JP2015120664A - ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法、並びにヨード基含有化合物修飾剤 - Google Patents

ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法、並びにヨード基含有化合物修飾剤 Download PDF

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【課題】新規なボロン酸含有ホスホリルコリン化合物を提供する。【解決手段】ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(1)で表される。(式(1)中、jは、0〜15の整数を示す。kは、1〜9の整数を示す。Wは、フェニル基又はビニレン基を示す。−X(A1)−は、−X−A1−と、−A1−X−と、−X−とのうちのいずれか1つを示す。Xは、エステル結合と、ウレタン結合と、アミド結合と、2級アミノ基を含むメチレン基とのうちのいずれか1つを示す。A1は、所定の構造を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法、並びにヨード基含有化合物修飾剤に関する。
ホスホリルコリン基は、生体膜を構成するリン脂質の極性基である。ホスホリルコリン基は、親水性、保湿性、生体適合性に優れ、またタンパク質の吸着を抑制する作用を有する。
ホスホリルコリン基を有する化合物として、例えば、α−グリセロホスホリルコリンや、特許文献1,2に記載された2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体が知られている。
α−グリセロホスホリルコリンは、例えば、乳化剤や保湿剤の原料として用いることができる。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体は、例えば、化粧品やコンタクトレンズや医療材料の原料として用いることができる。
ホスホリルコリン基とボロン酸との両方を同一分子内に有する化合物(ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物)は、ヨード基を有する化合物をホスホリルコリン基で修飾するための修飾剤として用いることができる。ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物の製造方法が特許文献3,4に開示されている。
特許文献3に記載の技術では、オレフィン含有ホスホリル化合物に対し、ジボランを用いてヒドロホウ素化反応させた後、加水分解させることにより、アルキルボロン酸含有ホスホリルコリン化合物が得られる。
特許文献4に記載の技術では、蛍光物質を含むフェニルボロン酸含有ホスホリルコリン化合物と、フェニルボロン酸含有ホスホリルコリン化合物との鈴木−宮浦クロスカップリングによって、フェニルボロン酸含有ホスホリルコリン化合物をホスホリルコリン基で修飾して蛍光ホスホリルコリン化合物が得られる。特許文献4に記載の蛍光ホスホリルコリン化合物は癌治療における残留悪性腫瘍幹細胞の存在の判定に用いることができる。
特開平7−118123号公報 特開2000−279512号公報 米国特許第5144045号明細書 特表2012−526822号公報
しかしながら、特許文献3で得られるアルキルボロン酸含有ホスホリルコリン化合物では、ヨード基含有化合物との鈴木−宮浦クロスカップリング反応における反応性が、フェニルボロン酸含有ホスホリルコリン化合物よりも著しく低い。そのため、アルキルボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、ヨード基含有化合物をホスホリルコリン基で十分に修飾できない可能性がある。
また、特許文献4で用いられるフェニルボロン酸含有ホスホリルコリン化合物の製造方法は、パラヨードベンジルブロミドを原料とした8工程にもわたる煩雑な製造工程を含む。
更に、特許文献3及び特許文献4に記載のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物では、ボロン酸とホスホリルコリン基とがアルキレン基やエーテル結合により接続されている。一方で、アルキレン基やエーテル結合以外の官能基を含むボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は一般的に知られていない。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、新規なボロン酸含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法、並びにヨード基含有化合物修飾剤を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 2015120664


(式(1)中、jは、0〜15の整数を示す。kは、1〜9の整数を示す。Wは、フェニル基又はビニレン基を示す。−X(A)−は、−X−A−と、−A−X−と、−X−とのうちのいずれか1つを示す。Xは、エステル結合と、ウレタン結合と、アミド結合と、2級アミノ基を含むメチレン基とのうちのいずれか1つを示す。Aは、下記式(2a)で表される構造と、下記式(2b)で表される構造と、下記式(2c)で表される構造とのうちのいずれか1つである。)
Figure 2015120664


Figure 2015120664


Figure 2015120664

新規なボロン酸含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法、並びにヨード基含有化合物修飾剤を提供する
本発明の一実施形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、下記式(4)で表される。
Figure 2015120664


(式(4)中、jは、0〜15の整数を示す。kは、1〜9の整数を示す。Wは、フェニル基又はビニレン基を示す。−X(A)−は、−X−A−と、−A−X−と、−X−とのうちのいずれか1つを示す。Xは、エステル結合と、ウレタン結合と、アミド結合と、2級アミノ基を含むメチレン基とのうちのいずれか1つを示す。Aは、下記式(5a)で表される構造と、下記式(5b)で表される構造と、下記式(5c)で表される構造とのうちのいずれか1つである。)
Figure 2015120664


Figure 2015120664

Figure 2015120664

この構成によれば、エステル結合と、ウレタン結合と、アミド結合と、2級アミノ基を含むメチレン基とのうちのいずれか1つを含むボロン酸含有ホスホリルコリン化合物を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物の製造方法では、下記式(7)で表されるボロン酸含有化合物と、下記式(8)で表されるホスホリルコリン基含有化合物とを用意し、上記ボロン酸含有化合物と上記ホスホリルコリン基含有化合物とを付加反応させる。
Figure 2015120664


(式(7)中、Yは、カルボキシル基と、一級アミノ基と、エポキシ基と、ホルミル基と、シクロカーボネート基とのうちのいずれか1つを示す。jは、0〜15の整数を示す。Wは、フェニル基又はビニレン基を示す。)
Figure 2015120664


(式(8)中、Z、カルボキシル基と、一級アミノ基と、エポキシ基と、ホルミル基と、シクロカーボネート基とのうちのいずれか1つを示す。kは、1〜9の整数を示す。)
この構成によれば、エステル結合と、ウレタン結合と、アミド結合と、2級アミノ基を含むメチレン基とのうちのいずれか1つを含むボロン酸含有ホスホリルコリン化合物の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るヨード基含有化合物修飾剤は、上記ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物からなり、ヨード基を有する化合物をホスホリルコリン基で修飾する。
上記ヨード基を有する化合物が、ヨード基含有タンパク質、ヨード基含有ポリエチレングリコール、又はヨード基含有ペプチドであってもよい。
この構成によれば、ヨード基を有する化合物をホスホリルコリン基で良好に修飾可能なヨード基含有化合物修飾剤を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
<ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物>
本発明の一実施形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、ボロン酸及びホスホリルコリン基を有する。具体的に、本実施形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(9)で表される。
Figure 2015120664


