JP2015118836A - リチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法及びリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材 - Google Patents

リチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法及びリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池セパレータに用いる不織布基材において、無機顔料を含む塗液を塗工する際に、塗液が裏面に抜けにくく、薄膜化処理により高密度化した場合でもインピーダンスの低い不織布基材を提供しようとするものである。【解決手段】湿式抄造法により得られたポリエステル繊維を主体とする不織布からなるリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法において、第一工程として、該不織布を加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させて加熱・加圧処理した後、第二工程として、20〜50℃に制御された金属ロールとタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させて加圧処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法、及びリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法及びリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材に関する。
リチウムイオン二次電池(以下、「電池」と略記する場合がある)用のセパレータとしては、従来、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔膜が用いられてきた。しかし、ポリオレフィン樹脂製多孔膜には、電池が異常発熱した場合に溶融・収縮し、正負極を隔離する機能が失われて著しい短絡を生じ、発火や爆発に至る場合があるという問題があった。
電池が異常発熱した場合でも溶融・収縮を生じにくいセパレータとして、リチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材(以下、「不織布基材」と略記する場合がある)に各種の無機顔料を塗工してなるセパレータが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1のセパレータは、不織布基材に無機顔料を含む塗液を塗工して製造されるが、薄いセパレータを製造しようとする場合、塗液が不織布基材の裏面に滲出し、不織布基材を支持しているロールを汚すことがあり、塗工層にピンホールが生じやすかった。
特許文献2の不織布基材は、薄いセパレータを製造しようとする際、強度がやや不十分となる場合があり、塗工操作における破断等が生じる場合があった。特許文献3のセパレータは、塗工操作における塗液の裏抜けが見られる場合があり、高容量化のためさらに薄いセパレータを製造しようとした場合、密度が高くなり、不織布基材のインピーダンスが高くなり、塗工操作後のセパレータ自体のインピーダンスが高くなる場合があった。
特表2005−536857号公報 特開2009−230975号公報 特開2011−82148号公報
本発明は、上記課題を解決しようとするものである。すなわち、リチウムイオン二次電池セパレータに用いる不織布基材の製造方法において、無機顔料を含む塗液を塗工する際に、塗液が裏面に抜けにくく、高密度でありながら、インピーダンスの低い不織布基材を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するための手段として、
(1)湿式抄造法により得られたポリエステル繊維を主体とする不織布からなるリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法において、第一工程として、不織布基材原反を加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させて加熱・加圧処理した後、第二工程として、20〜50℃に制御された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させて加圧処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法、
(2)前記(1)のリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法によって製造されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材、
を見出した。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法によれば、カレンダー処理による薄膜化処理により高密度化した場合でもインピーダンスが低く、無機顔料を含む塗液を塗工する際に、塗液が裏面に抜けにくいリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を製造することができる。
すなわち、第一工程として、湿式抄造法により得られたポリエステル繊維を主体とする不織布基材原反を加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させて加熱・加圧処理した後、第二工程として、20〜50℃に制御された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させて加圧処理することにより、高密度でもインピーダンスが低く、無機顔料を含む塗液を塗工した際に裏抜けしにくいリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得ることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法及びリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材をより詳細に説明する。
