JP2015131855A - 免疫原性を減少させるための方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】免疫原性を減少させるための方法の提供。
【解決手段】抗体可変ドメインの免疫原性を減少させる方法が開示される。本発明は、可変軽鎖および/または可変重鎖を含む抗体可変ドメインの免疫原性を減少させる方法を提供し、ここでその方法は、可変軽鎖および/または可変重鎖の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を置換する工程を含み、該残基は対応する全長抗体またはFabの可変鎖と定常鎖との間の境界領域に存在する。1つの局面において、その抗体可変ドメインはscFv、Fv断片または単一ドメイン抗体、特にscFvである。
【選択図】なし

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2009年12月23日に出願された米国仮特許出願第61/289,446号への米国特許法119条の下での優先権を主張し、上記米国仮特許出願の全容は、参考として本明細書に援用される。
(発明の分野)
本発明は、抗体可変ドメイン、特にscFvの免疫原性を変化させる方法に関連する。
(背景技術)
その必要のある被験体に投与された治療抗体は、多くの場合被験体の免疫系によって外来性であると認識される。例えばマウス成分を最小限にするために、マウスCDRをヒト免疫グロブリンフレームワークに移植することによって、投与する抗体をヒト化したとしても、それらは依然として免疫反応を誘発し得、その治療の有効性および/または安全性を損なう。
文献によれば、患者における抗体反応は、B細胞エピトープおよびT細胞エピトープ両方の存在に依存する。B細胞受容体が、投与された治療抗体のような抗原を認識および結合すると、その抗原は受容体を媒介したエンドサイトーシスによってB細胞へ内部移行し、そしてタンパク質分解処理に供される。その結果生じたペプチドは次に、MHCクラスII分子によって提示される。Tヘルパー細胞によるT細胞エピトープの認識に際し、Tヘルパー細胞は対応するB細胞を刺激して、増殖および抗体産生形質細胞へ分化させる。
投与された抗体に対する、患者の免疫系の反応を減少させるために、先行技術はいくつかの脱免疫化(de−immunization)技術を提供している。現在のアプローチのほとんどは、T細胞エピトープの除去に焦点をあてており、一方B細胞免疫原性を低減させる方法は限られた例しかない。
特許文献1は、抗体の部分的な縮小によって抗体を修飾するプロセスを記載する。これは、その免疫原性を変化させて、抗アイソタイプ反応を誘発する能力を選択的に低下させるが、それらは抗イディオタイプ反応を誘発し得るままである。その方法はワクチンのために適当ではあるが、抗イディオタイプ反応は、他の治療的適用のために望ましくない。
非特許文献1は、タンパク質の高分子量ポリエチレングリコールへの結合を記載する。しかし、非特許文献2は、細菌または植物毒素に結合した可変断片からなるハイブリッドタンパク質によるこのアプローチの、限られた成功を報告した。それらのハイブリッドタンパク質は不活性化され;さらに、免疫原性の少しの減少しか見出されなかった。
2番目のアプローチは抗体投与前の化学療法からなり、ここで患者をシクロホスファミドまたはフルダラビンで処置する。この処置は免疫系を損なうので、このアプローチは患者のために望ましくない(非特許文献3;非特許文献4)。
非特許文献5および非特許文献2は、外来性タンパク質表面の「抗原性ホットスポット」における点変異、それによるB細胞エピトープの除去を提案する。彼らは大きな露出領域を有するバルク親水性残基(bulky hydrophilic residue)を、小さいアミノ酸(アラニン、グリシン、およびセリン)で置換した。アラニンは、典型的には全ての2次構造の埋没した位置および露出した位置に存在し、そしてまた新しい水素結合を課さないので、置換のために好ましい。アラニンはβ炭素の後に側鎖原子(それは、抗体と反応し得る)を欠き、さらに抗原のコンフォメーションを維持する。しかし、非特許文献5によって記載された該「ホットスポット」は、タンパク質表面の別々のクラスターに位置するコンフォメーションエピトープである。コンピューターシミュレーションで再現できないエピトープの位置を決定するために、広範囲な実験が必要であり、そして従って、その方法は、日常的に適用し得る、抗体の免疫原性を低減するための一般的な解決を示さない。さらに、この方法の原則的な仮定は、主に分子表面の親水性残基が、宿主抗体との接触に関与するということである。ほとんどの外来性タンパク質に関して、これは実際真実であるが、天然に存在するタンパク質の一部のみ(例えば断片、ドメイン)を使用する場合、それ以前は他のドメインとの接触によって隠されていた疎水性アミノ酸も、溶媒に対して露出し、そして免疫系にエピトープとして提示されることも十分あり得る。これは明確にFv抗体断片にあてはまり、ここで可変ドメインの境界領域(interface)の残基は、Fab断片においては覆われているが、単離された可変ドメインにおいては露出している。B細胞エピトープを予測するために現在利用可能なアルゴリズムは、あまり検証されておらず、そして典型的には成功率が低い。
国際公開第93/18792号
Molineux G(2003)Pharmacotherapy 23:35−85 Onda,Mら(2008)、PNAS 第105巻(32):11311−11316 Kusher,BHら(2007)、Pediatr Blood Cancer 48:430−434 Leonard JPら(2005)、J Clin Oncol 23:5696−5704 Nataga,S.およびPastan,I.(2009)、Adv Drug Deliv Rev、977−985
従って、抗体断片、および特に可変ドメインの免疫原性を有効に低減する、簡単な方法を提供することの必要性が当該分野に存在する。
(発明の概要)
従って、広範な分子モデリング作業を行うことを必要とせずに、任意の抗体可変ドメインの免疫原性を減少させる方法を提供することが、本発明の一般的な目的である。特に、抗体可変ドメインからB細胞エピトープを除去する方法を提供することが、本発明の目的である。
よって、本発明は、可変軽鎖および/または可変重鎖を含む抗体可変ドメインの免疫原性を減少させる方法を提供し、ここでその方法は、可変軽鎖および/または可変重鎖の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を置換する工程を含み、該残基は対応する全長抗体またはFabの可変鎖と定常鎖との間の境界領域に存在する。
1つの局面において、その抗体可変ドメインはscFv、Fv断片または単一ドメイン抗体、特にscFvである。
1つの局面において、置換される可変軽鎖および/または可変重鎖の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基は、それぞれのサブタイプのコンセンサス残基である。
