JP2013227252A - 抗炎症剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘリコバクター菌等の細菌による感染に対する予防又は治療に有効な物質を提供する。
【解決手段】穀類植物由来材料を麹菌を用いて発酵させることにより得られる穀類植物由来材料発酵物からの14-デヒドロエルゴステロール含有処理物、或いは単離された14-デヒドロエルゴステロール、を有効成分として含む、細菌感染に対する抗炎症剤、並びに、該抗炎症剤を含む医薬組成物、食品添加物、及び機能性飲食品。
【選択図】図2

Description

本発明は、ヘリコバクター・ピロリ菌等の細菌による感染に対する抗炎症剤に関する。具体的には、本発明は、14-デヒドロエルゴステロールを有効成分として含む抗炎症剤に関する。
ヘリコバクター・ピロリ菌感染は世界の50%以上のヒトが感染していると言われている。この細菌はオーストラリアの医師によって1983年に胃粘膜から発見され、慢性胃炎や消化器潰瘍の原因であることが見出され、世界保健機構(WHO)によっても該疾患の原因因子であるとともに胃がんの発症に導く発がん因子であることが認定されている(非特許文献1及び2)。
このように、ピロリ菌感染を放置すると胃がん発生のリスクがある。日本人の保菌するヘリコバクター属細菌は変異タイプで発がん性が極めて高い。除菌方法として、日本ヘリコバクター学会がヘリコバクター・ピロリ菌の診断と治療のガイドラインを作成し、現在、このガイドラインに従って診断及び治療が行われている(非特許文献3)。治療剤は、アモキシシリン、クラリスロマイシンなどの抗生物質及びランソプラゾール、オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬(PPI)とからなるキットである。しかしながら、除菌後の逆流性食道炎や抗生物質による腸内細菌叢への影響といった副作用の課題があり、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍といった病名がつかない場合であって単に除菌のための抗生物質治療には保険が適用されない。また、近年除菌に用いる抗生物質への耐性菌が蔓延していることが問題となっている。炎症の治療にはH2ブロッカーやPPIなどがあるが対症療法に留まる。
病原性ヘリコバクター属細菌のなかで特にヘリコバクター・ピロリ(Hericobacter pylori)に対する除菌用組成物が種々報告されている。
例えば、特許文献1には、こんにゃく芋又はじゃが芋から有機溶媒及び/又は超臨界二酸化炭素により抽出される抽出物を有効成分とする、ヘリコバクター・ピロリ菌を原因とする胃又は十二指腸潰瘍に対する予防剤及び治療剤が記載されている。
特許文献2には、ヘリコバクター・ピロリ菌による胃粘膜疾患を治療するために使用する医薬組成物であって、L-グルタミンとグアイアズレンスルホン酸ナトリウムとを10:1から500:1までの比率で含有することを特徴とする医薬組成物が記載されている。
特許文献3には、ペンタガロイルグルコースを有効成分とすることを特徴とするヘリコバクター・ピロリ菌の発育抑制剤(胃潰瘍抑制剤に係る発明を除く。)が記載されている。
特許文献4には、クエン酸鉄とアンモニア水とを有効成分として含有するヘリコバクター・ピロリ菌用抗菌剤が記載されている。
特許文献5には、ゲニステイン、豆乳、発酵豆乳又は大豆サポニンを有効成分とするヘリコバクター・ピロリ菌増殖抑制剤が記載されている。
特許文献6には、(a)オウレンおよびオウバクのうち少なくとも1種の生薬末またはその抽出成分と、(b)シメチジン、ランソプラゾール、スクラルファート、テプレノンおよびソファルコンから選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなるヘリコバクター・ピロリ菌感染を原因とする胃腸疾患の予防、治療または再発防止用医薬が記載されている。
特許文献7には、メカブ抽出物とアスコフィラム属藻類抽出物とを含有することを特徴とする抗ピロリ菌剤が記載されている。
特許文献8には、モモタマナを麹菌により発酵処理して得た発酵物、もしくは発酵物から水又は有機溶媒単独、又はそれらの混合物で抽出処理して得たエキスを有効成分とし、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌あるいは感染予防効果を有する抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有する植物発酵物が記載されており、発酵に使用される麹菌としてAspergillus属、Eurotium属、Rhizopus属、あるいはMonascus属に属する麹菌が例示されている。
特許文献9には、白檀含有成分を有効成分とする、ピロリ菌感染症治療のための医薬組成物が記載されており、ここで白檀含有成分が(Z)-α-サンタロール、(Z)-β-サンタロール、(Z)-ランセオール、α-サンタルジオール、β-サンタルジオール、(Z)-カンフレン-2α,13-ジオール、(Z)-カンフレン-2β,13-ジオール、(Z)-2α-ヒドロキシアルブモール、(Z)-2β-ヒドロキシ-14-ヒドロ-β-サンタオール、(Z)-3,4,5,6-テトラデヒドロ-7-ヒドロキシランセオールおよび(Z)-1β-ヒドロキシ-2-ヒドロランセオールよりなる群から選択されるセスキテルペンアルコール又はその混合物である。
特許文献10には、米の加水物を酵素分解または麹を作用させたものを有効成分として含有する寿命延長剤が記載されており、その効能のひとつとしてヘリコバクター・ピロリ生育阻止、胃における機能の正常化を含む多数の効能が例示されているが、ピロリ菌に対する作用効果は何ら実証されていない。
特許4633367号公報 特許4880477号公報 特許4541662号公報 特許4081157号公報 特許3998293号公報 特許3677376号公報 特開2007-091631号公報 特開2006-290794号公報 特開2006-124296号公報 特開2005-194289号公報
熊谷俊子,化学療法の領域,17(3):19-25 (2001) 榊信広,日本医事新報,3824:1-13 (1997) 加藤元嗣,化学療法の領域,17(3):66-73 (2001)
