JP2015113310A - アミノ化合物置換金属キレート化合物を含有する水性粘稠外用製剤 - Google Patents
アミノ化合物置換金属キレート化合物を含有する水性粘稠外用製剤 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、保管中に沈殿物(懸濁)が生じず、かつ、粘稠性を有し、液だれが生じにくく、さらに、爽快感または清涼感を有する製剤に関する。
αリポ酸は、還元作用を有しラジカル抑制作用も強い生体由来の化合物であり安全性に優れていることが一般的に知られている。近年、かかるαリポ酸を誘導体化して得られた金属キレート化合物が、種々の生理活性を示すことが報告されている。
例えば、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノエタンスルホン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物(以下、DHL-Tau-Znということもある)などは、チロシンハイドロキシラーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用またはエラスターゼ阻害活性を有することが報告されている(特許文献1)。
また、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ヒスチジンナトリウム・亜鉛キレート化合物(以下、DHL-His-Znということもある)またはN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノエタンスルホン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物(DHL-Tau-Zn)などは、メラニンの除去効果、またはシミもしくは、黒子またはニキビ跡に対する治療効果を発揮することが知られている(特許文献2)。
上述のような機能を有するN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物は、ボディ化粧料、頭皮または頭髪化粧料等の各種医薬品または化粧料への適用が期待されている。
使用用時の爽快感または清涼感を付与するために医薬品または化粧料等を製剤化する場合、金属キレート化合物を効果的に適用部位に保持するために、粘稠性を保ち、液だれを防ぐ必要がある。また、かかる製剤においても、保管中に沈殿物(懸濁)が生じないようにすることは重要な課題である。
本発明者は、今般、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物を含有し、爽快感や清涼感を有する経皮吸収用製剤を提供することを目的として製剤を製造し、後述する試験例2の実験を行った。その結果、かかる製剤では、一般的な増粘剤を添加しても粘稠性を有しないことが明らかとなった。上述の通り、上記金属キレート化合物を皮膚、頭皮、頭髪または粘膜等に適用するためには粘稠性を有する必要がある。そこで、本発明者は、さらに鋭意研究を行った結果、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを用いることにより、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物を含み粘稠性を有した水性製剤として保持できることを見出した。さらに、本発明者は、かかる粘稠性を有した水性製剤を特定のpHに調整すると、保管中に沈殿物(懸濁)の発生を抑制しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、保管中に沈殿物(懸濁)が生じず、粘稠性が保たれることにより液だれが生じず、かつ清涼感または爽快感を有する、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物を含有する水性粘稠外用製剤を提供することを目的とする。
本発明には、以下の発明が包含される。
(1) 次の式(1):
(式中、Mは金属を示し、Aは−N結合したアミノ酸残基、−N結合のアミノC1〜C7アルキルスルホン酸または−N結合のアミノC1〜C7アルキルアルコールを示す。)で表されるN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびカルボキシビニルポリマーを含み、pHが7.5〜10である、水性粘稠外用製剤。
(2)N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物が、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノエタンスルホン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物またはその薬学的に許容可能な塩である、(1)に記載の水性粘稠外用製剤。
(3)40℃、75%RHの条件下で2週間後に沈殿物の生じない、(1)または(2)に記載の水性粘稠外用製剤。