本発明の湿式抄造法により得られたポリエステル繊維を主体とする不織布からなるリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法において、第一工程として、不織布基材原反を加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させて、加熱・加圧処理した後、第二工程として、20〜50℃に制御された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させて加圧処理することを特徴とする。このような処理を行うことにより、無機顔料を含む塗液を塗工した際に裏抜けしにくく、高密度でありながら、インピーダンスの低い不織布基材を得ることが可能となる。
本発明では、第一工程において、加熱された金属ロールと弾性ロールとの組み合わせからなり、該ロール間に不織布基材原反を通過させて加熱・加圧処理(熱カレンダー処理)を行うための熱カレンダー装置の弾性ロールのカバー材料として、フッ素ゴムを使用する。フッ素ゴムからなる弾性ロール(フッ素ゴムロール)は、不織布基材原反を加熱・加圧処理する場合、耐熱性に優れ、熱伝導性及び圧力伝播性が良好で、高強度の不織布基材への加工に効果的である。
本発明において、フッ素ゴムの原料ポリマーとしては、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの二元共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンの三元共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとプロピレンの三元共重合体等が挙げられ、これに適宜、加硫剤、及び添加剤を加え、混練、成形、加硫することにより、フッ素ゴムが得られる。加硫剤としては、ジアミン加硫剤、ビスフェノール加硫剤、過酸化物加硫剤、ポリオール加硫剤が挙げられ、このうち1種、又は2種類以上を組み合わせて使用しても良い。添加剤としては、加硫促進剤、軟化剤、充填剤、老化防止剤等が挙げられ、例えば加硫促進剤としては、無機系の酸化亜鉛や酸化マグネシウム等、有機系のステアリン酸やアミン類、チアゾール類等が挙げられ、適宜使用できる。
本発明において、フッ素ゴムは、熱カレンダー装置の弾性ロールのカバー材に加工され、フッ素ゴムロールとなり、湿式抄造法にて得られたポリエステル繊維を主体とする不織布基材原反は、第一工程として、加熱された金属ロールと該フッ素ゴムロールの間にニップされて、加熱・加圧処理される。
本発明において、フッ素ゴムロールの硬度は、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータの測定において60〜80であり、65〜75がより好ましい。硬度が80を超えると、熱カレンダー処理において、繊維の融着が進み過ぎ、第二工程後の不織布基材のインピーダンスが高くなる。一方、60未満では、十分なセパレータ強度が得られないばかりか、厚さのばらつきが大きくなる場合がある。
本発明において、第一工程の熱カレンダー装置とは、弾性ロールと剛性ロールとの組み合わせからなる。本発明では、弾性ロールとして、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールを使用し、剛性ロールとして、耐熱性、耐食性、耐久性に優れる金属ロールを使用する。金属ロールとしては、温度プロファイルの良好な誘導発熱方式のロールが好ましい。ロール段数は2本以上であれば良く、特に限定されるものではない。また、ロールは制御された線圧と温度を適宜掛けることができる。
本発明において、第一工程として、加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させて、加熱・加圧処理した不織布基材原反を、第二工程として、20〜50℃に制御された金属ロールとタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させて加圧処理し、厚さ調整を行う。
本発明では、第二工程において、20〜50℃に制御された金属ロールと弾性ロールの組み合わせからなり、該ロール間に不織布基材原反を通過させて加圧処理(カレンダー処理)を行うためのカレンダー装置の弾性ロールのカバー材料として、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95である樹脂ロールやコットンロール等が使用できる。樹脂ロールに使用される樹脂としては、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリイソシアヌレート系、エポキシ樹脂系、ポリエステル系、ポリエステルアミド系等の合成樹脂が挙げられる。
本発明において、第二工程の20〜50℃に制御された金属ロールと組み合わせて使用する弾性ロールの硬度は、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータの測定において80〜95であり、85〜92がより好ましい。硬度が80未満では、目標とする薄さに厚さを調整することが困難となる。一方、硬度が95を超えると、不織布基材の強度が低下し易くなり、インピーダンスも高くなる場合がある。
本発明において、第二工程の20〜50℃に制御された金属ロールとタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとを組み合わせたカレンダー装置とは、弾性ロールと剛性ロールとの組み合わせからなる。本発明では、弾性ロールとして、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールを使用し、剛性ロールとして、耐食性、耐久性に優れる金属ロールを使用する。金属ロールとしては、温度プロファイルの良好な誘導発熱方式のロールが好ましい。ロール段数は2本以上であれば良く、特に限定されるものではない。また、ロールは制御された線圧と温度を適宜掛けることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材は、ポリエステル繊維を主体としてなる。ポリエステル繊維を主体としてなるとは、不織布基材中にポリエステル繊維を60質量%以上含有することを表す。不織布基材におけるポリエステル繊維の含有量は70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。ポリエステル繊維の含有量が70質量%よりも少ない場合、強度が弱くなる場合がある。
