JP2015113229A - 記録装置、プレス加工用型 - Google Patents
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Abstract
【課題】位置決め部材や係合部を含む搬送ローラーの製造コストが増加するという課題がある。【解決手段】一方の軸端部から他方の軸端部に渡り一つの繋ぎ目を有する金属製の円筒軸であるローラー本体16を含み、回転駆動する搬送ローラー15と、搬送ローラー15とで用紙Pを挟んで搬送する従動ローラー17と、用紙に記録を行う記録部と、ローラー本体16の軸方向における端部より内側に設けられ、ローラー本体16の一部が切り起こされてローラー本体16の外周面から突出する突部としての折り曲げ部72と、を備え、折り曲げ部72は、ローラー本体16における軸方向の位置を決める位置決め部を構成する記録装置を提供する。【選択図】図3
Description
本発明は、記録装置、プレス加工用型に関する。
従来、記録装置として種々のプリンターが提供されている。このようなプリンターでは、用紙等の記録媒体を搬送ローラー及び従動ローラーで記録部に搬送し、記録部で記録した後、排紙ローラー及びその従動ローラーで記録媒体を排出するように構成されている。
例えば、記録装置としてのインクジェットプリンターでは、搬送ローラーが、従動ローラーとの間に用紙を挟持した状態で回転駆動することにより、キャリッジが移動する方向と交わる方向に用紙を搬送させるようになっている。
例えば、記録装置としてのインクジェットプリンターでは、搬送ローラーが、従動ローラーとの間に用紙を挟持した状態で回転駆動することにより、キャリッジが移動する方向と交わる方向に用紙を搬送させるようになっている。
コストダウンを目的として、中実の材料に置き替えて、金属板を折り曲げて円筒状(中空状)の円筒軸を形成し、形成された円筒軸の表面に摩擦層が形成された搬送ローラーが提案されている。例えば、特許文献1では、このようにして形成された搬送ローラーに、軸方向における所定の位置に位置決めする位置決め部材が設けられる。また、回転駆動力を伝達するため、搬送ローラーに挿入された歯車が摺動回転しないように、歯車と係合する係合部材を搬送ローラーに備えたものがある。
しかしながら、位置決め部材や係合部材は、搬送ローラーとは別体に備えられたものがある。そのため、位置決め部材や係合部材を加工する際の加工精度が要求され、位置決め部材や係合部材を含む搬送ローラーの製造コストが増加するという課題がある。また、搬送ローラーは中空の円筒状であるため、加工後の形状により剛性が低下しないことが要求される。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]一方の軸端部から他方の軸端部に渡り一つの繋ぎ目を有する金属製の円筒軸を含み、回転駆動する搬送ローラーと、前記搬送ローラーとで記録媒体を挟んで搬送する従動ローラーと、前記記録媒体に記録を行う記録部と、前記円筒軸の軸方向における端部より内側に設けられ、前記円筒軸の一部が切り起こされて前記円筒軸の外周面から突出する突部と、を備え、前記突部は、前記円筒軸における前記軸方向の位置を決める位置決め部であることを特徴とする記録装置。
本適用例によれば、円筒軸の軸方向における端部より内側に設けられ、円筒軸の一部が切り起こされて円筒軸の外周面から突出する突部を備え、突部は、円筒軸における軸方向の位置を決める位置決め部である。これにより、位置決め部を円筒軸と一体に形成できるので、製造コストの増加を抑制できる。
[適用例2]前記繋ぎ目は、前記搬送ローラーの軸方向に延びる第1の繋ぎ目と、前記第1の繋ぎ目よりも前記一方の軸端部側あるいは前記他方の軸端部側に設けられ、前記第1の繋ぎ目に対して交差する方向に突出する突出部と、を備え、前記突部は、前記軸方向において、前記突出部と重ならない位置に設けられたことを特徴とする上記記録装置。
円筒軸の一部が切り起こされて円筒軸の外周面から突出する突部を形成することにより、円筒軸の外周面に開口部が形成されるので円筒軸の剛性が低下する虞がある。本適用例によれば、突部は、軸方向において、突出部と重ならない位置に設けられるので、円筒軸の軸方向において剛性が低下する部分が形成されることを抑制できる。
[適用例3]前記突部は、周方向において、前記突出部と重ならない位置に設けられたことを特徴とする上記記録装置。
本適用例によれば、突部が、周方向において、円筒軸の外周面に形成された開口部と重ならない位置に設けられることにより、円筒軸の周方向において剛性が低下する部分が形成されることを抑制できる。