上記のとおり、ヘリコバクター菌等の細菌感染に起因する炎症の予防や症状の改善に関して、食品成分を有効成分とする報告が多数存在する。日常的に摂取する食品であれば安全性が高いと考えられるため、そのような食品による予防が望ましい。しかしながら、食品の場合、作用機序が不明な場合が多く、化学薬剤に比べてその効能についても低い場合が多い。
そこで、本発明者らは、日本人が昔より日々摂取している食品である発酵食品に注目し、そのような食品から、ヘリコバクター菌等の細菌による感染に起因する炎症の予防や症状の改善に有効な成分の探索を行ったところ、以下に詳述するように、ヘリコバクター菌、大腸菌等の細菌の感染に対する優れた抗炎症剤を見出した。
本発明は、要約すると、以下の特徴を包含する。
(1) 穀類植物由来材料を麹菌を用いて発酵させることにより得られる穀類植物由来材料発酵物からの14-デヒドロエルゴステロール含有処理物、或いは単離された14-デヒドロエルゴステロール、を有効成分として含む、細菌感染に対する抗炎症剤。
(2) 細菌が、ヘリコバクター菌、病原性大腸菌及び歯周病菌からなる群から選択される細菌である、上記(1)に記載の抗炎症剤。
(3) 前記穀類植物由来材料が、穀類植物種子の外皮を含む、上記(1)又は(2)に記載の抗炎症剤。
(4) 前記穀類植物がイネ科植物より選択される1種以上である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の抗炎症剤。
(5) 前記穀類植物がコムギである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗炎症剤。
(6) 前記麹菌がアスペルギルス属糸状菌である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗炎症剤。
(7) 前記麹菌が黒麹菌である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の抗炎症剤。
(8) 処理物が、発酵物のエタノール抽出及びヘキサン抽出によって得られる抽出物である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の抗炎症剤。
(9) 炎症が胃炎又は腸炎である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の抗炎症剤。
(10) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載の抗炎症剤を含む、細菌感染を原因とする炎症の改善用医薬組成物。
(11) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載の抗炎症剤を含む、ヘリコバクター菌感染を原因とする慢性胃炎の改善用医薬組成物。
(12) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載の抗炎症剤を含む、病原性大腸菌感染を原因とする腸炎の改善用医薬組成物。
(13) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載の抗炎症剤を含む、歯周病の予防又は改善用医薬組成物。
(14) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載の抗炎症剤を含む食品添加物。
(15) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載の抗炎症剤を含む、機能性食品又は飲料。
本発明の抗炎症剤は、ある種の麹発酵物を原料として得られたもので安全性が高く、また、ヘリコバクター菌等の細菌の感染による病原体特異的な炎症反応を緩和し改善する明らかな効果を有しているため、例えばヘリコバクター菌感染症に起因した慢性胃炎症状の改善に有効であるだけでなく、該慢性胃炎から進行した胃潰瘍を予防し、かつ胃がん発症リスクを低減できるという優れた利点を有する。
この図は、C57BL/6マウス(雌)の骨髄細胞よりFlt-3Lで誘導してきた樹状細胞におけるヘリコバクター・フェリス菌感染による樹状細胞の成熟化の指標である細胞表面タンパク質分子(I-A/I-E, CD86)の発現上昇が、本発明の麹菌醗酵エキスサンプル(50μg/ml)添加することで抑制されたこと、並び同様に、樹状細胞のサイトカイン産生(IL-12)も麹菌醗酵エキスの添加で抑制されたことを示す。 この図は、C57BL/6マウス(雌)の骨髄細胞よりFlt-3Lで誘導してきた樹状細胞において、麹菌醗酵エキスの活性成分である14-デヒドロエルゴステロール(14-DHE)が、ヘリコバクター・フェリス菌(H. felis)、病原性大腸菌感染(E. coli)及びリポポリサッカライド(LPS)の各処理による樹状細胞の成熟化について、細胞表面タンパク質分子(I-A/I-E, CD86)の発現上昇を抑制したこと、及びサイトカイン産生(IL-12)増大を抑制したことを示す。 この図は、C57BL/6マウス(雌)において、ヘリコバクター・フェリス菌に感染するとIFN-γの産生が誘導されるが、本発明の麹菌醗酵エキス(koji)を摂取することで腸管膜リンパ節および脾臓に局在するCD4陽性ヘルパーT細胞およびCD8陽性キラーT細胞が産生するIFN-γを通常値にまで抑制できたことを示す。ここで、ビヒクル(vehicle)は麹エキスの希釈に用いたコーン油である。 この図は、ヘリコバクター・フェリス菌に感染させたC57BL/6マウス(雌)において、本発明の麹菌醗酵エキス(koji)を摂取することで腸管膜リンパ節および脾臓に局在するCD4陽性ヘルパーT細胞およびCD8陽性キラーT細胞が産生する、炎症性サイトカインであるTNF-αの産生を抑制できたことを示す。ここで、ビヒクル(vehicle)は麹エキスの希釈に用いたコーン油である。 この図は、ヘリコバクター・フェリス菌に感染させたC57BL/6マウス(雌)において、CD11bおよびCD11c陽性のミエロイド樹状細胞について、本発明の麹菌醗酵エキスの摂取で細胞表面タンパク質分子であるCD80の発現が有意に減少したことを示す。 この図は、ヘリコバクター・フェリス菌に感染させたC57BL/6マウス(雌)において、脾臓において炎症を治める役割を担うCD4、CD25およびFoxp3陽性の制御性T細胞の割合が、本発明の麹菌醗酵エキスを摂取することにより増加したことを示す。 この図は、ヘリコバクター・フェリス菌に感染させたC57BL/6マウス(雌)において、ヘリコバクター・フェリス菌に対する抗原特異的な反応へのマウス生体内へ投与した本発明の麹菌醗酵エキスの効果を検証した結果、IFN-γやTNF-αといった抗原特異的な炎症反応を緩和できること、また同様に樹状細胞が産生する炎症性サイトカインであるIL-12についても緩和できることを示す。 この図は、ヘリコバクター・フェリス菌に感染させたC57BL/6マウス(雌)に本発明の麹菌醗酵エキス(koji)を摂取させたときの、胃局所においてIFN-γ産生細胞の浸潤もまた抑制されたことを示す。ここで、ビヒクル(vehicle)は麹エキスの希釈に用いたコーン油であり、またH&Eはヘマトキシリン−エオジン染色を示す。