本発明におけるポリエステル繊維の平均繊維径は0.1〜15μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。平均繊維径が0.1μm未満では、繊維が細すぎて、不織布基材から脱落する場合があり、平均繊維径が15μmより太いと、不織布基材の厚さを薄くすることが困難になる場合がある。
本発明における平均繊維径は、不織布基材の走査型電子顕微鏡写真より、不織布基材を形成する繊維の繊維径を計測し、無作為に選んだ50本の平均値から算出できる。
本発明におけるポリエステル繊維の繊維長は1〜15mmが好ましく、1.5〜10mmがより好ましく、2〜5mmがさらに好ましい。繊維長が1mmより短いと、不織布基材から脱落することがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚さむらが生じる場合がある。
本発明におけるポリエステル繊維を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート等の半芳香族ポリエステルが挙げられる。これらの中でも、リチウムイオン二次電池用セパレータに使用する場合には、耐熱性に優れているポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明において、不織布基材は、上記ポリエステル繊維以外の繊維を含有しても良い。例えば、溶剤紡糸セルロースや再生セルロースの短繊維やフィブリル化物;天然セルロース繊維;天然セルロース繊維のパルプ化物やフィブリル化物;ポリオレフィン、アクリル、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメジン、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの樹脂からなる単繊維や複合繊維、これらをフィブリル化したものを適量単独で含有しても良いし、2種類以上の組み合わせで含有しても良い。また、各種の分割型複合繊維を分割させたものを含有しても良い。
なお、半芳香族とは、重合体を構成する繰り返し単位の一部に例えば脂肪鎖などを有するものを指す。全芳香族とは、ポリアリレート、パラ型アラミド、メタ型アラミド等のように芳香環を含有する単量体同士を重合したものを指す。
本発明において、バインダーとして機能する熱融着性合成樹脂短繊維を使用することができる。熱融着性合成樹脂短繊維としては、芯鞘型、偏芯型、分割型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型の複合繊維、あるいは単一成分からなる繊維(単繊維)等が挙げられるが、特に未延伸ポリエステル系短繊維や芯部に非熱接着成分、鞘部に熱接着成分を配した芯鞘型熱融着性合成樹脂短繊維を含有することが好ましい。未延伸ポリエステル系短繊維は均一性を向上させる点において好適であり、芯鞘型熱融着性合成樹脂短繊維は、芯部の繊維形状を維持しつつ、鞘部のみを軟化、溶融又は湿熱溶解させて繊維同士を熱接着させるため、不織布基材の緻密な構造を損なわずに繊維同士を接着させるのに好適である。熱融着性合成樹脂短繊維を、加熱又は湿熱加熱により、軟化、溶融又は湿熱溶解させて、繊維同士を熱接着させることによって、高い機械的強度が得られる。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材において、熱融着性合成樹脂短繊維の含有率は、不織布基材に対して、10〜60質量%であることが好ましく、25〜50質量%であることがより好ましい。熱融着性合成樹脂短繊維の含有率が10質量%未満だと、不織布基材の機械的強度が低下するおそれがあり、60質量%を超えると、熱寸法安定性が低下する場合がある。
本発明において、第一工程である熱カレンダー処理後の不織布基材原反の密度は0.40〜0.55g/cmが好ましく、0.45〜0.0.52g/cmがより好ましい。0.40g/cm未満では、十分な不織布基材原反の強度が得られない場合があり、0.55g/cmより高いと、繊維同士の熱融着によるフィルム化が進みやすく、第二工程後の不織布基材のインピーダンスが高くなり過ぎる場合がある。
本発明において、第二工程であるカレンダー処理後の不織布基材の密度は0.55〜0.80g/cmが好ましく、0.60〜0.70g/cmがより好ましい。0.55g/cm未満では、無機顔料を含有する塗液を塗布したセパレータの薄膜化が不十分となる場合があり、0.80g/cmより高いと、不織布基材のインピーダンスが高くなり過ぎる場合がある。
本発明における湿式抄造法は、繊維を水中に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを円網、長網、傾斜式等のワイヤーの少なくとも1つを有する抄紙機を用いて、繊維ウェブを得る方法である。
繊維ウェブから不織布を製造する方法としては、水流交絡法、ニードルパンチ法、バインダー接着法等を使用することができる。特に、均一性を重視して湿式法を用いる場合、熱融着性繊維を含有させて、バインダー接着法によって該熱融着性短繊維を接着させることが好ましい。バインダー接着法により、均一な繊維ウェブから均一な不織布基材原反が形成される。
本発明において、第一工程で不織布基材原反を加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させ処理する際の線圧は30〜180kN/mが好ましく、60〜120kN/mがより好ましい。30kN/m未満では、十分な不織布基材の強度が得られない場合があり、180kN/mより高いと、不織布基材の密度が高くなり過ぎる場合がある。
本発明において、第一工程で不織布基材原反を加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させ処理する際の処理速度は5〜80m/minが好ましく、10〜60m/minがより好ましい。5m/min未満では、生産効率が低下すると共に、不織布基材の密度が高くなり過ぎる場合があり、80m/minより速いと、シート切れが発生し易くなり、十分な不織布基材の強度が得られない場合がある。
本発明において、第一工程で不織布基材原反を処理する際の金属ロールの温度は175〜230℃が好ましく、185〜210℃がより好ましい。175℃未満では、十分な不織布基材の強度が得られない場合があり、230℃より高いと、不織布基材の密度が高くなり過ぎる場合がある。
