JP2019184521A - 分析システム及びイオン流路部洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】分析部にイオン流路部を取り付けたまま、イオン流路部の洗浄を行うことを課題とする。【解決手段】イオンが流れるFAIMS2と、FAIMS2を流れてきたイオンを分析する質量分析装置Dと、FAIMS2と、質量分析装置Dとの間に設置され、FAIMS2から流れてきた所定の空間を有する接合部12と、接合部12の内部を排気する排気ポンプ15と、接合部12に設けられ、FAIMS2を介して、接合部12へ流入した洗浄液が、質量分析装置Dへ流れるのを防止する流動防止部11と、を有することを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、分析システム及びイオン流路部洗浄方法の技術に関する。
質量分析装置では、真空中で分子イオンの質量電荷比(m/z)によりイオンを分離することが可能である。これにより、質量分析装置は、イオンを高感度かつ高精度に分離・検出することが可能である。ここで、質量分析ではイオンが質量電荷比(m/z)毎に分離される。また、質量分析装置では、液体クロマトグラフ(LC)や、ガスクロマトグラフ(GC)が一般的に用いられている。このような質量分析装置では、液体クロマトグラフィ質量分析(LC/MS)や、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC/MS)といった分析手法がよく用いられている。
一方、非対称電界印加型イオン移動度分離装置(FAIMS(Field Asymmetric Ion Mobility Spectrometry)またはDMS(Differential mobility spectrometry))と呼ばれる分析装置がある。これらの分析装置は、大気圧下の気相中において、分子イオンの立体構造に依存して気相中でのイオンの移動速度が異なることを利用してイオンを分離するものである。例えば、非特許文献1には、FAIMSと質量分析装置を結合させた装置の例が示されている。
非特許文献1において、FAIMSは質量分析装置の前段に取り付けられており、ユーザがFAIMSの取り付けや、取り外しをすることが可能な構成となっている。FAIMSは、質量分析では分離できない質量電荷比(m/z)が同じ構造異性体のイオンを分離することができる。さらに、FAIMSは、質量分析を行う前に夾雑物イオンを排除することで質量分析装置のS/Nを向上させることができる。
Yang Kang,Bradley B.Schneider,Thomas R.Covey "On The Nature Of Mass Spectrometer Analyzer Contamination" J.Am.Mass Spectrom,2017,28:2384-2392
一般に質量分析装置で長期間測定を行うと、イオン源から導入される夾雑物により質量分析装置の電極が汚染され、感度が低下するという課題がある。
非特許文献1に記載の質量分析装置にFAIMSを取り付けた装置では、汚染のほとんどがFAIMS部分に集中するため、FAIMS部分のみを洗浄することで汚染による感度低下を回復できることが報告されている。
非特許文献1に記載の質量分析装置にFAIMSを取り付けた装置では、汚染のほとんどがFAIMS部分に集中するため、FAIMS部分のみを洗浄することで汚染による感度低下を回復できることが報告されている。
しかし、FAIMSを質量分析装置に取り付けたまま洗浄を行うと、夾雑物を含んだ洗浄液が、質量分析装置にまで及んでしまう。このため、質量分析装置内部の電極まで汚染の範囲が拡大してしまう。これにより、質量分析装置の感度が低下してしまうという課題が存在する。そのため、現状ではFAIMS部分を洗浄する際に、ユーザがFAIMSを質量分析装置から取り外して、分解洗浄後、再度組み立てている。このような煩雑な操作が必要であるため、ユーザビリティが低く、またメンテナンスに時間を要するという課題がある。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、分析部にイオン流路部を取り付けたまま、イオン流路部の洗浄を行うことを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、イオンが流れるイオン流路部と、前記イオン流路部を流れてきた前記イオンを分析する分析部と、前記イオン流路部と、前記分析部との間に設置され、所定の空間を有する接合部と、前記接合部の内部を排気する排気部と、前記接合部に設けられ、前記イオン流路部を介して、前記接合部へ流入した洗浄物質が、前記分析部へ流れるのを防止する流動防止部と、を有することを特徴とする。
その他の解決手段については、実施形態中において後記する。
その他の解決手段については、実施形態中において後記する。
本発明によれば、分析部にイオン流路部を取り付けたまま、イオン流路部の洗浄を行うことができる。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る分析システムZの構成例を示す図である。ここで、図1は、洗浄モード(後記)時を示している。
図1に示すように、分析システムZは、イオン源7、FAIMS2、洗浄部1、質量分析装置D、カウンタガス制御装置A、制御装置Cを有する。また、ノズルNについては後記するが、ノズルNは分析システムZに備えられていてもよいし、分析システムZとは別体に備えられてもよい。ノズルNが分析システムZとは別体に備えられる場合、例えば、ユーザが人手でノズルNを操作する。
質量分析装置Dは、真空室3及び分析部4を有している。
真空室3は、第1真空ポンプ301を有している。接合部12と、真空室3との間には第1細孔H1が設けられている。
分析部4は、質量分析部402、検出器403、第2真空ポンプ401を有する。真空室3と分析部4との間には第2細孔H2が設けられている。
質量分析装置Dについては後記する。
そして、FAIMS2と、真空室3の間には所定の空間を有し、洗浄部1の一部をなす接合部12が設けられている。
図1は、第1実施形態に係る分析システムZの構成例を示す図である。ここで、図1は、洗浄モード(後記)時を示している。
図1に示すように、分析システムZは、イオン源7、FAIMS2、洗浄部1、質量分析装置D、カウンタガス制御装置A、制御装置Cを有する。また、ノズルNについては後記するが、ノズルNは分析システムZに備えられていてもよいし、分析システムZとは別体に備えられてもよい。ノズルNが分析システムZとは別体に備えられる場合、例えば、ユーザが人手でノズルNを操作する。
質量分析装置Dは、真空室3及び分析部4を有している。
真空室3は、第1真空ポンプ301を有している。接合部12と、真空室3との間には第1細孔H1が設けられている。
分析部4は、質量分析部402、検出器403、第2真空ポンプ401を有する。真空室3と分析部4との間には第2細孔H2が設けられている。
質量分析装置Dについては後記する。
そして、FAIMS2と、真空室3の間には所定の空間を有し、洗浄部1の一部をなす接合部12が設けられている。
洗浄部1は、接合部12、接合部12の内部に設けられた流動防止部11、廃棄ラインEを有している。
流動防止部11は、測定モード(後記)時では試料イオン(以下、イオンと称する)を真空室3へ通過させ、洗浄モード時にはFAIMS出口202から第1細孔H1へ流れる気流を遮蔽する。なお、図1に示すように流動防止部11は接合部12に設けられている。
さらに、前記したように、洗浄部1は、洗浄モード時において、FAIMS2を洗浄した洗浄液を廃棄する廃棄ラインEを有する。洗浄部1及び廃棄ラインEについては後記する。
流動防止部11は、測定モード(後記)時では試料イオン(以下、イオンと称する)を真空室3へ通過させ、洗浄モード時にはFAIMS出口202から第1細孔H1へ流れる気流を遮蔽する。なお、図1に示すように流動防止部11は接合部12に設けられている。