式(9)中、jは、0〜15の整数を示す。jは、入手のしやすさから、0又は1であることが好ましい。Wは、フェニル基又はビニレン基を示す。−X(A)−は、−X−A−と、−A−X−と、−X−とのうちのいずれか1つを示す。Xは、エステル結合と、ウレタン結合と、アミド結合と、2級アミノ基を含むメチレン基とのうちのいずれか1つを示す。Aは、式(10)で表される構造と、式(11)で表される構造とのうちのいずれか1つである。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

なお、Aの向きは任意である。例えば、式(10)で表される構造は−CH−CH(OH)−であっても、−CH(OH)−CH−であってもよい。更に、Xの官能基の向きは任意である。例えば、エステル結合は、−C(O)O−であっても、−OC(O)−であってもよい。また、ウレタン結合は、−NHC(O)O−であっても、−OC(O)NH−であってもよい。アミド結合は、−NHC(O)−であっても、−C(O)NH−であってもよい。2級アミノ基を含むメチレン基は、−NHCH−であっても−CHNH−であってもよい。
式(9)において、Wがフェニル基であり、Xが―C(O)O―であり、Aが式(10)で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、3−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、4−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−3−ヒドロキシブチルホスホリルコリン、5−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−4−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、6−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン、7−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−6−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、8−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−7−ヒドロキシオクチルホスホリルコリン、9−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−8−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、10−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−9−ヒドロキシデシルホスホリルコリン、11−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン、3−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−4−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、7−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−6−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、9−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−8−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、11−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン、3−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−4−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン、7−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−6−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、9−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−8−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、11−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(12)で表される6−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリンや、式(13)で表される11−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

式(9)において、Wがビニレン基であり、Xが―C(O)O―であり、Aが式(2)で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、6−(ジヒドロキシボリルビニルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン、11−[(6−ジヒドロキシボリル−5−ヘキセン−1−イル)カルボニルオキシ]−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(14)で表される6−(ジヒドロキシボリルエチニルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664

式(9)において、Wがフェニル基であり、Xが―C(O)O―であり、Aが式(11)で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、2−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、3−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−4−ヒドロキシブチルホスホリルコリン、4−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−5−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、5−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン、6−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−7−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、7−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−8−ヒドロキシオクチルホスホリルコリン、8−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−9−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、9−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−10−ヒドロキシデシルホスホリルコリン、10−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン、2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、4−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−5−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−7−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、8−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−9−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、10−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルボニルオキシ]−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン、2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、4−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−5−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン、6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−7−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、8−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−9−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、10−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(15)で表される5−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリンや、式(16)で表される10−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

式(9)において、Wがビニレン基であり、Xが―C(O)O―であり、Aが式(11)で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、5−(ジヒドロキシボリルエチニルカルボニルオキシ)−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン、10−[(6−ジヒドロキシボリル−5−ヘキセン−1−イル)カルボニルオキシ]−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(17)で表される5−(ジヒドロキシボリルエチニルカルボニルオキシ)−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664

式(9)において、Wがフェニル基であり、Xが―NHC(O)O―であり、Aが式(10)で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、3−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−4−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、7−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−6−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、9−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−8−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、11−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン、3−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−4−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、7−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−6−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、9−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−8−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、11−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(18)で表される3−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリンや、式(13)で表される6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−5−ヒドロキシプロピルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

式(9)において、Wがビニレン基であり、Xが―NHC(O)O―であり、Aが式(10)で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、3−[(3−ジヒドロキシボリル−2−プロペン−1−イル)カルバモイルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、6−[(4−ジヒドロキシボリル−3−ブテン−1−イル)カルバモイルオキシ]−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(20)で表される3−[(3−ジヒドロキシボリル−2−プロペン−1−イル)カルバモイルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664

式(9)において、Wがフェニル基であり、Xが―NHC(O)O―であり、Aが式(11)で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、4−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−5−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−7−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、8−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−9−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、10−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン、2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、4−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−5−ヒドロキシペンチルホスホリルコリン、6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−7−ヒドロキシヘプチルホスホリルコリン、8−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−9−ヒドロキシノニルホスホリルコリン、10−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)カルバモイルオキシ]−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(21)で表される2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリンや、式(22)で表される5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−6−ヒドロキシプロピルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

式(9)において、Wがビニレン基であり、Xが―NHC(O)O―であり、Aが式(3)で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、2−[(3−ジヒドロキシボリル−2−プロペン−1−イル)カルバモイルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、5−[(4−ジヒドロキシボリル−3−ブテン−1−イル)カルバモイルオキシ]−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(23)で表される2−[(3−ジヒドロキシボリル−2−プロペン−1−イル)カルバモイルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664

式(9)において、Wがフェニル基であり、Xが―NHCH―で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、2−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]エチルホスホリルコリン、4−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]ブチルホスホリルコリン、6−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]ヘキシルホスホリルコリン、8−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]オクチルホスホリルコリン、10−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]デシルホスホリルコリン、2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)アミノ]エチルホスホリルコリン、4−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)アミノ]ブチルホスホリルコリン、6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)アミノ]ヘキシルホスホリルコリン、8−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)アミノ]オクチルホスホリルコリン、10−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)アミノ]デシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(18)で表される2−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]エチルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664

式(9)において、Wがビニレン基であり、Xが―NHCH―で表される構造であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物としては、例えば、2−[(3−ジヒドロキシボリル−2−プロペン−1−イル)アミノ]エチルホスホリルコリン、10−[(4−ジヒドロキシボリル−3−ブテン−1−イル)アミノ]デシルホスホリルコリン等が挙げられる。
合成容易性の観点から、上記のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(19)で表される2−[(3−ジヒドロキシボリル−2−プロペン−1−イル)アミノ]エチルホスホリルコリンであることが好ましい。
Figure 2015120664

<ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物の製造方法>
式(9)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(26)で表されるボロン酸含有化合物と、式(27)で表されるホスホリルコリン基含有化合物との付加反応により得ることができる。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

