JP2020050983A - 不織布の製造方法 - Google Patents

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緑川 正敏
Masatoshi Midorikawa
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Abstract

【課題】本発明は、上記課題を解決するものである。すなわち、不織布の製造方法であり、高いCD方向の引張強度を示し、電気化学素子セパレータに用いた場合のインピーダンスが低く、電池組立時の加熱乾燥処理によってカールが発生しにくい不織布を提供することにある。【解決手段】延伸ポリエステル繊維と未延伸ポリエステル繊維とを含有してなる湿式不織布を、加熱された金属ロールと弾性ロールとの間を通過させて処理する不織布の製造方法であって、該弾性ロールのJIS K 6253−3:2012に規定されるタイプDデュロメータにより測定された硬度が50〜78であることを特徴とする不織布の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、不織布の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池、アルミニウム電解キャパシタ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の電気化学素子には、極板間の接触を防ぐための電気化学素子セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)が用いられている。
特に、リチウムイオン二次電池に多く使用されているのが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系微多孔膜である。また、これら微多孔膜は熱による高分子膜の融解により孔を塞ぎ、正極と負極を絶縁するシャットダウン効果を利用して、セパレータに安全性を持たせているものもある。しかし、ポリオレフィン系微多孔膜は電解液への親和性が低く、電解液保持性が良くない。そのため、微多孔膜の代わりに不織布等を用い、電解液を保持させることが試みられている。
これら電解液保液性や内部短絡防止、イオン透過性の向上、及びシート強度の問題を解決するために、超微細で短繊維長の合成繊維を含有し、湿式抄造法で製造されてなる不織布タイプのセパレータが開示されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、延伸ポリエステル繊維及び未延伸ポリエステル繊維を含有するポリエステル湿式不織布が開示されている。さらに、不織布のみのセパレータよりも耐熱性に優れるものとするべく、無機粒子等を塗工してなるリチウムイオン二次電池セパレータ用の不織布基材として、湿式抄造法にてポリエステル系短繊維を必須成分として含有し、単一成分型ポリエステル系短繊維バインダーを熱融着させた不織布が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1に開示されている不織布のみのセパレータ及び特許文献2に開示されているリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材において、不織布の機械的強度の発現と厚みの調整を目的に、湿式抄紙後の原紙に熱カレンダー処理を行っている。このような熱カレンダー処理において、金属ロール同士の組合せや金属ロールと高硬度な弾性ロールの組合せを用いた場合、ニップ幅が小さくなりすぎると、ニップ部の単位面積当たりの圧力が高くなるため、不織布表面が皮膜化しやすく、インピーダンスの高い不織布となる場合があった。また、ニップ幅が小さくなりすぎると、ニップ部を通過する時間が短くなるため、不織布の熱寸法安定性が不十分となりやすく、熱収縮率が大きい不織布となる場合があり、このような不織布に無機粒子等を塗工したセパレータでは、電池組立時の加熱乾燥処理によりカールが発生しやすく、電池の生産性が悪くなる場合があった。
カールの発生しにくいリチウムイオン二次電池セパレータ用不織布基材の製造方法として、熱カレンダー処理した後に、150℃以上の熱空気炉内を通過させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3に示されたように、加圧せずに高温で乾加熱した場合、不織布基材に厚みムラによるシワが発生する場合があり、塗工層の欠陥の原因となるおそれがあった。
湿式抄紙にて得られた不織布を、加熱された金属ロールと、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が65〜75のフッ化ビニリデン系ゴムロールを用いて熱カレンダー処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用の不織布基材が提案されている(例えば、特許文献4参照)。このように、硬度の低い弾性ロールを用いれば、ニップ幅を広く取ることが可能となり、過度の加圧による不織布表面の皮膜化を抑制することや、不織布がニップ部を通過する時間を長くすることが可能となる。しかしながら、特許文献3に示されるような低硬度な弾性ロールを用いて熱カレンダー処理した場合、ニップ部の単位面積当たりの圧力が低くなりすぎるため、バインダー繊維の接着効果が十分に発揮されず、生産ラインの幅方向(CD方向)の引張強度が低下しやすく、電池組立時にセパレータが生産ラインの流れ方向(MD方向)に裂けやすくなるという問題があった。