本発明をさらに詳細に説明する。
<細菌感染に対する抗炎症剤>
本発明は、穀類植物由来材料を麹菌を用いて発酵させることにより得られる穀類植物由来材料発酵物からの14-デヒドロエルゴステロール含有処理物、或いは単離された14-デヒドロエルゴステロール、を有効成分として含む、細菌感染に対する抗炎症剤を提供する。
本明細書に記載される「炎症」は、細菌感染に起因して生じる、主に、胃炎、十二指腸炎、腸炎、口腔内炎症などの消化器管や口腔内の炎症であるが、その他の器官や組織(例えば、気管支、膣、尿道等)の炎症も包含されるものとする。炎症の程度は、感染初期の炎症から慢性の炎症まで、いずれのステージであってもよい。本発明の抗炎症剤は、急激な状態の悪化を招くような感染症や、免疫力の低いヒトの感染症の処置には適当ではなく、感染初期の炎症や、慢性であっても生活に支障のない程度の炎症の処置や予防に有効である。
細菌感染症をもたらす細菌には、以下のものに限定されないが、例えば、ヘリコバクター菌(Helicobacter pylori、H. felisなど)、大腸菌(Escherichia coli)、歯周病菌(Porphyromonas gingivalisなど)、レジオネラ(Legionella pneumopilaなど)、マイコバクテリア(Mycobacterium tuberculosis(結核菌)、M. leprae(らい菌)など)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、キャンピロバクター(Campylobacter)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae, H. ducreyi)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、レプトスピラ(Leptospira interrogans)、ナイセリア(Neisseria meningitidis, N. gonorrheaeなど)、緑膿菌(psuedomonasu aeruginosa)、ぶどう球菌(Staphylococci)、連鎖球菌(Streptococci)、コレラ菌(Vibrio cholerae)などが含まれる。後述の実施例では、細菌のなかで、ヘリコバクター菌、大腸菌及び歯周病菌を例示して、それらの細菌による炎症反応に対して、生体内で炎症を抑制する制御性T細胞の誘導を確認しており、明らかに炎症の緩和(軽減もしくは抑制)が実証されている。
本明細書中、上記抗炎症剤の有効成分である14-デヒドロエルゴステロール(14-dehydroergosterol)は、下記の構造
Figure 2013227252
を有するエルゴスタ-5,7,14,22-テトラエン-3β-オール(Ergosta-5,7,14,22-tetraen-3β-ol)を指す。
14-デヒドロエルゴステロールは、1951年にアスペルギルス・ニガーにおいて見出され(Barton,DHR.,and Bruun,T.,J.Chem.Soc.,2728-2733(1951))、2009年にキウイフルーツ果皮の一成分として再発見されたが(Fiorentino,A.ら,J.Agric.Food Chem.,57:4148-4155(2009)の化合物8)、細菌感染に対する抗炎症活性についてはこれまで報告されていない。
14-デヒドロエルゴステロールは、本発明者らによって、穀類植物由来材料を麹菌を用いて発酵させることにより得られる穀類植物由来材料発酵物中に見出された化合物であり、後述の参考例に記載されるように、有機溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、液−液分配、有機溶媒沈澱、結晶化などの公知の手法を適宜組み合わせた手順によって単離されうる。
穀類植物由来材料発酵物は、原料となる穀類植物由来材料に麹菌を添加して、発酵させることにより得ることができる。
好ましい穀類植物としては、植物分類表においてイネ科に分類されるすべての植物が挙げられる。具体的には、イネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、アワ、ヒエ、トウモロコシ等が例示されるが、これらに限定されるものではない。このうち、イネ、オオムギ、コムギ及びライムギが好ましく、コムギが特に好ましい。
穀類植物由来材料とは、穀類植物の種子に由来する材料であり、典型的には、穀類植物の種子全体、又はその一部分である。穀類植物由来材料は、好ましくは種子の外皮を含む。種子の外皮を含む穀類植物由来材料としては、例えば、穀類種子全粒粉、穀類植物のフスマ、米糠などが挙げられる。特に好ましい本発明の穀類植物由来材料は、穀類植物のフスマ、最も好ましくは小麦フスマである。穀類植物のフスマは、穀類植物種子の粉砕又は搗精により得られる種子の外側の部分を回収することで得ることができる。
麹菌は、穀類植物由来材料を発酵させて、発酵物中に14-デヒドロエルゴステロールを産生することができるカビである。使用可能な麹菌の例は、黒麹(アスペルギルス・アワモリ又はアスペルギルス・ニガー)、黄麹(アスペルギルス・オリゼー)、紅麹(モナスカス・アンカ)、醤油用麹菌(アスペルギルス・ソーヤ)、白麹(アスペルギルス・カワチ)、テンペ菌(リゾプス・オリゴスポラス)、これらの菌種から誘導された亜種などを包含する。麹菌は、好ましくはアスペルギルス属糸状菌であり、最も好ましくは黒麹菌である。これらの麹菌の種麹は、秋田今野社、樋口もやし社、日本醸造工業などから入手することができる。
麹菌の発酵は、原料に麹菌を接種して培養する当業者に公知の方法を用いて行うことができる。そのような方法としては、例えば、蓋麹法、箱麹法、床麹法、機械麹法などを挙げることができる。発酵方法の詳細については、例えば、発酵ハンドブック((財)バイオインダストリー協会、発酵と代謝研究会編、2001年などに記載されている。