別の局面において、置換されるその1つまたはそれ以上のアミノ酸残基は、ロイシン(L)、バリン(V)、アスパラギン酸(D)、フェニルアラニン(F)、アルギニン(R)、および/またはグルタミン酸(E)である。
ある局面において、可変軽鎖の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基は、99位、101位、および/または148位(AHoナンバリング)にある。他の局面において、可変重鎖の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基は、12位、97位、98位、99位、103位、および/または144位(AHoナンバリング)のうちの1つまたはそれ以上にある。
さらに別の局面において、可変重鎖の置換される1つまたはそれ以上のアミノ酸残基は、(a)重鎖アミノ酸の12位のロイシン(L);(b)重鎖アミノ酸の103位のバリン(V);および/または(c)重鎖アミノ酸の144位のロイシン(L)である。
別の局面において、本発明は本明細書中で開示された方法によって得ることができる抗体可変ドメイン、および該抗体可変ドメインを含む薬学的組成物を提供する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
可変軽鎖および/または可変重鎖を含む抗体可変ドメインの免疫原性を減少させるための方法であって、該方法は、該可変軽鎖および/または該可変重鎖の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を置換する工程を含み、該残基は、対応する全長抗体の可変鎖と定常鎖との間の境界領域に存在する、方法。
(項目2)
前記抗体可変ドメインが、scFv、Fv断片または単一ドメイン抗体、特にscFvである、項目1に記載の方法。
(項目3)
置換される前記1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、ロイシン(L)、バリン(V)、アスパラギン酸(D)、フェニルアラニン(F)、アルギニン(R)、および/またはグルタミン酸(E)である、前述の項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
前記1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、免疫反応性がより低いアミノ酸によって置換される、前述の項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
ロイシン(L)、バリン(V)、および/またはフェニルアラニン(F)が、極性がより高いアミノ酸によって置換される、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記極性がより高いアミノ酸が、セリン(S)、および/またはスレオニン(T)である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記可変軽鎖の前記1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、99位、101位、および/または148位(AHoナンバリング)にある、前述の項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記可変重鎖の前記1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、12位、97位、98位、99位、103位、および/または144位(AHoナンバリング)の1つまたはそれ以上にある、前述の項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記可変重鎖の前記1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、12、103、および/または144(AHoナンバリング)からなる群より選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、
(a)重鎖アミノ酸の12位のロイシン(L);
(b)重鎖アミノ酸の103位のバリン(V);および/または
(c)重鎖アミノ酸の144位のロイシン(L)
である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記可変重鎖の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、
(a)重鎖アミノ酸の12位のセリン(S);
(b)重鎖アミノ酸の103位のセリン(S)、またはスレオニン(T);および/または
(c)重鎖アミノ酸の144位のセリン(S)、またはスレオニン(T)
によって置換される、項目9および10のいずれかに記載の方法。
(項目12)
項目1から11に記載の方法によって得ることができる抗原結合断片。
(項目13)
治療的適用または診断的適用のためのものである、項目12に記載の抗原結合断片。
(項目14)
局所的、および/または表面に適用されるものである、項目13に記載の抗原結合断片。
(項目15)
持続放出処方物、および/またはデバイスにおいて適用されるものである、項目13または14に記載の抗原結合断片。
(項目16)
置換される前記1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、それぞれのサブタイプのコンセンサス残基である、項目1から4のいずれかに記載の方法。
以下の詳細な説明を考慮したときに、本発明はよりよく理解され、そして上記で述べたもの以外の目的が明らかになる。そのような説明は、添付された図に言及する。
図1aは、既存の抗scFv抗体を検出するために使用するブリッジングELISAの概略図を示す。1:プレート表面、2:scFv903;3:抗薬物抗体(ADA);4:ビオチン化scFv903;5:ストレプトアビジンポリ−HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)。図1bは、確認評価の原理を示し、ここでADAの薬物およびビオチン化scFv903への結合が、過剰なscFv903、34max(791)、scFv903_DHP(961)、およびscFv105(100mcg/ml)と競合した。 図2は、抗scFv903抗体を検出するための比色定量アッセイ(ブリッジングELISA)における149人の個人の血清のシグナル強度を示す。アッセイカットポイントより上のシグナルは、それぞれの血清サンプルにおける抗scFv903抗体(ADA)の存在を示す。そのアッセイにおいて試験した血清サンプルの約30%が陽性であった。 図3は、4つの異なるscFvの、溶媒露出位置の可変軽鎖配列アラインメントを示す。上のパネル:scFv903におけるそれぞれのアミノ酸と型が異なる各scFvにおけるアミノ酸を太字で示す。下のパネルは、個々の位置それぞれが関連するエピトープカテゴリー、およびそれぞれのエピトープカテゴリーへの結合を示したヒト血清のパーセンテージを示す。 図3は、4つの異なるscFvの、溶媒露出位置の可変軽鎖配列アラインメントを示す。