式(26)中、Wはフェニル基又はビニレン基を示す。Yは、カルボキシル基と、一級アミノ基と、エポキシ基と、ホルミル基と、シクロカーボネート基とのうちのいずれか1つを示す。jは、0〜15の整数を示す。jは、入手のしやすさから、0又は1であることが好ましい。Wがフェニル基の場合、入手のしやすさからは、ベンゼン環の置換基の位置は、Yを有する置換基に対してボロン酸がメタ位あるいはパラ位であることが好ましい。Wがビニレン基の場合、立体異性体はシス体でもトランス体でもよい。
式(27)中、Z、カルボキシル基と、一級アミノ基と、エポキシ基と、ホルミル基と、シクロカーボネート基とのうちのいずれか1つを示す。kは、1〜9の整数を示す。kは、入手のしやすさから、1、4又は9であることが好ましい。
式(9)において、Xが―C(O)O―であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(26)のYがカルボキシル基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物とを、非プロトン性極性溶媒中、塩基存在下で反応させることにより得られる。
式(26)のWがフェニル基であり、Yがカルボキシル基であるボロン酸含有化合物としては、例えば、3−ジヒドロキシボリル安息香酸、3−ジヒドロキシボリルフェニルエタン酸、3−(4−ジヒドロキシボリルフェニル)ブタン酸、4−ジヒドロキシボリル安息香酸、4−ジヒドロキシボリルフェニルエタン酸、4−(4−ジヒドロキシボリルフェニル)ブタン酸等が挙げられる。
式(26)のWがビニレン基であり、Yがカルボキシル基であるボロン酸含有化合物としては、例えば、3−ジヒドロキシボリル−2−プロペン酸、5−ジヒドロキシボリル−4−ペンテン酸、7−ジヒドロキシボリル−6−ヘプテン酸等が挙げられる。
式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物としては、例えば、2,3−エポキシプロピルホスホリルコリン、3,4−エポキシブチルホスホリルコリン、4,5−エポキシペンチルホスホリルコリン、5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン、6,7−エポキシヘプチルホスホリルコリン、7,8−エポキシオクチルホスホリルコリン、8,9−エポキシノニルホスホリルコリン、9,10−エポキシデシルホスホリルコリン、10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリンが挙げられる。
式(9)において、Xが―NHC(O)O―であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがシクロカーボネート基であるホスホリルコリン基含有化合物とを、極性溶媒中で反応させることにより得られる。
式(26)のWがフェニル基であり、Yがアミノ基であるボロン酸含有化合物としては、例えば、(3−アミノフェニル)ジヒドロキシボラン、[3−(2−アミノメチル)フェニル]ジヒドロキシボラン、[(3−アミノエチル)フェニル]ジヒドロキシボラン、(4−アミノフェニル)ジヒドロキシボラン、[4−(2−アミノメチル)フェニル]ジヒドロキシボラン、[4−(3−アミノエチル)フェニル]ジヒドロキシボラン等が挙げられる。
式(26)のWがビニレン基であり、Yがアミノ基であるボロン酸含有化合物としては、例えば、(3−アミノ−1−プロペニル)ジヒドロキシボラン、(4−アミノ−1−ブテニル)ジヒドロキシボラン等が挙げられる。
式(27)のZがシクロカーボネート基であるホスホリルコリン基含有化合物としては、例えば、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルホスホリルコリン、2−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)エチルホスホリルコリン、3−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)プロピルホスホリルコリン、4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリン、5−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ペンチルホスホリルコリン、6−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ヘキシルホスホリルコリン、7−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ヘプチルホスホリルコリン、8−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)オクチルホスホリルコリン、9−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ノニルホスホリルコリンが挙げられる。
式(9)において、Xが―NHCH―であるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがホルミル基であるホスホリルコリン基含有化合物とを、プロトン性極性溶媒中で反応させ、更に還元剤と反応させることにより得られる。
式(26)のWがフェニル基であり、Yがアミノ基であるボロン酸含有化合物としては、例えば、(4−アミノフェニル)ジヒドロキシボラン、[4−(3−アミノエチル)フェニル]ジヒドロキシボランが挙げられる。
式(26)のWがビニレン基でYがアミノ基であるボロン酸含有化合物としては、例えば、(3−アミノ−1−プロペニル)ジヒドロキシボラン、(4−アミノ−1−ブテニル)ジヒドロキシボラン等が挙げられる。
式(27)のZがホルミル基であるホスホリルコリン基含有化合物としては、ホルミルメチルホスホリルコリン、2−ホルミルエチルホスホリルコリン、3−ホルミルプロピルホスホリルコリン、4−ホルミルブチルホスホリルコリン、5−ホルミルペンチルホスホリルコリン、6−ホルミルヘキシルホスホリルコリン、7−ホルミルヘプチルホスホリルコリン、8−ホルミスオクチルホスホリルコリン、9−ホルミルノニルホスホリルコリンが挙げられる。
式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物は、例えば、米国特許第5,144,045号明細書に記載される製造方法により得ることができる。
式(27)のZがシクロカーボネート基であるホスホリルコリン基含有化合物は、例えば、特開2009−242289号公報に記載された製造方法により得ることができる。
式(27)のZがホルミル基であり、k=1であるホスホリルコリン基含有化合物は、例えば、特開2005−187456号公報に記載された製造方法により得ることができる。
式(27)のZがホルミル基であり、k=2〜9であるホスホリルコリン基含化合物は、例えば、ジヒドロキシル基含有ホスホリルコリン化合物を酸化的開裂することにより得ることができる。このジヒドロキシル基含有ホスホリルコリン化合物は、例えば、米国特許第5,144,045号明細書に記載されたアルケニル基含有ホスホリルコリン化合物のエポキシ化により得られるエポキシ基含有ホスホリルコリン化合物を酸触媒存在下で開環することにより得ることができる。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがカルボキシル基であるボロン酸含有化合物を、式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物に開環付加反応させて、式(12)〜(17)で表されるようなエステル結合及び水酸基を有する反応生成物を得ることができる。得られる反応生成物は、そのまま未精製で用いることができる他、減圧乾燥、再沈殿、再結晶、カラム、イオン交換、ゲルろ過等の処理により単離、精製後に用いることもできる。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがカルボキシル基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物との反応に用いられる溶媒としては、一般的な非プロトン性溶媒を採用可能である。
採用可能な非プロトン性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチルメチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、シクロペンチルメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。なお、化合物の溶解性、化合物の反応性の観点から、非プロトン性溶媒はクロロホルムであることが好ましい。
本実施形態にて使用する非プロトン性溶媒の量は、式(27)のZがエポキシ基であるボロン酸含有化合物に対して質量比で通常1〜20倍量、好ましくは2〜15倍量、最も好ましくは4〜10倍量である。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがカルボキシル基であるボロン酸含有化合物の量は、式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物に対してモル比で0.5〜2.0倍量、好ましくは0.8〜1.5倍量、最も好ましくは1.0〜1.2倍量である。
ボロン酸含有化合物の量がホスホリルコリン基含有化合物に対して0.5倍量より少ない場合には、高い反応転化率が得られない場合がある。また、ボロン酸含有化合物の量がホスホリルコリン基含有化合物に対して2.0倍量よりも多い場合には、反応転化率の向上に寄与せずに無駄になるボロン酸含有化合物が発生する。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがカルボキシル基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物との反応に用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。なお、これら塩基の中でも、トリエチルアミンが特に好ましい。
本実施形態にて使用する塩基の量は、式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物に対してモル比で0.05〜0.5倍量、好ましくは0.1〜0.2倍量である。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物を、式(27)のZがシクロカーボネート基であるホスホリルコリン基含有化合物に開環付加反応させて、式(18)〜(24)で表されるようなウレタン結合及び水酸基を有する反応生成物を得ることができる。得られる反応生成物は、そのまま未精製で用いることができる他、減圧乾燥、再沈殿、再結晶、カラム、イオン交換、ゲルろ過等の処理により単離、精製後に用いることもできる。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがカルボキシル基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがエポキシ基であるホスホリルコリン基含有化合物との反応における反応温度は、通常0〜80℃、好ましくは30〜60℃、最も好ましくは40〜50℃の範囲である。
反応温度が0℃よりも低い場合には、反応に長時間を要する場合がある。また、80℃を超える反応温度では、反応温度を高くしても反応速度が向上しないため、製造コストなどの観点から反応温度は80℃以下に抑えることが好ましい。反応時間は、反応温度や濃度などの条件により適宜決定されるが、通常1〜10時間程度であることが好ましい。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがシクロカーボネート基であるホスホリルコリン基含有化合物との反応に用いられる溶媒としては、一般的な極性溶媒を採用可能である。
採用可能な極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。なお、化合物の溶解性、化合物の反応性の観点から、極性溶媒はメタノールであることが好ましい。
