JP2015113878A - 等速ジョイント用ブーツ - Google Patents
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Abstract
【課題】等速ジョイント作動時におけるブーツの蛇腹部からの擦過音の発生を抑制可能な等速ジョイント用ブーツを提供する。【解決手段】大径部材20の端部に固定される大径取付部72、前記大径取付部より小径の軸部材60に固定される小径取付部73、および前記大径取付部と前記小径取付部との間で山部と谷部とを交互に連続して形成された蛇腹部71を備える等速ジョイント用ブーツ70であって、前記蛇腹部は、大径側蛇腹部74を備え、当該大径側蛇腹部は、ジョイント角0?のときの前記蛇腹部の中心線方向中央より前記大径取付部側の範囲において連続する複数の山部であって、それぞれの外径を第一直径D1で形成される複数の第一山部74a〜74cを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、等速ジョイント用ブーツに関する。
従来、二部材間に装着され二部材の相対移動に追従した動作を可能とする、特許文献1および特許文献2に示されるようなブーツがある。ところで、近年、そのようなブーツのうち等速ジョイント用ブーツには、小型化の要請があり、小型化を実現させるため例えばブーツの全長を短くする必要がある。この場合、等速ジョイントの大きな作動角を満足させるため、ブーツには、短い全長のなかで多くの山部と谷部とを連続して形成しなければならない。これにより、等速ジョイントが屈曲され大きな作動角度で作動されたとき、屈曲部分の外側では、山部と谷部が伸長し、必要な長さを確保することができる。なお、このような等速ジョイント用ブーツは、通常、大径部材と小径部材とを接続するために、大径部材側から小径部材側に向かって山部の外径が徐々に縮径されて形成されている。
しかしながら、上記で説明した小型化された等速ジョイント用ブーツは多くの山部と谷部とを連続して有している。このため、等速ジョイントが屈曲され大きな作動角度で作動されたときの屈曲部分の内側の縮み部では、蛇腹が折り重なって収縮し、隣接し向かい合う、山部の外周面同士が全面で接触する場合がある。このとき、隣り合う各山部は、外径が異なっているので、等速ジョイントの作動に伴って回転される際の各山部での周速が異なる。これにより、各山部の外周面同士が接触すると、当該周速差によって各外周面、特に各山部近傍の外周面間ですべりが生じ擦過音が発生する虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、等速ジョイント作動時におけるブーツの蛇腹部からの擦過音の発生を抑制可能な等速ジョイント用ブーツを提供することを目的とする。
(請求項1)本発明の等速ジョイント用ブーツは、大径部材の端部に固定される大径取付部、前記大径取付部より小径の軸部材に固定される小径取付部、および前記大径取付部と前記小径取付部との間で山部と谷部とを交互に連続して形成された蛇腹部、を備える等速ジョイント用ブーツであって、前記蛇腹部は、大径側蛇腹部を備え、当該大径側蛇腹部は、ジョイント角0°のときの前記蛇腹部の中心線方向中央より前記大径取付部側の範囲において連続する複数の山部であって、それぞれの外径を第一直径で形成される複数の第一山部を備える。
これにより、等速ジョイントが屈曲された状態で回転した場合、等速ジョイントの屈曲の内側で蛇腹部が特に強く収縮する大径取付部の近傍の大径側蛇腹部においては、外径が同一である隣り合う第一山部の外周面同士が接触し、重なり合った状態となる。しかし、外径が同一である、相互に接触する第一山部の外周面同士は、同じ周速で回転しているので、お互いの間において相対変位は生じず、すべりによる擦過音の発生を防止できる。