これらリチウムイオン二次電池セパレータ等の電気化学素子セパレータに用いる不織布をはじめとし、物質の透過が要求される製品に使用される不織布においては、物質の透過性を維持しつつ、これを基材とする製品を熱処理した際にカールが生じ難いことや、CD方向の引張強度が高い不織布が望まれている。
特開2005−54348号公報 特開2011−82148号公報 特開2018−67458号公報 特開2015−50175号公報
本発明は、上記課題を解決するものである。すなわち、不織布の製造方法であり、高いCD方向の引張強度を示し、電気化学素子セパレータに用いた場合のインピーダンスが低く、電池組立時の加熱乾燥処理によってカールが発生しにくい不織布を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記発明を見出した。
(1)延伸ポリエステル繊維と未延伸ポリエステル繊維とを含有してなる湿式不織布を、加熱された金属ロールと弾性ロールとの間を通過させて処理する不織布の製造方法であって、該弾性ロールのJIS K 6253−3:2012に規定されるタイプDデュロメータにより測定された硬度が50〜78であることを特徴とする不織布の製造方法。
本発明の不織布の製造方法によれば、従来の熱カレンダーで処理された不織布基材と比べ、高いCD方向の引張強度を示し、電気化学素子セパレータに用いた場合のインピーダンスが低く、電池組立時の加熱乾燥処理によってカールが発生しにくい、不織布を得ることができる。
本発明の不織布の製造方法について詳細に説明する。
本発明の不織布の製造方法は、延伸ポリエステル繊維と未延伸ポリエステル繊維とを含有してなる湿式不織布を、加熱された金属ロールと弾性ロールとの間を通過させて処理する不織布の製造方法であって、該弾性ロールのJIS K 6253−3:2012に規定されるタイプDデュロメータにより測定された硬度(D硬度)が50〜78であることを特徴とする。延伸ポリエステル繊維は主体繊維であり、未延伸ポリエステル繊維はバインダー繊維である。延伸ポリエステル繊維は紡糸後に延伸処理されることにより分子が規則的に配列した繊維であり、未延伸ポリエステル繊維は延伸処理されていない分子が非規則的に存在する繊維である。
本発明においては、湿式抄造法で得た湿式不織布を、熱カレンダー等の装置で加熱・加圧処理することにより、バインダー繊維である未延伸ポリエステル繊維を軟化又は溶融させることによって、機械低強度が高く、熱収縮率の小さい熱寸法安定性に優れた不織布が得られる。これら加熱・加圧処理において、延伸ポリエステル繊維は軟化又は溶融しにくく、断面形状が変化することはあるものの、繊維形状が損なわれることがなく、主体繊維として、不織布の骨格を形成する。
本発明において、延伸ポリエステル繊維のポリエステルとしては、主たる繰り返し単位がアルキレンテレフタレートであるポリエステルが挙げられるが、耐熱性の高いポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。また、繊維の断面形状は円形が好ましい。ただし、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、電解液の保液性のために、他の特性を阻害しない範囲内で含有することができる。
本発明において、延伸ポリエステル繊維の平均繊維径は、0.1〜15μmが好ましく、0.5〜12μmがより好ましく、0.7〜10μmがさらに好ましい。延伸ポリエステル繊維の平均繊維径が0.1μm未満では不織布の強度が不十分となるおそれがあり、平均繊維径が15μmより太いと、厚みを薄くすることが困難になる場合がある。
本発明において、繊維径とは、不織布断面の走査型電子顕微鏡観察により、不織布を形成する繊維断面の面積を計測し、真円に換算した繊維の直径である。平均繊維径は無作為に選んだ50本の繊維における繊維径の平均値である。
本発明において、延伸ポリエステル繊維の繊維長は、1〜15mmが好ましく、2〜10mmがより好ましく、3〜6mmがさらに好ましい。繊維長が1mmより短いと強度が不十分となるおそれがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
本発明において、不織布に含まれる延伸ポリエステル繊維の含有量は、全繊維に対して、20〜80質量%であることが好ましく、30〜75質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることが好ましい。主体繊維である延伸ポリエステル繊維の含有量が20質量%未満の場合、バインダー繊維である未延伸ポリエステル繊維が軟化又は溶融するまで温度を上げる工程において、不織布にシワが発生するおそれがある。また、延伸ポリエステル繊維の含有量が80質量%を超えると、相対的にバインダー繊維である未延伸ポリエステル繊維の含有量が減るため、不織布の強度が不十分となるおそれがある。
本発明において、バインダー繊維として用いられる未延伸ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート及びそれを主体とした共重合体などのポリエステルを紡糸速度800〜1,200m/分で紡糸した未延伸繊維が挙げられる。
本発明において、未延伸ポリエステル繊維の平均繊維径は0.1〜15μmが好ましく、0.5〜12μmがより好ましく、0.7〜10μmがさらに好ましい。平均繊維径が0.1μm未満の場合には、強度が不十分となるおそれがある。平均繊維径が15μmより太いと、厚みを薄くすることが困難になる場合がある。