上のパネル:scFv903におけるそれぞれのアミノ酸と型が異なる各scFvにおけるアミノ酸を太字で示す。下のパネルは、個々の位置それぞれが関連するエピトープカテゴリー、およびそれぞれのエピトープカテゴリーへの結合を示したヒト血清のパーセンテージを示す。 図4は、4つの異なるscFvの、溶媒露出位置の可変重鎖配列アラインメントを示す。上のパネル:scFv903におけるそれぞれのアミノ酸と型が異なる各scFvにおけるアミノ酸を太字で示す。下のパネルは、個々の位置それぞれが関連するエピトープカテゴリー、およびそれぞれのエピトープカテゴリーへの結合を示したヒト血清のパーセンテージを示す。 図4は、4つの異なるscFvの、溶媒露出位置の可変重鎖配列アラインメントを示す。上のパネル:scFv903におけるそれぞれのアミノ酸と型が異なる各scFvにおけるアミノ酸を太字で示す。下のパネルは、個々の位置それぞれが関連するエピトープカテゴリー、およびそれぞれのエピトープカテゴリーへの結合を示したヒト血清のパーセンテージを示す。 図5は、scFv903の、モデリングした分子構造を示す。5a:正面図;5b:180°の図。灰色:エピトープカテゴリーβに潜在的に関与する残基;黒:エピトープカテゴリーαに潜在的に関与する残基。
(発明の開示)
本発明をより容易に理解し得るように、まず一定の用語を定義する。他に定義されなければ、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で記載されたものと同様のまたは等価な方法および材料を、本発明の実施または試験において使用し得るが、適当な方法および材料を下記で記載する。本明細書中で言及された全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参考として組み込まれる。対立する場合は、定義を含む本明細書が優先する。それに加えて、その材料、方法、および実施例は、単なる例証であり、制限することを意図しない。
本明細書中で使用される「免疫原性」という表現は、被験体に投与されるタンパク質上のB細胞エピトープまたは抗体エピトープの出現を意味し、一方そのようなB細胞または抗体(抗薬物抗体;ADAとも呼ばれる)は、該タンパク質の投与前に存在し得る。
そのような免疫原性の程度を、ELISAアッセイによって決定し得、そして測定可能な量の既存のADAを含むヒト血清のパーセンテージとして表し得る。タンパク質とその免疫原性を低減する目標を持って操作したタンパク質との間の免疫原性の低減を、操作した対応するタンパク質に対するADAを含む血清サンプルのパーセンテージを、もとのタンパク質に対するADAを含む血清サンプルのパーセンテージと比較することによって測定し得る。操作したタンパク質の陽性血清サンプルのより低い数またはパーセンテージは、操作したタンパク質の免疫原性の低減を示す。単一の血清サンプルに基づいて適用し得る、より感度の高い測定は、競合的ELISAの設定を使用する。そのような競合的ELISAにおいて、その操作したタンパク質は、テスト血清中のADAへの結合に関して、もとのタンパク質と競合する。操作したタンパク質の、もとのタンパク質と競合する能力が低いほど、より良好に免疫原性は低減された。
好ましくは、免疫原性の低減の程度は、操作したタンパク質が、もはやもとのタンパク質と有効に競合できない血清サンプルのパーセンテージとして言及される。有効な競合は、閾値(競合的ELISAからの相対的シグナル)によって定義され、ここで−100は、完全な競合物質(免疫原性の低減無し)を示し、そして0は競合が全く無いこと(ADAエピトープの完全な欠如)を示す。典型的には、有効な競合のためのそのような閾値は、−90、−80、−70、−60、−50、−40、−30、−20、−10、または>−10であり得る。
本明細書中で使用される「境界領域」または「境界領域−境界領域」は、全長抗体の可変ドメインと定常領域1(CL1またはCH1)との間、またはFab部分とFcドメイン(CH2およびCH3)との間に位置する領域を指す。
本明細書中で使用される「ADA」は、抗薬物抗体の略であり、患者の血清(serum or sera)中の既存の抗体を指す。
「抗体可変ドメイン」(V−ドメイン)という用語は、抗体の抗原結合部位の全てまたは一部、例えば重鎖および/または軽鎖可変ドメインの全てまたは一部を含む分子を指し、その抗体可変ドメインは標的抗原を特異的に認識する。従ってその用語は、免疫グロブリンのV−J−領域またはV−D−領域に対応する。これらのV−ドメインを、VL(Ig軽鎖のV−ドメイン)またはVH(Ig重鎖のV−ドメイン)と呼ぶ。抗体可変ドメインの制限しない例は、以下を含む:
(i)抗体の単一アームのVおよびVドメインを含むFv断片
(ii)1本鎖Fv断片(scFv)
(iii)VHまたはVLドメインからなる、Dab断片(Wardら(1989)Nature 341:544−546)、ラクダ抗体(Hamers−Castermanら、Nature 363:446−448(1993)、およびDumoulinら、Protein Science 11:500−515(2002)を参照のこと)、またはサメ抗体(例えばサメIg−NAR Nanobodies(登録商標))のような単一ドメイン抗体。
本明細書中で使用される「抗体フレームワーク」または「フレームワーク」という用語は、可変ドメイン、VLまたはVHのいずれかの一部を指し、この可変ドメインの抗原結合ループの骨格として機能する(Kabat,E.A.ら(1991)Sequences of proteins of immunological interest.NIH Publication 91−3242)。
本明細書中で使用される「抗体CDR」または「CDR」という用語は、Kabat,E.A.ら(1991)Sequences of proteins of immunological interest.NIH Publication 91−3242によって定義されたような抗原結合ループからなる、抗体の相補性決定領域を指す。抗体Fv断片の2つの可変ドメインのそれぞれは、例えば3つのCDRを含む。
「1本鎖抗体」または「scFv」という用語は、リンカーによって連結された抗体重鎖可変領域(V)および抗体軽鎖可変領域(V)を含む分子を指す。そのようなscFv分子は、一般的な構造:NH−V−リンカー−V−COOHまたはNH−V−リンカー−V−COOHを有し得る。
「サブタイプ」という用語は、所定の種において、同じグループに属するV−ドメインのセットを指し、そしてそれは高いパーセンテージの同一性を共有する。「サブタイプ」という用語は、Knappik(2000)において定義されたような、それぞれのコンセンサス配列によって定義されるサブタイプを指す。「サブファミリー」または「サブクラス」という用語は、「サブタイプ」の同義語として使用される。本明細書中で使用される「サブタイプ」という用語は、そのサブタイプを代表するそれぞれのコンセンサス配列と、最も高い程度の同一性および類似性を共有する配列を指す。ある可変ドメインがどの「サブタイプ」に属するかを、それぞれの配列の、全ての公知のヒト生殖系列セグメントまたはそれぞれのサブタイプの定義されたコンセンサス配列とのアラインメント、および続く最も高い相同性に基づくあるサブタイプへの関連付けによって決定する。BLOSUM(Henikoff 1992)のような検索マトリックスを用いることによる、相同性の決定および配列のグループ分けの方法は、当業者に周知である。
