以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下の説明では、一例として図1に示す画像形成装置10において、トナーとこのトナーを静電潜像に付着させるべく静電気力を利用して搬送する役割を担うキャリアとが混合された二成分現像剤により静電潜像が現像される場合を例に挙げて説明する。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、二成分現像剤以外の現像剤により静電潜像を現像する画像形成装置であれば如何なる画像形成装置に対しても適用される。また、本実施形態において、「トナー」とは、例えば帯電性を持ったプラスチック粒子に炭素等の色粒子を付着させた微粒子を指す。また、本実施形態において、「キャリア」とは、例えば磁性体をエポキシ樹脂等でコーティングした微粒子であって、トナーと混合され使用される微粒子を指す。
一例として図1に示すように、画像形成装置10は、感光体ドラム30(本発明に係る像保持体の一例)、帯電器32、露光器34、現像器36、除電ランプ38(本発明に係る除電手段の一例)、及びクリーナ40を備えている。
感光体ドラム30は、円筒状に形成された導電性の基体30A、及び感光膜30Bを含む。感光膜30Bは、例えば、基体30Aの外周面に電荷発生層と電荷輸送層とが積層された感光層を有し、電荷発生層中に有機系の電荷発生物質を含有する感光体で形成された膜である。
感光体ドラム30は、外周面が用紙Pに面するように配置されており、後述の駆動源106から駆動力を受けて予め定められた方向(図1に示す円弧矢印G方向)に予め定められた速度で回転する。
帯電器32は、感光体ドラム30の外周面に配置されている。帯電器32は、帯電ロール32A(本発明に係る付与手段の一例)及びクリーニングロール32Bを備えている。
帯電ロール32Aは、導電性のロールであり、その外周面が感光体ドラム30の外周面に接しており、感光体ドラム30の回転動作に従動して回転する。帯電ロール32Aには、後述の印加部100によりDC(直流)とAC(交流)とが重畳された重畳電圧が印加される。重畳電圧が印加された状態で帯電ロール32Aは、感光体ドラム30の回転に追従するように回転しながら、感光体ドラム30の外周面を全域にわたって画像形成用電位に帯電させる。ここで、画像形成用電位とは、例えば、露光器34によって静電潜像が形成される負極性の電位(例えば、−700V)を指す。なお、帯電ロール32Aに対して印加される交流は、放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を印加することにより感光体ドラム30の外周面の電位(以下、「感光体ドラム30の電位」という)を、帯電ロール32Aに対して印加された直流電圧にほぼ一致させる特性があり、帯電均一性・帯電環境変動改善の働きを担う電圧である。
なお、以下では、説明の便宜上、「感光体ドラム30の外周面に対する電位の付与」を「感光体ドラム30に対する電位の付与」と称する。また、以下では、説明の便宜上、「感光体ドラム30の外周面の帯電」を「感光体ドラム30の帯電」と称する。
クリーニングロール32Bは、帯電ロール32Aの外周面に接しており、帯電ロール32Aに付着したトナーやキャリア等の汚れを除去する。
感光体ドラム30の回転方向の帯電器32よりも下流側には露光器34が備えられている。露光器34は、感光体ドラム30の外周面が帯電ロール32Aによって帯電された状態で、感光体ドラム30における帯電された領域を露光する。露光器34は、複数のLED(発光ダイオード)が画像形成時における主走査方向(図2紙面前後方向)に沿って配列されたLEDアレイを含む。LEDアレイは、帯電ロール32Aにより帯電された感光体ドラム30の軸線方向に、入力された画像情報に基づく光ビームを走査しながら照射する。露光器34により光ビームが照射された領域の電位は低下し(現在の電位よりも接地電位側に遷移し)、感光体ドラム30に静電潜像が形成される。
感光体ドラム30の回転方向の露光器34よりも下流側には現像器36が備えられている。現像器36は、図1に示す円弧矢印G方向に移動中の感光体ドラム30に形成された静電潜像が現像剤転移位置に到達すると、静電潜像を予め定められた色(ここでは一例として黒)のトナーによって現像してトナー像を形成する。なお、現像剤転移位置とは、例えば、感光体ドラム30の外周面上における後述の現像ロール54に対向する位置を指す。
一例として図2に示すように、現像器36は、二成分現像剤が貯留された現像剤ハウジング50を備えている。現像剤ハウジング50の底面には透磁率センサ52が現像剤ハウジング50の内壁に立て掛けられて固定されている。従って、透磁率センサ52は、二成分現像剤に埋もれた状態となる。この状態で、透磁率センサ52は、現像剤ハウジング50の内部に貯留されている二成分現像剤の透磁率を測定する。
