JP2015115202A - 質量分析方法 - Google Patents

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益之 杉山
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益義 山田
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和茂 西村
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雄一郎 橋本
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秀俊 諸熊
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Abstract

【課題】ベーキング処理によるクリーニング方法は,加熱工程および加熱工程後の自然冷却工程に時間がかかるという問題があった。洗浄効率の高い洗浄装置を提供する。【解決手段】質量分析装置と洗浄ガス導入部の間にバルブ3を配置し,このバルブの開閉により,洗浄ガスを装置へとパルス状に導入する。洗浄ガス導入部と質量分析装置の間のコンダクタンスは十分に大きく,バルブが開状態となると装置内部の圧力が大きく上昇する。すなわち,大量の洗浄ガスを導入する。大量の洗浄ガスを装置内部へと導入することで装置内壁に付着した汚染物質を取り除く。【選択図】図1

Description

本発明は,化学物質を分析する装置とそのクリーニング法に関わる。
土壌や大気の汚染の測定,食品の農薬検査,血中代謝物による診断,尿中薬物検査など,混合試料中の微量物質をその場で簡便に,高感度に測定する装置が求められている。微量物質の高感度測定が可能な方法の一つとして,質量分析が用いられている。
質量分析装置は高感度な分析装置であるが,装置の汚染が問題になることがある。すなわち,高濃度の測定対象物質や夾雑物質を含む試料ガスを測定した場合,それらの物質が試料導入部内壁,イオン源内壁及び真空チャンバー内壁に付着して汚染してしまう問題があった。試料そのものだけでなく,マトリックス,溶媒による汚染も発生する。またガスクロマトグラフを接続している場合には,ガスクロマトグラフの固定相の漏れによっても汚染が発生する。汚染が発生した場合,汚染物質が長期間にわたって検出されてしまう。その結果,次の測定における測定対象物質のイオン化が阻害され,測定対象物質の検出感度が大きく低下してしまう。また,汚染物質が定量対象物質であった場合には,次の測定の定量値にバイアスが乗ることになり正確な定量が困難になる。
これらの問題のため,質量分析装置は定期的に洗浄することが求められる。一般的な手法として,質量分析装置の試料導入部やイオン源に設置したヒータを用いて試料分析時よりも過剰に加熱するベーキング処理を行ってクリーニングする方法がある。例えば,試料分析時に各パーツの加熱温度を100℃に設定していた場合,クリーニング時には180℃まで加熱する。すると,装置内壁に付着した試料は加熱脱離される。
ベーキング以外にも,質量分析装置の真空排気を止め,汚染箇所を分解洗浄する方法がある。イオン源などを装置から外し,メタノール,水,アセトンなどの液体に浸けこみ超音波洗浄することで洗浄できる。その後,オーブンに入れベーキングを行う。化学的洗浄だけでなく,ヤスリで研磨するなどの機械的洗浄を行う場合もある。
特許文献1は,装置に吸着した物質を脱離させるために脱離ガスを導入する手法を記載している。脱離ガスは吸着物の種類によって変更している。例えば,吸着物が塩である場合には水蒸気ガスを脱離ガスとして,吸着物が有機物である場合には有機溶媒の気化ガスを脱離ガスとして用いることを提案している。
特許文献2は,特許文献1と同様に,装置に脱離ガスを導入する手法を記載している。特に水素ガスが脱離ガスとして効果的であるとしている。洗浄時だけでなく,試料測定時にも試料ガスにわずかな水素ガスを混入させることで汚染を低減できる。
特開2007-170985号公報 特開2013-61324号公報
ベーキング処理によるクリーニング方法は,加熱工程および加熱工程後の自然冷却工程に時間がかかるという問題があった。オンサイト分析のようなハイスループットが要求されるアプリケーションでは迅速にクリーニングを行うことが重要である。また,可搬型質量分析装置のようなバッテリー駆動装置の場合,ベーキングを行えるほど電力を有していない場合もある。また,装置が全て耐熱素材で構成されているとは限らない。例えば,装置の一部が樹脂,特にシリコンチューブのような耐熱性が低い物質であった場合,十分なベーキングを行うことは不可能である。
分解洗浄はベーキング処理以上に時間がかかる。また熟練した技術が必要であり,一般のユーザが簡便に行える作業ではない。また,装置の組み立て誤差によって,分解洗浄の前後で装置感度が変化することは往々にしてある。さらに,洗浄溶液自体が汚染されていたとしても,装置を組み立てた後に真空排気を完了させるまで気づくことができない。
特許文献1,2はどちらも洗浄用のガスを装置へと導入している。この場合は,洗浄用ガスに含まれる分子と内壁に付着した物質との衝突確率が高いほど洗浄効率が高い。衝突確率を増加させるためには,洗浄ガスの導入流量を増やす必要がある。しかし,質量分析装置の質量分離部は高真空でなければならない。このため,大気圧からの導入流量は著しく少ない。このように微量しか洗浄ガスを導入できない場合は洗浄効率が低い。