[適用例4]前記突出部は、前記軸方向における前記突部の両側に設けられ、前記突出部は、前記軸方向において、前記突出部と前記突部との距離が、前記円筒軸の前記一方の軸端部と前記突部との距離より短い位置にあることを特徴とする上記記録装置。
本適用例によれば、繋ぎ目が周方向に離間する現象を、突出部が嵌合することによって生じる締結力によって抑制できる。
[適用例5]金属板の面を押圧する押圧面を有し、円筒状の円筒軸を形成するためのプレス加工用型であって、前記円筒軸の外周を形成するために湾曲形状に形成された前記押圧面を含む凹部と、前記凹部に形成され、前記押圧面よりも窪んで、前記湾曲形状に沿った溝部と、が形成されたことを特徴とするプレス加工用型。
本適用例によれば、金属板の面から突出する突部を溝部に侵入させた状態で、プレス加工によって、円筒状の円筒軸を形成することができる。
(実施形態1)
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。図1、図2を参照して、本発明の搬送ローラーを備えた記録装置について説明する。なお、図1は本発明に係る搬送ユニットを備えた記録装置(インクジェットプリンター)の側断面図、図2(a)は同記録装置の搬送ユニット部分の平面図、図2(b)は同記録装置の駆動系の側面図である。
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。図1、図2を参照して、本発明の搬送ローラーを備えた記録装置について説明する。なお、図1は本発明に係る搬送ユニットを備えた記録装置(インクジェットプリンター)の側断面図、図2(a)は同記録装置の搬送ユニット部分の平面図、図2(b)は同記録装置の駆動系の側面図である。
図1において符号1は、本発明の記録装置の一実施形態となるインクジェットプリンター(以降はプリンターという)である。このプリンター1は、プリンター本体3と、プリンター本体3の後側上部に設けられた給紙部5と、プリンター本体3の前側に形成された排紙部7と、を備えて構成されたものである。
給紙部5には給紙トレイ11が設けられており、給紙トレイ11には複数枚の用紙(搬送物としての記録媒体)Pが積載されるようになっている。ここで、用紙Pとしては、普通紙、コート紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用シート、光沢紙、光沢フィルム等が用いられる。給紙トレイ11の下流側には給紙ローラー13が設けられている。給紙ローラー13は、対向する分離パッド(図示せず)との間で給紙トレイ11の最上部に位置する用紙Pを挟圧し、前方へ送り出すように構成されている。
送り出された用紙Pは、下側に配置された搬送ローラー15と、上側に配置された従動ローラー17とからなる搬送ローラー機構19に至る。搬送ローラー15は、後述するように本発明の搬送ローラーの一実施形態となるものである。また、この搬送ローラー15と従動ローラー17と、さらに搬送ローラー15を回転駆動する駆動装置(不図示)とにより、本発明の搬送ユニットの一実施形態が構成される。
搬送ローラー機構19に至った用紙Pは、搬送ローラー15の回転駆動によって記録処理に伴う精密で正確な搬送(紙送り)動作を受けつつ、搬送ローラー機構19の下流側の印字ヘッド21が対向する位置に搬送されるようになっている。
印字ヘッド21は、キャリッジ23に保持されており、キャリッジ23は、給紙方向(用紙Pの搬送方向)と直交する方向に往復移動するように構成されている。印字ヘッド21と対向する位置には、プラテン24が配設されており、プラテン24は、キャリッジ23の移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数のダイヤモンドリブ25によって構成されている。
ダイヤモンドリブ25は、印字ヘッド21によって用紙Pに記録を行う際に、用紙Pを下側から支持するものであり、詳しくは、ダイヤモンドリブ25の頂面が支持面として機能するようになっている。なお、印字ヘッド21による印字処理(記録処理)は、制御部CONTによって制御されるようになっている。
印字ヘッド21とダイヤモンドリブ25との距離は、用紙Pの厚さに応じて調節可能になっており、これによって用紙Pは、ダイヤモンドリブ25の頂面上を滑らかに通過しつつ、高品質に記録されるようになっている。印字ヘッド21で記録された用紙Pは、排紙部7に設けられた排紙ローラー機構27によって順次排出されるようになっている。
排紙ローラー機構27は、下側に配置された排紙ローラー29と上側に配置された排紙ギザローラー31とを備えて構成されたもので、排紙ローラー29の回転駆動によって用紙Pを引き出し、排出するようになっている。