所定の位置における「コンセンサス残基」を、所定のサブタイプのアミノ酸コンセンサス配列を生成することによって決定し得る。本明細書中で使用される「アミノ酸コンセンサス配列」は、少なくとも2つ、および好ましくはそれ以上の、アラインメントしたアミノ酸配列のマトリックスを用い、そしてアラインメントのギャップを許容して、各位置において最も頻度の高いアミノ酸残基を決定することが可能であるようにして生成し得る、アミノ酸配列を指す。そのコンセンサス配列は、各位置において最も高い頻度で示されるアミノ酸を含む配列である。単一の位置で2つまたはそれ以上のアミノ酸が同等に示される場合、そのコンセンサス配列は、それらのアミノ酸の両方または全てを含む。タンパク質のアミノ酸配列を、様々なレベルで分析し得る。例えば、単一の残基のレベル、複数の残基のレベル、ギャップを有する複数の残基等で、保存または可変性を示し得る。残基は、同一残基の保存を示し得、またはクラスレベルで保存され得る。他のクラスは当業者に公知であり、そして構造決定または置換可能性を評価するための他のデータを用いて定義され得る。その意味で、置換可能なアミノ酸は、その位置で置換され得、機能的保存を維持し得るあらゆるアミノ酸を指し得る。本明細書中で使用される場合、1つのアミノ酸配列(例えば最初のVHまたはVL配列)を、1つまたはそれ以上のさらなるアミノ酸配列(例えばデータベースの1つまたはそれ以上のVHまたはVL配列)とアラインメントする場合、1つの配列(例えば最初のVHまたはVL配列)のアミノ酸位置を、1つまたはそれ以上のさらなるアミノ酸配列の「対応する位置」と比較し得る。本明細書中で使用される場合、「対応する位置」は、配列を最適にアラインメントしたとき、すなわち配列を最も高い同一性パーセントまたは類似性パーセントを達成するようにアラインメントしたとき、比較される配列の等しい位置を示す。
説明を通して使用されるAHoナンバリングスキームは、A.HoneggerおよびA.Plueckthun(2001)、J.Mol.Biol.309:657−670において記載される。
「患者」という用語は、ヒトまたは非ヒト動物を指す。
「処置する」、「処置すること」または「処置」という用語は、障害または再発した障害の1つまたはそれ以上の症状を予防する、治癒させる、遅延させる、その重症度を低減させる、または改善させるか、またはそのような処置無しで期待されるものを超えて被験体の生存を延長させる目的を有する、治療的および/または予防的手段を指す。
「親水性」アミノ酸は、Asp、Glu、Lys、Arg、およびHisのような、極性かつ電気的に荷電したアミノ酸である。
極性かつ無電荷であるアミノ酸は、Gly、Ser、Thr、Cys、Asp、Gln、およびTyrである。
「疎水性」アミノ酸は、典型的にはAla、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、およびProのような、非極性アミノ酸である。
最初の局面において、抗体可変ドメインの免疫原性を減少させる方法が開示される。その抗体可変ドメインは、可変軽鎖および/または可変重鎖を含み、そしてその方法は、可変軽鎖および/または可変重鎖の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を置換する工程を含み、該残基は対応する全長抗体(またはFab、すなわち定常ドメインまたはその一部を含むあらゆる抗体または抗体断片)の可変鎖と定常鎖との間の境界領域に存在する。
置換のために選択された該1つまたはそれ以上のアミノ酸残基は、好ましくは対応する全長抗体(またはFab、すなわち定常ドメインまたはその一部を含むあらゆる抗体または抗体断片)の可変鎖と定常鎖との間の境界領域に存在し、そしてscFvのような、抗体可変ドメインにおいて溶媒に露出するものである。該境界領域はまた、V/Cドメイン境界領域とも呼ばれる。
その抗体可変ドメインは、例えばscFv、Fv断片、または単一ドメイン抗体であり、好ましくはscFvである。
特に関心があるのは、不連続な、すなわちコンフォメーションB細胞エピトープを形成する位置のアミノ酸残基である。そのような残基は、以下の位置(AHoナンバリング)で見出されるものを含む:
可変軽鎖の99位、101位、および/または148位;および
可変重鎖の12位、97位、98位、99位、103位、および/または144位。
軽鎖の残基99位、101位、および148位(AHoナンバリング)、および重鎖の残基12位、98位、103位、および144位(AHoナンバリング)は、タンパク質工学による抗体のフォールディング挙動の改善に関して、Niebaら(1997)Protein Eng.4月;10(4):435−44(US6,815,540においても開示されている)から公知である。Niebaは、示した位置で、疎水性アミノ酸を親水性アミノ酸で置換することを提案したが、その文献は、これらの置換がその分子の免疫原性に影響を有し得るとは記載していない。さらに、著者らは、これらの疎水性残基が全て等しく置換のよい候補であるわけではないことを強調する。疎水性パッチの存在は全ての抗体で保存されるが、その正確な位置および程度は異なる。
当該分野で公知であるように、特に
(i)2次構造のターン領域に存在する、
(ii)大きく柔軟な側鎖またはバルク側鎖を有する、または
(iii)疎水性である
アミノ酸は、B細胞エピトープの一部である傾向があり、そして従って免疫原性反応を誘発する。免疫原性アミノ酸を除去することによって、B細胞エピトープは中断され、そして抗体可変ドメインに対する患者の耐性は増強され得る。
好ましくは、選択した1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を、選択したアミノ酸よりも免疫原性が低い、すなわち免疫反応を誘発しないか、または弱い免疫反応を誘発するアミノ酸で置換する。そのような免疫原性が低いアミノ酸は、もとの(すなわち置換なし)アミノ酸を含む抗体可変ドメインに対するADA反応性と比較して、ADA反応性を低減するものである。
免疫原性、すなわち患者の体内で抗体反応を誘発する性質を、例えばその抗原性、すなわち既存の抗体との反応性によって予測し得る。抗原性を、例えば潜在的に既存の抗体を含むドナー由来の血清を用いて、ブリッジング(bridging)ELISA(実施例1および図1を参照のこと)によるADA反応性によって決定し得る。従って、免疫原性が低いアミノ酸の評価のために、抗体可変ドメインを、示した位置で変異させ得る。免疫原性に対するそのような変異の影響を、本明細書中で記載するように、ブリッジングELISAにおいて、親抗体のシグナルを、おそらく免疫原性が低い、操作したその誘導体と競合させることによって評価し得る。抗体に対するADAの結合はまた、表面プラズモン共鳴法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、熱量測定アッセイなどのような非標識結合アッセイの使用によって評価され得る。