本実施形態にて使用する極性溶媒の量は、式(27)のZがシクロカーボネート基であるホスホリルコリン基含有化合物に対して質量比で通常1〜20倍量、好ましくは2〜15倍量、最も好ましくは4〜10倍量である。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物の量は、式(27)のZがシクロカーボネート基であるホスホリルコリン基含有化合物に対してモル比で0.5〜3.0倍量、好ましくは1.0〜2.5倍量、最も好ましくは1.5〜2.0倍量である。
ボロン酸含有化合物の量がホスホリルコリン基含有化合物に対して0.5倍量より少ない場合は、高い反応転化率が得られない場合がある。また、ボロン酸含有化合物の量がホスホリルコリン基含有化合物に対して3.0倍量よりも多い場合には、反応転化率の向上に寄与せずに無駄になるボロン酸含有化合物が発生する。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがシクロカーボネート基であるホスホリルコリン基含有化合物との反応における反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜40℃、最も好ましくは20〜30℃の範囲である。
反応温度が0℃よりも低い場合には、反応に長時間を要する場合がある。また、50℃を超える反応温度では、反応温度を高くしても反応速度が向上しないため、製造コストなどの観点から反応温度は50℃以下に抑えることが好ましい。反応時間は、反応温度、濃度などの条件により適宜決定されるが、通常5〜24時間程度であることが好ましい。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物を、式(27)のZがホルミル基であるホスホリルコリン基含有化合物に付加反応させて、式(24)〜(25)で表されるようなアミノ結合を有する反応生成物を得ることができる。得られる反応生成物は、そのまま未精製で用いることができる他、減圧乾燥、再沈殿、再結晶、カラム、イオン交換、ゲルろ過等の処理により単離、精製後に用いることもできる。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがホルミル基であるホスホリルコリン基含有化合物との反応に用いられる溶媒としては、一般的なプロトン性溶媒を採用可能である。
採用可能なプロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール等が挙げられる。なお、化合物の溶解性、化合物の反応性の観点から、プロトン性溶媒はメタノール、エタノールであることが好ましい。
本実施形態にて使用するプロトン性溶媒の量は、式(27)のZがホルミル基であるホスホリルコリン基含有化合物に対して質量比で通常1〜60倍量、好ましくは10〜50倍量、最も好ましくは20〜40倍量である。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物の量は、式(27)のZがホルミル基であるホスホリルコリン基含有化合物に対してモル比で0.5〜2.0倍量、好ましくは0.8〜1.5倍量、最も好ましくは1.0〜1.2倍量である。
ボロン酸含有化合物の量がホスホリルコリン基含有化合物に対して0.5倍量より少ない場合には、高い反応転化率が得られない場合がある。また、ボロン酸含有化合物の量がホスホリルコリン基含有化合物に対して2.0倍量よりも多い場合には、反応転化率の向上に寄与しない無駄なボロン酸含有化合物が発生する。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基であるボロン酸含有化合物と、式(27)のZがホルミル基であるホスホリルコリン基含有化合物との反応に用いられる還元剤としては、例えば、2−ピコリンボラン、シアノヒドロホウ素化ナトリウムが挙げられる。なお、還元剤は、2−ピコリンボランであることが好ましい。
本実施形態にて使用する還元剤の量は、式(27)のZがホルミル基であるホスホリルコリン基含有化合物に対してモル比で1.0〜2.5倍量、好ましくは1.5〜2.0倍量である。
本実施形態に係る製造方法において、式(26)のYがアミノ基である化合物と、式(27)のZがホルミル基である化合物との反応における反応温度は、通常0〜60℃、好ましくは10〜40℃、最も好ましくは20〜30℃の範囲である。
反応温度が0℃よりも低い場合には、反応に長時間を要する場合がある。また、60℃を超える反応温度では、反応温度を高くしても反応速度が向上しないため、製造コストなどの観点から反応温度は60℃以下に抑えることが好ましい。反応時間は、反応温度、濃度などの条件により適宜決定されるが、通常1〜5時間程度であることが好ましい。
<ヨード基含有化合物修飾剤>
本実施形態に係る式(9)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物によって修飾可能なヨード基を有する化合物としては、例えば、ヨード化ポリエチレングリコール、ヨード化ペプチド、ヨード化タンパク質が挙げられる。
上記のヨード化ポリエチレングリコールの分子量は400〜20000である。
上記のヨード基を有するペプチドの分子量は100〜1000である。ペプチドを構成するアミノ酸の種類は任意である。
上記のヨード化タンパク質としては、例えば、ヨード基を有するBSA(アルブミン ウシ血清由来),ヨード基を有するKLH(キーホールリモペットヘモシアニン),ヨード基を有するオボアルブミンが挙げられる。
ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物と、ヨード基を有する化合物とをパラジウム触媒存在下での鈴木−宮浦クロスカップリングによって、ヨード基を有する化合物をホスホリルコリン基で修飾することができる。得られる反応生成物は、そのまま未精製で用いることができる他、減圧乾燥、再沈殿、再結晶、カラム、イオン交換、ゲルろ過等の処理により単離、精製後に用いることもできる。
ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物とヨード基含有化合物との反応において、触媒は必須ではないが、反応時間短縮の観点から触媒を用いることが好ましい。
使用可能な触媒としては、0価又は2価のパラジウムを採用可能である。0価又は2価のパラジウムとしては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム(II)、塩化[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウム(II)、塩化[ビス(トリフェニルホスフィン)]パラジウム(II)、塩化[ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)]パラジウム(II)等が挙げられる。
本実施形態にて使用される触媒の量は、ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物に対してモル比で0.01〜1倍量、好ましくは0.02〜0.5倍量、最も好ましくは0.05〜0.1倍量である。
本実施形態に係るヨード基含有化合物への修飾方法において、ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物とヨード基含有化合物との反応における溶媒としては、ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物で表される化合物が溶解する溶媒を適宜採用可能である。
採用可能な触媒としては、例えば、例えば水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、N−N‘−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。化合物の溶解性、化合物の反応性の観点から、溶媒は水であることが好ましい。
本実施形態にて使用される触媒の量は、ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物に対して質量比で通常1〜60倍量、好ましくは10〜50倍量、最も好ましくは20〜40倍量である。
ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物とヨード基含有化合物との反応における反応温度は、通常0〜80℃、好ましくは20〜70℃、最も好ましくは40〜60℃の範囲である。
反応温度が0℃よりも低い場合には、反応に長時間を要する場合がある。また、80℃を超える反応温度では、反応温度を高くしても反応速度が向上しないため、製造コストなどの観点から反応温度は80℃以下に抑えることが好ましい。反応時間は、反応温度、濃度などの条件により適宜決定されるが、通常1〜24時間程度であることが好ましい。なお、反応温度は、ペプチド及びタンパク質が変性しない温度(30〜40℃)であることが特に好ましい。
本実施形態に係るヨード基含有タンパク質への修飾方法において用いられる縮合剤としては、アミノ基とカルボキシル基とを縮合できるものが採用可能である。
採用可能な縮合剤としては、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ジベンジルシクロオクチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−カルボベンゾキシオキシスクシンイミド、N−(2−クロロベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニルオキシ]スクシンイミド、N−スクシンイミジルアクリレート、N−スクシンイミジル−6−(2,4−ジニトロアニリロ)ヘキサノエイト、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニルオキシ]スクシンイミド等が挙げられる。反応性の観点から、縮合剤は、ジベンジルシクロオクチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルであることが好ましい。
<本実施形態で得られる効果>
本実施形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、分子内に親水性、保湿性、タンパク質吸着の抑制などの優れた生体適合性を示すホスホリルコリン基を有し、かつヨード基との鈴木−宮浦クロスカップリングが可能なボロン酸を有する。そのため、本実施形態に係る修飾剤では、ヨード基を有する低分子化合物、ポリマー、生体分子等に穏やかな条件下でホスホリルコリン基を導入することができる。
また、本実施形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、ウレタン結合、水酸基、エステル結合、あるいはアミノ基等の水素結合性官能基を鎖中に有するため、高い水溶性を有している。そのため、本実施形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、生体分子と水中で容易に結合可能である。
更に、本実施形態に係るボロン酸含有ホスホリルコリン化合物は、アミノ基又はカルボキシル基を有するボロン酸含有化合物と、これらの官能基と温和な条件で容易に反応可能であるエポキシ基、ホルミル基、あるいはシクロカーボネート基を有するホスホリルコリン基とを反応させることにより、高収率で簡便に合成可能である。
以下、実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されない。
[合成例1]式(29)で示すホスホリルコリン基含有化合物(5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン)の合成
100mLのフラスコに式(28)で表される5−ヘキセニルホスホリルコリン1.06g(4.0mmol)、メタクロロ過安息香酸1.73g(10.0mmol)、及びクロロホルム40mLを加えて、室温で24時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水20mLを加えた。析出した白色固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液を酢酸エチル20mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して、式(29)で表される5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリンを得た。収量は920mg(3.23mmol)、収率は82%であった。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