(4)亜鉛キレート化合物の含有量が0.1〜10質量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の水性粘稠外用製剤。
(5)カルボキシビニルポリマーの含有量が0.1〜10質量%である、(1)〜(4)のいずれかに記載の水性粘稠外用製剤。
(6)カルボキシビニルポリマーの粘度が、0.5質量%溶液としたときに、25℃で10,000〜150,000mPa・sである、(1)〜(5)のいずれかに記載の水性粘稠外用製剤。
(7)エタノールをさらに含んでなる、(1)〜(6)のいずれかに記載の水性粘稠製剤。
(1) 次の式(1):
(2)N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物が、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノエタンスルホン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物またはその薬学的に許容可能な塩である、(1)に記載の水性粘稠外用製剤。
(3)40℃、75%RHの条件下で2週間後に沈殿物の生じない、(1)または(2)に記載の水性粘稠外用製剤。
(4)亜鉛キレート化合物の含有量が0.1〜10質量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の水性粘稠外用製剤。
(5)カルボキシビニルポリマーの含有量が0.1〜10質量%である、(1)〜(4)のいずれかに記載の水性粘稠外用製剤。
(6)カルボキシビニルポリマーの粘度が、0.5質量%溶液としたときに、25℃で10,000〜150,000mPa・sである、(1)〜(5)のいずれかに記載の水性粘稠外用製剤。
(7)エタノールをさらに含んでなる、(1)〜(6)のいずれかに記載の水性粘稠製剤。
本発明によれば、水性外用製剤において、金属キレート化合物、とりわけ、上述のような亜鉛キレート化合物と特定の成分とを一定条件下で共存させることにより、優れた清涼感または爽快感と、安定性と、粘調性とを付与することができる。
本発明の水性粘稠製剤は、次の式(1):
(式中、Mは金属を示し、Aは−N結合したアミノ酸残基、−N結合のアミノC1〜C7アルキルスルホン酸または−N結合のアミノC1〜C7アルキルアルコールを示す。)で表されるN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物またはその薬学的に許容可能な塩、カルボキシビニルポリマーを含み、pHが7.5〜10であることを特徴としている。
式(1)におけるN−結合のアミノ酸としては、同一分子内にカルボキシル基とアミノ酸を有する、α−アミノ酸およびβ−、γ−、δ−、ε−アミノ酸などのω−アミノ酸、並びにアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、アントラニル酸およびアントラニル酸エチルなどの特殊アミノ酸が挙げられる。α−アミノ酸としては、たとえばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファンなどが挙げられる。また、β−アミノ酸としてはβ−アラニンが挙げられ、γ−アミノ酸としてはγ−アミノ−n−酪酸(GABA)やカルニチンが挙げられ、δ−アミノ酸としては5−アミノレブリン酸や5−アミノ吉草酸、ε−アミノ酸としては6−アミノヘキサン酸が挙げられる。また、上記の他、アミノ酸の例としては、ヒドロキシプロリン等が含まれる。これらアミノ酸のうち、好ましくは、側鎖に窒素含有置換基を有するα−アミノ酸(アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、トリプトファン)、トラネキサム酸、メチオニン、グルタミン酸、グリシン、セリン、6−アミノヘキサン酸、アラニン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、アスパラギン酸またはGABA、チロシンが挙げられるが、ヒスチジンが特に好ましい。
式(1)における−N結合したアミノ酸残基、−N結合のアミノC1〜C7アルキルスルホン酸または−N結合のアミノC1〜C7アルキルアルコールにおけるアルキルは、鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。上記C1〜C7アルキルは、好ましくはC1〜C5アルキルであり、より好ましくはC2〜C4アルキルである。また、上記アミノC1〜C7アルキルスルホン酸の具体例としては、特に限定されないが、好ましくは同一分子内にスルホン酸基とアミノ酸を有するアミノエタンスルホン酸(タウリン)である。また、上記アミノC1〜C7アルキルアルコールの具体例としては、特に限定されないが、好ましくはエタノールアミンである。
式(1)の金属キレート化合物の金属Mは、亜鉛であることが好ましい。しかしながら、上記金属は、メラニン産生抑制等の効果を有しかつ式(1)のキレートを形成しうる限り他の金属であってもよい。
