JP2015114447A - 印刷版原版および印刷版の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】版表面への異物の付着が抑制され、インキ反発性に優れ、かつ、感度や画像再現性が良好な印刷版原版を提供すること。また、プラスチックフィルムや保護被覆層を除去するための特別な操作や除去装置を用いる必要がなく、かつ、プラスチックフィルムや保護被覆層由来の廃棄物が少ない印刷版原版を提供すること。【解決手段】基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版であって、該シリコーンゴム層が硬さの異なる2層以上の層からなることを特徴とする印刷版原版、または、基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版であって、該シリコーンゴム層が、表層から基板側に硬さが傾斜的に低下する層を少なくとも1層有することを特徴とする印刷版原版。【選択図】なし
Description
本発明は、印刷版原版および印刷版の製造方法に関するものである。
印刷版を用いた印刷には、凸版印刷、凹版印刷、孔版(スクリーン)印刷、平版印刷など様々な方式があり、各印刷版の特長を生かして印刷が行われている。
中でも平版印刷は、精細度の高い印刷物が得られる点や、ランニングコストを含めたトータルコストが安価である点などで他の印刷方式に比べ有利である。
平版印刷は、インキ受容性の画線部とインキ反発性の非画線部を印刷版のほぼ同一平面に存在させ、インキ付着性の差異を利用して画線部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写する印刷方法である。平版印刷のための印刷版(以下、平版印刷版という)には、湿し水の作用によって非画線部をインキ反発性とする平版印刷版と、湿し水を用いることなく、シリコーンゴムやフッ素樹脂をインキ反発性の非画線部として使用する平版印刷版がある。
平版印刷版の作製には、画線部と非画線部を形成するために平版印刷版原版を露光する工程が含まれる。露光方法としては様々な方法が提案されている。これらは、原画フィルムを介して紫外線照射を行う方式と、原画フィルムを用いることなく原稿から直接画像を書き込むコンピュータートゥプレート(以下、CTPという)方式とに大別される。CTP方式としては、レーザー光を照射する方法、サーマルヘッドで書き込む方法、ピン電極で電圧を部分的に印加する方法、インクジェットでインキ反発層またはインキ受容層を形成する方法などが挙げられる。これらの中で、レーザー光を照射する方法は、解像度および製版速度の面で、他の方式よりも優れている。
レーザー光を照射する方法は、光反応によるフォトンモード方式と、光熱変換を行って熱反応を起こさせるヒートモード方式の2つの方式に分けられる。特にヒートモード方式は、明室で取り扱える利点と、光源となる半導体レーザーの急激な進歩によって、その有用性は大きくなっている。
このようなヒートモード方式に対応した直描型平版印刷版原版に関して、これまでに様々な画像形成システムの提案がなされてきた。例えば、画像形成された層(1層または2層以上)中の物質を破壊的に除去または揮発および除去することを含むレーザーアブレーションにより画像形成することを含む画像形成システム(感熱層熱融除型)が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
また、第1の層およびこれに付着された第2の層を含み、これら第1の層と第2の層がインクおよびインク忌避性液体からなる群より選ばれる少なくとも1つの印刷液体に対して異なる親和性を有する印刷部材を加熱して、前記第2の層を実質的に融除することなしに、前記第1の層を前記第2の層からイメージに関連するパターンでもって不可逆的に分離させる画像形成システムや、第1の層と、この第1の層の下側に付着して配置された第2の層と、この第2の層の下側に配置された第3の層とを含み、前記第1の層と他の層の少なくとも一方がインクおよびインク忌避性液体からなる群より選ばれる少なくとも1つの印刷液体に対して異なる親和性を有する印刷部材を加熱して、前記第2の層を融除することなしに、前記第1の層を前記第2の層からイメージに関連するパターンでもって不可逆的に分離させる画像形成システム(感熱層熱分離型)が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
また、レーザー照射により感熱層の少なくとも一部が熱膨張し、その後の現像処理によってレーザー照射部のシリコーンゴム層が除去される画像形成システム(感熱層熱膨張型)が挙げられる(例えば、特許文献3参照)。
さらに、レーザー照射により画像形成層の少なくとも一部の前処理液および/または現像液に対する溶解性が変化し、現像工程において前処理液および/または現像液を使用することにより、露光部または未露光部いずれかのシリコーンゴム層が除去される画像形成システムが挙げられる(例えば、特許文献4、5参照)。
最表層にシリコーンゴム層を有する平版印刷版原版はシリコーンゴム層に傷がつきやすいため、その保護などを目的として、シリコーンゴム層上にカバーフィルムをラミネートする方法や、ポリマー塗膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献6から8参照)。一方、カバーフィルムを装着したままで露光した場合には、カバーフィルムによってシリコーンゴム層が盛り上がることが阻害され、感度が低下するため、カバーフィルムを剥離した状態でレーザー露光することが提案されている(例えば、特許文献9参照)。
前記特許文献1から3で提案された感熱層熱融除型、感熱層熱分離型、感熱層熱膨張型の直描型平版印刷版原版は、いずれも最上層が柔らかいシリコーンゴム層で構成されているため、レーザー露光時の感熱層の熱融除、熱分離または熱膨張を抑制しにくく、この結果、高感度、高画像再現性であるといったメリットを有している。しかしながら、シリコーンゴム層が柔らかいという性質は、シリコーンゴム層表面が高い粘着性を有することと密接に関係している。高粘着性を有するシリコーンゴム層の表面にはゴミなどの異物が付着しやすく、また、一度付着した異物は取れにくいため、シリコーンゴム層表面に付着した異物が露光時のレーザー光を遮断することで露光不良部が発生することがあった。前記特許文献6から8では、シリコーンゴム層上にプラスチックフィルムや高分子重合体の保護被覆層、ポリオルガノシロキサンを側鎖に有するグラフト高分子化合物を含有する層を有する平版印刷版が提案されているが、前記特許文献9に記載の通り、直描型平版印刷版においてはレーザー露光時の感熱層の熱融除、熱分離または熱膨張が抑制され、露光感度が著しく低下することがあった。また、シリコーンゴム層上のプラスチックフィルムや保護被覆層はインキ反発性がないため、現像前または現像時に除去する必要があった。露光感度の低下や画像再現性の低下を低減するために、プラスチックフィルムや保護被覆層の厚みを極めて薄くした場合には、シリコーンゴム層上のプラスチックフィルムや保護被覆層の強度が不足し、耐擦過性が著しく低下することがあった。
そこで、本発明の第一の目的は、かかる従来技術の課題を解決し、版表面への異物の付着が抑制され、インキ反発性に優れ、かつ、感度や画像再現性が良好な印刷版原版を提供することである。
また、前記特許文献6で提案された方法では、プラスチックフィルムを除去するための操作が必要であることや、除去したプラスチックフィルムが廃棄物となる課題を有していた。前記特許文献7、8で提案された方法では、保護被覆層が現像工程で除去されるため、除去された成分によって現像液の現像性が低下したり、現像廃液が多く発生するといった課題を有していた。
そこで、本発明の第二の目的は、かかる従来技術の課題を解決し、プラスチックフィルムや保護被覆層を除去するための追加の操作や装置が必要なく、かつ、プラスチックフィルムや保護被覆層由来の廃棄物が少ない印刷版原版を提供することである。
本発明は、基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版であって、該シリコーンゴム層が硬さの異なる2層以上の層からなることを特徴とする印刷版原版、または、基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版であって、該シリコーンゴム層が、表層から基板側に硬さが傾斜的に低下する層を少なくとも1層有することを特徴とする印刷版原版である。
本発明によれば、版表面への異物の付着が抑制され、インキ反発性に優れ、かつ、感度や画像再現性が良好な印刷版原版を得ることができる。また、本発明によれば、プラスチックフィルムや保護被覆層を除去するための追加の操作や装置が不要であり、かつ、プラスチックフィルムや保護被覆層に由来する廃棄物を低減することができる。
本発明は、基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版であって、該シリコーンゴム層が硬さの異なる2層以上の層からなることを特徴とする印刷版原版、または、基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版であって、該シリコーンゴム層が、表層から基板側に硬さが傾斜的に低下する層を少なくとも1層有することを特徴とする印刷版原版である。
前述のとおり、版表面への異物の付着はシリコーンゴム層の軟らかさと密接に関係している。このため、シリコーンゴム層の架橋密度を高くし、シリコーンゴム層を硬くすることによって版表面への異物の付着を抑制することができる。しかしながら、シリコーンゴム層全体の架橋密度を高くした場合、インキ反発性が低下したり、画像再現性が低下することが課題であった。本発明の印刷版原版では、シリコーンゴム層の表面付近が相対的に高い架橋密度となり、版表面への異物の付着が抑制される。一方、シリコーンゴム層全体としては相対的に低い架橋密度であるため、インキ反発性の低下や画像再現性の低下が抑制される。この結果、版表面への異物の付着を抑制し、同時にインキ反発性や画像再現性を良好に満足できる。また、シリコーンゴム層の表面付近の架橋密度のみが高く、シリコーンゴム層全体としては架橋密度が低いため、レーザー露光時の感熱層の熱融除、熱分離または熱膨張が抑制されにくく、前述した従来公知のプラスチックフィルムや保護被覆層を設けた場合に比べて感度が低下しにくい。さらに、本発明のシリコーンゴム層は表層付近と内部で架橋密度は異なるものの、同質のシリコーンで構成されるため、シリコーンとは異質の保護被覆層を設けた場合に見られる擦過時のシリコーンゴム層からの保護被覆層の剥離や保護被覆層自体の破壊が起こりにくい。
シリコーンゴム層の総厚みは、1〜10μmであることが好ましく、その最表面から深さ方向に0.4μmまでの硬さが、最表面から深さ方向に0.6μmから1.0μmまでの硬さより硬いことが好ましい。
まず、基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版について説明する。ここで、印刷版原版とは印刷に使用される印刷版を製造するために用いられる印刷版の前駆体を指す。
基板としては、従来印刷版の基板として用いられてきた寸法的に安定な公知の紙、金属、ガラス、フィルムなどを使用することができる。具体的には、紙;プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙;アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅などの金属板;ソーダライム、石英などのガラス板;シリコンウエハー;セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのプラスチックのフィルム;上記金属がラミネートまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムは透明でも不透明でもよいが、検版性の観点からは、不透明のフィルムが好ましい。
これら基板のうち、アルミニウム板は寸法的に極めて安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。また、軽印刷用の柔軟な基板としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
基板の厚みは特に限定されず、印刷に使用される印刷機に対応した厚みを選択すればよい。
次に、感熱層および感光層について説明する。本発明に好ましく用いることができる感熱層としては、以下に記載の熱膨張型感熱層、熱融除型感熱層、熱分離型感熱層、熱溶解型感熱層、熱硬化型感熱層などが挙げられ、また、本発明に好ましく用いることができる感光層としては、以下に記載の光分解型感光層や光硬化型感光層などが挙げられるが、これらに限定されない。
(感熱層−1)熱膨張型感熱層
熱膨張型感熱層としては、例えば、活性水素を有するポリマー、架橋剤、光熱変換物質を含む組成物液や、その溶液、または、活性水素を有するポリマー、有機錯化合物、光熱変換物質を含む組成物液や、その溶液を塗布、(加熱)乾燥して得られる層が挙げられる。活性水素を有するポリマーとしては、p−ヒドロキシスチレンの単独重合体もしくは共重合体、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などのフェノール性水酸基を有するポリマーが好ましい。架橋剤としては、例えば、有機錯化合物、多官能イソシアネート、多官能ブロックドイソシアネート、多官能エポキシ化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能アルデヒド、多官能メルカプト化合物、多官能アルコキシシリル化合物、多官能アミン化合物、多官能カルボン酸、多官能ビニル化合物、多官能ジアゾニウム塩、多官能アジド化合物、ヒドラジンなどが挙げられる。有機錯化合物としては、Al(III)、Fe(II)、Fe(III)、Ti(IV)、Zr(IV)のアセチルアセトン錯体、アセト酢酸エステル錯体などが挙げられる。光熱変換物質としては、赤外線または近赤外線を吸収する染料や顔料などが挙げられる。熱膨張型感熱層の具体例としては、例えば、特開2005−300586号公報、特開2005−331924号公報に記載の気泡を有する感熱層や、WO2010/113989A1号公報に記載の液泡を有する感熱層などを挙げることができる。
熱膨張型感熱層としては、例えば、活性水素を有するポリマー、架橋剤、光熱変換物質を含む組成物液や、その溶液、または、活性水素を有するポリマー、有機錯化合物、光熱変換物質を含む組成物液や、その溶液を塗布、(加熱)乾燥して得られる層が挙げられる。活性水素を有するポリマーとしては、p−ヒドロキシスチレンの単独重合体もしくは共重合体、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などのフェノール性水酸基を有するポリマーが好ましい。架橋剤としては、例えば、有機錯化合物、多官能イソシアネート、多官能ブロックドイソシアネート、多官能エポキシ化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能アルデヒド、多官能メルカプト化合物、多官能アルコキシシリル化合物、多官能アミン化合物、多官能カルボン酸、多官能ビニル化合物、多官能ジアゾニウム塩、多官能アジド化合物、ヒドラジンなどが挙げられる。有機錯化合物としては、Al(III)、Fe(II)、Fe(III)、Ti(IV)、Zr(IV)のアセチルアセトン錯体、アセト酢酸エステル錯体などが挙げられる。光熱変換物質としては、赤外線または近赤外線を吸収する染料や顔料などが挙げられる。熱膨張型感熱層の具体例としては、例えば、特開2005−300586号公報、特開2005−331924号公報に記載の気泡を有する感熱層や、WO2010/113989A1号公報に記載の液泡を有する感熱層などを挙げることができる。
感熱層に気泡や液泡を有する高感度の直描型印刷版原版(レーザー光を用いて原稿から直接画像を書き込むことができる印刷版原版を指す)は、露光後に物理的な力を加えるだけで現像できる。このため、直描型印刷版原版を露光して印刷版を製造する工程において、露光部のシリコーンゴム層が浮き上がる「火膨れ」と呼ばれる現象が生じる場合がある。「火膨れ」現象が起きた場合、露光後の直描型印刷版原版を搬送する際に、浮き上がったシリコーンゴム層が露光機や自動現像機内の搬送ローラーに転写する場合がある。搬送ローラーに転写したシリコーンゴム層は、次に処理する版の版面へ再転写し、露光阻害や現像阻害などの原因となる。この火膨れの現象は、直描型印刷版原版が高感度であるほど、また、露光量が多くなるほど起こりやすくなる。
このような火膨れ現象を抑制するための熱膨張型感熱層の具体例としては、例えば、特開2012−93728号公報、特開2012−133321号公報、特開2012−133322号公報、WO2012/043282A1号公報などに記載の非感光性粒子を含む感熱層や、WO2012/099003A1号公報に記載のノボラック樹脂、ポリウレタンならびに光熱変換物質を少なくとも含有し、かつ、少なくともノボラック樹脂を含む相と、ポリウレタンを含む相とを有する相分離構造を有する感熱層などを挙げることができる。
(感熱層−2)熱融除型感熱層
近赤外レーザーの照射により熱融除するタイプの感熱層である。その後の現像処理によって、表面のシリコーンゴム層が破壊された感熱層と一緒に除去され画線部となる。例えば、特開平7−314934号公報や特開平9−086065号公報、特開平9−131981号公報、米国特許第5,353,705号明細書に記載の感熱層などを挙げることができる。
近赤外レーザーの照射により熱融除するタイプの感熱層である。その後の現像処理によって、表面のシリコーンゴム層が破壊された感熱層と一緒に除去され画線部となる。例えば、特開平7−314934号公報や特開平9−086065号公報、特開平9−131981号公報、米国特許第5,353,705号明細書に記載の感熱層などを挙げることができる。
(感熱層−3)熱分離型感熱層
第1の層およびこれに付着された第2の層を含み、これら第1の層と第2の層がインクおよびインク忌避性液体からなる群より選ばれる少なくとも1つの印刷液体に対して異なる親和性を有する印刷部材を加熱して、前記第2の層を実質的に融除することなしに、前記第1の層を前記第2の層からイメージに関連するパターンでもって不可逆的に分離させる画像形成システムや、第1の層と、この第1の層の下側に付着して配置された第2の層と、この第2の層の下側に配置された第3の層とを含み、前記第1の層と他の層の少なくとも一方がインクおよびインク忌避性液体からなる群より選ばれる少なくとも1つの印刷液体に対して異なる親和性を有する印刷部材を加熱して、前記第2の層を融除することなしに、前記第1の層を前記第2の層からイメージに関連するパターンでもって不可逆的に分離させる画像形成システムである。上記システムにおいて、印刷パターンが形成される第2の層が熱分離型感熱層である。例えば、米国特許第6,107,001号明細書に記載の感熱層などを挙げることができる。
