JP2015121328A - 摺動部材の製造方法 - Google Patents

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Yoshikimi Ishizaki
義公 石崎
渡邊 健一
Kenichi Watanabe
健一 渡邊
直哉 正橋
Naoya Masahashi
直哉 正橋
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Abstract

【課題】鉄系金属と摺動部であるCu合金とを高い接合強度で、かつ簡便に接合すること。【解決手段】摺動部14を有する摺動部材100の製造方法であって、摺動部材100の本体部13として機能する鉄系金属のバルク材30と、摺動部14として機能しAl及びSiの少なくとも一方を含むCu合金31と、を放電プラズマ焼結法による加熱加圧によって固相接合して摺動部材100を製造する。【選択図】図2

Description

本発明は、摺動部を有する摺動部材の製造方法に関するものである。
従来より、摺動部の摺動性を向上させるために、摺動部に銅合金を用いる摺動部材が知られている。
特許文献1には、鋼製部材の表面に銅下地層がメッキされ、そのメッキを介して鉛青銅合金粉末が鋼製部材に焼結されることが開示されている。鉄と銅は、その二元状態図からわかるように、鉄への銅の固溶度は1.9at%、銅への鉄の固溶度は4.6at%であり、ほとんど固溶し合わない。そのため、鋼製部材と銅合金を強固に接合させるためには、特許文献1のようにメッキをバインダーとして用いるのが一般的である。
特開2005−257035号公報
しかしながら、鋼製部材と銅合金をメッキを介して接合する場合には、鋼製部材の表面にメッキを施す工程が必要となるため、製造コストの増加を招く。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、鉄系金属と摺動部であるCu合金とを高い接合強度で、かつ簡便に接合することを目的とする。
本発明は、摺動部を有する摺動部材の製造方法であって、前記摺動部材の本体部として機能する鉄系金属のバルク材と、前記摺動部として機能しAl及びSiの少なくとも一方を含むCu合金と、を放電プラズマ焼結法による加熱加圧によって直接固相接合して摺動部材を製造することを特徴とする。
また、本発明は、摺動部を有する摺動部材の製造方法であって、前記摺動部材の本体部として機能する鉄系金属のバルク材と、前記摺動部として機能するCu合金と、を放電プラズマ焼結法による加熱加圧によって柱状組織を介して直接固相接合して摺動部材を製造することを特徴とする。
本発明によれば、放電プラズマ焼結法による加熱加圧を利用することによって、鉄系金属のバルク材とCu合金とを直接固相接合させることができる。したがって、鉄系金属とCu合金とを高い接合強度で、かつ簡便に接合させることができる。
本発明の実施の形態に係るシューが適用されるピストンポンプの断面図である。 本発明の実施の形態に係るシューの製造方法を時系列に示す図である。 放電プラズマ焼結装置の模式図である。 バルク材30とバルク材31の接合の熱処理条件及び加圧条件を示す図である。 第1実施形態におけるバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真である。 第1実施形態におけるバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真であり、EDX分析によるFeLαのマッピング像である。 第1実施形態におけるバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真であり、EDX分析によるCuLαのマッピング像である。 第1実施形態におけるバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真であり、EDX分析によるSiKαのマッピング像である。 第1実施形態におけるバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真であり、EDX分析によるAlKαのマッピング像である。 参考例におけるバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真である。 参考例におけるバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真であり、EDX分析によるFeLαのマッピング像である。 参考例におけるバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真であり、EDX分析によるCuLαのマッピング像である。