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩としては、特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、およびカルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられるが、好ましくはナトリウム塩である。
本発明の好ましい態様によれば、式(1)で表される金属キレート化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ヒスチジンナトリウム・亜鉛キレート化合物およびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノエタンスルホン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物から選択されるものである。
本発明のN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物は、WO2004/024139号公報(特許文献2)に記載の方法に従い合成することができる。製造方法の一例としては、α−リポ酸をクロロホルムまたはアセトニトリルに溶かし、トリエチルアミン存在下、クロル炭酸エチルを用いて混合酸無水物法によりアミンアルキルスルホン酸またはアミノ酸を各々、カップリングさせ、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する式(1)の化合物を得る。これらを亜鉛と酢酸(または塩酸)で還元して、各々、目的の化合物を得ることができる。さらに、当該化合物を、例えばアルカリ塩に導く場合は、その遊離酸を水に溶解または懸濁して置き、水酸化アルカリで中和して溶かした後、濃縮し、アルコールを加えて析出する結晶を濾取すれば高収率で目的化合物の塩を得ることができる。
本発明の水性粘稠製剤に配合されるN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%とすることができる。
本発明において用いられるカルボキシビニルポリマーは、アクリル酸の重合体であり、分子量や粘度等の異なるいずれのカルボキシビニルポリマーを使用してもよく、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。本発明においては、カルボキシビニルポリマーを中和して0.5質量%水溶液した場合、そのカルボキシビニルポリマーの室温(例えば、25℃)での粘度は、安定性、使用感などの観点から、10,000〜150,000mPa・sの範囲であるものが好ましく、20,000〜100,000mPa・sの範囲であるものがより好ましく、30,000〜70,000mPa・sの範囲であるものがさらに好ましい。また、カルボキシビニルポリマーの粘度は、45,000〜65,000mPa・sでもよく、さらに、35,000〜50,000mPa・sでもよい。
本発明で使用するカルボキシビニルポリマーは、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、カーボポール934、カーボポール941、カーボポール980、カーボポール981、カーボポール2984、カーボポール2987、カーボポール5984、カーボポールETD2050、カーボポールUltrez10、カーボポールUltrez30(以上、ルーブリゾール(株)製)、ハイビスワコー103、ハイビスワコー104、ハイビスワコー105、シンタレンK、シンタレンL、シンタレンM(以上、和光純薬工業(株)製)、ジュンロン(日本純薬(株)製)等が挙げられ、カーボポールUltrez10、Ultrez30等が好ましい。
カルボキシビニルポリマーの含有量は、特に限定されず、安定性、使用感等の観点から、適宜調整することができる。かかるカルボキシビニルポリマーの含有量の上限は、本発明の水性粘稠製剤全質量に対し、好ましくは20質量%であり、より好ましくは10質量%であり、さらに好ましくは5質量%であり、さらに好ましくは1質量%とすることができる。また、カルボキシビニルポリマーの含有量の下限は、本発明の水性粘稠製剤全質量に対し、好ましくは0.01質量%であり、より好ましくは0.1質量%であり、さらに好ましくは0.3質量%とすることができる。
また、本発明の水性粘稠製剤は、爽快感付与を勘案すれば、アルコールをさらに含有させることが好ましい。本発明において用いられるアルコールは、安定性、使用感、爽快感などの観点から一価アルコール、好ましくは一価低級アルコールが挙げられる。一価低級アルコールとしては炭素数1〜7の一価アルコールが挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノールであるプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ベンジルアルコールなどが挙げられ、エタノールが好ましい。
アルコールの含有量は、安定性、使用感等の観点から、本発明の水性粘稠製剤全質量に対し、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは1〜30質量%であり、さらに好ましくは5〜20質量%である。