第1の層およびこれに付着された第2の層を含み、これら第1の層と第2の層がインクおよびインク忌避性液体からなる群より選ばれる少なくとも1つの印刷液体に対して異なる親和性を有する印刷部材を加熱して、前記第2の層を実質的に融除することなしに、前記第1の層を前記第2の層からイメージに関連するパターンでもって不可逆的に分離させる画像形成システムや、第1の層と、この第1の層の下側に付着して配置された第2の層と、この第2の層の下側に配置された第3の層とを含み、前記第1の層と他の層の少なくとも一方がインクおよびインク忌避性液体からなる群より選ばれる少なくとも1つの印刷液体に対して異なる親和性を有する印刷部材を加熱して、前記第2の層を融除することなしに、前記第1の層を前記第2の層からイメージに関連するパターンでもって不可逆的に分離させる画像形成システムである。上記システムにおいて、印刷パターンが形成される第2の層が熱分離型感熱層である。例えば、米国特許第6,107,001号明細書に記載の感熱層などを挙げることができる。
(感熱層−4)熱溶解型感熱層
印刷版原版の状態で架橋剤による架橋構造が形成されており、近赤外レーザーの照射により発生する熱で、感熱層とシリコーンゴム層間の接着力が低下するタイプの感熱層である。その後の現像処理によって、レーザー光を照射した部分のシリコーンゴム層が除去される。レーザー照射部の感熱層は現像後も残存する。例えば特開平11−221977号公報、特開2005−309126号公報、特開2009−014946号公報に記載の感熱層などを挙げることができる。
印刷版原版の状態で架橋剤による架橋構造が形成されており、近赤外レーザーの照射により発生する熱で、感熱層とシリコーンゴム層間の接着力が低下するタイプの感熱層である。その後の現像処理によって、レーザー光を照射した部分のシリコーンゴム層が除去される。レーザー照射部の感熱層は現像後も残存する。例えば特開平11−221977号公報、特開2005−309126号公報、特開2009−014946号公報に記載の感熱層などを挙げることができる。
(感熱層−5)熱硬化型感熱層
近赤外レーザーの照射により発生する熱で熱活性化架橋剤による架橋構造が形成されるタイプの感熱層である。その後の現像処理によって、レーザー光を照射した部分のシリコーンゴム層が残存し、未照射部のシリコーンゴム層が除去される。レーザー未照射部の感熱層は現像後も残存する。例えば、特開平11−157236号公報や、特開平11−240271号公報に記載の熱硬化型感熱層などを挙げることができる。
近赤外レーザーの照射により発生する熱で熱活性化架橋剤による架橋構造が形成されるタイプの感熱層である。その後の現像処理によって、レーザー光を照射した部分のシリコーンゴム層が残存し、未照射部のシリコーンゴム層が除去される。レーザー未照射部の感熱層は現像後も残存する。例えば、特開平11−157236号公報や、特開平11−240271号公報に記載の熱硬化型感熱層などを挙げることができる。
次に、感光層について説明する。本発明に好ましく用いることができる感光層としては、以下に記載の光分解型感光層、光硬化型感光層などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(感光層−1)光分解型感光層
紫外レーザーの照射により感光層表面の前処理液に対する溶解性が大きくなるタイプの感光層である。その後の現像処理によって、紫外線を照射した部分のシリコーンゴム層が除去され、未照射部のシリコーンゴム層が残存する。露光部の感光層は現像後も残存する。例えば、特開平11−352672号公報に記載の感光層などを挙げることができる。
紫外レーザーの照射により感光層表面の前処理液に対する溶解性が大きくなるタイプの感光層である。その後の現像処理によって、紫外線を照射した部分のシリコーンゴム層が除去され、未照射部のシリコーンゴム層が残存する。露光部の感光層は現像後も残存する。例えば、特開平11−352672号公報に記載の感光層などを挙げることができる。
(感光層−2)光硬化型感光層
紫外レーザーの照射により発生したラジカルでエチレン性不飽和二重結合含有化合物の重合が起こるタイプの感光層である。その後の現像処理によって、紫外線を照射した部分のシリコーンゴム層が残存し、未照射部のシリコーンゴム層が除去される。未露光部の感光層は現像後も残存する。例えば特開平6−118629号公報や、特開2007−233346号公報に記載の感光層などを挙げることができる。
紫外レーザーの照射により発生したラジカルでエチレン性不飽和二重結合含有化合物の重合が起こるタイプの感光層である。その後の現像処理によって、紫外線を照射した部分のシリコーンゴム層が残存し、未照射部のシリコーンゴム層が除去される。未露光部の感光層は現像後も残存する。例えば特開平6−118629号公報や、特開2007−233346号公報に記載の感光層などを挙げることができる。
基板と感光層または感熱層との間の接着性向上、光ハレーション防止、検版性向上、断熱性向上、耐刷性向上などを目的に、前述の基板と感光層または感熱層の間に断熱層を有してもよい。本発明に用いられる断熱層としては、例えば特開2004−199016号公報、特開2004−334025号公報、特開2006−276385号公報などに記載された断熱層を挙げることができる。
感光層または感熱層は、感光層組成物液または感熱層組成物液を、基板上、または断熱層を積層した基板上に塗布することで形成できる。また、感光層組成物液または感熱層組成物液は、必要により溶剤に溶解して感光層組成物溶液または感熱層組成物溶液とし、基板上、または断熱層を積層した基板上に塗布して感光層または感熱層を形成できる。基板は塗布面を脱脂しておくことが好ましい。塗布装置としては、スリットダイコーター、グラビアコーター、ロールコーターが好ましい。感光層組成物液または感熱層組成物液の塗布重量は、印刷版の耐刷性や希釈溶剤が揮散しやすく生産性で優れる点で乾燥後の膜重量で0.5〜7g/m2の範囲が適当である。
感光層組成物溶液または感熱層組成物溶液を乾燥して感光層または感熱層を形成する場合には、乾燥は非加熱下、または加熱下において実施される。加熱する場合には、熱風乾燥機、赤外線乾燥機などを用いて、50〜150℃の温度で、30秒〜5分間乾燥することが好ましい。
金属などの薄膜を感熱層とする場合には、上記の工程を、基板上、または断熱層を積層した基板上に、感熱層組成物を蒸着またはスパッタリングする工程に変更して形成できる。
一例として、熱膨張型感熱層を形成する方法について例示する。
まず、(a)基板上、または断熱層を積層した基板上に、感熱層組成物溶液を塗布する工程について説明する。感熱層組成物溶液は、前述の感熱層構成成分、好ましくは溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2以下であり、かつ、210〜270℃の範囲に沸点を有する溶剤を含有し、より好ましくはそれに加えて溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2を超える溶剤および必要に応じて他の成分を含有する。感熱層組成物溶液中の全固形分の濃度は、2〜50重量%が好ましい。また、感熱層組成物溶液中に、溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2以下であり、かつ、210〜270℃の範囲に沸点を有する溶剤と、溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2を超える溶剤を含ませることで、感熱層に210〜270℃の範囲に沸点を有する液体を含む液泡を形成することができる。
溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2を超える溶剤として、感熱層組成物溶液を塗布する際の雰囲気温度で容易に蒸発する低沸点の溶剤を用いた場合は、低沸点の溶剤が速やかに蒸発し、隣接した液泡形成成分が集まる前に乾燥するため、小さな液泡が感熱層に形成される。一方、感熱層組成物溶液を塗布する際の雰囲気温度で容易に蒸発しない高沸点の溶剤を用いた場合は、高沸点の溶剤がゆっくりと蒸発し、隣接した液泡形成成分が集まりながら乾燥するため、大きな液泡が感熱層に形成される。また、溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2を超える溶剤の沸点が活性水素を有するポリマーの熱軟化点よりも低いと、液泡の形成に有利である。
次にシリコーンゴム層について説明する。前述のとおり、印刷版表面への異物付着の抑制や、画像再現性、インキ反発性を同時に満足させるためには、シリコーンゴム層全体としては相対的に低い架橋密度でありながら、シリコーンゴム層の表面付近が相対的に高い架橋密度となることが必要である。シリコーンゴム層は、シリコーンゴム層組成物、またはその溶液を基板上に塗布することで形成できる。構成成分の相溶性や比重などをコントロールすることにより、1種類のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液で深さ方向の架橋密度に差を持たせてもよいし、2種類以上のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗り重ねて深さ方向の架橋密度に差を持たせてもよい。架橋密度のコントロールの容易さから、2種類以上のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗り重ねることが好ましく、このような方法で作製した印刷版原版は性能が安定する。一方で塗工回数が多くなると、製造工程が複雑になり、また、コストの面でも不利となる。このことから、2種類のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗り重ねて深さ方向の架橋密度に差を持たせる方法がより好ましい。以下、感熱層または感光層側から第1のシリコーンゴム層、第2のシリコーンゴム層と記載し、説明する。
まず、第1のシリコーンゴム層について説明する。本発明に用いられる第1のシリコーンゴム層としては、少なくとも、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物と該官能基と反応性を有する架橋剤とを含むことが好ましい。官能基としては、例えば、ビニル基、SiH基、シラノール基が挙げられる。
本発明に用いられる第1のシリコーンゴム層としては、例えば、付加反応型シリコーンゴム層組成物液、縮合反応型シリコーンゴム層組成物液、または、付加反応・縮合反応併用型シリコーンゴム層組成物液のいずれかを塗布して得られる硬化物、または、これらのシリコーンゴム層組成物液を溶剤に溶解したシリコーンゴム層組成物溶液を塗布、(加熱)乾燥して得られる硬化物が挙げられる。高速硬化性の観点からは付加反応型シリコーンゴム層組成物液や付加反応・縮合反応併用型シリコーンゴム層組成物液を用いることが好ましい。
付加反応型シリコーンゴム層組成物液に用いられる、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物としては、分子内に2個以上のビニル基やSiH基を有するシリコーン化合物が挙げられる。ビニル基含有シリコーン化合物を用いた場合の付加反応型シリコーンゴム層組成物液としては、少なくともビニル基含有シリコーン化合物、SiH基含有化合物、シランカップリング剤および硬化触媒を含むことが好ましい。さらに、反応抑制剤を含有してもよい。一方、SiH基含有シリコーン化合物を用いた場合の付加反応型シリコーンゴム層組成物液としては、少なくともSiH基含有シリコーン化合物、ビニル基含有化合物、シランカップリング剤および硬化触媒を含むことが好ましい。さらに、反応抑制剤を含有してもよい。
ビニル基含有シリコーン化合物としては、一般式(1)で表される化合物を挙げることができ、分子中に2個以上のビニル基を有する化合物である。中でも分子主鎖末端にビニル基を有する化合物が高速硬化性の観点から好ましい。また、これらを2種以上含有してもよい。
一般式(1)中、Tは以下の式で示される基である。
一般式(1)中、R1はビニル基、または脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基のいずれかを示し、R2は脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基などのハロゲン化アルキル基などが挙げられる。aは0〜4000、bは0〜5、cは0〜2000、およびdは0〜4000の整数を示す。R1が脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基である場合、bは2以上の整数であり、R1とR2、R1のそれぞれおよびR2のそれぞれは独立で、同じであっても異なっていてもよい。また、少なくともa、b、cのいずれか1つは1以上の整数であり、dは0または1以上の整数である。
前記一般式(1)中、R1およびR2は全体の50モル%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、ビニル基含有シリコーン化合物の重量平均分子量としては、耐刷性や耐傷性の観点から6万以上が好ましく、画像再現性の観点から30万以下が好ましい。
SiH基含有シリコーン化合物としては、一般式(2)で表される化合物を挙げることができ、分子中に2個以上のSiH基を有する化合物である。中でも分子主鎖末端にSiH基を有する化合物が高速硬化性の観点から好ましい。また、これらを2種以上含有してもよい。
一般式(2)中、Xは以下の式で示される基である。
一般式(2)中、R3はSiH基、または脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基のいずれかを示し、R4は脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。eは0〜4000、fは0〜5、gは0〜2000、およびhは0〜4000の整数を示す。R3が脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基である場合、fは2以上の整数であり、R3とR4、R3のそれぞれおよびR4のそれぞれは独立で、同じであっても異なっていてもよい。また、少なくともe、f、gのいずれか1つは1以上の整数であり、hは0または1以上の整数である。
前記一般式(2)中、R3およびR4は全体の50モル%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、SiH基含有シリコーン化合物の重量平均分子量としては、耐刷性や耐傷性の観点から6万以上が好ましく、画像再現性の観点から30万以下が好ましい。
ビニル基含有シリコーン化合物、または、SiH基含有シリコーン化合物の含有量は、第1のシリコーンゴム層のインキ反発性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。また、硬化性の観点から、99.49重量%以下が好ましい。
上記ビニル基含有シリコーン化合物の架橋剤としては、SiH基含有化合物が用いられる。SiH基含有化合物としては、1分子中に3個以上のSiH基を有する化合物が挙げられ、例えば、オルガノハイドロポリシロキサン、オルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体、分子中にジオルガノハイドロシロキシ基を3個以上有する化合物が挙げられる。中でも、オルガノハイドロポリシロキサン、オルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体が好ましい。これらを2種以上含有してもよい。SiH基含有化合物1分子中のSiH基数としては、第2のシリコーンゴム層との接着性の観点から5個以上が好ましく、6個以上が更に好ましい。
オルガノハイドロポリシロキサンやオルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体は、直鎖状、環状、分岐状、網状の分子構造を有する。また、珪素原子と結合している有機基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。
上記SiH基含有シリコーン化合物の架橋剤としては、ビニル基含有化合物が用いられる。ビニル基含有化合物としては、1分子中に3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられ、例えば、オルガノビニルポリシロキサン、オルガノビニルシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体、分子中にジオルガノビニルシロキシ基を3個以上有する化合物が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。ビニル基含有化合物1分子中のビニル基数としては、第2のシリコーンゴム層との接着性の観点から5個以上が好ましく、6個以上が更に好ましい。
オルガノビニルポリシロキサンやオルガノビニルシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体は、直鎖状、環状、分岐状、網状の分子構造を有する。また、珪素原子と結合している有機基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。
SiH基含有化合物、または、ビニル基含有化合物の含有量は、第1のシリコーンゴム層の硬化性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
また、硬化後の第1のシリコーンゴム層中にSiH基が残存していることが第2のシリコーンゴム層との接着性の観点から好ましい。このことから、第1のシリコーンゴム層組成物液中のSiH基数とビニル基数の比(SiH基数/ビニル基数)が1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