本発明において、第二工程で不織布基材原反を20〜50℃に制御された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させ処理する際のニップ圧は40〜150kN/mが好ましく、70〜120kN/mがより好ましい。40kN/m未満では、十分な不織布基材の強度が得られない場合があり、150kN/mより高いと、不織布基材の密度が高くなり過ぎる場合や、不織布基材の強度低下が大きくなる場合がある。
本発明において、第二工程で不織布基材原反を20〜50℃に制御された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させ処理する際の処理速度は5〜80m/minが好ましく、10〜60m/minがより好ましい。5m/min未満では、不織布基材の密度が高くなり過ぎる場合があり、80m/minより速いと、シート切れが発生し易くなり、十分な不織布基材の強度が得られない場合がある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<フッ素ゴムA>
フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの二元共重合体からなるフッ素ゴム。
<フッ素ゴムB>
フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンの三元共重合体からなるフッ素ゴム。
<フッ素ゴムC>
フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとプロピレンの三元共重合体からなるフッ素ゴム。
(実施例1)
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維30質量部、繊度0.1dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維30質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)系熱融着性短繊維40部を、パルパーの水中で混合、離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1質量%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを傾斜型抄紙機による湿式抄造法を用いて湿潤状態の繊維ウェブを形成し、145℃に設定したヤンキードライヤーと150℃に設定した熱風フードにより乾燥させて、坪量10.0g/mの不織布基材の原反を得た。
次に、第一工程として、この不織布基材の原反を、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が65のフッ素ゴムAからなる弾性ロールと、195℃に加熱された金属ロールとの間を、線圧100kN/m、処理速度10m/minで1ニップ通過させて、加熱・加圧処理し、さらに、第二工程として、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が92のポリエステルアミド系樹脂ロールと、40℃に制御された金属ロールとの間を、線圧100kN/m、処理速度20m/minで1ニップ通過させて、加圧処理し、長さ1000mのリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例2)
実施例1において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を70とし、処理速度を20m/minとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例3)
実施例1において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を75とし、処理速度を30m/minとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例4)
実施例1において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を62とし、処理速度を40m/minとし、第二工程における弾性ロールをタイプDデュロメータにより測定される硬度が82のコットンロールとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例5)
実施例1において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を78とし、処理速度を50m/minとし、第二工程における弾性ロールをタイプDデュロメータにより測定される硬度が95のポリアミド系樹脂ロールとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例6)
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40質量部、繊度0.1dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維10質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)系熱融着性短繊維40部、リファイナーを用いて、1.7dtex、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を叩解処理し、平均繊維長0.5mm、変法濾水度50mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース10質量部を、パルパーの水中で混合、離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1質量%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを傾斜型抄紙機による湿式抄造法を用いて湿潤状態の繊維ウェブを形成し、145℃に設定したヤンキードライヤーと150℃に設定した熱風フードにより乾燥させて、坪量9.0g/mの不織布基材の原反を得た。