前記課題を解決するために,本発明では,質量分析装置と洗浄ガス導入部の間にバルブを配置し,このバルブの開閉により,洗浄ガスを装置へとパルス状に導入する。洗浄ガス導入部と質量分析装置の間のコンダクタンスは十分に大きく,バルブが開状態となると装置内部の圧力が大きく上昇する。すなわち,大量の洗浄ガスを導入する。大量の洗浄ガスを装置内部へと導入することで装置内壁に付着した汚染物質を取り除く。
すなわち,本発明は,試料をイオン化するイオン源と,イオン化された試料を質量電荷比で分離する質量分離部を有するチャンバーと,質量分離部により分離されたイオンを検出する検出器と,洗浄ガスをチャンバーに導入する配管と,配管に設けられた開閉機構と,制御部とを有する質量分析装置を用いた分析方法であって,試料をイオン源に導入してイオン化し,イオン化された試料をチャンバーに導入して質量分離部において分離し,検出器で検出する試料測定工程と,洗浄ガスをチャンバーに導入する洗浄工程と,を有し,制御部は,洗浄工程におけるチャンバーの圧力の最大値が,試料測定工程におけるチャンバーの圧力の最大値よりも大きくなるように,開閉機構を制御するものである。
一態様において,開閉機構は,イオン源とチャンバーの間又はイオン源への試料の導入口とイオン源の間に設けられており,試料測定工程において,開閉機構が開の状態で試料イオンをチャンバーに導入し,開閉機構が閉状態で試料イオンを質量分離部で分離して検出器で検出する。
別の態様において,イオン源とチャンバーの間又はイオン源への試料の導入口とイオン源の間に,さらに第2の開閉機構を備え,試料測定工程において,第2の開閉機構が開の状態で試料イオンをチャンバーに導入し,開閉機構が閉の状態で試料を質量分離部で分離して検出器で検出する。
本発明によれば,バルブを利用してパルス状に大量の洗浄ガスを装置に導入することにより,装置内部の汚染物質を迅速に取り除くことができる。
上記した以外の,課題,構成及び効果は,以下の実施形態の説明により明らかにされる。
実施例1の質量分析装置の装置構成を示す概略図。 実施例1の装置構成の具体例を示す模式図。 測定シーケンスの一例を示す図。 真空チャンバーの圧力の典型的な経時変化を示す模式図。 洗浄シーケンスの一例を示す図。 試料測定時と洗浄時における質量分離部の圧力変化を示す模式図。 バルブの開閉を繰り返した場合の圧力変動を示す模式図。 洗浄前後におけるメタンフェタミンのフラグメントのスペクトルを示す図。 バルブ開時間を変化させた時の洗浄効果の比較図。 試料測定モードと装置洗浄モードを有する質量分析装置の運用シーケンスの一例を示す図。 データ表示画面の一例を示す図。 洗浄ガス供給方法の例を示す図。 実施例2の質量分析装置の装置構成を示す概略図。 実施例2の質量分析装置の別形態を示す概略構成図。 実施例3の質量分析装置の装置構成を示す概略図。 実施例3の質量分析装置の別形態を示す概略構成図。 実施例3の質量分析装置の別形態を示す概略構成図。 実施例3の質量分析装置の別形態を示す概略構成図。
以下,図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施例1]
図1は,本発明による質量分析装置の一例を示す概略構成図である。本装置は主に試料ガスや洗浄ガスを装置へと導入するためのガス導入口1,試料ガス及び洗浄ガスをパルス状に導入できるバルブ3,試料分子をイオン化するイオン源2,イオンを質量電荷比にしたがって分析する質量分離部を有する真空チャンバー4,装置内部を減圧する真空ポンプ5,イオンを検出するための検出器6,装置を制御する制御回路7,装置全体をコントロールするコントロール計算機8,データを表示するデータ表示機9からなる。ガス導入口1は管でもよいし細孔でもよい。
試料ガス及び洗浄ガスはガス導入口1から吸引される。本装置の計測対象物質は気体,液体,固体のどれでもよく,気体試料の場合はそのまま導入可能であり,液体試料の場合は液体試料から気化したガスであるヘッドスペースガスを導入し,固体試料の場合も液体試料同様に固体試料から気化したガスを導入する。バルブ3が閉状態の時,試料ガス及び洗浄ガスはイオン源2へと導入されない。バルブ3を開状態とした時,試料ガス及び洗浄ガスがイオン源2へと導入される。装置構成や真空ポンプの容量にもよるが,バルブ開時間は1秒以下とするのが好ましい。典型的なバルブ開時間は10〜100 msである。バルブ3を開状態としてガスを装置へと導入し,バルブ3を閉じることでガスがそれ以上導入されないようにする。バルブ3はガスをパルス導入できればよく,ピンチバルブ,ボールバルブ,シャッターバルブなどを利用できる。シリコンチューブとピンチバルブで構成されるパルスバルブがコストも安く安定しており使い勝手が良い。計測時はバルブの開閉を繰り返し,試料ガスを断続的に装置内へと導入するとよい。
イオン源2ではガス中の中性分子がイオン化される。イオン源2としては低真空バリア放電イオン源,低真空グロー放電イオン源などが用いられるが,それらに限定されるわけではない。イオン源2の圧力は,装置外部とイオン源間のコンダクタンス,イオン源とポンプの間のコンダクタンス,バルブの開時間及びポンプの排気量によって変化する。低真空バリア放電イオン源を用いる場合は,イオン化効率が最大となる圧力になるようにコンダクタンス等を調整する必要がある。