本発明において、未延伸ポリエステル繊維の繊維長は1〜15mmが好ましく、2〜10mmがより好ましく、3〜6mmがさらに好ましい。繊維長が1mmより短いと強度が不十分となるおそれがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
本発明において、不織布に含まれる未延伸ポリエステル繊維の含有量は、全繊維に対して、20〜70質量%であることが好ましく、25〜65質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。未延伸ポリエステル繊維の含有量が20質量%未満では、強度が不十分となるおそれがある。一方、未延伸ポリエステル繊維の含有量が70質量%を超えると、インピーダンスが高くなる場合がある。
本発明において、不織布は、必要に応じて、上記した延伸ポリエステル繊維及び未延伸ポリエステル繊維以外の繊維を加えても良い。具体的には、合成樹脂繊維としては、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリエステル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維が挙げられ、単一の樹脂からなる単繊維であっても良いし、2種類以上の樹脂からなる複合繊維であっても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型等が挙げられる。天然繊維としては、皮膜の少ない麻パルプ、コットンリンター、リント;再生繊維としては、リヨセル繊維、レーヨン、キュプラ;半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス;無機繊維としては、アルミナ繊維、アルミナ・シリカ繊維、ロックウール、ガラス繊維、マイクロガラス繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナウィスカ、ホウ酸アルミウィスカなどの繊維が挙げられる。上記の繊維の他に、植物繊維として、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプや藁パルプ、竹パルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類を使用することもできる。また、上記の繊維は、フィブリル化されていてもなんら差し支えない。さらに、古紙、損紙などから得られるパルプ繊維等も使用することができる。また、断面形状がT型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も含有できる。
本発明において、不織布は湿式抄造法により形成された湿式不織布である。湿式抄造法では、まず、原料となる繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通り、最終の繊維濃度を0.01〜0.50質量%に調整されたスラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。繊維の分散性を均一にするために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙機としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー等の抄紙網が単独で設置されている抄紙機、同種又は異種の2種以上の抄紙網がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機等を使用することができる。また、2層以上の多層構造の不織布を製造する方法としては、各々の抄紙機で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法、一方の層を形成した後に、該層上に繊維を分散したスラリーを流延して積層とする方法等を用いることができる。繊維を分散したスラリーを流延する際に、先に形成した層は湿紙状態であっても、乾燥状態であってもいずれでも良い。また、2枚以上の層を熱融着させて、多層構造の不織布とすることもできる。
本発明において、多層構造の不織布を製造する場合、各層の繊維配合が同一である多層構造であっても良く、各層の繊維配合が異なっている多層構造であっても良い。多層構造の場合、各層の坪量が下がることにより、スラリーの繊維濃度を下げることができるため、不織布の地合が良くなり、その結果、塗布面の平滑性や均一性が向上する。また、各層の地合が不均一であった場合でも、積層することで補填できる。さらに、抄紙速度を上げることができ、操業性が向上する。
抄紙網で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、シート(原紙)を得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜150℃が好ましく、105〜145℃がより好ましく、110〜140℃がさらに好ましい。圧力は、好ましくは5〜100kN/m、より好ましくは10〜80kN/mである。
本発明では、上記した微細な延伸ポリエステル繊維と未延伸ポリエステル繊維を含有してなる湿式不織布を、加熱された金属ロールと弾性ロールとの間を通過させて加熱・加圧処理、すなわち、熱カレンダー処理されて不織布が製造される。一般に、熱カレンダー処理装置としては、加熱機構を有する金属製のヒートロールと、金属芯の外周面に弾性体層を被着してある弾性ロールとで構成されたものがあり、これは両ロールを略平行に対接させ、これらの間で被カレンダー材を挟接し、高いニップ圧を加えながら回転・走行させて被カレンダー材の機械的強度を発現や厚みの調整等を目的に用いられるものである。
