JP2015124187A - 関節炎予防または改善剤 - Google Patents

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【課題】本発明は、新規かつ安全性が高い関節炎予防または改善剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明により、14−デヒドロエルゴステロール(14−DHE)を有効成分として含有する、あるいは有効成分としての14−DHEを含有する麹菌発酵エキスを含む、関節炎予防または改善剤が提供される。【選択図】図3

Description

本発明は、有効成分として14−デヒドロエルゴステロール(14−DHE)またはそれを含有する麹菌発酵エキスを含む、関節炎予防または改善剤に関する。
関節リウマチや変形性関節症などによる関節炎に悩まされる患者数は非常に多く、関節炎の予防法や改善法の開発が今なお求められている。例えば、リウマチ性関節炎の治療には、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド剤、抗リウマチ剤および免疫抑制剤などが一般的に用いられるが、それらの薬剤には胃腸障害、肝機能障害および易感染性といった副作用が伴うことが知られている。そのような重篤な副作用を伴わず安全性が高い関節炎予防または改善剤の提供が望まれている。
一方、本件出願人は、以前、穀類植物由来材料の麹菌発酵物に14−デヒドロエルゴステロール(14−DHE)が含まれること、ならびにそれが免疫疾患の予防または治療に有用であること、およびヘリコバクター菌、病原性大腸菌および歯周病菌などの細菌感染に起因する炎症に対して抗炎症作用を有することを見出している(特許文献1および2)。しかし、14−DHEがin vitroで抗炎症作用を有すること、マウス多発性硬化症モデルにおいて14−DHEを腹腔内投与すると発症率を低下させたり発症を遅延させたりする効果を有すること、およびマウスにおけるヘリコバクター菌感染性胃炎モデルにおいて麹菌発酵エキスを胃内投与することによりIFN−γおよびTNF−αの産生を抑制することは確認されたが、14−DHEが関節炎の予防または改善に有効であるかは具体的には確認されていなかった。
国際公開2010−150867号公報 特開2013−227252号公報
本発明は、新規かつ安全性が高い関節炎予防または改善剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、14−DHEを含有する麹菌発酵エキスが関節炎の発症および増悪の抑制に非常に有効であることを見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)有効成分として14−デヒドロエルゴステロールまたはそれを含有する麹菌発酵エキスを含む、関節炎予防または改善剤。
(2)(1)に記載の関節炎予防または改善剤を含有する食品または動物飼料、あるいはそれらに用いる添加物。
本発明の関節炎予防または改善剤によれば、従来の関節炎治療薬よりも安全性が高い関節炎の予防法または改善法を提供することができる。
実施例で調製した麹エキスのHPLCクロマトグラムである。 マウスを用いた14−DHE投与試験のスケジュールを説明する図である。 関節炎発症率の推移を示すグラフである。 関節炎スコアの推移を示すグラフである。 DC細胞表面タンパク質分子の発現量を示すグラフである。 CD4およびCD8陽性のT細胞における細胞内産生サイトカインの量を示すグラフである。 血中の総IgG量を測定した結果を示すグラフである。 二次免疫後一週間後のTypeIIコラーゲン特異的IgG、IgG1およびIgG2a量を測定した結果を示すグラフである。 マウス後肢の関節組織の切片の観察像である。
本発明における麹菌発酵エキス(以下、麹エキスとも称する)とは、麹菌が原料を発酵させることにより産出した発酵物の抽出物であり、14−デヒドロエルゴステロール(14−DHE)を含有することを特徴とする。14−DHEは、下記の構造式で表される化合物であり、下記に記載したような物理化学的特性を有する。14−DHEは公知の化合物であるが、その生理活性については、上記の特許文献1において免疫調節作用が報告されるまでは知られていなかった。特に関節炎を予防しまたは改善する作用を有することはこれまで知られていない。
(構造式)
Figure 2015124187
(物理化学的特性)
(1)分子量:394.63
(2)分子式:C28H42O(高分解能APCI-Orbitrap法による観測値:m/z 395.33057(M+H)+)、理論値395.33139
(3)溶剤に対する溶解性:水に不溶、エタノールに難溶、クロロホルムに易溶
(4)紫外吸収スペクトル(MeCN):391nm
(5)1H-NMR(CD3OD): 6.15 (1H, m), 5.75 (1H, m), 5.65 (1H, dd, J = 2.2, 5.9
Hz), 5.27 (1H, dd, J = 7.0, 15.1 Hz), 5.21 (1H, dd, J = 7.9, 15.1 Hz), 3.64 (1H,m), 2.51 (1H, ddd, J = 2.2, 5.1, 10.6 Hz), 2.30 (1H, m), 2.20 (1H, m), 2.20 (1H, dd, J = 3.2, 7.8 Hz), 2.06 (1H, m), 2.05 (1H, m), 1.94 (1H, m), 1.90 (1H, m),1.87 (2H, m), 1.87 (1H, ddd, J = 3.2, 7.0, 7.3 Hz), 1.71 (1H, m), 1.59 (1H, m),1.57 (1H, m), 1.45 (1H, m), 1.45 (1H, ddd, J = 3.2, 6.3, 6.5 Hz), 1.30 (1H, m),1.05 (3H, d, J = 6.8 Hz ), 0.93 (3H, d, J = 7.3 Hz), 0.92 (3H, s,), 0.89 (3H, s), 0.85 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.83 (3H, d, J = 6.3 Hz).
