JP2015124943A - 空気調和機の室内機 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、単に在室者の位置を検知するだけでなく、在室者の活動状態を検知して、かかる活動状態に基づいて、調和空気の吹出温度、吹出量および吹出方向を制御する。すなわち、軽い運動や軽い力仕事をして活動量が大きくなっていると検知したとき、当該在室者(以下、「ユーザー」と称す)に向けて集中的に送風し、活動によって発生した熱量を取り除くことにより、体温の上昇を抑えて暑いと感じさせないようにする室内機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、属性(男性または女性の性別)によって体感温度が相違し、空気の流れに晒されると、特に、冷房運転中に、女性は男性に比べて寒いと感じるため、男性および女性の双方の快適性を維持したいという要請がある。
さらに、活動量が大きくなっていないユーザーであっても、個人的に体感温度が相違し、通常の送風では暑いと感じたり(所謂「暑がりさん」)、反対に、寒いと感じたりする(所謂「寒がりさん」)など、ユーザー毎に好みの空調環境が相違するため、それぞれのユーザーが、いちいちリモコン(遠隔操作装置)を操作して、好みの空調環境に変更する必要があった。このため、いちいち設定操作をすることなく、ユーザーの好みの空調環境を実現し、快適性も維持したいという要請がある。
このため、女性には、男性に比べてより少量(より低速)の冷風または空気(ドライ空気等)が吹き出されるから、本来、「寒がりさん」である女性が、寒さを感じて不快になることが防止される。
なお、送風運転とは、冷凍サイクルを停止した状態で室内空気を送風する運転や、冷凍サイクルを運転した状態で除湿された調和空気を送風する運転を意味している。
図1〜図3は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、図1は正面図、図2は側面視の断面図、図3は一部(吹出口の周辺)を抜き出して示す斜視図である。なお、各図は模式的に描いたものであって、本発明は図示された形態に限定するものではない。
図1〜図3において、空気調和機の室内機(以下「室内機」と称す)100は、上部に吸込口3および下部に吹出口7が形成された本体1と、本体1の前面を開閉自在に覆う前面パネル2と、吸込口3から室内空気を吸い込んで、吹出口7に至る風路6を形成する送風機5と、送風機5の上流側(吸込口3寄り)に設置された熱交換器4とを有し、風路6には上下風向板9および左右風向板10が設置されている。
また、本体1の前面で吹出口7の脇に、リモコン(図示しない)からの信号を受信する受信装置40と、室内の様子を撮像する撮像装置50とが設置されている。
さらに、本体1の内部に、少なくとも風向調整装置(上下風向板9および左右風向板10)および送風機5を制御する制御装置70が設置されている。なお、制御は、撮像装置50が撮像した人間の位置情報、および撮像装置50が撮像した人間の形態(主に顔情報)による属性情報に基づいて実行される(これについては別途詳細に説明する)。
図2において、熱交換器4は前面パネル2に略平行な部分である熱交換前部分4aと、送風機5の前面寄り斜め上方の部分である熱交換上前部分4bと、送風機5の後面寄り斜め上方の部分である熱交換上後部分4cと、を具備している。そして、熱交換前部分4aの下方にはドレンパン8が配置され、ドレンパン8の上面8aが実際にドレンを受けるドレンパン面を形成し、ドレンパン8の下面8bが風路6の前面側を形成している。
図2に示された送風機5は、複数のフィンが所定の間隔を空けて円環状に配置されているかご型の送風部と、送風部を回転駆動する図示しない送風モーターとを具備している。送風モーターは単位時間当たりの回転数(以下、「回転数」と称す)が変更自在であって、その回転数は制御装置70によって制御され、高速回転する場合には、送風される空気量(および風速)が多く(速く)、低速回転する場合には、送風される空気量(および風速)が少ない(低い)。なお、本発明は送風機5の型式を限定するものではない。
図3において、風路の吹出口7に近い位置には、風向調整装置である、熱交換器4において調和された室内空気(以下、「調和空気」と称す)の水平方向(左右方向)の吹き出し方向を調整する左側左右風向板群10Lと右側左右風向板群10R(これらをまとめて又はそれぞれを「左右風向板10」と称している)と、風路6の末端である吹出口7には、調和空気の鉛直方向(上下方向)の吹き出し方向を調整する上下風向板9(前上下風向板9aおよび後上下風向板9bをまとめて「上下風向板9」と称している)とが設けられている。
なお、前記「左側」および「右側」とは、室内機100から室内を見たとき、すなわち、本体1の背面側から前面パネル2の方向を見たときに、左手に見えるものを「左側」、右手に見えるものを「右側」と、それぞれ称している。
右側左右風向板群10Rは、左右風向板10a、10b・・・10gによって構成され、ドレンパン8の下面8bに回動自在に設置され、それぞれに右側連結棒20Rが連結されている。また、左側左右風向板群10Lは、左右風向板10h、10i・・・10nによって構成され、それぞれに左側連結棒20Lが連結されている。
そして、右側左右風向板群10Rと右側連結棒20Rとはリンク機構を形成し、また、左側左右風向板群10Lと左側連結棒20Lとはリンク機構を形成し、右側連結棒20Rには右側駆動手段(図示しない)が、左側連結棒20Lには左側駆動手段30Lが、それぞれ連結されている。
したがって、右側連結棒20Rが右側駆動手段によって平行移動された際、左右風向板10a、10b・・・10gは互いに平行を維持しながら回動し、左側連結棒20Lが左側駆動手段30Lによって平行移動された際、左右風向板10h、10i・・・10nは互いに平行を維持しながら回動する。このため、調和空気を吹出口7の全幅に渡って同じ方向に吹き出したり、吹出口7の半幅毎で互いに離れる方向に吹き出したり、吹出口7の半幅毎で互いに衝突する方向に吹き出したりすることが可能になっている。
なお、本発明は、左右風向板10の形態を図示するものに限定するものではなく、左右風向板10の枚数は何れでもよく、また、左右風向板10を3以上の群に分け、それぞれの群を連結棒に回動自在に接合し、それぞれの連結棒を独立に平行移動させるようにしてもよい。
上下風向板9は水平方向(Y方向)に平行な回動中心を有し、本体1に回動自在に設置されている。前上下風向板9aの回動軸および後上下風向板9bの回動軸はそれぞれリンク機構または歯車機構によって連結され、共通の駆動モーターによって回動される。
なお、本発明は、上下風向板9の形態を図示するものに限定するものではなく、前上下風向板9aおよび後上下風向板9bをそれぞれ別個の駆動モーターによって回動してもよい。また、それぞれを左右方向の中央で分割して合計4枚にし、それぞれが別個に独立して回動するようにしてもよい。