本発明において、弾性ロールのD硬度は50〜78であり、55〜70であることがより好ましく、55〜65であることがさらに好ましい。弾性ロールのD硬度が50未満である場合、弾性応力が過小になり、圧縮変形が過度となって、被カレンダー材の流れ方向におけるニップ幅が大きくなりすぎ、従って、ニップ部の単位面積当たりの圧力が低くなるため、バインダー繊維である未延伸ポリエステル繊維の接着効果が十分に発揮されず、不織布基材のCD方向の引張強度(CD強度)が低下する。一方、弾性ロールのD硬度が78を超える場合、弾性応力が過度になり、圧縮変形が過小となって、ニップ幅が小さくなりすぎ、従って、ニップ部の単位面積当たりの圧力が高くなるため、不織布表面の皮膜化により、インピーダンスの高い不織布となる。また、弾性ロールのD硬度が78を超える場合、ニップ幅が小さくなりすぎ、従って、不織布がニップ部を通過する時間が短くなるため、熱寸法安定性が不十分となり、熱収縮率の大きな不織布となる。そのため、該不織布を使用したセパレータを用いて電池を組み立てた場合、組立時の加熱乾燥によりカールが発生しやすいセパレータとなる。すなわち、弾性ロールのD硬度が50〜78である場合、熱カレンダー処理を行うことによって、高いCD強度を示し、インピーダンスが低く、カールの発生が抑制された不織布を得ることができる。
本発明において、弾性ロールの弾性体層に用いられる材質としては、例えば、ポリエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、架橋ポリエステルアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリユリア樹脂、シリコン樹脂、ポリアリレート樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、モノマーキャスティングナイロン等を用いることができる。
本発明における、熱カレンダー処理時の金属ロール温度は、未延伸ポリエステル繊維の融点又は軟化温度に対して−60〜−10℃であることが好ましく、−50〜−20℃であることがより好ましい。金属ロールの温度が未延伸ポリエステル繊維の融点又は軟化温度に対して−60℃より低い場合では、未延伸ポリエステルの接着が不十分となりやすく、不織布の強度が低下する場合がある。一方、金属ロールの温度が未延伸ポリエステル繊維の融点又は軟化温度に対して−10℃より高い場合には、不織布が金属ロールに貼り付きやすくなり、不織布表面に欠陥が生じるおそれがある。
熱カレンダー処理時のニップのニップ圧力(線圧)は、好ましくは9〜130kN/mであり、より好ましくは14〜110kN/mである。加工速度は、好ましくは5〜100m/minであり、より好ましくは10〜80m/minである。
本発明において、不織布の厚みは、10〜30μmが好ましく、12〜27μmがより好ましく、15〜25μmがさらに好ましい。厚みが10μm未満では、強度が不十分となるおそれがある。一方、厚みが30μmを超えると、薄膜化が難しくなる。
本発明において、不織布の密度(坪量/厚み)は、0.30〜0.90g/cmであることが好ましく、0.35〜0.80g/cmがより好ましく、0.40〜0.75g/cmがさらに好ましい。密度が0.30g/cm未満では、強度が不十分となるおそれがある。一方、密度が0.90g/cmを超えると、インピーダンスが高くなるおそれがある。
本発明の不織布の製造方法で得られた不織布は、そのまま電気化学素子セパレータとして用いても良いし、基材として用いて、その表面又は内部に、無機粒子層等の塗層又は含浸層、電界紡糸法により形成された微細繊維層、微多孔膜等の機能層を設けても良く、特に、リチウムイオン二次電池セパレータ用の基材として好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
<原紙の製造>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径2.5μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル繊維60部と、ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径4.3μm、繊維長3mmの未延伸ポリエステル繊維40部を、2mの分散タンク内にて分散濃度0.2質量%で5分間分散し、均一な抄紙用スラリーを調製した。この抄紙用スラリーを傾斜式抄紙機にて傾斜ワイヤー上に湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、幅500mm、長さ300mの巻取り原紙を得た。
<熱カレンダー処理>
(実施例1〜4及び比較例1〜4)
該巻取り原紙に対して、表1に記載する条件で熱カレンダー処理を行い、実施例1〜4及び比較例1〜4の不織布を得た。なお、表1内の「D硬度」はタイプDデュロメータにより測定された硬度を示す。
Figure 2020050983
(比較例5)
比較例4で得た不織布を、熱空気炉内に通し、150℃で1分間、加熱処理することにより、比較例5の不織布を得た。
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた不織布に対して、以下の測定及び評価を行い、結果を表2に示した。
<坪量測定>
JIS L 1913:2010『単位面積当たりの質量』に準拠して、坪量を測定した。
<厚み測定>
JIS B 7502に規定された外側マイクロメータを用い、5N荷重時の厚みを測定した。
<密度測定>
上記の方法にて測定した坪量を厚みで除して、密度を算出した。
<シワ評価>