(6)13C-NMR(CD3OD):149.2 (s), 143.0 (s), 135.4 (s), 132.2 (s), 132.0 (s),120.5 (s), 120.4 (s), 117.4 (s), 70.4 (s), 58.1 (s), 46.3 (s), 45.4 (s), 42.8 (s), 41.0 (s), 39.0 (s), 38.9 (s), 37.8 (s), 37.0 (s), 36.0 (s), 33.1 (s), 32.0 (s), 21.1 (s), 19.9 (s), 19.7 (s), 19.6 (s), 17.6 (s), 16.8 (s), 14.5 (s).
本発明の麹菌発酵エキスの調製に用いる麹菌は、14−DHEを産生することができるものであれば特に限定されないが、例えば、黒麹菌(アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・ニガー)、黄麹菌(アスペルギルス・オリゼー)、紅麹菌(モナスカス・アンカ)、醤油用麹菌(アスペルギルス・ソーヤ)、白麹菌(アスペルギルス・カワチ)、テンペ菌(リゾプス・オリゴスポラス)などが挙げられる。特に、アスペルギルス(Aspergillus)属の糸状菌である麹菌は14−DHE高産生であるため好ましい。本発明で用いる麹菌としては、とりわけ狭義の黒麹菌であるアスペルギルス・アワモリおよびアスペルギルス・ニガー、ならびに狭義の白麹菌であるアスペルギルス・カワチ、さらにこれらの菌種から誘導された亜種が好ましい。これらの麹菌の種麹は、秋田今野社、樋口もやし社、日本醸造工業社などから入手することができる。
上記の麹菌を用いて発酵させるための原料としては、穀類植物に由来する材料が14−DHE高生産のために好ましい。穀類植物としては、植物分類表においてイネ科に分類されるすべての植物、具体的にはイネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、アワ、ヒエ、トウモロコシなどが挙げられる。なかでも、イネ、オオムギ、コムギおよびライムギが好ましい。発酵原料とする材料としては、上記のような穀類植物の種子が特に好ましく、さらにそれらを発芽させた麦芽(特に大麦麦芽)や発芽玄米なども好ましい。あるいは、それらの種子の外皮、例えば、穀類種子全粒粉、穀類植物のフスマ、米糠なども発酵原料として好ましい。
麹菌を用いた発酵は、原料に麹菌を接種して培養する当業者に公知の方法を用いて行うことができる。そのような方法としては、例えば、従来の蓋麹法、箱麹法、床麹法、機械麹法などを挙げることができる。また、固体原料に麹菌を接種して培養するのみならず、原料成分を水などの溶媒に溶解させた液体原料(液体培地)に麹菌を接種して培養して発酵を行ってもよい。
麹菌発酵エキスは、発酵により得られた発酵物を適切な溶媒を用い、一般的な手法により抽出することにより得ることができる。溶媒抽出に用いる有機溶媒としては、エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。中でもエタノール、メタノール、酢酸エチル、およびヘキサンが好ましい。これらの溶媒は2種類以上を混合して用いてもよく、また2種類以上の有機溶媒を用いて2段階以上の溶媒抽出工程を行なってもよい。あるいは、そのような有機溶媒に代えて、またはそれらと組み合わせて、食用油脂を抽出溶媒として用いることができる。食用油脂は、好ましくは植物性油脂であり、例えば大豆油、ナタネ油、オリーブ油、パーム油、ゴマ油、コーン油、サフラワー油、綿実油、ピーナッツオイル、グレープシードオイル、えごま油、つばき油、亜麻仁油などが挙げられる。
麹菌発酵エキスには、有効成分としての14−DHEに加えて、その他の成分も含まれていてもよい。麹菌発酵エキスに含まれ得るその他の成分としては、アミノ酸、ジペプチドやトリペプチドなどのオリゴペプチド、セラミド、エルゴステロール、γ−オリザノールが挙げられる。そのような成分が14−DHEと相乗的に作用し、関節炎の予防または改善作用に寄与している可能性も考えられる。
本発明の関節炎予防または改善剤は、種々の関節炎の発症および既に発症している関節炎の増悪を抑制する作用を有する。本明細書でいう関節炎には、クラミジア関節炎、慢性吸収性関節炎、腸疾患性関節炎、淋菌性関節炎、痛風関節炎、ジャクー関節炎、若年性関節炎、ライム関節炎、アルカプトン尿性関節炎、化膿性関節炎、変形性関節症による関節炎、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、過度の運動負荷による関節炎、リウマチ性関節炎などが含まれる。本発明の関節炎予防または改善剤は、特にリウマチ性関節炎に有効である。