図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
以下では、摺動部材が斜板型ピストンポンプのシューである場合について説明する。まず、図1を参照して、ピストンポンプ100について説明する。
ピストンポンプ100は、例えば、油圧ショベルや油圧クレーン等の建設機械に搭載され、アクチュエータの油圧シリンダに作動流体(作動油)を供給するポンプとして用いられる。
ピストンポンプ100は、エンジンの動力が伝達される駆動軸1と、駆動軸1の回転に伴って回転するシリンダブロック2とを備える。
シリンダブロック2には、駆動軸1と平行に複数のシリンダボア3が開口して形成される。シリンダボア3には、容積室4を画成するピストン5が往復動自在に挿入されている。
ピストン5の先端には、球状の球面座11を介してシュー10が回動自在に連結されている。シュー10は、球面座11と一体に形成された平板部12を備える。平板部12は、ケース21に固定された斜板20に面接触している。シリンダブロック2が回転するのに伴って、各シュー10の平板部12が斜板20に摺接し、各ピストン5が斜板20の傾転角度に応じたストローク量で往復動する。各ピストン5の往復動によって各容積室4の容積は増減する。
ケース22には、シリンダブロック2の基端面が摺接するバルブプレート23が取り付けられている。バルブプレート23には、図示しない吸込ポートと吐出ポートが形成される。シリンダブロック2の回転に伴って吸込ポートを通じて容積室4に作動油が導かれ、容積室4に導かれた作動油は吐出ポートを通じて吐出される。このように、ピストンポンプ100は、シリンダブロック2の回転に伴ってピストン5が往復動することによって作動油の吸込みと吐出を連続的に行う。
ピストンポンプ100の運転中は、ピストン5の先端に連結されたシュー10は、斜板20に摺接する。したがって、ピストン5の往復動が円滑に行われ、安定した作動油の吸込みと吐出が行われるためには、シュー10の平板部12と斜板20との間の摩擦力を低減させる必要がある。また、ピストンポンプ100の吐出圧力が大きくなれば、シュー10の平板部12は斜板20に対して強く押し付けられるため、平板部12と斜板20との摩擦力は大きくなる。したがって、ピストンポンプ100を高圧化させるためには、平板部12の摺動性を向上させる必要がある。そこで、平板部12における斜板20と摺接する面には、摺動性に優れるCu合金からなる摺動部14が設けられる。このように、シュー10は、球面座11と平板部12からなる本体部13と、斜板20に摺接する摺動部14とから構成される。
次に、図2〜図6を参照して、シュー10の製造方法について説明する。
図2に示すように、シュー10の製造には、本体部13として機能する鉄系金属のバルク材30と、摺動部14として機能するCu合金のバルク材31とが用いられる。バルク材30及びバルク材31は、シュー10の直径と同一径の円柱部材である。バルク材30の鉄系金属としてCr−Mo鋼のSCM435が用いられる。バルク材31のCu合金としてCu−Zn系合金が用いられる。Cu合金とは銅を主成分とする合金をいう。Cu−Zn系合金とは銅を主成分とし亜鉛を含有する合金をいい、具体的には、亜鉛は、脆性のCuZn相形成を抑制するために、35wt%以下であることが望ましい。表1に、バルク材30(SCM435)とバルク材31(Cu−Zn系合金)の組成を示す。
第1工程では、バルク材30は所望の厚さに切断される。具体的には、本体部13の軸方向長さに相当する寸法に切断される。また、バルク材31も所望の厚さに切断される。具体的には、摺動部14の厚さに相当する寸法に切断される。
第2工程では、第1工程にて所望の厚さに切断されたバルク材30とバルク材31が、放電プラズマ焼結法(SPS(Spark Plasma Sintering)法)による加熱加圧によって互いの端面が接合される。放電プラズマ焼結法は、被接合体の間隙に低電圧でパルス状の大電流を印加し、瞬間的に発生する放電プラズマにより、熱および電界拡散を助長させる焼結法である。