実施例及び比較例において、不織布を製造する過程でシワの発生状況を観察し、下記の評価基準で評価した。
評価基準
○:シワの発生がなかった。
×:シワが発生した。
<CD強度測定>
実施例及び比較例で得た不織布より、CD方向が長辺と平行になるように、短辺50mm、長辺250mmの短冊形試験片を切り出し、これら試験片を卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、装置名:STA−1150)を用いて、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/minの等速で引っ張って破断させたときの、破断時の引張り力(N)を20倍した値を、CD強度(N/m)とした。
<インピーダンス測定>
実施例及び比較例で得た不織布より、50mm角の試験片を切り出し、これら試験片を電解液(1M−LiPF/エチレンカーボネート(EC)+ジエチルカーボネート(DEC)+ジメチルカーボネート(DMC)(1:1:1、vol比))に浸した後、2つの略円筒形銅電極に挟み、LCRメーター(Instec社製、装置名:LCR−821)を使用して、200kHzにおける交流インピーダンスを測定した。
<熱収縮率測定>
実施例及び比較例で得た不織布より、100mm角の試験片を切り出し、これら試験片をアルミニウム板に載せ、MD方向に直角な2辺をクリップで挟んで固定し、150℃に設定した恒温乾燥機の中に1時間静置した。CD方向の寸法を計測し、元の寸法に対する収縮による寸法変化の割合を求め、熱収縮率(%)とした。
<カール評価>
平均粒子径0.5μmのベーマイト100質量部を、水150質量部に分散したものに、その1質量%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩2質量%水溶液75質量部を添加・攪拌混合し、ガラス転移点−18℃、体積平均粒子径0.2μmのカルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%)10部を添加・攪拌混合し、最後に調製水を加えて固形分濃度を25質量%に調整し、塗液Aを調製した。
実施例及び比較例の不織布に、塗液Aを、キスリバース(kiss reverse)方式のグラビアコーターにて塗工量(絶乾)が4.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、さらに同じ塗工面に、塗液Aをキスリバース方式のグラビアコーターにて塗工量(絶乾)が4.0g/mとなるように塗工・乾燥し、無機粒子層を形成した。次いで、無機粒子層が形成された不織布より、200mm角の試験片を切り出し、150℃に設定した恒温乾燥機に入れ、10分間加熱処理を行った。その後、平坦な面に試験片を静置し、反り上がった試験片の角の高さを測定し、4つの角における高さの平均を「カール高さ」とし、次の評価基準で評価した。
評価基準
○:カール高さが1cm以下
△:カール高さが1cm超、2cm以下
×:カール高さが2cmより大きい(試験片が丸まってしまい、測定不可となった場合も含む)
Figure 2020050983
表2に示すとおり、実施例1〜4で得た不織布は、延伸ポリエステル繊維と未延伸ポリエステル繊維を含有してなる湿式不織布を、加熱された金属ロールと、D硬度が50〜78である弾性ロールとの間を通過させて処理されたものであることから、シワの発生がなく、高いCD強度を示し、インピーダンスが低く、熱収縮率が小さい不織布であり、カール評価においても良好な結果を示した。
実施例1及び2と実施例3との比較から、弾性ロールのD硬度が55以上である実施例1及び2で得られた不織布は、弾性ロールのD硬度が55未満である実施例3で得られた不織布よりも、高いCD強度を示した。
実施例1及び2と実施例4との比較から、弾性ロールのD硬度が70以下である実施例1及び2で得られた不織布は、弾性ロールのD硬度が70を超えた実施例4で得られた不織布よりも、インピーダンスが低く、熱収縮率が小さい不織布であり、カール評価においても優れていた。
弾性ロールのD硬度が50未満である比較例1及び2で得られた不織布は、非常にCD強度の低い値を示した。
弾性ロールのD硬度が78を超えた比較例3及び4で得られた不織布は、インピーダンスが高く、熱収縮率が大きい不織布であり、カール評価においても劣る結果となった。
比較例5で得られた不織布は、D硬度が78を超える弾性ロールを用いて製造されたことから、インピーダンスの高い不織布であった。また、熱カレンダー処理した後、熱空気炉内に通し、150℃で1分間、加熱処理することにより製造されたことから、熱収縮率が小さい不織布であったが、シワが多く発生した。
本発明の不織布の製造方法によって得られた不織布は、リチウムイオン電池、アルミニウム電解キャパシタ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の電気化学素子に好適に利用できる。また、本発明の効果である、CD強度が高く、物質の透過性が高く、熱寸法安定性が高いことを要求される他の用途にも、好適に用いることができる。

Claims (1)

  1. 延伸ポリエステル繊維と未延伸ポリエステル繊維とを含有してなる湿式不織布を、加熱された金属ロールと弾性ロールとの間を通過させて処理する不織布の製造方法であって、該弾性ロールのJIS K 6253−3:2012に規定されるタイプDデュロメータにより測定された硬度が50〜78であることを特徴とする不織布の製造方法。
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