なお、本発明は、受信装置40および撮像装置50の型式や設置位置を限定するものではなく、例えば、撮像装置50を、100万以下の画素を有するCCDカメラにして、例えば、前面パネル2の中央部に設置してもよい。
また、撮像装置50の撮像する時間間隔は、限定するものではなく、待機中および冷凍サイクルの運転中に、以下に説明する制御を可能にする連続的とみなせる時間間隔(例えば、1秒毎)である。
さらに、室内機100には、室内機100の運転状況を報知するための音声または映像による報知装置(図示しない)が本体1またはリモコン(図示しない)に設けられている。
図4は、図1に示す空気調和機の室内機を説明するものであって、制御装置の構成を示すブロック図である。
図4において、制御装置70はユーザー(在室者)U1に応じて、送風機5の回転数や吹出方向(上下風向板9および左右風向板10等の姿勢)を制御するものである。
すなわち、制御装置70は、以下に詳細に説明するように、撮像装置50が撮像して映像に基づいてユーザーU1の顔F1を認識し、顔F1が少なくとも顔認識時間(例えば、3秒間)の間静止している場合、ユーザーU1を制御対象者として、自分に向けて送風されることを望んでいる人間であると認定し、当該認定されたユーザーU1に向けて(ユーザーU1が移動した場合には移動先を特定して移動先に向けて)調和空気を吹き出すように、上下風向板9および左右風向板10の姿勢を制御するものである。
すなわち、冷房運転中若しくは送風運転中、女性は男性に比べて寒いと感じるため、女性に対しては、送風機5の回転数を低減して、女性は男性に比べて、より少量(より低速)の調和空気(冷風)が送風されるようにすることによって、快適性を担保している。
なお、分散吹出においては、女性は冷風を受けても、不快な寒さを感じないため、低減していた回転数を元の回転数に戻し、広い範囲の冷房を進めている。
したがって、制御装置70は、少なくとも後記する制御フロー(図7〜9)に記載した各ステップを実行するための手段(ユーザー認識手段、属性判断手段、回転数維持手段、回転数低減手段、起動指令手段、集中吹出指令手段、回転数戻し手段、分散吹出指令手段、追跡手段、追跡集中吹出指令手段、追跡回転数戻し手段、追跡分散吹出指令手段、終了手段)を有している。
図5および図6は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機におけるユーザーの認識要領を説明するためのものであって、図5の(a)および図5の(b)は模式的に示す側面図および平面図、図6の(a)および図6の(b)は拡大して模式的に示す側面図および平面図である。
図5の(a)および図5の(b)において、室内機100が、室内90の一方の壁(以下、「背面壁」と称す)91で天井面92に近い位置に設置されている。また、撮像装置50(例えば、30万画素のCCDカメラ)は、斜め下方に向かった視野51を有している。視野51は鉛直方向と水平方向とで開き角度が相違し、略楕円錐状である。
そして、図中のユーザーU1は制御対象者であって、制御装置70によって「自分に向けて調和空気が送風されることを欲している人間」であると認識された人間である。一方、第2ユーザーU2および第3ユーザーU3は制御対象者ではなく、制御装置70によって「自分に向けて調和空気が送風されることを欲している人間」ではないと判断されている。
このとき、「対面」とは、水平面においては、撮像装置50からの放射線(一点鎖線にて示す)に対して、目U11aと目U11bとを結ぶ仮想線がなす角度が垂直で、鉛直面においては、撮像装置50からの放射線(一点鎖線にて示す)に対して、額と顎を結ぶ仮想線(鼻を除く顔部分を平面であると仮定した際の平面)とがなす角度が垂直な状態を意味しているが、厳密に垂直である状態に限定するものではなく、概ね「90°±20°」の角度を目安にしている。なお、実際に、前記放射線と仮想線とがなす角度を求めることは容易でないため、かかる角度に代えて、別の要領によって対面していることを判断する(これについては、別途詳細に説明する)。
また、「静止」とは、文字通り全く動かない状態ではなく、僅かに揺れ動く状態を含むものであり、例えば、揺れ動く前に撮像された顔U10の映像に、揺れ動いた際に撮像された顔U10の映像の一部が重なる程度に揺れた状態を含んでいる。
第2ユーザーU2は、側面視では対面しているものの、平面視では、顔U10の目U11aは撮像されながらも、目U11bは鼻U13に隠されて撮像されていないため、そっぽを向いていると判断され、平面視では対面していない。
第3ユーザーU3は、平面視では対面しているものの、側面視では、目U11aと目U11bとを結ぶ仮想線の中点が、顔U10(含む頭)の中央よりも下方に位置していることから、側面視で対面していない。
次に、「対面」の判断について、側面視における対面と平面視における対面とを説明する。
図6の(a)において、ユーザーU1の撮像された映像において、ユーザーU1の目U11aおよび目U11bの両方が認められ、目U11aと目U11bとを結ぶ仮想線の中点を中点U11cとし、中点U11cを通過する撮像装置50からの放射線を放射線50cとする。また、ユーザーU1の撮像された映像における、顔U10(含む頭部)の上端を上端U12とし、上端U12を通過する撮像装置50からの放射線を放射線50aとし、一方、顔U10の下端(顎の下端に同じ)を下端U14とし、下端U14を通過する撮像装置50からの放射線を放射線50bとする。
そして、放射線50aと放射線50cとがなす角度θaと、放射線50bと放射線50cとがなす角度θbとを比較して、両者の差(Δθab=|θa−θb|)が小さいとき、ユーザーU1は側面視において対面しているとする。なお、両者の差(Δθab)の値は限定するものではないが、概ね「20°」とする。
図6の(b)において、ユーザーU1の撮像された映像における、ユーザーU1の目U11aおよび目U11bの両方が認められ、目U11aと目U11bとを結ぶ仮想線の中点を中点U11cとし、中点U11cを通過する撮像装置50からの放射線を放射線50cとする。また、ユーザーU1の撮像された映像における、顔U10(含む頭部)の一方の側端を左端U15とし、左端U15を通過する撮像装置50からの放射線を放射線50dとし、一方、顔U10(含む頭部)の他方の側端を右端U16とし、右端U16を通過する撮像装置50からの放射線を放射線50eとする。
そして、放射線50dと放射線50cとがなす角度θdと、放射線50eと放射線50cとがなす角度θeとを比較して、両者の差(Δθde=|θd−θe|)が小さいとき、ユーザーU1は平面視において対面しているとする。なお、両者の差(Δθde)の値は限定するものではないが、概ね「20°」とする。
制御装置70は、ユーザーU1を制御対象者とした(認識した)後は、撮像装置50が撮像したユーザーU1の映像からユーザーU1を追跡して、その移動先(以下、「ユーザー位置」と称す)P1を特定する。