イオン源2で生成されたイオンは質量分離部を有する真空チャンバー4へと導入される。真空チャンバーには圧力計32が接続されており圧力をモニターしている。典型的な質量分離部はリニアイオントラップである。リニアイオントラップ以外にもイオンを質量電荷比で分離できる機構であれば何でもよい。リニアイオントラップは例えば4つのロッド電極とロッド電極の前後に配置したプレート電極によって構成される。ロッド電極に印加したRF電圧によって生じる擬ポテンシャルと,インキャップ電圧とロッド電極のオフセット電圧の電位差によってイオンをトラップする。トラップされたイオンは質量電荷比ごとに検出器へと排出される。真空チャンバー4内がいくつかの部屋に分割され,各部屋の圧力が異なってもよい。また真空チャンバー4内にはイオンを質量電荷比で分離する機構だけでなく,イオンモビリティを基に分離する機構,イオンの流れを電磁界の力で収束させる機構などが含まれてもよい。
検出器6はイオンを検出できれば何でもよい。例えば,チャンネルトロン,マイクロチャンネルプレートなどが用いられる。イオンを電子に変換するためにコンバージョンダイノードがよく用いられる。また,シンチレータと光電子増倍管を使った検出器を用いる場合もある。
制御回路7によって装置が制御され,制御回路はコントロール計算機8によってコントロールされている。コントロール計算機8は装置に搭載されていても,外部接続されていても良い。得られた結果はデータ表示機9に表示される。データ表示機9として液晶ディスプレイがよく用いられる。データ表示機9はユーザインターフェースを兼ねてもよい。装置本体に搭載された液晶ディスプレイに加え,外部接続された液晶ディスプレイが存在してもよい。装置本体に搭載された液晶ディスプレイをタッチパネルとし,そこから測定パラメータ等を入力できるようにしてもよい。
図2は,図1の装置構成をより具体化した一例の模式図である。図には,試料溶液24を内包した試料バイアル23,試料ガスを導入するガス導入口1,シリコンチューブ14とピンチバルブ15で構成されるバルブ3,ガラス管18,外巻き放電用電極17,放電用内部電極19,高圧交流電源25で構成される低真空バリア放電イオン源2,ロッド電極21とプレート電極であるインキャップ20,エンドキャップ22で構成されるリニアイオントラップ,ポンプ5,検出器6を記載している。制御回路,コントロール計算機,データ表示機は図示を省略した。
試料バイアル23中の試料分子16が,ピンチバルブ15を通り低真空バリア放電イオン源へと導入される。ガス中の中性分子がイオン化され,イオンは真空チャンバー4へと導入される。イオンは質量分離部のリニアイオントラップによってトラップされ,質量電荷比をもとに分離されて検出器6へと排出される。
図3は,装置の正イオン測定シーケンスの一例を示す図である。尚,負イオン測定の場合には,インキャップ電圧とロッド電極のオフセット電位の関係を逆転させればよい。トラップRF振幅はリニアイオントラップのロッド電極21に印加するRF電圧の振幅であり,電圧を印加している間だけイオンをトラップできる。バリア放電電圧を印加している間はイオン源内にプラズマが形成され,中性分子がイオン化される。イオン排出用AC振幅は,リニアイオントラップにトラップされたイオンを排出する際にロッド電極に印加されるAC電圧の振幅である。イオン排出用AC電圧が印加された際にイオンが質量電荷比ごとに排出される。インキャップ電圧が負電圧の時はイオンがインキャップ20を通過してイオントラップへと導入される。一方,インキャップ電圧が正電圧となり逆電界となった時イオンはインキャップを通過できず,イオントラップには導入されない。
図3の測定シーケンスにおける時間1はバリア放電安定化時間である。時間2はイオン溜め込み時間であり,イオン源で生成されたイオンをイオントラップに導入する。時間1,2の間バルブは開状態である。時間3はクーリング時間で,トラップされたイオンをクーリングする時間である。時間4はイオン分析時間であり,トラップされたイオンを質量電荷比ごとに分離して検出器へ排出する。時間5はイオン排除時間であり,イオン分析時間の間に排出されきらなかったイオンを全てトラップの外部へと排除する時間である。試料測定時は,図3のシーケンスを繰り返し行う。
図2の構成の場合,バルブ3が開状態の時にイオンが質量分離部へと導入され,質量分離部内でトラップされる。バルブ3が閉状態となった後に,イオンは質量電荷比ごとに分離されて検出器へと排出される。すなわち,図3のシーケンスを終えるごとに1つのマススペクトルが得られ,シーケンスを繰り返すことで複数のマススペクトルを取得する。バルブの開時間を長くするほど計測のスループットが悪くなるため,装置やポンプの容量にもよるが,典型的にはバルブの開時間は1秒以内である。
真空チャンバー4には圧力計32が接続されており,圧力の時間変化をモニターしている。図4は,真空チャンバーの圧力の典型的な経時変化を示す模式図である。バルブ3が閉じている間は圧力が0.01 Pa以下に維持されており,バルブが開状態であるt1の間圧力が上昇しつづけ,バルブが閉じる瞬間に最高圧力となった。バルブ3が閉じると圧力が減少していき再び0.01 Pa以下になった。典型的な場合,圧力は100倍以上増加する。圧力が100倍増加するということはそれだけ大量のガスが導入されたということである。