現像剤ハウジング50の内部には、現像ロール54(本発明に係る保持手段の一例)が設けられている。現像ロール54は、感光体ドラム30の外周面に近接するように軸線の周りに回転可能に現像剤ハウジング50に取り付けられている。また、現像剤ハウジング50の内部には、現像剤搬送ロール56が設けられている。現像剤搬送ロール56は、現像ロール54に隣接するように配置され、現像剤ハウジング50内の二成分現像剤を搬送すると共に二成分現像剤に含まれるトナーを現像ロール54に搬送する。
現像剤ハウジング50では、攪拌パドル58及び攪拌スクリュー60が後述の駆動源106からの駆動力を受けて回転することで現像剤ハウジング50に貯留されている二成分現像剤が攪拌されてトナーがキャリアに静電吸着する。このようにしてトナーが付着されたキャリアは、磁性を有する現像剤搬送ロール56に磁力で吸着されて現像ロール54へ搬送され、マグネットロールである現像ロール54に磁力で吸着される。現像ロール54には、後述の印加部100により現像ロール電圧が印加される。ここで、「現像ロール電圧」とは、例えば、感光体ドラム30の電位と相違しない極性(本実施形態では、負極性)の直流(現像用のバイアス電位)と交流とが重畳された予め定められた電圧を指す。
このように現像ロール電圧が現像ロール54に印加されると共に現像ロール54が後述の駆動源106の駆動力を受けて予め定められた方向(図3に示す円弧矢印方向)へ回転することにより、現像ロール54上のトナーが感光体ドラム30に転移する。つまり、現像ロール54の外周面に付着しているトナーが現像ロール54から感光体ドラム30における光ビームが照射された領域(感光体ドラム30の静電潜像)に転移し、これによって静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
現像剤ハウジング50の上方には、トナー補給装置62が備えられている。トナー補給装置62は、トナーを収容するトナーカートリッジ64と、トナーカートリッジ64の内部と現像剤ハウジング50の内部とを連通する補給流路66と、を備えている。トナーカートリッジ64の内部には、トナーを搬送する搬送部材としてのオーガ68が設けられている。オーガ68は、後述の駆動源106の駆動力を受けて回転する。従って、トナーカートリッジ64に収容されたトナーは、オーガ68が回転することで、補給流路66を通って現像剤ハウジング50の内部に補給される。なお、本実施形態では、現像剤ハウジング50の内部に補給されるトナーの補給量は、オーガ68の回転時間により調整される。なお、本実施形態では、現像剤ハウジング50の内部にキャリアは補給されず、トナーのみが補給される構成を採用している。
一方、図1において、感光体ドラム30の回転方向の現像器36よりも下流側には転写ロール70が備えられており、転写ロール70は、後述の駆動源106の駆動力を受けて円弧矢印H方向に回転する。転写ロール70には、後述の印加部100により正極性の電圧が印加される。トナー像が転写される位置、すなわち、感光体ドラム30の外周面上における転写ロール70の外周面と対向する位置(以下、「転写位置」という)には、予め定められた速度で用紙Pが搬送される。従って、転写ロール70は、転写位置を用紙Pが通過している間に正極性のバイアス電圧が印加されることで、感光体ドラム30の外周面に形成されたトナー像を用紙Pに転写させる。
このようにしてトナー像が転写された用紙Pの搬送経路には、定着装置72が設けられている。定着装置72は、加圧ロール72Aと加熱ロール72Bとを有しており、加圧ロール72Aと加熱ロール72Bとが対向配置されている。定着装置72に搬送された用紙Pは、加圧ロール72Aと加熱ロール72Bとによって挟み込まれて搬送されることにより用紙P上のトナー像は溶融すると共に用紙Pに圧着されて用紙Pに定着する。
感光体ドラム30の回転方向における転写ロール70よりも下流側には、除電ランプ38が設けられている。除電ランプ38は、感光体ドラム30の外周面に除電光を照射することで、感光体ドラム30の残存電位を除去する(例えば、感光体ドラム30の電位を接地電位にする)。なお、以下では、説明の便宜上、残存電位の除去を「除電」と称する。