すなわち、ユーザーU1が移動しないで、認識された位置に居続ける間は、当該位置(以下「当初位置P0」と称す)をユーザー位置P1として特定する。また、ユーザーU1を認識した後に、ユーザーU1が移動し、かかる移動が終わった後、すなわち、ユーザーU1が立ち止まった位置あるいは座った位置を「移動先」として、その位置をユーザー位置P1として特定する。
制御装置70は、認識したユーザーU1の顔F1(正確には、顔F1についての情報)に基づいて、ユーザーU1が「男性」であるか「女性」であるか性別判断する。
なお、属性判断の要領は限定するものではなく、顔F1以外の形態(体格等)を加味した情報に基づくものであってもよい。
ユーザーU1が女性であって、冷房運転中若しくは送風運転中または冷房運転若しくは送風運転を開始しようとしている時(前回運転停止時の運転モードが冷房運転若しくは送風運転であった場合に同じ)は、送風機の回転数(単位時間当たりの回転数)が、ユーザーU1が男性である場合等の回転数(以下「維持回転数(N)」と称す)に比較して小さい回転数(以下「低減回転数(αN)」と称す)に変更する。
すなわち、女性は、男性に比較して「寒がりさん」であることから、男性と同様に、集中的に送風された冷風に晒されると、不快を感じるため、送風量(および送風速度)を小さくする。
なお、ユーザーU1が男性である場合、およびユーザーU1が女性であっても暖房運転中は、このような回転数を低減(小さく)する変更は行わない。
すなわち、集中吹出時間の間、集中的に送風された調和空気に晒されると、ユーザーU1は十分に涼んだ(あるいは暖まった)と考えられることから、過剰に寒くなる(または過剰に暑くなる)ことを防止する目的で、集中的な送風を、分散吹出に切り替えている。
そうすると、分散吹出によって、ユーザーU1に到達する風量は、集中的に送風される場合に比較して少なくなることから、維持回転数に戻しても、ユーザーU1(女性)が不快に感じることはない。また、送風された調和空気の到達範囲が広くなるため、回転数を変更前に戻して、送風量を確保することが好ましい。
図7〜図9は、図1に示す空気調和機の室内機における制御フローを示すフローチャートである。
図7において、ユーザーU1が撮像装置50に対面し、少なくとも認識時間(例えば、3秒間)の間静止しているとき(S1)、制御装置70は、ユーザーU1を制御対象者として、「ユーザーU1が自分に向けて送風されることを望んでいる人間である」と認識する(ユーザー認識ステップ、S2)。
また、認識されたユーザーU1の属性(男性または女性)を判断する(属性判断ステップ、S3)。
一方、現在冷房運転中若しくは送風運転中または前回運転終了時の運転モードが冷房運転若しくは送風運転で、ユーザーU1が女性であると判断された場合は(S4)、送風機5の回転数を、現在運転中または前回運転終了時における送風機5の回転数を低減した低減回転数(αN)に設定する(回転数低減ステップ、S6)。なお、維持回転数(N)に対する低減回転数(αN)の大きさは限定するものではないが、例えば、80%(α=0.80)または70%(α=0.70)であってもよい。
そこで、送風機5を設定された回転数(維持回転数または低減回転数)で回転して、ユーザーU1またはユーザーU1が立っている当初位置P0に向けて調和空気を集中的に吹き出す(集中吹出ステップ、S9)。
そして、ユーザーU1が当初位置P0から他の位置に移動したか否かを判断する(S10)。
一方、集中吹出時間が経過した場合には(S11)、送風機5が低減回転数で回転しているときは(S12、いる)、送風機5の回転数を維持回転数に戻し(回転数戻しステップ、S13)、集中吹出を停止して、送風機5を維持回転数で回転して、ユーザーU1および当初位置P0を含む広い範囲に向けて分散的に調和空気を吹き出す(分散吹出ステップ、S14)。この間、終了釦が押されない限り(S15、NO)、ユーザーU1が移動したかを判断するステップ(S10)に戻り、終了釦が押された(S15、YES)ところで、冷凍サイクルの運転を停止する。
そして、集中吹出時間が経過するまでは(S17、しない)、送風機5を設定された回転数で回転して、ユーザー位置P1に向けて調和空気を集中的に吹き出す(追跡集中吹出ステップ、S18)。
一方、集中吹出時間が経過した場合には(S17、した)、送風機5が低減回転数で回転しているときは(S19、いる)、送風機5の回転数を維持回転数に戻し(追跡回転数戻しステップ、S20)、集中吹出を停止して、送風機5を維持回転数で回転して、ユーザー位置P1の周囲を含む範囲に向けて分散的に調和空気を吹き出す(追跡分散吹出ステップ、S21)。
そして、図示しないリモコンに設けられた終了釦が押されたところで(S22、YES)、冷凍サイクルの運転を停止する。一方、終了釦が押されない場合には(S22、NO)、追跡ステップ(S16)に戻り、それ以降のステップを繰り返す。なお、ステップS1以降のいずれのステップであっても、終了釦が押された場合(図示しない)には、冷凍サイクルの運転を停止する。
室内機100は、以上の制御フローを実行するから以下の作用効果が得られる。
ユーザーU1は、撮像装置50に対面し、少なくとも認識時間の間静止することによって、リモコン等を操作することなく、自分に向けて調和空気が集中的に吹き出されるから、簡単かつ迅速に、調和空気を受けることができる(急速に涼んだりまたは暖まったりすることができる)。
このとき、冷房運転中または送風運転中の場合、あるいは冷房運転または送風運転を開始しようとしている場合で、ユーザーU1が女性であると判断されたときには、送風機5の回転数が低減される。このため、女性には、男性に比べてより少量(より低速)の冷風が吹き出されるから、本来、「寒がりさん」である女性が、寒さを感じて不快になることが防止される。
さらに、ユーザーU1が移動した場合には、ユーザーU1は追跡され、特定された移動先において、調和空気を受けることができるから、この場合も、リモコン等を操作することなく、自分に向けて調和空気が吹き出されるから、簡単かつ迅速に、調和空気を受けることができる。
さらに、ユーザーU1が暖まった(涼んだ)ところで、集中吹出が分散吹出に切り替わるため、ユーザーU1は過剰に冷えたり(暑くなったり)することがなく、かつ、室内の広い範囲(ユーザー位置P1に限定されないユーザー位置P1の周囲を含む範囲に同じ)に調和空気が行き渡ることにより、室内の広い範囲を快適な空調環境にすることができる。
なお、冷房運転若しくは送風運転で女性に向けて集中吹出をしている場合、送風機は低減回転数で回転し、一方、分散吹出をする場合、送風機は維持回転数で回転されるから、女性の不快感を解消すると共に、室内の広い範囲の空調環境を良好にすることができる。
図10は、図1に示す空気調和機の室内機における調和空気の吹出要領を説明する平面図であって、(a)は集中吹出、(b)は分散吹出、(c)はスイング吹出である。
