JP2015123372A - 椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】座り心地に優れた布帛方式椅子を提供する。
【解決手段】椅子は、背座一体方式の身体支持ユニット3と椅子本体4とで構成されており、身体支持ユニット3は、布帛製薄シート材1とフレーム材2とから成っている。フレーム材2は前向きに開口したU形(又はコ字形)であり、従って、薄シート材1の前端部はフレーム材2に取り付けられていない。従って、着座者の大腿部がフレーム材2で突き上げられことはない。薄シート材1は縦横ともフレーム材2より小さい寸法に製造されてから、引き伸ばしてフレーム材2に取り付けられている。従って、薄シート材1は左右方向と縦方向とにプリテンションが掛けられている。このため、身体の安定性やクッション性・フィット性に優れている。
【選択図】図2

Description

本願発明は、椅子に関するものである。ここで、椅子は人が腰掛けるものの総称であり、ソファーやベンチなども含まれる。また、可動式と固定式との別やキャスタの有無、上下昇降の有無、ロッキング機能の有無等も問わない。
椅子において、着座者の体圧が掛かる部分を編地又は織地のような布帛製の薄シート材で構成することは広く行われている。この場合、薄シート材はフレーム材に取り付けられているが、薄シート材として伸縮性のあるものを使用して、薄シート材を張った状態に保持することが提案されている。
その例として特許文献1には、薄シート材(膜状部材)を熱収縮性樹脂からなる薄シート材で構成して、薄シート材をループ形状のフレーム材にテンションが掛かっていない状態で取付けてから加熱することで、薄シート材を張った状態に保持することが記載されている。
他方、本願発明者が共同発明者に含まれる特許文献2には、背と座とを一体に連続させた椅子において、フレーム材を左右メンバーとアッパーメンバーとが連続したU型に構成する一方、薄シート材の周囲には筒部を形成し、筒部をその一端からフレーム材に嵌め込んでいくことで薄シート材をフレーム材に取り付け、それからフレーム材の先端間をフロントメンバーで連結して薄シート材をピンと張った状態に保持することが開示されている。
特許第4932983号公報 特開2010−154879号公報
さて、従来の特許文献1を初めとして従来の薄シート材方式の座では、薄シート材の前端を保持するため座の前端にもフレーム材が前部が配置されており、このため、着座者の大腿部がフレーム材の前端部に当たって(突き上げられて)着座者に不快感を与えたり、血行不良を引き起こしたりする問題がある。また、背部においても、上端のフレームが着座者の背中に当たって不快感を与えることもあった。
他方、例えば座用薄シート材の左右側部のみをフレーム材に取り付けた折り畳み式の椅子も存在しており、この場合は着座者の大腿部がフレーム材に当たることはないが、薄シート材は張られてないため身体の安定性が悪くて、オフィス用や会議用のような椅子には適していない。
上記のとおり、薄シート材にはかなり強いテンションを掛けておかないと着座者を安定的に支持することはできないため、特許文献1の構成では、予めテンションが掛かっているとは云うものの、熱収縮によるテンションの強さは僅かであるため、外観上はピンと張った状態に見えても実際に着座者の体圧が掛かると過度に変形し過ぎて、座り心地が悪いおそれがある。
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、着座者の大腿部の圧迫や背中への当たりを防止しつつ身体の支持安定性にも優れた椅子を提供せんとするものである。
本願発明は、請求項1〜5の構成を含んでいる。このうち請求項1の発明は、座部の要素として、着座者の下向きの体圧がかかる布帛製の薄シート材と、前記薄シート材が張られたフレーム材とを備えており、前記薄シート材は少なくとも左右方向に伸縮する弾性を有しており、前記薄シート材のうち左右側部は前記フレーム材に保持されて前端部はフレーム材に保持されていない構成であって、前記薄シート材を弛みがない状態から更に弾性限度内において少なくとも左右方向に引っ張ることにより、前記薄シート材に、着座者の体圧による伸びを抑制する少なくとも左右方向のプリテンションが全長にわたって掛けられている。
請求項2の発明は、背部の要素として、着座者の後ろ向きの体圧がかかる布帛製の薄シート材と、前記薄シート材が張られたフレーム材とを備えており、前記薄シート材は少なくとも左右方向に伸縮する弾性を有しており、前記薄シート材のうち左右側部は前記フレーム材に保持されて上端部はフレーム材に保持されていない構成であって、前記薄シート材を弛みがない状態から更に弾性限度内において少なくとも左右方向に引っ張ることにより、前記薄シート材に、着座者の体圧による伸びを抑制する少なくとも左右方向のプリテンションが全長にわたって掛けられている。
請求項3の発明は請求項1又は2を具体化したもので、この発明では、前記薄シート材には左右方向と直交した縦方向にもプリテンションが掛けられており、左右方向のプリテンションが縦方向のプリテンションよりも大きくなっており、少なくとも座部において、左右方向に10%以上のプリテンションが掛けられている。
請求項4の発明は請求項1〜3を具体化したもので、この発明では、前記薄シート材のうち少なくとも座部の箇所は、強弾性糸より成る直線状の緯糸が挿通された経編み地を有しており、前記経編み地を、前記緯糸が左右方向に向く姿勢で使用している。
請求項5の発明は請求項1〜4の展開例であり、この発明は、座部と背部とが一体に連続して両者で略L型の形態を成しており、前記薄シート材のうち少なくとも座部の箇所は緯編地と経編地との二層構造になっており、両編地の左右側部を縫着することでフレーム材が挿通される筒部を形成し、筒部を裏返すことで縫い付け代を筒部の内側に位置させている。