感光体ドラム30の回転方向における除電ランプ38よりも下流側には、クリーナ40が設けられている。クリーナ40は、クリーニングブレード40A及び廃トナーボトル40Bを含む。転写ロール70によるトナー像の転写工程が終了し、感光体ドラム30の外周面のうちの転写位置を通過した領域(以下、「除電対象領域」という)が除電ランプ38により除電される。除電ランプ38により除電された除電対象領域上の残留トナーや紙粉等(以下、「残留トナー等」という)は、クリーナ90によって除去される。つまり、感光体ドラム30が回転された状態で除電対象領域にクリーニングブレード40Aが接触することによって残留トナー等が除去され、除去された残留トナー等は廃トナーボトル40Bに貯留される。
なお、以下では、図1の円弧矢印G方向に予め定められた速度で回転している感光体ドラム30の外周面のうちの除電ランプ38により除電された除電対象領域が帯電ロール32Aの電位付与位置に到達するまでの時間を“時間α”と称する。ここで、電位付与位置とは、帯電ロール32Aにより電位が付与される位置を指す。また、以下では、説明の便宜上、電圧が印加されていない状態の帯電ロール32Aに対する画像形成用電圧の印加が開始されてから除電対象領域に対して画像形成用電位が付与される迄に要する時間を、時間αよりも長い“時間β”としている。ここで、画像形成用電圧とは、画像形成用電位に対応する電圧を意味し、帯電ロール32Aにより感光体ドラム30に画像形成用電位が付与されるために帯電ロール32Aに印加される電圧を指す。
一例として図3に示すように、画像形成装置10は、CPU(Central Processing Unit)80、一次記憶部82、及び二次記憶部84を備えている。一次記憶部82は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリ(例えば、RAM(Random Access Memory))である。二次記憶部84は、画像形成装置10の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する不揮発性のメモリ(例えば、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)など)である。CPU80、一次記憶部82、及び二次記憶部84は、バス86を介して相互に接続されている。
二次記憶部84は、電位制御プログラム88を記憶している。CPU80は、二次記憶部84から電位制御プログラム88を読み出して一次記憶部82に展開し、電位制御プログラム88を実行する。CPU80は、電位制御プログラム88を実行することで、本発明に係る制御手段として動作する。
なお、ここでは、電位制御プログラム88を二次記憶部84から読み出す場合を例示したが、最初から二次記憶部84に記憶させておく必要はない。例えば、画像形成装置10に接続されて使用されるSSD(Solid State Drive)、ICカード、光磁気ディスク、CD−ROMなどの任意の可搬型の記憶媒体に先ずは電位制御プログラム88を記憶させておいてもよい。そして、CPU80がこれらの可搬型の記憶媒体から電位制御プログラム88を取得して実行するようにしてもよい。また、通信回線を介して画像形成装置10に接続されるコンピュータ又はサーバ装置等の外部電子計算機の記憶部に電位制御プログラム88を記憶させておいてもよい。この場合、CPU30は外部電子計算機から電位制御プログラム88を取得して実行する。
画像形成装置10は、CPU80と各種の入出力デバイスとを電気的に接続してCPU80と各種の入出力デバイスとの間の各種情報の送受信を司るインプット・アウトプット・インターフェース(I/O)90を備えている。画像形成装置10は、I/O90に接続されることで、バス86を介してCPU80と電気的に接続される入出力デバイスとして、受付部92、表示部94、通信インタフェース(I/F)96及び外部I/F98を備えている。また、画像形成装置10は、入出力デバイスとして、印加部100、駆動源106、及び露光器34を備えている。
受付部92は、例えば画像形成装置10の利用者や画像形成装置10の保守・点検を行う業者による操作入力を受け付ける。受付部92の一例としては、ディスプレイに重ねて用いられる透過型のタッチパネル、電源投入用の操作ボタン、各種情報の設定用の操作ボタン、及びスクロールキーなどの入力デバイスが挙げられる。
表示部94は、各種情報を表示する。表示部94の一例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。なお、画像形成装置10では、表示部94としての液晶ディプレイに対して受付部92の一部であるタッチパネルを重ね合わせることによって形成されたタッチパネル・ディスプレイを採用している。