以上は、ユーザー位置P1に向けて連続的に送風されるものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、リモコン等の操作による「送風モード」の切り替えによって、ユーザー位置P1に向けて間欠的に送風される(以下「スイング送風」と称す)ようにしてもよい。
また、リモコン等の操作によって、あるいは、集中吹出時間を定め、該集中吹出時間が経過した後は、ユーザー位置P1に限定することなく室内の広い範囲に均一に調和空気が送られる(分散吹出)ようにしてもよい。以下、それぞれについて説明する。
図10の(a)において、ユーザー位置P1が室内90の左側(室内機100から見て左手)にある場合、右側左右風向板群10Rおよび左側左右風向板群10Lの両方(図3参照)は、ユーザー位置P1に向けて調和空気が吹き出される姿勢(集中吹出の姿勢)にされている。したがって、ユーザーU1は、室内90に略均一に調和空気が吹き出される(分散吹出の)場合に比較して、より長時間に渡ってまたはより多量の調和空気を集中的に受けることになる。
すなわち、ユーザーU1は、気温の高い(または低い)外部から室内90に入ったとき、リモコンを探してリモコンに設置された運転開始釦を押すという操作が不要であって、顔F1を室内機100に近づけるだけで、強力(ハイパワー)な運転を開始することができる。しかも、強力運転を開始した後、移動して立ち止まるか座っていれば、その位置がユーザー位置P1として自動的に特定され、ユーザー位置P1に向けて強力な冷気または暖気(吹出温度が設定されている)が送られてくるから、自分の位置に調和空気が確実に届くよう、リモコン等を操作する必要がない。よって、利便性および快適性が向上する。
すなわち、ユーザーU1に対して局所的な「強力な涼感(ハイパワークール)モード」あるいは「強力な温感(ハイパワーホット)モード」が実現される。
このため、本発明における「ユーザー位置P1に向かって調和空気が送られる」や「集中吹出」とは、前記広がった空気流れを平均化したときの中央が「特定の位置に向かっていること」を意味し、ユーザー位置P1の周囲にも調和空気が到達していることを意味している。
図10の(b)または(c)において、左側左右風向板群10Lは常時、ユーザー位置P1に向けて調和空気の吹き出す姿勢に固定され、右側左右風向板群10Rはユーザー位置P1およびユーザー位置P2を含む所定の範囲(図中、αにて示す)を往復しながら調和空気を吹き出すように回動(スイング)してもよい。
そうすると、認識されたユーザーU1に向けては、より多量の調和空気が集中的に吹き出されるから、ユーザーU1の快適性が高まると共に、ユーザー位置P1を除く範囲には、より少量の調和空気が間歇的に吹き出されることになる。
このため、直接的な風流れに晒されたくない第2ユーザーU2が、ユーザー位置P1とは相違する位置であるユーザー位置P2に居る場合、ユーザー位置P2にはより少量の調和空気が間歇的に吹き出されるから、第2ユーザーU2の快適性も維持されることになる。
そうすると、認識されたユーザーU1に向けては、より多量の調和空気が集中的に吹き出されるから、ユーザーU1の快適性が高まると共に、ユーザー位置P1を除く範囲には、より少量の調和空気が間歇的に吹き出されることになる。
このため、ユーザーU1とは体温(または体感温度)が相違する第2ユーザーU2が、ユーザー位置P1とは相違する位置であるユーザー位置P2に居る場合、ユーザー位置P2にはより少量の調和空気が間歇的に吹き出されるから、第2ユーザーU2の快適性も維持されることになる。
さらに、図10の(c)に示すように、右側左右風向板群10Rおよび左側左右風向板群10Lの両方が、ユーザー位置P1およびユーザー位置P2を含む所定の範囲(図中、αにて示す)を回動(スイング)して調和空気を吹き出すようにし、ユーザー位置P1に向かった範囲(図中、βにて示す)においては、これを除く範囲よりもスイング速度を遅く(吹き出し時間を長く)するようにしてもよい。そうすると、図10の(b)に示す場合と同様に、認識されたユーザーU1と共に、ユーザーU1とは体温(または体感温度)が相違する第2ユーザーU2の快適性も維持されることになる。
なお、集中吹出の要領の選定(図10の(a)、(b)または(c)に示す何れかの選定)は、予め決定しておいてもよいし、あるいは、ユーザーU1が、集中吹出が開始される時または開始された後に、リモコン等によって決定したり、変更したりしてもよい。
このとき、送風を受けない時間帯では、ユーザーU1の体温が見掛け上復熱する。すなわち、寒い(暑い)ところから入室したユーザーU1の平均的な体温は、徐々に上昇(下降)するものであるが、送風を受けている時間帯に比較して送風を受けていない時間帯の方が低温になる。
図11〜図15は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、図11は正面図、図12は制御装置の構成を示すブロック図、図13〜15は制御フローを示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機(以下「室内機」と称す)200は、ユーザーU1の体温を検出して、検出した体温に応じて、調和空気の吹出温度を変更するものである。すなわち、実施の形態1において説明した室内機100は、冷房運転時または送風運転時に女性に向けて低減回転数で送風機を回転するのに対し、実施の形態2において説明する室内機200は、冷房運転時または送風運転時に女性に向けて低減回転数で送風機を回転すると共に、検出した体温に応じて吹出温度を変更する。
さらに、本体1の内部に、少なくとも撮像装置50が撮像した人間の位置情報および検温装置60が検出した人間の体温情報に基づいて、冷凍サイクル(図示しない圧縮機または冷媒膨張弁等)、風向調整装置(上下風向板9および左右風向板10)および送風機5を制御する制御装置80が設置されている。
なお、本発明は、受信装置40、撮像装置50および検温装置60の型式や設置位置を限定するものではなく、例えば、撮像装置50を、100万以下の画素を有するCCDカメラにし、検温装置60は赤外線センサーにし、両方をまとめて、例えば、前面パネル2の中央部に設置したり、あるいは、それぞれ離れた位置に設置したりしてもよい。
また、撮像装置50の撮像する時間間隔および検温装置60の検温する時間間隔は限定するものではなく、待機中および冷凍サイクルの運転中、以下に説明する制御を可能にする連続的とみなせる時間間隔(例えば、1秒毎)である。
図12において、制御装置80はユーザー(在室者)に応じて、送風機5の回転数や吹出方向(上下風向板9および左右風向板10等の姿勢)と共に、調和空気の吹出温度を制御するものである。