さらに、前記したように、洗浄部1は、洗浄モード時において、FAIMS2を洗浄した洗浄液を廃棄する廃棄ラインEを有する。洗浄部1及び廃棄ラインEについては後記する。
(FAIMS2)
本実施形態の特徴部分である洗浄部1の説明を行う前に、FAIMS2の説明を行う。
イオン測定時において、イオン源7で生成されたイオンは、対向電極5及び電極6を通過して、FAIMS2に導入される。
イオン源7で行われるイオン化方法は、例えばエレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)が用いられる。あるいは、大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化(AP−MALDI)、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)でが用いられる。さらに、大気圧光イオン化(APPI)等が用いられる。これらの手法は、質量分析装置Dで通常用いられるイオン化法である。
本実施形態の特徴部分である洗浄部1の説明を行う前に、FAIMS2の説明を行う。
イオン測定時において、イオン源7で生成されたイオンは、対向電極5及び電極6を通過して、FAIMS2に導入される。
イオン源7で行われるイオン化方法は、例えばエレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)が用いられる。あるいは、大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化(AP−MALDI)、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)でが用いられる。さらに、大気圧光イオン化(APPI)等が用いられる。これらの手法は、質量分析装置Dで通常用いられるイオン化法である。
対向電極5と電極6との間に、FAIMS2を流れるガス流量より高い流量でガスを導入すると、対向電極5のFAIMS入口201側からイオン源7側に向けてガス(カウンタガスA1)が流れるようなる。カウンタガスA1の一部(分流気流A2)は、FAIMS入口201からFAIMS2内に流入する。なお、カウンタガスA1はカウンタガス制御装置Aによって制御されている。
このカウンタガスA1の流れにより中性の液滴や夾雑物はイオン源7方向に排除され(戻され)、夾雑物がFAIMS2に入るのを防ぐことができる。このとき、カウンタガスA1の流れに逆らってイオンをFAIMS2に導入するため、対向電極5と電極6にはイオンをFAIMS入口201方向に引き寄せる電圧を印加する。この電圧によって、イオン源7から射出されたイオンは、カウンタガスA1の流れに逆らってFAIMS2内に導入される。
このようなカウンタガスA1によって、イオンのみをFAIMS2に導入することができる。なお、カウンタガスA1として、空気や、窒素ガス等が用いられる。
このようなカウンタガスA1によって、イオンのみをFAIMS2に導入することができる。なお、カウンタガスA1として、空気や、窒素ガス等が用いられる。
図2A及び図2Bは、FAIMS2の一般的な構成を示す模式図である。図2A及び図2Bにおいて、図1と同様の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。適宜、図1を参照する。
図2Aに示すように、FAIMS2は、2枚の電極である第1電極211及び第2電極212を備える。第1電極211及び第2電極212は、イオンBの流路上と、その周辺において距離が一定に保たれるように構成される。例えば、図2Aに示すような2枚の平板状電極からなる構成や、図2Bに示すような第1電極211aと第2電極212aからなる構成がある。
図2Aに示すように、FAIMS2は、2枚の電極である第1電極211及び第2電極212を備える。第1電極211及び第2電極212は、イオンBの流路上と、その周辺において距離が一定に保たれるように構成される。例えば、図2Aに示すような2枚の平板状電極からなる構成や、図2Bに示すような第1電極211aと第2電極212aからなる構成がある。
図2Bでは、第1電極211aは中が空洞となっている円筒形状を有している。そして、第2電極212aは円筒形状を有している。図2Bに示すように、第2電極212aは、第1電極211aの内部に収納されている。そして、第1電極211aにはFAIMS入口201として孔が設けられており、FAIMS入口201の反対側にはFAIMS出口202として孔が設けられている。つまり、円筒形状を有する第1電極211aの側面にFAIMS入口201及びFAIMS出口202の孔が設けられている。
第1電極211及び第2電極212の電極間距離は、およそ0.1mm〜数mm程度である。また、FAIMS入口201からFAIMS出口202までイオンBが飛行する距離にあたる電極長さはおよそ数十mm程度である。
図2に示すように、FAIMS2は、交流電圧電源221、直流電圧電源222、バイアス電圧電源223を備える。FAIMS2では、交流電圧電源221を用い、高周波電圧を重ね合わせた分離電圧を第1電極211に印加することにより、第1電極211と第2電極212の間に高周波電場を生成する。分離電圧は、分散電圧、またはSV(Separation Voltage)とも称される。
なお、異なる電極間に電位差を生じさせることができる構成であれば、FAIMS2に設けられる電極は2枚に限らない。
なお、異なる電極間に電位差を生じさせることができる構成であれば、FAIMS2に設けられる電極は2枚に限らない。
なお、図2Aに示すように、FAIMS2にはヒータ231が設けられている。測定時において、FAIMS2の内部を流れるガスの温度が100〜300度になるよう、ヒータ231によってFAIMS2が加熱されている。また、イオン源7でイオンBを生成し、イオンBがFAIMS入口201から分析部4側に導入されるように電圧が第1電極211、第2電極212、対向電極5、イオン源7、第1細孔H1等に印加される。例えば、イオンBがプラスイオンであれば、第1電極211→第2電極212→対向電極5→イオン源7→第1細孔H1の順に階段状に電圧を低く印加するとよい。
なお、図2Bでは制御装置Cを図示省略している。そして、交流電圧電源221、直流電圧電源222、バイアス電圧電源223及びヒータ231は図2Aと同様であるので、ここでの説明を省略する。また、制御装置Cについては後記する。
なお、図2Bでは制御装置Cを図示省略している。そして、交流電圧電源221、直流電圧電源222、バイアス電圧電源223及びヒータ231は図2Aと同様であるので、ここでの説明を省略する。また、制御装置Cについては後記する。
図3は、分離電圧の一例を示す図である。
分離電圧は、高電圧(プラス電圧)と、低電圧(マイナス電圧)とを一定期間ずつ繰り返し印加し、時間平均すれば0になるように印加される。分離電圧は数百Vから数kVの電圧振幅である。分離電圧は、高電圧の時間が長く、低電圧の時間が高電圧より短くなるよう設定される。また、図2に示すように、直流電圧電源222により生成される直流電圧である補償電圧を第2電極212に印加することで、図2Aに示すように、ある特定のイオンBのイオン軌道Rが修正される。補償電圧は、補正電圧、またはCV(Compensation Voltage)とも称される。これにより、特定のイオンBのみがFAIMS2を通過し、それ以外のイオンBを排除することが可能となる。
分離電圧は、高電圧(プラス電圧)と、低電圧(マイナス電圧)とを一定期間ずつ繰り返し印加し、時間平均すれば0になるように印加される。分離電圧は数百Vから数kVの電圧振幅である。分離電圧は、高電圧の時間が長く、低電圧の時間が高電圧より短くなるよう設定される。また、図2に示すように、直流電圧電源222により生成される直流電圧である補償電圧を第2電極212に印加することで、図2Aに示すように、ある特定のイオンBのイオン軌道Rが修正される。補償電圧は、補正電圧、またはCV(Compensation Voltage)とも称される。これにより、特定のイオンBのみがFAIMS2を通過し、それ以外のイオンBを排除することが可能となる。