試料を測定する時,試料ガスはガス導入口1,シリコンチューブ14,イオン源2,そして質量分離部を通りポンプ5へと流れ込む。この過程で各部分の内壁にガスに含まれる分子が吸着する。特にアミンなどの極性が高い分子は金属表面によく吸着する。ガスに含まれる量が低濃度であれば,吸着量も少なく問題にはならない。しかし,高濃度ガスを測定すると大量に装置内壁に吸着することになる。この際,試料ガスを導入しなくとも,吸着物が徐々に脱離し,長期にわたって計測され続ける。このような汚染は試料の量を定量したい場合などに問題となってくる。この問題を解決するために,発明者らはバルブ3を利用することで洗浄ガスをパルス状に大量に装置内部へと導入し,吸着物を脱離させる方法を生み出した。
イオンを高精度に分離するために,質量分離部の圧力は0.1 Pa以下に保たなければならない。このため,質量分離部を減圧している真空ポンプ5は0.1 Pa以下で利用することを想定した排気特性を有している。したがって0.1 Paよりも非常に高い圧力に長時間維持すると,ポンプ5の排気が止まる,もしくはポンプ5を破壊することになる。ただし,長時間ではなく一時的であれば質量分離部の圧力を0.1 Pa以上に上昇させてもポンプ5に問題は生じない。一時的というのは典型的には長くても1秒以内である。そこで,発明者らはバルブ3によってパルス状に大量の洗浄ガスを装置へと導入すれば,ポンプ5にダメージを与えず迅速に装置内部を洗浄できることを見出した。ここで言うパルス状というのは1秒以内の圧力の変化のことである。1秒より長時間バルブ3を開状態とし,真空チャンバー内を高い圧力を維持するとポンプ5にダメージを与える。
図5は,洗浄時の洗浄シーケンスの一例を示す図である。試料測定時と異なり,トラップRF振幅,イオン排出用AC振幅,インキャップ電圧を0にしている。図5の例ではバルブ開時間とバリア放電電圧ON時間が同じになっているが,必ずしも同じである必要はない。典型的な時間は,バルブ開時間が60〜200 msで,バリア放電電圧ON時間が60〜200 msである。測定時よりもバルブ3の開時間を長くしている。これはより大量のガスを導入するためである。測定シーケンスと同様に,洗浄シーケンスも繰り返し行う。洗浄シーケンスは,通常0.5〜2秒でシーケンスを1サイクルする。
本発明の特徴の一つとして,図3のシーケンスで駆動する試料測定モードと図5のシーケンスで駆動する装置洗浄モードの少なくとも2つモードを有することが挙げられる。ただし,図3,図5はシーケンスの一例であり,これらに限定されるものではない。
図6は,試料測定時と洗浄時における質量分離部の圧力変化を示す模式図である。バルブ開時間を変化させると質量分離部の到達圧力も変化する。すなわちバルブ3をより長く開けることでより大量のガスを導入している。ただし,到達圧力が非常に高い場合は質量分離部内で放電が発生する可能性がある。このため,試料測定時よりも洗浄時は真空チャンバー4内の各電圧を下げることが推奨される。必ずしも0Vまで下げる必要はなく,そして全ての電圧を下げる必要もない。また放電しないのであれば電圧を下げる必要はない。図7は,バルブの開閉を繰り返した場合の圧力変動を示す模式図である。試料測定時は試料ガスを,洗浄時は洗浄ガスをバルブの開閉を繰り返すことで装置へと断続的に導入する。
覚せい剤の一種であるメタンフェタミン(Methamphetamine: MA)を試料として用い,洗浄効果を調べる実験を行った。高濃度のMAガスを導入し,装置を汚染した。装置は図2に示す構成である。測定シーケンスは図3に示す通りである。MAはマススペクトル上でm/z 150の位置に検出される。また,衝突誘起解離(Collision induced dissociation: CID)によってフラグメンテーションさせるとm/z 91とm/z 119の位置に検出される。高濃度のMAを試料とすると,装置内部がMAで汚染される。このため,MAを含んでいない試料を計測したとしても,マススペクトル上にMAに由来するピークが検出される。実験ではMAに汚染された装置を,洗浄ガスを用いて洗浄した。洗浄ガス発生源として20%メタノール水溶液を使用した。水溶液から気化したメタノールガスを洗浄ガスとして利用した。洗浄シーケンスは図5に示す通りである。図8は,洗浄前後の計測結果を示すMAをCIDした後のスペクトルである。強大に現れていたMA由来のシグナルが洗浄によって検出下限近くまで減少していることが分かる。
洗浄プロセスでは下記のような平衡関係が成り立っている。
[数1]
Figure 2015115202
ここで,汚染物質をA,装置内壁の吸着サイトをM,洗浄ガスに含まれる分子をBとする。平衡が右にずれるほど汚染物質が脱離する,すなわち洗浄されることになる。Bの吸着サイトとの親和力が高い方が,平衡は右にずれやすくなる。平衡を右にずらす方法の一つは大量のBを導入することである。この点を利用しているのが本発明である。バルブ3を利用してパルス状に洗浄ガスを大量導入するシーケンスを繰り返し行うということは,上記式(1)におけるBの濃度が増減を繰り返していることを意味する。図6,7の圧力変動のカーブはBの濃度の変動カーブと読み替えてもよい。バルブ3を閉じる瞬間が最も高濃度となり,バルブ3を閉じた後も一定時間Bが高濃度で存在する時間が続く。上述したようにポンプ5の排気特性の問題から連続導入の場合は装置内部の圧力を低圧に維持しなければならず,Bが低濃度の状態で一定に存在することになる。バルブ3を利用すると連続導入系よりも装置内部を高圧にすることが可能になるため,バルブ3を使った場合の方が平衡が右にずれやすく洗浄効果が高い。