シランカップリング剤としては、脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱アセトン型、脱アミド型などの公知のシランカップリング剤を挙げることができる。感光層または感熱層との接着性や高速反応性の観点から、脱酢酸型、脱オキシム型のシランカップリング剤が好ましい。中でも、SiH基含有シリコーン化合物やSiH基含有化合物との反応性の観点から、分子中にビニル基などのアルケニル基を有する脱酢酸型、脱オキシム型のシランカップリング剤がより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、感光層または感熱層との接着性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、インキ反発性の観点から、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
硬化触媒としては、ヒドロシリル化反応触媒として公知のものを用いることができるが、反応性が高い点から白金、ロジウムを含有することが好ましい。具体的には、白金単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシラン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金−アセチルアセトン錯体、白金−アセト酢酸アルキルエステル錯体、白金−マロン酸ジアルキルエステル錯体、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。これらの硬化触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化触媒の含有量は、第1のシリコーンゴム層の硬化性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.001重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましい。また、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
反応抑制剤としては、ヒドロシリル化反応抑制剤または反応遅延剤として公知のものを用いることができる。アミン化合物、アセチレン化合物が好ましく、ピリジン、ピコリン、2,2’−ジピリジル、2−ブタノンオキシムや、アセチレンアルコール、アセチレンシランなどがより好ましく挙げられる。アセチレンアルコールとしては、たとえば2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−ヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オールなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの反応抑制剤を含有することにより、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性が向上する。
反応抑制剤の含有量は、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、第1のシリコーンゴム層の硬化性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
次に、縮合反応型シリコーンゴム層について説明する。縮合反応型シリコーンゴム層組成物液に用いられる、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物としては、シラノール基含有シリコーン化合物が挙げられる。縮合反応型シリコーンゴム層組成物液としては、少なくともシラノール基含有シリコーン化合物、縮合反応型架橋剤を含む。さらに、硬化触媒を含んでもよい。
シラノール基含有シリコーン化合物としては、一般式(3)で表される化合物を挙げることができ、分子中に2個以上のシラノール基を有する化合物である。中でも分子主鎖末端にシラノール基を有する化合物が高速硬化性の観点から好ましい。また、これらを2種以上含有してもよい。
一般式(3)中、Zは以下の式で示される基である。
一般式(3)中、R5は水酸基、または脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基のいずれかを示し、R6は脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。iは0〜4000、jは0〜5、kは0〜2000、およびlは0〜4000の整数を示す。R5が脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基である場合、jは2以上の整数であり、R5とR6、R5のそれぞれおよびR6のそれぞれは独立で、同じであっても異なっていてもよい。また、少なくともi、j、kのいずれかは1以上の整数であり、lは0または1以上の整数である。
一般式(3)中、R5およびR6は全体の50モル%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、シラノール基含有シリコーン化合物の重量平均分子量としては、耐刷性や耐傷性の観点から6万以上が好ましく、画像再現性の観点から30万以下が好ましい。
シラノール基含有シリコーン化合物の含有量は、第1のシリコーンゴム層のインキ反発性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。また、硬化性の観点から、99.49重量%以下が好ましい。
上記シラノール基含有シリコーン化合物の縮合反応型架橋剤として用いられる化合物としては、前述したシランカップリング剤や、付加反応型シリコーンゴム層組成物液の付加反応型架橋剤として例示したSiH基含有化合物を挙げることができる。
シランカップリング剤としては、感光層または感熱層との接着性や高速反応性の観点から、脱酢酸型、脱オキシム型のシランカップリング剤が好ましい。また、SiH基含有化合物としては、1分子中に3個以上のSiH基を有するオルガノハイドロポリシロキサンまたはオルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体が好ましい。また、これらのシランカップリング剤や、SiH基含有化合物を併用してもよい。
縮合反応型架橋剤の含有量としては、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性、および、感光層または感熱層との接着性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、インキ反発性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
シランカップリング剤を架橋剤として用いる場合の硬化触媒としては、有機カルボン酸、酸類、アルカリ、アミン、金属アルコキシド、金属ジケテネート、錫、鉛、亜鉛、鉄、コバルト、カルシウム、マンガンなどの金属の有機酸塩などが挙げられる。具体的には、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄などを挙げることができる。一方、SiH基含有化合物を架橋剤として用いる場合の硬化触媒としては、前述した公知のヒドロシリル化反応触媒を用いることができる。これらの硬化触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化触媒の含有量は、第1のシリコーンゴム層の硬化性、接着性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.001重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましい。また、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
次に、付加反応・縮合反応併用型シリコーンゴム層について説明する。付加反応・縮合反応併用型シリコーンゴム層組成物液に用いられる、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物としては、分子内に2個以上のシラノール基を有するシラノール基含有シリコーン化合物が挙げられる。付加反応・縮合反応併用型シリコーンゴム層組成物液としては、少なくともシラノール基含有シリコーン化合物、分子中に少なくとも1個以上のアルケニル基を含むシランカップリング剤、SiH基含有化合物および硬化触媒を含むことが好ましい。シラノール基含有シリコーン化合物中のシラノール基は、第1のシリコーンゴム層組成物液中において、分子中に少なくとも1個以上のアルケニル基を含むシランカップリング剤との縮合反応により、シラノール基を消失し、シランカップリング剤に由来するアルケニル基と加水分解性官能基を有する化合物となる。このようなアルケニル基と加水分解性官能基を分子中に有するシリコーン化合物は、SiH基含有化合物との間で付加反応を起こし、また、加水分解性官能基同士が縮合反応を起こすこととなる。
シラノール基含有シリコーン化合物としては、前記一般式(3)で表される化合物を挙げることができ、分子中に2個以上のシラノール基を有する化合物である。中でも分子主鎖末端にシラノール基を有する化合物が高速硬化性の観点から好ましい。また、これらを2種以上含有してもよい。
前記一般式(3)中、R5およびR6は全体の50モル%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、シラノール基含有シリコーン化合物の重量平均分子量としては、耐刷性や耐傷性の観点から6万以上が好ましく、画像再現性の観点から30万以下が好ましい。
シラノール基含有シリコーン化合物の含有量は、第1のシリコーンゴム層のインキ反発性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。また、硬化性の観点から、99.49重量%以下が好ましい。
分子中に少なくとも1個以上のアルケニル基を含むシランカップリング剤としては、前述したシランカップリング剤のうち、分子中に少なくとも1個以上のアルケニル基を含む化合物が挙げられる。感光層または感熱層との接着性や高速反応性の観点から、分子中に少なくとも1個以上のアルケニル基を含む脱酢酸型や脱オキシム型のシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、感光層または感熱層との接着性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、インキ反発性の観点から、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
SiH基含有化合物としては、付加反応型シリコーンゴム層組成物液の付加反応型架橋剤として例示したSiH基含有化合物を挙げることができる。1分子中に3個以上のSiH基を有するオルガノハイドロポリシロキサンまたはオルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体が好ましい。オルガノハイドロポリシロキサンやオルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体は、直鎖状、環状、分岐状、網状の分子構造を有する。また、珪素原子と結合している有機基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。SiH基含有化合物1分子中のSiH基数としては、第2のシリコーンゴム層との接着性の観点から5個以上が好ましく、6個以上がより好ましい。
SiH基含有化合物の含有量としては、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、第1のシリコーンゴム層の強度や耐傷性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
また、硬化後の第1のシリコーンゴム層中にSiH基が残存していることが第2のシリコーンゴム層との接着性の観点から好ましい。このことから、第1のシリコーンゴム層組成物液中のSiH基数とビニル基数の比(SiH基数/ビニル基数)が1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
硬化触媒としては、前述した公知のヒドロシリル化反応触媒を用いることができる。これらの硬化触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、縮合反応の促進のために縮合反応型シリコーンゴム層組成物液の硬化触媒として例示した化合物を併用してもよい。
硬化触媒の含有量は、第1のシリコーンゴム層の硬化性、接着性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.001重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましい。また、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
反応抑制剤としては、ヒドロシリル化反応抑制剤または反応遅延剤として公知のものを用いることができる。アミン化合物、アセチレン化合物が好ましく、ピリジン、ピコリン、ジピリジルや、アセチレンアルコール、アセチレンシランなどがより好ましく挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの反応抑制剤を含有することにより、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性が向上する。反応抑制剤の含有量は、第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、第1のシリコーンゴム層の硬化性の観点から、第1のシリコーンゴム層組成物液中20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
また、第1のシリコーンゴム層組成物液には前述した化合物の他に、ゴム強度を向上させる目的でシリカやQレジンなどの公知の補強剤を含有してもよい。
また、現像後の印刷版に検版性を付与する目的で、第1のシリコーンゴム層が着色されていてもよい。第1のシリコーンゴム層を着色する方法としては、例えば、特開2002−244279号公報に記載の有色染料による着色や、WO2008/056588号公報に記載の有色顔料による着色を挙げることができる。
本発明の印刷版原版において、第1のシリコーンゴム層の膜重量は0.6g/m2から9.95g/m2の範囲内であることが好ましい。第1のシリコーンゴム層の膜重量を0.6g/m2以上とすることで印刷版のインキ反発性や耐傷性、耐刷性が十分となり、9.95g/m2以下とすることで経済的見地から不利とならず、画像再現性、インキマイレージの低下が起こりにくい。
感光層または感熱層上に第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗布後、(加熱)乾燥して第1のシリコーンゴム層を形成する工程について説明する。ここで、第1のシリコーンゴム層組成物液は、第1のシリコーンゴム層を形成する材料から構成される無溶剤の液体であり、第1のシリコーンゴム層組成物溶液は、第1のシリコーンゴム層組成物液と溶剤とを含有する溶液である。
有色顔料の分散や、第1のシリコーンゴム層組成物溶液に用いられる溶剤としては、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族の炭化水素や、ハロゲン化炭化水素、鎖状または環状のエーテル化合物などが挙げられる。中でも、経済性や安全性の観点から、脂肪族または脂環族の炭化水素が好ましい。また、第1のシリコーンゴム層組成物液の溶解性の観点から、これら溶剤の溶解度パラメーターは、16.4(MPa)1/2以下が好ましく、15.4(MPa)1/2以下がより好ましく、14.4(MPa)1/2以下がさらに好ましい。また、安全性や取り扱い性の観点から、沸点が60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。一方、塗液の乾燥性の観点から、沸点が150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。このような溶剤の具体例としては、炭素数が6〜9の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素などを挙げることができる。これら溶剤の2種以上を意図的に混合して用いてもよいし、これら溶剤があらかじめ混合された以下に代表されるような市販の溶剤を用いてもよい。
分岐状脂肪族炭化水素の混合物:例えば、“マルカゾール”8(丸善石油化学(株)製)、“アイソパー”C、“アイソパー”E(いずれもエクソンモービルケミカル社製)、“IPソルベント”1016(出光興産(株)製)、“アイソゾール”200(JX日鉱日石エネルギー(株)製)など。
脂環族炭化水素の混合物:例えば、“エクソール”DSP80/100、“エクソール”DSP100/140、“エクソール”D30、(いずれもエクソンモービルケミカル社製)、CS揮発油(JX日鉱日石エネルギー(株)製)など。
また、前述の溶剤以外の溶剤を混合して用いることもできるが、第1のシリコーンゴム層組成物液の溶解性の観点から、前述の溶剤が全溶剤中80体積%以上含まれることが好ましく、90体積%以上含まれることがより好ましい。
以下に、(i)第1のシリコーンゴム層組成物液、(ii)第1のシリコーンゴム層組成物溶液の具体的な作製方法を記載する。
(i)第1のシリコーンゴム層組成物液(無溶剤)
例えば、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物と、必要により有色顔料、顔料分散剤、微粒子を分散機で均一に分散混合することにより、シリコーンペーストを得る。得られたシリコーンペースト中に、架橋剤、および必要に応じてその他の添加剤(反応触媒や反応抑制剤など)を添加し、撹拌混合して成分を均一とし、減圧脱泡などにより液中に混入した空気の泡を除去することで第1のシリコーンゴム層組成物液を得ることができる。
例えば、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物と、必要により有色顔料、顔料分散剤、微粒子を分散機で均一に分散混合することにより、シリコーンペーストを得る。得られたシリコーンペースト中に、架橋剤、および必要に応じてその他の添加剤(反応触媒や反応抑制剤など)を添加し、撹拌混合して成分を均一とし、減圧脱泡などにより液中に混入した空気の泡を除去することで第1のシリコーンゴム層組成物液を得ることができる。
(ii)第1のシリコーンゴム層組成物溶液(溶剤含有)
