JP2015107881A - 機械的信頼性の高い熱電ナノ複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱的/機械的な衝撃や振動を伴う機械的に過酷な環境における用途にふさわしい、機械的信頼性の高い熱電材料の提供。【解決手段】水中で一次元または二次元の熱電ナノ構造を分散させる工程と、保護マトリックス材料内部に熱電ナノ構造を三次元網目構造として埋め込む工程とを備え、数層のグラフェン酸化物ナノシートを前記二次元の熱電ナノ構造として使用し、保護マトリックス材料は正方晶ZrO2セラミックスを三次元埋め込み網目構造の支持体として使用する熱電バルクナノ複合材料。【選択図】なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、機械的信頼性の高いナノ構造体及びナノ複合材料を用いた熱電発電に使用される熱電バルクナノ複合材料に関する。
本発明はまた、熱電バルクナノ複合材料の製造に関する。
関連技術の説明
エネルギーの豊富な供給源である廃熱から、熱電(TE)材料を用いて、クリーンな電力を得ることは、確かに近い将来のエネルギー危機に対処する上で重要な役割を果たし得る。固体熱電材料の性能は、一般に無次元性能指数の値ZTによって判断される。ここでZTは、SσT/κであり、Sはゼーベック係数または熱電能であり、σは電気伝導率であり、κは熱伝導率であり、Tは温度である(非特許文献1参照)。
ZTが高ければ、熱電変換効率も高くなる。現在、ZTが約1程度の材料は、それが安定である温度範囲において商業的用途のための潜在的な候補として考えられる。材料価格、供給力および環境問題を考慮しない場合、いくつかの顕著な例は、(Bi1−xSb(Se1−yTe合金(ビスマスカルコゲナイド)、鉛−Te系合金、Si−Ge系合金、部分的に充填されたスクッテルダイト(CoSbファミリー)のようなフォノンガラス電子結晶(PGEC)システム、半ホイスラー合金、遷移金属酸化物(層状輝コバルト鉱、(SrTiO)n(SrO)mの形式でのラドルセン(Ruddlesden)−ポッパー(Popper)相のSrTiO基ペロブスカイト、ドープした酸化亜鉛系、等)である。
従来のTE材料系では、ZTを大きくすることは大きな課題となっている。その理由は、S、σ、κは相互に関連しており、容易に独立して制御することができない為である。例えば、σを増加させることは、一般的にSを低下させ、総κ(κlattice+κcarrier)へのキャリアの貢献を強化する。
Sはキャリア濃度に強く依存し、従ってσにもそうである点に留意されたい。しかし、材料のサイズが減少してナノメートルスケールに近づく場合、量子閉じ込め効果などのような新しい現象が潜在的にSを高め、さらに、ZTの増加のために、広い温度範囲にわたってS、σ及びκの独立制御を容易にすることができる(例えば、σの減少よりもSを増加させること)。
また、サイズを小さくすることにより多数の界面が創製され、潜在的にフォノンをより効果的に散乱するので、電子と同時に格子κを効果的に下げる可能性がある。これらの可能性は多くの研究者を集め、1990年代に低次元熱電気の新しい分野が開始された。
今日では、ナノ構造とナノ構造のTE複合材料は、同様の組成を持つそれらの通常のバルク対応物と比較して、優れた熱電特性を有することが、確立されている。いくつかの顕著な例は、2次元のPbTe/Pb1−xEuTe量子井戸超格子、PbTe/PbSe0.98Te0.02量子ドット超格子とSbTe/BiTe系超格子薄膜、ナノ構造のSi−Geのバルクまたは超格子、無秩序なプラズマ処理された少数層グラフェン(FL−G)フィルムやカーボンナノチューブ、層状輝コバルト鉱内の2次元六方晶系CoO、1次元および2次元ビスマスカルコゲナイドのナノ構造、ビスマスナノワイヤ、1次元および2次元のペロブスカイト系SrTiOナノ構造、並びにCaCo1228ナノワイヤである。