1つの実施態様において、置換するために選択されるアミノ酸は、可変軽鎖残基99、101、および148および可変重鎖残基12、97、98、99、103、および144からなる群より選択される、1つまたはそれ以上の位置にある。
置換するために選択される好ましいアミノ酸は、表面に露出しているが、対応する全長抗体またはFabにおいては、定常ドメインによって隠れている。
1つの実施態様において、可変軽鎖および/または可変重鎖の置換する1つまたはそれ以上のアミノ酸残基は、それぞれのサブタイプのコンセンサス残基である。例えば、置換のために選択される好ましいアミノ酸は、ロイシン(L)、バリン(V)、アスパラギン酸(D)、フェニルアラニン(F)、アルギニン(R)、および/またはグルタミン酸(E)である。
より好ましくは、置換するために選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸残基は、可変軽鎖残基D99、F101、およびL148および可変重鎖残基L12、R97、A98、E99、V103、およびL144からなる群より選択される。
さらにより好ましくは、ロイシン(L)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)、および/またはアラニン(A)を、極性アミノ酸によって、好ましくはセリン(S)、および/またはスレオニン(T)によって置換する。
特に、PCT/CH2009/00022において記載されたようなDHPモチーフは、予想外に、抗体可変ドメインの熱安定性、リフォールディング、発現率、凝集および/または結合活性に対して有害な影響を有さずに、抗体可変ドメインの免疫原性を減少させることが見出された。該DHPモチーフは、可変重鎖12、103および144(AHoナンバリング)のアミノ酸残基を含み、ここでは以下のアミノ酸が存在する:
(a)重鎖アミノ酸の12位のセリン(S);
(b)重鎖アミノ酸の103位のセリン(S)またはスレオニン(T);および/または
(c)重鎖アミノ酸の144位のセリン(S)またはスレオニン(T)。
PCT/CH2009/00022は、教示された修飾が、抗体可変ドメインの免疫原性を減少させるために適当であるということのヒントはなんら提供しない。
DHPモチーフは、Fab断片のV/C境界領域に位置し、そして定常ドメインを除去した際に溶媒に露出する。従って、本発明の好ましい実施態様において、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を、置換のために可変重鎖12、103、および144(AHoナンバリング)からなる群より選択する。好ましくは、
(a)ロイシン(L)が重鎖アミノ酸の12位に存在する;
(b)バリン(V)が重鎖アミノ酸の103位に存在する;および/または
(c)ロイシン(L)が重鎖アミノ酸の144位に存在する。
これらの残基は、ヒトフレームワークにおいて高度に保存されている。従って、1つまたはそれ以上の該残基を置換することは、その分子の生物物理学的性質に影響を与えずに、抗体可変ドメインを脱免疫化するための一般的な解決を提供し、そして本明細書中で開示された方法は、抗体可変ドメインのあらゆるフレームワークに適用可能である。好ましくは、示した位置に存在する残基を、
(a)重鎖アミノ酸の12位のセリン(S);
(b)重鎖アミノ酸の103位のセリン(S)またはスレオニン(T);および/または
(c)重鎖アミノ酸の144位のセリン(S)またはスレオニン(T)
で置換する。
さらにより好ましくは、以下の置換を行う:L12S、V103T、および/またはL144T。
抗体可変ドメインは、あらゆる標的に向けられ得、そして該標的に特異的に結合する。標的の代表的な例は、膜貫通分子、受容体、リガンド、増殖因子、成長ホルモン、凝固因子、抗凝固因子、プラスミノーゲン活性化因子、血清アルブミン、ホルモンまたは増殖因子の受容体、神経栄養因子、神経増殖因子、線維芽細胞増殖因子、形質転換増殖因子(TGF)、CDタンパク質、インターフェロン、コロニー刺激因子(CSF)、インターロイキン(IL)、T細胞受容体、表面膜タンパク質、ウイルスタンパク質、腫瘍関連抗原、インテグリンまたはインターロイキン、VEGF;レニン;ヒト成長ホルモン;ウシ成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;アルファ−1−アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体化ホルモン;グルカゴン;凝固因子VIIIC;凝固因子IX;組織因子(TP);フォンヴィレブランド因子、プロテインC;心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント;ウロキナーゼ;ヒト尿;組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA);ボンベシン;トロンビン;造血性増殖因子;腫瘍壊死因子アルファまたはベータ;エンケファリナーゼ;RANTES(Regulated on Activation Normally T−cell Expressed and Secreted);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1)−アルファ;ヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制因子(Muellerian−inhibiting substance);リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド、微生物タンパク質、ベータラクタマーゼ;DNアーゼ;IgE;細胞毒性Tリンパ球関連抗原(CTLA);CTLA−4;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);プロテインAまたはD;リウマチ因子;骨由来神経栄養因子(BDNF);ニューロトロフィン3、4、5、または6(NT−3、NT−4、NT−5、またはNT−6);NGF−ベータ;血小板由来増殖因子(PDGF);aFGF;bFGF;上皮増殖因子(EGF);TGF−アルファ;TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、TGF−ベータ14、またはTGF−ベータ5を含むTGF−ベータ;インスリン様増殖因子IまたはII(IGF−IまたはIGF−II);des(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質、エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロンアルファ、ベータ、またはガンマ;M−CSF、GM−CSF、またはG−CSF;IL−1からIL−10;スーパーオキシドジムスターゼ;崩壊促進因子;AIDSエンベロープタンパク質;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節性タンパク質;CD3、CD4、CD8、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、CD19、CD20、CD34、CD40、またはCD46、ICAM、VLA−4、またはVCAM;またはHER2、HER3またはHER4受容体;ErbB受容体ファミリーのメンバー;EGF受容体;HER2、HER3、またはHER4受容体;細胞接着分子;LFA−1、Mac1、p150.95、VLA−4、ICAM−1、VCAM、アルファ4/ベータ7インテグリンまたはアルファv/ベータ3インテグリン;細胞接着分子のアルファまたはベータサブユニット;抗体;増殖因子、VEGF;組織因子(TF);TGF−ベータ;アルファインターフェロン(アルファIFN);IL−8;IgE;血液型抗原Apo2、デスレセプター;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA4またはプロテインCを含むがこれに限らない。