また、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物の安定性は、該化合物を含んでなる水性粘稠製剤のイオン強度に影響を受けることも今般確認された。
イオン強度とは、本発明の水性粘稠製剤中の添加物に由来する電解質の各イオン種(i)について、それぞれのイオンのモル濃度mと電荷zの2乗の積を加え合わせ、さらにそれを1/2にしたものである。
水性粘稠製剤全体としてのイオン強度は低い方が好ましく、0.20以下であればその範囲内で適宜選択できるが、より好ましくは0.05〜0.15、さらに好ましくは0.09〜0.12である。
さらに、本発明の水性粘稠製剤には、必要に応じて、薬学的に許容可能な添加剤が含有され、特に限定されないが、精製水等の水性媒体、等張化剤、安定化剤、保存剤(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール)、防腐剤、界面活性剤(例えば、PEG-20ソルビタンココエート)、酸化防止剤(例えば、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸K(EPC)、リン酸アスコルビルMg)、抗炎症剤、活性酸素消去剤、調整剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤(例えば、1,3-ブチレングリコール、加水分解ヒアルロン酸、加水分解コラーゲン)、キレート剤(エチドロン酸4Na)、抗菌剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、芳香剤、香料(ライム油)等が挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
また、本発明の水性粘稠製剤において、pHは7.5〜10が好ましく、8〜9.5がより好ましく、8.5〜9がさらに好ましい。
また、本発明の水性粘稠製剤において、pHは7.5〜10が好ましく、8〜9.5がより好ましく、8.5〜9がさらに好ましい。
本発明の一つの実施態様によれば、水性粘稠製剤として、DHL-Tau Zn、カーボポールUltrez30、エタノール、1,3−ブチレングリコール、リン酸アスコルビルMg、加水分解ヒアルロン酸、加水分解コラーゲン、エチドロン酸4Na、水酸化カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、PEG-20ソルビタンココエート、ライム油、水からなり、pH8〜10の処方が挙げられる。
また、本発明の別の実施態様によれば、水性粘稠製剤として、DHL-His-Zn、カーボポールUltrez30、エタノール、1,3−ブチレングリコール、リン酸アスコルビルMg、加水分解ヒアルロン酸、加水分解コラーゲン、エチドロン酸4Na、水酸化カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、PEG-20ソルビタンココエート、ライム油、水からなり、pH8〜10の処方が挙げられる。
剤形は、本願発明の水性粘稠製剤の態様を有していれば特に限定されないが、例えば、スプレー剤、外用液剤、懸濁剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤等が挙げられる。
具体的な用途としては、医薬品、化粧料または飲食品としての、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物またはその薬学的に許容可能な塩の公知の用途、たとえば、皮膚のしみ、そばかす、くすみ等の酸化ストレスによる種々の疾患への適用や脱毛抑制や発毛・育毛剤としての頭皮・頭髪への適用などが挙げられる。
本発明の水性粘稠製剤の投与方法としては、特に限定されないが、頭皮・頭髪投与、経皮投与等が挙げられる。
また、一つの態様によれば、上記被検体としては、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
また、本発明のN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)基を有する金属キレート化合物の有効量は、特に限定されず、被検体の種類、性質、性別、年齢、症状等に応じて当業者によって、適宜決定される。例えば、かかる有効量としては、0.1〜50mg/体重kg/日、好ましくは1.0〜5.0mg/体重kg/日を1回または数回等が挙げられる。
以下、試験例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
以下の実験で使用したカルボキシビニルポリマーカーボポール Ultrez 10はルーブリゾール(株)製のものを用いた。また、試験例1〜4で用いた試験化合物はWO2004/024139号公報に記載の方法に基づいて製造し、試験に用いた。また、水はMilli-Q超純水製造装置(日本ミリポア株式会社)から採水して使用した。
試験例1:pHに関する検討
1−1:試験サンプルの製造
試験品1〜6
酢酸、リン酸およびホウ酸を用いて40mM酸混合液を調製した。上記混合液に200mM水酸化ナトリウム溶液を添加して、pH4〜9のBritton-Robinson広域緩衝液を調製した。