通信I/F96は、例えば、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの通信網に接続されており、通信網に接続された情報処理装置(一例としてパーソナル・コンピュータ)との間の各種情報の送受信を司る。なお、本実施形態において、通信I/F96は、通信網に接続された情報処理装置から画像形成要求情報を受信する。ここで言う「画像形成要求情報」とは、単一又は複数の画像を記録媒体の一例としての用紙に形成することを要求する情報のことであり、画像形成要求情報には、用紙に形成すべき画像を示す画像情報が含まれている。また、本実施形態では、CPU80が通信I/F96を介して画像形成要求情報を取得し、取得した画像形成要求情報を一次記憶部82に一時的に記憶する。そして、画像形成要求情報に基づいて露光器34、印加部100、及び駆動源106を制御する。
外部I/F98は、外部装置(例えば、USBメモリ)に接続され、外部装置とCPU30との間の各種情報の送受信を司る。
印加部100は、ACアダプタ102を介して商用電源104に接続されている。印加部100は、帯電ロール32A、除電ランプ38、及び現像ロール54を含む電子部品に接続されている。印加部100は、帯電ロール32A及び現像ロール54に対して個別に電圧を印加することで、帯電ロール32A及び現像ロール54を、印加した電圧に応じた電位に帯電させる。印加部100は、除電ランプ38に電圧を印加することで、除電ランプ38を点灯させ、点灯状態の除電ランプ38に対して電圧の印加を停止することで、除電ランプ38を消灯させる。
駆動源106は、画像形成装置10に含まれる部材のうちの回転駆動力を受けて回転する各種部材に付与する回転駆動力を生成する。駆動源106は、各々CPU80により制御される複数のモータを含む。複数のモータに含まれるモータの一例としては、例えば、用紙Pを搬送するための搬送ロール(図示省略)を回転させるために搬送ロールに回転駆動力を付与するモータが挙げられる。また、例えば、感光体ドラム30に回転駆動力を付与するモータ、帯電ロール32Aに回転駆動力を付与するモータ、及び現像ロール54に回転駆動力を付与するモータが挙げられる。更に、例えば、攪拌パドル58に回転駆動力を付与するモータ、攪拌スクリュー60に回転駆動力を付与するモータ、オーガ68に回転駆動力を付与するモータ、及び転写ロール70に回転駆動力を付与するモータが挙げられる。
ところで、本実施形態に係る画像形成装置10では、感光体ドラム30が図1に示す円弧矢印G方向に回転している状態で、帯電ロール32Aに画像形成用電圧が印加されることで感光体ドラム30は画像形成用電位(負極性の電位)に帯電される。感光体ドラム30における画像形成用電位が付与された帯電領域に対しては露光器34により画像形成要求情報に基づく静電潜像が形成され、形成された静電潜像に対して現像ロール54により反転現像が行われる。すなわち、負極性の電位が付与された現像ロール54に正極性のキャリアを介して保持されている負極性のトナーが静電潜像に転移され、感光体ドラム30の外周面に負極性のトナー像が形成される。トナー像は、転写ロール70に付与された正極性の電位が作用して用紙Pに転写される。用紙Pに転写されずに感光体ドラム30の外周面における除電対象領域に残留したトナーを含む残留トナー等の殆どは、クリーナ40によって除去される。しかし、クリーナ70をすり抜けた残留トナー等は、転写ロール70により正極性に帯電しているため、帯電ロール32Aに付着する。
画像形成装置10では、一例として図5に示すクリーニング動作期間108に、帯電ロール32Aに付着した残留トナー等が除去される。クリーニング動作期間108は、除電ランプ38が消灯(オフ)されることで開始され、除電ランプ38が再び点灯(オン)されることで終了する。クリーニング動作期間108に入ってから感光体ドラム30が1回転すると、帯電ロール32Aに接地電位が付与される。帯電ロール32Aに接地電位が付与されると、帯電ロール32Aと感光体ドラム30との電位差により、帯電ロール32Aの残留トナー等が感光体ドラム30に転移され、帯電ロール32Aの残留トナー等が除去される。