残念ながら、これらの有望な低次元のTEシステムは非常に脆く機械的な信頼性に欠ける(例えば、焼結された緻密質のバルク対応物の破壊靭性でさえ非常に貧弱であり、1MPa・m0.5未満に過ぎない)。これらの事実によって、機械的に過酷な環境でのそれらの信頼性が特に減ってしまう。またそれらのほとんどは、高価であり、希少で、環境に有害な要素が含まれている。
しかし、例えば酸化物や半導体型カーボンなどのように、豊富、安価で環境的に安全なTE−ナノ構造は、3D連結網目構造状に分散していると共に、非常に低い熱伝導率を有する保護用の強くてタフな耐摩耗性セラミックホストマトリックス内に埋め込むことができれば、これらの新規な低次元システムの機械的な低信頼性の重要な問題は、効果的に対処できる。
一方、特許文献1では、熱電性を考慮することなく、安定化ジルコニウム粒子の製造方法を示している。特許文献2では、熱電性および機械的信頼性を考慮することなく、グラフェン基板上にジルコニウム酸化物からなる膜の製造方法を示している。特許文献3では、熱電性および機械的信頼性を考慮することなく、Zrおよびグラフェンを含む複合材料の製造方法を示している。
特開2008−184339 特開2013−012481 特開2013−107807
Snyder G J and Toberer E S 2008 Nature Mater. 7 105
機械的信頼性の高い熱電(TE)材料を製造するために、製造方法が提案されると共に、実験的に調べられた。ここで、高い機械的信頼性が、熱的/機械的な衝撃や振動を伴う機械的に過酷な環境における用途にふさわしい。このような用途では、エネルギーの安定供給、信頼性、耐久性がエネルギー効率よりも重要である。
拡張性のある加工処理技術が、正方晶のZrO(TZP)保護セラミックマトリックスの内部にTE−ナノ構造を分散させて埋め込む目的で提案されており、水系コロイドプロセスと後続の放電プラズマ焼結で構成されている。
完全に緻密質で、機械的に信頼性のある少数層のグラフェン酸化物(FL−GO)−Y−ZrOのマトリックスの熱電ナノ複合材料は、上記の方法に従って提案されている。還元FL−GOナノシートはTEナノ構造と考えられている。Y−正方晶ZrOセラミックは保護マトリックスとみなされる。熱電特性評価によると、保護用正方晶Y−ZrOのセラミックマトリックスは還元GO網目構造の固有の熱電特性を劣化させないことを示唆している。
本発明による第1の態様は、
水中で一次元または二次元の熱電ナノ構造を分散させる工程と、
保護マトリックス材料内部に熱電ナノ構造を三次元網目構造として埋め込む工程と、
を備えることを特徴とする機械的に信頼性の高いバルクの熱電ナノ複合材料の製造方法を提供することを特徴とする。
本発明の第1の態様による方法の他の側面は、前記熱電ナノ構造は、遷移金属の酸化物、炭素、及び遷移金属炭化物と炭窒化物から選ばれる少なくとも一つの要素(element)であることを特徴とする。
本発明の第1の態様による方法の他の局面は、数層のグラフェン酸化物ナノシートが、前記二次元の熱電ナノ構造として使用されることを特徴とする。
本発明の第1の態様による方法の他の側面は、前記保護マトリックス材料は正方晶ZrOセラミックスであって、前記正方晶ZrOセラミックは前記熱電ナノ構造とそれらの三次元埋め込み網目構造の支持体として使用されることを特徴とする。
本発明の直近上記の態様による方法の他の側面は、xモル%のY−ZrO (0<x<8)が正方晶ZrOの保護マトリックスとして使用されることを特徴とする。当該上限値以上だと、正方晶構造が立方構造に変化して、機械的に弱くなる。
本発明による第2の態様は、正方晶ZrOのセラミックマトリックス内部に熱電ナノ構造を分散させて埋め込む方法を提供するもので、
分散された熱電ナノ構造と正方晶ZrOのナノ粒子の安定な水系懸濁液を調製する工程と、
前記熱電ナノ構造を分散させた水系懸濁液と前記正方晶ZrOのナノ粒子を分散させた水系懸濁液とを混合する工程と、
撹拌を停止した後に沈殿した複合粉末を集める工程と、
前記複合粉末を乾燥させる工程と、
前記乾燥した複合粉末を緻密化する工程と、