さて、椅子を使用する人の体重は様々であり、体重が重い人に合わせて弾性力が非常に強いものを使用すると、薄シート材を弛みがないだけの状態に張っても、体重の重い人に対して適度のクッション性を提供できるが、この場合は、体重が軽い人に対してはクッション性は悪いものとなる。他方、体重が軽い人に合わせて弾性力が小さいものを使用すると、薄シート材を弛みがないだけの状態に張っても、体重の軽い人に対して適度のクッション性を提供できるが、この場合は、体重が重い人が使用する過度に沈み過ぎて使用感が悪くなる。
これに対して本願発明(請求項1,2)では、薄シート材には少なくとも左右方向の強いプリテンションが掛けられているため、適度の弾性力の薄シート材を使用することで、着座者の体重が多少は相違しても、体圧で薄シート材が過度に沈み込むようなことはなく、使用者の身体を弾性的に支持できる。従って、オフィス用椅子や会議用椅子などにも問題なく使用できて、汎用性が高い。
そして、請求項1では、座部を構成する薄シート材の前端部にはフレーム材に存在しないため、着座者の大腿部が突き上げられることはなくて身体の当たりが非常に柔らかい。また、請求項2では、背部を構成する薄シート材の上端部にはフレーム材は存在しないため、背中がフレーム材に当たることはなくて、背中への当たりが非常に柔らかい。このように、大腿部の突き上げや背中への当たりを無くした状態で身体をしっかりと支持できるため、従来に比べて座り心地・使用感を格段に向上できる。
請求項3のように薄シート材を縦方向にも伸ばすと、薄シート材は着座者の身体によって左右方向と縦方向との両方の伸びに強い抵抗を発揮するため、クッション性とフィット性とを一層向上できる利点がある。また、薄シート材は左右方向に10%以上のプリテンションが掛けられているため、身体の安定的な支持をより確実化できる。
さて、編地(編み物)には緯編みと経編みとがあり、緯編み地は隣り合った横糸がループ構造を繰り返しながら絡まっているため、縦横の両方向に伸びやすい性質がある。他方、経編み地は経糸の群が経方向に進行しながら相互に絡まっていくため、経方向(縦方向)には伸びにくくて横方向(緯方向)には伸びやすい性質がある。
緯編み地にしても経編み地にしても、糸の太さや弾性力、密度等を選択することで所望の強さや弾性力を得ることができる。従って、例えば緯編み地に太い糸や強弾性糸を使用したり密度を高くしたりすることで、着座者の体圧を的確に支持できる薄シート材を得ることは可能である。しかし、緯編み地は経緯両方向に伸びやすい構造であるため、経年使用による弾性の低下なども発生しやすい。また、糸が太くなると編みが困難になるおそれもある。
これに対して緯編み地は構造的に経縦方向に伸びにくいため、緯方向の伸びを抑制できると、過度に太い糸を使用しなくても、縦方向と横方向との強い弾性力を保持させることができる。
そして、請求項4の構成を採用すると、経編み地に緯糸挿通したことで緯方向の弾性力が格段に向上するため、使用する糸を過度に太くしたり密度を過度に高くしたりすることなく、経緯の両方向に強い弾性力を保持できる。従って、少なくとも座部の箇所を、強度と弾性力とに優れたものとすることができる。
上記のとおり、緯編み地は経緯の両方向に同じように伸びるため、背部の箇所には好適である。また、緯編み地はループ構造が連続していることから、立体感(厚み)があって身体への当たりの柔らかに優れている。更に、編み工程で筒部を形成することも簡単に行えるため、加工性に優れている。他方、経編み地は高い弾性力を保持できるが、緯編み地に比べると硬い感じ(ゴワゴワ感)がすると共に、編み工程で筒部を形成するのは難しいという問題がある。
結局、緯編地は加工性と柔らかさに優れるが弾性力においては劣っており、従って、背部に適用することには特段の問題はないが、座部に適用する場合は相応の工夫が必要である。これに対して経編地は、弾性力に優れているので座部にも特段の問題なく適用できるが、加工性が悪いという問題がある。
そして、請求項5のように、少なくとも座部を緯編地と経編地との複合構造にすると、座部の箇所での高い弾性力は全体的な身体への当たりの柔らかさを確保しつつ、加工も簡単であり、しかも、縫着又は融着のための縁部は筒部の内側に位置しているため美感が悪化することもない。従って、請求項5の発明では、機能性と美感とに優れた椅子を容易に製造できる利点がある。
第1実施形態を示す図で、(A)は分離斜視図、(B)はフレーム材の斜視図、(B)は薄シート材の編み構造(緯編構造)を示す模式図である。 第1実施形態を示す図で、(A)は薄シート材の取付け手順を示す図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)(D)はフレーム材の別例断面図、(E)は薄シート材とフレーム材との寸法関係を示す模式図である。 (A)は完成品の斜視図、(B)は組み立て途中での側面図である。 (A)は第2実施形態を示す部分的縦断正面図、(B)は第3実施形態の示す図、(C)は薄シート材の引き伸ばしの一態様を示す断面図である。 第4実施形態に係る薄シート材を示す図であり、(A)は緯編地の平面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は(A)の(C)、(D)は経編地の平面図、(E)は経編地の組織の模式図、(F)は製造工程途中の平面図、(G)は(A)のG−G視断面図、(H)は完成状態での平面図、(I)は(H)のI−I視断面図である。 (A)(B)は第5実施形態の製造工程を示す図、(C)(D)は第6実施形態の製造工程を示す平面図である。 (A)〜(D)は第7〜10実施形態に係るフレーム材の斜視図、(E)(F)は座部における薄シート材に対するプリテンションの掛け方の例である第11,12実施形態を示す図である。 第13実施形態を示す図である。 第14,15実施形態を示す図である。
(1).第1実施形態(図1〜3)
次に、本願発明の実施形態を説明する。まず、図1〜3に示す第1実施形態を説明する。本実施形態は骨組みを金属パイプ(又は棒材)で構成した椅子に適用しており、図1のとおり、椅子は、布帛より成る薄シート材1をフレーム材2に取付けて構成された身体支持ユニット3と、身体支持ユニット3が取付けられた椅子本体(脚装置)4とで構成されており、身体支持ユニット3は、座部5と背部6とが連続した形態になっている。