麹の添加量は、水を加えて処理(例えば、オートクレーブ、蒸煮など)された穀類植物由来材料に対して、好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%、最も好ましくは0.1重量%の種麹である。
発酵温度は、使用する麹によっても若干異なるが、一般的には20℃〜50℃、好ましくは22℃〜45℃、より好ましくは30℃〜40℃である。発酵時間は、例えば、1〜14日間、好ましくは2〜10日間、より好ましくは3〜7日間である。発酵中に、一定時間ごと(例えば1日ごと)に手入れ(塊になった麹をほぐす作業)を行うのが好ましい。
発酵時の湿度は、当業者であれば、麹菌の種類に応じて適切に調節することができる。例えば、発酵中、相対湿度を80%以上に維持する。又は、発酵初期には相対湿度を高く(例えば90%以上)保ち、発酵後期(例えば、麹菌接種後24時間以降)は相対湿度を若干下げて(例えば75%以上)、発酵を行う。
本明細書中、穀類植物由来材料発酵物の処理物は、発酵物から、14-デヒドロエルゴステロールを部分的に精製して得られる中間処理物を指す。この中間処理物には、14-デヒドロエルゴステロールが少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約5〜10重量%、より好ましくは少なくとも約30〜50重量%、さらにより好ましくは少なくとも約60〜80重量%含有することができる。一方、本明細書に記載される「単離された14-デヒドロエルゴステロール」は、通常、約90〜100%の純度を有するものを指す。ここで「単離された」とは、穀類植物由来材料発酵物から単離されたことの他に、14-デヒドロエルゴステロールを含有する他の材料から単離されたこと、或いは、化学的に合成され単離されたことを意味する。
14-デヒドロエルゴステロールの精製は、穀類植物由来材料発酵物の抽出工程を含むことができる。抽出の方法としては、例えば、有機溶媒抽出、超臨界流体抽出法、加温加圧抽出法などが挙げられ、そのような抽出方法を、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
溶媒抽出に用いる有機溶媒として、限定するものではないが、エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、フェノールなどを用いることができる。好ましい有機溶媒は、エタノール、メタノール、酢酸エチル、及びヘキサンである。これらの有機溶媒は1種類で又は2種類以上を混合して用いてもよく、また、2段階以上の溶媒抽出工程を行なってもよい。
具体的には、溶媒抽出は、例えば、凍結乾燥により乾燥させた発酵材料を粉砕し、これに有機溶媒を添加し、20〜50℃、好ましくは25〜45℃にて撹拌しながら超音波処理を施して行うことができる。添加する溶媒の量は、発酵材料の重量の1〜50倍、好ましくは2〜40倍、より好ましくは10〜30倍である。抽出時間は、10分間〜2時間、好ましくは15分間〜1時間、より好ましくは20〜50分間であるが、処理量が多くなる場合には抽出時間をさらに延長してもよい。その後、濾過や遠心分離などにより濾液を回収し、残渣に含まれる不溶性画分を取り除き、例えば減圧蒸発により濾液から有機溶媒画分(すなわち、抽出画分)を濃縮し、流体又は乾燥形態で抽出物を得ることができる。また、有機溶媒抽出後の不溶性画分について有機溶媒による抽出を繰り返すことにより、第1回目の有機溶媒抽出後の残渣から有機溶媒画分をさらに取得することもできる。
また、溶媒抽出に続いてさらに別の溶媒を用いた分画を行ってもよい。例えば、溶媒抽出により得られた有機溶媒画分に、溶媒抽出に用いたものと同じか又は異なる第2の有機溶媒を添加し、これに、第2の有機溶媒とは混和しない第3の有機溶媒を添加して抽出し、第3の有機溶媒に溶解性の画分を得ることができる。
超臨界流体抽出法は、二酸化炭素などの超臨界流体を用いて天然物等から、温度と圧力を変えながら物質の溶解度の差を利用して、有効成分を抽出する方法である。超臨界流体抽出装置が市販されているので、これを使用して、14-デヒドロエルゴステロールの精製を行うことができる。
抽出法によって得られた部分精製された画分に存在する物質をさらに精製してもよく、この場合、公知の分離、精製法を適当に組み合わせて行うことができる。例えば、液−液分配、有機溶媒沈澱、各種カラムクロマトグラフィー(例えばHPLC、シリカゲルクロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなど)、結晶化などを使用することができる。
穀類植物由来材料発酵物の処理物の例は、発酵後に、エタノール抽出によりエタノール溶解画分を分離することにより得られたエタノール画分であり、より好ましくは、穀類植物由来材料発酵物を、エタノール抽出した後、さらにヘキサン分画によりヘキサン溶解画分を分離して得られたヘキサン画分である。
本発明の抗炎症剤は、14-デヒドロエルゴステロールを含有する、穀類植物由来材料発酵物の処理物、又は、単離された14-デヒドロエルゴステロールからなっていてもよいし、或いは必要に応じて、担体等の物質と混合されていてもよい。担体は、通常、賦形剤又は希釈剤である。
<飲食品>
本発明はまた、上記の抗炎症剤を含む食品添加物を提供する。
この食品添加物は、食品又は飲料に添加可能な形態であり、タブレット、丸剤、顆粒、溶液剤、乳濁剤、懸濁剤などの任意の形態でよい。食品添加物には、通常、飲食品の分野で使用可能な担体及び添加剤を含有することができる。
本発明はさらに、上記の抗炎症剤を含む機能性食品又は飲料を提供する。
本明細書中、「機能性食品又は飲料」とは、食用としての単なる食品又は飲料を意味するのではなく、科学的な根拠に基づいた一定の薬理効果を発揮することができる食品又は飲料を指す。本発明においては、そのような薬理効果は、細菌感染に対する抗炎症効果又は炎症抑制効果である。このような食品又は飲料は、特定保健用食品と同等な健康食品である。
本発明の機能性食品又は飲料には、通常、飲食品の分野で使用可能な担体及び添加剤を含有することができる。
担体の例は、希釈剤、賦形剤、又はそれらと等価な物質であり、また添加剤の例は、増量剤、ゲル化剤、分散剤、懸濁化剤、溶解補助剤、ビタミン類、有機酸、甘味剤、pH調整剤、風味剤、着色剤、安定剤、ミネラル、香料、保存剤、湿潤剤、果汁、ミルク、甘味料などを包含する。