[合成例2]式(31)で表されるホスホリルコリン基含有化合物(10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、式(30)で表される10−ウンデセニルホスホリルコリン335mg(1.0mmol)、メタクロロ過安息香酸431mg(2.5mmol)、及びクロロホルム10mLを加えて、室温で24時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水10mLを加えた。析出した白色固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去したろ液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して、式(31)で表される10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリンを得た。収量は273mg(0.78mmol)、収率は78%であった。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

[合成例3]式(32)で表されるホスホリルコリン基含有化合物(1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン)の合成
500mLの四つ口フラスコに、グリセリンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン−メタノール)20.0g(169mmol)、トリエチルアミン17.1g(169mmol)、及びテトラヒドロフラン250mLを加えて、攪拌しながら0℃まで冷却した。2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホラン(シグマ−アルドリッチ社製)24.0g(169mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、得られた溶液を上記のフラスコに滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応混合物を昇温して室温で2時間反応を継続させた。副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩をろ別し、ろ液中に1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルエチレンサイクリックホスフェイトがあることをNMRにて確認した。得られたろ液、及びアセトニトリル300mLを、1Lの密栓付き耐圧瓶に移し替え、その耐圧瓶にトリメチルアミン40.0g(676mmol)を加えて密栓し、70℃で20時間反応させた。過剰のトリメチルアミンを留去後、反応液を−20℃で半日放置して結晶を生成させた。生成物をろ過し、アセトニトリル1Lで洗浄し、50℃で一晩減圧乾燥させ、式(24)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリンを得た。収量は21.5g(76.1mmol)、収率は45.0%であった。
Figure 2015120664

[合成例4]式(33)で表される化合物(4−(4−ヒドロキシブチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン)の合成
200mLのフラスコに、1,2,6−ヘキサントリオール(東京化成工業製)26.8g(200mmol)、炭酸ジメチル19.8g(220mmol)、及び炭酸カリウム60.8g(440mmol)を加えて、80℃で15時間反応させた。反応混合物を酢酸エチル100mLに希釈した液体を、水100mLで3回洗浄した。有機層を減圧濃縮し、残渣を減圧乾燥させ、式(33)で表される4−(4−ヒドロキシブチル)−1,3−ジオキソラン−2−オンを得た。収量は25.3g(158mmol)、収率は79%であった。
Figure 2015120664

[合成例5]式(34)で表されるホスホリルコリン基含有化合物(4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリン)の合成
500mLの四つ口フラスコに、式(33)で表される4−(4−ヒドロキシブチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン20.0g(125mmol)、トリエチルアミン12.6g(125mmol)、及びテトラヒドロフラン250mLを加えて、攪拌しながら0℃まで冷却した。2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホラン(シグマ−アルドリッチ社製)17.8g(125mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、得られた溶液を上記のフラスコに滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応混合物を昇温して室温で2時間反応を継続させた。副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩をろ別し、ろ液中に1,3−ジオキソラン−2−オン−4−ブチルエチレンサイクリックホスフェイトがあることをNMRにて確認した。得られたろ液、及びアセトニトリル300mLを1Lの密栓付き耐圧瓶に移し替え、その耐圧瓶にトリメチルアミン29.6g(500mmol)を加えて密栓し、70℃で20時間反応させた。過剰のトリメチルアミンを留去後、反応液を−20℃で半日放置して結晶を生成させた。生成物をろ過し、アセトニトリル1Lで洗浄し50℃で一晩減圧乾燥させ、式(34)で表される4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリンを得た。収量は17.6g(53.8mmol)、収率は43.0%であった。
Figure 2015120664

