の製造方法においては、マンニッヒ塩基を形成せしめた後に、反応後の反応液中からマンニッヒ塩基を適宜分離して取り出してもよい。このような分離方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、本発明のマンニッヒ塩基の製造方法においては、より純度の高いマンニッヒ塩基を単離するために、精製工程を適宜施してもよい。このような精製の方法としては公知の方法を適宜採用することができる。なお、このような本発明のマンニッヒ塩基の製造方法により得られる上記一般式(3)で表されるマンニッヒ塩基は、上述の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を製造するために好適に利用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、各実施例で得られた化合物の分子構造の同定は、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−460、FT/IR−4100)及びNMR測定機(VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600及び日本電子株式会社製JNM−Lambda500)を用いて、IR及びNMRスペクトルを測定することにより行った。
(実施例1)
<第一工程>
先ず、3000Lの反応器(形状が槽型の密封容器)にジメチルアミン塩酸塩を223.2kg(2718mol)添加した。次に、前記反応器中に、パラホルムアルデヒド89.2kg(2952mol)と、エチレングリコール172.8kg(2784mol)と、シクロペンタノン93.6kg(1116mol)とを更に添加した。次いで、前記反応器中に、メチルシクロヘキサン117kg(1192mol)を添加した後、35質量%塩酸11.7kg(HCl:112.5mol)を添加して第一混合液を得た。
次いで、前記反応器の内部を窒素置換しつつ密封して、常圧(0.1MPa)で、前記反応器のジャケット温度を80℃にして、前記第一混合液を8時間加熱攪拌し、上記一般式(3)で表される化合物であって式中のnが2であり、R及びRがいずれも水素原子であり且つRがいずれもメチル基であるマンニッヒ塩基を含有する反応液を得た。なお、このようにしてマンニッヒ塩基を含有する反応液を得る際に、前記反応器内の温度は、前記反応器のジャケット温度を80℃にすることで、87℃以下の温度(反応開始して約2時間を経過した後からは、ほぼ85℃)に維持されており、反応全体を通して87℃以下の温度条件で反応を進行させることが可能となった。このようなマンニッヒ塩基を含有する反応液を得る際の前記反応器内の温度と時間との関係を示すグラフを図1に示す。
<第二工程>
次に、前記反応器中の前記反応液を50℃に冷却した後、前記反応器中の前記反応液に対してメタノール(1812L)と、50質量%ジメチルアミン水溶液30.2kg(ジメチルアミン:335mol)と、シクロペンタジエン184kg(2790mol)とを添加し、第二混合液を得た。次いで、前記反応器の内部を窒素置換し、常圧(0.1MPa)で前記反応器内の温度を65℃にして、前記第二混合液を65℃で5時間加熱撹拌して、化合物を形成せしめた。このようにして得られた第二混合液中の化合物(5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン)を高速液体クロマトグラフィーにより定量したところ、反応収率は60%であった。
<精製工程>
次いで、前記反応器内の前記第二混合液を、メチルシクロヘキサンとメタノールとの共沸により濃縮し、前記第二混合液から液体を700L除去した。なお、このような液体700Lの除去により、前記第二混合液からメチルシクロヘキサンの大部分(濃縮前の前記第二混合液中のメチルシクロへキサンの全量に対して75質量%)が除去された。次に、このようなメチルシクロヘキサン除去後の前記第二混合液(溶媒:メタノール)を−20℃の温度条件で12時間冷却して結晶を析出せしめた後、減圧濾過して結晶を得た。このようにして得られた結晶に対して、−20℃のメタノール170Lを用いて洗浄する工程を3回施した後、メタノールを蒸発せしめることにより除去し、化合物(5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン)を126.5kg(最終収率47%)得た。
このようにして得られた化合物の構造を確認するために、IR及びNMR(H−NMR及び13C−NMR)測定を行ったところ、下記一般式(7):
で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネンであることが確認された。なお、endo体とexo体の比率(endo/exo)は10/90であることも分かった。
(比較例1)
第一工程においてメチルシクロヘキサンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネンを得た。なお、実施例1と同様にマンニッヒ塩基を含有する反応液を得る際に前記反応器のジャケット温度を80℃にしていたものの、比較例1においては、反応器内の温度が反応熱により一時的に120℃を超えるような高温となり、反応全体を通して反応器内の温度を87℃以下に維持することはできなった。なお、比較例1において前記マンニッヒ塩基を含有する反応液を得る際の反応器内の温度と時間との関係を示すグラフを図1に示す。また、実施例1と同様に化合物の構造確認をした結果、得られた化合物は5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネンであることが確認され、また、その反応収率が49%であり、精製工程後の最終収率は32%であった。
このような結果から明らかなように、第一の有機溶媒(メチルシクロヘキサン)を利用した場合(実施例1)においては、60%という非常に高度な反応収率で5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネンが得られることが分かった。これに対して、第一の有機溶媒(メチルシクロヘキサン)を利用しなかった場合(比較例1)においては、反応収率が49%となっていた。なお、実施例1及び比較例1で得られた精製工程前の化合物をそれぞれ高速液体クロマトグラフィーにより測定した結果、実施例1で得られた化合物と比較して、比較例1で得られた化合物においては副生成物の量が増加していた。また、図1に示す結果から、第一の有機溶媒(メチルシクロヘキサン)を利用した場合(実施例1)においては、反応熱により急激に反応器内の温度が高温となることを十分に抑制しながら、反応を進行させることが可能となることも明らかである。このような結果からも明らかなように、3000Lという容量の大きな反応器を利用した場合においても、第一の有機溶媒を利用した場合(実施例1)には、マンニッヒ塩基の製造時に反応器内の温度が急激に高温となることを十分に抑制することで、副生成物の発生が少なくなった。