図2の説明に戻る。
この補償電圧は−100V〜+100V程度である。なお、この直流電圧電源222による直流電圧は第1電極211に印加することも可能である。同様に、分離電圧を第2電極212に印加することも可能である。
この補償電圧は−100V〜+100V程度である。なお、この直流電圧電源222による直流電圧は第1電極211に印加することも可能である。同様に、分離電圧を第2電極212に印加することも可能である。
さらに、バイアス電圧電源223により、第1電極211と第2電極212とにバイアス電圧が印加されることで、FAIMS2へイオンBを効率よく導入することが可能となる。また、バイアス電圧が印加されることで、FAIMS2の後段(接合部12)へ効率よくイオンBが排出されることが可能となる。
分離電圧と補償電圧とが調整されることで、FAIMS2の分離能を変更することができる。一般に、分離電圧が高く設定されると、FAIMS2の分離能を高くすることができ、特定のモビリティのイオンBのみが通過する条件となる。逆に、分離電圧が低く設定されると、FAIMS2の分離能が低くなり、異なるモビリティを有する複数種類のイオンBが通過する条件となる。
なお、分離電圧は、高電圧側の時間と低電圧側の時間とが非対称になっていれば、図3に示す波形を有していなくてもよい。
なお、分離電圧は、高電圧側の時間と低電圧側の時間とが非対称になっていれば、図3に示す波形を有していなくてもよい。
FAIMS2の汚染や、ノイズの原因となる夾雑物の一部は、帯電液滴や、低分子イオン(Na+、K+、Cl−、NH4+等)としてFAIMS2に導入される。しかし、これらのモビリティはサンプルイオンとは大きく異なるため、FAIMS2の分離能が低い条件でもFAIMS2内で排除可能である。
図4は、分析装置で検出される信号強度、分離電圧及びイオン源電圧の例を示す図である。ここで、信号強度は質量分析装置Dとして液体クロマトグラフィが用いられた場合における分析装置で検出される信号強度である。また、分離電圧はFAIMS2の第1電極211に印加される分離電圧である。そして、イオン源電圧は、イオン源7においてイオン生成に用いられる電圧である。なお、図4に示される3つの図面の横軸は時間であり、それぞれの図面において時刻は揃えられている。
なお、図4において、上段図は分析装置で検出される信号強度を示す。また、中段図は分離電圧を示す。さらに、下段図はイオン源電圧を示す。
図4のように液体クロマトグラフィ等と組み合わせて測定を行う場合等、サンプルのピークが生じないタイミングが予めわかっている場合がある(図4上段図の期間T)。このようなサンプルのピークが生じないタイミングでも、FAIMS2には分離電圧が印加される(図4中段図の斜線部分)。これにより、夾雑物を排除することができる。同時に、イオン源7の電圧をゼロにして(図4下段図の期間T)、新たなイオンの生成を停止する。これにより、FAIMS2より下流の汚染を最小限におさえるこができる。
なお、図4において、上段図は分析装置で検出される信号強度を示す。また、中段図は分離電圧を示す。さらに、下段図はイオン源電圧を示す。
図4のように液体クロマトグラフィ等と組み合わせて測定を行う場合等、サンプルのピークが生じないタイミングが予めわかっている場合がある(図4上段図の期間T)。このようなサンプルのピークが生じないタイミングでも、FAIMS2には分離電圧が印加される(図4中段図の斜線部分)。これにより、夾雑物を排除することができる。同時に、イオン源7の電圧をゼロにして(図4下段図の期間T)、新たなイオンの生成を停止する。これにより、FAIMS2より下流の汚染を最小限におさえるこができる。
図1の説明に戻る。
FAIMS2を通過したイオンは接合部12と、第1細孔H1を通って真空室3に導入される。真空室3は第1真空ポンプ301で排気されており、50,000Pa〜50Pa程度の圧力に維持されている。一方、FAIMS2及び接合部12は、ほぼ大気圧である。そのため、接合部12と真空室3との圧力差により、10L/min〜0.1L/min程度の気体が第1細孔H1から真空室3に流入する。
FAIMS2を通過したイオンは接合部12と、第1細孔H1を通って真空室3に導入される。真空室3は第1真空ポンプ301で排気されており、50,000Pa〜50Pa程度の圧力に維持されている。一方、FAIMS2及び接合部12は、ほぼ大気圧である。そのため、接合部12と真空室3との圧力差により、10L/min〜0.1L/min程度の気体が第1細孔H1から真空室3に流入する。
FAIMS入口201以外に外部と接する部分がないため、第1細孔H1から真空室3に流入する気体はFAIMS入口201から吸入される気体である。そのため、第1細孔H1から導入される気体の流量が増えるほど、FAIMS入口201から流入する気体の流量、すなわち、FAIMS2内を流れる気体の流量が増える。
接合部12は、FAIMS出口202と第1細孔H1の間に設けられる空間である。接合部12の距離(FAIMS出口202及び第1細孔H1の間の距離)が長いと、FAIMS出口202から導入されたイオンが電荷同士の静電反発と気体の拡散により広がる。このため、第1細孔H1から導入されずにロスしてしまうイオンの割合が高くなる。一方、接合部12の距離が短すぎるとFAIMS2に高い分離電圧が印加される際に、接合部12内に放電が発生してしまう。接合部12には流動防止部11と廃棄ラインEの入り口が実装されている。流動防止部11と廃棄ラインEの動作については、後記する。
第1細孔H1はオリフィスでも細管でもよい。第1細孔H1は夾雑物が付着するのを防ぐために100度〜600度程度に加熱されている。
真空室3に導入されたイオンは、第2細孔H2から分析部4に導入される。ここで、第2真空ポンプ401の吸引によって、真空室3に導入されたイオンは分析部4に導入される。
分析部4に導入されたイオンは、質量分析部402で質量電荷比毎に分離され、検出器403で検出される。
分析部4に導入されたイオンは、質量分析部402で質量電荷比毎に分離され、検出器403で検出される。
廃棄ラインEは、接合部12からFAIMS2を洗浄した洗浄液Lを廃棄する。廃棄ラインEの入り口は重力で落下してくる洗浄液Lを効率的に回収できるように接合部12の下部に設けられる。廃棄ラインEは、廃棄バルブ13、固体や液体が排気ポンプ15に入るのを防ぐトラップ14、排気ポンプ15を有する。廃棄バルブ13、トラップ14及び排気ポンプ15は廃棄管16によって接続されている。トラップ14を排気ポンプ15やFAIMS2の温度よりも低い温度にすると、洗浄液Lや夾雑物の蒸気も捕集することができる。これにより、排気ポンプ15が結露して破損する等の不具合をさけることができる。排気ポンプ15はダイアフラムポンプやスクロールポンプ等、大気圧の気体を排気できるポンプを用いることができる。
制御装置Cは、PC(Personal Computer)や、PLC(Programmable Logic Controller)等である。図1に示すように、制御装置Cは、イオン源7、流動防止部11、廃棄バルブ13、排気ポンプ15、第1真空ポンプ301、第2真空ポンプ401、カウンタガス制御装置Aを制御する。また、制御装置Cは、FAIMS2を制御する。具体的には、図2Aに示すように、制御装置Cは、FAIMS2の交流電圧電源221、直流電圧電源222、バイアス電圧電源223、ヒータ231等を制御する。
(洗浄機構)
図5A及び図5Bは、本実施形態で用いられる洗浄機構の動作を説明する図である。図5Aは測定モード時における動作であり、図5Bは洗浄モード時における動作である。なお、図5A及び図5Bにおける白抜きの矢印は気流の方向を示している。適宜、図1を参照する。
分析システムZは、イオン源7でイオン化した試料をFAIMS2と質量分析装置Dで測定する測定モードと、FAIMS2の洗浄を行う洗浄モードの少なくとも2種類の動作を行う。通常は測定モードで動作し、ユーザからの操作や、質量分析装置Dが感度低下を検知した場合、洗浄モードの動作が行われる。