次に、DHL-Tau-Znに、上記のpHを調整したBritton-Robinson広域緩衝液を添加し、完全に溶解するまで十分に混合しDHL-Tau-Znの最終濃度が0.5w/v%となるように試験サンプルを得た(試験品1〜6)。
上記試験サンプルを、40℃±2℃、75%RH±5%RHの加速条件下で一定期間静置した。
試験品7
DHL-Tau-Znを溶解する溶媒を脱気した水とする以外は、試験品1と同様の方法を用いて調製した。なお、DHL-Tau-Zn溶解後のサンプルのpHは9.7であった。
1−1:試験サンプルの製造
試験品1〜6
酢酸、リン酸およびホウ酸を用いて40mM酸混合液を調製した。上記混合液に200mM水酸化ナトリウム溶液を添加して、pH4〜9のBritton-Robinson広域緩衝液を調製した。
次に、DHL-Tau-Znに、上記のpHを調整したBritton-Robinson広域緩衝液を添加し、完全に溶解するまで十分に混合しDHL-Tau-Znの最終濃度が0.5w/v%となるように試験サンプルを得た(試験品1〜6)。
上記試験サンプルを、40℃±2℃、75%RH±5%RHの加速条件下で一定期間静置した。
試験品7
DHL-Tau-Znを溶解する溶媒を脱気した水とする以外は、試験品1と同様の方法を用いて調製した。なお、DHL-Tau-Zn溶解後のサンプルのpHは9.7であった。
1−2:試験サンプルの評価(安定性)
上記加速条件下での一定期間放置した後の試験サンプル中のDHL-Tau-Znの残存量(%)(ただし、調製直後を100%とする)を超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を用いて(カラム:ACQUITY UPLC(登録商標) BEH C18 粒子径1.7μm、2.1mm(内径)×100mm(長さ)、移動相:0.5%リン酸水溶液:アセトニトリル=80:20、流速:0.2mL/min、温度:40℃)測定した。
上記加速条件下での一定期間放置した後の試験サンプル中のDHL-Tau-Znの残存量(%)(ただし、調製直後を100%とする)を超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を用いて(カラム:ACQUITY UPLC(登録商標) BEH C18 粒子径1.7μm、2.1mm(内径)×100mm(長さ)、移動相:0.5%リン酸水溶液:アセトニトリル=80:20、流速:0.2mL/min、温度:40℃)測定した。
表1の試験品1〜6に示す通り、pHが高くなるにつれてDHL-Tau-Znの残存量が多くなる傾向が確認された。特に、pH9では残存量が最も多かった。また、試験品7に示すように、脱気した水でも残存量が多かった。このことから、DHL-Tau-Znはイオン強度が低い方が安定性が高くなるものと考えられる。
試験例2:処方に関する検討(増粘剤の検討)
2−1:試験サンプルの製造
試験品8〜10
下記表2に示す処方系において製剤を調製した。
2−1:試験サンプルの製造
試験品8〜10
下記表2に示す処方系において製剤を調製した。
2−2:試験サンプルの評価(粘稠性)
2−1で得られた試験サンプル(試験品8〜10)の粘稠性について検討した。皮膚に適用したときの使用感(粘稠性)について、以下の基準に従い、評価を行った。
[粘稠性の評価基準]
5:粘稠性を呈する(液だれはしない)。
4:粘稠性がわずかながら劣る。
3:少し粘稠性を呈する。
2:ほとんど粘稠性を呈さない。
1:全く粘稠性を呈さない(さらさらで、液だれがする)。
2−1で得られた試験サンプル(試験品8〜10)の粘稠性について検討した。皮膚に適用したときの使用感(粘稠性)について、以下の基準に従い、評価を行った。
[粘稠性の評価基準]
5:粘稠性を呈する(液だれはしない)。
4:粘稠性がわずかながら劣る。
3:少し粘稠性を呈する。
2:ほとんど粘稠性を呈さない。
1:全く粘稠性を呈さない(さらさらで、液だれがする)。
表2に示す通り、試験品8および9では、粘稠性を示さなかった。試験品10では、白濁した溶液となり、DHL-Tau-Znが一部沈殿した。
試験例3:処方に関する検討(増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを用いての検討)3−1:試験サンプルの製造
試験品11、12
下記表3に示す処方系において製剤を調製した。試験品11の製剤の場合、水にカルボキシビニルポリマーカーボポール Ultrez 10を添加し、その後pH調整剤を添加してpHをアルカリ性とした液体に粘稠性を持たせた後に、エタノールを添加し攪拌した。その後、DHL-Tau-Znを添加し、試験サンプル30gを得た。試験品12に関しても、下記表3に記載の成分を用いて同様に調製した。なお、pH調整剤はトリエタノールアミンまたは水酸化ナトリウムを用いた。
試験品11、12