図3を参照して、第2工程の放電プラズマ焼結法が行われる放電プラズマ焼結装置40について説明する。放電プラズマ焼結装置40は、被接合部材が収装される高強度WC製の円筒状の冶具48と、被接合部材を挟持して冶具48内に保持するための上部パンチ41a及び下部パンチ41bと、上部パンチ41a及び下部パンチ41bに当接して配置され被接合部材に対して電流を印加するための上部電極42a及び下部電極42bと、上部電極42a及び下部電極42bに接続された電源43と、上部電極42a及び下部電極42bを通じて上部パンチ41a及び下部パンチ41bを押圧し、被接合部材に加圧力を付与するための加圧機構44と、電源43及び加圧機構44を制御する制御装置45とを備える。
冶具48は真空チャンバ46内に配置され、被接合部材の接合は真空雰囲気内にて行われる。冶具48の胴部には内外周面を貫通する貫通孔が形成され、その貫通孔には熱電対47が挿入される。熱電対47は、その先端が被接合部材の接合面近傍に位置するように配置されるため、被接合部材の接合面の温度が計測可能となっている。熱電対47による測定結果は制御装置45に送信され、制御装置45はその測定結果を基に被接合部材の接合面の温度や昇温速度が予め定められた設定値となるように電源43を制御する。
被接合部材であるバルク材30とバルク材31の接合方法について具体的に説明する。バルク材30とバルク材31は、冶具48の中空部内に収装され、上部パンチ41aと下部パンチ41bにて挟持される。これにより、バルク材30とバルク材31は、互いの端面が接触し積層した状態で冶具48内に収装される。そして、バルク材30とバルク材31には、電源43を通じて電流が印加され、所定の昇温速度にて所定の温度まで昇温される。ここで、所定の温度、つまり接合温度は、バルク材30(SCM435)とバルク材31(Cu−Zn系合金)との互いの融点以下に設定される。所定の温度に到達後、バルク材30とバルク材31には、加圧機構44によって上部パンチ41a及び下部パンチ41bを通じて所定の加圧力が付与され、その状態が一定時間保持される。これにより、バルク材30とバルク材31は、互いの端面が密着した状態で加熱加圧され、互いの接合界面にて放電プラズマが発生して固相反応が起こることによって接合される。なお、バルク材30とバルク材31は、加圧を受けることによって圧縮変形し、厚さが5%程度減少する。
一般的に、鉄と銅は、ホットプレス等による通常の拡散接合では相互拡散を生じず、両者を直接接合することは困難であることが知られている。これは、鉄と銅の二元合金状態図からわかるように、BCC構造の鉄へのFCC構造の銅の固溶度は最大1.9at%(850℃)、銅への鉄の固溶度は最大4.6at%(1096℃)であり、相互に連続固溶体を形成しないことからもわかる。また、鉄中の銅の拡散定数はD0=3.76×10-12(m2/s),Q=181(kJ/mol)、銅中の鉄の拡散定数はD0=1.00×10-5(m2/s),Q=197(kJ/mol)と報告され、通常の拡散接合では相互拡散は期待できない。しかし、上述のように、バルク材30とバルク材31に加圧力を付与しながら、接合界面にて放電プラズマを発生させて固相反応を起こさせることによって、両者を直接接合させることができる。これは、放電プラズマの印加は局所的に大容量のエネルギーを集中させることが可能であるため、バルク材30とバルク材31の接合界面にエネルギーが集中し、両者間の原子の相互拡散が助長されたためであると考えられる。また、バルク材30とバルク材31の放電プラズマ焼結は、接合界面が両者の端面のみであるため、粉末同士を放電プラズマ焼結によって接合する場合と比較して、接合面積が5000分の1程度と極めて小さい。このことから、バルク材30とバルク材31の放電プラズマ焼結では、単位接合面積当りの放電プラズマの印加によるエネルギーが大きく、両者が直接接合されると考えられる。
次に、図4を参照して、バルク材30とバルク材31の接合の熱処理条件及び加圧条件について説明する。図4中、実線は温度、点線は圧力を示す。熱処理と加圧は、600℃まで2分で昇温し、600℃から730℃まで1分で昇温し、730℃から接合温度の750℃まで1分で昇温し、750℃に到達後20MPaの圧力にて加圧し、この状態で3分保持することによって行われる。これで接合が完了し、その後、加圧が解除され自然冷却される。このように、接合に要する時間は合計7分であり、短時間にて接合が完了する。放電プラズマ焼結法によって接合を行うことによって、ホットプレス等の従来の接合方法と比較して短時間で接合を完了させることができる。