図5A及び図5Bは、本実施形態で用いられる洗浄機構の動作を説明する図である。図5Aは測定モード時における動作であり、図5Bは洗浄モード時における動作である。なお、図5A及び図5Bにおける白抜きの矢印は気流の方向を示している。適宜、図1を参照する。
分析システムZは、イオン源7でイオン化した試料をFAIMS2と質量分析装置Dで測定する測定モードと、FAIMS2の洗浄を行う洗浄モードの少なくとも2種類の動作を行う。通常は測定モードで動作し、ユーザからの操作や、質量分析装置Dが感度低下を検知した場合、洗浄モードの動作が行われる。
図5Aに示すように、測定モード時では、第1細孔H1が開放されるよう流動防止部11が制御される。これを開状態と称する。このように測定モード時において、制御装置Cは、第1細孔H1を開状態とし、廃棄ラインEの廃棄バルブ13を閉じる。このようにすることで、FAIMS2を流動するガス(白抜き矢印)がロスなく第1細孔H1から真空室3へ導入される。これにより、FAIMS2を通過したイオンが効率よく第1細孔H1に導入される。
ここで、仮に、測定モード時において、廃棄バルブ13を閉じずに廃棄ラインE側にもガスが流れるようにすると、イオンの一部が廃棄ラインE側に流れてしまう。その結果、分析部4における感度が低下してしまう。また、測定モード時で、廃棄バルブ13を閉じないと、廃棄ラインEやトラップ14に堆積した夾雑物が、第1真空ポンプ301や、第2真空ポンプ401による吸引により第1細孔H1の方向に逆流してしまうおそれがある。このため、汚染やノイズの原因となるおそれがある。
また、測定モード時では、第1細孔H1にイオンを効率よく導入するため、前記したように、第1電極211、第2電極212、対向電極5、イオン源7、第1細孔H1等に電圧が印加される。これにより、イオンを第1細孔H1に引き寄せる電界が形成される。
図5Aに示すように開状態では、流動防止部11の部材がイオンの流路から十分離れた、電界に影響を与えない位置に来るように設計される。これは、流動防止部11の部材が、この電界を歪ませてイオンを第1細孔H1に導入する効率が低下してしまうのを防ぐためである。
ちなみに、流動防止部11の部材とイオン流路との距離は典型的には1mm以上である。
図5Aに示すように開状態では、流動防止部11の部材がイオンの流路から十分離れた、電界に影響を与えない位置に来るように設計される。これは、流動防止部11の部材が、この電界を歪ませてイオンを第1細孔H1に導入する効率が低下してしまうのを防ぐためである。
ちなみに、流動防止部11の部材とイオン流路との距離は典型的には1mm以上である。
続いて、図5Bに示すように、洗浄モード時では、第1細孔H1が流動防止部11によって閉じられる。これを閉状態と称する。このように、洗浄モード時において、制御装置Cは、第1細孔H1を閉状態とすることで第1細孔H1に流れる気流を遮断する。さらに、制御装置Cは、廃棄ラインEの廃棄バルブ13を開いて排気ポンプ15で排気する。そして、ノズルNから洗浄液LがFAIMS2に導入される。このようにすることで、ノズルNから供給された洗浄液LでFAIMS2と接合部12が洗浄され、洗浄後の夾雑物を含む洗浄液Lが廃棄ラインEから廃棄される。閉状態への移行処理については後記する。
洗浄液Lは、水、メタノール、アセトン、イソプロパノール、ヘキサン、アセトニトリル等の溶媒や、その混合物が望ましい。測定モード時に使用される溶媒や、試料によって洗浄液Lの種類が変えられてもよい。例えば、測定モード時に使用される溶媒が、塩等の水溶性の成分が多い場合、洗浄液Lとして水等が用いられるとよい。また、測定モード時に使用される溶媒が、脂質等の脂溶性の成分が多い場合、メタノール、アセトン、イソプロパノール、ヘキサン、アセトニトリル等の溶媒が洗浄液Lとして用いられるとよい。
これらの洗浄液Lが用いられることで、FAIMS2や対向電極5の夾雑物を効率に除去できる。
これらの洗浄液Lが用いられることで、FAIMS2や対向電極5の夾雑物を効率に除去できる。
洗浄液Lを供給するノズルNは図5A及び図5Bに示すようにイオン源7と兼用にしてもよいし、イオン源7とは別に設けられてもよい。
(ノズルN)
図6A〜図6Cは、ノズルNa〜Ncの例を示す図である。なお、図6A〜図6Cでは、ノズルNa〜Ncの説明に必要な箇所のみ図示している。また、図6A〜図6Cにおいて、図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図6Aは、ノズルNaの例を示す図である。
ノズルNaは、ガスによる圧力で洗浄液Lを霧状にし、霧状の液滴となった洗浄液LをFAIMS2の内部に吹き付ける構成を有している。なお、ノズルNを図5A及び図5Bに示すようにイオン源7と兼用できるのは、ノズルNaの方式の場合である。
図6A〜図6Cは、ノズルNa〜Ncの例を示す図である。なお、図6A〜図6Cでは、ノズルNa〜Ncの説明に必要な箇所のみ図示している。また、図6A〜図6Cにおいて、図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図6Aは、ノズルNaの例を示す図である。
ノズルNaは、ガスによる圧力で洗浄液Lを霧状にし、霧状の液滴となった洗浄液LをFAIMS2の内部に吹き付ける構成を有している。なお、ノズルNを図5A及び図5Bに示すようにイオン源7と兼用できるのは、ノズルNaの方式の場合である。
また、図6Bは、ノズルNbの例を示す図である。
ノズルNbでは、水鉄砲のように洗浄液Lを液体のまま、FAIMS2の内部に吹き付ける構成を有している。
ノズルNbでは、水鉄砲のように洗浄液Lを液体のまま、FAIMS2の内部に吹き付ける構成を有している。
洗浄液Lを液体のままFAIMS2内に直接吹き付けるノズルNbの方式の方が、ノズルNaの方式より単位時間当たりに供給できる洗浄液Lの量が多い。また、ノズルNbの方式の方が、ノズルNaの方式より、洗浄液Lの圧力によって、物理的に汚染を剥離する効果もある。従って、ノズルNbの方式は、ノズルNaの方式より短時間で汚染を除去できる。
一方、霧状の液滴を形成して洗浄液Lを供給するノズルNaの方式は、気流によって洗浄液Lの液滴を広い範囲に供給できる。そのため、ノズルNaの方式は、液体を直接吹き付けるノズルNbの方式より広い範囲の電極(第1電極211、第2電極212)を洗浄することができる。これにより、ノズルNaから直接見えない位置にある電極や複雑な形状の電極も洗浄することができる。
一方、霧状の液滴を形成して洗浄液Lを供給するノズルNaの方式は、気流によって洗浄液Lの液滴を広い範囲に供給できる。そのため、ノズルNaの方式は、液体を直接吹き付けるノズルNbの方式より広い範囲の電極(第1電極211、第2電極212)を洗浄することができる。これにより、ノズルNaから直接見えない位置にある電極や複雑な形状の電極も洗浄することができる。
図6Cは、ノズルNcの例を示す図である。
ノズルNcは、対向電極5の内側に設置されている。なお、ノズルNcは、図6Aに示すノズルNaと同様、ガスによる圧力で洗浄液Lを霧状にし、霧状の液滴となった洗浄液Lを吹き付ける構成を有している。
ここで、ノズルNcでは、カウンタガスA1及び分流気流A2に乗って、霧状の洗浄液LがFAIMS2の内部に導入される。
このようにすることで、排気ポンプ15による吸引力と合わせて、カウンタガスA1及びカウンタガスA1から分流しFAIMS2の内部に流れ込む分流気流A2によって洗浄液LがFAIMS2の内部に導入される。すなわち、FAIMS2の内部への洗浄液Lの導入を効率的に行うことができる。
ノズルNcは、対向電極5の内側に設置されている。なお、ノズルNcは、図6Aに示すノズルNaと同様、ガスによる圧力で洗浄液Lを霧状にし、霧状の液滴となった洗浄液Lを吹き付ける構成を有している。
ここで、ノズルNcでは、カウンタガスA1及び分流気流A2に乗って、霧状の洗浄液LがFAIMS2の内部に導入される。
このようにすることで、排気ポンプ15による吸引力と合わせて、カウンタガスA1及びカウンタガスA1から分流しFAIMS2の内部に流れ込む分流気流A2によって洗浄液LがFAIMS2の内部に導入される。すなわち、FAIMS2の内部への洗浄液Lの導入を効率的に行うことができる。