別の実施態様において、本発明は、本明細書中で開示される方法によって得られる、抗原結合断片を提供する。該抗原結合断片を、例えば治療的または診断的適用のために使用し得る。
本明細書中の実施例で使用される配列は、以下のものを含む。
Figure 2015131855
(実施例1)
(抗薬物抗体ブリッジングELISA(ADA−ELISA))
(1.1 背景)
モノクローナル抗体に対する既存の抗体は、定常領域、可変ドメインフレームワーク位置、または抗原結合ループ、CDRのいずれかに向けられ得る。Fv断片には特異的に結合するがIgGには結合しない既存の抗体は、おそらくIgGにおいて以前には隠されていた領域を認識する。そのような領域は、主に可変ドメインと定常領域1(CL1またはCH1)との間、またはFab部分とFcドメイン(CH2およびCH3)との間に位置するドメイン境界領域である。そのような境界領域を認識する抗体は、おそらく形式特異的である。scFv903のフレームワーク配列はヒトにおいて高度に保存されているので、おそらくヒト血清中のscFv903に対する既存の抗体は、CDRまたはV/C境界領域残基のいずれかに結合する。そのような既存の抗scFv903抗体についてのエピトープを、様々なscFvの、抗薬物抗体(ADA)へのESBA903の結合と競合する能力を評価することによって、サンドイッチELISAで特徴付けした。試験したscFvは:
−scFv903と同じフレームワークであるが異なるCDRを含むscFv(34_max(791))、
−scFv903と異なるフレームワークおよび異なるCDRを有するscFv(scFv105)、および
−scFv903のV/C境界領域に置換を含むscFv903改変体(scFv903
DHP(961))
であった。
抗scFv903抗体のスクリーニングのために開発されたELISAは、準定量的アッセイであり、そして異なる種由来の全ての抗体アイソタイプの反応の検出を可能にする、ブリッジング形式(図1を参照のこと)で開発された。
簡単には、そして図1を参照して、マイクロタイタープレートを、scFv903でコーティングし(1、2)、そこに抗scFv903抗体を含むサンプルを結合させた(3、6)。最初の検出物質として、ビオチン化scFv903(4)を使用して、あらゆる結合したscFv903/抗scFv903複合体を検出し、それを次に2番目の検出物質(4)、ストレプトアビジンポリHRP(5)によって検出した。クオリティーコントロールおよびサンプルに存在する抗scFv903抗体の量を、ペルオキシダーゼ(POD)基質(3,3’−5,5’テトラメチルベンジジン(TMB))を用いて決定した。
ADA ELISAの開発を、AB903−3と呼ばれるポジティブコントロール抗体を用いて行った。抗scFv903抗体ストック(AB903−3と呼ばれるウサギポリクローナル抗scFv903IgG)を、ウサギのscFv903による免疫、および続く血清のアフィニティー精製(Squarix Biotechnology)によって得た(develop)。図1bに示すように、scFv903上の既存の抗体のエピトープを、scFv903のADA結合への、上記で記載したscFvの競合によって特徴付けした。
(1.2 アッセイ手順)
マイクロタイタープレート(Nunc Maxisorp)を、PBS(Dalbecco、Sigma)中0.1mcl/mlのscFv903でコーティングした。シールしたプレートを4℃で一晩インキュベートした。
そのプレートを、Atlantis Microplate Washer(ASYS)において、300mcl/ウェルの洗浄緩衝液(TBST 0.005%Tween20)で3回洗浄した。非特異的部位を、280mcl/ウェルのブロッキング緩衝液(PBS、10mg/mlのBSA1%(w/v)、0.1ml/50mlのTween20(0.2%、v/v))でブロックした。シールしたプレートを、振とうしながら室温(25℃)で1.5時間インキュベートした。続いて、そのプレートを再び上記で示したように3回洗浄した。
分析物コントロール(AB903−3と呼ばれるアフィニティー精製したウサギポリクローナル抗scFv903IgGまたはヒト血清のいずれか)を、3つの異なる濃度:
HiQC:2500ng/mlのAB903
MeQC:500ng/mlのAB903
LoQC:250ng/mlのAB903
で加えた。
QCをそれぞれのNSB血清プール(アッセイカットポイントの決定のために使用した全ての血清のプール、>30)に加えた。測定するサンプルを、1から10の希釈で適用した。ウェルあたり50mclのサンプルを適用した;シールしたプレートを、室温(25℃)で2.0時間インキュベートした。
上記で示したように、そのプレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。最初の検出物質として、ビオチン化scFv903(Lightning−Linkキット(プロトコール:Lightning−LinkTM Biotin Conjugation Kit、TypeA、♯704−0015、Innova Biosciences)でビオチン化した500mcgのタンパク質)を加えた。該目的のために、ビオチン化scFv903を、250ng/mlの濃度で、希釈緩衝液中で希釈した(PBS、10mg/mLのBSA1%(w/v)、0.1ml/50mlのTween20(0.2%v/v))。50mcl/ウェルを加えた。シールしたプレートを、振とうしながら室温(名目上25℃)で1.0時間インキュベートした。
そのプレートを、再び上記で示したように3回洗浄した。2番目の検出物質、ストレプトアビジン−ポリ−HRP(Stereospecific Detection Technologies、1mg/ml)を、希釈緩衝液中で1:5’000に希釈し、そしてウェルあたり50mclを加えた。シールしたプレートを、振とうしながら室温(名目上25℃)で1.0時間インキュベートした。