次に、図4に示した熱処理条件及び加圧条件にて接合したバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真を図5A〜図5Cに示す。図5Aは二次電子像、図5BはEDX分析によるFeLαのマッピング像、図5CはEDX分析によるCuLαのマッピング像である。図5A〜図5Cにおいて、写真上側がSCM435、写真下側がCu−Zn系合金である。図5Aからかわるように、SCM435がCu−Zn系合金側に拡散し、接合初期界面を挟んでSCM435とCu−Zn系合金が串状に入り組んだ柱状組織の形成が確認された。この柱状組織は、SCM435とCu−Zn系合金との固相拡散接合を示すものと言える。また、図5B及び図5Cからわかるように、原子の相互拡散が接合界面を挟んで相互に起こっていることが確認された。
上述のように、FeとCuは物理的に相互拡散を起こし難いが、SCM435とCu−Zn系合金との固相接合界面において、放電プラズマ焼結法による多大な電気エネルギーが供給されることで原子の拡散を助長し、結果的に両者は柱状組織を介して固相接合される。実用Cu−Zn系合金はZnを20〜40wt%含有し加工性と強度を兼ね備えることから構造用材料として黄銅と称せられ、古くから実用に供せられる合金である。Cuの融点は1085℃であるが、Zn量の増加により連続的に低下し、包晶組成の36.8wt%Znでは902℃となる。これは融点が419℃のZnとCuが包晶反応組成まで幅広くFCC固溶体を形成することに関与し、Znの添加によりCu合金中の構成元素の拡散は速まる。即ち、放電プラズマ焼結法による固相接合が可能となった原因として、まずCu合金として拡散性に優れるCu−Zn系合金を選択した点があげられる。
また、SCM435及びCu−Zn系合金の構成元素とその構成元素が拡散する相手方の合金の主要元素であるFe或いはCuとの親和性に着目し、SCM435及びCu−Zn系合金の構成元素が両合金間で濃度勾配を形成するかどうかを平衡状態図に基づいて検討した。その結果、SCM435及びCu−Zn系合金の両合金の構成元素であるSiのCuへの固溶限は552℃で9.95at%であるのに対し、SiのFeへの固溶限は1200℃で29.8at%である。したがって、Siは、Cu−Zn系合金からSCM435への拡散が期待でき、濃度勾配を形成する可能性がある。同様に、Cu−Zn系合金の構成元素であるAlのFeへの固溶限は共晶温度の1102℃で55.0at%であるのに対し、AlのCuへの固溶限は567℃で19.7at%である。したがって、Alは、Cu−Zn系合金からSCM435への拡散が期待でき、濃度勾配を形成する可能性がある。
図6A及び図6Bにバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真を示す。図6AはEDX分析によるSiKαのマッピング像、図6BはEDX分析によるAlKαのマッピング像である。図6A及び図6Bにおいて、写真上側がSCM435、写真下側がCu−Zn系合金である。図6AからSiが強い濃度勾配を示すことが明らかとなった。また、図6BからAlはSiほどではないが濃度勾配を示すことが明らかとなった。以上のことから、Cu−Zn系合金がSiとAlを含有することがFe原子のCu−Zn系合金側への拡散を助長したと考えられる。つまり、本発明のCu−Zn系合金としてAl及びSiの少なくとも一方を含むことが、柱状組織の形成を助長すると考えられる。
次に、バルク材30とバルク材31の接合強度について説明する。接合強度は、接合されたバルク材30とバルク材31を互いに反対方向に引っ張り、剥離した際の剥離強度を測定する剥離試験によって評価した。表2に剥離試験結果、表3に比較材の剥離試験結果を示す。比較材は、従来の製造方法によって得られたものであり、低炭素鋼にメッキされた銅下地層上にCu合金粉末を焼結することによって低炭素鋼とCu合金を接合したものである。表4に比較材の低炭素鋼とCu合金粉末の組成を示す。表2及び表3からわかるように、バルク材30とバルク材31の接合強度は比較材よりも大きい。このように、放電プラズマ焼結法によってSCM435とCu−Zn系合金の接合を行うことによって、両者を直接接合することができ、かつ柱状組織を介して接合することができるため、メッキを介して接合していた従来のものと比較して高い接合強度が得られる。
以上のように、図2に示す第2工程では、バルク材30とバルク材31が強固に接合され、シュー10の基となる素材32が得られる。