なお、図6Aに示すノズルNaや、図6Bに示すノズルNbでは、後記するように洗浄モードでは、カウンタガスA1が停止させられる。しかし、図6Cに示すノズルNcでは、カウンタガスA1を利用するため、洗浄モードでもカウンタガスA1が流し続けられる。
図5Bに示すように、閉状態にし、第1細孔H1が塞がれるようにすることで、第1細孔H1に導入される気流を遮断することができる。これにより、夾雑物を含む洗浄液Lが第1細孔H1の下流(真空室3及び分析部4)に流れ込むのを防ぐことができる。
洗浄時にFAIMS入口201から導入されてFAIMS2内部を流れるガスの流量は、排気ポンプ15の吸引量に依存する。特に、洗浄液Lを液滴の形態で導入する場合、廃棄ラインEから接合部12内部のガスを吸引することで、洗浄液Lを効率的にFAIMS2に取り込むことができる。これにより、効率的に洗浄を行うことができる。
洗浄時にFAIMS入口201から導入されてFAIMS2内部を流れるガスの流量は、排気ポンプ15の吸引量に依存する。特に、洗浄液Lを液滴の形態で導入する場合、廃棄ラインEから接合部12内部のガスを吸引することで、洗浄液Lを効率的にFAIMS2に取り込むことができる。これにより、効率的に洗浄を行うことができる。
洗浄モード時では、FAIMS2の温度を室温付近まで下げて洗浄液Lが気化しないようにする。また、洗浄液Lの流路にある第1電極211(第2電極212)、対向電極5、イオン源7、第1細孔H1の電圧は十分低く、あるいはゼロに設定される。このようにすることで、放電が起こらないようにする。さらに、洗浄液LがFAIMS2に入る効率をあげるためカウンタガスA1(図1参照)の流量はほぼゼロに設定される。
(流動防止部11の具体例)
図7A及び図7Bは、第1実施形態で用いられる流動防止部11の第1の具体例を示す図である。図7Aは測定モード時を示し、図7Bは洗浄モード時を示す。
なお、図7A及び図7Bにおいて、説明のため、第1細孔H1を有する部材が流動防止部11と同じ大きさとなっているが、図1等に示すように、実際には流動防止部11よりも大きい。
図7A及び図7Bの例では、流動防止部11は板状の部材で構成されている。
測定モード時では、図7Aに示すように第1細孔H1からずれる位置に流動防止部11が移動する。そして、洗浄モード時では、図7Bに示すように、第1細孔H1を覆う位置に流動防止部11が移動する。
図7A及び図7Bは、第1実施形態で用いられる流動防止部11の第1の具体例を示す図である。図7Aは測定モード時を示し、図7Bは洗浄モード時を示す。
なお、図7A及び図7Bにおいて、説明のため、第1細孔H1を有する部材が流動防止部11と同じ大きさとなっているが、図1等に示すように、実際には流動防止部11よりも大きい。
図7A及び図7Bの例では、流動防止部11は板状の部材で構成されている。
測定モード時では、図7Aに示すように第1細孔H1からずれる位置に流動防止部11が移動する。そして、洗浄モード時では、図7Bに示すように、第1細孔H1を覆う位置に流動防止部11が移動する。
図8A及び図8Bは、第1実施形態で用いられる流動防止部11aの第2の具体例を示す図である。図8Aは測定モード時を示し、図8Bは洗浄モード時を示す。
なお、図8A及び図8Bにおいて、説明のため、第1細孔H1を有する部材が流動防止部11aと同じ大きさとなっているが、図1等に示すように、実際には流動防止部11aよりも大きい。
図8A及び図8Bの例において、流動防止部11aは板状の部材に、第1細孔H1より十分大きな孔111の空いた構成となっている。
なお、図8A及び図8Bにおいて、説明のため、第1細孔H1を有する部材が流動防止部11aと同じ大きさとなっているが、図1等に示すように、実際には流動防止部11aよりも大きい。
図8A及び図8Bの例において、流動防止部11aは板状の部材に、第1細孔H1より十分大きな孔111の空いた構成となっている。
そして、測定モード時では、図8Aに示すように、流動防止部11aの孔111と、第1細孔H1の孔111の位置が一致するように流動防止部11aが移動する。そして、洗浄モード時では、図8Bに示すように、第1細孔H1が流動防止部11aの孔111以外の部材部分で覆われるよう流動防止部11aが移動する。
図7A及び図7B、図8A及び図8Bいずれの構成でも、イオンを通過させる測定モード時では、FAIMS出口202と第1細孔H1の間に流動防止部11,11aの部材が存在しない状態となる。また、洗浄モード時では、FAIMS出口202と第1細孔H1の間に流動防止部11,11aの部材が存在するよう流動防止部11,11aが移動する。これにより、気流が第1細孔H1へ流れ込むのを防ぐことができる。
その結果、洗浄液が真空室3へ流入してしまうことを防ぐことができる。
その結果、洗浄液が真空室3へ流入してしまうことを防ぐことができる。
図8A及び図8Bに示すように、第1細孔H1が設けられている部材に流動防止部11が接するように設けられている。このようにすることで、遮断効果を向上させることができる。
(フローチャート)
<全体処理>
図9は、第1実施形態に係る全体処理の手順を示すフローチャートである。適宜、図1を参照する。
まず、分析システムZにおいて測定が行われる(S1)。
そして、例えば、測定が終了する等のタイミングで、洗浄が必要であるか否かの判定が行われる(S2)。判定は、内部標準物質等、既知濃度の試料を測定したときの信号強度が一定の閾値を下回ったときや、前回の洗浄から一定時間が経過したとき等が考えられる。また、外部のサンプルを供給する装置からの制御を基に、ステップS2の判定が行われてもよい。ここで、外部のサンプルを供給する装置(以下、サンプル供給装置(不図示)と称する)とは、自動分抽装置(不図示)や、自動全処理装置(不図示)である。これらのサンプル供給装置は、予めサンプルがいつイオン源7に投入されるのかについての情報を有している。そして、制御装置Cは、サンプル供給装置から、次のサンプルが投入されるまでの時間が所定時間以上であれば、ステップS2で「Yes」を判定する。ここでの所定時間とは、洗浄が行われるのに十分な時間である。
ステップS2の判定は、制御装置Cが行ってもよいし、ユーザが行ってもよい。
<全体処理>
図9は、第1実施形態に係る全体処理の手順を示すフローチャートである。適宜、図1を参照する。
まず、分析システムZにおいて測定が行われる(S1)。
そして、例えば、測定が終了する等のタイミングで、洗浄が必要であるか否かの判定が行われる(S2)。判定は、内部標準物質等、既知濃度の試料を測定したときの信号強度が一定の閾値を下回ったときや、前回の洗浄から一定時間が経過したとき等が考えられる。また、外部のサンプルを供給する装置からの制御を基に、ステップS2の判定が行われてもよい。ここで、外部のサンプルを供給する装置(以下、サンプル供給装置(不図示)と称する)とは、自動分抽装置(不図示)や、自動全処理装置(不図示)である。これらのサンプル供給装置は、予めサンプルがいつイオン源7に投入されるのかについての情報を有している。そして、制御装置Cは、サンプル供給装置から、次のサンプルが投入されるまでの時間が所定時間以上であれば、ステップS2で「Yes」を判定する。ここでの所定時間とは、洗浄が行われるのに十分な時間である。
ステップS2の判定は、制御装置Cが行ってもよいし、ユーザが行ってもよい。
ステップS2の結果、洗浄の必要がなければ(S2→No)、ステップS1へ処理が戻される。
ステップS2の結果、洗浄の必要があれば(S2→Yes)、洗浄処理が行われる(S3)。洗浄処理の具体的な内容は後記する。
洗浄処理の終了後、制御装置Cは、測定モードに切り替えて既知濃度のサンプル等の測定を行い(S4)、再度洗浄が必要か否かの判定が行われる(S5)。この判定も、制御装置Cが行ってもよいし、ユーザが行ってもよい。
ステップS2の結果、洗浄の必要があれば(S2→Yes)、洗浄処理が行われる(S3)。洗浄処理の具体的な内容は後記する。
洗浄処理の終了後、制御装置Cは、測定モードに切り替えて既知濃度のサンプル等の測定を行い(S4)、再度洗浄が必要か否かの判定が行われる(S5)。この判定も、制御装置Cが行ってもよいし、ユーザが行ってもよい。