(請求項2)また、隣接する2つの前記第一山部のうち互いに向かい合う山部の外周面同士は、前記蛇腹部が縮んだ場合に接触することとしてもよい。特に、この場合に、請求項1と同様の効果が得られる。
(請求項3)また、前記蛇腹部は、小径側蛇腹部を備え、当該小径側蛇腹部は、前記複数の第一山部より前記小径取付部側の範囲において連続する複数の山部であって、それぞれの外径を前記第一直径よりも小径の第二直径で形成される複数の第二山部を備えてもよい。
大径側の第一山部のみならず、小径側の第二山部の向かい合う外周面同士が接触し擦過音が発生する場合がある。この場合に、上記構成により、請求項1の効果と同様の効果によって、擦過音の発生を防止できる。
(請求項4)また、隣接する2つの前記第二山部のうち互いに向かい合う外周面同士は、前記蛇腹部が縮んだ場合に接触することとしてもよい。特に、この場合に、請求項3と同様の効果が得られる。
(請求項5)また、前記蛇腹部は、前記複数の第一山部のうち最も前記小径取付部側の第一山部と、前記複数の第二山部のうち最も前記大径取付部側の第二山部との間に、非蛇腹状筒部を備えてもよい。
非蛇腹状筒部は、蛇腹部と比べて、蛇腹部が縮んだ場合において変形しにくい。これにより、蛇腹部が縮んだ場合においては、非蛇腹状筒部によって、外径の異なる、最も小径取付部側の第一山部の外周面と、最も大径取付部側の第二山部の外周面と、が接触し合う強さを軽減できる。すなわち、蛇腹部が縮んだ場合における、最も小径取付部側の第一山部の外周面と、最も大径取付部側の第二山部の外周面と、の接触により発生する擦過音の大きさを好適に抑制することができる。
(請求項6)また、前記非蛇腹状筒部は、前記複数の第一山部同士が接触し、かつ、前記複数の第二山部同士が接触する場合に、前記複数の第一山部のうち最も前記小径取付部側の第一山部と前記複数の第二山部のうち最も前記大径取付部側の第二山部との間に空間を形成するようにしてもよい。
これにより、蛇腹部が縮んだ場合において、第一山部のうち最も小径取付部側の第一山部の外周面と、第二山部のうち最も大径取付部側の第二山部の外周面とは全く接触しないので、外径の異なる両外周面間での擦過音の発生を確実に防止することができる。
(請求項7)また、前記非蛇腹状筒部は、円筒状に形成されてもよい。これにより、非蛇腹状筒部の変形をより規制することができる。
<実施形態>
(等速ジョイント組立体の構成)
本実施形態の等速ジョイント組立体1について、図1、図2を参照して説明する。図1は、等速ジョイント組立体1を最大ジョイント角θとした状態の軸方向断面図である。図2は、図1のブーツの初期状態における軸方向断面図を示している。ここで、初期状態とは、ジョイント角0°の状態である。なお、ジョイント角とは、図1に示す外輪軸線C1と内輪軸線C2の相対角度である。最大ジョイント角とは、外輪の開口端部とシャフトの外周面が接触して、それ以上の角度を付加できないジョイント角である。通常、等速ジョイント10の作動においては、最大ジョイント角θを下回る角度で作動される。
(等速ジョイント組立体の構成)
本実施形態の等速ジョイント組立体1について、図1、図2を参照して説明する。図1は、等速ジョイント組立体1を最大ジョイント角θとした状態の軸方向断面図である。図2は、図1のブーツの初期状態における軸方向断面図を示している。ここで、初期状態とは、ジョイント角0°の状態である。なお、ジョイント角とは、図1に示す外輪軸線C1と内輪軸線C2の相対角度である。最大ジョイント角とは、外輪の開口端部とシャフトの外周面が接触して、それ以上の角度を付加できないジョイント角である。通常、等速ジョイント10の作動においては、最大ジョイント角θを下回る角度で作動される。
等速ジョイント組立体1は、例えば、車両の動力伝達シャフトに用いられる。等速ジョイント組立体1は、ディファレンシャル(図示せず)と車輪(図示せず)とを連結するドライブシャフトに好適に用いられる。