身体支持ユニット3のフレーム材2は、金属製の1本のパイプ又は丸棒を曲げることで構成されており、座部5の左右側部を構成する前後長手の水平状サイド部7と、その後端から立ち上がった上下長手の起立状サイド部(背支柱部)8と、左右起立状サイド部8との上端を繋ぐ左右長手のアッパー部9とを有しており、正面視と平面視では前向き開口コ字形(或いはU字形)で、側面視では略L字になっている。左右水平状サイド部7の前端には下向き部10を設けている。
他方、椅子本体4は従来のパイプ椅子の脚部とほぼ共通しており、上端部を構成する前後長手の左右サイド枠11とその前後に一体に曲げ形成した4本の足12と、左右サイド枠11を繋ぐ前後のステー13,14とで構成されている。本実施形態では、前後足12とサイド枠11とを一体構造にしているが、後ろの足12と後部のステー14とを一体構造にして、これにサイド枠8を接続するなどしてもよい。
図1(C)に模式的に示すように、薄シート材1を構成する布帛として緯編地が使用されており、薄シート材1の周縁部には、前端部を一連に延びる筒部15が編み込み形成されている。そして、筒部16をフレーム材2に嵌め入れることで、薄シート材1をフレーム材2に取付けている。フレーム材2は、図2(B)に示す円形(真円形)や図2(C)に示す横長小判形、或いは、図2(D)に示す横長テーパ管、図示しない楕円形(オーバル管)など、各種の断面形状のものを使用できる。
図2(C)に示すように、フレーム材2に取り付ける前の状態での薄シート材1の大きさは、左右横幅L1はフレーム材2の左右横幅L1′よりもある程度の寸法だけ小さく、背部6の箇所の上下長さ寸法(縦長寸法)L2はフレーム材2における起立状サイド枠8の上下高さ寸法L2′よりも少し短く、座部5の箇所の前後長さ寸法L3はフレーム材2における水平状サイド枠7の前後長さ寸法L3′よりも少し短く、前端の下向き部の上下巾寸法L4はフレーム材2における下向き部10の高さ寸法L4′よりも少し小さくなっている。
従って、薄シート材1は、図2(A)に示すように、筒部16の一端をフレーム材2の一端に嵌めてずり込んでいくことで取付けられているが、この取り付けは、薄シート材1を左右方向と縦方向とに強引に伸ばしてテンションをかけながら行われる。このため、フレーム材2に取り付けた後の薄シート材1には強いプリテンションが掛かっている。
フレーム材2には薄シート材1のテンションが掛かっているため、フレーム材2は薄シート材1の取り付けの過程で、左右下向き部10の間隔が狭まるように変形する。従って、薄シート材1を取り付け終えてから、フレーム材2の左右下向き部10の間隔が所定寸法になるように広げることで、薄シート材1の各部に略等しいプリテンションが掛けられている。本実施形態では、フレーム材の左右の部分は使用状態で平行になるように設定している(前端の左右巾寸法が上端の左右巾寸法よりも大きくなるように広げてもよい。この点て、図7を参照して後述する。)。
フレーム材2に取り付けることによる薄シート材1の伸び率(テンションの量)は、左右方向で例えば15%程度、左右方向と直交した縦方向(上下方向及び前後方向)では3%程度になっている。なお、縦方向にテンションを掛けた状態で、前端にをフレーム材2の前端からはみ出た余長部分を設けることは可能である。また、15%や3%の伸びは、ここでは、引っ張り前の寸法に対する割合として使用している。
薄シート材1は縦横に強い初期テンションが掛けられているため、相当に強く引っ張られている。一般には、左右方向では10〜20%程度、縦方向では1〜5%程度の伸びが好ましい。更に述べると、薄シート材は、座部5に使用した場合に体重が重い成人が着座しても弾性変形するように、全体として、例えば体重150kg程度の人が着座者してもその着座荷重に耐える弾性強度を有しており、弾性限度の伸び率は大まかには最大30%程度であるが、無荷重状態で、伸びの限度の2〜5割程度のテンションを掛けている。従って、特許文献1では得られない強いプリテンションが掛けられている。座5の箇所でのプリテンションを背6の箇所でのプリテンションより大きくすることも可能である。
薄シート材1を構成する糸には強弾性糸が使用されており、これにより、一般成人が着座者すると体重に応じて伸び変形して、非常に重い人であっても弾性限度内で支持できるように設定している。筒部15の開口縁は、縫い付けて下向き部10を塞いだり、下向き部10に差し込んだキャップ(プラグ)で固定したりしたらよい。
身体支持ユニット3は、左右のサイド部7,9を治具等で薄シート材1の弾性に抗して広げた状態で椅子本体4に重ねて、椅子本体4のサイド枠11とフレーム材2の水平状サイド部7とをビス16等のファスナで締結することで、椅子本体4に固定される。これにより、薄シート材1に強いプリテンションが掛けられた椅子が完成する。
なお、ビス16はフレーム材2の水平状サイド枠7にねじ込まれるが、水平状サイド枠7に予め補強材を挿入して固定しておき、この補強部材に雌ねじ穴を形成することも可能である。いずれにしても、ビス16は薄シート材1を貫通して雌ねじ穴にねじ込まれている。
この椅子は、薄シート材1の前端はフレーム材2には取り付けられていないため、着座者の大腿部がフレーム材2で突き上げられる現象は発生せず、また、薄シート材1には予め強いテンションが掛けられているため、体圧で薄シート材1が過度に沈み変形するようなことはない。これらの相乗作用により、座り心地がよい。
図1(B)に一点鎖線で示すように、フレーム材2における左右の下向き部11をフロントフレーム材17で連結しておくことも可能である。このフロントフレーム材17は、フレーム材2の下向き部10に下方から嵌まる上向き部17aと左右横長部17bとを有しており、横長部17bは着座者の足が当らないように後ろに逃がしている。このようにフロントフレーム材17で身体支持ユニット3としての形態を保持しておくと、運搬や組み立て作業が楽になるのみならず、椅子本体4には薄シート材1のプリテンションが作用しないため、椅子本体4の負担が軽くなって耐久性を向上できる利点がある。