ここで、搬送ローラー機構19及び排紙ローラー機構27における、搬送ローラー15、排紙ローラー29の駆動系、及び両ローラー15、29の駆動速度の関係について説明する。プリンター本体3には、図2(a)、(b)に示すように、制御部CONTの制御下で駆動される搬送モーター(駆動装置)32が設けられている。
この搬送モーター32の駆動軸にはピニオン33が設けられており、ピニオン33には搬送駆動ギア35が歯合しており、搬送駆動ギア35には搬送ローラー15が内挿されて連結されている。このような構成のもとに搬送モーター32は、搬送ローラー15を回転駆動する駆動装置となっている。
また、搬送ローラー15には、搬送駆動ギア35と同軸にインナーギア39が設けられており、このインナーギア39には中間ギア41が歯合しており、中間ギア41には排紙駆動ギア43が歯合している。排紙駆動ギア43の回転軸は、図2(a)に示すように、図1の排紙ローラー29の軸体45となっている。このような構成のもとに、搬送ローラー機構19の搬送ローラー15と排紙ローラー機構27の排紙ローラー29とは、同一の駆動源である搬送モーター32からの回転駆動力を受け、駆動されるようになっている。
なお、排紙ローラー29の回転速度は、前記各ギアのギア比を調整することにより、搬送ローラー15の回転速度より速くなるように設定されている。したがって、排紙ローラー機構27の排紙速度は、搬送ローラー機構19の搬送速度より増速率sだけ速くなっている。
また、搬送ローラー機構19による用紙Pの挟持力(押圧力)は、排紙ローラー機構27による挟持力(押圧力)よりも大きく設定されている。したがって、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているとき、その用紙搬送速度は、排紙ローラー機構27の排紙速度とは関係なく、搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されるようになっている。
次に、搬送ローラー15について説明する。図3は、軸受け部50,51に保持された搬送ローラー15を示す図である。搬送ローラー15は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス板等の金属板がプレス加工されて円筒状に形成されたローラー本体16と、ローラー本体16の外周に形成された摩擦層80とから構成される。
ローラー本体16は、軸受け部50,51を貫通し、軸受け部50,51によって回転可能に保持される。ローラー本体16の図面右側の端部には、インナーギア39や搬送駆動ギア35が連結される。
ローラー本体16の図面左側には、突部としての折り曲げ部72がローラー本体16と一体に形成されている。折り曲げ部72は、ローラー本体16の軸受け部50と摺動する外周面より突出しており、軸受け部50によって図面右方向への移動が規制される。従って、折り曲げ部72は、ローラー本体16における軸方向の位置を規制し、位置決め部として構成される。
従動ローラー17は、複数(例えば6個)のローラー17aが同軸に配列されて構成されたもので、搬送ローラー15の摩擦層80に対向しかつ当接する位置に配置されたものである。これらローラー17aからなる従動ローラー17には、付勢バネ(図示せず)が取り付けられており、これによって従動ローラー17は、搬送ローラー15側に付勢されている。
従って、従動ローラー17は、搬送ローラー15の摩擦層80に所定の押圧力(用紙Pに対する挟持力)で接し、搬送ローラー15の回転動作に従動して回転するようになっている。また、搬送ローラー15と従動ローラー17との間で用紙Pを挟持する力が大きくなり、用紙Pの搬送性がより良好になっている。
摩擦層80の形成方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。具体的には、まず、摩擦層80の形成材料として、樹脂粒子と無機粒子とを用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10μm程度の微粒子が好適に用いられる。
無機粒子としては、破砕処理によって所定の粒径分布に調整されたアルミナ粒子が用いられる。破砕処理によって製造されることにより、このアルミナ粒子は端部が比較的鋭く尖ったものとなり、この鋭く尖った端部によって高い摩擦力を発揮するようになる。
このような樹脂粒子と無機粒子とを用意したら、まず、ローラー本体16に前述の樹脂粒子を塗布する。すなわち、ローラー本体16を塗装ブース(図示せず)内に配置し、さらにこのローラー本体16を単体の状態で(マイナス)電位にしておく。
そして、樹脂粒子を、静電塗装装置(図示せず)のトリボガンを用いてローラー本体16に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子はローラー本体16の外周面に吸着され、樹脂膜を形成する。