等速ジョイント組立体1は、図1に示すように、等速ジョイント10と、シャフト60(本発明の軸部材に相当する)と、等速ジョイント用ブーツ70(以下、ブーツと称する)と、大径ブーツバンド95と、小径ブーツバンド96とを備える。
等速ジョイント10は、図1においてはボール型等速ジョイントを例示するが、トリポード型等速ジョイントなどを適用することもできる。本実施形態の等速ジョイント10は、ジョイント中心Oを屈曲の中心として固定し、軸方向変位を許容しない固定式ボール型等速ジョイント(「ツェッパ型等速ジョイント」とも称する)である。なお、図1に示すようにジョイント中心Oは、外輪軸線C1と内輪軸線C2との交点である。
等速ジョイント10は、外輪20(本発明の大径部材に相当する)、内側部材としての内輪30と、トルク伝達部材としての複数のボール40と、保持器50とを備えて構成されている。なお、トリポード型等速ジョイントを適用する場合には、内側部材がトリポードとなり、トルク伝達部材がローラとなる。
シャフト60は、先端側(図1の右側)から順に、先端部61と、後部62とを有して構成される。先端部61は、内輪30の内周面とスプライン嵌合されている。後部62は、図1に示すように、外輪20に対してシャフト60が最大ジョイント角θで傾斜した際に、後部62の外周面と外輪20の開口端部25の面取部25aが接触する。また、後部62の図1における左側端部には、ブーツ70のシャフト側取付部73を押し付けられて、ブーツ70との間でシールされる環状溝62aが形成されている。
図2に示すように、ブーツ70は、全体形状としては、段つきの円筒状に形成され、外輪20とシャフト60との間を被覆する。ブーツ70は、樹脂製であり、蛇腹部71と、外輪側取付部72(本発明の大径取付部に相当する)と、シャフト側取付部73(本発明の小径取付部に相当する)と、を有する。
後に詳述するが、蛇腹部71は、図2に示すように、外輪側取付部72側に各山部が同一外径で形成された大径側蛇腹部74と、シャフト側取付部73側に各山部が大径側蛇腹部74より小径、かつ同一外径で形成された小径側蛇腹部75と、を有している。大径側蛇腹部74は、3つ(複数)の第一山部74a、74b、74cと、3つ(複数)の第一谷部74d、74e、74fと、を交互に備えている。小径側蛇腹部75は、3つ(複数)の第二山部75a、75b、75cと、2つ(複数)の第二谷部75d、75eと、を交互に備えている。また、大径側蛇腹部74と、小径側蛇腹部75との間には円筒状に形成された非蛇腹状筒部76を有している。
前述したように大径側蛇腹部74および小径側蛇腹部75は、いずれも山部と谷部とを交互に複数設けられブーツの70の中心線方向に伸縮自在であるとともに、ジョイント角θの変化に追従するように屈曲変形する。なお、ブーツ70の中心線方向とは、図2に示す初期状態におけるブーツ70の中心軸線方向をいい、内輪軸線C2に一致する。以降において、軸線方向とのみ説明した場合、ブーツ70の中心軸線(=内輪軸線C2)方向のことをいうものとする。
外輪側取付部72は、外輪20の外周面の端部に形成された環状溝24に取り付けられ、外周面を大径ブーツバンド95により径方向内方へ押し付けられることにより外輪20の外周面との間でシールする。シャフト側取付部73は、シャフト60の後部62の環状溝62aに取り付けられ、外周面を小径ブーツバンド96により径方向内方へ押し付けられることによりシャフト60の外周面との間でシールする。大径ブーツバンド95および小径ブーツバンド96は、例えばΩ形ブーツバンド、折返し式(ワンタッチ式)ブーツバンドなどが適用される。
(等速ジョイント10の作動時における蛇腹部71の変形状態の説明)
ここで、後の説明の為に必要となる、等速ジョイント10の作動時における蛇腹部71の変形状態について説明しておく。なお、前述したように、等速ジョイント10は、通常、図1に示す最大ジョイント角θを下回る所定のジョイント角で屈曲された状態で回転作動するが、今回、便宜的に最大ジョイント角θの状態を示す図1を参照しながら変形状態について説明する。