次に、第一工程として、この不織布基材の原反を、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が65のフッ素ゴムBからなる弾性ロールと、200℃に加熱された金属ロールとの間を、線圧85kN/m、処理速度20m/minで1ニップ通過させて、加熱・加圧処理し、さらに、第二工程として、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が86のポリエステル系樹脂ロールと、30℃に制御された金属ロールとの間を、線圧120kN/m、処理速度30m/minで1ニップ通過させて、加圧処理し、長さ1000mのリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
ここで、溶剤紡糸セルロース繊維とは、セルロース誘導体を経ずに、直接、有機溶剤に溶解させて紡糸して得られるセルロース繊維を意味し、叩解処理によりフィブリル化することができ、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の叩解度を変法濾水度で表す。
なお、変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1質量%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値のことである。
(実施例7)
実施例6において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を70とした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例8)
実施例6において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を75とした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例9)
実施例6において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を61とし、第二工程における弾性ロールをタイプDデュロメータにより測定される硬度が82のコットンロールとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例10)
実施例6において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を79とし、第二工程における弾性ロールをタイプDデュロメータにより測定される硬度が95のポリアミド系樹脂ロールとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例11)
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維30質量部、繊度0.1dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維10質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)系熱融着性短繊維40部、アクリル系(アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸誘導体の3成分からなるアクリロニトリル系共重合体)繊維20質量部を、パルパーの水中で混合、離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1質量%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを傾斜型抄紙機による湿式抄造法を用いて湿潤状態の繊維ウェブを形成し、145℃に設定したヤンキードライヤーと150℃に設定した熱風フードにより乾燥させて、坪量9.0g/mの不織布基材の原反を得た。
次に、第一工程として、この不織布基材の原反を、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が62のフッ素ゴムCからなる弾性ロールと、185℃に加熱された金属ロールとの間を、線圧70kN/m、処理速度30m/minで1ニップ通過させて、加熱・加圧処理し、さらに、第二工程として、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定される硬度が94のポリエステルポリアミド系樹脂ロールと、45℃に制御された金属ロールとの間を、線圧75kN/m、処理速度10m/minで1ニップ通過させて、加圧処理し、長さ1000mのリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例12)
実施例11において、第一工程における線圧を50kN/mとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例13)
実施例11において、第一工程における金属ロールの加熱温度を175℃とした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例14)
実施例11において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を78、金属ロールの加熱温度を210℃、線圧を120kN/mとし、第二工程における弾性ロールをタイプDデュロメータにより測定される硬度が85のポリウレタン系樹脂ロールとし、線圧を130kN/mとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例15)
実施例11において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を78、金属ロールの加熱温度を210℃、線圧を150kN/mとし、第二工程における弾性ロールをタイプDデュロメータにより測定される硬度が85のポリウレタン系樹脂ロールとし、線圧を130kN/mとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(実施例16)
実施例11において、第一工程における弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度を78、金属ロールの加熱温度を220℃、線圧を120kN/mとし、第二工程における弾性ロールをタイプDデュロメータにより測定される硬度が85のポリウレタン系樹脂ロールとし、線圧を130kN/mとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例1)