すなわち、制御装置80は、以下に詳細に説明するように、撮像装置50が顔F1を認識したユーザーU1について属性を判断すると共に、認識されたユーザーU1(属性が判断されたユーザーU1)の体温T1を検温装置60によって検出し、体温T1に基づいて吹出温度を設定(変更または維持)して、ユーザーU1に向けて(ユーザーU1が移動した場合には移動先を特定して移動先に向けて)設定された吹出温度の調和空気を吹き出すように、上下風向板9および左右風向板10の姿勢を制御するものである。
さらに、ユーザーU1に向けて調和空気を集中吹出をして、検出した体温T1によって、ユーザーU1は十分に涼んだかまたは暖まったかを判断し、吹出温度を設定する(戻すまたは維持する)と共に、集中吹出を停止して、分散吹出に切り替える。なお、分散吹出においては、女性は冷風を受けても、不快な寒さを感じないため、低減していた回転数を元の回転数に戻し、室内の広い範囲の冷房を進めている。
検温装置60が検知した室内の温度(正確には温度分布)に基づいて、ユーザー位置P1におけるユーザーU1の体温を特定する。そして、特定した体温が、予め定められた「標準温度範囲」から外れる場合には、以下に説明するように、調和空気の吹出温度を変更する。なお、撮像装置50が顔を認識しない場合、以下に説明する制御は実施されない。
特定した体温が、予め定められた「標準温度範囲」の上限温度(例えば、38℃)に比較して高い場合、ユーザーU1は暑い室外から入室した、あるいは風呂上がりであって、急速に涼しくなろうとしていると判断し、調和空気の吹出温度を、現在運転中である場合には、その時点での調和空気の吹出温度よりも低い温度(例えば、5℃だけ低い温度)に変更し、また、現在停止中である場合には、前回の運転を停止した時に設定されていた調和空気の吹出温度よりも低い温度(例えば、5℃だけ低い温度)に変更する(強力吹出、ハイパワー吹出)。
図13において、ユーザーU1が少なくとも認識時間の間、撮像装置50に対面して静止しているとき(S101、いる)、制御装置70はユーザーU1を制御対象者として、「ユーザーU1が自分に向けて送風されることを望んでいる人間である」と認識する(ユーザー認識ステップ、S102)。また、認識されたユーザーU1の属性(男性または女性)を判断する(属性判断ステップ、S103)。
一方、現在運転中または前回運転終了時の運転モードが冷房で、ユーザーU1が女性であると判断された場合は(S104、YES)、送風機5の回転数を、現在運転中または前回運転終了時における送風機5の回転数を低減して低減回転数(αN)に設定する(回転数低減ステップ、S106)。なお、維持回転数(N)に対する低減回転数(αN)の大きさは限定するものではないが、例えば、80%(α=0.80)または70%(α=0.70)であってもよい。
また、体温(T1)が標準温度範囲の下限温度(TL)よりも低い温度(T1<TL)である場合、調和空気の吹出温度を現在運転中の調和空気の吹出温度または前回運転停止時に設定されていた調和空気の吹出温度よりも高い吹出温度(T+ΔT)に設定する(温度設定ステップ、S109の2)。
また、体温(T1)が前記標準温度範囲内の温度(TL≦T1≦TU)である場合、調和空気の吹出温度を現在運転中の調和空気の吹出温度または前回運転停止時に設定されていた調和空気の吹出温度に同じ吹出温度(T)に設定する(温度設定ステップ、S109の3)。
そこで、冷凍サイクルが運転中の場合(S110、運転中)、または冷凍サイクルを起動した場合、送風機5を設定された回転数(維持回転数または低減回転数)で回転して、ユーザーU1またはユーザーU1が立っている当初位置P0に向けて調和空気を集中的に吹き出す(集中吹出ステップ、S112)。
そして、ユーザーU1が当初位置P0から他の位置に移動したか否かを判断する(S113)。
そこで、体温(T2)が標準温度範囲内の温度(TL≦T2≦TU)になった場合(S114、範囲内)、調和空気の吹出温度を設定される前の吹出温度(T)に戻す(温度戻しステップ、S115)。
なお、体温(T2)が標準温度範囲内になるまで(S114、範囲外)、終了釦が押されない限り、前記集中吹出ステップ(S112)に戻って、それ以降のステップを継続する。
一方、送風機5が低減回転数で回転していない場合は(S116、いない)、分散吹出ステップ(S118)を実行する。
そして、この間、終了釦が押されない限り(S119、NO)、ユーザーU1が移動したかを判断して(S113)、以降のステップを継続する。
そこで、送風機5を維持回転数で回転して、設定される前の吹出温度の調和空気をユーザー位置P1の周囲を含む範囲に向けて分散的に吹き出す(追跡分散吹出ステップ、S126)。
そして、図示しないリモコンに設けられた終了釦が押されたところで(S127、YES)、冷凍サイクルの運転を停止する。一方、終了釦が押されない場合(S127、NO)には、追跡ステップ(S120)に戻って、それ以降のステップを繰り返す。
なお、ステップS1以降のいずれのステップであっても、終了釦が押された場合(図示しない)には、冷凍サイクルの運転を停止する。
室内機200は、以上の制御フローを実行するから、室内機100(実施の形態1)が奏する作用効果に追加して、以下の作用効果を奏する。
寒い(暑い)所から入室した体温が低い(高い)ユーザーU1は、撮像装置50に対面し、少なくとも認識時間の間静止することによって、強力な調和空気(吹出温度が変更されている)によって急速に暖まる(涼む)ことができる。また、ユーザーU1が十分に暖まる(涼む)前に、当初位置P0から他に移動した場合には、ユーザーU1は追跡され、特定された位置において、強力な調和空気(吹出温度が変更されている)によって急速に暖まる(涼む)ことができる。
一方、現在運転中の調和空気(吹出温度が変更されない)が、自分に向かって吹き出されるようにしたいユーザーU1は、撮像装置50に対面して、少なくとも認識時間の間静止することによって、現在運転中の調和空気を受けることができる。
なお、以上は、調和空気の吹出温度を設定(変更、維持)するように記載しているが、吹出温度に代えて、冷凍サイクルにおける冷媒温度(例えば、圧縮機の出口温度や、冷媒膨張弁の出口温度等)を設定するようにしてもよい。
図16〜図19は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、図16は室内機を示す正面図、図17は室内機に送信する携帯用情報端末を示す正面図、図18および図19は空調環境制御における各工程を説明するフローチャートである。なお、実施の形態1、2と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、各図は模式的に描いたものであって、本発明は図示された形態に限定するものではない。
図16において、実施の形態3に係る空気調和機の室内機(以下、「室内機」と称す)300は、本体1の前面で吹出口7の脇に、携帯用情報端末370(図17参照)からの信号を受信する受信装置40と、室内の様子を撮像する撮像装置50とが設置されている。