これにより、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を、より高度な収率で、より効率よく製造することが可能となることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を、より高度な収率で、より効率よく製造することが可能な5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法、並びに、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の原料化合物として好適に利用可能なマンニッヒ塩基をより効率よく製造することが可能なマンニッヒ塩基の製造方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法並びにマンニッヒ塩基の製造方法は、耐熱性が要求されるフレキシブル配線基板用のポリイミド、耐熱絶縁テープ用のポリイミド、電線エナメル用のポリイミド、半導体の保護コーティング用のポリイミド、液晶配向膜用のポリイミド、有機ELの透明電極基板用のポリイミド、太陽電池の透明電極基板用のポリイミド、電子ペーパーの透明電極基板用のポリイミド、各種のガスバリアフィルム基板材料、層間絶縁膜用のポリイミド、センサー基板用のポリイミド、プリンタ転写ベルト用のポリイミド等を製造するための原料化合物(原料モノマー)を製造するための方法等として特に有用である。

Claims (6)

  1. 沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない第一の有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である酸性溶媒中、下記一般式(1):
    [式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
    で表されるカルボニル化合物と、下記一般式(2):
    [式(2)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の分岐鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の飽和環状炭化水素基及び水酸基を有する炭素原子数1〜10の飽和炭化水素基からなる群から選択される1種を示し、2つのRは互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環からなる群から選択される1種の環を形成していてもよく、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、HOSO 及びHPO からなる群から選択される1種を示す。]
    で表されるアミン化合物とを反応させて、下記一般式(3):
    [式(3)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり、式(3)中のR、Xは上記式(2)中のR、Xと同義である。]
    で表されるマンニッヒ塩基を形成せしめ、前記酸性溶媒中に前記マンニッヒ塩基を含有する反応液を得る第一工程と、
    前記反応液中に、第二の有機溶媒と、前記酸に対して1.0〜20.0倍モル当量の塩基と、下記一般式(4):
    [式(4)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示す。]
    で表されるジエン化合物とを添加し、加熱して、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめ、下記一般式(5):
    [式(5)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり、式(5)中のRは上記式(4)中のRと同義である。]
    で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を形成せしめる第二工程と、
    を含むことを特徴とする5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法。
  2. 前記第一の有機溶媒が、炭素数が3〜20の炭化水素系の溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法。
  3. 前記第一の有機溶媒が、メチルシクロヘキサン、炭素数が6〜20のイソパラフィン系炭化水素、シクロヘキサン及びn−ヘプタンからなる群の中から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法。
  4. 前記第二工程が、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめた後に、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を晶析する精製工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法。
  5. 前記精製工程が、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を晶析する前に、前記マンニッヒ塩基と前記ジエン化合物とを反応せしめた後の前記反応液から、前記第一の有機溶媒を除去する前処理工程を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類の製造方法。
  6. 沸点が85〜110℃の温度であり且つマンニッヒ塩基が溶解しない有機溶媒、ホルムアルデヒド誘導体、及び、式:HX(式中、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、CHSO、HOSO及びHPOからなる群から選択される1種を示す。)で表される酸を含有し、かつ、前記酸の濃度が0.01mol/L以上である酸性溶媒中、下記一般式(1):
    [式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
    で表されるカルボニル化合物と、下記一般式(2):
    [式(2)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の分岐鎖状の飽和炭化水素基、炭素原子数3〜20の飽和環状炭化水素基及び水酸基を有する炭素原子数1〜10の飽和炭化水素基からなる群から選択される1種を示し、2つのRは互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環からなる群から選択される1種の環を形成していてもよく、Xは、F、Cl、Br、I、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、HOSO 及びHPO からなる群から選択される1種を示す。]
    で表されるアミン化合物とを反応させて、下記一般式(3):
    [式(3)中のR、R、nは上記式(1)中のR、R、nと同義であり、式(3)中のR、Xは上記式(2)中のR、Xと同義である。]
    で表されるマンニッヒ塩基を形成せしめる工程を含むことを特徴とするマンニッヒ塩基の製造方法。
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