図3(B)に一点鎖線で示すように、椅子本体4に支柱部18を設けて、フレーム材2の起立状サイド枠8を支柱部18にビス19等で固定することも可能である。この場合は、左右支柱部18の上端は一連に繋いでおくのが好ましい。
(2).第2実施形態(図4(A))
図4(A)に示す第3実施形態では、フレーム材2と椅子本体4との間に左右横長の補強バー21を配置して、フレーム材2の水平状サイド枠7と補強バー21の端部と椅子本体4のサイド枠11とをビス(ボルト)22で共締めしている。補強バー21の使用本数は1本のみでもよいし、図1(B)に一点鎖線で示すように、前後複数の箇所に配置してもよい。なお、実施形態の補強フレーム材21は丸パイプを使用しており、左右端部を偏平に潰して使用しているが、板材や棒材を使用してもよい。
このように補強フレーム材21を使用する場合、補強フレーム材21を予めフレーム材2の水平状サイド枠7に固定しておくことで、身体支持ユニット3を所定の形態に保持しておくことも可能である。この場合は、図1の一点鎖線で示したフロントフレーム材17と併用してもよい。また、補強バー21で左右の起立状サイド部8を連結することも可能であり、この場合は、補強バー21をタオル掛けなどに使用できる。
(3).第3実施形態(図4(B)(C))
図4(B)に示す第3実施形態では、フレーム材2を左右のサイドメンバー2a,2bに分離構成している。従って、薄シート材1の筒部(図せず)は左右側部にしか形成していない。サイドメンバー2a,2bは第1実施形態と同様の下向き部10を有しており、また、起立状サイド枠8の上端には斜め後ろ向きに曲がった略水平状の内向き部24を設けている。
薄シート材1は、黒抜き矢印で示すように、縦方向にプリテンションを掛けた状態でフレーム材2に取り付けており、上端と下端とは、フレーム材2の端部が露出しないように処理されている。椅子本体4は支柱部18を備えている。
この実施形態では、椅子の組み立ては、薄シート材1に左右のサイドメンバー2a,2bを挿通してから、左右のサイドメンバー2a,3aを、例えば(C)に示すような2つの鉤部材を回動自在に連結して成るヤットコ方式の治具25で左右方向に引っ張って、その状態でサイドメンバー2a,3aを椅子本体4にビス(図示せず)で固定するという手順で行われる(図面では治具25とサイドメンバー2a,3aとの間の間隔が狭くなっているが、実際には、治具25の下面とサイドメンバー2a,3aとの間には、椅子本体4のサイド部7が嵌まる空間が空いている。)。
この実施形態でも、図4に示した補強バー21や図1(B)に示したフロントフレーム材17で左右のサイドメンバー2a,2bを予め連結して、身体支持ユニット3としての形態を完成させておくことは可能である。この場合は、運搬や組み立ての手間を省くことができると共に、椅子本体4への負担も軽減できる。なお、補強バー21を使用する場合は、椅子本体4のステー13,14を無くすことも可能である(この点は第1実施形態も同様である)。
(4).第4実施形態(図5)
図5に示す第4実施形態では、薄シート材1として緯編地1aと経編地1bとを併用している。すなわち、緯編地1aは座部5と背部6とを有しているが、背部6の箇所のみに筒部15を形成しており、かつ、座部5の箇所は、背部6の箇所よりも少し広くして縫い付け代26を設けている。他方、緯編地1aは座部5の箇所のみに配置しており、緯編地1aにおける座部5の箇所と同じ大きさになっていて、左右側部に縫い付け代26を設けている。
経編地1bは、経糸27の編み方向が座部5の前後方向になるように配置しており、かつ、経糸27に絡まない直線状の緯糸28を適宜間隔で多数挿通している。緯糸28は強弾性糸からなっている。緯糸28のピッチは必要な強度や編地の構造に応じて任意に設定できる。例えば、1〜10mmの同一ピッチで配置することもできるし、1〜2mmピッチに配置された複数本を1セットとして、隣り合ったセットの間に10mm程度の間隔を空けるといったことも可能である。或いは、2mm、4mm、2mmというようにピッチを交互に異ならせることもは可能である。
そして、(F)(G)に示すように、経編地1bを緯編地1aの座部5の箇所に重ねて、左右側部をミシン掛けで縫着することで、座部の5の箇所に筒部15を形成する。縫着部を符号29で示している。縫着に際しては、目を詰めるための補助布(当て布)を重ねることも可能である。
そして、単に緯編地1aを経編地1bに縫着しただけであると、縫い付け代26が露出するため非常に見た目が悪いが、(H)(I)に示すように、筒部15の内外が逆向きになるように薄シート材1を裏返すことにより、縫い付け代26の露出を防止して違和感のない外観を得ることができる。薄シート材1は、座部5の箇所で緯編地1aが上(表面)になる状態で使用する。
そして、緯編地1aと経編地1bとはでは、同じ条件であるは緯編地1aの方が弾性力は劣るが、薄シート材1のうち背部6には大きな荷重はかからないため、緯編地1aのみで十分に耐え得る。また、緯編地1aは厚みがあるため身体への当たりも柔らかい。
他方、座部5には着座者の大きな荷重がかかるが、座部5を構成する経編地1bは縦方向には経糸27によって強い弾性を発揮する一方、左右方向には緯糸28によって強い弾性力を発揮するため、着座者の荷重(体圧)をしっかりと支えて、高い安定性・フィット性・クッション性を得ることができる。また、座部5の表面は緯編地1aで構成されているため、身体への当たりの柔らかさは保持されている。
従って、本実施形態では、緯編地1aの特性と経編地1bの特性とを有効利用して、高い品質の椅子を提供できる。なお、緯糸28が挿入された経編地1bを使用するのが好ましいが、緯糸28が挿入されていない経編地1bを使用してもよいのであり、この場合は、経糸27の編み方向が左右方向に向くように配置したらよい。