なお、本発明は、受信装置40や撮像装置50の型式や設置位置を限定するものではなく、例えば、前面パネル2の中央部等に設置してもよい。さらに、室内機の運転状況を報知するための音声または映像による報知装置(図示しない)が設けられている。
図17において、空気調和機の室内機300に送信する携帯用情報端末370は、ユーザーの顔を撮像する顔撮像手段71と、ユーザーが空調環境を設定する空調環境設定手段72と、顔撮像手段71によって撮像されたユーザーの顔に関するユーザー顔情報および空調環境設定手段72によって設定された空調環境に関するユーザー空調情報を室内機300の受信装置40に送信する送信手段73とを具備している。
すなわち、通常、ユーザーは複数であるから、ユーザー(以下「第1ユーザー」と称す)U1については、第1ユーザーU1の顔F1に関する第1ユーザー顔情報IF1および第1ユーザーU1用に設定された第1ユーザー空調環境C1に関する第1ユーザー空調情報IC1と、第2ユーザーU2については、ユーザー(以下「第2ユーザー」と称す)U2の顔F2に関する第2ユーザー顔情報IF2および第2ユーザーU2用に設定された第2ユーザー空調環境C2に関する第2ユーザー空調情報IC2等が、受信装置40に送信される。
すなわち、第1ユーザーU1の名称の下方に、「冷房」運転におけるものであることが表示されている。すなわち、「冷房」文字部にタッチすることによって「冷房」の文字が枠付きの太字に変わっている。
そして、第1ユーザーU1の好みの空調環境が、冷房運転の標準的な空調環境に対する変更方向(偏位方向)として、設定温度については「低温側、変更なし、高温側」への変更をそれぞれ示す、「左方向に頂点を持つ三角、四角、右方向に頂点を持つ三角」と、変更後の温度とが表示されている。例えば、低温側への変更を示す「左方向に頂点を持つ三角」を2回タッチしたことによって、標準的な設定温度「28℃」に対して、第1ユーザーU1用には、「26℃」が設定されている。
また、風速については、「中風」であることが表示されている。すなわち、「中風」の文字部にタッチすることによって、「中風」の文字が枠付きの太字に変わっている。
また、送風モードについては、「集中吹出」であることが表示されている。すなわち、「集中吹出」文字部にタッチすることによって、「集中吹出」の文字が枠付きの太字に変わっている)。
さらに、表示部74には、「登録」の文字が表示され、ユーザーが「登録」の文字にタッチすると、表示されている第1ユーザー空調情報IC1が室内機300に送信され、記憶される。なお、以上は、表示部74(空調環境設定手段72)の一例であって、本発明はかかる表示に限定するものではない。
室内機300には制御装置360が設置されている。制御装置360は携帯用情報端末370から送信されたユーザー顔情報およびユーザー空調情報を記憶し、ユーザー顔情報およびユーザー空調情報と撮像装置50が撮像した映像とに基づいて、送風機5、冷凍サイクルおよび風向調整装置(上下風向板9および左右風向板10)の少なくとも1つを制御する(以下、「空調環境制御」と称す)ものである。
制御装置360(正確には、制御装置360に接続された記憶装置(図示しない))には、携帯用情報端末370から送信された、第1ユーザーU1についての第1ユーザー顔情報IF1および第1ユーザー空調情報IC1と、第2ユーザーU2についての第2ユーザー顔情報IF2および第2ユーザー空調情報IC2等が、予め記憶され、ユーザー顔情報データベースおよびユーザー空調情報データベースが形成されている。
図18および図19に示すフローチャートに基づいて、制御装置360が実行する空調環境制御について説明する。
図18において、顔が撮像装置50に対面して、認識時間(例えば、3秒間)以上に渡って静止している人間(以下「第1ユーザーU1」と称す)がいるか否かを判断する(S301)。そして、第1ユーザーU1がいるとき(S301、いる)、制御装置360は顔F1を認識する(S302)。なお、説明の便宜上、第1ユーザーU1の顔F1が撮像装置50に対面して静止しているとしているが、その他の人間(以下「第2ユーザーU2」と称す)が撮像装置50に対面して静止しているときは、制御装置360は顔F2を認識する。
そして、第1ユーザーU1を制御対象者として、顔F1が認識されたところで、冷凍サイクルが停止しているときは(S303、停止中)、冷凍サイクルを起動する(S304)。
そこで、例えば、顔F1が第1ユーザー顔情報IF1に示された顔である場合(S305、一致する顔がある)、第1ユーザーU1に向けて第1ユーザー空調環境C1となる調和空気(以下「調和空気」と称す)を吹き出すよう、送風機5、左右風向板10および上下風向板9等を制御する(S306)。
一方、認識した顔F1が、予めユーザー顔情報データベースに記憶しているユーザー顔情報に示された顔と一致しない場合(S305、一致する顔がない)、標準的な空調環境になる調和空気を、当該ユーザーに向けて吹き出すよう、送風機5、左右風向板10および上下風向板9等を制御する(S307)。
したがって、ユーザー位置P1に向けた集中吹出が開始されるため、第1ユーザーU1は、予め記憶されている自分好みの第1ユーザー空調環境C1になる調和空気を、集中的に受けることができる。
なお、認識した顔F1が、予めユーザー顔情報データベースに記憶しているユーザー顔情報に示された顔に一致しない場合でも、顔F1を有するユーザーが追跡され、該ユーザーに向けて、標準的な空調環境になる調和空気が集中吹出される。
一方、集中吹出を実行中に、集中吹出を停止する釦が押されなかった場合(S311、押されない)、制御装置は、顔F1が認識された第1ユーザーU1の位置の追跡を継続している(S313)。
そして、第1ユーザーU1が室内90に居ると判定したとき(S314、居る)、第1ユーザーU1の移動先であるユーザー位置P3を特定する(S315)。そこで、室内90にその他のユーザーが居ないと判断した場合には(S316、誰も居ない)、ユーザー位置P1に向けた集中吹出に代えて、移動先のユーザー位置P3に向けた集中吹出を開始する(S317)。
一方、その他のユーザー(例えば、第2ユーザーU2)が室内に居るときは(S316、居る)、集中吹出を停止して、分散吹出を開始する(S320)。すなわち、第2ユーザーU2の快適性を阻害しないようにしている。
一方、第1ユーザーU1が室内90外に出掛けた後、集中吹出時間が経過すると(S319、経過した)、室内90にその他のユーザー(例えば、第2ユーザーU2)が居る限り(S312、居る)、集中吹出を停止して、分散吹出を開始する(S320)。
すなわち、第1ユーザーU1が一旦室内90から出た後は、再度、戻って来るか、戻って来ないかに関わらず、室内90に誰か(例えば、第2ユーザーU2)が居る限り、集中吹出を開始してから集中吹出時間が経過したところで、分散吹出に切り替わる。