しかし、クリーニング動作期間108を終了するために、一例として図5に示すように、除電ランプ38がオンされると、感光体ドラム30の除電対象領域が除電されるので、一例として図8に示すように、電位逆転期間110が発生してしまう。電位逆転期間110とは、感光体ドラム30(例えば、除電された除電対象領域)と現像ロール54との電位関係が一時的に逆転する期間を指す。そのため、除電対象領域が現像剤転移位置に到達すると、画像形成期間でないにも拘わらず、現像ロール54に保持されている負極性のトナーが除電対象領域に転移される虞がある。なお、現像ロール54の電位を感光体ドラム30の電位変動に追従させることで感光体ドラム30の外周面と現像ロール54との電位関係の逆転現象を抑制することも考えられるが、現像ロール54の電位を瞬間的な電位変動に追従させることは困難である。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置10では、一例として図6に示すクリーニング動作期間108の開始に伴って、一例として図4に示す電位制御処理が行われる。電位制御処理は、CPU80が電位制御プログラム88を実行することにより画像形成装置10によって行われる。なお、以下では、説明の便宜上、感光体ドラム30が図1に示す円弧矢印G方向に回転している場合について説明する。また、以下では、説明の便宜上、用紙Pが搬送されておらず、転写ロール70に接地電位が付与されている場合について説明する。
図4に示す電位制御処理では、先ず、ステップ150で、CPU80は、帯電ロール32Aの残留トナー等の除去を開始する条件(クリーニング開始条件)を満たしたか否かを判定する。クリーニング開始条件とは、例えば、クリーニング動作期間108が開始されてから感光体ドラム30が1回転したとの条件、又はクリーニング動作期間108が開始されてから感光体ドラム30が1回転するのに要する時間が経過したとの条件を指す。ステップ150において、クリーニング開始条件を満たしていない場合は、判定が否定されて、ステップ150の判定が再び行われる。ステップ150において、クリーニング開始条件を満たした場合は、判定が肯定されて、ステップ152へ移行する。
ステップ152で、CPU80は、印加部100を制御することで、帯電ロール32Aに対する交流の印加を停止し、その後、ステップ154へ移行する。
ところで、帯電ロール32Aの電位を一例として図5に示すように接地電位まで遷移させると、帯電ロール32A及び感光体ドラム30による放電が発生する。放電が発生すると、一例として図8に示すように、感光体ドラム30の電位が接地電位側に変動する電位低下期間112が発生する。
そこで、ステップ154で、CPU80は、印加部100を制御することで、一例として図6に示すように、帯電ロール32Aに対して印加されている直流を既定電圧値まで低下させ、その後、ステップ156へ移行する。既定電圧値は、本発明に係る汚れ除去用電圧の大きさの一例である。既定電圧値とは、例えば、帯電ロール32Aと感光体ドラム30との電位差により放電を発生させない電圧値(例えば、−200V)を指す。このように、ステップ154で帯電ロール32Aに対して印加されている直流を既定電圧値まで低下させることにより、一例として図9に示すように、図8に示す場合と比べ、感光体ドラム30の電位変動が抑制される。
また、ステップ152で感光体ドラム30の電位を直流の電圧値に追従させる機能を担う交流の印加が停止されてから、本ステップ154で直流の印加が抑制されるので、感光体ドラム30の局所的な電位変動(接地電位側への電位変動)が抑制される。
ステップ156で、CPU80は、クリーニング動作期間108を終了する条件(クリーニング終了条件)を満たしたか否かを判定する。クリーニング終了条件とは、例えば、ステップ154の処理が終了してから感光体ドラム30が2回転したとの条件、又はステップ154の処理が終了してから感光体ドラム30が2回転するのに要する時間が経過したとの条件を指す。ステップ156において、クリーニング終了条件を満たした場合は、判定が肯定されて、ステップ158へ移行する。ステップ156において、クリーニング終了条件を満たしていない場合は、判定が否定されて、ステップ156の判定が再び行われる。
ステップ158で、CPU80は、一例として図6に示すように、印加部100を用いて帯電ロール32Aに対して調整直流の印加を開始する。なお、調整直流とは、例えば、後述のステップ160で、帯電ロール32Aに対して交流が重畳印加されることで、除電された除電対象領域を現像ロール54の電位極性の電位(以下、「調整電位」という)に帯電させる直流を指す。なお、調整電位とは、例えば、画像形成用電位に相当する電位を指す。このように、調整電位として画像形成用電位に相当する電位を用いることは、画像形成用電位に相当する電位を用いない場合と比べ、クリーニング動作期間108から画像形成期間に遷移する場合に大幅な電位調整を行う必要がなくなる点で有利である。
次のステップ160で、CPU80は、印加部100を用いて帯電ロール32Aに対して交流の印加を開始する。このように、調整直流が印加された状態の帯電ロール32Aに対して交流が重畳印加されることで、除電対象領域が電位付与位置に到達したときに除電対象領域に調整電位(例えば、−700V)が付与される。また、ステップ158で調整直流の印加が開始された後に本ステップ160で交流の印加を開始することで、直流の印加開始に遅延させて交流の印加開始を行わない場合と比べ、感光体ドラム30の局所的な電位変動が抑制される。