ローラー本体16の製造方法について説明する。ローラー本体16は、金属板がプレス加工され、対向する一対の端面が互いに近接させられて円筒状に形成されたものである。
図4(a)、(b)はローラー本体の基材としての金属板を示す平面図である。搬送ローラー15を製造するには、まず、図4(a)に示すように矩形板状または帯状の大型金属板65を用意する。大型金属板65としては、例えば厚さ1mm程度の亜鉛メッキ鋼板が用いられる。続いて、大型金属板65をプレス加工することにより、図4(b)に示すようにローラー本体16に対応する大きさの細長い矩形板状の金属板60、すなわちローラー本体16の基材となる金属板60を形成する。
金属板60の一方の長辺となる端面61bには、8個の凸部70が形成されている。金属板60の他方の長辺となる端面61aには、8個の凹部71が形成されている。
金属板60の長手方向(図面上下方向)の一方の端部82から離れた位置には、4個の折り曲げ部72が長手方向と交わる方向(図面左右方向)に並んで形成される。折り曲げ部72は、図面上下方向の上側が金属板60に接合され、図面上下方向の下側と図面左右方向の両側は、切断部73によって切断される。
図4(c)は、図4(b)の金属板60の折り曲げ部72が折り曲げられた状態を示す斜視図である。型(不図示)を用いたプレス加工により、図4(b)の金属板60の折り曲げ部72を、金属板60に接合される図面上下方向の上側の位置で面63a側に折り曲げる。
これにより、折り曲げ部72は、面63aから突出する突出部となり、折り曲げ部72と切断部73とによって囲まれる部分には、開口部83が形成される。
図5(a)は、ローラー本体16の斜視図である。ローラー本体16は、図4(c)の金属板60を矢印方向に曲げることによって中空の円筒状に形成されたものである。図4(b)の面63aは、図5(a)のローラー本体16の外周面63aとなり、面63bは、ローラー本体16の内周面63bとなる。
図5(a)に示すように、図4(b)の金属板60の端面61aと端面61bとは近接し、凸部70と凹部71とは嵌合し、嵌合部81a,81b,81c,81dが形成される。嵌合部81a〜81dを形成することにより、ローラー本体16の端面61aと端面61bが周方向に離れてしまうことを抑制する。また、ローラー本体16の端面61aと端面61bがローラー本体16の軸方向にずれてしまうことを抑制する。
図3に示すように、3個の嵌合部81cは、摩擦層80が形成された範囲内に配置され、嵌合部81a,81bおよび3個の嵌合部81dは、摩擦層80が形成された範囲外に配置される。
軸方向において、嵌合部81a,81bは、折り曲げ部72を挟んで折り曲げ部72の両側に配置される。また、嵌合部81a,81bは、折り曲げ部72の近傍に配置される。嵌合部81aは、ローラー本体16の一方の端部82と折り曲げ部72との間に配置されるので、嵌合部81aと折り曲げ部72との距離L1は、ローラー本体16の一方の端部82と折り曲げ部72との距離L3より短い位置にある。
また、軸方向において、嵌合部81b(凸部70)は、嵌合部81bと折り曲げ部72との距離L2が、ローラー本体16の一方の端部82(軸端部)と折り曲げ部72との距離L3より短い位置にある。尚、一点鎖線の位置は、嵌合部81a,81b、折り曲げ部72の軸方向におけるそれぞれの中央の位置を示す。
開口部83が形成された部分は、剛性が低下する虞がある。本実施形態では、軸方向において、嵌合部81aと嵌合部81bは、折り曲げ部72の両側にそれぞれ配置される。これにより、開口部83が形成されることによる剛性の低下を抑制する。
図5(b)は、ローラー本体16が軸受け部50に保持される部分を、ローラー本体16の軸方向と交わる方向から見た断面図である。図3を用いて前述したように、図5(b)の折り曲げ部72は、軸受け部50に当接し、ローラー本体16の軸方向の位置を規制する位置決め部として構成される。
図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)は、金属板60を円筒状に形成する方法を説明するための工程図である。図4(c)の折り曲げ部72を折り曲げた状態の金属板60を、円筒状(パイプ状)にプレス加工し、その両側(長辺側)の端面61a、61bを近接させる。
図6(a)に示す雄型101と雌型102とで金属板60をプレス加工し、金属板60の両側部62a、62bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。金属板60は、面63bが雄型101側に位置し、面63aが雌型102側に位置するように置かれる。