(5).第5〜6実施形態(図6)
図6のうち(A)(B)で示す第5実施形態は、第4実施形態の変形例である。すなわちこの実施形態では、まず、(A)に示すように、重ね合わせ緯編地1aと緯編地1aとをまず外側のみにおいて縫着し、次いで、(B)よち示すように、これを内外が逆になるように裏返し、それから、内側の部分を縫着して筒部と成すものである。従って、裏返し工程が楽になる。
図6のうち(B)(C)に示す第6実施形態では、緯編地1aと経編地1bとは薄シート材1の全体の大きさを有しており、両者を重ね合わせてから縫着することで筒部を形成している。この場合、まず外側の部分を縫着して、次いで、裏返してから内側の部分を縫着している。このため、裏返し工程を簡単に行える。
(6).第7〜10実施形態(図7(A)〜(D))
図7のうち(A)〜(D)では、フレーム材2の形態の別例を示している。このうち(A)に示す第7は、基本的には第1実施形態と同様であるが、第1実施形態との相違点として、下向き部10を側面視で後ろ向きに開口の横向きU形に形成している。下向き部10の先端にはフロントフレーム材17を嵌め込むことができる。この実施形態では、着座者の下肢が当たる部分が丸みを持っているため、当たりの柔らかさを格段に向上できる。また、薄シート材1の前端をほぼ左右方向に一直線の姿勢にすることが可能であり、このため、身体への当たりの柔らかさの点では特に優れている。
図7(B)に示す第8実施形態は背部6のみに適用した例であり、フレーム材2は、左右の起立状サイド部8と、その上端に一体に繋がったアッパー部9とで構成されているが、アッパー部9の左右両端は、側面視で下向き開口U形の後ろ向き部9aを介して起立状サイド部8に繋がっている。従って、薄シート材1とアッパー部9との間に前後方向の間隔が空いており、着座者の背中がアッパー部9に当たることは無い。左右の起立状サイド部8の下端に左右横流れの連結フレームを連結して、背部6として完成させておくことも可能である。
図7(C)に示す第9実施形態は座部5のみに適用したものであり、左右下向き部10の下端に後ろ向き部10bを設けて、左右後ろ向き部10bを左右横長のフロントフレーム部10aで繋いでいる。また、水平状サイド部7にも後端にもU形の前向き部7aを設けて、これらをリアフレーム17′で繋いでいる。
図7(D)に示す第10実施形態は、図4(B)(C)で示した第3実施形態と類似しており、フレーム材2を左右メンバー2a,3aに分離している。そして、水平状サイド部7の下向き部10には後ろ向き部10bを設けてこれらをフロントフレーム17で連結し、起立状サイド部8の上端には鉤状の後ろ向き部8aを設けて、これをアッパーフレーム部17″で連結している。左右メンバー2a,3aは、例えば図4(A)に示した連結バー21のような部材を使用して、中間部においても連結するのが好ましい。
(7).第11,12実施形態(図7(E)(F))
さて、布帛からなる薄シート材を使用して座部5を構成する場合は、1つのポイントは前端部をピンと強く張ることであり、前端部に強いプリテンションを掛けておくことで、座部5の全体に高い弾性が付与される。そして、フレーム材2が左右のメンバー2a,2bに分離している場合は、フレーム材2への薄シート材1の取り付けは簡単に行えるが、フレーム材2がその後端にいてアッパー部9等で連結されている場合は、薄シート材1の全体を左右方向に等しく10%以上に伸ばしてフレーム材2に取り付けるのはかなりの手間を要する。
図7(E)(F)はこの点についての改良策を提示するのであり、図7(E)に示す第11実施形態では、薄シート材1は、フレーム材2の取り付け前の状態では、水平状サイド部7の後端部間の左右間隔よりも少し小さい横幅の長方形に形成しておいて、フレーム材2をその前端間の間隔が狭まるように形態にて薄シート材1を取り付けてから、左右の水平状サイド部7を、前端間の間隔が後端間の間隔よりも広がるように広げることで、薄シート材1のうち座部の部分を、後端よりも前端の部分が大きく伸びるように左右方向のプリテンションを掛けている。従って、座部5は、完成後には平面視で前広がりの台形になっている。
他方、図7(F)に示す第12実施形態では、薄シート材1を前狭まりの台形に形成しておいてから、左右の水平状サイド部7が平行になるように広げている。この場合、薄シート材1を引き伸ばし前は後ろ広がりの台形で引き伸ばし後には前広がりの台形になるように構成することも可能である。
いずれにしても、薄シート材1をフレーム材2に取り付ける状態では、フレーム材2の使用状態に比べて前端間の間隔が狭まるように変形した状態であるため、薄シート材1の取り付けはかなり楽に行える。そして、使用状態では、薄シート材1は特に前端に最も強いプリテンションが掛かっているため、身体を安定的に支えることができるのである。背部6の場合も同様であり、薄シート材1を左右等巾に形成しておいて左右起立状サイド部8をその上端が大きく広がるように変形させるか、或いは、薄シート材1を下広がり台形状に形成しておいて左右起立状サイド部8を平行に広げるか、両者を組み合わせるかしたらよい。
(8).第13実施形態(図8)
図8に示す第13実施形態も薄シート材1の取り付けの容易性を追求した改良策であり、この実施形態では、フレーム材2がアッパー部9を有している場合において(フレーム材2は展開した状態に表示している)、薄シート材1にはその左右側部のみに筒部15を形成することでフレーム材2への取り付けの容易性を図りつつ、薄シート材1の上端部に樹脂製の化粧用縁部材30を設けて、縁部材30をアッパー部9に取り付けることで美感の保持を図っている。
(9).第14,15実施形態(図9)
上記の各実施形態は薄シート材で身体を直接に支持する構成であり、従って、薄シート材1は表皮材としても機能しているが、図9(A)〜(C)に示す第14実施形態では、薄シート材1の上面に表面材31を配置して、身体への当たりの柔らかさや美感を向上させている。従って,この実施形態では、薄シート材1はばね材として機能し、表面材31はクッション材又は化粧材として機能している。