飲料の種類、形態、製法等は、例えば「最新・ソフトドリンクス」、最新ソフトドリンクス編集委員会(編集)、光琳(2003年10月)(東京、日本)に記載されている。また、錠剤又は顆粒剤の種類、形態、製法等は、例えば「錠剤」、内藤俊一(編集)、廣川書店(1990年7月)、「造粒ハンドブック」、日本粉体工業技術協会(編集)、オーム社(1991年3月)に記載されている。
本発明の抗炎症剤又は食品添加物は、任意の食品又は飲料に配合することができる。その配合量は、細菌感染に対する炎症抑制効果が発揮されうる量であり、例えば飲食品に対して約0.5〜10重量%又はそれ以上である。
食品又は飲料の例としては、限定するものではないが、錠剤形、粉末状、顆粒状、カプセル状、ゼリー状等の機能性食品、パン類、菓子類、クッキー、ビスケット等の穀類加工品、牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳製品類、炭酸飲料、清涼飲料、果汁入り飲料、薬系ドリンク等の飲料、惣菜や加工食品等が挙げられる。
本発明の機能性食品又は飲料は、担体又は賦形剤と共に、溶液剤、乳濁剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤などの任意の形態に製造できる。
担体又は賦形剤としては、限定するものではないが、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖類、デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物、結晶セルロース、蒸留水、精製水、ゴマ油、ダイズ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等を例示することができる。また、担体又は賦形剤の他に、結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤、崩壊剤、湿潤剤、着色剤、風味剤、香味剤などの添加剤を適宜含有させることができる。その他、栄養健康補助剤、例えばビタミン類(例えばビタミンB1など)、漢方薬(例えば高麗人参など)、ミネラル(Ca、Mg、Zn、Feなど)、ローヤルゼリー、カルニチン、コエンザイムQ10、タウリンなどを含ませることができる。
<医薬組成物>
本発明はさらに、上記の抗炎症剤を有効成分として含む、細菌感染を原因とする炎症疾患の改善用又は予防用の医薬組成物を提供する。
医薬組成物には、有効成分の他に、製薬上許容されうる担体及び、適宜、製薬上許容されうる添加剤が含まれてもよい。
医薬組成物の製剤としての形態は、錠剤、丸剤、粉末剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、溶液剤、懸濁剤、乳濁剤、シロップ剤、座剤、エーロゾル剤などを含むが、これらに限定されないものとする。このような製剤の製法については、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19thEd., 1995, Mack Publishing (USA)に記載されている。
担体の例は、賦形剤、希釈剤などであり、いずれも製薬上許容されうる公知の物質が使用されうる。例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖類、デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物、結晶セルロース、蒸留水、精製水、ゴマ油、ダイズ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等を挙げることができる。
添加剤の例は、乳化剤、懸濁化剤、滑沢剤、充填剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤、結合剤、保存剤、湿潤剤、崩壊剤、着色剤、香味剤などであり、いずれも製薬上許容されうる公知の物質が使用されうる。
細菌感染症の例は、例えば、ヘリコバクター菌(Helicobacter pylori、H. felisなど)、大腸菌(Escherichia coli)、歯周病菌(Porphyromonas gingivalisなど)、レジオネラ(Legionella pneumopilaなど)、マイコバクテリア(Mycobacterium tuberculosis(結核菌)、M. leprae(らい菌)など)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、キャンピロバクター(Campylobacter)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae, H. ducreyi)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、レプトスピラ(Leptospira interrogans)、ナイセリア(Neisseria meningitidis, N. gonorrheaeなど)、緑膿菌(psuedomonasu aeruginosa)、ぶどう球菌(Staphylococci)、連鎖球菌(Streptococci)、コレラ菌(Vibrio cholerae)などの細菌による感染症を含む。好ましい感染症は、ヘリコバクター菌、大腸菌又は歯周病菌による感染症である。
ヘリコバクター菌感染は、軽度の胃炎から慢性の胃炎を発症し、さらに胃潰瘍、胃癌へと進行することが知られている。本発明の抗炎症剤又は医薬組成物は、胃炎の段階で炎症を改善することができる。
同様に、本発明の抗炎症剤又は医薬組成物は、大腸菌、例えば病原性大腸菌による感染を原因とする腸炎、歯周病菌を原因とする歯茎の炎症及び歯周病、等を予防又は改善することができる。
本発明の医薬組成物は、感染初期で炎症を緩和することができるため、病気の進行を抑制し治癒を早めることができる。このために、細菌感染症の改善と予防のために有効である。例えば、ヘリコバクター菌感染症の場合には、慢性胃炎を緩和、改善するために、慢性胃炎が持続することにより発症する胃潰瘍や胃癌を予防することができる。