実施例1において、第一工程における弾性ロールを、タイプAデュロメータにより測定される硬度が65のエチレンプロピレンゴムからなる弾性ロールとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例2)
実施例6において、第一工程における弾性ロールを、タイプAデュロメータにより測定される硬度が70のシリコーンゴムからなる弾性ロールとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例3)
実施例11において、第一工程における弾性ロールを、タイプAデュロメータにより測定される硬度が50のフッ素ゴムCからなる弾性ロールとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例4)
実施例14において、第一工程における弾性ロールを、タイプAデュロメータにより測定される硬度が90のフッ素ゴムCからなる弾性ロールとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例5)
実施例14において、第二工程における弾性ロールを、タイプDデュロメータにより測定される硬度が75のエポキシ樹脂ロールとし、金属ロールの温度を10℃、線圧を100kN/m、処理速度を50m/minとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例6)
実施例14において、第二工程における弾性ロールを、タイプDデュロメータにより測定される硬度が97のポリエステルアミド系樹脂ロールとし、金属ロールの温度を60℃、線圧を100kN/m、処理速度を50m/minとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例7)
実施例1において、第一工程における弾性ロールを、タイプAデュロメータにより測定される硬度が90のエチレンプロピレンゴムからなる弾性ロールとし、金属ロールの加熱温度を220℃、線圧を100kN/mとし、第二工程における弾性ロールを、タイプDデュロメータにより測定される硬度が70のエポキシ樹脂からなる弾性ロールとし、金属ロールの温度を20℃、線圧を160kN/m、処理速度を10m/minとした以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例8)
実施例1において、第二工程を実施しなかった以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
(比較例9)
実施例1において、第一工程における弾性ロールを、タイプDデュロメータにより測定される硬度が94のポリアミド系樹脂からなる弾性ロールとし、線圧を150kN/m、処理速度を20m/minとし、第二工程を実施しなかった以外は、同様にしてリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
実施例及び比較例で得られた不織布基材について、以下の測定を行い、結果を表1に示した。
<不織布基材に対する評価>
[不織布基材原反の厚さ]
JIS C 2111に準拠して、第一工程後及び第二工程後の不織布基材原反の厚さ(μm)を、マイクロメータを用いて幅方向10点測定し、その平均値を算出した。
[不織布基材原反の密度]
JIS P 8124に準拠して、不織布基材の坪量を第一工程後及び第二工程後の不織布基材原反の厚さで除した値を算出し、これを密度(g/cm)とした。
[不織布基材の機械的強度]
作製した不織布基材について、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−1150)を用いて、JIS P 8113に準じて縦方向(MD)の引張強度を測定した。試験片のサイズは、縦方向250mm、幅50mmとし、2個のつかみ治具の間隔を100mm、引張速度を300mm/minとした。1試料について引張強度を5点測定し、全測定値の平均値を算出した。
[不織布基材のインピーダンス]
作製した不織布基材を電解液(1mol/L−LiPF/エチレンカーボネート(EC)+ジエチルカーボネート(DEC)+ジメチルカーボネート(DMC)(1:1:1、体積比))に浸した後、2つの略円筒形銅電極に挟み、LCRメーター(Instec社製、装置名:LCR−821)を使用して、200kHzにおける交流インピーダンスの抵抗成分を測定した。
[厚さのばらつき]
作製した不織布基材の厚さについて、平均値(P)と標準偏差(P)を算出し、次の式(1)から変動係数を求めた。実施例1〜16及び比較例1〜7では、第二工程後の不織布基材原反の厚さが不織布基材の厚さであり、比較例8及び9では、第一工程後の不織布基材原反の厚さが不織布基材の厚さである。
変動係数(%)=厚さの標準偏差(P)/厚さの平均値(P)×100 (1)
変動係数が小さいほど不織布基材の厚さのばらつきが小さいことを示し、以下の基準で、厚さのばらつきを評価した。
◎:変動係数が0以上2.0%未満。
○:変動係数が2.0以上4.0%未満。
△:変動係数が4.0以上6.0%未満。
×:変動係数が6.0%以上。
[塗液の裏抜け評価]
体積平均粒子径0.6μm、BET比表面積16.0m/gのベーマイト100質量部を、水150質量部中に分散したものに、その1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が250mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩2質量%水溶液50質量部を添加・撹拌混合し、ガラス転移点−18℃、体積平均粒子径0.2μmのカルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%)10部を添加・撹拌混合し、最後に調整水を加え、固形分濃度25質量%の塗液Aを作製した。