ここで、後の説明の為に必要となる、等速ジョイント10の作動時における蛇腹部71の変形状態について説明しておく。なお、前述したように、等速ジョイント10は、通常、図1に示す最大ジョイント角θを下回る所定のジョイント角で屈曲された状態で回転作動するが、今回、便宜的に最大ジョイント角θの状態を示す図1を参照しながら変形状態について説明する。
この状態において蛇腹部71は、図1の下方に示す縮み側の縮み部と、上方に示す伸長側の伸長部とを同時に有している。このような状態で外輪20に接続される連結軸21とシャフト60とが回転されると、やがて縮み部は180度回転した伸長側位置で伸長部となり、伸長部は180度回転した縮み側位置で縮み部となる。このように蛇腹部71では、等速ジョイント10の回転に伴って縮み部と伸長部とが180度毎に繰り返し出現する作動を行なう。なお、伸長部と縮み部との中間の位相では、蛇腹部71は初期状態と同様の状態となっている。
(蛇腹部71の詳細構成)
蛇腹部71は、外輪側取付部72とシャフト側取付部73との間に配置されている。前述したように蛇腹部71は、大径側蛇腹部74と、小径側蛇腹部75と、大径側蛇腹部74と小径側蛇腹部75との間に形成される非蛇腹状筒部76を有している。大径側蛇腹部74は、ジョイント角0°のときの蛇腹部71の中心線方向中央(図中CL3参照)より外輪側取付部72(大径取付部)側の範囲に設けられている(図2中矢印参照)。
蛇腹部71は、外輪側取付部72とシャフト側取付部73との間に配置されている。前述したように蛇腹部71は、大径側蛇腹部74と、小径側蛇腹部75と、大径側蛇腹部74と小径側蛇腹部75との間に形成される非蛇腹状筒部76を有している。大径側蛇腹部74は、ジョイント角0°のときの蛇腹部71の中心線方向中央(図中CL3参照)より外輪側取付部72(大径取付部)側の範囲に設けられている(図2中矢印参照)。
本実施形態において、大径側蛇腹部74は、外輪側取付部72から順に連続する3つの第一谷部74d、74e、74fと、連続する3つ(複数)の第一山部74a、74b、74cと、が交互に連続して形成されている。大径側蛇腹部74が備える各第一山部74a、74b、74cの外径は全て同一であり第一直径D1で形成されている。また、本実施形態においては第一谷部74d、74e、74fの谷底の外径も同一の直径d1で形成されている。
図2に示すように、小径側蛇腹部75は、大径側蛇腹部74よりシャフト側取付部73側の範囲に設けられている。小径側蛇腹部75は、大径側蛇腹部74から3つの第二山部75a、75b、75cと2つの第二谷部75d、75eとが交互に連続して形成されている。小径側蛇腹部75が備える各第二山部75a、75b、75cの外径は全て同一であり第二直径D2で形成されている。第二直径D2は第一直径D1に対して、D2<D1の関係を有している。また、本実施形態においては、第二谷部75d、75eの谷底の外径も同一の直径d2で形成されている。なお、上記において、同一径とは、通常の製法でブーツ70を製作したときに同一といえる範囲の各山部および各谷底の直径のことをいう。
非蛇腹状筒部76は、円筒状に形成されている。非蛇腹状筒部76の軸線方向長さは長さL1とする。長さL1は、等速ジョイント10が所定のジョイント角で作動された時の縮み部における大径側蛇腹部74および小径側蛇腹部75の状態に基づき設定する。つまり、長さL1は、縮み部において、大径側蛇腹部74のうち最もシャフト側取付部73側の第一山部74cと、小径側蛇腹部75のうち最も外輪側取付部72側の第二山部75aと、が接触しない長さとする。
詳細には、長さL1は、縮み部において、大径側蛇腹部74の隣り合う各第一山部74a、74b、74cの各外周面同士が接触し、かつ小径側蛇腹部75の隣り合う各第二山部75a、75b、75cの外周面同士が接触した状態においても、第一山部74cと、第二山部75aと、を接触させない長さとする。長さL1は、任意に設定すればよい。