バルブ3の開時間を変更すると装置へのガス導入量が変化する。図9は,装置洗浄モードでのバルブ3の開時間を2倍にした時の結果を示す図である(t2=2×t1)。洗浄ガスとしてメタノールガスを用いた。結果に示されるように,バルブ開時間を伸ばすことで汚染をほとんど除去することができた。ガス導入量が増えるほど加速度的に洗浄効果が増大する。ただし,長時間真空チャンバー内を高圧に保つとポンプにダメージを与えるため,バルブ開時間は1秒以内に設定することが好ましい。
洗浄効率を有意に増加させるためには,バルブ3を開閉して洗浄ガスを導入する時に質量分析装置内の少なくとも1か所の圧力が10倍以上変化することが望ましい。例えば,洗浄ガスを導入するためのバルブ3を閉じた状態の時の質量分離部の圧力が0.1 Paであるなら,バルブを開けた時の到達圧力は1 Pa以上にしなければならない。さらに,より効果的なのは質量分析装置内の少なくとも1か所の圧力が100倍以上変化する場合である。ただし,質量分離部を0.1 Pa以下に減圧するために利用される真空ポンプ5は低圧下での利用を想定して設計されているため,一時的であっても過度な高圧力には耐えられない。このため,質量分離部の圧力は最大でも200 Pa以下にしなければならない。一般に質量分離部は2台以上の真空ポンプ5で減圧している。例えば高真空対応のポンプと粗引きポンプである。高真空対応ポンプの排気を止め,粗引きポンプのみ動かしている状態で洗浄を行う場合は,質量分離部の圧力が200 Pa以上になっても問題はない。
汚染物質の蓄積によってイオン化に悪影響が及ぶことがある。例えば,図2に示す構成の質量分析装置の場合,バルブ3が開状態となりイオン源2の圧が上昇した時のみイオン源2でバリア放電が発生し,プラズマが生成される。再びパルスバルブが閉じると,イオン源2の圧が減少し,プラズマも消失する。これはプラズマ生成の際に最適な圧力が存在するためである。圧力の問題だけでなく,プラズマの光が検出器に悪影響を及ぼす場合,イオンを検出する時はプラズマを消失させる必要がある。このようにプラズマの生成と消失を繰り返している装置もある。汚染物がイオン源2に蓄積するとプラズマの生成に失敗することがある。このような不具合に対しても洗浄ガスのパルス導入は有効である。洗浄ガスによってイオン源2に蓄積した汚染物を脱離させることで,プラズマを安定的に発生させることができる。
プラズマを利用したイオン源2の場合,プラズマ自身の洗浄効果を利用できる。測定時よりも洗浄時は放電電圧を高め,放電時間を長くすることでプラズマ洗浄の効果を増加させることができる。洗浄ガスのパルス導入とプラズマ洗浄を組み合わせると洗浄効果が著しく増加する。放電によって発生する荷電粒子が装置内壁に衝突しスパッタリングが発生する。その際,汚染物質が吸着サイトごと内壁よりはじき出される。その後,洗浄ガス分子と衝突し,汚染物質は吸着サイトから脱離する。スパッタリングによって汚染物質と吸着サイトとの結合が外れ,汚染物質のみが飛び出すこともある。洗浄ガスをパルス導入しているため大量の洗浄ガスで装置内が満たされており,汚染物質が吸着サイトと再結合することはほとんどない。このように洗浄ガスのパルス導入と放電による洗浄を同時に行うと,洗浄ガスの効果とプラズマによる洗浄の効果が単純に加算される以上の効果を発揮する。
必ずしもイオン源2に用いているプラズマを洗浄に用いる必要はない。イオン源2がプラズマイオン源2でなかったとしても,汚染されやすい箇所にプラズマ生成機構を設置してプラズマ洗浄を行ってもよい。
洗浄ガスを装置へと導入すると同時にベーキング処理も行うとより効果的に汚染物質を取り除くことができる。加熱されることで汚染物質と吸着サイトの結合が外れやすくなり,そこに洗浄ガスを導入することで汚染物質を脱離させる。
上述してきたように,迅速な洗浄が可能な質量分析装置を実現するために,試料測定モードと装置洗浄モードの少なくとも2つのモードを有していることが望ましい。装置の状態に合わせて装置が自動で試料測定モードと洗浄モードを選択する,もしくはユーザが任意に2つのモードを選択できるシステムが良い。図10は,少なくとも試料測定モードと装置洗浄モードを有する質量分析装置の運用シーケンスの一例を示す図である。
試料を試料測定モードで測定し分析する(S11)。得られたマススペクトルから汚染量を見積もる(S12)。例えば,TIC強度がある一定以上であった場合や,汚染しやすいことが事前に分かっている分子のイオン強度が高かった場合などに装置が汚染状態にあると判断する。図には記載していないが,試料測定後に汚染確認用のブランク試料を測定するという運用法でもよい。ブランク試料とは,装置の汚染状態を判断するために用いる試料である。汚染確認用物質としてブランク試料に含まれる分子の種類と量は既知である。ブランク試料を計測した時に,既知の分子以外のシグナルが検出された場合は汚染が疑われる。またブランク試料由来のイオンの強度と汚染物の強度を比較することで汚染の程度を判断できる。汚染の疑いが無い,もしくは汚染の程度が軽度であると判断した場合は次の試料の測定を行う。一方,汚染の疑いがある,もしくは汚染の程度が重度であると判断した場合は洗浄を行う(S13)。洗浄は上述してきたように,バルブ3を用いて洗浄ガスをパルス状に装置へと導入する。装置は試料測定モードから装置洗浄モードへと移行する。汚染物質が特定できている場合は,汚染物質ごとに最適な洗浄ガスを選択することができる。例えば,汚染物質が塩基性物質であった場合は塩基性ガスを,汚染物質が酸性物質であった場合は酸性ガスを導入すると効果的である。洗浄ガスの選択は装置が自動で行ってもよいし,ユーザが任意に選択してもよい。洗浄ガスは塩基性ガスや酸性ガスに限らずアルコール類でも構わない。