検出のために、そのプレートを、上記で示したように300mcl/ウェルの洗浄緩衝液で3回洗浄した。続いて、そのプレートを300mcL/ウェルのddH2Oで2回洗浄した。次いで、室温で50mcl/ウェルのPOD(TMB)基質を加えた。3−6分間インキュベーションした後(30分の最長インキュベーション時間を超えないものとする)、その反応を、50mcl/ウェルの1M HCLを加えることによって停止させた。その色反応が非常に強い場合は、その反応を50mcl/ウェルの1M HCLによってより早く停止させた。
Tecan Sunriseのマイクロタイタープレートリーダーを用いて、そのプレートを450nmで読み取った。典型的には、その反応を、クオリティーコントロール、NSB、および個々の血清サンプルのそれぞれに関して3連で行った。その読み取りを平均化した。
(1.3 アッセイカットポイント(ACP)の決定)
陽性を決定するために、アッセイの開発の間にアッセイカットポイントを確立した。アッセイのカットポイントは、そのレベルまたはそれより上だとサンプルは陽性であると定義され、そしてそれより下は陰性であると定義される、アッセイの反応レベルである。リスクベースアプローチを用いて、任意の偽陰性ではなく、5%の偽陽性を有することが適当である。これを、平均吸光度プラス1.645標準偏差を用いたパラメトリックなアプローチで行い、ここで1.645は、正規分布の95パーセンタイルである。OD≧3標準偏差を有する全ての個人を除外し、そして新しいアッセイカットポイントを計算した。最大5%の個人のODがACPより上なら、計算した値をACPとして使用し得る。反対の場合、残りの個人へ除外基準を再び適用し、そして最大5%の個人がACPより上のODを有するまで、この過程を繰り返した。
149個の個々の血清のうち34個を除外した後、そのアッセイカットポイントは、0.110に修正された。40個の血清(26.8%)が、アッセイカットポイントより高いODを示した(図2を参照のこと)。アッセイのパフォーマンスをモニタリングするために、LoQC、MeQC、およびHiQCサンプルを含めた。NSBの調製のために、アッセイカットポイントの統計学的評価に関して除去した34個の血清を、血清プールから除外した。平均NSBの結果は0.073であり、1.50の正規化係数を生じた。
(1.4 正規化係数およびプレート特異的カットポイントの決定)
ACPをNSBで決定したら、正規化係数を適用して、同じNSBによって、続く測定のために、プレート特異的カットポイントを計算した。正規化係数を決定するために、NSBのOD値を評価した。3つの複製(3連)のNSBを、各プレートで分析した。正規化係数を、NSBの平均吸光度で割ったアッセイカットポイントとして定義した。各プレートのプレート特異的カットポイントを、以下:
プレート特異的カットポイント=NSB吸光度正規化係数
のように計算した。
(1.5 確認アッセイ)
血清において検出されるADAの場合、確認アッセイは、ADAブリッジングELISAにおいて陽性であることが見出された抗体が、scFv903に特異的であることを証明する。その確認アッセイは、陽性のサンプルを分析の前にscFv903を含むアッセイ緩衝液またはアッセイ緩衝液のみと混合し、そしてプレインキュベーションする以外は、スクリーニングアッセイと同様であった。この目的のために、参照物質を、LoQC、MeQC、およびHiQCレベルの濃度まで、希釈緩衝液またはヒト血清に加えた。次いでこれらのサンプルを、緩衝液または10mcg/ml、100mcg/mlまたは1mcg/ml(ヒト血清に関して)のscFv903を含む緩衝液のいずれかで、1対2希釈した。サンプルをRTで約60分間インキュベートして、scFv903をサンプル中に存在するADAに結合させた。マトリックス全体の希釈が最少であるように、プレートに添加する前に、サンプルをさらに緩衝液中で希釈した。scFv903は、ADAのプレートにコーティングされたscFv903への結合を妨げる(図1も参照のこと)。従って、緩衝液で1対2希釈した血清とscFv903を含む緩衝液で1対2希釈した血清との間の、>30%のOD値の変化を、特異的抗scFv903抗体の存在を確認するための最低の阻害として定義した。10mcg/ml、100mcg/ml、および1mcg/mlにおけるscFv903とのプレインキュベーションは、試験した3つのQCレベル全てに関して、60%〜95%のOD変化を生じた。100mcg/mlの濃度を、確認アッセイのために選択した。
(1.6 競合的アッセイの結果)
抗scFv903抗体の結合部位をマッピングするために、上記で記載した確認アッセイの構成において、公知のアミノ酸配列を有する様々なscFvおよびIgG形式のscFv903のセットを、過剰なscFv903の代わりに使用した。この実験的構成において、所定のテスト抗体は、抗scFv903抗体(ADA)がテストscFv上にもある同様のエピトープを認識する場合のみ、ADAに対するscFv903の結合と競合し得る。従って、アッセイにおけるシグナルの低減は、scFv903とテストscFvとの間で共有される、少なくとも1つのエピトープの存在を示す。以下のテスト抗体を、この実験で使用した:scFv105、タイプVk1−VH1bのヒトscFvの骨格に移植したマウスCDRを含む、ヒト化TNF阻害scFv抗体断片;scFv791、scFv903(Vk1−VH3)で使用したのと同じscFv骨格に移植したウサギCDRを含む、ヒト化TNF阻害抗体断片;scFv961、可変ドメインと定常ドメインとの間の境界領域に関与する領域に3つの点変異(DHPモチーフ)を含むscFv903の誘導体、およびscFv903−IgG、IgG形式のscFv903。
ADA結合特性が異なる4つの試験した分子間の配列バリエーションの相互関係を使用して、scFvの骨格全体における、およびより特異的にV−C境界領域におけるADAエピトープを同定した。それに加えて、フルサイズバージョンのscFv903(IgG)との競合を使用して、既存のADAの形式特異性をさらに確認した。
競合実験のデータのまとめを表1に示す。2つの個々のヒト血清以外、全ての結合が、過剰なscFv903と競合し、これらのADAがESBA903に特異的であることを確認した。scFv903に特異的な32個のヒト血清のうち、2つのみがscFv791と競合せず、これらのヒト血清(H53およびH76)に存在する抗体は、scFv903 CDRに結合するが、他の血清は全て明らかにCDR特異的でないことを示した。さらに、約48%のADAがscFv105のエピトープを認識し、これらの反応はわずかに低かった。これは、ほとんどの抗体は、明確に骨格特異的というわけではなく、むしろ異なるscFvの骨格において保存されているアミノ酸に結合することを示唆した。興味深いことに、IgG形式のscFv903は、試験した血清のいずれとの結合に関しても、scFv903と有意に競合しなかった。これは、大部分の血清が、scFv903においてはADAが接近可能であるが、そのIgG形式では接近可能でない、可変領域と定常領域との間の境界領域に結合することを強く示唆する。さらに、scFv903と3つのアミノ酸でしか違わないscFv961は、ADAの64%のみと結合で競合した。これらの反応は一般的に、scFv903よりも低く、このことは、既存のADAの主な画分は、scFv903のV−C境界領域において疎水性表面パッチを構成する、これらの3つのアミノ酸を含むエピトープに結合することを意味する。scFv903と比較して、scFv105で得られた結果の違いは、これらの2つの分子における、異なるパターンの疎水性表面パッチの存在によって説明し得る。まとめると、これらの結果は、ヒト血清中の既存のADAの50%までは、scFv形式特異的抗体であることを示す。