[合成例6]式(36)で表されるホスホリルコリン基含有化合物(ホルミルメチルホスホリルコリン)の合成
500mLの四つ口フラスコに、式(35)で表される特開2009−242289号公報に記載される2,3−ジヒドロキシプロピルホスホリルコリン5.14g(20.0mmol)、及び水170mLを加えて攪拌した。過ヨウ素酸ナトリウム6.41g(30.0mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣にメタノールを加えた。析出した固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液にイオン交換樹脂(三菱化学製DIAION WA21)を加えて3時間攪拌した。ろ過(PTFEフィルター:0.45μm)により固体を除去し、ろ液を減圧濃縮して、式(36)で表されるホルミルメチルホスホリルコリンを得た。収量は3.90g(17.3mmol)、収率は87%であった。
Figure 2015120664


Figure 2015120664


[合成例7]式(38)で表されるホスホリルコリン基含有化合物(10,11−ジヒドロキシウンデシルホスホリルコリン)の合成
200mLのフラスコに、式(37)で表される米国特許第5,144,045号明細書に記載される10−ウンデシルホスホリルコリン1.68g(5.0mmol)、メタクロロ過安息香酸2.16g(12.5mmol)、アンバーリスト650mg、クロロホルム15mL、及び水30mLを加えて室温で48時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水10mLを加えた。析出した白色固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して、式(30)で表される10,11−ジヒドロキシウンデシルホスホリルコリンを得た。収量は1.75g(4.75mmol)、収率は95%であった。
Figure 2015120664


Figure 2015120664

[合成例8]式(39)で表されるホスホリルコリン基含有化合物(9−ホルミルノニルホスホリルコリン)の合成
50mLフラスコに、式(38)で表される10,11−ジヒドロキシウンデシルホスホリルコリン369mg(1.0mmol)、及び水10mLを加えて攪拌した。過ヨウ素酸ナトリウム321mg(1.5mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣にメタノールを加えた。析出した固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液にイオン交換樹脂(三菱化学製DIAION WA21)を加えて3時間攪拌した。ろ過(PTFEフィルター:0.45μm)により固体を除去し、ろ液を減圧濃縮して、式(39)で表される9−ホルミルノニルホスホリルコリンを得た。収量は297mg(0.88mmol)、収率は88%であった。
Figure 2015120664

[実施例1−1]式(41)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(6−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン)、及び式(42)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(5−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、合成例1で合成した式(29)で表される5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン282mg(1.0mmol)、式(40)で表される4−カルボキシフェニルボロン酸182mg(1.1mmol)、及びクロロホルム5mLを加えて室温で攪拌した。トリエチルアミン10.1mg(0.1mmol)を加え、50℃で5時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水10mLを加えた。この水溶液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して式(41)で表される6−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン、及び式(42)で表される5−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリンを7:3の比で得た。収量は277mg(0.62mmol)、収率は62%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):1.36−1.59(m,6H,−O−CHCH −CH −CH −CH−),3.24(s,9H,−N(CH),3.61−3.62(m,2H,−O−CHCH −N(CH),3.76−4.66(m,7H,−CH −CH−CH −,−O−CH −CH−CH−CH−CH−),4.23−4.30(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH),7.85(d,2H,−CHofPh),8.35(d,2H,−CHofPh)
31P−NMR(CDOD):1.05
Figure 2015120664


Figure 2015120664


Figure 2015120664

[実施例1−2]式(43)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(11−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン)、及び式(44)(10−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物の合成
50mLのフラスコに、合成例2で合成した式(31)で表される10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリン351mg(1.0mmol)、式(40)で表される4−カルボキシフェニルボロン酸182mg(1.1mmol)及びクロロホルム5mLを加えて、室温で攪拌した。トリエチルアミン10.1mg(0.1mmol)を加え、50℃で5時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水10mLを加えた。この水溶液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して式(43)で表される11−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−10−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリン、及び式(44)で表される10−(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−カルボニルオキシ)−11−ヒドロキシウンデシルホスホリルコリンを7:3の比で得た。収量は284mg(0.55mmol)、収率は55%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):1.36−1.72(m,16H,−O−CHCH −CH −CH −CH −CH −CH −CH −CH −CH−),3.24(s,9H,−N(CH),3.62−3.63(m,2H,−O−CHCH −N(CH),3.76−4.66(m,5H,−CH −CH−CH−,−O−CH −CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−),4.26−4.33(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH),7.82(d,2H,−CHofPh),8.34(d,2H,−CHofPh)
31P−NMR(CDOD):1.12
Figure 2015120664


Figure 2015120664

[実施例1−3]式(46)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン)、及び式(47)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、合成例1で合成した式(29)で表される5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン282mg(1.0mmol)、式(45)で表される5−(4−ジヒドロキシボリルフェニル)ペンタン酸244mg(1.1mmol)、及びクロロホルム5mLを加えて、室温で攪拌した。トリエチルアミン10.1mg(0.1mmol)を加え、50℃で5時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水10mLを加えた。この水溶液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して式(46)で表される6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−5−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリン、及び式(47)で表される5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−ブチル)カルボニルオキシ]−6−ヒドロキシヘキシルホスホリルコリンを7:3の比で得た。収量は343mg(0.68mmol)、収率は68%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):1.24−1.60(m,10H,−O−CHCH −CH −CH −CH−,−OC(O)CHCH −CH −CH−Ph),2.17(t,2H,−OC(O)CH−CH−CHCH −Ph),2.33(t,2H,−OC(O)CH −CH−CH−CH−Ph)3.24(s,9H,−N(CH),3.61−3.62(m,2H,−O−CHCH −N(CH),3.76−4.66(m,7H,−CH −CH−CH −,−O−CH −CH−CH−CH−CH−),4.23−4.30(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH),7.85(d,2H,−CHofPh),8.35(d,2H,−CHofPh)
31P−NMR(CDOD):1.03
Figure 2015120664