を備えることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る方法の他の局面は、前記混合物の上澄み液が熱電ナノ構造を含まず、かつ滞留の数分後に透明である限り、任意の固体量(solid loadings)の前記水系熱電ナノ構造懸濁液に前記水系正方晶ZrOの懸濁液の添加を継続することを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る方法の他の側面は、前記混合物の上澄み液が澄んで透明であるとき前記複合粉末が収集されることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る方法の他の局面は、乾燥し沈殿した複合粉末の緻密化は、電流活性/アシスト焼結(ECAS)又は放電プラズマ焼結(SPS)等の、加圧通電活性/アシスト急速昇温の緻密化プロセスによって実行されることを特徴とする。
本発明の直近上記の態様による方法の他の側面は、SPS緻密化が黒鉛モールド内であって、所定の熱処理条件で10Paを超えない真空雰囲気中で行われることを特徴とする。
本発明の直近上記の態様による方法の他の側面は、前記所定の熱処理条件は、30〜500MPaの応力下で1273から1873Kで0−60分間保持することを特徴とする。
(i)1273K以下の熱処理温度では、完全な緻密化が阻止される。
(ii)1873Kを超える熱処理温度では、サブミクロン粒子構造を達成することが阻止され、熱電ナノ構造に損傷を与える可能性がある。
(iii)30MPa以下の熱処理の圧力は、完全な緻密化を妨げる。
(iv)500MPaを超える熱処理圧力は技術的に困難かつ高価である。
(v)熱処理時間ゼロは完全な緻密化を阻止する。
(vi)60分超えての熱処理時間は、サブミクロン粒子構造を達成することを阻止し、熱電ナノ構造に損傷を与える可能性がある。
本発明による第3の態様は、熱電バルクナノ複合材料であって、100〜500nmの範囲のサイズを有する粒子を有する正方晶ZrOの保護マトリックスであって、二次元の熱電ナノ構造は、均一であって個別に正方晶ZrOの保護マトリックスの粒界に分散しており、前記二次元の熱電ナノ構造は導電性の3次元網目構造が形成されることを特徴とする。
本発明の第3の態様に掛るナノ複合材料の他の側面は、前記正方晶ZrOの保護マトリックスは、Y−正方晶ZrO、CeO−正方晶ZrO、Y−CeO−正方晶ZrO、Al−Y−正方晶ZrOから選ばれる少なくとも一種の要素であることを特徴とする。
本発明の第3の態様に掛るナノ複合材料の他の側面は、前記二次元の熱電ナノ構造は、グラフェン、カーボンナノチューブ、遷移金属酸化物、並びに遷移金属の炭化物及び炭窒化物から選ばれる少なくとも一種の要素であることを特徴とする。
図1は、機械的に信頼性の高いTZPマトリックスの熱電ナノ複合システムを実現するための方法を概念的に示している。 図2は、FL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料を作製するためのプロセス技術を示している。 図3は、完全に緻密な放電プラズマ焼結したFL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料の明視野走査型TEM(STEM)像を示している。 図4は、完全に緻密な放電プラズマ焼結したFL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料のTEM画像を示している。 図5は、完全に緻密な放電プラズマ焼結したFL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料の破断面を示している。 図6は、DC電気伝導度、ゼーベック係数、熱伝導率、力率と熱電性能指数の関係を示している。 図7は、放電プラズマ焼結の前と後のFL−GOナノシートの高解像度のC1sXPSとラマンスペクトルを示している。
好ましい実施形態の説明
以下、本発明について図面を参照して説明する。