洗浄後,再びブランク試料を測定することで装置の汚染レベルを確認する(S14)。洗浄によって汚染が無くなっていれば次の試料の測定を行う。汚染が無くなっていない場合は再び洗浄を行う。洗浄しながら汚染レベルを確認できる場合は必ずしも洗浄後のブランク試料測定の必要はない。通常,洗浄時は洗浄ガスを装置へと導入し,装置は洗浄モードで動作させる。例えば,バルブ開閉10回ごとに一時的に洗浄モードから試料測定モードに移行し,マススペクトルを取得すれば装置の汚染低減度を確認できる。このように汚染の低減度を定期的にチェックし,十分低減できるまで洗浄モードを継続するという運用方法もある。
図11は,可搬型質量分析装置26のデータ表示機9に表示される画面の一例を示す説明図である。試料測定時は測定完了までの時間等が表示される。測定結果から汚染の疑いが有る場合は,ユーザにクリーニング作業を要求する。クリーニング時はクリーニング作業完了までの時間等が表示される。クリーニング完了後は汚染の低減度を調べるため,ユーザにブランク試料の測定を要求する。ブランク試料を計測し,汚染の無いことを確認できれば次の試料測定に移行する。ソフトウェア上で,汚染の無いことを確認できるまで試料測定ができないようなロックをかけてもよい。図2に示すように,試料バイアルを用いる場合は,試料計測用のバイアルと洗浄用のバイアルの形状を変化させ,指定のバイアルでない場合は測定を開始しないといったロックをかけることもできる。
洗浄ガスの供給源としてガスボンベ,液体や固体を内包したバイアルなどが考えられる。液体や固体の場合は,それらから気化したガスを洗浄ガスとして用いる。ガスの発生量を増加させるために液体や固体を加熱してもよい。図12に示すように,液体と固体を反応させてガスを発生させることも可能である。例えば,強塩基性もしくは強酸性液28と洗浄ガスの塩30を反応させて,洗浄ガスを発生させる方法は有効である。洗浄ガス供給源を保存するボンベやバイアル31にはガスの種類や使用期限などを記載したラベル29を貼ってもよい。
洗浄ガスの供給源が液体や固体を内包したバイアルであった場合,洗浄効率を上昇させるためにはバイアルの内圧を大気圧より減圧することがよい。液体や固体中に含まれる分子の蒸気圧はバイアル内圧の影響を受けない。例えば,内圧が100,000 Paで洗浄ガス分子の蒸気圧が1 Paであった場合,洗浄ガス分子はバイアルのヘッドスペース中のガスの0.00001%である。一方,バイアル内圧を1000 Paまで減圧させた場合,洗浄ガス分子はバイアルのヘッドスペース中のガスの0.001%となる。すなわち,洗浄ガス分子の存在割合が増加している。このため,装置へ導入するガスの流量が同一であれば,バイアル内圧を減圧した方が装置へと導入される洗浄ガス分子の絶対量が増加するため洗浄効率が向上する。
研究所の実験室のような排ガスを管理できる場では洗浄ガスの種類に制限はない。一方,オンサイト分析を考えた場合,有毒なガスは洗浄ガスとして用いる事ができない。また,臭いも問題となる。体への毒性以前に臭いがユーザから敬遠される原因になり得る。アルコールガスは毒性が少なくかつ無臭であり洗浄効果も有するため,オンサイト分析の場ではアルコールガスを用いることが望ましい。
[実施例2]
図13は,本発明による質量分析装置の一実施例を示す概略構成図である。実施例1と異なる点は,バルブ3がイオン源2と真空チャンバー4間に配置されていることである。試料ガス中の中性分子はイオン源2でイオン化されイオン導入用配管12とパルスバルブ3を通過して真空チャンバー4へと導入される。イオン化されなかった中性ガスや洗浄ガスも同様にパルスバルブ3を通り導入される。本構成では一般的にイオン源2は大気圧下に配置される。このため,質量分析装置の真空を破らなくともイオン源2を分解,洗浄,改造等が可能であり,実施例1に比べイオン源の扱いが楽である。ただし,大気圧下から真空チャンバー4へイオンを導入するため,配管でのイオンロスが大きく,装置感度は実施例1の方が良いことが多い。
図14は,実施例2の質量分析装置の別形態を示す概略構成図である。試料がガスではなく液体である場合は,図14のようにエレクトロスプレーイオン化を使うことが一般的である。試料溶液11をエレクトロスプレー用プローブ10へと送液しイオン化する。ただし,エレクトロスプレーに限定されるわけではなく,イオン源2でガスヒータ33を用いて液体を加熱気化させ,気化したガスを大気圧化学イオン化によってイオン化する手法もあり,様々なイオン化法が利用できる。本実施例の装置構成においても高濃度の試料を測定すると,装置内部が汚染されるという問題がある。装置を洗浄するためには,実施例1と同様,洗浄ガスをパルス状に導入することが有効である。バルブ3を使わず,洗浄ガスを連続的に導入する方法では,ポンプ5の特性から真空チャンバーを高真空のまま保つ必要があり,大量の洗浄ガスを導入することができない。一方,バルブ3を用いてガスをパルス状に導入すれば連続導入系よりも大量の洗浄ガスを導入でき効率的に装置内部を洗浄できる。試料測定時よりも装置内部の電圧を下げることで装置内放電の発生を防いだ状態で,バルブ開時間を伸ばすことでより効果的に洗浄できるようになる。また,ポンプ5を止める必要がないため迅速な洗浄が可能となる。