本発明の医薬組成物は、細菌感染症、例えば上に例示した細菌を原因とする病期、例えば、慢性萎縮性胃炎、感染性胃腸炎、十二指腸炎、胃癌(GIST、胃悪性リンパ腫含む)、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、結核、肺炎、コレラ、食中毒、歯周病、などの病気を改善又は予防するために有効である。
本発明の医薬組成物中の14-デヒドロエルゴステロールの用量は、被験者の年齢、体重、性別、肥満の程度、病状など、様々な要因に応じて変化するが、例えば、14-デヒドロエルゴステロールを1日あたり、1mg以上、好ましくは5mg以上投与する量とし、投与回数及び投与間隔は特に制限されない。
投与経路は、経口投与、或いは、静脈内投与、座剤投与、経粘膜投与などの非経口投与でよい。
摂取又は投与の対象は、ヒトを含む哺乳動物等の動物であり、好ましくはヒトであり、健常者、細菌感染患者、細菌感染治療中の患者、細菌感染の予防を検討している健常者等のいずれであってもよい。
(実施例)
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はそれらの実施例によって制限されないものとする。
[参考例1]
各種穀類植物由来材料の麹発酵物及びその処理物の調製例
イネ、オオムギの麹発酵物は、以下のようにして調製した。定法に基づいて調製した蒸米又は蒸大麦に対して、各種の市販種麹(黄麹菌:秋田今野社、強力もと立用(アスペルギルス・オリゼー);黒麹菌:秋田今野社、黒麹マイルド(アスペルギルス・アワモリ);紅麹菌:秋田今野社(モナスカス・アンカ))を0.1重量%の割合で接種した。相対湿度80%以上に保持し、黄麹及び黒麹発酵試料は35℃、72時間、紅麹発酵試料は30℃、7日間、適宜、手入れ(塊となった麹をほぐす作業)を施しながら、製麹を行った。
小麦フスマ、米糠の麹発酵物は、以下のようにして調製した。小麦フスマ(日清製粉社製)又は米糠450gに対して、550mLの脱塩水を添加し、よく混合した後、オートクレーブを用いて121℃、50分間滅菌した。滅菌後の原料に、各種の市販種麹(黒麹菌:秋田今野社、黒麹マイルド(アスペルギルス・アワモリ);テンペ菌:秋田今野社(リゾプス・オリゴスポラス))を0.1重量%の割合で接種した。相対湿度を85%以上に保持し、35℃にて培養を行った。培養開始後24時間後、及び48時間後に手入れを行い、72時間で培養終了とした。
麹発酵物試料は、凍結乾燥した後、家庭用粉砕装置にて粉砕した。得られた凍結試料2gに対して、99.5%エタノールを40mL添加し、40℃、30分間、撹拌しながら超音波処理を施して、エタノール抽出を行った。この上清を濾紙にて濾過し、残渣にさらに99.5%エタノールを40mL添加し、同様に抽出を行い、上清を同様に濾紙にて濾過し、濾液を合一した。得られた抽出液をエバポレーターにて濃縮し、さらに凍結乾燥機で乾燥後、重量を測定した。その後、80%メタノールを10mL添加し、よく溶解した後、10mLのヘキサンを用いた抽出を3回行い、上清を合一した。ヘキサン画分を回収し、乾固したものが、14-DHEを含有する麹菌醗酵エキスサンプルである。
[参考例2]
14-デヒドロエルゴステロール(14-DHE)の単離例
黒麹菌(秋田今野社:黒麹マイルド(アスペルギルス・アワモリ))を用いて、培養温度30℃、培養日数3日、水分量55%として、参考例1と同様の方法により小麦フスマ麹発酵物を調製した。得られた発酵物をさらにエタノール抽出及びヘキサン抽出に供し、ヘキサン抽出物を調製した。発酵物の凍結乾燥物100gから、抽出物3gが得られた。
得られた抽出物を200mg/mLとなるようにヘキサンに溶解し、ヘキサンでコンディショニングしたMega Bond Elute SI(20g)(Varian社製)に、1本あたり3mLアプライした。続いて60mLのヘキサンでカラムを洗浄し、60mLの酢酸エチルで溶出して、カラム吸着物を回収した。得られた溶出液をエバポレーターで乾固した。3gのヘキサン抽出物から、2.8gのSIカラム吸着物が得られた。
得られたSIカラム吸着物を、200mg/mLとなるようにヘキサン/エタノール(80/20;v/v)に溶解し、UK-Slica(10×250mm)(インタクト社製)を用いた高速液体クロマトグラフィー(ヘキサン/イソプロパノール=98/2)にかけた。保持時間18〜19分の画分を分取し、濃縮乾固した。これをさらにヘキサン/エタノール(20/80;v/v)に溶解し、Develosil C30-UG-5(10×250mm)(野村化学社製)を用いた高速液体クロマトグラフィー(アセトニトリル/イソプロパノール=99/1)にかけ、保持時間32.5〜33.5分の画分を分取した。この画分に含まれる化合物を定法に従いさらに分析すると、以下の物理化学的特性を有する14-デヒドロエルゴステロールが検出された。
(1)分子量:394.32275(高分解能APCI-Orbitrap法による観測値:m/z 395.33057(M+H)+)
(2)分子式:C28H42O(精密分子量:394.323565)
(3)溶剤に対する溶解性:水に不溶、エタノールに難溶、クロロホルムに易溶
(4)紫外部吸収スペクトル(MeCN):391nm
(5)1H-NMR(CD3OD)ppm: 6.15 (1H, m), 5.75 (1H, m), 5.65 (1H, dd, J = 2.2, 5.9 Hz), 5.27 (1H, dd, J = 7.0, 15.1 Hz), 5.21 (1H, dd, J = 7.9, 15.1 Hz), 3.64 (1H, m), 2.51 (1H, ddd, J = 2.2, 5.1, 10.6 Hz), 2.30 (1H, m), 2.20 (1H, m), 2.20 (1H, dd, J = 3.2, 7.8 Hz), 2.06 (1H, m), 2.05 (1H, m), 1.94 (1H, m), 1.90 (1H, m), 1.87 (2H, m), 1.87 (1H, ddd, J = 3.2, 7.0, 7.3 Hz), 1.71 (1H, m), 1.59 (1H, m), 1.57 (1H, m), 1.45 (1H, m), 1.45 (1H, ddd, J = 3.2, 6.3, 6.5 Hz), 1.30 (1H, m), 1.05 (3H, d, J = 6.8 Hz ), 0.93 (3H, d, J = 7.3 Hz), 0.92 (3H, s,), 0.89 (3H, s), 0.85 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.83 (3H, d, J = 6.3 Hz)