例えば、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物と、必要により有色顔料、顔料分散剤、微粒子を分散機で均一に分散混合することにより、シリコーンペーストを得て、これを撹拌しながら溶剤で希釈する。これを紙やプラスチック、またはガラスなどの一般的なフィルターを用いて濾過し、溶液中の不純物(分散が不十分な有色顔料の巨大粒子など)を取り除くことが好ましい。濾過後の溶液は、乾燥空気や乾燥窒素などによるバブリングにより系中の水分を除去することが好ましい。十分に水分の除去を行った溶液に架橋剤、および必要に応じてその他の添加剤(反応触媒や反応抑制剤など)を添加し撹拌混合して成分を均一とし、減圧脱泡などにより液中に混入した空気の泡を除去することで第1のシリコーンゴム層組成物溶液を得ることができる。
例えば、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物と、必要により有色顔料、顔料分散剤、微粒子を分散機で均一に分散混合することにより、シリコーンペーストを得て、これを撹拌しながら溶剤で希釈する。これを紙やプラスチック、またはガラスなどの一般的なフィルターを用いて濾過し、溶液中の不純物(分散が不十分な有色顔料の巨大粒子など)を取り除くことが好ましい。濾過後の溶液は、乾燥空気や乾燥窒素などによるバブリングにより系中の水分を除去することが好ましい。十分に水分の除去を行った溶液に架橋剤、および必要に応じてその他の添加剤(反応触媒や反応抑制剤など)を添加し撹拌混合して成分を均一とし、減圧脱泡などにより液中に混入した空気の泡を除去することで第1のシリコーンゴム層組成物溶液を得ることができる。
また、有色顔料を含有する第1のシリコーンゴム層組成物溶液の他の作製方法としては、有色顔料分散液と、第1のシリコーンゴム層組成物液またはシリコーンゴム層組成物溶液とを予め別々に作製しておき、後に両液を混合する方法が挙げられる。有色顔料分散液は、少なくとも顔料分散剤および溶剤を含有する溶液中に、有色顔料、必要により微粒子を添加し、分散機で均一に分散混合することにより得られる。一方、シリコーンゴム層組成物液は、架橋剤と反応性を有する官能基を有するオルガノポリシロキサン、架橋剤、および必要に応じてその他の添加剤(反応触媒、反応抑制剤など)を撹拌混合することにより得られる。また、得られたシリコーンゴム層組成物液に溶剤を添加し撹拌混合するか、もしくは、溶剤中にシリコーンゴム層組成物液成分各々を添加し撹拌混合することで、第1のシリコーンゴム層組成物溶液を得ることができる。
第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗布する際、感熱層または感光層表面に付着した水分を可能な限り除去することが接着性の観点から好ましい。塗布装置としては、感熱層組成物溶液の塗布装置として例示したものを挙げることができる。
第1のシリコーンゴム層組成物溶液を塗布する場合には、塗布についで、第1のシリコーンゴム層組成物溶液を乾燥して第1のシリコーンゴム層を形成する。乾燥や硬化のために加熱処理を行ってもよい。第1のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液は、塗布後、直ちに加熱されることが硬化性や感熱層に対する接着性の観点から好ましい。加熱する場合には、熱風乾燥機、赤外線乾燥機などを用いて、50〜150℃の温度で、30秒〜5分間乾燥することが好ましい。
次に、第2のシリコーンゴム層について説明する。第2のシリコーンゴム層は前述した第1のシリコーンゴム層上に後述する第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗布、(加熱)乾燥することにより形成することができる。
第2のシリコーンゴム層組成物液としては、少なくとも分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物と該官能基と反応性を有する架橋剤および硬化触媒を含む。さらに、反応抑制剤を含有してもよい。第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基とSiH基とのヒドロシリル化反応により硬化して第1のシリコーンゴム層の表面付近に相対的に高い架橋密度の第2のシリコーンゴム層が追加される。
第2のシリコーンゴム層組成物液に用いられる、分子内に2個以上の官能基を有するシリコーン化合物としては、分子内に2個以上のビニル基、または、SiH基を有するシリコーン化合物が挙げられる。
ビニル基含有シリコーン化合物を用いた場合の第2のシリコーンゴム層組成物液としては、少なくともビニル基含有シリコーン化合物、SiH基含有化合物および硬化触媒を含むことが好ましい。さらに、反応抑制剤を含有してもよい。一方、SiH基含有シリコーン化合物を用いた場合の第2のシリコーンゴム層組成物液としては、少なくともSiH基含有シリコーン化合物、ビニル基含有化合物および硬化触媒を含むことが好ましい。さらに、反応抑制剤を含有してもよい。
ビニル基含有シリコーン化合物としては、一般式(4)で表される化合物を挙げることができ、分子中に2個以上のビニル基を有する化合物である。また、これらを2種以上含有してもよい。
一般式(4)中、Tは以下の式で示される基である。
一般式(4)中、R1はビニル基、または脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基のいずれかを示し、R2は脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。aは0〜8000、bは0〜7000、cは0〜3750、およびdは0〜8000の整数を示す。R1が脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基である場合、bは2以上の整数であり、R1とR2、R1のそれぞれ、およびR2のそれぞれは独立で、同じであっても異なっていてもよい。また、少なくともa、b、cのいずれかは1以上の整数であり、dは0または1以上の整数である。
一般式(4)中、R1およびR2は全体の50モル%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、ビニル基含有シリコーン化合物の重量平均分子量としては、耐刷性や耐傷性の観点から6万以上が好ましく、画像再現性の観点から60万以下が好ましい。
SiH基含有シリコーン化合物としては、一般式(5)で表される化合物を挙げることができ、分子中に2個以上のSiH基を有する化合物である。また、これらを2種以上含有してもよい。
一般式(5)中、Xは以下の式で示される基である。
一般式(5)中、R3はSiH基、または脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基のいずれかを示し、R4は脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。eは0〜8000、fは0〜7000、gは0〜3750、およびhは0〜8000の整数を示す。R3が脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基である場合、fは2以上の整数であり、R3とR4、R3のそれぞれおよびR4のそれぞれは独立で、同じであっても異なっていてもよい。また、少なくともe、f、gのいずれか1つは1以上の整数であり、hは0または1以上の整数である。
前記一般式(5)中、R3およびR4は全体の50モル%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、SiH基含有シリコーン化合物の重量平均分子量としては、耐刷性や耐傷性の観点から6万以上が好ましく、画像再現性の観点から60万以下が好ましい。
ビニル基含有シリコーン化合物、または、SiH基含有シリコーン化合物の含有量は、インキ反発性の観点から、第2のシリコーンゴム層組成物液中60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。また、硬化性の観点から、99.49重量%以下が好ましい。
上記ビニル基含有シリコーン化合物の架橋剤としてはSiH基含有化合物が用いられる。SiH基含有化合物としては、1分子中に2個以上のSiH基を有する化合物が挙げられ、例えば、オルガノハイドロポリシロキサン、オルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体、ジオルガノハイドロシロキシ基を有する有機ポリマーが挙げられる。中でも、オルガノハイドロポリシロキサン、オルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体が好ましい。これらを2種以上含有してもよい。
オルガノハイドロポリシロキサンやオルガノハイドロシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体は、直鎖状、環状、分岐状、網状の分子構造を有する。また、珪素原子と結合している有機基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。
上記SiH基含有シリコーン化合物の架橋剤としては、ビニル基含有化合物が用いられる。ビニル基含有化合物としては、1分子中に3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられ、例えば、オルガノビニルポリシロキサン、オルガノビニルシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体、分子中にジオルガノビニルシロキシ基を3個以上有する化合物が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。ビニル基含有化合物1分子中のビニル基数としては、第2のシリコーンゴム層との接着性の観点から5個以上が好ましく、6個以上が更に好ましい。
オルガノビニルポリシロキサンやオルガノビニルシロキサン・ジオルガノシロキサン共重合体は、直鎖状、環状、分岐状、網状の分子構造を有する。また、珪素原子と結合している有機基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基を示す。脂肪族不飽和結合を含まない一価の有機基としては、一般式(1)で例示した官能基などが挙げられる。
SiH基含有化合物、または、ビニル基含有化合物の含有量は、硬化性の観点から第2のシリコーンゴム層組成物液中0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度をa[モル/kg]、SiH基濃度をb[モル/kg]としたとき、aとbのうち値の小さい方が0.15〜0.45[モル/kg]の範囲内であることが好ましい。aとbのうち値の小さい方が0.15[モル/kg]以上であれば版表面への異物付着が抑制され、また、0.45[モル/kg]以下であればインキ反発性が良好となることから、0.15〜0.45[モル/kg]の範囲内であれば版表面への異物付着抑制とインキ反発性を両立することができる。0.2〜0.4[モル/kg]の範囲内であることがより好ましい。また、濃度比(b/a)が1以下であることがより好ましい。b/aが1以下であれば、硬化後のシリコーンゴム層中に残存するSiH基量を低減できるため、インキ反発性が更に向上する(ヒドロシリル化反応触媒存在下において、層内に残存したSiH基は空気中の水と容易に脱水素縮合反応を起こし、高極性のシラノール基を生成する。層中のシラノール基濃度が高くなるほどインキ反発性は低下する。)。b/aは0.5以下であることがさらに好ましい。0.5以下とすることで、硬化後のシリコーンゴム層中に残存するSiH基量をより低減できるためインキ反発性の更なる向上がはかれ、更に、第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基が第1のシリコーンゴム層中のSiH基と反応するため第1のシリコーンゴム層との接着性が向上する。
硬化触媒としては、前述した公知のヒドロシリル化反応触媒を用いることができるが、反応性が高い点から白金、ロジウムを含有することが好ましい。これらの硬化触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。触媒活性の観点からは、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−アセチルアセトン錯体、白金−アセト酢酸アルキルエステル錯体、白金−マロン酸ジアルキルエステル錯体が好ましく、また、シリコーン化合物や希釈溶剤との相溶性の観点から、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−アセチルアセトン錯体、白金−アセト酢酸アルキルエステル錯体、白金−マロン酸ジアルキルエステル錯体などの白金−リガンド化合物錯体がより好ましい。これら白金−リガンド化合物錯体の中でも、リガンド化合物の沸点が後述する反応抑制剤の沸点より低い白金−リガンド化合物錯体を用いることが更に好ましい。このような白金−リガンド化合物錯体を用いることにより、架橋密度のコントロールがより容易となり、また、リガンド化合物の層内残存に起因するインキ反発性の低下や、異物付着が抑制される。また、異物付着抑制の観点からは硬化触媒に沸点が160℃以上の不揮発性シリコーンオイルを含まないことが好ましい。硬化触媒の含有量は、硬化性の観点から第2のシリコーンゴム層組成物液中0.001重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましい。また、第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性の観点から、第2のシリコーンゴム層組成物液中20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
反応抑制剤としては、ヒドロシリル化反応抑制剤または反応遅延剤として公知のものを用いることができる。アミン化合物、アセチレン化合物が好ましく、ピリジン、ピコリン、ジピリジルや、アセチレンアルコール、アセチレンシランなどがより好ましく挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの反応抑制剤を含有することにより、第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性が向上する。中でも、沸点が160℃以下の反応抑制剤を用いることが好ましい。沸点が160℃以下であれば、常温下または加熱下において反応抑制剤が速やかに系外へ揮発することにより高速硬化性の点で有利であり、また、反応抑制剤の層内残存に起因するインキ反発性の低下や、異物付着が抑制される。沸点が160℃以下の反応抑制剤としては、ピリジン(沸点:115℃)、2−ブタノンオキシム(沸点:153℃)、2−プロピン−1−オール(沸点:113℃)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(沸点:103℃)、3−メチル−1−ペンチン−3−オール(沸点:122℃)、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(沸点:150℃)、エチニルトリエチルシラン(沸点:136℃)などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、反応抑制剤は揮発しやすいほどよいというものではなく、前述したように白金のリガンド化合物との揮発性の関係も重要である。分子中にビニル基などのヒドロシリル化反応に携わる官能基を含む白金のリガンド化合物よりも先に反応抑制剤が揮発すると、白金のリガンド化合物の多くが系内に残存した状態で付加反応が開始されるため、架橋密度のコントロールが困難となり、また、白金のリガンド化合物の層内残存に起因するインキ反発性の低下や、異物付着が起こりやすくなる。このような理由から、白金のリガンド化合物の沸点以上の沸点を有する反応抑制剤を用いることが好ましい。例えば、白金のリガンド化合物がジビニルジメチルシラン(沸点:82℃)である場合、反応抑制剤として2−メチル−3−ブチン−2−オール(沸点:103℃)を用いても架橋密度のコントロールが容易であるが、白金のリガンド化合物が1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(沸点:139℃)である場合には、反応抑制剤として2−メチル−3−ブチン−2−オール(沸点:103℃)を用いると架橋密度のコントロールが困難となるため、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(沸点:150℃)などのより沸点の高い反応抑制剤を用いることが好ましい。
反応抑制剤の含有量は、第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の安定性の観点から、第2のシリコーンゴム層組成物液中0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、第2のシリコーンゴム層の硬化性の観点から、第2のシリコーンゴム層組成物液中20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
第2のシリコーンゴム層の膜重量としては、0.05〜0.4g/m2の範囲内であることが好ましい。膜重量が0.05g/m2以上であれば版表面への異物付着が抑制され、また、0.4g/m2以下であれば画像再現性の低下を抑制できるため、0.05g/m2から0.4g/m2の範囲内であれば版表面への異物付着抑制と画像再現性を両立することができる。0.1g/m2から0.3g/m2の範囲内であることがより好ましい。また、第1のシリコーンゴム層と第2のシリコーンゴム層の合計の膜重量としては1g/m2から10g/m2の範囲内であることが好ましい。第1のシリコーンゴム層と第2のシリコーンゴム層の合計の膜重量を1g/m2以上とすることで印刷版のインキ反発性や耐傷性、耐刷性が十分となり、10g/m2以下とすることで経済的見地から不利とならず、画像再現性、インキマイレージの低下が起こりにくい。
また、インキ反発性の観点から、第2のシリコーンゴム層組成物液中にはシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
異物付着抑制の観点から、第2のシリコーンゴム層組成物液中に含まれるシリコーンオイル、および/または、その他の不揮発性オイルの合計が10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、一切含まないことが更に好ましい。
第2のシリコーンゴム層組成物液中、ビニル基含有シリコーン化合物とSiH基含有化合物の含有量の合計が、90重量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98重量%以上であることが更に好ましい。