図6(a)においては、各部材を分かりやすくするため、金属板60と雄型101と雌型102との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、金属板60と雄型101、雌型102とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図6(b)、(c)、図7(a)〜(c)においても同様である。
続いて、図6(a)で得られた金属板60の幅方向(曲げ方向)における中央部を、図6(b)に示す雄型103と雌型104とでプレス加工し、円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。
次いで、図6(c)に示すように、図6(b)で得られた金属板60の内部に芯型105を配置し、図6(c)に示す上型106と下型107とを用いて、図7(a)〜(c)に示すようにして金属板60の両側部62a、62bの各端面61a、61bを近接させる。
ここで、図6(c)および図7(a)〜(c)に示す芯型105の外径は、形成するローラー本体16の内径と等しくしてある。また、図6(c)の上型106のプレス面106cの半径と下型107のプレス面107aの半径は、それぞれ、形成するローラー本体16の外径の半径と等しくしてある。また、図7(a)〜(c)に示すように上型106は左右一対の割型であり、これら割型106a、106bは、それぞれ独立して昇降可能に構成されている。
すなわち、図6(c)に示す状態から、図7(a)に示すように右側の割型106aを下型107に対して相対的に下降させ(以下、同様に型の移動は相対的移動を意味する)、金属板60の一方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。なお、下型107も上型106と同様左右一対の割型とし(割面107b参照)、この図7(a)に示す工程の際に、同じ側の下型を上昇させてもよい。
次いで、図7(b)に示すように、芯型105を少し(一方の側の端面61aと他方の側の端面61bとを近接させることができる程度に)下降させるとともに、他方の側の割型106bを下降させ、金属板60の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
その後、図7(c)に示すように、芯型105および一対の割型106a、106bをともに下降させ、ローラー本体16を形成する。この状態で左右両側の端面61a、61bは、僅かな隙間を介して十分に近接した状態となる。
図5(c)は、図6(a)のプレス加工用の型としての雌型102のプレス面102aの一部を示す斜視図である。プレス面102aには、プレス面102aの長手方向と交わる方向に延びる溝部102bが設けられる。雌型102を用いて図4(c)の金属板60をプレス加工するとき、折り曲げ部72が溝部102bに侵入する。これにより、折り曲げ部72が金属板60の面63aから突出した状態で、金属板60が曲げられる。
同様に、雌型104のプレス面104a、割型106aのプレス面106d、割型106bのプレス面106c、下型107のプレス面107aにも溝部(不図示)が設けられる。
このように、プレス加工用の型としての雌型102,104、割型106a,106b、下型107は、矩形状の金属板60の面63aを押圧する押圧面としてのプレス面102a,104a,106d,106c,107aを有し、金属板60の面63aをプレス面102a,104a,106d,106c,107aによって押圧することにより円筒状の円筒軸としてのローラー本体16を形成する。
そして、長手方向(第一の方向)から見て、プレス面102a,104a,106d,106c,107aの断面形状は湾曲形状であり、長手方向に延びる凹部が形成され、その凹部には、プレス面102a,104a,106d,106c,107aよりも窪んで、長手方向と交わる方向に延び、プレス面102a,104a,106d,106c,107aの湾曲形状に沿った溝部が形成される。
この構成により、金属板60の面63aから突出する突部としての折り曲げ部72を溝部に侵入させた状態で、プレス加工によって、円筒状のローラー本体16を形成することができる。
次いで、本実施形態では、形成したローラー本体16の真円度を高め、振れを少なくするべく、従来公知のセンターレス研磨加工を行い、ローラー本体16の外周面を研磨する。すると、このローラー本体16は、センターレス研磨加工前に比べその真円度がより良好になり、また、振れ量も小さいローラー本体16となる。