(6)13C-NMR(CD3OD)ppm: 149.2 (s), 143.0 (s), 135.4 (s), 132.2 (s), 132.0 (s), 120.5 (s), 120.4 (s), 117.4 (s), 70.4 (s), 58.1 (s), 46.3 (s), 45.4 (s), 42.8 (s), 41.0 (s), 39.0 (s), 38.9 (s), 37.8 (s), 37.0 (s), 36.0 (s), 33.1 (s), 32.0 (s), 21.1 (s), 19.9 (s), 19.7 (s), 19.6 (s), 17.6 (s), 16.8 (s), 14.5 (s)
[実施例1]
14-DHEを含有する様な麹菌発酵物由来の抽出エキスについて、ヘリコバクター菌に対するin vitroでの効果を検討した。
<実験方法>
(1)ヘリコバクター・フェリス菌体の調製
ATCCより購入したヘリコバクター・フェリス(ATCC 51211)を5%ヒツジの血液を含有するトリプトソイ寒天培地プレート(BD)に起した。培養は微好気性のアネロパックを用いて37℃で静置培養した。プレートにて培養したヘリコバクター・フェリスを10%仔牛血清(Gibco)を含むブレインハートインフュージョン培地(BD)で微好気性、湿潤、37℃の条件で125rpm、48時間バイオシェーカーを用いて振とう培養した。菌体数は450nm波長の吸光度より算出した。液体培養後、6000rpm、10分間の遠心分離にて菌体を回収し、蒸留水で菌体を洗浄し凍結乾燥したものを菌体サンプルとした。
(2)麹菌醗酵エキスの調製
小麦フスマに黒麹菌を生やした醗酵物(秋田今野商店の黒麹マイルドを麹蓋1cm盛りで加水して72時間培養したもの)を凍結乾燥して、ミキサーにて細粉した。細粉した醗酵物1g当たり6mlになるようエタノール(Wako)を添加し、超音波処理(SHIBATA)を37℃で15分間施した。超音波処理後、3000rpm、10分間遠心処理をした上清をメンブレン濾過して回収した。残渣にエタノールによる超音波抽出を加え、抽出作業を計3回行った。回収したエタノール抽出物をエバポレーターにて乾固し、メタノール(Wako)に再溶解した。そこにメタノールの1/4量の蒸留水およびメタノールと蒸留水の合計容量と等量のヘキサン(Wako)を加え、分液ロート内で混和した。2層に分かれたのを確認した後ヘキサン画分を回収し、乾固したものを14-DHEを含有する麹菌醗酵エキスサンプルとした。
(3)細胞アッセイ
オリエンタル酵母より購入した4週齢のC57BL/6マウス(メス)を安楽殺後、大腿骨を摘出して骨髄細胞を含む骨髄液を回収した。回収した骨髄細胞液を溶血処理し、70マイクロメートルの滅菌フィルター(BD)で濾過した。濾過した細胞を1.0x106細胞/mlでRPMI(Sigma)に10%仔牛血清(Gibco)、1%ペニシリンおよびストレプトマイシン(Sigma)、50 μM 2-メルカプトエタノール、1mM sodium pyruvate、2.5mM HEPES、1% NEAAおよび100ng/ml Flt-3L(R&D)を含む培地で37度、7日間培養した。その培養開始時に50μg/ml麹菌抽出物および5μM 14-DHEを添加した。培養7日目に、調製した3μg/mlもしくは10μg/mlヘリコバクター・フェリス菌体、5ng/mlリポポリサッカライド(LPS、Sigma)、10μg/mlの病原性大腸菌体で一晩処理した。翌日細胞および培養上清を回収した。細胞については、CD11cおよびCD11b陽性細胞をミエロイド樹状細胞とし、そのI-A/I-E, CD86, CD80の細胞表面タンパク質分子の発現量をフローサイトメーターで測定した。培養上清については、ELISA法にてIL-12p40, IL-10を測定した。ELISAキットはBD OptEIA Mouse IL-12 ELISA Set(BD)、BD OptEIA Mouse IL-10 ELISA Set(BD)を用いた。また、リポポリサッカライドは、歯周病菌感染モデルを表す。
<結果>
図1に示すように、ヘリコバクター・フェリス菌感染による樹状細胞のmaturationの指標である細胞表面タンパク質分子(I-A/I-E, CD86)の発現上昇が、麹菌醗酵エキスサンプルを50μg/ml添加することで抑制された。同様に、樹状細胞のサイトカイン産生(IL-12)も麹菌醗酵エキスの添加で抑制された。
以上のことから、14-DHEを含有する麹菌醗酵エキスはヘリコバクター・フェリス菌感染による炎症反応をin vitro試験で抑制できることが明らかとなった。
続いて図2に示すように、麹菌醗酵エキスの活性本体である14-DHEは、ヘリコバクター・フェリス菌、病原性大腸菌感染およびリポポリサッカライド処理による樹状細胞のmaturationについて、細胞表面タンパク質分子(I-A/I-E, CD86)の発現上昇およびサイトカイン産生(IL-12)増大を抑制した。
以上のことから、14-DHEは胃での感染性微生物であるヘリコバクター・フェリス菌、腸での感染性微生物である出血性大腸菌の感染によって生じる過剰な炎症反応を緩和できることが判明した。
[実施例2]
14-DHEを含有する様な麹菌発酵物由来の抽出エキスについて、ヘリコバクター・フェリス(Helicobacter felis)を用いたマウスにおけるヘリコバクター菌感染性胃炎モデル(Lee A, Fox JG, Otto G, Murphy J., Gastroenterology 1990 99(5):1315-23.)に対するin vivoでの効果を検討した。
<実験方法>