表1:
ヒト血清中の既存の抗体のエピトープの特徴付け。100mcg/mlのscFv903、791(32_max)、scFv105および961(scFv903_DHP)ならびにIgG形式のscFv903の競合に際してのODの低減%を、既存の抗scFv903抗体を有する34個の異なるヒト血清に関して与える。
Figure 2015131855
Figure 2015131855
ADAとscFv903との間の相互作用部位を同定するために、scFv903と他のscFv(791、105および961)との間の配列バリエーションを、様々なヒト血清におけるADAの特異性と関連付けた。最初の工程において、異なるscFvの配列をアラインメントし、そしてscFv903と他のscFvとの間の配列の違いによって、溶媒露出位置をグループ分けした(図3および4)。本明細書中で、「α」はscFv961と全ての他のscFvとの間で異なる位置のグループを示し、「β」はscFv105のみが、他の分子の配列と異なる位置を表し、そして「γ」はscFv791が全ての他のものと異なる位置を示す。さらに、αβおよびαγは、それぞれ、scFv961およびscFv105またはscFv961およびscFv791を除いて、全てのscFvで保存されている位置を説明する。同様に、抗scFv903抗体を含むヒト血清を、上記でアミノ酸位置に関して使用したのと同じ分類コードを用いて、競合アッセイにおいて決定された他のscFvに対する特異性によって分類した(表2を参照のこと)。所定のテストscFvに対して結合していると血清をみなすために、競合アッセイにおける50%の最低シグナル低減を、閾値として設定した。この研究において、「α」はscFv961に対して結合活性を示さなかったヒト抗scFv903血清を示す。「β」−血清は、scFv105に結合せず、そして「γ」−血清はscFv791に結合しなかった。配列分析およびインビトロ結合研究の相互関係から、例えばタイプ「α」ヒト血清中の抗scFv903抗体は、アミノ酸グループ「α」由来の少なくとも1つのアミノ酸と相互作用すると結論し得る。同様に、あらゆる他のタイプの血清は、それぞれのアミノ酸グループの少なくとも1つのアミノ酸と相互作用する。
scFv903の構造分析および相同性モデリングを、Discover Studioバージョン2.5.5を用いて行った。モデリングした構造を分析して、どのアミノ酸残基が溶媒に露出しているか、およびどのアミノ酸残基が埋没しているかを決定した。最大可能な溶媒接近可能表面領域に関して、各残基の相対的Solvent Accessible Surface(SAS)を決定することによって、その計算を行った。カットオフを25%と規定し、従って25%かまたはそれ以上の相対的SASを有する残基を、溶媒に露出していると考えた。
表2:
scFv903、791、scFv105、および961が、34個の血清サンプル中の抗体に対する結合に関して、scFv903と競合するELISAの結果
Figure 2015131855
Figure 2015131855
94%の血清が、scFv903またはscFv791に特異的に結合する抗体を有しており、ほとんどの既存の抗体は、CDR領域に結合しなかったことを示す。ヒト血清の半分(50%)は、scFv961に結合する抗体を示さなかったか、またはそのような抗体が少なかった。配列分析は、scFv961およびscFv903は、可変重鎖の12位、103位、および144位でのみ異なることを明らかにした。従って、scFv903の可変重鎖のL12、V103、およびL144が、ADA結合に関与する(表2および図4および5)。この発見はさらに、IgG形式のscFv903(それぞれの境界領域残基が、隣接する定常領域との接触のために溶媒接近可能でない)が、scFv903の抗scFv903血清との結合と競合しなかったという事実によって確認される。
試験したヒト血清の12%が、全ての抗原性領域に対する抗体を有していた(α、β、γ)。
64%の血清は、scFv961(α)に結合する抗体を含まなかったか、またはそのような抗体が有意に少なかった。上記で記載したように、このscFvは、scFv903と、scFv903の可変−定常ドメイン境界領域に位置する3つの残基位置でのみ異なる(L12S、V103T、L103T)。V/C境界領域におけるこれらの残基位置は高度に保存されているので、これらの位置を変異させることは、既に、生物物理学的性質に影響を与えずにscFvを脱免疫化するための一般的な解決を示す。
51%の血清は、scFv105(β)、Vk1−VH1bサブタイプのscFv(異なるフレームワーク)に対する抗体を含まなかったか、またはそのような抗体が少なかった。可能性のある抗原性領域を、配列のアラインメントによって同定した(図3、4、および5)。
23%の血清は、scFv903に特異的であったが、scFv105とscFv961のいずれにも結合しなかった(αβ)。scFv903と比較した場合に、両方のscFvにおいて異なるのは1つの残基位置のみである。従って、scFv903の可変重鎖ドメインのそれぞれのアミノ酸(L12)が、ADAとscFv903との間の相互作用において決定的な役割を果たしている。
まとめると、a)約50%のADAが、可変重鎖ドメインの12位、103位、および144位の残基を含む、可変領域と定常領域との間の境界領域のエピトープに結合する(α)、およびb)これらの3つの高度に保存された残基を変異させることは、一般的に既存の抗体のscFvに対する結合強度および頻度を有意に低下させると結論し得る。scFvの免疫原性を低減させるための、DHPモチーフのこの一般的な適用性は、ヒト起源の可変重鎖における12位のロイシン、103位のバリン、および144位のロイシンの高い頻度によってさらに支持される(図6)。抗scFv903血清のscFv105に対する結合は、scFv903と比較した場合に一般的に弱いので、scFv903のいずれかの溶媒露出残基の、scFv105のそれぞれのアミノ酸への置換は、潜在的にB細胞エピトープを除去し得るか、または弱め得る。特に興味があるのは、可変軽鎖の残基番号101および148である。それはこれらのバルク残基が、scFv903の定常−可変ドメイン境界領域に関与するからである(表4)。
表3:
異なる抗原性領域に対する抗体を有する試験したヒト血清のまとめの表
Figure 2015131855
表4:
選択した位置におけるヒト可変ドメインのアミノ酸の頻度
Figure 2015131855
目下、本発明の好ましい実施態様が示され、そして説明されたが、本発明はそれに限らず、他に様々に具体化し得、そして以下の特許請求の範囲内で実施され得ることが明確に理解される。

Claims (1)

  1. 明細書に記載された発明。
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