さらに、分散吹出中に、誰か(例えば、第2ユーザーU2)が図示しないリモコンあるいは携帯用情報端末370を操作して分散吹出を停止する釦(冷房または暖房等の停止釦)を押した場合には(S321)、冷凍サイクルの運転を停止する(S322)。
図20は、本発明の実施の形態4に係る空気調和機の室内機の空調環境制御における各工程を説明するフローチャートである。なお、実施の形態3と同じ部位または同じステップには同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
実施の形態4に係る空気調和機の室内機(以下、「室内機」と称す)400は、風呂上がりや暑い(又は寒い)屋外から室内に入った直後に、一時的に急速に涼しくなりたい(暖まりたい)というユーザーの要請に応えるものである。
このとき、第1ユーザーU1は、集中吹出である第1ユーザー空調環境C1が記憶されている場合であっても、集中吹出を望まないで、分散吹出を希望する場合であるため、実施の形態4の室内機400は、これに対応している。
室内機400は、当初位置P0に立っている第1ユーザーU1に向けて集中吹出を開始し(S310)、集中吹出を継続しているとき、第1ユーザーU1が、所定の時間である当初位置滞在時間(例えば、30秒間)が経過しても当初位置P0に居続けて(立ち続けて)いるか否かを判断する(S331)。
すなわち、第1ユーザーU1に向けて、涼み終わるまでの所定の時間である集中吹出時間(例えば、10分間)の間は集中吹出が継続されるから、第1ユーザーU1は当初位置P0において涼むことができる(S332)。
そして、集中吹出時間が経過した時点(S332、経過した)で、分散吹出に移行する(図19のS320参照)。
また、集中吹出時間が経過する前に、第1ユーザーU1が涼み終わって当初位置P0を離れた場合(S333、離れた)には、離れた時点で、分散吹出に移行する(図19のS320参照)。
この場合(S331、離れた)は、実施の形態3の室内機300と同様に、第1ユーザーU1の移動を追跡し、ユーザー位置P1(当初位置P0と相違する)に向けて集中吹出を継続し、再度、第1ユーザーU1が移動しているか(ユーザー位置P1から移動しているか)否かを判断する(図19のS313参照)。
かかる判断をした以降の工程は、実施の形態3の室内機300に同じである(図19に続く)。
また、顔情報が、予めユーザー顔情報データベースに記憶されていないユーザーの場合は、前記集中吹出時間が経過するまでは、標準的な空調環境になる調和空気の集中吹出によって急速に涼む(暖まる)ことが可能になる。
そして、前記集中吹出時間が経過した時点、あるいは、第1ユーザーU1(または、ユーザー顔情報データベースに記憶されていないユーザー)が当初位置P0から離れた時点(涼み終わったとみなすことができる時点に相当する)において、集中吹出を中止し、分散吹出を開始する。
図21は、本発明の実施の形態5に係る空気調和機の室内機の空調環境制御における各工程を説明するフローチャートである。なお、実施の形態3と同じ部位または同じステップには同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
実施の形態3に係る空気調和機の室内機300は、室内に、当初位置P0において顔認識されたユーザー(例えば、第1ユーザーU1)の他にユーザー(例えば、第2ユーザーU2)が居る場合、第1ユーザーU1用の空調環境である第1ユーザー空調環境C1になる空調空気が分散吹出されるものである(図19のS320参照)。
このため、例えば、第2ユーザーU2の好む空調環境が第1ユーザー空調環境C1と相違する第2ユーザー空調環境C2であるとき、第2ユーザーU2が不快感を覚える場合がある。そこで、実施の形態5に係る空気調和機の室内機(以下「室内機」と称す)500は、これに対応している。
室内機500では、室内に、当初位置P0において顔認識されたユーザー(例えば、第1ユーザーU1)の他に、当初位置P0以外の位置にユーザー(例えば、第2ユーザーU2)が居る場合(S316、居る)、当該ユーザー用のユーザー顔情報およびユーザー空調情報が記憶されているかを判断する。
すなわち、撮像装置50によって撮像された他のユーザー(例えば、第2ユーザーU2)の顔F2と、ユーザー顔情報データベースに記憶されているユーザー顔情報に示された顔とを対照して、顔F2がユーザー顔情報データベースに記憶されているユーザー顔情報に示された顔に一致するか否かを判断する(S341)。
一方、撮像装置50によって撮像された他のユーザーの顔がユーザー顔情報データベースに記憶しているユーザー顔情報に示された顔に一致しない場合、実施の形態3と同様に、第1ユーザーU1用の第1ユーザー空調環境C1になる空調空気が分散吹出される(S320)。
なお、第2ユーザーU2が、第1ユーザー空調環境C1と第2ユーザー空調環境C2との中間的な空調環境になる調和空気でなく、第2ユーザー空調環境C2になる調和空気を望む場合は、第2ユーザーU2自身が、撮像装置50に対面して、少なくとも認識時間の間だけ静止して、顔F2を認識させればよい。そうすると、第2ユーザーU2に向けて第2ユーザー空調環境C2になる調和空気が吹き出される。
Claims (12)
- 吸込口および吹出口がそれぞれ形成され、室内の壁面に設置される本体と、
前記吸込口から室内空気を吸い込んで、前記吹出口に至る風路を形成する送風機と、
前記風路に設置され、冷凍サイクルの一部を実行する熱交換器と、
前記吹出口に設置され、前記熱交換器において調和空気の吹き出し方向を調整する風向調整装置と、
前記室内を撮像する撮像装置と、
少なくとも前記送風機および前記風向調整装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記撮像装置によって撮像された人間の顔が、予め定めた時間である認識時間の間、前記撮像装置に対面して静止しているとき、当該人間を制御対象者として、当該制御対象者の属性を判断し、
現在冷房運転中若しくは現在送風運転中または前回運転停止時の運転モードが冷房運転若しくは送風運転であった場合で前記制御対象者が男性のときは、前記送風機の回転数を、予め設定された回転数または前回運転停止の際に設定されていた回転数に設定し、
現在冷房運転中若しくは現在送風運転中または前回運転停止時の運転モードが冷房運転若しくは送風運転であった場合で前記制御対象者が女性のときは、前記送風機の回転数を、予め設定された回転数または前回運転停止の際に設定されていた回転数よりも小さい回転数に設定し、