洗浄ガスと同時にイオンを装置内に導入してもよい。イオンが装置内壁と衝突することでスパッタリングが発生する。スパッタリングにより汚染物質が吸着サイトごと内壁から飛び出し,さらに洗浄ガス分子と衝突することで吸着サイトから脱離する。内壁に存在する場合よりもガス中に飛び出した場合の方が洗浄ガス分子との衝突確率が高まるため洗浄効率が向上する。
その他,図10に示す運用方法,図11に示すデータ表示機の表示,洗浄ガスの供給源などは実施例1と同様にすることができる。
[実施例3]
図15は,本発明による質量分析装置の一実施例を示す概略構成図である。実施例1と異なる点は,ガス導入口1と真空チャンバー4の間にパルスバルブ3を配置していないことである。ただし,洗浄ガス導入口13と真空チャンバー4の間にパルスバルブ3を設置した。すなわち本実施例では試料ガスと洗浄ガスを異なる配管から装置へと導入する。測定シーケンスは図3からバルブの開閉を省いたものである。検出器へのプラズマ光の混入が問題無いのであれば,バリア放電電圧をON/OFFする必要は無い。実施例1,2ではバルブ開状態にしないとイオンを装置へと導入できず,イオンを検出するスループットが悪かった。一方,本実施例ではイオンを連続的に導入しているためスループットが高い。しかし,連続導入系の場合,大量のイオンを装置へと導入できないため,実施例1,2より感度が低くなる。洗浄効果は実施例1,2と同様であり,バルブ3を用いて洗浄ガスをパルス状に装置へと大量導入することで迅速に装置内部を洗浄できる。図15の例では洗浄ガスを導入する箇所をイオン源2と真空チャンバー4の間としているが,真空チャンバー4に直接洗浄ガスを導入してもよい。
図16は,実施例3の質量分析装置の別形態を示す概略構成図である。図15と異なる点は,イオン源2とガス導入口1の間にバルブ3を配置したことである。ただし,図15と同様に試料ガスと洗浄ガスは異なる配管から導入する。図16の構成では試料ガスをパルス導入しているため,実施例1,2同様に感度が高い。また図16の構成であれば,試料測定モードと洗浄モードを交互に繰り返すことで,試料を測定しながら洗浄を行うことができる。例えば,試料ガス側のバルブ3を開閉して試料ガスを導入・分析し,続いて洗浄ガス側のバルブ3を開閉して装置の洗浄を行う。このように試料計測と洗浄を連続して行うことで常に装置内をクリーンな状態に保つことができる。必ずしも試料ガス導入と洗浄ガス導入を1回ずつ交互に行う必要はなく,試料ガス導入を5回行うたびに洗浄ガス導入を1回行うなど,回数のバランスは変更可能である。
図17も,実施例3の質量分析装置の別形態を示す概略構成図である。図16と異なり,試料ガス側のパルスバルブ3をイオン源2と真空チャンバー4の間に配置した。図15,図16と同様に試料ガスと洗浄ガスは異なる配管から導入する。図17に示した構成でも図16の構成と同様に,試料測定と洗浄を交互に繰り返すことができ装置を常に健全な状態に保つことができる。図17の構成では大気圧イオン源を用いることができる。
図18も,実施例3の質量分析装置の別形態を示す概略構成図である。試料ガスを導入する配管と洗浄ガスを導入する配管がイオン源手前で合流する構成となっている。試料ガスをパルス導入しているため感度は高い。また,洗浄ガスもパルス導入しているため洗浄効率も高い。図15から図17と異なり,洗浄ガスがイオン源2を通過してから真空チャンバー4へと導入されるため,イオン源2も洗浄されることになり装置のロバスト性が高い。
なお,本発明は上記した実施例に限定されるものではなく,様々な変形例が含まれる。例えば,上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり,必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また,ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり,また,ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また,各実施例の構成の一部について,他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…ガス導入口,2…イオン源,3…バルブ,4…真空チャンバー,5…ポンプ,6…イオン検出器,7…制御回路,8…コントロール計算機,9…データ表示機,10…エレクトロスプレー用プローブ,11…試料溶液,12…イオン導入用配管,13…洗浄ガス導入口,14…シリコンチューブ,15…ピンチバルブ,16…試料分子,17…外巻き放電用電極,18…ガラス管,19…放電用内部電極,20…インキャップ,21…ロッド電極,22…エンドキャップ,23…試料バイアル,24…試料溶液,25…高圧交流電源,26…可搬型質量分析装置,27…可搬型質量分析装置のデータ表示機,28…強塩基性もしくは強酸性液,29…ラベル,30…洗浄ガスの塩,31…洗浄ガス供給源のバイアル,32…圧力計,33…ガスヒータ

Claims (18)