本発明の関節炎予防または改善剤は、その剤形は特に限定されないが、経口投与用の剤型とすることが利便性向上のために好ましい。本発明の関節炎予防または改善剤は、経口投与によってその関節炎予防または改善作用を奏することができる。経口投与剤型は、錠剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤、溶液剤、懸濁化剤、乳濁化剤、ゲル化剤などの経口投与に適するいずれの剤型も選択可能である。製剤化にあたっては、有効成分である麹菌発酵エキスまたは14−DHEに加えて、担体、賦形剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、乳化剤、増量剤、着色剤、香味剤、甘味料、安定化剤、保存料などの公知の成分を用いてもよい。
本発明の関節炎予防または改善剤は、食品または動物飼料に加えてそれらに関節炎予防または改善機能を付与するための添加物として用いることができる。従って、本発明は別の側面において、上述の関節炎予防または改善剤を含有する食品または動物飼料用添加物、ならびにそれを含有する食品または動物飼料に関する。
本発明において言及する食品としては、例えばパン類、菓子類、クッキー、ビスケット、チューインガム、シリアルバーなどの穀類加工品、牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ等の乳製品類、炭酸飲料、清涼飲料、果汁入り飲料(オレンジジュース、リンゴジュース、グレープフルーツジュースなどの果汁入り飲料)、スポーツドリンク、茶、紅茶、コーヒーなどの飲料、ソース、ドレッシング、調味料、惣菜、加工食品などが挙げられる。一般的な食品に本発明の添加物を加えることにより、それらを摂取したヒトの健康に資する健康食品、機能性食品または特定保健用食品とすることができる。
本発明において言及する動物飼料としては、ウシ、ブタおよびヒツジなどの家畜動物用の飼料、イヌやネコなどの愛玩動物用の飼料、ならびにマウスやラットなどの実験動物用の飼料が挙げられる。
また本発明の関節炎予防または改善剤は、サプリメント、すなわち栄養補助食品として提供することができる。従って、本発明は別の側面において、上述の関節炎予防または改善剤を含有するサプリメントに関する。
本発明はまた、別の側面において、14−デヒドロエルゴステロールを有効成分として含有する、関節炎予防または治療用医薬組成物に関する。
本発明の関節炎予防または改善剤およびそれを含むサプリメント、食品または動物飼料、ならびに関節炎予防または治療用医薬組成物は、その作用を十分奏するためには、含有される14−DHEの重量に換算して、1日あたり0.01mg/体重kg以上、特に1mg/体重kg以上の量でヒトまたは動物に摂取させる、あるいは投与することが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)麹エキスの調製
白麹(Aspergillus kawachii NBRC4308)をポテトデキストロース寒天培地(Difco、BD社)に植菌し、25℃で7日間静置培養した。0.01%のTween 20を含む麦芽エキス培地(Difco Malt Extract Broth、BD社)に胞子を形成した菌体を懸濁し、フィルター濾過を行なったものを胞子溶液とした。オートクレーブ滅菌後の麦芽エキス培地50mLを容量200mLのバッフル付三角フラスコに入れ、そこに1.0×10胞子/mLの濃度になるように胞子溶液を添加し、30℃、120rpmで20時間振盪培養を行ったものを前培養液とした。
次に5Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ社)に麦芽エキス培地3.5Lを張り、オートクレーブ滅菌処理した後、前培養液の全量50mLを添加し、30℃、120rpmの条件で96時間培養を行なった。その後、培養した菌体を回収し、エタノールにて一晩浸漬後、ボルテックスで1分間攪拌を行い、遠心分離して得た上清をドライアップしたものを麹エキスとした。
(2)麹エキス中の14−DHEの確認
上記(1)で得られた麹エキスをエタノールで10mg/mLに希釈し、次いでエタノール/アセトニトリルで1mg/mLに希釈し、さらに0.22μm径のPTFE膜で濾過したものをHPLCサンプルとした。これをDevelosil C30-UG-3(10×250mm、野村化学社)を用いた高速液体クロマトグラフィー(アセトニトリル/イソプロパノール=99/1)に供して分析した。麹エキス中の14−DHEピークを確認し、麹エキス1mg中に14−DHEが25μg含まれることを確認した(図1)。
(3)実験動物