実験にはオリエンタル酵母より購入した6週齢のC57BL/6マウス(雌)を用いた。実施例1で記した方法で培養したヘリコバクター・フェリス菌を108cfuずつ経口感染させた。投与後4週間SPFの動物室で飼育した後、実施例1で作製した500mg/mlにコーン油で希釈した麹菌醗酵エキスサンプルもしくはコーン油を100μlずつ5日間胃内投与した。その後、マウスを安楽殺し、胃、腸管膜リンパ節、脾臓を摘出した。胃は10%中性ホルマリン緩衝液にて固定を行い、パラフィン切片を作製し、H&E染色およびIFN-γの免疫組織化学染色を行った。腸管膜リンパ節および脾臓については、コラゲナーゼIV(SIGMA)およびDNaseI(Roche)で反応後、溶血処理および70 um滅菌フィルター(BD)で濾過することでリンパ球を調製した。調製したリンパ球について、PMAおよびionomycinを含有するLeukocyte activation cocktail (BD)で4時間半、37℃にて処理し、BD Cytofix/Cyoperm kit(BD)を用いてCD4およびCD8陽性のT細胞の細胞内産生サイトカイン(IFN-γ(BD), TNF-α(BD))を検出した。CD4、CD25およびFoxp3陽性の制御性T細胞の検出をFoxp3 staining kit(eBioscience)を用いて行った。CD11bおよびCD11c陽性ミエロイド樹状細胞の表面タンパク質の発現を指標に評価した。検出にはフローサイトメトリー(BD Canto II)を用いた。調製したリンパ球を1x106細胞数/mlで懸濁し、0, 2, 10μg/mlのヘリコバクター菌体存在下で72時間再培養し、培養上清のサイトカインを測定した。ELISAキットはMouse TNF-α Ready-SET-Go!(eBioscience)、BD OptEIA Mouse IFN-g ELISA Set(BD)を用いた。
<結果>
図3に示すように、一般的にヘリコバクター・フェリス菌に感染するとIFN-γの産生が誘導されることが報告されているが、麹菌醗酵エキスを摂取することで腸管膜リンパ節および脾臓に局在するCD4陽性ヘルパーT細胞およびCD8陽性キラーT細胞が産生するIFN-γを通常値にまで抑制できた。図4に示した通り、炎症性のサイトカインであるTNF-αについても同様に産生を抑制した。
続いて図5に示したCD11bおよびCD11c陽性のミエロイド樹状細胞について、麹菌醗酵エキスの摂取で細胞表面タンパク質分子であるCD80の発現が有意に減少した。また図6に示すように脾臓において炎症を治める役割を担うCD4、CD25およびFoxp3陽性の制御性T細胞の割合が麹菌醗酵エキスを摂取することにより増加した。
以上のことより、生体内においてヘリコバクター・フェリス菌感染による慢性炎症状態を麹菌醗酵エキスは抑制できることが判明した。麹菌醗酵エキスは生体内で炎症を抑制する役割を担う制御性T細胞を誘導することで効果的に炎症を緩和できることも明らかとなった。
続いて図7に示すように、ヘリコバクター・フェリス菌に対する抗原特異的な反応へのマウス生体内へ投与した麹菌醗酵エキスの効果を検証した結果、IFN-γやTNF-αといった抗原特異的な炎症反応を緩和出来ることが判明した。また同様に樹状細胞が産生する炎症性サイトカインであるIL-12についても緩和した。麹菌醗酵エキスはヘリコバクター・フェリス菌感染による病原体特異的な炎症反応を緩和する効果を有していることが明らかとなった。
また、図8に示すように胃局所においてIFN-γ産生細胞の浸潤も抑制された。
以上のことより、麹菌醗酵エキスは生体内における慢性炎症および抗原特異的な炎症反応を緩和する効果を有していることが判明した。ヘリコバクター菌感染による慢性炎症状態が継続することで胃潰瘍が発症し、さらには胃がんの発症リスクが上昇すると一般的に考えられている。麹菌醗酵エキスはヘリコバクター菌感染による胃潰瘍を予防し、胃がん発症リスクを低減できると考えられる。
本発明の抗炎症剤は、穀類植物由来材料発酵物からの14-デヒドロエルゴステロール含有処理物又は単離された14-デヒドロエルゴステロールを有効成分とする新規の安全性の高い薬剤である。この有効成分は、ヘリコバクター菌、病原性大腸菌又は歯周病菌の細菌による感染に起因する炎症反応を、制御性T細胞を誘導して効果的に緩和する能力を有していることから、産業上有用である。

Claims (15)

  1. 穀類植物由来材料を麹菌を用いて発酵させることにより得られる穀類植物由来材料発酵物からの14-デヒドロエルゴステロール含有処理物、或いは単離された14-デヒドロエルゴステロール、を有効成分として含む、細菌感染に対する抗炎症剤。
  2. 細菌が、ヘリコバクター菌、病原性大腸菌及び歯周病菌からなる群から選択される細菌である、請求項1に記載の抗炎症剤。
  3. 前記穀類植物由来材料が、穀類植物種子の外皮を含む、請求項1又は2に記載の抗炎症剤。
  4. 前記穀類植物がイネ科植物より選択される1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗炎症剤。
  5. 前記穀類植物がコムギである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗炎症剤。
  6. 前記麹菌がアスペルギルス属糸状菌である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗炎症剤。
  7. 前記麹菌が黒麹菌である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗炎症剤。
  8. 処理物が、発酵物のエタノール抽出及びヘキサン抽出によって得られる抽出物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗炎症剤。
  9. 炎症が胃炎又は腸炎である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗炎症剤。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗炎症剤を含む、細菌感染を原因とする炎症の改善用医薬組成物。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗炎症剤を含む、ヘリコバクター菌感染を原因とする慢性胃炎の改善用医薬組成物。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗炎症剤を含む、病原性大腸菌感染を原因とする腸炎の改善用医薬組成物。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗炎症剤を含む、歯周病の予防又は改善用医薬組成物。
  14. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗炎症剤を含む食品添加物。
  15. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗炎症剤を含む、機能性食品又は飲料。
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