次にステップ162で、CPU80は、除電ランプ38をオンする条件(除電ランプオン条件)を満たしたか否かを判定する。除電ランプオン条件とは、例えば、ステップ160の処理が終了してから時間γ(=時間β−時間α)が経過したとの条件を指す。なお、ここでは、時間γとして時間βから時間αを減じた時間を採用しているが、これに限らず、時間γは、時間βから時間αを減じた時間よりも長い時間であってもよい。すなわち、時間γは、除電対象領域のうちの除電が開始された領域(除電開始領域)が電位付与位置に到達したときに除電開始領域に調整電位が付与されるのに必要な待機時間(印加開始から調整電位が付与されるまでに必要な時間)を確保する時間であればよい。
ステップ162において、除電ランプオン条件を満たした場合は、判定が肯定されて、ステップ164へ移行する。ステップ162において、除電ランプオン条件を満たしていない場合は、判定が否定されて、ステップ162の判定が再び行われる。
ステップ164で、CPU80は、除電ランプ38をオンし、その後、ステップ166へ移行する。本ステップ164の処理により除電された除電対象領域が電位付与位置に到達すると除電対象領域に調整電位が付与されるので、一例として図9に示すように、図8に示す場合と比べ、感光体ドラム30と現像ロール54との電位関係が逆転することが抑制される。なお、図9に示す例では、ステップ154で帯電ロール32Aに印加される直流を既定電圧値まで低下させた場合が例示されているが、ステップ154で帯電ロール32Aに印加される直流を接地電圧値まで低下させてもよい。この場合、感光体ドラム30の表面電位は一例として図10に示すように変動し、図8に示す場合と比べ、感光体ドラム30と現像ロール54との電位関係が逆転することが抑制される。
なお、図8に示す例において、感光体ドラム30と現像ロール54との電位関係が逆転しているのは、除電対象領域のうちの除電が開始された領域に対して帯電ロール32Aによる電位の付与が間に合わなかったからである。これに対し、本実施形態に係る画像形成装置10では、ステップ162で除電ランプオン条件を満たしたことを条件に、ステップ164で除電ランプ38がオンされる。そのため、除電対象領域のうちの除電が開始された領域に対して帯電ロール32Aによる電位の付与が間に合わないという事態が回避され、除電が開始された領域を含めて、除電された除電対象領域に対して帯電ロール32Aにより調整電位が付与される。
ステップ166で、CPU80は、一次記憶部82に画像形成要求情報が記憶されていないか否かを判定する。ステップ166において、一次記憶部82に画像形成要求情報が記憶されていない場合は、判定が肯定されて、ステップ168へ移行する。ステップ166において、一次記憶部82に画像形成要求情報が記憶されている場合は、判定が否定されて、電位制御処理を終了する。
ステップ168で、CPU80は、印加部100を制御することで、一例として図7に示すように、帯電ロール32Aに対する電圧の印加、及び現像ロール54に対する電圧の印加を順に停止し、その後、ステップ170へ移行する。なお、帯電ロール32Aに対する電圧の印加の停止は、階段制御(段階的に(例えば、予め定められた時間間隔で)電圧値を下げる制御)によって行われることが好ましい。また、帯電ロール32Aに対する電圧印加の停止を開始してから現像ロール54に対する電圧印加の停止を開始するまでの時間は、例えば、帯電ロール32Aから現像ロール54までの位相差に応じた時間である。
次のステップ170で、CPU80は、除電ランプ38をオフする条件(除電終了条件)を満たしたか否かを判定する。除電終了条件とは、例えば、ステップ168で現像ロール54に対する電圧の印加が停止されてから感光体ドラム30が1回転するのに要する時間が経過したとの条件を指す。ステップ170において、除電終了条件を満たした場合は、判定が肯定されて、ステップ172へ移行する。ステップ170において、除電終了条件を満たしていない場合は、判定が否定されて、ステップ170の判定が再び行われる。
ステップ172で、CPU80は、印加部100を制御することで、一例として図7に示すように、除電ランプ38をオフし、その後、電位制御処理を終了する。
以上説明したように、画像形成装置10では、クリーニング動作期間108を除電の開始により終了する場合、除電が行われた除電対象領域に対して、除電対象領域が現像剤転移位置に到達する前に現像ロール54の電位極性の調整電位が付与される。これにより、除電状態の除電対象領域が現像剤転移位置に到達する場合と比べ、除電に応じた感光体ドラム30の電位変動に起因して現像ロール54からトナーが漏出することが抑制される。