(蛇腹部71の屈曲部内側の縮み部での状態について)
所定のジョイント角で屈曲された等速ジョイント組立体1の作動中における、等速ジョイント10の屈曲部の内側の蛇腹部71の縮み部では、蛇腹部71の大径側蛇腹部74および小径側蛇腹部75が有する各第一山部74a、74b、74cおよび各第二山部75a、75b、75cの各外周面同士が接触し、図1に示すように折りたたまれた状態となる。
所定のジョイント角で屈曲された等速ジョイント組立体1の作動中における、等速ジョイント10の屈曲部の内側の蛇腹部71の縮み部では、蛇腹部71の大径側蛇腹部74および小径側蛇腹部75が有する各第一山部74a、74b、74cおよび各第二山部75a、75b、75cの各外周面同士が接触し、図1に示すように折りたたまれた状態となる。
このとき、複数の各山部の外径が、それぞれ異なる外径で形成された従来の蛇腹部であれば、隣り合う各山部の各外周面同士は、各山部の頂点および各山部間の谷底を基点として折りたたまれ各山部の外周面同士が全面で接触する場合がある。この場合、隣り合う山部同士の外径が異なっている。これにより、各山部近傍では等速ジョイントの作動に伴って回転される際の周速が異なり両者の間に大きな周速差が生じる。このため、山部近傍の外周面同士が接触すると、周速差によって各山部の外周面間にすべりが生じ擦過音が発生する虞がある。
これに対し、本実施形態にかかる蛇腹部71においても、縮み部においては、大径側蛇腹部74の各第一山部74a、74b、74cの外周面同士が全面で接触する。しかし、各第一山部74a、74b、74cの外径は全て同一の第一直径D1で形成されている。これにより、各第一山部74a、74b、74cの外周面同士が全面で接触しても、隣り合う各第一山部74a、74b、74cの各外周面間、特に従来技術においては大きな周速差の発生しやすい山部近傍の各外周面間においても周速差は発生しない。このため、隣り合う各第一山部74a、74b、74cの各外周面間で相対変位(すべり)が発生し、擦過音を発生させることはない。
また、小径側蛇腹部75についても、各第二山部75a、75b、75cの外径が同一の第二直径D2で形成されている。これにより、縮み部において、各第二山部75a、75b、75cの各外周面同士が全面で接触しても、隣り合う各第二山部75a、75b、75cの各外周面間、特に従来技術においては大きな周速差の発生しやすい山部近傍の各外周面間において周速差は発生しない。このため、隣り合う各第二山部75a、75b、75cの各外周面間で相対変位(すべり)は発生せず、よって擦過音は発生しない。
さらに、蛇腹部71には大径側蛇腹部74と、小径側蛇腹部75との間に円筒状の非蛇腹状筒部76が設けられている。これにより、大径側蛇腹部74の各第一山部74a、74b、74cの各外周面および小径側蛇腹部75の各第二山部75a、75b、75cの各外周面が、縮み部において、それぞれ接触しあった状態となっても、大径側蛇腹部74の第一山部74cの外周面と小径側蛇腹部75の第二山部75aの外周面との間には空間Ar(図1の斜線部参照)が形成される。これにより、第一山部74cの外周面と第二山部75aの外周面とが接触することはない。つまり、第一山部74cの外周面と、第一山部74cの外径より小さな外径で形成された第二山部75aの外周面とが接触し、各山部間の周速差によって両者が相対変位して擦過音を発生させる虞はない。
上述の説明から明らかなように、上記実施形態によれば、等速ジョイント10が屈曲された状態で回転した場合、等速ジョイント10の屈曲の内側で蛇腹部71が特に強く収縮する外輪側取付部72(大径取付部)の近傍の大径側蛇腹部74においては、外径(第一直径D1)が同一である隣り合う第一山部74a、74b、74cの外周面同士が接触し、重なり合った状態となる。しかし、外径(第一直径D1)が同一である、相互に接触する第一山部74a、74b、74cの外周面同士は、同じ周速で回転しているので、お互いの間において相対変位は生じず、すべりによる擦過音の発生を防止できる。