次に、第1のシリコーンゴム層上に第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗布する工程を説明する。第1のシリコーンゴム層上に第2のシリコーンゴム層組成物液を塗布してもよいし、第2のシリコーンゴム層組成物液を溶剤に溶解し、その溶液を塗布してもよい。
第2のシリコーンゴム層組成物液は、前述のビニル基含有シリコーン化合物またはSiH基含有シリコーン化合物と、SiH基含有化合物またはビニル基含有化合物、反応触媒、および、必要に応じて反応遅延剤などの他の成分を含有する。
第2のシリコーンゴム層組成物溶液に用いられる溶剤としては、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族の炭化水素や、ハロゲン化炭化水素、鎖状または環状のエーテル化合物などが挙げられる。中でも、経済性や安全性の観点から、脂肪族または脂環族の炭化水素が好ましい。また、第2のシリコーンゴム層組成物液の溶解性、および、第1のシリコーンゴム層への塗工性の観点から、これら溶剤の溶解度パラメーターは、16.4(MPa)1/2以下が好ましく、15.4(MPa)1/2以下がより好ましく、14.4(MPa)1/2以下がさらに好ましい。また、安全性や取り扱い性の観点から、沸点が60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。一方、塗液の乾燥性の観点から、沸点が150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。このような溶剤の具体例としては、炭素数が6〜9の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素などを挙げることができる。これら溶剤の2種以上を意図的に混合して用いてもよいし、これら溶剤があらかじめ混合された以下に代表されるような市販の溶剤を用いてもよい。
分岐状脂肪族炭化水素の混合物:例えば、“マルカゾール”8(丸善石油化学(株)製)、“アイソパー”C、“アイソパー”E(いずれもエクソンモービルケミカル社製)、“IPソルベント”1016(出光興産(株)製)、“アイソゾール”200(JX日鉱日石エネルギー(株)製)など。
脂環族炭化水素の混合物:例えば、“エクソール”DSP80/100、“エクソール”DSP100/140、“エクソール”D30、(いずれもエクソンモービルケミカル社製)、CS揮発油(JX日鉱日石エネルギー(株)製)など。
また、前述の溶剤以外の溶剤を混合して用いることもできるが、第2のシリコーンゴム層組成物液の溶解性、および、第1のシリコーンゴム層への塗工性の観点から、前述の溶剤が全溶剤中80体積%以上含まれることが好ましく、90体積%以上含まれることがより好ましい。
以下に、(i)第2のシリコーンゴム層組成物液、(ii)第2のシリコーンゴム層組成物溶液の具体的な作製方法を記載する。
(i)第2のシリコーンゴム層組成物液(無溶剤)
例えば、ビニル基含有シリコーン化合物、SiH基含有化合物、および必要に応じて反応抑制剤やその他の添加剤を添加し、攪拌混合することにより第2のシリコーン層組成物液前駆体を得る。得られた第2のシリコーン層組成物液前駆体中に、反応触媒を添加し、撹拌混合して成分を均一とし、液中に混入した気泡を脱泡することで、第2のシリコーンゴム層組成物液を得る。脱泡は自然脱泡でも減圧脱泡でもよいが、液の粘度が高い場合には減圧脱泡がより好ましい。
例えば、ビニル基含有シリコーン化合物、SiH基含有化合物、および必要に応じて反応抑制剤やその他の添加剤を添加し、攪拌混合することにより第2のシリコーン層組成物液前駆体を得る。得られた第2のシリコーン層組成物液前駆体中に、反応触媒を添加し、撹拌混合して成分を均一とし、液中に混入した気泡を脱泡することで、第2のシリコーンゴム層組成物液を得る。脱泡は自然脱泡でも減圧脱泡でもよいが、液の粘度が高い場合には減圧脱泡がより好ましい。
(ii)第2のシリコーンゴム層組成物溶液(溶剤含有)
例えば、溶剤、ビニル基含有シリコーン化合物、SiH基含有化合物、および必要に応じて反応抑制剤やその他の添加剤を添加し、攪拌混合することにより第2のシリコーン層組成物溶液の前駆体を得る。得られた第2のシリコーン層組成物溶液の前駆体中に、反応触媒を添加し、撹拌混合して成分を均一とし、液中に混入した気泡を脱泡することで、第2のシリコーンゴム層組成物溶液を得る。脱泡は自然脱泡でも減圧脱泡でもよい。第2のシリコーンゴム層組成物溶液中の全固形分の濃度は、0.5〜10重量%が好ましい。
例えば、溶剤、ビニル基含有シリコーン化合物、SiH基含有化合物、および必要に応じて反応抑制剤やその他の添加剤を添加し、攪拌混合することにより第2のシリコーン層組成物溶液の前駆体を得る。得られた第2のシリコーン層組成物溶液の前駆体中に、反応触媒を添加し、撹拌混合して成分を均一とし、液中に混入した気泡を脱泡することで、第2のシリコーンゴム層組成物溶液を得る。脱泡は自然脱泡でも減圧脱泡でもよい。第2のシリコーンゴム層組成物溶液中の全固形分の濃度は、0.5〜10重量%が好ましい。
第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗布する際、第1のシリコーンゴム層表面に付着した水分を可能な限り除去することが接着性の観点から好ましい。具体的には、乾燥ガスを充填、または、連続供給することで水分を除去した空間で、第2のシリコーンゴム層組成物や、その溶液を塗布する方法が挙げられる。
第2のシリコーンゴム層組成物や、その溶液を第1のシリコーンゴム層上に塗布する塗布装置としては、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーターなどが挙げられる。塗膜精度や生産性およびコストの面で、スリットダイコーター、グラビアコーター、ロールコーターが特に好ましい。
第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液の塗布重量は、前述した第2のシリコーンゴム層の膜重量の範囲内であれば任意に選択することができる。
第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を塗布し、第2のシリコーンゴム層を硬化することで第1のシリコーンゴム層の表面付近にシリコーンゴム層が追加される。乾燥や硬化を促進させる目的で加熱処理を行ってもよい。第2のシリコーンゴム層組成物液や、その溶液は、塗布後、直ちに加熱されることが第2のシリコーンゴム層組成物液の硬化性や第1のシリコーンゴム層との接着性の観点から好ましい。加熱する場合には、熱風乾燥機、赤外線乾燥機などを用いて、30〜190℃、より好ましくは50〜150℃の温度で、30秒〜5分間乾燥することが好ましい。
シリコーンゴム層中に存在するビニル基量については、シリコーンゴム層表面をFT−IR−ATR法(以下、ATR法と記載)により測定することで確認することができる。ATR法とは、IRE(internal reflectance element)とよばれる屈折率の大きいプリズムに試料を接触させ、IREに赤外光を入射した際、IREと試料の界面に発生するエバネッセント波(E波)が試料に吸収され、結果としてIREを通過する光量に変化が生じる現象を観測する方法であり、特に光を透過しない試料の表面分析に頻繁に用いられる一般公知の分析手法である。E波の振幅が界面での振幅に対して1/eに減衰する深さを赤外光の染み込み深さ(dp)といい、式(6)で表わされる。赤外光の染み込み深さはIREの屈折率と光の入射角と波長に依存している。赤外光の染み込み深さには波長依存性があるため、低波数側の染み込み深さが高波数側の染み込み深さに比べて深くなることがわかっている。
dP:光の染み込み深さ
θ:入射角
n1:IREの屈折率
n2:試料の屈折率
λ:光の波長
ビニル基を含むシリコーンゴム層をATR法で測定すると、3055cm−1付近にビニル基のC−H伸縮振動(非対称)に由来する特性吸収帯が検出される。実際の吸収強度はIREと試料の接触の状態などの測定条件によって変動する可能性があるため、ビニル基を測定する場合にはSi−CH3のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収強度を同時に測定し、この吸収強度に対する前記ビニル基の特性吸収帯の相対吸収強度(c)を用いる。前述したとおり、シリコーンゴム層への光(測定に使用する光)の染み込み深さは光の波数(波長)に依存するが、3055cm−1付近のビニル基のC−H伸縮振動(非対称)に由来する特性吸収帯と2963cm−1付近Si−CH3のC−H伸縮振動(非対称)に由来する特性吸収帯は、波数の差が小さいためほぼ同一の染み込み深さとなると推定される。
θ:入射角
n1:IREの屈折率
n2:試料の屈折率
λ:光の波長
ビニル基を含むシリコーンゴム層をATR法で測定すると、3055cm−1付近にビニル基のC−H伸縮振動(非対称)に由来する特性吸収帯が検出される。実際の吸収強度はIREと試料の接触の状態などの測定条件によって変動する可能性があるため、ビニル基を測定する場合にはSi−CH3のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収強度を同時に測定し、この吸収強度に対する前記ビニル基の特性吸収帯の相対吸収強度(c)を用いる。前述したとおり、シリコーンゴム層への光(測定に使用する光)の染み込み深さは光の波数(波長)に依存するが、3055cm−1付近のビニル基のC−H伸縮振動(非対称)に由来する特性吸収帯と2963cm−1付近Si−CH3のC−H伸縮振動(非対称)に由来する特性吸収帯は、波数の差が小さいためほぼ同一の染み込み深さとなると推定される。
具体的には、測定により得られた3055cm−1付近、および、2963cm−1付近の両ピークについて、ピークの裾野部分で引いたベースラインからのピーク高さをそれぞれの吸収強度とし、これらの比を算出することにより相対吸収強度を求めることができる。
測定に使用するIREの種類(屈折率)や光の入射角を変更することで、光の染み込み深さを変えて測定を行うことができる。例えば、IREとしてGe(屈折率=4.0)を用いて入射角を70度とした場合、シリコーンゴム層(屈折率=1.4)への波数3000cm−1の光の染み込み深さは0.152μm程度であり、IREとしてZnSe(屈折率=2.4)を用いて入射角を45度とした場合は、シリコーンゴム層への波数3000cm−1の光の染み込み深さは0.553μm程度である。
シリコーンゴム層表面でのFT−IR−ATR法Ge結晶70度測定におけるSi−CH3のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収強度に対するビニル基のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の相対吸収強度をcとしたとき、相対吸収強度cが0.01以上であることが好ましい。シリコーンゴム層表面への異物付着抑制の観点から、相対吸収強度cは0.01以上であることが好ましく、より好ましくは0.02以上である。相対吸収強度が0.01よりも小さいと、十分な架橋密度が得られにくいことからシリコーンゴム層表面に異物が付着しやすくなる。
さらに、シリコーンゴム層表面でのFT−IR−ATR法ZnSe結晶45度測定におけるSi−CH3のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収強度に対するビニル基のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の相対吸収強度をfとしたとき、前述の相対吸収強度cとの比(f/c)が0.25〜0.75の範囲内であることが好ましい。シリコーンゴム層表面への異物付着抑制と画像再現性の両立の観点から、相対吸収強度の比(f/c)は0.25〜0.75の範囲内であることが好ましい。相対吸収強度の比が0.25より小さい場合は、シリコーンゴム層表面に異物が付着しやすくなり、0.75より大きい場合は画像再現性が低下しやすくなる。シリコーンゴム層の組成が均一である場合、深さによる相対吸収強度に明確な差は認められず、相対吸収強度の比(f/c)は1に近似する。
本発明において、相対的に柔らかい第1のシリコーンゴム層上に相対的に硬い第2のシリコーンゴム層を形成することが版表面への異物付着抑制、インキ反発性、画像再現性を同時に満足できる点で好ましい。各シリコーンゴム層組成物液や、その溶液に準じた成分を用いて厚みを持ったシリコーンゴムシートをモデル的に作製し、その硬さを測定することで各シリコーンゴム層の硬さの指標とすることができる。シリコーンゴムシートの硬さは、試験規格であるJIS K 6253−3(2012)に準じた、デュロメータを用いた測定が簡便であるため好ましい。シリコーンゴムシートは例えば次の方法により作製することができる。シリコーンゴムシート作製用容器中でシリコーンゴム層組成物液や、その溶液を均一に混合し、自然脱泡、または、減圧脱泡したのち、シリコーンゴム層組成物液を硬化させることによりシリコーンゴムシートが得られる。シリコーンゴム層組成物液の硬化を促進するために加熱することが好ましい。また、シリコーンゴム層組成物液や、その溶液の混合をより容易とするために、シリコーンゴムシート作製用容器とは別の容器中であらかじめシリコーンゴム層組成物液を均一に混合したのち、この混合液をシリコーンゴムシート作製用容器に移してもよい。シリコーンゴム層組成物液や、その溶液の混合、および、混合液のシリコーンゴムシート作製用容器への移し替えの操作は水分の影響を受けにくい窒素雰囲気下で行うことが好ましい。シリコーンゴムシート作製用の容器としては、加熱時の耐熱性や硬化後のシリコーンゴムシートの取り出しやすさの点からPFA製の容器を用いることが好ましい。
第1のシリコーンゴム層としては、上記シリコーンゴムシートとした際の硬さが第2のシリコーンゴム層をシリコーンゴムシートとしたときの硬さよりも小さく、A15以下となる組成であることが好ましい。シリコーンゴムシートとした際の硬さがA15以下となる組成で第1のシリコーンゴム層を構成した場合、現像性や耐傷性が良好となる。一方、第2のシリコーンゴム層としては、シリコーンゴムシートとした際の硬さが第一のシリコーンゴム層をシリコーンゴムシートとした時の硬さよりも大きく、A25〜A70の範囲内となる組成であることが好ましい。シリコーンゴムシートとした際の硬さがA25以上となる組成で第2のシリコーンゴム層を構成した場合、異物の付着を抑制でき、シリコーンゴムシートとした際の硬さがA70以下となる組成で第2のシリコーンゴム層を構成した場合、良好なインキ反発性が得られる。すなわち、シリコーンゴムシートとした際の硬さがA25〜A70の範囲内となる組成で第2のシリコーンゴム層を構成した場合、異物の付着抑制とインキ反発性を同時に満足できる。
本発明の印刷版原版や、その印刷版原版の積層体は、版面を保護する目的で版面上に合紙を有してもよい。
合紙としては、秤量30〜120g/m2のものが好ましく、より好ましくは30〜90g/m2である。秤量30g/m2以上であれば機械的強度が十分であり、120g/m2以下であれば経済的に有利であるばかりでなく、印刷版原版と紙の積層体が薄くなり、作業性が有利になる。好ましく用いられる合紙の例として、例えば、情報記録原紙40g/m2(名古屋パルプ(株)製)、金属合紙30g/m2(名古屋パルプ(株)製)、未晒しクラフト紙50g/m2(中越パルプ工業(株)製)、NIP用紙52g/m2(中越パルプ工業(株)製)、純白ロール紙45g/m2(王子製紙(株)製)、クルパック73g/m2(王子製紙(株)製)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
次に、本発明によって得られた印刷版原版から印刷版を製造する方法について説明する。印刷版の製造方法は、少なくとも上記本発明の印刷版原版を露光する工程(露光工程)、露光部または未露光部いずれかのシリコーンゴム層を除去する工程(現像工程)を含む。
まず、露光工程について説明する。本発明の印刷版原版を露光する方法としては、(1)ポジ用、または、ネガ用の原画フィルムを印刷版原版表面に密着させた後、原画フィルム側から全面に紫外線照射を行う方法と、(2)原画フィルムを用いることなく、デジタルデータに従い、特定発光波長のレーザー光により直描型印刷版原版に直接画像を書き込む方法(CTP)とが挙げられる。CTP方式での露光に用いられるレーザー光源としては、発光波長領域が350〜1500nmの範囲にあるものが挙げられる。
次に、現像工程について説明する。露光後の印刷版原版は、液体の存在下または非存在下で摩擦することにより、露光部または未露光部いずれかのシリコーンゴム層が除去される。摩擦処理としては、例えば、(i)液体の非存在下、現像用パッド、ブラシ、乾燥木綿パッドなどで版面を擦る方法、(ii)水または界面活性剤を添加した水を含浸した不織布、脱脂綿、布、スポンジなどで版面を拭き取る方法、(iii)水または界面活性剤を添加した水を版面に接触させながら回転ブラシで擦る方法、(iv)高圧の水や温水、または水蒸気を版面に噴射する方法などが挙げられる。界面活性剤としては、水溶液にしたときにpHが5〜8になるものが好ましく、界面活性剤の含有量としては水溶液の10重量%以下であることが好ましい。このような水溶液は安全性が高く、廃棄コストなどの経済性の点でも好ましい。
現像に先立ち、前処理液中に一定時間版を浸漬する前処理を行ってもよい。前処理液としては、例えば、水、水にアルコールやケトン、エステル、カルボン酸などの極性溶媒を添加したもの、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などの少なくとも1種からなる溶媒に極性溶媒を添加したもの、あるいは極性溶媒が用いられる。中でも、グリコール化合物あるいはグリコールエーテル化合物を主成分として用いた前処理液が好ましい。また、前処理液中にアミン化合物や、前述した界面活性剤などを添加してもよい。
前処理液としては、特開昭63−179361号公報、特開平4−163557号公報、特開平4−343360号公報、特開平9−34132号公報、WO1997/017634号公報に記載された前処理液などを挙げることができる。前処理液の具体例としては、PP−1、PP−3、PP−F、PP−FII、PTS−1、PH−7N、CP−1、NP−1、DP−1(いずれも東レ(株)製)などを挙げることができる。
また、画線部の視認性や網点の計測精度を高める目的から、水または界面活性剤を添加した水にクリスタルバイオレット、ビクトリアピュアブルー、アストラゾンレッドなどの染料を添加して現像と同時に画線部のインキ受容層の染色を行うこともできる。さらには、現像の後に上記の染料を添加した液によって染色することもできる。