また、画像形成装置10では、クリーニング動作期間108を除電の開始により終了する場合、除電が行われた除電対象領域に対して電位付与位置で調整電位が付与されるように帯電ロール32Aが制御される。これにより、除電対象領域に対して電位付与位置で調整電位が付与されるように帯電ロール32Aを制御しない場合と比べ、簡易な構成で、除電対象領域に調整電位が付与される。
また、画像形成装置10では、クリーニング終了条件を満たした場合に、帯電ロール32Aに対して調整直流が印加された後に交流が重畳印加される。これにより、帯電ロール32Aに対して調整直流が印加された後に交流が重畳印加されない場合と比べ、感光体ドラム30の電位変動が抑制される。
また、画像形成装置10では、クリーニング開始条件を満たした場合に、帯電ロール32に対して、交流の印加が抑制されてから直流の印加が抑制される。これにより、帯電ロール32に対して、交流の印加が抑制されてから直流の印加が抑制されない場合と比べ、感光体ドラム30の電位変動が抑制される。
また、画像形成装置10では、クリーニング開始条件を満たした場合に帯電ロール32に対して印加される直流の電圧値として、感光体ドラム30及び帯電ロール32Aによる放電が回避される既定電流値が採用されている。これにより、帯電ロール32に対して印加される直流の電圧値として、感光体ドラム30及び帯電ロール32Aによる放電が回避される既定電流値を用いない場合と比べ、感光体ドラム30の電位が放電により接地電位側へ変動することが抑制される。
なお、上記実施形態では、一例として図8〜図10に示すように、感光体ドラム30の電位がクリーニング動作期間108の前後で相違しないように制御されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11〜図13に示すように、クリーニング動作期間108が経過した場合に感光体ドラム30の電位が、クリーニング動作期間108が開始される前の電位よりも高い電位(よりマイナス側の電位)に遷移されるようにしてもよい。また、この場合、現像ロール54と感光体ドラム30との電位差を予め定められた電位差(例えば、−100V程度)に保持されるように(一例として図11〜図13に示すように)、感光体ドラム30の電位変動に追従させることが好ましい。なお、クリーニング動作期間108を経過した後の帯電ロール32A及び現像ロール54の電位は、帯電ロール32A及び現像ロール54に印加される電圧の電圧値によって定まる。
また、上記実施形態では、帯電ロール32Aにより感光体ドラム30に調整電位を付与する例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、図14に示すように、補助帯電ロール140により感光体ドラム30に調整電位を付与するようにしてもよい。補助帯電ロール140は、例えば、図14に示すように、感光体ドラム30の回転方向において、帯電ロール32Aよりも下流側で、かつ現像ロール54よりも上流側に配置されていればよい。また、この場合、CPU80が、調整電位が感光体ドラム30に付与されるように補助帯電ロール140に印加される電圧を制御すればよい。
また、上記実施形態では、ステップ164で除電ランプ38がオンされる前に調整直流の印加が開始される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。ステップ164で除電ランプ38がオンされる前に調整直流の印加が開始されるようにしたのは、除電ランプ38がオンされる前に調整直流の印加を開始しなければ、除電対象領域の一部(除電開始時の領域)に対する調整電位の付与が間に合わないからである。調整電位の付与が間に合わないと、例えば、除電対象領域の一部(除電開始時の領域)に調整電位が付与されない。しかし、除電ランプ38がオンされた後に帯電ロール32Aに対して調整直流の印加を開始しても除電対象領域への調整電位の付与が間に合うのであれば、除電ランプ38がオンされた後に帯電ロール32Aに対して調整直流の印加を開始してもよい。なお、この場合も、調整直流が印加されてから印加状態の調整直流に対して交流を重畳印加することが好ましい。
また、上記実施形態では、ステップ154で階段制御を行わずに直流を低下させる場合を例示したが、これに限らず、階段制御により電圧値を低下させるようにしてもよい。また、ステップ158で印加される調整直流についても階段制御により電圧値を上げるようにしてもよい。