Figure 2015120664


Figure 2015120664

[実施例1−4]式(49)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(3−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン)、及び式(50)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、合成例3で合成した式(32)で表される(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルホスホリルコリン283mg(1.0mmol)、及びメタノール10mLを加えた。式(48)で表される4−アミノメチルフェニルボロン酸塩373mg(2.0mmol)を加え、室温で24時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(50mL)中に滴下した。上澄みを除去し、沈殿物を減圧乾燥して式(49)で表される3−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、及び式(50)で表される2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリンを3:2の比で得た。収量は382mg(0.88mmol)、収率は88%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):3.25(s,9H,−N(CH),3.62−3.64(m,2H,−O−CHCH −N(CH),3.90−3.97(m,4H,−O−CH −CH−CH−,−Ph−CH −NH−),3.98−4.21(m,5H,−O−CH−CH−CH−CHCH−CH−,−NH−C(O)O−CH −CH−,−OC(O)NH−CH −),4.28−4.37(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH),7.44(d,2H,−CHofPh),8.05(d,2H,−CHofPh)
31P−NMR(CDOD):0.93,1.10
Figure 2015120664


Figure 2015120664


Figure 2015120664

[実施例1−5]式(51)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−5−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン)、及び式(52)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−6−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、合成例5で合成した式(34)で表される4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリン325mg(1.0mmol)、及びメタノール10mLを加えた。式(48)で表される4−アミノメチルフェニルボロン酸塩373mg(2.0mmol)を加え、室温で24時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(200mL)中に滴下した。上澄みを除去し、沈殿物を減圧乾燥して式(51)で表される6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−5−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、及び式(52)で表される5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−6−ヒドロキシプロピルホスホリルコリンを3:2の比で得た。収量は392mg(0.85mmol)、収率は85%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):1.40−1.68(m,6H,−O−CHCH −CH −CH −CH−CH−),3.25(s,9H,−N(CH),3.62−3.64(m,2H,−O−CHCH −N(CH),3.88−3.97(m,4H,−O−CH −CH−CH−CH−CH−CH−,−Ph−CH −NH−),4.05−4.20(m,3H,−O−CH−CH−CH−CHCH−CH−,−NH−C(O)O−CH −CH−),4.28−4.37(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH),7.44(d,2H,−CHofPh),8.05(d,2H,−CHofPh)
31P−NMR(CDOD):1.15
Figure 2015120664


Figure 2015120664

[実施例1−6]式(54)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(2−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]エチルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、合成例6で合成した式(36)で表されるホルミルメチルホスホリルコリン225mg(1.0mmol)、及びメタノール10mLを加えた。式(53)で表される4−アミノフェニルボロン酸137mg(1.0mmol)、及び2−ピコリンボラン214mg(2.0mmol)を加え、室温で2時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残渣を水10mLに溶解させた。この水溶液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して式(54)で表される2−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]エチルホスホリルコリンを得た。収量は228mg(0.66mmol)、収率は66%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):2.94(t,2H,−O−CHCH −NH−),3.20(s,9H,−N(CH),3.66−3.69(m,2H,−O−CHCH −N−(CH),3.99−4.03(m,2H,−O−CH −CH−NH−),4.29−4.35(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH,7.40(d,2H,−CH of Ph),8.02(d,2H,−CH of Ph)
31P−NMR(CDOD):0.80
Figure 2015120664


Figure 2015120664

[実施例1−7]式(56)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)アミノ]エチルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、合成例6で合成した式(36)で表されるホルミルメチルホスホリルコリン225mg(1.0mmol)、及びメタノール10mLを加えた。式(55)で表される[4−(2−アミノエチル)フェニル]ジヒドロキシボラン165mg(1.0mmol)、及び2−ピコリンボラン214mg(2.0mmol)を加え、室温で2時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残渣を水10mLに溶解させた。この水溶液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して式(56)で表される2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−エチル)アミノ]エチルホスホリルコリンを得た。収量は325mg(0.87mmol)、収率は87%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):2.33(t,2H,−NH−CHCH −Ph),2.85−2.96(m,4H,−O−CHCH −NH−CH −CH−Ph),3.20(s,9H,−N(CH),3.66−3.69(m,2H,−O−CHCH −N−(CH),3.99−4.03(m,2H,−O−CH −CH−NH−),4.29−4.35(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH,7.40(d,2H,−CHofPh),8.01(d,2H,−CHofPh)
31P−NMR(CDOD):0.80
Figure 2015120664


Figure 2015120664

[実施例1−8]式(58)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(2−[(3−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]エチルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、合成例6で合成した式(36)で表されるホルミルメチルホスホリルコリン225mg(1.0mmol)、及びメタノール10mLを加えた。式(57)で表される3−アミノフェニルボロン酸137mg(1.0mmol)、及び2−ピコリンボラン214mg(2.0mmol)を加え、室温で2時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残渣を水10mLに溶解させた。この水溶液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して、式(58)で表される2−[(3−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]エチルホスホリルコリンを得た。収量は235mg(0.68mmol)、収率は68%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):2.94(t,2H,−O−CHCH −NH−),3.20(s,9H,−N(CH),3.66−3.69(m,2H,−O−CHCH −N−(CH),3.99−4.03(m,2H,−O−CH −CH−NH−),4.29−4.35(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH,7.41(d,1H,−CHofPh),7.78(dd,1H,−CHofPh),7.94(d,1H,−CHofPh),8.18(d,1H,−CHofPh)
31P−NMR(CDOD):0.77
Figure 2015120664


Figure 2015120664

[実施例1−9]式(59)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物(10−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]デシルホスホリルコリン)の合成
50mLのフラスコに、合成例8で合成した式(39)で表される9−ホルミルノニルホスホリルコリン337mg(1.0mmol)、及びメタノール10mLを加えた。式(53)で表される4−アミノフェニルボロン酸137mg(1.0mmol)、及び2−ピコリンボラン214mg(2.0mmol)を加え、室温で2時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残渣を水10mLに溶解させた。この水溶液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して式(59)で表される10−[(4−ジヒドロキシボリルベンゼン−1−イル)アミノ]デシルホスホリルコリンを得た。収量は263mg(0.70mmol)、収率は70%であった。得られた生成物に関するH−NMR及び31P−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDOD):1.45−1.70(m,16H,−O−CHCH −CH −CH −CH −CH −CH −CH −CH −CH−NH−),2.98(t,2H,−O−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CHCH −NH−),3.20(s,9H,−N(CH),3.64−3.67(m,2H,−O−CHCH −N−(CH),3.94−3.99(m,2H,−O−CH −CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−NH−),4.29−4.35(m,2H,−O−CH −CH−N−(CH),7.01(d,2H,−CHofPh),7.95(d,2H,−CHofPh)
31P−NMR(CDOD):0.83
Figure 2015120664