また、上記実施形態によれば、小径側蛇腹部75では、シャフト60(軸部材)に固定するため小径側蛇腹部75が備える各第二山部75a、75b、75cの外径を、大径側蛇腹部74が備える第一山部74a、74b、74cの外径(第一直径D1)より小径に形成しつつ、かつ同一の外径(第二直径D2)に形成する。これにより、第一山部74a、74b、74cよりシャフト側取付部73側(小径取付部側)の範囲における蛇腹部71の縮みにおいても、第一山部74a、74b、74cが有する効果と同様の効果によって、向かい合う外周面同士の擦過音の発生を防止できる。
また、上記実施形態によれば、蛇腹部71には、各蛇腹部74、75よりも変形しにくい円筒状に形成された非蛇腹状筒部76を各蛇腹部74、75の間に設けた。これにより、蛇腹部71が縮んだ場合において、大径側蛇腹部74のうち最もシャフト側取付部73側(小径取付部側)の第一山部74cの外周面と、小径側蛇腹部75のうち最も外輪側取付部72側(大径取付部側)の第二山部75aの外周面との間は全く接触しない。これにより、外径の異なる両外周面間での擦過音の発生を確実に防止することができる。
なお、上記実施形態では、大径側蛇腹部74の各第一山部74a、74b、74cおよび小径側蛇腹部75の各第二山部75a、75b、75cをそれぞれ全て同一の外径である第一直径D1および第二直径D2にて設定した。しかしながら、この態様には限らない。例えば、等速ジョイント10が屈曲された状態で回転し、蛇腹部71が縮み部で縮んだときに、大径側蛇腹部74の各第一山部および小径側蛇腹部75の各第二山部cのうち、各外周面同士が実際に接触する各山部のみを同一外径(第一直径D1および第二直径D2)で形成するようにしてもよい。これによっても同様の効果が得られる。
また、上記実施形態においては、非蛇腹状筒部76を円筒形状とした。しかし、この態様に限らず、非蛇腹状筒部76は大径側蛇腹部74側から小径側蛇腹部75側に向かって小径となる円錐形状を呈していてもよい。また、非蛇腹状筒部76は、大径側蛇腹部74側から小径側蛇腹部75側に向かって大径となる円錐形状を呈していてもよい。これらによっても上記実施形態と同様の効果は得られる。
また、上記実施形態においては、縮み部では、大径側蛇腹部74の第一山部74cの外周面と小径側蛇腹部75の第二山部75aの外周面とが接触せず空間Arを形成するよう非蛇腹状筒部76を設けた。しかし、この態様に限らず、非蛇腹状筒部76の軸線方向長さL1を変更し、第一山部74cの外周面と第二山部75aの外周面とが接触するようにしてもよい。
このようにすることで、外径が異なる、最もシャフト側取付部73側(小径取付部側)の第一山部74cおよび最も外輪側取付部72側(大径取付部側)の第二山部75aの各外周面同士が、蛇腹部71が縮んだ場合に接触する場合がある。しかし、第一山部74cの外周面と、第二山部75aの外周面とが、たとえ接触しても、所定長さの非蛇腹状筒部が、各外周面同士の接触の強さを減少させるので、発生する擦過音の大きさを相応に抑制することができる。
また、上記実施形態においては、小径側蛇腹部75の各第二山部75a、75b、75cの外径を全て同一の第二直径D2とした。しかし、この態様に限らず、小径側蛇腹部75の各第二山部75a、75b、75cの外径を、大径側蛇腹部74側から、シャフト側取付部73(小径取付部)側に向かって縮径していく、いわゆるテーパ状に形成してもよい。
また、上記実施形態においては、大径側蛇腹部74が備える各第一谷部74d、74e、74fの谷底の外径を全て同一の直径d1とした。しかし、この態様に限らず、各谷底の外径はそれぞれ異なっていてもよい。小径側蛇腹部75の各第二谷部75d、75eの各谷底の外径についても同様である。