下記表3に示す処方系において製剤を調製した。試験品11の製剤の場合、水にカルボキシビニルポリマーカーボポール Ultrez 10を添加し、その後pH調整剤を添加してpHをアルカリ性とした液体に粘稠性を持たせた後に、エタノールを添加し攪拌した。その後、DHL-Tau-Znを添加し、試験サンプル30gを得た。試験品12に関しても、下記表3に記載の成分を用いて同様に調製した。なお、pH調整剤はトリエタノールアミンまたは水酸化ナトリウムを用いた。
3−2:試験サンプルの評価(粘稠性)
3−1で得られた試験サンプル(試験品11、12)の粘稠性について以下の手法により検討した。
30度傾けたアクリル板(1センチメートル刻みで目盛りを記載)に試験品をそれぞれ200マイクロリットル滴下した。滴下した時間を開始時刻とし、10秒間で移動した距離を測定した。
また、移動した距離によって下記の様に5段階で評価した。
[粘稠性の評価基準]
5:0〜5cm
4:5〜10cm
3:10〜15cm
2:15〜20cm
1:20cm以上
表3に示す通り、試験品11の製剤は粘稠性を有していた。一方、カルボキシビニルポリマーとしてHiviswako 105を用いた場合には、pHをアルカリ性に調整すると粘稠性が低下した(試験品12)。
3−1で得られた試験サンプル(試験品11、12)の粘稠性について以下の手法により検討した。
30度傾けたアクリル板(1センチメートル刻みで目盛りを記載)に試験品をそれぞれ200マイクロリットル滴下した。滴下した時間を開始時刻とし、10秒間で移動した距離を測定した。
また、移動した距離によって下記の様に5段階で評価した。
[粘稠性の評価基準]
5:0〜5cm
4:5〜10cm
3:10〜15cm
2:15〜20cm
1:20cm以上
3−3:試験サンプルの評価(安定性)
試験品11に関し、安定性試験を行い、試験品1と同様にUPLCでDHL-Tau-Znの残存量(%)を測定した。
試験品11に関し、安定性試験を行い、試験品1と同様にUPLCでDHL-Tau-Znの残存量(%)を測定した。
表4に示す通り、粘稠性を有した製剤処方について、安定性試験を行ったところ、試験品11において、2週間では約90%の残存量であった。
試験例4:試験サンプルの評価(安定性)(一般式(1)のA基がアミノ酸またはアミノアルキルアルコールの場合)
A基が、アミノ酸(アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、トリプトファン、トラネキサム酸、メチオニン、グルタミン酸、グリシン、セリン、6−アミノヘキサン酸、アラニン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、アスパラギン酸またはGABA、チロシン)またはアミノエタノールアルコールである一般式(1)の化合物を用意して、試験品11と同様の処方に調製し、3−3と同様の試験を行った。その結果、全サンプルについて2週間の時点の保存安定性は、約90〜95%の範囲内であった。
A基が、アミノ酸(アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、トリプトファン、トラネキサム酸、メチオニン、グルタミン酸、グリシン、セリン、6−アミノヘキサン酸、アラニン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、アスパラギン酸またはGABA、チロシン)またはアミノエタノールアルコールである一般式(1)の化合物を用意して、試験品11と同様の処方に調製し、3−3と同様の試験を行った。その結果、全サンプルについて2週間の時点の保存安定性は、約90〜95%の範囲内であった。
Claims (7)
- 前記N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物が、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノエタンスルホン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物またはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の水性粘稠外用製剤。
- 40℃、75%RHの条件下で2週間後に沈殿物の生じない、請求項1または2に記載の水性粘外用稠製剤。
- 前記亜鉛キレート化合物の含有量が0.1〜10質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性粘稠外用製剤。
- 前記カルボキシビニルポリマーの含有量が0.1〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性粘稠外用製剤。
- 前記カルボキシビニルポリマーの粘度が、0.5質量%溶液としたときに、室温で10,000〜150,000mPa・sである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性粘稠外用製剤。
- エタノールをさらに含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性粘稠外用製剤。
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