図2に示すように、第3工程では素材32が所望の形状に加工される。具体的には、素材32のうちバルク材30の部分は、球面座11と平板部12の形状に切削される。また、バルク材31の部分は、端面に円形の溝31aが切削されて摺動部14となる。最後に、球面座11、平板部12、及び摺動部14を軸方向に貫通する貫通孔(図示せず)が切削される。この貫通孔は、ピストン5の内部の作動油を溝31aに導き、摺動部14と斜板20の面圧を低減させるためのものである。なお、溝31aは必須の構成ではなく省略してもよい。
このように、素材32の加工にて廃材となるのは、主に球面座11と平板部12の形状に切削されるSCM435であり、SCM435と比較して高価なCu−Zn系合金はほとんど廃材とならない。ここで、仮に、シュー10全体をCu−Zn系合金にて製造する場合には、球面座11と平板部12の形状に切削する際に、Cu−Zn系合金が多く廃材となってしまう。しかし、本実施の形態では、斜板20に摺接する摺動部14のみをCu−Zn系合金にて製造するため、Cu−Zn系合金の廃材量を低減することができ、製造コストを低減することができる。
第4工程では、第3工程にて加工された素材32に対して窒化処理が施される。具体的には、ガス軟窒化処理が施される。ガス軟窒化処理は、一酸化炭素(CO)を主成分とする浸炭性ガス(RXガス)とアンモニアガス(NH3ガス)との混合ガス雰囲気中で、570℃の温度にて2.5時間加熱保持することによって、SCM435製の球面座11及び平板部12の表面を窒化させるものである。これにより、球面座11及び平板部12の表面の耐摩耗性、耐疲労性、及び耐焼付性等が向上する。以上の第1〜第4工程にてシュー10の製造が完了する。
以上に示す第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
放電プラズマ焼結法による加熱加圧を利用することによって、SCM435とCu−Zn系合金とをメッキ等のバインダーを介さずに直接固相接合させることができる。これにより、ピストン5の先端に回動自在に連結され強度を要する本体部13はSCM435にて構成すると共に、斜板20に摺接し摺動性を要する摺動部14はCu−Zn系合金にて構成することができ、SCM435とCu−Zn系合金のそれぞれの長所を組み合わせた高機能のバイメタルシュー10が得られる。
また、放電プラズマ焼結法によってSCM435のバルク材30とCu−Zn系合金のバルク材31との固相接合を行うことによって、両者は柱状組織を介して接合されるため、高い接合強度が得られる。
以上のように、放電プラズマ焼結法による加熱加圧を利用することによって、SCM435のバルク材30とCu−Zn系合金のバルク材31とを高い接合強度で、かつ簡便に接合させることができる。
(参考例)
以下の参考例の説明では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
上記第1実施形態では、バルク材31のCu合金がCu−Zn系合金である場合について説明した。しかし、本発明のCu合金はCu−Zn系合金に限られるものではない。
本参考例では、バルク材31のCu合金がCu−Ni系合金である場合について説明する。Cu−Ni系合金とは銅を主成分としニッケルを含有する合金をいう。ただし、ニッケルを多量に含有すると固溶硬化が大きくなり過ぎること、及びニッケルは高価であることを考慮すると、ニッケルの含有量は、10wt%以上30wt%以下であることが望ましい。表5にバルク材31(Cu−Ni系合金)の組成を示す。Snは摺動部14の耐摩擦性の向上を目的として添加されるものである。バルク材30(SCM435)の組成は表1に示したとおりである。シュー10の製造方法は、図2に示した工程と同じである。
図4に示した熱処理条件及び加圧条件にて接合したバルク材30とバルク材31の接合界面の走査型電子顕微鏡写真を図7A〜図7Cに示す。図7Aは二次電子像、図7BはEDX分析によるFeLαのマッピング像、図7CはEDX分析によるCuLαのマッピング像である。図7A〜図7Cにおいて、写真上側がSCM435、写真下側がCu−Ni系合金である。SCM435のバルク材30とCu−Ni系合金のバルク材31との組み合わせにおいても、加圧力を付与しながら、接合界面にて放電プラズマを発生させて固相反応を起こさせることによって、両者を直接接合させることができる。しかし、図7からわかるように、接合界面に柱状組織の形成は確認されなかった。これは、Cu中のNiの拡散定数はZnと比較して小さく、放電プラズマの印加による大エネルギーを付与しても拡散し難いためであると考えられる。