上記現像工程の一部または全部は、自動現像機により自動的に行うこともできる。自動現像機としては現像部のみの装置、前処理部および現像部がこの順に設けられた装置、前処理部、現像部および後処理部がこの順に設けられた装置、前処理部、現像部、後処理部および水洗部がこの順に設けられた装置などを使用できる。このような自動現像機の具体例としては、TWL−650シリーズ、TWL−860シリーズ、TWL−1160シリーズ(いずれも東レ(株)製)などや、特開平4−2265号公報、特開平5−2272号公報、特開平5−6000号公報などに開示されている自動現像機を挙げることができ、これらを単独または併用して使用することができる。
現像後の印刷版において、非画線部(シリコーンゴム層残存部)の第2のシリコーンゴム層が下部のシリコーンゴム層上に残存していることが画像再現性とインキ反発性の両立の観点から好ましい。第2のシリコーンゴム層が除去されるとシリコーンゴム層全体としての厚さが薄くなるため、インキ反発性が低下しやすくなる。また、第2のシリコーンゴム層が除去される前提でシリコーンゴム層全体の厚さを厚くした場合には画像再現性が低下しやすくなる。
現像処理された印刷版を積み重ねて保管する場合には、版面保護の目的で、版と版の間に合紙を挟んでおくことが好ましい。
本発明の印刷版原版を用いて製造された印刷版は、湿し水を用いることなくインキのみで印刷を行う水なし印刷に好適に使用することができる。中でも、本発明の印刷版原版が平版印刷版原版であり、この平版印刷版原版を用いて製造された平版印刷版は水なし印刷に特に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。また、各実施例・比較例における評価は次の方法で行った。
<各実施例・比較例における評価方法>
(1)FT−IR−ATR
平版印刷版原版のシリコーンゴム層中に含まれるビニル基をFT−IR−ATR法により測定した。なお、具体的な装置、ならびに、測定条件は以下の通りである。
(1)FT−IR−ATR
平版印刷版原版のシリコーンゴム層中に含まれるビニル基をFT−IR−ATR法により測定した。なお、具体的な装置、ならびに、測定条件は以下の通りである。
装置:FTS−55A(Bio−Rad Diglab製)
光源:特殊セラミックス
検知器:MCT
パージ:窒素ガス
分解能:4cm−1
積算回数:512回
測定方法:ATR(減衰全反射)法
測定波長範囲:4000〜600cm−1
付属装置:一回反射型ATR測定付属装置(The SeagullTM)
偏光:なし
なお、ATR結晶(IRE)はシリコーンゴム層表面に圧着した。
光源:特殊セラミックス
検知器:MCT
パージ:窒素ガス
分解能:4cm−1
積算回数:512回
測定方法:ATR(減衰全反射)法
測定波長範囲:4000〜600cm−1
付属装置:一回反射型ATR測定付属装置(The SeagullTM)
偏光:なし
なお、ATR結晶(IRE)はシリコーンゴム層表面に圧着した。
まず、IREとしてGe(屈折率:4.0)を用い、入射角70°の条件で測定を行った(シリコーンゴム層(屈折率:1.4)への波数3000cm−1の光の染み込み深さ:0.152μm)。測定により得られた3055cm−1付近のビニル基のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収強度(a)と、2963cm−1付近のSi−CH3のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収強度(b)から、吸収強度の比(a/b)を求め、この値をcとした。なお、各吸収ピークの裾野部分で引いたベースラインからのピーク高さを吸収強度とした。次に、IREをZnSe(屈折率:2.4)に変更し、入射角45°の条件で測定を行った(シリコーンゴム層への波数3000cm−1の光の染み込み深さ:0.553μm)。測定により得られた3055cm−1付近のビニル基のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収強度(d)と、2963cm−1付近のSi−CH3のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収強度(e)から、吸収強度の比(d/e)を求め、この値をfとした。得られたcおよびfの値から、その比(f/c)を求めた。
(2)版表面からの紙粉脱離性の評価
まず、平版印刷版原版(表面積:100cm2)の重量を測定した。次に、版表面全体に、紙粉:“KCフロック(登録商標)”W−100(日本製紙ケミカル(株)製)を接触させ、1kgのおもりを乗せて24時間静置した。おもりを外し、版表面全体に圧縮空気を吹き付けた後に重量を測定し、紙粉付着前との重量差を求めた。紙粉付着前からの重量増加が0〜5mgの場合は◎、6〜10mgの場合は○、11〜20mgの場合は○△、21〜30mgの場合は△、31〜40mgの場合は△×、41mg以上の場合は×と評価した。
まず、平版印刷版原版(表面積:100cm2)の重量を測定した。次に、版表面全体に、紙粉:“KCフロック(登録商標)”W−100(日本製紙ケミカル(株)製)を接触させ、1kgのおもりを乗せて24時間静置した。おもりを外し、版表面全体に圧縮空気を吹き付けた後に重量を測定し、紙粉付着前との重量差を求めた。紙粉付着前からの重量増加が0〜5mgの場合は◎、6〜10mgの場合は○、11〜20mgの場合は○△、21〜30mgの場合は△、31〜40mgの場合は△×、41mg以上の場合は×と評価した。
(3)インキ反発性の評価
インキ着肉部作製のため、シリコーンゴム層の一部にサーキットテープ((株)寺岡製作所製)を貼り付けた平版印刷版原版を、印刷機:“OLIVER”466SD((株)桜井グラフィックシステムズ製)に装着し、インキ:“アルポGT”墨LL−SOYA((株)T&K TOKA製)を用いて、印刷速度:5000枚/時、ベタ部反射濃度:2.1〜2.2の条件で、版面温度のみ26℃、28℃、30℃、32℃、34℃に変更してコート紙:OKトップコート+(王子製紙(株)製)への印刷を行った。得られた印刷物の非画線部を目視観察し、34℃でも地汚れが認められない場合は◎、34℃で地汚れが認められる場合は○、32℃で地汚れが認められる場合は○△、30℃で地汚れが認められる場合は△、28℃で地汚れが認められる場合は△×、26℃でも地汚れが認められる場合は×と評価した。
インキ着肉部作製のため、シリコーンゴム層の一部にサーキットテープ((株)寺岡製作所製)を貼り付けた平版印刷版原版を、印刷機:“OLIVER”466SD((株)桜井グラフィックシステムズ製)に装着し、インキ:“アルポGT”墨LL−SOYA((株)T&K TOKA製)を用いて、印刷速度:5000枚/時、ベタ部反射濃度:2.1〜2.2の条件で、版面温度のみ26℃、28℃、30℃、32℃、34℃に変更してコート紙:OKトップコート+(王子製紙(株)製)への印刷を行った。得られた印刷物の非画線部を目視観察し、34℃でも地汚れが認められない場合は◎、34℃で地汚れが認められる場合は○、32℃で地汚れが認められる場合は○△、30℃で地汚れが認められる場合は△、28℃で地汚れが認められる場合は△×、26℃でも地汚れが認められる場合は×と評価した。
(4)画像再現性の評価
平版印刷版原版をレーザー露光機:“PlateRite”8800E(大日本スクリーン製造(株)製)に装着し、露光量:150mJ/cm2の条件で0.5〜4%の網点画像(AM175線(2400dpi))を露光し、以下現像条件で現像を行った。
平版印刷版原版をレーザー露光機:“PlateRite”8800E(大日本スクリーン製造(株)製)に装着し、露光量:150mJ/cm2の条件で0.5〜4%の網点画像(AM175線(2400dpi))を露光し、以下現像条件で現像を行った。
<現像条件>
自動現像機:TWL−1160GII(東レ(株)製)
現像液:水道水(液温:35℃)
水洗:水道水
現像速度:60cm/min
得られた平版印刷版の画像再現性を光学顕微鏡(対物レンズ:10〜50倍、接眼レンズ:10倍)で観察し、0.5%網点を9割以上再現する場合は◎、1%網点を9割以上再現する場合は○、2%網点を9割以上再現する場合は○△、3%網点を9割以上再現する場合は△、4%網点を9割以上再現する場合は△×、4%網点の再現が9割未満の場合は×と評価した。また、本来残存すべき未露光部分のシリコーンゴム層の大部分が現像によって剥がれた場合には×(S)と評価した。
自動現像機:TWL−1160GII(東レ(株)製)
現像液:水道水(液温:35℃)
水洗:水道水
現像速度:60cm/min
得られた平版印刷版の画像再現性を光学顕微鏡(対物レンズ:10〜50倍、接眼レンズ:10倍)で観察し、0.5%網点を9割以上再現する場合は◎、1%網点を9割以上再現する場合は○、2%網点を9割以上再現する場合は○△、3%網点を9割以上再現する場合は△、4%網点を9割以上再現する場合は△×、4%網点の再現が9割未満の場合は×と評価した。また、本来残存すべき未露光部分のシリコーンゴム層の大部分が現像によって剥がれた場合には×(S)と評価した。
(5)シリコーンゴムシートの硬さ測定
<シリコーンゴムシートの作製>
各シリコーンゴム層組成物溶液のうち、溶剤および触媒以外の各成分をポリプロピレン製ディスポカップに投入し、成分が均一になるまで混合したのち、触媒を添加し、成分が均一になるまで更に混合した。得られた混合液:85gをPFAシャーレ(アズワン製、型番:100型(身の直径:10cm、身の高さ:1.5cm、容積:117.8cm3))に移した(ここまでの操作は窒素雰囲気のグローブボックス内で行った)のち、シャーレを真空定温乾燥器:DP22(ヤマト科学(株)製)にセットし、液中の気泡を減圧脱泡した。乾燥器内を常圧に戻したのち、乾燥器内温度を室温から150℃まで徐々に昇温(1℃/分)し、150℃に到達後5時間保持した。加熱を止め、乾燥器内温度が35℃以下になるまで徐々に冷却した。乾燥器から取り出したシャーレを温度23℃、湿度50%の環境下で3日間保管したのち、シャーレから取り外すことで各シリコーンゴム層組成に準じたシリコーンゴムシートを得た。
<シリコーンゴムシートの作製>
各シリコーンゴム層組成物溶液のうち、溶剤および触媒以外の各成分をポリプロピレン製ディスポカップに投入し、成分が均一になるまで混合したのち、触媒を添加し、成分が均一になるまで更に混合した。得られた混合液:85gをPFAシャーレ(アズワン製、型番:100型(身の直径:10cm、身の高さ:1.5cm、容積:117.8cm3))に移した(ここまでの操作は窒素雰囲気のグローブボックス内で行った)のち、シャーレを真空定温乾燥器:DP22(ヤマト科学(株)製)にセットし、液中の気泡を減圧脱泡した。乾燥器内を常圧に戻したのち、乾燥器内温度を室温から150℃まで徐々に昇温(1℃/分)し、150℃に到達後5時間保持した。加熱を止め、乾燥器内温度が35℃以下になるまで徐々に冷却した。乾燥器から取り出したシャーレを温度23℃、湿度50%の環境下で3日間保管したのち、シャーレから取り外すことで各シリコーンゴム層組成に準じたシリコーンゴムシートを得た。
<シリコーンゴムシートの厚さ測定>
定圧厚さ測定器:PG−20((株)テクロック製)を用いて測定した。
定圧厚さ測定器:PG−20((株)テクロック製)を用いて測定した。
<シリコーンゴムシートの硬さ測定>
JIS K 6253−3(2012)に準じた方法でシリコーンゴムシートのデュロメータ硬さを測定した。測定は温度:23℃、湿度:50%の環境下で実施し、測定値は6mm以上の間隔を空けて測定した5箇所の測定値の中央値とした。なお、測定には以下の機器を使用した。
JIS K 6253−3(2012)に準じた方法でシリコーンゴムシートのデュロメータ硬さを測定した。測定は温度:23℃、湿度:50%の環境下で実施し、測定値は6mm以上の間隔を空けて測定した5箇所の測定値の中央値とした。なお、測定には以下の機器を使用した。
デュロメータ:GS−719R((株)テクロック製、タイプA)
測定スタンド:GS−610((株)テクロック製)
(実施例1)
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に、下記の断熱層組成物溶液を塗布し、200℃で90秒間乾燥し、膜重量10g/m2の断熱層を設けた。
測定スタンド:GS−610((株)テクロック製)
(実施例1)
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に、下記の断熱層組成物溶液を塗布し、200℃で90秒間乾燥し、膜重量10g/m2の断熱層を設けた。
<断熱層組成物溶液>
容器中に下記(a)成分を投入し、スリーワンモーターにて攪拌しながら(b)、(c)、(d)、(e)成分を順次ゆっくりと投入し、成分が均一になるまで攪拌混合した。得られた混合液中に(f)、(g)成分を投入して10分間攪拌混合することで断熱層組成物溶液を得た。
(a)酸化チタン分散液:“タイペーク”(登録商標)CR−50(石原産業(株)製)のN,N−ジメチルホルムアミド分散液(酸化チタン50重量%):60重量部
(b)エポキシ樹脂:“JER”(登録商標)1010(三菱化学(株)製):35重量部
(c)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、固形分濃度:20重量%):375重量部
(d)N,N−ジメチルホルムアミド:730重量部
(e)メチルエチルケトン:250重量部
(f)アルミキレート:“アルミキレート”ALCH−TR(川研ファインケミカル(株)製):10重量部
(g)レベリング剤:“ディスパロン”(登録商標)LC951(楠本化成(株)製、固形分:10重量%):1重量部
<酸化チタン分散液の作製>
ジルコニアビーズ:“YTZ”(登録商標)ボール(φ1mm、(株)ニッカトー製)1600.0gを充填した密閉可能なガラス製規格瓶中に、N,N−ジメチルホルムアミド:700.0g、“JER”(登録商標)1010(三菱化学(株)製):37.5g、“タイペーク”(登録商標)CR−50(石原産業(株)製):262.5.0gを投入し、密閉後、小型ボールミル回転架台(アズワン(株)製)にセットし、0.4m/秒の回転速度で7日間分散することで、酸化チタン分散液を得た。
容器中に下記(a)成分を投入し、スリーワンモーターにて攪拌しながら(b)、(c)、(d)、(e)成分を順次ゆっくりと投入し、成分が均一になるまで攪拌混合した。得られた混合液中に(f)、(g)成分を投入して10分間攪拌混合することで断熱層組成物溶液を得た。
(a)酸化チタン分散液:“タイペーク”(登録商標)CR−50(石原産業(株)製)のN,N−ジメチルホルムアミド分散液(酸化チタン50重量%):60重量部
(b)エポキシ樹脂:“JER”(登録商標)1010(三菱化学(株)製):35重量部
(c)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、固形分濃度:20重量%):375重量部
(d)N,N−ジメチルホルムアミド:730重量部
(e)メチルエチルケトン:250重量部
(f)アルミキレート:“アルミキレート”ALCH−TR(川研ファインケミカル(株)製):10重量部
(g)レベリング剤:“ディスパロン”(登録商標)LC951(楠本化成(株)製、固形分:10重量%):1重量部
<酸化チタン分散液の作製>
ジルコニアビーズ:“YTZ”(登録商標)ボール(φ1mm、(株)ニッカトー製)1600.0gを充填した密閉可能なガラス製規格瓶中に、N,N−ジメチルホルムアミド:700.0g、“JER”(登録商標)1010(三菱化学(株)製):37.5g、“タイペーク”(登録商標)CR−50(石原産業(株)製):262.5.0gを投入し、密閉後、小型ボールミル回転架台(アズワン(株)製)にセットし、0.4m/秒の回転速度で7日間分散することで、酸化チタン分散液を得た。
次いで、下記の熱膨張型感熱層組成物溶液を前記断熱層上に塗布し、120℃で30秒間加熱し、膜重量1.4g/m2の熱膨張型感熱層を設けた。なお、熱膨張型感熱層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<熱膨張型感熱層組成物溶液>
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR50716(住友ベークライト(株)製、重量平均分子量:約3500):100重量部
(b)ポリウレタン溶液:“サンプレン”(登録商標)LQ−X5(三洋化成工業(株)製、50モル%以上が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:185℃、固形分濃度:30重量%):56重量部
(c)赤外線吸収染料:“PROJET”825LDI((株)Avecia製):15重量部
(d)チタニウムジ−n−ブトキシビス(アセチルアセトネート)溶液:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、固形分濃度:73重量%):12重量部
(e)テトラヒドロフラン(沸点:66℃):620重量部
(f)メチルエチルケトン(沸点:79℃):51重量部
(g)エタノール(沸点:78℃):129重量部
(h)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)M(エクソンモービルケミカル社製、沸点:223〜254℃、溶解度パラメーター:14.7(MPa)1/2):17重量部
上記熱膨張型感熱層を設けた試料を用いて、光学顕微鏡:“ECLIPSE”L200((株)ニコン製)により相分離構造の有無を観察したところ、ポリウレタンを相対的に少なく含むマトリックス相の中に、ポリウレタンを相対的に多く含む相が網目状に分布した相分離構造が確認された。
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR50716(住友ベークライト(株)製、重量平均分子量:約3500):100重量部
(b)ポリウレタン溶液:“サンプレン”(登録商標)LQ−X5(三洋化成工業(株)製、50モル%以上が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:185℃、固形分濃度:30重量%):56重量部
(c)赤外線吸収染料:“PROJET”825LDI((株)Avecia製):15重量部
(d)チタニウムジ−n−ブトキシビス(アセチルアセトネート)溶液:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、固形分濃度:73重量%):12重量部
(e)テトラヒドロフラン(沸点:66℃):620重量部
(f)メチルエチルケトン(沸点:79℃):51重量部