  1. 試料をイオン化するイオン源と,イオン化された試料を質量電荷比で分離する質量分離部を有するチャンバーと,前記質量分離部により分離されたイオンを検出する検出器と,洗浄ガスを前記チャンバーに導入する配管と,前記配管に設けられた開閉機構と,制御部とを有する質量分析装置を用いた分析方法であって,
    試料を前記イオン源に導入してイオン化し,イオン化された試料を前記チャンバーに導入して前記質量分離部において分離し,前記検出器で検出する試料測定工程と,
    前記洗浄ガスを前記チャンバーに導入する洗浄工程と,を有し,
    前記制御部は,前記洗浄工程における前記チャンバーの圧力の最大値が,前記試料測定工程における前記チャンバーの圧力の最大値よりも大きくなるように,前記開閉機構を制御することを特徴とする分析方法。
  2. 前記制御部は,前記洗浄ガスの前記チャンバー内の圧力変化がパルス状となるように前記開閉機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  3. 前記洗浄工程において,前記チャンバー内の少なくとも1ヶ所の圧力が10倍以上変化することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  4. 前記洗浄工程において,前記チャンバー内の少なくとも1ヶ所の圧力が,100倍以上変化することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  5. 前記洗浄工程において,前記制御部は,前記開閉機構の開時間が1秒以内になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  6. 前記開閉機構は,前記イオン源と前記チャンバーの間又は前記イオン源への試料の導入口と前記イオン源の間に設けられており,
    前記試料測定工程において,前記開閉機構が開の状態で試料イオンを前記チャンバーに導入し,前記開閉機構が閉状態で試料イオンを前記質量分離部で分離して前記検出器で検出することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  7. 前記イオン源と前記チャンバーの間又は前記イオン源への試料の導入口と前記イオン源の間に,さらに第2の開閉機構を備え,
    前記試料測定工程において,前記第2の開閉機構が開の状態で試料イオンを前記チャンバーに導入し,前記開閉機構が閉の状態で試料を前記質量分離部で分離して前記検出器で検出することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  8. 前記試料測定工程よりも前記洗浄工程の方が前記開閉機構の開となる時間が長いことを特徴とする請求項6又は7に記載の分析方法。
  9. 前記試料測定工程において,前記開閉機構の開時間が1秒以内になるように制御することを特徴とする請求項6又は7に記載の分析方法。
  10. 前記開閉機構の制御により,前記試料測定工程における前記チャンバー内の圧力変動よりも,前記洗浄工程における前記チャンバー内の圧力変動が大きいことを特徴とする請求項6又は7に記載の分析方法。
  11. 前記試料測定工程よりも前記洗浄工程の方が,前記チャンバー内の少なくとも1つの電圧が低いことを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  12. 前記イオン源が,放電イオン源であることを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  13. 前記放電イオン源は,誘電体で形成されるイオン化室の一部を挟んで設けられた電極対と電源とを有し,前記試料測定工程において,前記電極対に電圧を印加することにより発生する誘電体バリア放電により放電プラズマを発生させて試料のイオンを生成することを特徴とする請求項12に記載の分析方法。
  14. 前記試料測定工程及び前記洗浄工程において,前記放電イオン源に放電を発生させ,前記試料測定工程の方が,前記洗浄工程よりも放電時間が長いことを特徴とする請求項12に記載の分析方法。
  15. 前記試料測定工程及び前記洗浄工程において,前記放電イオン源に放電を発生させ,前記洗浄工程の方が前記試料測定工程よりも放電電圧が高いことを特徴とする請求項12に記載の分析方法。
  16. 前記洗浄ガスは,密閉された容器内に入れられた洗浄ガス発生用の液体から供給されるものであって,前記容器の内圧が大気圧より減圧された状態で,前記洗浄ガスを導入することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  17. 前記洗浄ガスは,塩として保存された状態から供給されるものであって,前記洗浄工程において,前記塩と強酸性液体又は強塩基性液体を反応させることで塩析効果により前記洗浄ガスを発生させて導入することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  18. 汚染確認用物質の測定工程を有し,前記試料又は前記汚染確認物質の測定結果によって前記質量分析装置の汚染状態を判断し,前記洗浄工程をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
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