このうち(A)に示す例は筒部15を薄シート材1に一体に設けたもの、(B)に示す例は、薄シート材1の縁部を折り返して縫い付けることで筒部15を形成したもの、(C)に示す例は、薄シート材1を表面シート1aと裏面シート1bとで構成して両者を縫着することで筒部15を形成したものである。(B)(C)では表面材31を薄シート材1に縫着しているが、面ファスナで取り付けるなどしてもよい。また、表面材31の左右側部を筒部15の裏側に巻き込んで、薄シート材1の外観が見えないように処理することも可能である。
図9のうち(D)に示す第15実施形態では、薄シート材1を表面シート1aと裏面シート1bとで構成した場合において、両者の間に中間材32を挟み込んでいる。この場合は、中間材32はクッション材として機能している。(A)〜(B)と(D)とを組み合わせることも可能である。表面材31は厚い編地や織地が好ましい(厚手の不織布なども使用可能である。)。他方、中間材32は編地又は織地でもよいし、シートウレタンであってもよい。
以上、本願発明の実施形態を何点か説明したが、本願発明は更に様々に具体化できる。例えば、適用対象たる椅子は4本足方式には限らないのであり、回転椅子や固定式椅子などにも適用できる。また、例えば第1実施形態の場合、身体支持ユニットのフレーム材に4本の足を固定して、椅子本体4のサイド枠11を無くすことも可能である。つまり、椅子の大半を身体支持ユニットで構成することも可能である。
本願発明は、実際に椅子に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 薄シート材
1a 緯編地
1b 経編地
2 フレーム材
3 身体支持ユニット
4 椅子本体
5 座部
6 背部
7 水平状サイド部
8 起立状サイド部
9 アッパー部
15 筒部
26 縫い付け代
29 逢着部
本願発明は、椅子に関するものである。ここで、椅子は人が腰掛けるものの総称であり、ソファーやベンチなども含まれる。また、可動式と固定式との別やキャスタの有無、上下昇降の有無、ロッキング機能の有無等も問わない。
椅子において、着座者の体圧が掛かる部分を編地又は織地のような布帛製の薄シート材で構成することは広く行われている。この場合、薄シート材はフレーム材に取り付けられているが、薄シート材として伸縮性のあるものを使用して、薄シート材を張った状態に保持することが提案されている。
その例として特許文献1には、薄シート材(膜状部材)を熱収縮性樹脂で構成して、薄シート材をループ形状のフレーム材にテンションが掛かっていない状態で取付け、それから加熱することにより、薄シート材を張った状態に保持することが記載されている。
他方、本願発明者が共同発明者に含まれる特許文献2には、背と座とを一体に連続させた椅子において、フレーム材を左右メンバーとアッパーメンバーとが連続したU型に構成する一方、薄シート材の周囲には筒部を形成し、筒部をその一端からフレーム材に嵌め込んでいくことで薄シート材をフレーム材に取り付け、それからフレーム材の先端間をフロントメンバーで連結して薄シート材をピンと張った状態に保持することが開示されている。
特許第4932983号公報 特開2010−154879号公報
さて、従来の特許文献1を初めとして従来の薄シート材方式の座では、薄シート材の前端を保持するため座の前端にもフレーム材が前部が配置されており、このため、着座者の大腿部がフレーム材の前端部に当たって(突き上げられて)着座者に不快感を与えたり、血行不良を引き起こしたりする問題がある。また、背部においても、上端のフレームが着座者の背中に当たって不快感を与えることもあった。
他方、例えば座用薄シート材の左右側部のみをフレーム材に取り付けた折り畳み式の椅子も存在しており、この場合は着座者の大腿部がフレーム材に当たることはないが、薄シート材は強いテンションが掛けられた状態には張られてないため身体の安定性が悪くて、オフィス用や会議用のような椅子には適していない。
上記のとおり、薄シート材にはかなり強いテンションを掛けておかないと着座者を安定的に支持することはできないため、特許文献1の構成では、予めテンションが掛かっているとは云うものの、熱収縮によるテンションの強さは僅かであるため、外観上はピンと張った状態に見えても実際に着座者の体圧が掛かると過度に変形し過ぎて、座り心地が悪いおそれがある。
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、着座者の背中への当たりを防止しつつ身体の支持安定性にも優れた椅子を提供せんとするものである。
本願発明は、背部の要素として、着座者の後ろ向きの体圧がかかる布帛製の薄シート材と、前記薄シート材が張られた上下長手の左右起立状サイドフレームとを備えており、前記薄シート材は少なくとも左右方向に伸縮する弾性を有していると共に、弾性限度内で少なくとも左右方向に引き伸ばされた状態で前記起立状サイドフレームに取り付けられている構成であって、
前記左右起立状サイドフレームの上端に、後ろ向きに曲がってか下向きに延びる上鉤状部が設けられており、前記薄シート材の左右側部を前記左右起立状サイドフレームの上鉤状部に保持させることにより、前記薄シート材の上端にも後ろ向きに曲がってから下向きに延びる上鉤状部が形成されている。
さて、椅子を使用する人の体重は様々であり、体重が重い人に合わせて弾性力が非常に強いものを使用すると、薄シート材を弛みがないだけの状態に張っても、体重の重い人に対して適度のクッション性を提供できるが、この場合は、体重が軽い人に対してはクッション性は悪いものとなる。他方、体重が軽い人に合わせて弾性力が小さいものを使用すると、薄シート材を弛みがないだけの状態に張っても、体重の軽い人に対して適度のクッション性を提供できるが、この場合は、体重が重い人が使用する過度に沈み過ぎて使用感が悪くなる。