(g)エタノール(沸点:78℃):129重量部
(h)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)M(エクソンモービルケミカル社製、沸点:223〜254℃、溶解度パラメーター:14.7(MPa)1/2):17重量部
上記熱膨張型感熱層を設けた試料を用いて、光学顕微鏡:“ECLIPSE”L200((株)ニコン製)により相分離構造の有無を観察したところ、ポリウレタンを相対的に少なく含むマトリックス相の中に、ポリウレタンを相対的に多く含む相が網目状に分布した相分離構造が確認された。
次いで、下記の第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を前記熱膨張型感熱層上に塗布し、135℃で80秒間加熱し、膜重量1.91g/m2(膜厚1.95μm)の第1のシリコーンゴム層を設けた。
<第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1>
容器中に下記(a)、(b)成分を投入し、成分が均一になるまで攪拌混合した。得られた溶液を乾燥窒素で20分間バブリングすることで溶液中の水分を除去した。得られた溶液中に(c)成分を投入して10分間攪拌混合し、(d)成分を投入して10分間攪拌混合し、更に(e)成分を投入して10分間攪拌混合した。塗布直前に(f)成分を投入し攪拌混合することで第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を得た。
(a)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)E(エクソンモービルケミカル社製):8923.3重量部
(b)両末端ジメチルビニルシロキシ−ポリジメチルシロキサン:“TF”−22(東レ・ダウコーニング(株)製、重量平均分子量:100000、ビニル基当量:50000、1分子中のビニル基数:2.0個):903.8重量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシミノ)シラン:30.0重量部
(d)白金触媒:XC94−C4326(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、シリコーンオイル:不含):40.0重量部
(e)両末端トリメチルシロキシ−ポリメチルハイドロシロキサン:“HMS”−993(ゲレスト社製、重量平均分子量:2250、SiH基当量:64、1分子中のSiH基数:35.2個):36.2重量部
(f)下記顔料分散液:66.7重量部
<顔料分散液の作製>
ジルコニアビーズ:“YTZ”(登録商標)ボール(φ0.6mm、(株)ニッカトー製)2000gを充填した密閉可能なガラス製規格瓶中に、“アイソパー”(登録商標)G(エクソンモービルケミカル社製):275g、“プレンアクト”(登録商標)KR−TTS(味の素ファインテクノ(株)製):75g、N650紺青(大日精化(株)製):150gを投入し、密閉後、小型ボールミル回転架台(アズワン(株)製)にセットし、0.4m/秒の回転速度で14日間分散することで、顔料分散液を得た。
容器中に下記(a)、(b)成分を投入し、成分が均一になるまで攪拌混合した。得られた溶液を乾燥窒素で20分間バブリングすることで溶液中の水分を除去した。得られた溶液中に(c)成分を投入して10分間攪拌混合し、(d)成分を投入して10分間攪拌混合し、更に(e)成分を投入して10分間攪拌混合した。塗布直前に(f)成分を投入し攪拌混合することで第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を得た。
(a)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)E(エクソンモービルケミカル社製):8923.3重量部
(b)両末端ジメチルビニルシロキシ−ポリジメチルシロキサン:“TF”−22(東レ・ダウコーニング(株)製、重量平均分子量:100000、ビニル基当量:50000、1分子中のビニル基数:2.0個):903.8重量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシミノ)シラン:30.0重量部
(d)白金触媒:XC94−C4326(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、シリコーンオイル:不含):40.0重量部
(e)両末端トリメチルシロキシ−ポリメチルハイドロシロキサン:“HMS”−993(ゲレスト社製、重量平均分子量:2250、SiH基当量:64、1分子中のSiH基数:35.2個):36.2重量部
(f)下記顔料分散液:66.7重量部
<顔料分散液の作製>
ジルコニアビーズ:“YTZ”(登録商標)ボール(φ0.6mm、(株)ニッカトー製)2000gを充填した密閉可能なガラス製規格瓶中に、“アイソパー”(登録商標)G(エクソンモービルケミカル社製):275g、“プレンアクト”(登録商標)KR−TTS(味の素ファインテクノ(株)製):75g、N650紺青(大日精化(株)製):150gを投入し、密閉後、小型ボールミル回転架台(アズワン(株)製)にセットし、0.4m/秒の回転速度で14日間分散することで、顔料分散液を得た。
次いで、下記の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を前記第1のシリコーンゴム層上に塗布し、135℃で80秒間加熱し、膜重量0.05g/m2(膜厚0.05μm)の第2のシリコーンゴム層を設けることで、平版印刷版原版を得た。
<第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1>
容器中に下記(a)、(b)成分を投入し、成分が均一になるまで攪拌混合した。得られた溶液を乾燥窒素で20分間バブリングすることで溶液中の水分を除去した。得られた溶液中に(c)成分を投入して5分間攪拌混合し、更に(d)成分を投入して5分間攪拌混合し、最後に(e)成分を投入して5分間攪拌混合することで第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を得た。
(a)イソパラフィン:“マルカゾール”8(丸善石油化学(株)製、2,2,4−トリメチルペンタンを主成分とする沸点範囲96〜104℃のイソパラフィン系溶剤):48780.0重量部
(b)両末端トリメチルシロキシ−ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:“VDT”−954(ゲレスト社製、重量平均分子量:226000、ビニル基当量:629、1分子中のビニル基数:359個):964.0重量部
(c)反応遅延剤:2−メチル−3−ブチン−2−オール:20.0重量部
(d)白金触媒:XC94−C4326:200.0重量部
(e)両末端トリメチルシロキシ−メチルハイドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:“HMS”−501(ゲレスト社製、重量平均分子量:1050、SiH基当量:135、1分子中のSiH基数:7.8個):36.0重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
容器中に下記(a)、(b)成分を投入し、成分が均一になるまで攪拌混合した。得られた溶液を乾燥窒素で20分間バブリングすることで溶液中の水分を除去した。得られた溶液中に(c)成分を投入して5分間攪拌混合し、更に(d)成分を投入して5分間攪拌混合し、最後に(e)成分を投入して5分間攪拌混合することで第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を得た。
(a)イソパラフィン:“マルカゾール”8(丸善石油化学(株)製、2,2,4−トリメチルペンタンを主成分とする沸点範囲96〜104℃のイソパラフィン系溶剤):48780.0重量部
(b)両末端トリメチルシロキシ−ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:“VDT”−954(ゲレスト社製、重量平均分子量:226000、ビニル基当量:629、1分子中のビニル基数:359個):964.0重量部
(c)反応遅延剤:2−メチル−3−ブチン−2−オール:20.0重量部
(d)白金触媒:XC94−C4326:200.0重量部
(e)両末端トリメチルシロキシ−メチルハイドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:“HMS”−501(ゲレスト社製、重量平均分子量:1050、SiH基当量:135、1分子中のSiH基数:7.8個):36.0重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0138、f=0.0038、f/c=0.27であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は5.5mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
第1のシリコーンゴム層組成に準じて作製したシリコーンゴムシートの厚さは11mmであり、硬さはA8であった。
第2のシリコーンゴム層組成に準じて作製したシリコーンゴムシートの厚さは11mmであり、硬さはA49であった。
(実施例2)
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.86g/m2(膜厚1.90μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.10g/m2(膜厚0.10μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.86g/m2(膜厚1.90μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.10g/m2(膜厚0.10μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0275、f=0.0076、f/c=0.27であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は2.5mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
(実施例3)
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.81g/m2(膜厚1.85μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.15g/m2(膜厚0.15μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.81g/m2(膜厚1.85μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.15g/m2(膜厚0.15μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0413、f=0.0114、f/c=0.27であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.8mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
(実施例4)
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.76g/m2(膜厚1.80μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.20g/m2(膜厚0.20μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.76g/m2(膜厚1.80μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.20g/m2(膜厚0.20μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0419、f=0.0151、f/c=0.36であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.7mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
(実施例5)
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.67g/m2(膜厚1.70μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.29g/m2(膜厚0.30μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.67g/m2(膜厚1.70μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.29g/m2(膜厚0.30μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0419、f=0.0227、f/c=0.54であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.6mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
(実施例6)
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.57g/m2(膜厚1.60μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.39g/m2(膜厚0.40μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.57g/m2(膜厚1.60μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.39g/m2(膜厚0.40μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0419、f=0.0303、f/c=0.72であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.6mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、1%網点を9割以上再現していた。
(実施例7)
第1のシリコーンゴム層の膜重量を0.98g/m2(膜厚1.00μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.98g/m2(膜厚1.00μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層の膜重量を0.98g/m2(膜厚1.00μm)に、第2のシリコーンゴム層の膜重量を0.98g/m2(膜厚1.00μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた水なし平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0419、f=0.0419、f/c=1.00であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.6mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、3%網点を9割以上再現していた。
(実施例8)
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−2に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−2に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
<第2のシリコーンゴム層組成物溶液−2>
(a)“マルカゾール”8:48780.0重量部
(b)“VDT”−954:946.0重量部
(c)2−メチル−3−ブチン−2−オール:20.0重量部
(d)XC94−C4326:200.0重量部
(e)“HMS”−501:54.0重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.50モル/kg、SiH基濃度(b)は0.40モル/kg、濃度比(b/a)は0.27である。
(a)“マルカゾール”8:48780.0重量部
(b)“VDT”−954:946.0重量部
(c)2−メチル−3−ブチン−2−オール:20.0重量部
(d)XC94−C4326:200.0重量部
(e)“HMS”−501:54.0重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.50モル/kg、SiH基濃度(b)は0.40モル/kg、濃度比(b/a)は0.27である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0120、f=0.0033、f/c=0.27であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.6mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃で地汚れが認められた。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
第2のシリコーンゴム層組成に準じて作製したシリコーンゴムシートの厚さは11mmであり、硬さはA65であった。
(実施例9)
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、上記第2のシリコーンゴム層組成物溶液−2に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、上記第2のシリコーンゴム層組成物溶液−2に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.50モル/kg、SiH基濃度(b)は0.40モル/kg、濃度比(b/a)は0.27である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0360、f=0.0099、f/c=0.27であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.4mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃で地汚れが認められた。