実施例及び比較例の不織布基材に、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用い、30m/minのライン速度にて、乾燥塗工量が10g/mとなるように塗液Aを片面塗工した。塗工された不織布基材は、リバースグラビアコーターに直結されたロールサポート式エアドライヤーで、100℃の熱風を吹き付けて乾燥させ、セパレータを得た。「塗液の裏抜け」の評価として、塗工装置のガイドロール及びロールサポート式エアドライヤーのサポートロールへの塗液の付着状態により、次の3段階に分類した。
○:ガイドロール又はサポートロールへの塗液の付着がほとんどない。
△:ガイドロール又はサポートロールに塗液が付着しているが、セパレータに再転写はしない。
×:裏抜けした塗液がガイドロール又はサポートロールに付着しており、得られたセパレータに再転写による面の不均一性が生じている。
Figure 2015118836
表1に示した通り、実施例1〜16で作製した不織布基材は、第一工程として、ポリエステル繊維を主体とする不織布を加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させて、加熱・加圧した後、第二工程として、20〜50℃に制御された金属ロールとタイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させて加圧処理しており、無機顔料の塗液を塗工した際の裏抜けが少なく、高密度でありながら、インピーダンスが低く、強度が高く、厚さのばらつきが少なく優れている。
実施例1〜5を比較すると、第一工程のフッ素ゴムからなる弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度がより好ましい範囲にある実施例1〜3は、実施例4及び5に比べ、引張強度が高く、インピーダンスが低く、厚さのばらつきが少なく、塗液の裏抜けもほとんどなく、優れている。
実施例6〜10を比較すると、第一工程のフッ素ゴムからなる弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度がより好ましい範囲にある実施例6〜8は、実施例9及び10に比べ、引張強度が高く、インピーダンスが低く、厚さのばらつきが少なく、塗液の裏抜けもほとんどなく、優れている。
実施例11〜13を比較すると、第一工程のフッ素ゴムからなる弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度がより好ましい範囲にある実施例11は、より好ましい範囲外である実施例12より、引張強度がやや高く、塗液の裏抜けが少なく好ましい。また、実施例13は、第一工程の金属ロール温度がより好ましい範囲より低く、実施例11に比べ、引張強度、塗液の裏抜けがやや劣る。実施例14〜16は、第一工程のフッ素ゴムからなる弾性ロールのタイプAデュロメータにより測定される硬度がより好ましい範囲より高く、引張強度は高いが、インピーダンスもやや高い結果であった。
一方、比較例1では、第一工程の弾性ロールの材質の耐熱性が劣り、実施例1に比べ、引張強度が低く、インピーダンスが高く、厚さのばらつきが大きく、塗液の裏抜けがやや劣っていた。比較例2では、第一工程の弾性ロールの材質が異なり、実施例6に比べ、引張強度が低く、インピーダンスがやや高く、厚さのばらつきが大きく、塗液の裏抜けが劣っていた。比較例3では、第一工程の弾性ロールの材質はフッ素ゴムであるが、タイプAデュロメータにより測定される硬度が本発明の範囲外であり、実施例11に比べ、引張強度が低く、インピーダンスがやや高く、厚さのばらつきがやや大きく、塗液の裏抜けが劣っていた。比較例4についても、第一工程の弾性ロールの材質はフッ素ゴムであるが、タイプAデュロメータにより測定される硬度が本発明の範囲外であり、実施例14に比べ、引張強度は高いが、インピーダンスが高く、厚さのばらつきがやや大きかった。
比較例5では、第二工程の弾性ロールのタイプDデュロメータにより測定される硬度が、本発明の範囲外であり、実施例14に比べ、インピーダンスが高く、厚さのばらつきがやや大きく、塗液の裏抜けもやや劣っていた。また、第二工程の金属ロールの温度が低く、ロールに結露が見られた。比較例6についても、第二工程の弾性ロールのタイプDデュロメータにより測定される硬度が、本発明の範囲外であり、実施例14に比べ、インピーダンスが高く、厚さのばらつきが大きく、塗液の裏抜けもやや劣っていた。比較例7では、第一工程の弾性ロールにおける材質の耐熱性が劣り、また、第二工程の弾性ロールのタイプDデュロメータにより測定される硬度が、本発明の範囲外であり、実施例1に比べ、インピーダンスが高く、厚さのばらつきが大きく、塗液の裏抜けもやや劣っていた。
比較例8では、第一工程は本発明の範囲内であるが、第二工程を実施しておらず、塗液の裏抜けが、実施例1に比べ劣っていた。また、厚さが厚いため、捲回型の電池を組む際に、活物質を塗布した電極と重ねて捲回した電極群が容器内に入らないという問題が発生した。また、比較例9についても、第一工程のみの実施であり、弾性ロールが高硬度であり、インピーダンスが非常に高い不織布基材となった。
本発明の活用例としては、リチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材が好適であるが、電気二重層キャパシタ、その他電気化学素子のセパレータ用不織布基材としても利用できる。

Claims (2)

  1. 湿式抄造法により得られたポリエステル繊維を主体とする不織布からなるリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法において、第一工程として、不織布基材原反を加熱された金属ロールと、JIS K6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が60〜80のフッ素ゴムロールとの間を通過させて加熱・加圧処理した後、第二工程として、20〜50℃に制御された金属ロールと、タイプDデュロメータにより測定される硬度が80〜95の弾性ロールとの間を通過させて加圧処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法。
  2. 請求項1のリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法によって製造されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材。
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