これに対して本願発明では、薄シート材には少なくとも左右方向に引き伸ばされているため、適度の弾性力の薄シート材を使用することで、着座者の体重が多少は相違しても、体圧で薄シート材が過度に沈み込むようなことはなく、使用者の身体を弾性的に支持できる。従って、オフィス用椅子や会議用椅子などにも問題なく使用できて、汎用性が高い。
そして、背部を構成する薄シート材の上端部は上鉤状部になっているため、背中がフレーム材に当たることはなくて、背中への当たりが非常に柔らかい。このように、背中への当たりを無くした状態で身体をしっかりと支持できるため、従来に比べて座り心地・使用感を格段に向上できる。
シート材を縦方向にも伸ばすと、薄シート材は着座者の身体によって左右方向と縦方向との両方の伸びに強い抵抗を発揮するため、クッション性とフィット性とを一層向上できる利点がある
第1参考例を示す図で、(A)は分離斜視図、(B)はフレーム材の斜視図、(B)は薄シート材の編み構造(緯編構造)を示す模式図である。 第1参考例を示す図で、(A)は薄シート材の取付け手順を示す図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)(D)はフレーム材の別例断面図、(E)は薄シート材とフレーム材との寸法関係を示す模式図である。 第1参考例を示す図で、(A)は完成品の斜視図、(B)は組み立て途中での側面図である。 (A)((C)(D)は他の参考例を示す図、(B)は実施形態を示す図である。
(1).第1参考例(図1〜3)
実施形態の説明に先立って、図1〜3に示す第1参考例を説明する。各参考例も実施形態も、同じ部材は同じ符号を付している。本参考例は、骨組みを金属パイプ(又は棒材)で構成した椅子に適用しており、図1のとおり、椅子は、布帛より成る薄シート材1をフレーム材2に取付けて構成された身体支持ユニット3と、身体支持ユニット3が取付けられた椅子本体(脚装置)4とで構成されており、身体支持ユニット3は、座部5と背部6とが連続した形態になっている。
身体支持ユニット3のフレーム材2は、金属製の1本のパイプ又は丸棒を曲げることで構成されており、座部5の左右側部を構成する前後長手の水平状サイドフレーム7と、その後端から立ち上がった上下長手の起立状サイドフレーム(背支柱部)8と、左右起立状サイドフレーム8との上端を繋ぐ左右長手のアッパー部9とを有しており、正面視と平面視では前向き開口コ字形(或いはU字形)で、側面視では略L字になっている。左右水平状サイド部7の前端には下向き部10を設けている。
他方、椅子本体4は従来のパイプ椅子の脚部とほぼ共通しており、上端部を構成する前後長手の左右サイド枠11とその前後に一体に曲げ形成した4本の足12、及び、左右サイド枠11を繋ぐ前後のステー13,14構成されている。本参考例では、前後足12とサイド枠11とを一体構造にしているが、後ろの足12と後部のステー14とを一体構造にして、これにサイド枠8を接続するなどしてもよい。
図1(C)に模式的に示すように、薄シート材1を構成する布帛として緯編地が使用されており、薄シート材1の周縁部には、前端部を一連に延びる筒部15が編み込み形成されている。そして、筒部16をフレーム材2に嵌め入れることで、薄シート材1をフレーム材2に取付けている。フレーム材2は、図2(B)に示す円形(真円形)や図2(C)に示す横長小判形、或いは、図2(D)に示す横長テーパ管、図示しない楕円形(オーバル管)など、各種の断面形状のものを使用できる。
図2(C)に示すように、フレーム材2に取り付ける前の状態での薄シート材1の大きさは、左右横幅L1はフレーム材2の左右横幅L1′よりもある程度の寸法だけ小さく、背部6の箇所の上下長さ寸法(縦長寸法)L2はフレーム材2における起立状サイドフレーム8の上下高さ寸法L2′よりも少し短く、座部5の箇所の前後長さ寸法L3はフレーム材2における水平状サイドフレーム7の前後長さ寸法L3′よりも少し短く、前端の下向き部の上下巾寸法L4はフレーム材2における下向き部10の高さ寸法L4′よりも少し小さくなっている。
従って、薄シート材1は、図2(A)に示すように、筒部16の一端をフレーム材2の一端に嵌めてからずり込んでいくことで取付けられているが、この取り付けは、薄シート材1を左右方向と縦方向とに強引に伸ばしてテンションをかけながら行われる。このため、フレーム材2に取り付けた後の薄シート材1には強いプリテンションが掛かっている。
フレーム材2には薄シート材1のテンションが作用しているため、フレーム材2は薄シート材1の取り付けの過程で、左右下向き部10の間隔が狭まるように変形する。従って、薄シート材1を取り付け終えてから、フレーム材2の左右下向き部10の間隔が所定寸法になるように広げることで、薄シート材1の各部に略等しいプリテンションが掛けられている。本参考例では、左右サイドフレーム7,8は使用状態で平行になるように設定している
フレーム材2に取り付けることによる薄シート材1の伸び率(テンションの量)は、左右方向で例えば15%程度、左右方向と直交した縦方向(上下方向及び前後方向)では3%程度になっている。なお、縦方向にテンションを掛けた状態で、前端にをフレーム材2の前端からはみ出た余長部分を設けることは可能である。また、15%や3%の伸びは、ここでは、引っ張り前の寸法に対する割合として使用している。
薄シート材1は縦横に強い初期テンションが掛けられているため、相当に強く引っ張られている。一般には、左右方向では10〜20%程度、縦方向では1〜5%程度の伸びが好ましい。更に述べると、薄シート材は、座部5に使用した場合に体重が重い成人が着座しても弾性変形するように、全体として、例えば体重150kg程度の人が着座者してもその着座荷重に耐える弾性強度を有している。弾性限度の伸び率は大まかには最大30%程度であるが、無荷重状態で、伸びの限度の2〜5割程度のテンションを掛けている。従って、特許文献1では得られない強いプリテンションが掛けられている。座5の箇所でのプリテンションを背6の箇所でのプリテンションより大きくすることも可能である。