ステップS5の結果、洗浄の必要があれば(S5→Yes)、ステップS3へ処理が戻され、再度洗浄処理が行われる。
ステップS5の結果、洗浄の必要がなければ(S5→No)、ステップS1へ処理が戻され、測定が行われる。
ステップS5の結果、洗浄の必要がなければ(S5→No)、ステップS1へ処理が戻され、測定が行われる。
<洗浄処理>
図10は、第1実施形態で行われる洗浄処理(図9のステップS3)の具体的な処理を示すフローチャートである。適宜、図1、図2A及び図2Bを参照する。
まず、制御装置Cは、第1真空ポンプ301及び第2真空ポンプ401(真空ポンプ)を停止させる(S301)。
次に、制御装置Cは、各電源をoffにする(S302)。具体的には、制御装置Cは、イオン源電圧、交流電圧電源221、直流電圧電源222、バイアス電圧電源223等をoffにする。
図10は、第1実施形態で行われる洗浄処理(図9のステップS3)の具体的な処理を示すフローチャートである。適宜、図1、図2A及び図2Bを参照する。
まず、制御装置Cは、第1真空ポンプ301及び第2真空ポンプ401(真空ポンプ)を停止させる(S301)。
次に、制御装置Cは、各電源をoffにする(S302)。具体的には、制御装置Cは、イオン源電圧、交流電圧電源221、直流電圧電源222、バイアス電圧電源223等をoffにする。
そして、制御装置Cは、カウンタガスA1を停止し(S303)、ヒータ231を停止する(S304)。このようにカウンタガスA1が停止してから洗浄モードに入ることで、中性の洗浄液をFAIMS2内に導入することができる。なお、ヒータ231を停止するタイミングは、ステップS301〜S311のどの段階でもよい。
続いて、制御装置Cは、流動防止部11を移動させ、第1細孔H1を閉状態とする(S311)。
次に、制御装置Cは、FAIMS2の温度が十分に下がったか否かを判定する(S312)。ここで、温度が十分に下がるとは、例えば、FAIMS2の温度が室温にまで下がったか否かである。ステップS312では、少なくとも、洗浄液が蒸発しない温度まで下がればよい。
続いて、制御装置Cは、流動防止部11を移動させ、第1細孔H1を閉状態とする(S311)。
次に、制御装置Cは、FAIMS2の温度が十分に下がったか否かを判定する(S312)。ここで、温度が十分に下がるとは、例えば、FAIMS2の温度が室温にまで下がったか否かである。ステップS312では、少なくとも、洗浄液が蒸発しない温度まで下がればよい。
ステップS312の結果、FAIMS2の温度が十分に下がっていない場合(S312→No)、制御装置CはステップS312へ処理を戻す。
ステップS312の結果、FAIMS2の温度が十分に下がっている場合(S312→Yes)、制御装置Cは廃棄バルブ13を開き(S321)、排気ポンプ15を稼働させる(S322)。このように、FAIMS2の温度が十分に下がってから洗浄モードに入ることで、洗浄液の蒸発を防ぐことができる。
そして、洗浄液の導入が開始される(S323)。
次に、制御装置Cは、所定時間が経過したか否かを判定する(S324)。この所定時間は、図4のステップS2における判定時の状態に応じて調整されてもよい。例えば、内部標準物質の感度が閾値を大きく下回った場合、長時間の洗浄が行われる。また、内部標準物質の感度が閾値付近であった場合、短時間の洗浄が行われる。このように、判定時の状態に応じて洗浄時間が調整されることで、FAIMS2のメンテナンスに必要な時間を短縮することができる。
ステップS312の結果、FAIMS2の温度が十分に下がっている場合(S312→Yes)、制御装置Cは廃棄バルブ13を開き(S321)、排気ポンプ15を稼働させる(S322)。このように、FAIMS2の温度が十分に下がってから洗浄モードに入ることで、洗浄液の蒸発を防ぐことができる。
そして、洗浄液の導入が開始される(S323)。
次に、制御装置Cは、所定時間が経過したか否かを判定する(S324)。この所定時間は、図4のステップS2における判定時の状態に応じて調整されてもよい。例えば、内部標準物質の感度が閾値を大きく下回った場合、長時間の洗浄が行われる。また、内部標準物質の感度が閾値付近であった場合、短時間の洗浄が行われる。このように、判定時の状態に応じて洗浄時間が調整されることで、FAIMS2のメンテナンスに必要な時間を短縮することができる。
ステップS324の結果、所定時間が経過していない場合(S324→No)、ステップS324へ処理が戻される。すなわち、洗浄が継続される。
ステップS324の結果、所定時間が経過している場合(S324→Yes)、洗浄液の導入が停止される(S331)。
そして、制御装置Cは、所定時間が経過したか否かを判定する(S332)。この処理時間は、FAIMS2及び接合部12の内部の洗浄液が、ほぼ排除されるまでの時間である。ステップS332の所定時間は、ステップS324の所定時間とは異なる時間である。
ステップS324の結果、所定時間が経過している場合(S324→Yes)、洗浄液の導入が停止される(S331)。
そして、制御装置Cは、所定時間が経過したか否かを判定する(S332)。この処理時間は、FAIMS2及び接合部12の内部の洗浄液が、ほぼ排除されるまでの時間である。ステップS332の所定時間は、ステップS324の所定時間とは異なる時間である。
ステップS332の結果、所定時間が経過していない場合(S332→No)、ステップS332へ処理が戻される。
ステップS332の結果、所定時間が経過している場合(S332→Yes)、制御装置Cは、排気ポンプ15を停止し(S333)、廃棄バルブ13を閉める(S334)。
このように、制御装置Cは、洗浄液の導入が停止してから、ただちに排気ポンプ15を停止させず、所定時間経過してから排気ポンプ15を停止している。このようにすることで、FAIMS2や、接合部12の内部に残った洗浄液を気流により吹き飛ばして廃棄ラインEに回収することができる。このようにすることで、洗浄液がFAIMS2及び接合部12の内部に残留することによる、誤検知や、ノイズ発生を防止することができる。
ステップS332の結果、所定時間が経過している場合(S332→Yes)、制御装置Cは、排気ポンプ15を停止し(S333)、廃棄バルブ13を閉める(S334)。
このように、制御装置Cは、洗浄液の導入が停止してから、ただちに排気ポンプ15を停止させず、所定時間経過してから排気ポンプ15を停止している。このようにすることで、FAIMS2や、接合部12の内部に残った洗浄液を気流により吹き飛ばして廃棄ラインEに回収することができる。このようにすることで、洗浄液がFAIMS2及び接合部12の内部に残留することによる、誤検知や、ノイズ発生を防止することができる。
ステップS334の後、制御装置Cは、流動防止部11を移動させ、第1細孔H1を開状態にする(S335)。
さらに、制御装置Cは、ヒータ231を稼働させ(S341)、カウンタガスA1を稼働させる(S342)。
続いて、制御装置Cは、ステップS302でoffにした各電源をonにする(S343)。
そして、制御装置Cは、第1真空ポンプ301及び第2真空ポンプ401(真空ポンプ)を稼働させ(S344)、図9のステップS4へ処理をリターンする。
さらに、制御装置Cは、ヒータ231を稼働させ(S341)、カウンタガスA1を稼働させる(S342)。
続いて、制御装置Cは、ステップS302でoffにした各電源をonにする(S343)。
そして、制御装置Cは、第1真空ポンプ301及び第2真空ポンプ401(真空ポンプ)を稼働させ(S344)、図9のステップS4へ処理をリターンする。
(各部の状態)
図11は、測定モード及び洗浄モードにおける各部の状態をまとめた表である。適宜、図1を参照する。
流動防止部11は、測定モードでは開状態(open)、洗浄モードでは閉状態(close)となっている。
廃棄バルブ13は、測定モードでは閉じており(close)、洗浄モードでは開いて(open)いる。
排気ポンプ15は、測定モードではoffとなっており、洗浄モードではonとなっている。