また、上記実施形態においては、蛇腹部71が、2つの蛇腹部(大径側蛇腹部74および小径側蛇腹部75)を有している。しかし、この態様に限らず、蛇腹部71はさらに多くの蛇腹部を有していてもよい。このさらに多くの蛇腹部がそれぞれ有する各山部は、それぞれ同一の外径で形成されていてもよいし、異なる外径で形成されていてもよい。
さらに、上記実施形態においては、発明に係るブーツ70を固定式のボール型等速ジョイントに適用するよう例示して説明した。しかし、これに限らず、ブーツ70は、摺動式のボール型等速ジョイントにも適用できる。また、各種トリポード型等速ジョイントにも適用できる。このような構成においても同様の効果を奏する。
1:等速ジョイント組立体、 10:等速ジョイント、 20:外輪(大径部材)、 60:シャフト(軸部材)、 70:ブーツ(等速ジョイント用ブーツ)、 71:蛇腹部、 72:外輪側取付部(大径取付部)、 73:シャフト側取付部(小径取付部)、 74:大径側蛇腹部、 74a〜74c:第一山部、 74d〜74f:第一谷部、 75:小径側蛇腹部、 75a〜75c:第二山部、 75d、75e:第二谷部、76:非蛇腹状筒部、 Ar:空間。
Claims (7)
- 大径部材の端部に固定される大径取付部、前記大径取付部より小径の軸部材に固定される小径取付部、および前記大径取付部と前記小径取付部との間で山部と谷部とを交互に連続して形成された蛇腹部、を備える等速ジョイント用ブーツであって、
前記蛇腹部は、大径側蛇腹部を備え、当該大径側蛇腹部は、ジョイント角0°のときの前記蛇腹部の中心線方向中央より前記大径取付部側の範囲において連続する複数の山部であって、それぞれの外径を第一直径で形成される複数の第一山部を備える、等速ジョイント用ブーツ。 - 隣接する2つの前記第一山部のうち互いに向かい合う外周面同士は、前記蛇腹部が縮んだ場合に接触する請求項1に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記蛇腹部は、小径側蛇腹部を備え、当該小径側蛇腹部は、前記複数の第一山部より前記小径取付部側の範囲において連続する複数の山部であって、それぞれの外径を前記第一直径よりも小径の第二直径で形成される複数の第二山部を備える、請求項1または2に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 隣接する2つの前記第二山部のうち互いに向かい合う外周面同士は、前記蛇腹部が縮んだ場合に接触する請求項3に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記蛇腹部は、前記複数の第一山部のうち最も前記小径取付部側の第一山部と、前記複数の第二山部のうち最も前記大径取付部側の第二山部との間には、非蛇腹状筒部を備える、請求項3または4に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記非蛇腹状筒部は、前記複数の第一山部同士が接触し、かつ、前記複数の第二山部同士が接触する場合に、前記複数の第一山部のうち最も前記小径取付部側の第一山部と前記複数の第二山部のうち最も前記大径取付部側の第二山部との間に空間を形成する、請求項5に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記非蛇腹状筒部は、円筒状に形成される、請求項5または6に記載の等速ジョイント用ブーツ。
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JP2013254963A JP2015113878A (ja) | 2013-12-10 | 2013-12-10 | 等速ジョイント用ブーツ |
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