図1は、機械的に信頼性の高いTZPマトリックスの熱電ナノ複合システムを実現するための方法を概念的に示している。ここでは、導電性三次元網目構造を形成すると共に、豊富にあり環境に安全な一次元(1D)または2次元(2D)の熱電ナノ構造が、低い熱伝導率を有し、高強度・高靱性で、硬質の耐摩耗性TZPホストマトリックスに埋め込まれている。特に機械的に過酷な環境下では、ナノ構造TZPセラミックマトリックスによって好適に保護されている間に、熱電ナノ構造の三次元網目構造は温度勾配から電気を生成する。
本発明は、正方晶ZrO基セラミックス(以下、TZPと呼ぶ)内部に新規のTE−ナノ構造を分散させ、その後埋め込んだもので、優れた機械的性質及び低い熱伝導率を有する。本発明では、特に機械的に過酷な環境下で、1次元および2次元のTE−ナノ構造体及びそれらの脆弱な網目構造を保護するために、TZPセラミックがホストマトリックスとして使用される。
TE−ナノ構造(例えば、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノシート)は、豊富にあり環境的に安全で熱的にも安定なもので、ホスト絶縁体TZPセラミックマトリックス内の三次元導電性網目構造を形成する。このナノ複合材料システムにおいては、特に機械的に過酷な環境下で、優れた機械的特性と熱伝導率が低いナノ構造TZPのマトリックスによって好適に保護されていると同時に、このTE−ナノ構造が温度勾配から電気を生成する。
TE−ナノ構造の保護に関しては、安定化した正方晶構造を持つTZPセラミックスは、この概念のための機械的信頼性が最も高く、低熱伝導マトリックス材料である。準安定正方晶構造のおかげで、TZPセラミックスは、これまでで最強で最も頑丈な構造用セラミックスの一つであり、優れた破壊靭性(〜10MPa・m0.5)、曲げ強度(〜1−2GPa)、硬度(〜15GPa)、剛性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、化学的不活性及び熱安定性のユニークな組み合わせを有する。加えて、それらは本方法に必須の前提条件である強く頑丈なセラミックスの中で非常に低い熱伝導率(〜2−3W/m・K以上)を有する。
さらに、その優れた生体適合性のために、それらは医療産業、特に整形外科(例えば、股関節インプラント)および歯科と幅広く使用されてきた。高温で素晴らしいZrOの正方晶構造をより低い温度で安定化させるために、Y及び/又はCeO等のようなある種の添加剤が、冷却又は環境の変化の際に、正方晶から単斜晶への変態を防ぐために使用される必要がある。得られたTZPは、その後調整可能な機械的特性を伴なうY−TZP、Ce−TZP、Y−Ce−TZPと表示される。
TE−ナノ構造では、熱安定性の重要な問題を本方法で考慮する必要がある。すなわち、SPSなどの高度な統合プロセスによってTZPマトリックスへの組み込みを可能にするために、可能なTE−ナノ構造は1300K以上の温度で安定している必要がある。この点を考慮して、遷移金属酸化物、各種の炭素原子、並びに層状をなす三元遷移金属の炭化物、窒化物および炭窒化物(MAX相)が、本方法でのTE−ナノ構造の潜在的な源である可能性がある。これらの全てはまた、本質的に高い融点および熱安定性を持ち、豊富で環境に安全な要素で構成されている。ここでは、いくつかの例が提示される:
金属酸化物族では、TE−ナノ構造は、化学的又は熱水法を用いて合成されたり(例えば、p型NaCoOナノシート、n型SrTiOのナノワイヤ、ナノチューブおよびナノシート;CaCo1228ナノワイヤ、p型Na2−xTiプロトン化チタンナノチューブ、p型La1−xSrCoOナノワイヤなど)、またはp型NaCoOとCaCo等のような層状輝コバルト鉱での剥離を介して抽出される。NaCoO粉末は酸処理によるナトリウム層の選択エッチングを介して剥離されるもので、NaCoO及び/又はCoOTE−ナノシートの製造において得られる。このTE−酸化物は、現在ナノシートとして抽出することができるが、六角晶のCoO層は正孔伝導と高い熱電能S(単結晶について573Kで100μV/K)の原因である。したがって、他の層状輝コバルト鉱やルドルセン(Ruddlesden)−ポッパー相SrTiO基ペロブスカイトも、類似の剥離の可能性が期待できる。