ローラー本体16が回転すると、ローラー本体16に形成された摩擦層80に当接した用紙Pが、排出方向に搬送される。排出方向は、印字ヘッド21の往復動作によって文字や画像が記録されるときや、記録された用紙Pが排出されるときの搬送方向である。
図12(a)は、図4の金属板60を長手方向から見た端面61a,61bを示す断面図である。図12(b)は、円筒状に形成されたローラー本体16の端面61a,61bが対向する部分を示す断面図である。
図12(a)の端面61a,61bは、ローラー本体16の外周面となる面63aおよび内周面となる面63bに対して傾斜している。そのため、長手方向と交わる方向(図面左右方向)における面63aの長さは、面63bの長さより長い。
これにより、図12(b)の端面61a,61bが対向し、外周面となる面63a側の矢印Aに示す部分は接合される。または、離間した状態での距離が小さくなる。図12(c)は、比較のため、ローラー本体の端面が対向する部分を軸方向から見た断面図である。
図12(a)の破線に示すように、金属板60の端面が面63a,63bに対して直交する面が形成された場合には、図12(c)に示すように、一対の端面が対向し、外周面となる面側の矢印Bに示す部分に、内周側から外周側に向かって距離が長くなる隙間が形成されてしまう。
図13(a)は、ローラー本体16の外周面63aに嵌合部81a(81b〜81d)が形成された部分を示す図である。図13(b)は、ローラー本体16の凹部71と凸部70とが形成された部分の軸方向から見た断面図である。
図4(b)の長手方向と交わる方向において、端面61aと端面61bとの距離L5は、凹部71の端面71aと凸部70の端面70aとの距離L4より長い。これにより、図13(a)の凹部71の端面71aと凸部70の端面70aとの隙間の距離d1は、端面61aと端面61bとの隙間の距離d2より長い。尚、距離d2は、端面61aと端面61bとが接触し、距離d2が0である場合も含む。
図4(b)の端面61aと端面61bとの距離L5が、凹部71と凸部70とが形成された部分の端面の長さL4より短いと、図13(b)の破線に示すように、凸部70が凹部71と接触する。そのため、ローラー本体の外周面より突出する距離t1は、本実施形態において外周面63aより突出する距離t2より長くなる。
本実施形態のように、凹部71の端面71aと凸部70の端面70aとの隙間の距離d1が、端面61aと端面61bとの隙間の距離d2より長くなるようにローラー本体16を形成することにより、金属板60を加工する際の加工精度のばらつきによって凸部70の端面70aが外周面63aから突出する距離t2を短くすることができる。
以上、本実施形態で説明したプリンター1は、一方の軸端部から他方の軸端部に渡り一つの繋ぎ目(図5(a)の端面61a,61bが対向する部分と、嵌合部81a〜81dによって締結される部分)を有する金属製の円筒軸であるローラー本体16を含み、回転駆動する搬送ローラー15と、搬送ローラー15とで用紙Pを挟んで搬送する従動ローラー17と、用紙Pに記録を行う記録部と、ローラー本体16の軸方向における端部より内側に設けられ、ローラー本体16の一部が切り起こされてローラー本体16の外周面63aから突出する突部としての折り曲げ部72と、を備え、折り曲げ部72は、ローラー本体16における軸方向の位置を決める位置決め部を構成する。
この構成によれば、位置決め部を円筒軸と一体に形成できるので、製造コストの増加を抑制できる。
また、繋ぎ目は、搬送ローラー15の軸方向に延びる第1の繋ぎ目66(図5(a)の範囲Aにおいて端面61aと端面61bとが対向する部分)と、第1の繋ぎ目66よりも軸方向における一方の端部82側に設けられ、第1の繋ぎ目66に対して交差する方向に突出する突出部としての凸部70と、を備える。そして、折り曲げ部72は、軸方向において、凸部70と重ならない位置に設けられる。
ローラー本体16の一部が切り起こされてローラー本体16の外周面63aから突出する折り曲げ部72を形成することにより、ローラー本体16の外周面63aに開口部83が形成されるのでローラー本体16の剛性が低下する虞がある。本実施形態によれば、凸部70は、軸方向において、折り曲げ部72と重ならない位置に設けられるので、ローラー本体16の軸方向において剛性が低下する部分が形成されることを抑制できる。
また、折り曲げ部72は、周方向において、凸部70と重ならない位置に設けられる。これにより、ローラー本体16の周方向において剛性が低下する部分が形成されることを抑制できる。
また、図3の嵌合部81a,81bの凸部70は、軸方向における折り曲げ部72の両側に設けられ、嵌合部81a,81bの凸部70は、軸方向において、嵌合部81a,81bの凸部70と折り曲げ部72との距離L1,L2が、ローラー本体16の端部82と折り曲げ部72との距離L3より短い位置にある。