画像再現性の評価において、1%網点を9割以上再現していた。
(実施例10)
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−3に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−3に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
<第2のシリコーンゴム層組成物溶液−3>
(a)“マルカゾール”8:48780.0重量部
(b)“VDT”−954:973.0重量部
(c)2−メチル−3−ブチン−2−オール:20.0重量部
(d)XC94−C4326:200.0重量部
(e)“HMS”−501:27.0重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.55モル/kg、SiH基濃度(b)は0.20モル/kg、濃度比(b/a)は0.13である。
(a)“マルカゾール”8:48780.0重量部
(b)“VDT”−954:973.0重量部
(c)2−メチル−3−ブチン−2−オール:20.0重量部
(d)XC94−C4326:200.0重量部
(e)“HMS”−501:27.0重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.55モル/kg、SiH基濃度(b)は0.20モル/kg、濃度比(b/a)は0.13である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0440、f=0.0121、f/c=0.27であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は5.5mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
第2のシリコーンゴム層組成に準じて作製したシリコーンゴムシートの厚さは11mmであり、硬さはA29であった。
(実施例11)
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、上記第2のシリコーンゴム層組成物溶液−3に変更したこと以外は実施例6と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、上記第2のシリコーンゴム層組成物溶液−3に変更したこと以外は実施例6と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.55モル/kg、SiH基濃度(b)は0.20モル/kg、濃度比(b/a)は0.13である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0446、f=0.0322、f/c=0.72であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.8mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
(実施例12)
第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第1のシリコーンゴム層組成物溶液−2に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第1のシリコーンゴム層組成物溶液−2に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
<第1のシリコーンゴム層組成物溶液−2>
(a)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)E(エクソンモービルケミカル社製):8923.3重量部
(b)両末端ジメチルビニルシロキシ−ポリジメチルシロキサン:“DMS”−V41(ゲレスト社製、重量平均分子量:62700、ビニル基当量:31350、1分子中のビニル基数:2.0個):909.0重量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシミノ)シラン:30.0重量部
(d)XC94−C4326:40.0重量部
(e)“HMS”−993:31.0重量部
(f)前記顔料分散液:66.7重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
(a)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)E(エクソンモービルケミカル社製):8923.3重量部
(b)両末端ジメチルビニルシロキシ−ポリジメチルシロキサン:“DMS”−V41(ゲレスト社製、重量平均分子量:62700、ビニル基当量:31350、1分子中のビニル基数:2.0個):909.0重量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシミノ)シラン:30.0重量部
(d)XC94−C4326:40.0重量部
(e)“HMS”−993:31.0重量部
(f)前記顔料分散液:66.7重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0413、f=0.0114、f/c=0.27であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.5mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
第1のシリコーンゴム層組成に準じて作製したシリコーンゴムシートの厚さは11mmであり、硬さはA12であった。
(実施例13)
第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第1のシリコーンゴム層組成物溶液−3に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第1のシリコーンゴム層組成物溶液−3に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
<第1のシリコーンゴム層組成物溶液−3>
(a)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)E(エクソンモービルケミカル社製):8923.3重量部
(b)両末端ジメチルビニルシロキシ−ポリジメチルシロキサン:“DMS”−V52(ゲレスト社製、重量平均分子量:155000、ビニル基当量:77500、1分子中のビニル基数:2.0個):909.2重量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシミノ)シラン:30.0重量部
(d)XC94−C4326:40.0重量部
(e)“HMS”−993:30.8重量部
(f)前記顔料分散液:66.7重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
(a)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)E(エクソンモービルケミカル社製):8923.3重量部
(b)両末端ジメチルビニルシロキシ−ポリジメチルシロキサン:“DMS”−V52(ゲレスト社製、重量平均分子量:155000、ビニル基当量:77500、1分子中のビニル基数:2.0個):909.2重量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシミノ)シラン:30.0重量部
(d)XC94−C4326:40.0重量部
(e)“HMS”−993:30.8重量部
(f)前記顔料分散液:66.7重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0413、f=0.0114、f/c=0.27であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は5.1mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
第1のシリコーンゴム層組成に準じて作製したシリコーンゴムシートの厚さは11mmであり、硬さはA3であった。
(実施例14)
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−4に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−4に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
<第2のシリコーンゴム層組成物溶液−4>
(a)“マルカゾール”8:48780.0重量部
(b)両末端トリメチルシロキシ−ポリメチルビニルシロキサン:“VMS”−T11(ゲレスト社製、重量平均分子量:1250、ビニル基当量:99、1分子中のビニル基数:12.7個):26.5重量部
(c)2−メチル−3−ブチン−2−オール:20.0重量部
(d)XC94−C4326:200.0重量部
(e)両末端トリメチルシロキシ−メチルハイドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:“HMS”−082(ゲレスト社製、重量平均分子量:6000、SiH基当量:925、1分子中のSiH基数:6.5個):973.5重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は0.27モル/kg、SiH基濃度(b)は1.05モル/kg、濃度比(b/a)は3.92である。
(a)“マルカゾール”8:48780.0重量部
(b)両末端トリメチルシロキシ−ポリメチルビニルシロキサン:“VMS”−T11(ゲレスト社製、重量平均分子量:1250、ビニル基当量:99、1分子中のビニル基数:12.7個):26.5重量部
(c)2−メチル−3−ブチン−2−オール:20.0重量部
(d)XC94−C4326:200.0重量部
(e)両末端トリメチルシロキシ−メチルハイドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:“HMS”−082(ゲレスト社製、重量平均分子量:6000、SiH基当量:925、1分子中のSiH基数:6.5個):973.5重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は0.27モル/kg、SiH基濃度(b)は1.05モル/kg、濃度比(b/a)は3.92である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、IREとしてGeを用いた場合にも、ZnSeを用いた場合にも、3055cm−1付近のビニル基のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収が検出されなかった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.8mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が32℃で地汚れが認められた。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
第2のシリコーンゴム層組成に準じて作製したシリコーンゴムシートの厚さは11mmであり、硬さはA54であった。
(比較例1)
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.96g/m2(膜厚2.00μm)に変更し、第2のシリコーンゴム層を設けなかったこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層の膜重量を1.96g/m2(膜厚2.00μm)に変更し、第2のシリコーンゴム層を設けなかったこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第1のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は0.11モル/kg、SiH基濃度(b)は0.56モル/kg、濃度比(b/a)は4.96である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、IREとしてGeを用いた場合にも、ZnSeを用いた場合にも、3055cm−1付近のビニル基のC−H伸縮振動に由来する特性吸収帯の吸収が検出されなかった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は79.2mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃で地汚れが認められた。
画像再現性の評価において、0.5%網点を9割以上再現していた。
(比較例2)
熱膨張型感熱層を設けた後、第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を塗布することなく、直ちに第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を塗布し、135℃で80秒間加熱することによって膜重量:1.96g/m2(膜厚2.00μm)の第2のシリコーンゴム層を設けたこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
熱膨張型感熱層を設けた後、第1のシリコーンゴム層組成物溶液−1を塗布することなく、直ちに第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を塗布し、135℃で80秒間加熱することによって膜重量:1.96g/m2(膜厚2.00μm)の第2のシリコーンゴム層を設けたこと以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0419、f=0.0419、f/c=1.00であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.5mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、本来残存すべき未露光部分のシリコーンゴム層が全面で剥がれ、評価できなかった。
(比較例3)
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−5に変更したこと以外は比較例2と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
第2のシリコーンゴム層組成物溶液−1を、以下に記載の第2のシリコーンゴム層組成物溶液−5に変更したこと以外は比較例2と同様の方法で平版印刷版原版を得た。
<第2のシリコーンゴム層組成物溶液−5>
(a)“マルカゾール”8:48800.0重量部
(b)“VDT”−954:935.1重量部
(c)フェニルトリス(メチルエチルケトオキシミノ)シラン:30.0重量部
(d)XC94−C4326:200.0重量部
(e)“HMS”−501:34.9重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
(a)“マルカゾール”8:48800.0重量部
(b)“VDT”−954:935.1重量部
(c)フェニルトリス(メチルエチルケトオキシミノ)シラン:30.0重量部
(d)XC94−C4326:200.0重量部
(e)“HMS”−501:34.9重量部
第2のシリコーンゴム層組成物液中のビニル基濃度(a)は1.53モル/kg、SiH基濃度(b)は0.27モル/kg、濃度比(b/a)は0.17である。
得られた平版印刷版原版のATR法による測定において、c=0.0419、f=0.0419、f/c=1.00であった。
版表面からの紙粉脱離性の評価において、紙粉付着前からの重量増加は1.5mgであった。
インキ反発性の評価において、版面温度が34℃でも地汚れが認められなかった。
画像再現性の評価において、4%網点の再現が9割未満であった。
第2のシリコーンゴム層組成に準じて作製したシリコーンゴムシートの厚さは11mmであり、硬さはA50であった。
実施例1〜14および比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
本発明の印刷版原版は、一般的な印刷分野(商業印刷、新聞印刷、フィルムや樹脂板、または金属などの非吸収体への印刷)に利用できる。また、PDPやLCDなどのディスプレイ分野、さらには、配線パターンなどの作製を印刷法で行うプリンタブルエレクトロニクス分野にも応用できる。
Claims (5)
- 基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版であって、該シリコーンゴム層が硬さの異なる2層以上の層からなることを特徴とする印刷版原版。
- 基板上に少なくとも感光層または感熱層と、シリコーンゴム層をこの順に有する印刷版原版であって、該シリコーンゴム層が、表層から基板側に硬さが傾斜的に低下する層を少なくとも1層有することを特徴とする印刷版原版。
- 前記シリコーンゴム層の総厚みが1〜10μmであり、その最表面から深さ方向に0.4μmまでの硬さが、最表面から深さ方向に0.6μmから1.0μmまでの硬さより硬いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷版原版。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷版原版を用いて印刷版を製造することを特徴とする印刷版の製造方法。
- 前記印刷版が水なし印刷用の印刷版であることを特徴とする請求項4に記載の印刷版の製造方法。
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JP2013255698A JP2015114447A (ja) | 2013-12-11 | 2013-12-11 | 印刷版原版および印刷版の製造方法 |
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WO2019203261A1 (ja) * | 2018-04-19 | 2019-10-24 | 東レ株式会社 | インキ着肉層形成用組成物、印刷版、およびそれを用いた印刷物の製造方法 |
-
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