次に、バルク材30とバルク材31の接合強度について説明する。接合強度は、接合されたバルク材30とバルク材31を互いに反対方向に引っ張り、剥離した際の剥離強度を測定する剥離試験によって評価した。表6に剥離試験結果を示す。表6からわかるように、バルク材30とバルク材31の接合強度は、表3に示した比較材の接合強度と同等である。このように、放電プラズマ焼結法によってSCM435とCu−Ni系合金の接合を行うことによって、柱状組織を介しての接合とはならいものの、従来のものと同等の高い接合強度が得られる。
以上の参考例に示すように、放電プラズマ焼結法による加熱加圧を利用することによって、SCM435とCu−Ni系合金についてもメッキ等のバインダーを介さずに直接固相接合させることができる。
以上の第1実施形態及び参考例に示すように、放電プラズマ焼結法による加熱加圧を利用することによって、鉄系金属のバルク材とCu合金のバルク材とを高い接合強度で、かつ簡便に接合させることができる。
本発明は上記実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
例えば、上記実施形態では、斜板型ピストンポンプのシュー10の製造方法について説明したが、斜板型ピストンモータのシューの製造方法にも当然適用することができる。
また、上記実施形態では、シュー10が球状の球面座11を介してピストン5の先端に回動自在に連結される構成について説明した。しかし、これに代えて、ピストン5の先端に球状部を設けると共に、シュー10の本体部13に凹状の球面座を設け、シュー10が凹状の球面座を介してピストン5の先端の球状部に回動自在に連結されるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、本発明の摺動部材が斜板型ピストンポンプモータのシュー10である場合について説明した。しかし、摺動部材はこれに限られるものではなく、軸を支持するすべり軸受であってもよい。その場合には、軸に摺接する摺動部はCu合金にて構成し、それ以外の本体部は鉄系金属にて構成するようにすればよい。
本発明の製造方法によって製造された摺動部材は、ピストンポンプモータのシューに適用することができる。
5 ピストン
10 シュー
11 球面座
12 平板部
13 本体部
14 摺動部
20 斜板
30 バルク材
31 バルク材
40 放電プラズマ焼結装置
100 ピストンポンプ

Claims (4)

  1. 摺動部を有する摺動部材の製造方法であって、
    前記摺動部材の本体部として機能する鉄系金属のバルク材と、前記摺動部として機能しAl及びSiの少なくとも一方を含むCu合金と、を放電プラズマ焼結法による加熱加圧によって直接固相接合して摺動部材を製造することを特徴とする摺動部材の製造方法。
  2. 前記鉄系金属と前記Cu合金とは、柱状組織を介して接合されることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材の製造方法。
  3. 摺動部を有する摺動部材の製造方法であって、
    前記摺動部材の本体部として機能する鉄系金属のバルク材と、前記摺動部として機能するCu合金と、を放電プラズマ焼結法による加熱加圧によって柱状組織を介して直接固相接合して摺動部材を製造することを特徴とする摺動部材の製造方法。
  4. 前記摺動部材は、ピストンポンプモータにおいてピストンの先端に回動自在に連結されると共に斜板に摺接するシューであり、
    前記鉄系金属は、前記ピストンの先端に回動自在に連結される本体部として機能し、
    前記Cu合金は、前記斜板に摺接する摺動部として機能することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の摺動部材の製造方法。
JP2015036644A 2015-02-26 2015-02-26 摺動部材の製造方法 Pending JP2015121328A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH03470A (ja) * 1988-08-19 1991-01-07 Komatsu Ltd 摺動部品の製造方法
JP2003260585A (ja) * 2002-03-08 2003-09-16 Masao Hondo パルス通電による固体接合方法および接合装置

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