イオン源電圧は、測定モードではonとなっており、洗浄モードではoffとなっている。
対向電極電圧は、測定モードではonとなっており、洗浄モードではoffとなっている。
FAIMS2の第1電極211(あるいは第2電極212)に印加される分離電圧は、測定モードではonとなっており、洗浄モードではoffとなっている。
カウンタガスA1は、測定モードではonとなっており、洗浄モードではoffとなっている。
図11は、測定モード及び洗浄モードにおける各部の状態をまとめた表である。適宜、図1を参照する。
流動防止部11は、測定モードでは開状態(open)、洗浄モードでは閉状態(close)となっている。
廃棄バルブ13は、測定モードでは閉じており(close)、洗浄モードでは開いて(open)いる。
排気ポンプ15は、測定モードではoffとなっており、洗浄モードではonとなっている。
イオン源電圧は、測定モードではonとなっており、洗浄モードではoffとなっている。
対向電極電圧は、測定モードではonとなっており、洗浄モードではoffとなっている。
FAIMS2の第1電極211(あるいは第2電極212)に印加される分離電圧は、測定モードではonとなっており、洗浄モードではoffとなっている。
カウンタガスA1は、測定モードではonとなっており、洗浄モードではoffとなっている。
以上に示すように、第1実施形態の分析システムZは、FAIMS2を洗浄する洗浄モード時において、第1細孔H1が流動防止部11で閉じられる。これにより、洗浄モードでは、FAIMS2から流れてきたガスが分析部4に流れ込むことがない。つまり、流動防止部11によって第1細孔H1への気流が遮断される。すなわち、洗浄液が真空室3へ流れ込まない。そして、FAIMS2を洗浄した後の夾雑物を含む洗浄液が廃棄ラインEで吸入・排出される。これにより、第1細孔H1以降の真空室3に夾雑物を含む汚染が広がることを防ぐことができる。そして、第1実施形態の分析システムZは、FAIMS2を分析部4にとり付けたまま、洗浄することができる。これにより、短時間かつ簡易にFAIMS2を洗浄し、分析システムZの感度低下を回復させることが可能になる。
[第2実施形態]
図12A及び図12Bは、第2実施形態に係る分析システムZaにおける流動防止部11の構成を示す図である。ここで、図12Aは測定モード時を示し、図12Bは洗浄モード時を示す。図12A及び図12Bにおいて、白抜きの矢印は気流の方向を示す。
なお、第2〜第4実施形態では、制御装置Cを図示省略しているが、実際には制御装置Cが第1実施形態と同様の制御を行っている。
図12A及び図12Bに示すように、第2実施形態では、流動防止部11と、第1細孔H1を有する部材の間に隙間がある(所定距離離れている)点が第1実施形態と異なっている。
図12A及び図12Bは、第2実施形態に係る分析システムZaにおける流動防止部11の構成を示す図である。ここで、図12Aは測定モード時を示し、図12Bは洗浄モード時を示す。図12A及び図12Bにおいて、白抜きの矢印は気流の方向を示す。
なお、第2〜第4実施形態では、制御装置Cを図示省略しているが、実際には制御装置Cが第1実施形態と同様の制御を行っている。
図12A及び図12Bに示すように、第2実施形態では、流動防止部11と、第1細孔H1を有する部材の間に隙間がある(所定距離離れている)点が第1実施形態と異なっている。
図12Aに示すように、測定モード時において、流動防止部11は第1細孔H1を開状態とする。また、図12Bに示すように、洗浄モード時において、流動防止部11は、第1細孔H1への気流を妨げるように移動することで、第1細孔H1が閉状態となる。
夾雑物を含む洗浄液の大部分は、粒径100μm以上の液滴の形でFAIMS出口202から第1細孔H1に向かって直進する。そのため、図12Bに示すように第1細孔H1が閉状態となっていれば、洗浄液は流動防止部11に衝突して運動エネルギを消失する。運動エネルギを消失した洗浄液は、接合部12の下部にある廃棄ラインE(図1参照)から排除される。つまり、第2実施形態の構成では、第1細孔H1を閉状態すると流動防止部11がインパクタとしての機能を有する。このため、第2実施形態のように流動防止部11が第1細孔H1を有する部材から所定距離離れた構成でも、夾雑物の大部分が第1細孔H1から導入されるのを防ぐことができる。そして、洗浄モード時にFAIMS2から第1細孔H1から質量分析装置Dに導入されるガスより、十分に大きい流量のガスが廃棄ラインEから吸入される。これにより、第1細孔H1から導入される夾雑物の割合を減らすことができる。
なお、開状態における動作は第1実施形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
なお、開状態における動作は第1実施形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
第2実施形態では、流動防止部11が第1細孔H1を有する部材等の固定部品に接していないため、第1実施形態と比べて、小さい力で流動防止部11を駆動することできる。また、第2実施形態の構成では流動防止部11が第1細孔H1と接していないため、第1細孔H1を有する部材と異なる電圧を印加することができる。このため、測定モード時において、FAIMS2から接合部12へ導入されたイオンを収束させるための中間レンズとして流動防止部11を動作させることができ、感度を向上させることができる。なお、流動防止部11を中間レンズとして動作させる場合、図8A及び図8Bに示す流動防止部11aのように板状の部材に孔111が設けられることが望ましい。
[第3実施形態]
図13は、第3実施形態に係る分析システムZbの構成を示す図である。図13において、図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図13は洗浄モード時を示している。
第3実施形態では、図13に示すように、流動防止部11bが棒状の構成を有している。
そして、第3実施形態では、洗浄モード時にFAIMS入口201側から棒状の流動防止部11bが挿入されることで、第1細孔H1が塞がれる。流動防止部11bの挿入は、人手で行われもよいし、機械で行われてもよい。
図13は、第3実施形態に係る分析システムZbの構成を示す図である。図13において、図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図13は洗浄モード時を示している。
第3実施形態では、図13に示すように、流動防止部11bが棒状の構成を有している。
そして、第3実施形態では、洗浄モード時にFAIMS入口201側から棒状の流動防止部11bが挿入されることで、第1細孔H1が塞がれる。流動防止部11bの挿入は、人手で行われもよいし、機械で行われてもよい。
第3実施形態では、接合部12の内部に流動防止部11bを予め設置する必要がないため、FAIMS出口202と第1細孔H1の距離を、前記した放電が起こらない程度に短くすることができる。すなわち、接合部12を小型化することができる。前記したように、FAIMS出口202と第1細孔H1の間の距離が長いほど、FAIMS2を通過したイオンが電荷同士の静電反発と気体の拡散により広がってしまう。これにより、第1細孔H1に導入されるイオンの割合が減少してしまう。つまり、損失するイオンの割合が高くなる。このため、第1細孔H1とFAIMS出口202との間の距離を短くできる第3実施形態の分析システムZbは、第1実施形態の分析システムZよりも測定モード時の感度を高くすることが可能となる。
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態に係る分析システムZcの構成を示す図である。図14において、図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図14は洗浄モード時を示している。
第1〜第3実施形態では、FAIMS入口201からFAIMS出口202、第1細孔H1側へ洗浄液Lが送られるが、第4実施形態では、FAIMS出口202からFAIMS入口201へ向けて洗浄液Lが送られる。なお、図14において、白抜きの矢印は気流の方向を示す。