当該設定された回転数で前記送風機を回転することによって前記制御対象者に向けてまたは前記制御対象者が居る位置に向けて送風することを特徴とする空気調和機の室内機。 - 前記制御装置は、前記設定された回転数で前記送風機を回転することによって前記制御対象者または前記制御対象者が居る位置に向けての送風を開始してから、予め定めた時間である集中吹出時間が経過したところで、前記女性に対して設定されていた小さい回転数を、設定される前の回転数に戻し、当該設定される前の回転数で前記送風機を回転して、前記制御対象者または前記制御対象者が居る位置の周囲を含む範囲に分散して送風することを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
- 吸込口および吹出口がそれぞれ形成され、室内の壁面に設置される本体と、
前記吸込口から室内空気を吸い込んで、前記吹出口に至る風路を形成する送風機と、
前記風路に設置され、冷凍サイクルの一部を実行する熱交換器と、
前記吹出口に設置され、前記熱交換器において調和空気の吹き出し方向を調整する風向調整装置と、
前記室内を撮像する撮像装置と、
前記室内の温度を検出する検温装置と、
少なくとも前記送風機、前記風向調整装置および前記冷凍サイクルを制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記撮像装置によって撮像された人間の顔が、予め定めた時間である認識時間の間、前記撮像装置に対面して静止しているとき、当該人間を制御対象者として、当該制御対象者の属性を判断し、
現在冷房運転中若しくは現在送風運転中または前回運転停止時の運転モードが冷房運転若しくは送風運転であった場合で前記制御対象者が女性のときは、前記送風機の回転数を、予め設定された回転数または前回運転停止の際に設定されていた回転数よりも小さい回転数に設定し、
前記制御対象者の体温が予め定められた標準温度範囲内の温度を外れているとき、調和空気の吹出温度を現在運転中の調和空気の吹出温度または前回運転停止時に設定されていた調和空気の吹出温度とは相違する吹出温度に設定し、
前記設定された回転数で前記送風機を回転することによって、前記設定された吹出温度の調和空気を前記制御対象者に向けてまたは前記制御対象者が居る位置に向けて送風することを特徴とする空気調和機の室内機。 - 前記制御装置は、前記制御対象者の体温が前記標準温度範囲内の温度に戻ったとき、前記設定されていた吹出温度を設定される前の吹出温度に戻すことを特徴とする請求項3記載の空気調和機の室内機。
- 前記制御装置は、前記制御対象者の体温が前記標準温度範囲内の温度に戻ったとき、前記設定されていた小さい回転数を、設定される前の回転数に戻し、当該設定される前の回転数で前記送風機を回転することによって前記制御対象者または前記制御対象者が居る位置の周囲を含む範囲に分散して送風することを特徴とする請求項4記載の空気調和機の室内機。
- 吸込口および吹出口がそれぞれ形成され、室内の壁面に設置される本体と、
前記吸込口から室内空気を吸い込んで、前記吹出口に至る風路を形成する送風機と、
前記風路に設置され、冷凍サイクルの一部を実行する熱交換器と、
前記吹出口に設置され、前記熱交換器において調和空気の吹き出し方向を調整する風向調整装置と、
前記室内を撮像する撮像装置と、
携帯用情報端末によって送信されたユーザー顔情報およびユーザー空調情報と前記撮像装置が撮像した映像とに基づいて、前記送風機、前記冷凍サイクル及び前記風向調整装置のうち少なくとも1つを制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記撮像装置によって撮像された人間の顔が、予め定めた時間である認識時間の間、前記撮像装置に対面して静止しているとき、当該人間を制御対象者として、当該制御対象者の顔と前記携帯用情報端末によって送信され予め記憶しているユーザー顔情報に示された顔とを対照し、当該制御対象者の顔が前記記憶しているユーザー顔情報に示された顔のうちの特定のユーザーの顔である場合、当該制御対象者に向けて前記特定のユーザー用に設定されたユーザー空調情報に示された空調環境になる調和空気を吹き出すよう、前記送風機、前記冷凍サイクル及び前記風向調整装置のうち少なくとも1つを制御することを特徴とする空気調和機の室内機。 - 前記ユーザー顔情報および前記ユーザー空調情報が、第1ユーザーの顔に関する第1ユーザー顔情報および第1ユーザー用に設定された第1ユーザー空調情報を含み、
前記制御装置は、前記制御対象者の顔が前記第1ユーザーの顔である場合、当該人間に向けて前記第1ユーザー空調情報に示された空調環境になる調和空気を、所定の時間である集中吹出時間の間だけ吹き出すよう、前記送風機、前記冷凍サイクルおよび前記風向調整装置のうち少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項6記載の空気調和機の室内機。 - 前記ユーザー顔情報および前記ユーザー空調情報が、第2ユーザーの顔に関する第2ユーザー顔情報および第2ユーザー用に設定された第1ユーザー空調情報を含み、
前記制御装置は、前記集中吹出時間が経過した後に、前記室内に、前記制御対象者以外の人間がいると判断し、当該制御対象者以外の人間の顔が前記第2ユーザーの顔である場合、前記第1ユーザー空調情報に示された空調環境と前記第2ユーザー空調情報に示された空調環境との平均的な空調環境になる調和空気を前記室内に向けて吹き出すよう、前記送風機、前記冷凍サイクルおよび前記風向調整装置のうち少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項7記載の空気調和機の室内機。 - 前記制御装置は、前記送風機、前記冷凍サイクルおよび前記風向調整装置の何れかを制御している際、所定の時間である当初位置滞在時間が経過しても前記制御対象者が前記特定された位置にいる場合、前記調和空気が前記室内に略均一に送られるように前記風向調整装置を制御することを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の空気調和機の室内機。
- 前記制御装置は、前記制御対象者が移動した場合、当該人間の移動先を特定し、当該特定された位置に向けて送風するように前記風向調整装置を制御することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の空気調和機の室内機。
- 前記制御装置は、前記特定された位置に、前記特定された位置から離れた位置よりもより長時間またはより多量の前記調和空気が送られるように、前記風向調整装置を制御することを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の空気調和機の室内機。
- 前記制御装置は、前記冷凍サイクルの停止中に、前記撮像装置によって撮像された人間の顔が、前記認識時間の間、前記撮像装置に対面して静止しているとき、前記冷凍サイクルを起動することを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の空気調和機の室内機。
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