薄シート材1を構成する糸には強弾性糸が使用されており、これにより、一般成人が着座すると体重に応じて伸び変形して、非常に重い人であっても弾性限度内で支持できるように設定している。筒部15の開口縁は、縫い付けて下向き部10を塞いだり、下向き部10に差し込んだキャップ(プラグ)で固定したりしたらよい。
身体支持ユニット3は、左右のサイドフレーム7,8を治具等で薄シート材1の弾性に抗して広げた状態で椅子本体4に重ねて、椅子本体4のサイド枠11とフレーム材2の水平状サイドフレーム7とをビス16等のファスナで締結することで、椅子本体4に固定される。これにより、薄シート材1に強いプリテンションが掛けられた椅子が完成する。
なお、ビス16はフレーム材2の水平状サイドフレーム7にねじ込まれるが、水平状サイドフレーム7に予め補強材を挿入して固定しておき、この補強部材に雌ねじ穴を形成することも可能である。いずれにしても、ビス16は薄シート材1を貫通して雌ねじ穴にねじ込まれている。
この椅子は、薄シート材1の前端はフレーム材2には取り付けられていないため、着座者の大腿部がフレーム材2で突き上げられる現象は発生しない。また、薄シート材1には予め強いテンションが掛けられているため、体圧で薄シート材1が過度に沈み変形するようなことはない。これらの相乗作用により、座り心地がよい。
図1(B)に一点鎖線で示すように、フレーム材2における左右の下向き部11をフロントフレーム材17で連結しておくことも可能である。このフロントフレーム材17は、フレーム材2の下向き部10に下方から嵌まる上向き部17aと左右横長部17bとを有しており、横長部17bは着座者の足が当らないように後ろに逃がしている。このようにフロントフレーム材17で身体支持ユニット3としての形態を保持しておくと、運搬や組み立て作業が楽になるのみならず、椅子本体4には薄シート材1のプリテンションが作用しないため、椅子本体4の負担が軽くなって耐久性を向上できる利点がある。
図3(B)に一点鎖線で示すように、椅子本体4に支柱部18を設けて、フレーム材2の起立状サイド枠8を支柱部18にビス19等で固定することも可能である。この場合は、左右支柱部18の上端は一連に繋いでおくのが好ましい。
(6).他の参考例及び実施形態(図7(A)〜(D))
のうち(A)では第2参考例を示している。すなわちこの第2参考例は、基本的には第1参考例と同様であるが、第1参考例との相違点として、水平状サイドフレーム7の下向き部10を側面視で後ろ向きに開口の横向きU形に形成している。すなわち、水平状サイドフレーム7の前端部に下上鉤状部が形成されている。下向き部10の先端にはフロントフレーム材17を嵌め込むことができる。この参考例では、薄シート材のうち着座者の下肢が当たる前端部が横向きU形に形成されて丸みを持っているため、当たりの柔らかさを格段に向上できる。また、薄シート材1の前端をほぼ左右方向に一直線の姿勢にすることが可能であり、このため、身体への当たりの柔らかさの点では特に優れている。
(B)に示すのは本願発明の実施形態であり、フレーム材2は、左右の起立状サイドフレーム8と、その上端に一体に繋がったアッパーフレーム9とで構成されているが、起立状サイドフレーム8の上端には、後ろ向きに曲がってから下向きに延びる上鉤状部8aが設けられており、左右の上鉤状部8aの先端(下端)にアッパーフレーム9が繋がっている。薄シート材の左右側部は、前記左右起立状サイドフレーム8の上鉤状部8aに保持されるため、前記薄シート材1の上端図にも、後ろ向きに曲がってから下向きに延びる上鉤状部が形成されている。
従って、薄シート材1のうち上端部であって着座者の身体が当たる部分とアッパーフレーム9との間に前後方向の間隔が空いており、着座者の背中がアッパーフレーム9に当たることは無い。左右の起立状サイドフレーム8の下端に左右横の連結フレームを連結して、背部6として完成させておくことも可能である。
(C)に示す他の参考例は座部5のみに適用したものであり、左右下向き部10の下端に後ろ向き部10bを設けて、左右後ろ向き部10bを左右横長のフロントフレーム部10aで繋いでいる。また、水平状サイドフレーム7にも後端にもU形の前向き部7aを設けて、これらをリアフレーム17′で繋いでいる。
(D)に示す他の参考例では、フレーム材2を左右メンバー2a,3aに分離している。そして、水平状サイドフレーム7の下向き部10に後ろ向き部10bを設けることでした上鉤状部を形成して、これらをフロントフレーム17で連結し、起立状サイドフレーム8の上端には上鉤状部8aを設けて、これをアッパーフレーム17″で連結している。左右メンバー2a,3aは、連結バーのような部材を使用して、中間部においても連結するのが好ましい。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は更に様々に具体化できる。例えば、適用対象たる椅子は4本足方式には限らないのであり、回転椅子や固定式椅子などにも適用できる
本願発明は、実際に椅子に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 薄シート材
2 フレーム材
3 身体支持ユニット
4 椅子本体
5 座部
6 背部
7 水平状サイドフレーム
8 起立状サイドフレーム
8a 上鉤状部
9 アッパーフレーム
15 筒部

Claims (1)

  1. 座部の要素として、着座者の下向きの体圧がかかる布帛製の薄シート材と、前記薄シート材が張られたフレーム材とを備えており、前記薄シート材は少なくとも左右方向に伸縮する弾性を有しており、前記薄シート材のうち左右側部は前記フレーム材に保持されて前端部はフレーム材に保持されていない構成であって、
    前記薄シート材を弛みがない状態から更に弾性限度内において少なくとも左右方向に引っ張ることにより、前記薄シート材に、着座者の体圧による伸びを抑制する少なくとも左右方向のプリテンションが全長にわたって掛けられている、
    椅子。
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