図14は、第4実施形態に係る分析システムZcの構成を示す図である。図14において、図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図14は洗浄モード時を示している。
第1〜第3実施形態では、FAIMS入口201からFAIMS出口202、第1細孔H1側へ洗浄液Lが送られるが、第4実施形態では、FAIMS出口202からFAIMS入口201へ向けて洗浄液Lが送られる。なお、図14において、白抜きの矢印は気流の方向を示す。
ここで、分析システムZcは、FAIMS2と、真空室3との間に設置されている接合部12c1にノズルNが設置されている。また、対向電極5の外側に接合部12c2及び廃棄ラインE(廃棄バルブ13、トラップ14、排気ポンプ15)が設置されている。接合部12c2及び廃棄ラインEは測定モード時では取り外される。
また、流動防止部11は第1実施形態と同様のため、ここでの説明を省略する。
また、流動防止部11は第1実施形態と同様のため、ここでの説明を省略する。
洗浄モード時において、ノズルNから接合部12c1に導入された洗浄液Lは、排気ポンプ15による吸引によって、FAIMS出口202からFAIMS入口201へ流動する。これによって、FAIMS2が洗浄される。
接合部12c2に到達した夾雑物を含む洗浄液Lは、排気ポンプ15によって廃棄バルブ13を介してトラップ14で回収される。
接合部12c2に到達した夾雑物を含む洗浄液Lは、排気ポンプ15によって廃棄バルブ13を介してトラップ14で回収される。
FAIMS2の汚染は、測定時においてイオンが流れる流路に近いほどに起こりやすい。つまり、第1電極211及び第2電極212において、イオン源7側の面と質量分析装置D側の面を比較するとイオン源7側の方が汚染されやすい。つまり、FAIMS2は、FAIMS入口201側の方が汚染されやすく、FAIMS出口202側の方が汚染されにくい。
第4実施形態では、汚染の程度が軽いFAIMS出口202側から、汚染の程度が重いFAIMS入口201側に向かって洗浄液Lが流れる。これにより、汚れを広げることなく洗浄することができる。そのため、第4実施形態に係る分析システムZcは洗浄に要する時間が短くすむという利点がある。
一方、汚染されやすいFAIMS入口201側を洗浄するためには、FAIMS入口201側から洗浄液Lを供給する方が、汚染されている面にきれいな洗浄液Lが到達しやすい。そのため洗浄による感度低下回復の効果は第1実施形態の方が良好である。
第4実施形態では、汚染の程度が軽いFAIMS出口202側から、汚染の程度が重いFAIMS入口201側に向かって洗浄液Lが流れる。これにより、汚れを広げることなく洗浄することができる。そのため、第4実施形態に係る分析システムZcは洗浄に要する時間が短くすむという利点がある。
一方、汚染されやすいFAIMS入口201側を洗浄するためには、FAIMS入口201側から洗浄液Lを供給する方が、汚染されている面にきれいな洗浄液Lが到達しやすい。そのため洗浄による感度低下回復の効果は第1実施形態の方が良好である。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、現在、図10に示す処理のうち、どの処理が行われているかを表示するモニタ(不図示)が設けられてもよい。
また、前記した各構成、機能、各部、記憶部等は、それらの一部またはすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、前記した各構成、機能等は、CPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
1 洗浄部
2 FAIMS(イオン流路部)
12 接合部
11 流動防止部
15 排気ポンプ(排気部)
231 ヒータ(ヒータ部)
A1 カウンタガス
A2 分流気流
D 質量分析装置(分析部)
L 洗浄液(洗浄物質)
N,Na〜Nc ノズル
Z,Za〜Zc 分析システム
2 FAIMS(イオン流路部)
12 接合部
11 流動防止部
15 排気ポンプ(排気部)
231 ヒータ(ヒータ部)
A1 カウンタガス
A2 分流気流
D 質量分析装置(分析部)
L 洗浄液(洗浄物質)
N,Na〜Nc ノズル
Z,Za〜Zc 分析システム
Claims (12)
- イオンが流れるイオン流路部と、
前記イオン流路部を流れてきた前記イオンを分析する分析部と、
前記イオン流路部と、前記分析部との間に設置され、所定の空間を有する接合部と、
前記接合部の内部を排気する排気部と、
前記接合部に設けられ、前記イオン流路部を介して、前記接合部へ流入した洗浄物質が、前記分析部へ流れるのを防止する流動防止部と、
を有することを特徴とする分析システム。 - 前記流動防止部は、前記分析部の入口に接して設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の分析システム。 - 前記流動防止部は、前記分析部の入口から所定距離離れている
ことを特徴とする請求項1に記載の分析システム。 - 前記流動防止部は、前記接合部の外部から前記接合部へ挿入され、前記分析部の入口を塞ぐものである
ことを特徴とする請求項1に記載の分析システム。 - 前記洗浄物質は、前記接合部から導入され、
前記排気部は、
前記イオン流路部の入口側に備えられる
ことを特徴とする請求項1に記載の分析システム。 - 前記洗浄物質は、液体であり、
液体の状態で、前記洗浄物質が前記イオン流路部を介して、前記接合部へ流入する
ことを特徴とする請求項1に記載の分析システム。 - 前記洗浄物質は、液体であり、
前記洗浄物質は圧力によって霧状となり、当該霧状の状態で、前記洗浄物質が前記イオン流路部を介して、前記接合部へ流入する
ことを特徴とする請求項1に記載の分析システム。 - 前記イオン流路部は、FAIMSであり、
前記洗浄物質は、
前記FAIMSにおける対向電極の内側から、前記FAIMSにおけるカウンタガス及び前記カウンタガスからFAIMSへ分流する気流である分流気流に乗ることにより、前記イオン流路部を介して、前記接合部へ流入する
ことを特徴とする請求項7に記載の分析システム。 - 前記イオン流路部は、FAIMSである
ことを特徴とする請求項1に記載の分析システム。 - イオンが流れるイオン流路部と、
前記イオン流路部を流れてきた前記イオンを分析する分析部と、
前記イオン流路部と、前記分析部との間に設置され、所定の空間を有する接合部と、
前記接合部の内部を排気する排気部と、
前記接合部に設けられ、前記イオン流路部を介して、前記接合部へ流入した洗浄物質が、前記分析部へ流れるのを防止する流動防止部と、
を有することを特徴とする分析システムが、
前記分析部を停止する分析停止ステップと、
前記接合部へ流入した洗浄物質が、前記分析部へ流れるのを防止するよう、前記流動防止部を移動する流動防止ステップと、
前記接合部の内部の気体を排気するよう前記排気部の可動を開始する排気開始ステップと、
前記洗浄物質の導入が開始されてから所定時間経過後、前記洗浄物質の導入を停止してから、さらに、別の所定時間経過すると、前記排気部を停止する排気停止ステップと、
前記接合部へ流入した洗浄物質が、前記分析部へ流れるのを可能とするよう、前記流動防止部を移動する流動可能ステップと、
を有することを特徴とするイオン流路部洗浄方法。 - 前記イオン流路部を温めるヒータ部を備え、
前記ヒータ部を停止するヒータ停止ステップを有し、
前記イオン流路部の温度が十分に下がった後、前記排気開始ステップが行われる
ことを特徴とする請求項10に記載のイオン流路部洗浄方法。 - 前記イオン流路部は、FAIMSであり、
前記FAIMSにおけるカウンタガスを停止するカウンタガス停止処理が行われた後、前記洗浄物質の導入が行われる
ことを特徴とする請求項10に記載のイオン流路部洗浄方法。
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