[実施例2−1]ホスホリルコリン基含有ポリエチレングリコールの合成
50mLフラスコに、ポリエチレングリコール(重量平均分子量=5000,SUNBRIGHT ME−050CS,日油製)5.0g(1.0mmol)、ジメチルホルムアミド(20mL)を加えた。4−ヨードアニリン(東京化成工業製)328mg(1.5mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。反応混合物をエタノールで2回再沈殿し、減圧乾燥後に凍結乾燥を行ってヨード化ポリエチレングリコールを得た。
得られたヨード化ポリエチレングリコール、実施例1−4で合成した式(49)で表される3−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−2−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、実施例1−4で合成した式(50)で表される2−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−3−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン混合物461mg(1.1mmol)、及びリン酸緩衝液(pH8.0)10mLを加えた。LPd(OAc)で表される酢酸パラジウム(Lの構造は式(60)に示す)を含む溶液0.2mL(0.1mmol)を加え、50℃で24時間攪拌した。反応混合物をアセトンで2回再沈殿し、減圧乾燥後に凍結乾燥を行ってホスホリルコリン基含有ポリエチレングリコールを得た。
Figure 2015120664

[実施例2−2]ホスホリルコリン基含有ペプチドの合成
50mLフラスコに、ポリLリジン(重量平均分子量=1013、受託合成品、シグマ−アルドリッチ社製)1.01g(1.0mmol)、4−ヨードアニリン328mg(1.5mmol)、及びジメチルスルホキシド10mLを加えた。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩287mg(1.5mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物をエタノールで2回再沈殿し、減圧乾燥後に凍結乾燥を行ってヨード化ペプチドを得た。
得られたヨード化ペプチド968mg(0.8mmol)、実施例1−5で合成した式(51)で表される6−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−5−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン、実施例1−5で合成した式(52)で表される5−[(1−ジヒドロキシボリルベンゼン−4−メチル)カルバモイルオキシ]−6−ヒドロキシプロピルホスホリルコリン混合物361mg(1.0mmol)、及びリン酸緩衝液(pH8.0)10mLを加えた。LPd(OAc)で表される酢酸パラジウムを含む溶液0.2mL(0.1mmol)を加え、30℃で24時間攪拌した。反応混合物をエタノールで2回再沈殿し、減圧乾燥後に凍結乾燥を行ってホスホリルコリン基含有ペプチドを得た。
[実施例2−3]ホスホリルコリン基含有BSAの合成
BSA(アルブミン ウシ血清由来)(シグマ−アルドリッチ社製)100mgをリン酸緩衝液(pH7−9)10mL溶解させ、リン酸緩衝液で平衡化したPD−10(ゲルろ過カラム GEヘルスケア社製)カラムにかけた。この溶出液に、ジベンジルシクロオクチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル10mgのジメチルスルホキシド溶液2mLを加え、室温で30分攪拌した。1M トリス塩酸緩衝液(pH8.0)を1mL加えて室温で5分攪拌した。反応溶液をリン酸緩衝液で平衡化したPD−10カラムにかけた。この溶出液に、実施例2−3で合成したホスホリルコリン基含有ペプチド10mgのリン酸緩衝液溶液2.5mLを加え、室温で3時間攪拌した。反応混合物をリン酸緩衝液で平衡化したPD−10カラムにかけ、凍結乾燥を行ってホスホリルコリン基含有BSAを得た。
<りんの定量>
実施例2−1、実施例2−2、及び実施例2−3で合成した化合物についてホスホリルコリン基が良好に修飾されていることを確認するため、りんの定量(モリブデン青法)を行った。りんの定量にはメルク社製のりん定キット(phosphate cell test)を用いて、簡易型全リン計によりP元素の含有量を測定した。
具体的には、反応セルに、所定の濃度(≒0.01wt%)に調製した、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、及び実施例2−4に係るホスホリルコリン基含有化合物(セルロース、ポリエチレングリコール、ペプチド、BSA)の水溶液5mLを加え、p−1k試薬を1回分添加して攪拌混合後、リアクター(CR3200)内で、120℃で30分反応させる。リファレンスとして各ホスホリルコリン基含有化合物を含まないイオン交換水のみの反応セルにも、p−1kを加えた後に同様にリアクター内で反応させた。反応後、30分間室温で冷却し、各反応セルにp−2k試薬を5滴ずつ加えて攪拌混合する。その後、p−3k試薬を各反応セルに1回分加え、5分間放置する。その後、pHotoFlexにより612nmの吸光度からP元素の含量(mg/l)を測定した。
Figure 2015120664


表1は、実施例2−1、実施例2−2、及び実施例2−3についてPC基導入率を示している。実施例2−1、実施例2−2、及び実施例2−3のいずれでも、PC基導入率が充分に高く、ホスホリルコリン基の修飾が良好に行われていた。
Figure 2015120664

以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表されるボロン酸含有ホスホリルコリン化合物。
    Figure 2015120664


    (式(1)中、jは、0〜15の整数を示す。kは、1〜9の整数を示す。Wは、フェニル基又はビニレン基を示す。−X(A)−は、−X−A−と、−A−X−と、−X−とのうちのいずれか1つを示す。Xは、エステル結合と、ウレタン結合と、アミド結合と、2級アミノ基を含むメチレン基とのうちのいずれか1つを示す。Aは、下記式(2a)で表される構造と、下記式(2b)で表される構造と、下記式(2c)で表される構造とのうちのいずれか1つである。)
    Figure 2015120664


    Figure 2015120664


    Figure 2015120664

  2. 下記式(3)で表されるボロン酸含有化合物と、下記式(4)で表されるホスホリルコリン基含有化合物とを用意し、
    前記ボロン酸含有化合物と上記ホスホリルコリン基含有化合物とを付加反応させる
    ボロン酸含有ホスホリルコリン化合物の製造方法。
    Figure 2015120664



    (式(3)中、Yは、カルボキシル基と、一級アミノ基と、エポキシ基と、ホルミル基と、シクロカーボネート基とのうちのいずれか1つを示す。jは、0〜15の整数を示す。Wは、フェニル基又はビニレン基を示す。)
    Figure 2015120664


    (式(4)中、Z、カルボキシル基と、一級アミノ基と、エポキシ基と、ホルミル基と、シクロカーボネート基とのうちのいずれか1つを示す。kは、1〜9の整数を示す。)
  3. 請求項1に記載のボロン酸含有ホスホリルコリン化合物からなり、
    ヨード基を有する化合物をホスホリルコリン基で修飾する
    ヨード基含有化合物修飾剤。
  4. 請求項3に記載のヨード基含有化合物修飾剤であって、
    前記ヨード基を有する化合物が、ヨード基含有タンパク質、ヨード基含有ポリエチレングリコール、又はヨード基含有ペプチドである
    ヨード基含有化合物修飾剤。
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