17匹のDBA/1Jマウス(雄、7週齢、チャールスリバー社より購入)に対し、II型コラーゲン(コスモバイオ社)150μgをCFA400μgと混合してエマルジョン化したものをスコア検定開始21日前(第−21日目、一次免疫)およびスコア検定開始日(第0日目、二次免疫)に皮内投与して関節炎を誘導した。
(4)実験条件
マウスを対照群8匹と麹エキス混餌食群9匹に分け、麹エキス混餌食群にはスコア検定開始21日前である一次免疫開始日(第−21日目)から第18日目までの毎日、麹エキスを10mg(14−DHE含有量250μg)/匹/日とした飼料により混餌投与した(図2)。
(5)関節炎スコア
各マウスの4本の足のそれぞれを下記の基準に基づいて観察し、4本の足のスコアの合計を算出した。スコアが1以上となったときに関節炎を発症したと判断した。
スコア0:正常
スコア1:四肢の指など小関節が1本のみ膨張発赤
スコア2:小関節2つ以上、あるいは手首・足首など大きな関節が膨張発赤
スコア3:手や足全体が発赤膨張
スコア4:手や足の膨張が最大限に達している
(6)解剖と炎症状態の解析
マウスを二次免疫後第18日目に安楽殺し、採血を行い、後肢の関節と鼠径リンパ節を摘出した。後肢の関節については、10%中性ホルマリン緩衝液を用いて固定し、脱灰作業を行なった後、パラフィン切片を作製し、H&E染色を行った。鼠径リンパ節については、コラゲナーゼIV(SIGMA社)およびDNaseI(Roche)で反応後、70μm滅菌フィルター(BD社)で濾過し、リンパ球を調製した。調製したリンパ球をPMA(ホルボール12−ミリステート13−アセテート)およびイオノマイシンを含有するLeukocyte activation cocktail(BD社)で4時間、37℃にて処理し、BD Cytofix/Cyoperm kit(BD社)を用いてCD4およびCD8陽性のT細胞の細胞内産生サイトカイン(TNF−α、IL−17、IFN−γ)を検出した。また、CD11cおよびCD11b陽性細胞をミエロイド樹状細胞とし、その細胞表面タンパク質分子(MHC−IIおよびCD86)の発現量をフローサイトメーターで測定した。さらに、二次免疫開始日から第7日目と解剖時(第18日目)に採血を行い、血中のIgG量を測定した。ELISAキットはMouse IgG ELISA Quantitation Set、Mouse IgG1 ELISA Quantitation Set、およびMouse IgG2a ELISA Quantitation Set(いずれもBethyl Laboratories社)を用いた。
(7)実験結果
図3は関節炎発症率の推移を示すグラフであり、図4は関節炎スコアの推移を示すグラフである。対照群では二次免疫後6日目で発症が始まり、それから1週間でほぼ完全に発症した。一方、麹エキス投与群では二次免疫後5日目で発症が始まったが、それから1週間経過しても発症率は80%に満たなかった。また、対照群では臨床スコアが最高で8.9まで上昇したが、麹エキス投与群ではスコア7.4までしか病状が進行しなかった。
図5は、細胞表面タンパク質分子の発現量を示すグラフである。CD11bおよびCD11c陽性のミエロイド樹状細胞について、麹エキスの摂取により細胞表面タンパク質分子であるMHC−IIの発現が減少傾向にあった。また、CD86についても減少がみられた。
図6は、CD4およびCD8陽性のT細胞における細胞内産生サイトカインの量を示すグラフである。麹エキスを摂取することにより、鼠径リンパ節に局在するCD4陽性ヘルパーT細胞およびCD8陽性キラーT細胞が産生するTNF−α、IL−17、IFN−γを抑制する傾向にあった。
図7は、血中の総IgG量を測定した結果を示すグラフである。麹エキス投与群では、二次免疫後7日目において総IgG量が有意に低下していた。図8は、二次免疫後一週間後のTypeIIコラーゲン特異的IgG、IgG1およびIgG2a量を測定した結果を示すグラフである。麹エキス投与群では、IgG1の量が有意に減少し、総IgGおよびIgG2aについても減少傾向にあった。
図9は、後肢の関節組織の切片の観察像である。対照サンプルでは膝蓋骨の局所においてパンヌス形成(図中*印および矢印で示した箇所)や炎症性細胞の浸潤がみられたが、麹エキス投与群のサンプルではそれらの抑制が認められた。
以上の結果から、麹エキスは生体内、特に関節における慢性炎症および抗原特異的な炎症反応を緩和し、関節炎を予防または改善する作用を有していることが判明した。

Claims (2)

  1. 有効成分として14−デヒドロエルゴステロールまたはそれを含有する麹菌発酵エキスを含む、関節炎予防または改善剤。
  2. 請求項1に記載の関節炎予防または改善剤を含有する食品または動物飼料、あるいはそれらに用いる添加物。
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