この構成によれば、金属板60の端面61aと端面61bとの繋ぎ目が周方向に離間する現象を嵌合部81a,81bの締結力によって抑制できる。
(実施形態2)
実施形態1では、ローラー本体に形成された突部としての折り曲げ部72が、位置決め部として構成されたが、実施形態2では、ローラー本体に形成された突部が、回転駆動力を伝達する係合部として構成される場合について説明する。
実施形態1では、ローラー本体に形成された突部としての折り曲げ部72が、位置決め部として構成されたが、実施形態2では、ローラー本体に形成された突部が、回転駆動力を伝達する係合部として構成される場合について説明する。
図8(a)は、実施形態2におけるローラー本体16aの斜視図である。ローラー本体16aには、突部としての折り曲げ部74が外周面76から突出して1箇所に設けられる。ローラー本体16aは、実施形態1で説明した方法により、一つの折り曲げ部74を形成し、円筒状に形成したものである。
図8(b)は、ローラー本体16aを折り曲げ部74が設けられた側と反対側から見た斜視図である。ローラー本体16aは、金属板の端面61a,61bが近接し、凸部70と凹部71が嵌合して形成された嵌合部81a,81b,81c,81dを有する。
図8(b)の嵌合部81a,81bは、軸方向において折り曲げ部74を間に挟み、折り曲げ部74の両側の位置に設けられる。これにより、折り曲げ部74を折り曲げたことにより外周面76に開口部75が形成されて剛性が低下することを抑制する。
図8(c)は、ローラー本体16aに挿入される歯車300を示す図である。歯車300には、ローラー本体16aの外周直径と略同じ直径の貫通孔301と、貫通孔301の内周面に形成された溝部302を有する。ローラー本体16aは、歯車300の貫通孔301を貫通し、折り曲げ部74は溝部302に嵌合した状態で連結される。これにより、折り曲げ部74は、歯車300に回転駆動力を伝達するための係合部として構成される。
折り曲げ部74をローラー本体16aと一体に形成できるので、製造コストの増加を抑制できる。
実施形態1で説明した折り曲げ部72、実施形態2で説明した折り曲げ部74は、光学式の検出部によって、搬送ローラーが回転した際の回転位置や回転数を検出するための被検出部として構成してもよい。
(実施形態3)
実施形態3では、突出部が軸方向の端部に設けられた搬送ローラーについて説明する。図9(a)は、実施形態3におけるローラー本体の基材としての金属板60aを示す平面図である。金属板60aは、図4(a)の矩形板状または帯状の大型金属板65をプレス加工によって形成したものである。
実施形態3では、突出部が軸方向の端部に設けられた搬送ローラーについて説明する。図9(a)は、実施形態3におけるローラー本体の基材としての金属板60aを示す平面図である。金属板60aは、図4(a)の矩形板状または帯状の大型金属板65をプレス加工によって形成したものである。
金属板60aの一方の長辺となる端面61bには、6個の凸部70が形成されている。また、金属板60aの他方の長辺となる端面61aには、6個の凹部71が形成されている。
金属板60aの長手方向(図面上下方向)の一方の端部には、台形状の折り曲げ部77が4個形成される。
図9(b)は、折り曲げ部77が折り曲げられた状態の金属板60aの斜視図である。図9(b)に示すように、プレス加工によって図9(a)の折り曲げ部77を破線に示す位置で面63a側に折り曲げる。
図10(a)は、実施形態3におけるローラー本体16bの斜視図である。ローラー本体16bは、実施形態1で図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)を参照して説明したプレス加工により図9(b)の金属板60aを矢印方向に曲げて円筒部85を形成したものである。
図9(b)の面63aは、図10(a)のローラー本体16bの外周面63aとなる。ローラー本体16bの軸方向の端部には、外周面63aから突出する突部としての折り曲げ部77が形成される。ローラー本体16bは、金属板60aの端面61a,61bが近接し、凸部70と凹部71が嵌合して形成された嵌合部81を有する。
プレス加工によって金属板60aを円筒状に形成するときは、実施形態1で図5(c)を用いて説明したように、それぞれの型102,104,106,107に溝部を設け、溝部に折り曲げ部77を侵入させ、折り曲げ部77が突出した状態に形成する。折り曲げ部77を型の内周面の外側に配置し、金属板60aをプレス加工する方法でもよい。
以上、図9(b)に示したように、金属板60aの折り曲げ部77を折り曲げた後、円筒状に形成したが、図9(a)の金属板60aを円筒状に形成した後、外周側に突出する形状に形成するようにしてもよい。次に、金属板60aを円筒状に形成した後、外周側に突出する形状に形成する方法について説明する。
図11(a)は、円筒部64と型110を示す斜視図である。図11(a)の円筒部64は、図9(a)の金属板60aをプレス加工により円筒状にしたものである。すなわち、図9(a)の金属板60aの折り曲げ部77を図9(b)に示すように折り曲げずに、図9(a)の金属板60aをそのまま円筒状にプレス加工したものである。
図11(b)、(c)は、図11(a)の円筒部64の軸方向における端部に形成された折り曲げ部77を押し拡げる状態を示す断面図である。図11(a)の型110は、円錐形状の先端部110aを有し、円筒部64の軸方向から矢印に示すように、円筒部64の端部に先端部110aを押し当てる。
このとき、図11(b)に示すように、円筒部64は、型111の穴部111aに挿入し、円筒部64の中空部分には、芯棒112が挿入する。このような状態において、型110を円筒部64の端部に押し当てることにより、折り曲げ部77が外側に押し拡げられる。
さらに、図11(c)に示すように、円筒部64が型111の穴部111aに挿入し、円筒部64の中空部分に芯棒112が挿入する状態で、平坦部113aを有する型113を折り曲げ部77に押し当てる。これにより、折り曲げ部77が軸方向に対して略直交する方向に曲げられ、図10(a)のローラー本体16bが形成される。
このようにして形成されたローラー本体16bの外周面における、従動ローラー17(図3参照)が配置される軸方向の範囲には、摩擦層80が形成され、搬送ローラーが構成される。
ローラー本体の端部に歯車を形成してもよい。図10(b)は、金属板60bの端部に形成された複数の歯型形状の折り曲げ部78を示す図である。図10(c)は、ローラー本体の軸方向から見た図で、歯車79を示す図である。実施形態3で説明した方法により、図10(b)の金属板60bを円筒状に形成し、図10(c)の複数の歯型形状の折り曲げ部78を有する歯車79をローラー本体と一体に形成してもよい。
実施形態1〜実施形態3では、インクジェットプリンターに備えられた搬送ローラーについて説明したが、感光体を備えた電子写真方式のプリンターに備えられた搬送ローラーにも適用する。
1…インクジェットプリンター、15…搬送ローラー、16,16a,16b…ローラー本体、60,60a…金属板、61a,61b…端面、63a…面、66…第1の繋ぎ目、70…凸部、71…凹部、72,74,77,78…折り曲げ部、81,81a〜81d…嵌合部、82…端部、102,104…雌型、102b…溝部、106a,106b…割型、102a,104a,106c,106d,107a…プレス面、L1,L2,L3…距離。
Claims (5)
- 一方の軸端部から他方の軸端部に渡り一つの繋ぎ目を有する金属製の円筒軸を含み、回転駆動する搬送ローラーと、
前記搬送ローラーとで記録媒体を挟んで搬送する従動ローラーと、
前記記録媒体に記録を行う記録部と、
前記円筒軸の軸方向における端部より内側に設けられ、前記円筒軸の一部が切り起こされて前記円筒軸の外周面から突出する突部と、を備え、
前記突部は、前記円筒軸における前記軸方向の位置を決める位置決め部であることを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置であって、
前記繋ぎ目は、
前記搬送ローラーの軸方向に延びる第1の繋ぎ目と、
前記第1の繋ぎ目よりも前記一方の軸端部側あるいは前記他方の軸端部側に設けられ、前記第1の繋ぎ目に対して交差する方向に突出する突出部と、を備え、
前記突部は、前記軸方向において、前記突出部と重ならない位置に設けられたことを特徴とする記録装置。 - 請求項1または請求項2に記載の記録装置であって、
前記突部は、周方向において、前記突出部と重ならない位置に設けられたことを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記突出部は、前記軸方向における前記突部の両側に設けられ、
前記突出部は、前記軸方向において、前記突出部と前記突部との距離が、前記円筒軸の前記一方の軸端部と前記突部との距離より短い位置にあることを特徴とする記録装置。 - 金属板の面を押圧する押圧面を有し、円筒状の円筒軸を形成するためのプレス加工用型であって、
前記円筒軸の外周を形成するために湾曲形状に形成された前記押圧面を含む凹部と、
前記凹部に形成され、前記押圧面よりも窪んで、前記湾曲形状に沿った溝部と、が形成されたことを特徴とするプレス加工用型。
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