カーボンナノ構造体は、真空中で顕著な熱安定性を有する為、本方法におけるTE−ナノ構造体として潜在的に使用できる。カーボン族では、無秩序な半導体性のグラフェンのナノシート、ナノリボン及びカーボンナノチューブ(CNT)が最高のTE−ナノ構造の候補である。これまでのところ、カーボンナノ構造、マクロ構造とそれらのポリマーマトリックスナノ複合材料の熱電性能が実験研究の主題とされている。これは主に、たとえば、グラフェンナノリボンについて4を超える大きなZT値や、CNTについて500μV/Kを超える大きなゼーベック係数のような、理論的な研究予測によって引き起こされている。
層状をなす三元遷移金属の炭化物、窒化物または炭窒化物の族も熱的に安定なTE−ナノ構造の潜在的な源とみなすことができる(60以上の物質がMAX相として知られている)。Al含有MAX相は、HF処理を用いてAl層を選択的に除去し、Ti、TiC等のMCナノシートを後に残して剥離される(Mは早期遷移金属(early transition-metal)である)。MXeneとして言及される、これらの新規なナノシートの機能については、第一原理計算が示すように、TiC−O(市販)及びScC−(OH)(仮想的)のようなある単層MC-ナノシートは、OとOH基との可能な官能化の後で半導体となるものであるが、低温で巨大なゼーベック係数を有することができる。例えば、100KでTiC−Oについて〜1140μV/Kであり、ScC−(OH)単層について〜2200μV/Kである。
グラフェン酸化物3YSZシステムにおける本方法の原理証明の実証:
この方法の実験的証明の原理検証が還元GO(グラフェンオキサイド)−3YSZ(Y−TZP)マトリックスナノ複合材料システムにおいて実証されている。FL−GOナノシートが熱的に安定で、有機TE−ナノ構造体の一例として使用される。この理由は、どんなポリマー又は界面活性剤を必要とせずに、水中での優れたコロイド安定性と、容易に大規模に作製できるからである。
多くの実験的研究では、CNTやグラフェンのような新規なカーボンナノ構造は熱電性能を示している。ここで、CNTやグラフェンはフィルム、紙または3Dスポンジ状のバルクにアセンブルされ、または導電性ポリマーマトリックス複合材料用のTE−充填剤として使用される。すべてのこれらのマクロ構造は、特に、機械的に過酷な環境で非常に脆弱であることに注意すべきである。化学気相堆積(CVD)により成長させたFL−Gフィルムのゼーベック係数は、15秒間の酸素プラズマ処理の後で、575Kで〜700μV/Kに達する可能性がある。(元の状態のCVD成長FL−Gフィルムの熱電性は、室温(RT)で〜40μV/K、575Kで〜80μV/Kと測定された。)
当該処理後の電気伝導度は30%減少した(〜2−3×10S/m)にもかかわらず、力率Sσは〜4.5×10−3W/m・Kと大幅に向上させることができた。この前例のない熱電性能は、バンドギャップを開ける局所無秩序炭素に起因している。またアルゴンプラズマを使用した同様の方策もCNTに対して適用され、それらは、20秒間処理された単層CNT(SWCNT)紙の半導体について、ゼーベック係数が〜350μV/K、導電率が〜990S/m、〜670KでZTが0.4(元の状態については0.01)に達した(元の状態のSWCNT−バッキー紙については、720Kにおける最大の熱電能は〜50μV/Kであった点に注意)。これらの有望な結果は、確かにこの方法でカーボンナノ構造の使用を正当化する。
完全に緻密で、機械的に信頼性の高い酸化グラフェン−3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料の発明:
次に、製造方法の発明では、1次元及び/又は2次元のTE−ナノ構造から構成される類似のTZP−マトリックスTE−ナノ複合材料についての拡張性のある製造用に提案されている。これは、水系の界面活性剤を含まないか又は界面活性剤添加のコロイドプロセスと、その後のSPSの統合プロセスを含む。
図2は、FL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料の製造方法を示す図で、(a)は濃縮水系懸濁液の個々のFL−GOナノシートの明視野透過型電子顕微鏡(TEM)画像、および水中でのゼータ電位とpHの関係、(b)は水中で正に帯電した3YSZナノ粒子内に負に帯電したFL−GOナノシートを均一に分散させたもので、拡張性があり、完全に水系で界面活性剤を含まないコロイド法を用いて製造しており、放電プラズマ焼結を用いた完全に緻密なバルクを製造した。ここでは熱的に還元された導電性のFL−GOナノシートが、2次元TE−ナノ構造のための例として考えられる。熱重量分析(TG)(b部に示す減量−温度グラフ)では正確に2.65重量%となるように複合粉末におけるFL−GO含量を決定した。
提案された加工処理技術は、原理的に非常に単純であるが、TE−ナノ構造の分散およびTZPのホストマトリックスの粒子サイズ分布の観点において、均一性を達成する上で効果が大きい。これらは、実際にTE−ナノ複合材料の機械的信頼性と機能性を決定する。図2に示されるように、処理方法は、基本的によく分散したTE−ナノ構造およびTZPナノ粒子の別個の、安定な水系懸濁液の調製を含む。これらは、同様のpH値で、逆の符号を有する高い表面電荷密度(ゼータ電位≧30mV)を有する。
これらの懸濁液が一緒に混合されると、近隣の逆に帯電したTE及びTZPナノ構造体が容易に静電力によって、互いに引き付けられる。次に重い複合凝集体を形成し、混合を停止したすぐ後に沈下する(図2b参照)。混合懸濁液の上澄み液が透明または少なくともTE−ナノ構造が含まれていない場合には、個々のTE−ナノ構造がTZP粉末内に均一に分散しており、凝集していないことを保証する。そうでない場合には、TE−ナノ構造は、水の除去中に再凝集するが、これは実際に回避される必要がある。
乾燥中にそのようなTE−ナノ構造の再凝集を防止するために、懸濁液の相対的な固体量が制御される必要がある。すなわち、TZPナノ粒子の全表面積は彼らのゲストTE−ナノ構造を完全に引き付け、乾燥中に再凝集を防ぐために十分な大きさでなければならない。この点について、以下のような基準が確立された:上澄み液が数分間の滞留後にTE−ナノ構造を含まない状態まで、TZP懸濁液が任意の固体量のTE−ナノ構造懸濁液に添加されることを継続すること。FL−GO水系懸濁液を用いた実験によれば、ある範囲の固体量を有する3YSZ懸濁液は、この要件を満たす(すなわち、FL−GOナノシートを完全に引き付ける)。したがって、異なるTE−固体量を有する均一な複合体粉末が合成できる。
FL−GO/3YSZ系に関しては、まず、非常に安定な、濃縮された、水系FL−GO懸濁液が準備される。この詳細は実験の節に記載されている(図2aを参照)。次に、全部のFL−GOナノシートが3YSZナノ粒子(ここでは、20gの3YSZ重量)に引き付けられるまで、水系の3YSZ(TZ−3Y−Eグレード、東ソー製、日本)の懸濁液が継続的にFL−GO懸濁液に追加され、透明な上澄み液が観察された。沈降した複合粉末と透明な上澄み液が、図2bに示されている。濃縮されたFL−GOの懸濁液が黒い色を有する点に留意すると、混合物の明るい色が3YSZナノ粒子内のFL−GOナノシートの均一な分散に関するよい証拠である。正確な粉末のFL−GOの荷重量は2.65重量%であることが熱重量測定(TG)により測定された。
乾燥後、完全に緻密なナノ複合材料が、一般的に電流活性/アシスト焼結(ECAS)又はスパークプラズマ焼結(SPS)として知られている、迅速な圧力/電流アシスト緻密化プロセスにより作製された。一旦関連するTE−ナノ構造の水系懸濁液が調製されてから、この拡張性がある環境に優しく安価な加工技術が他のTZPマトリックスTE−ナノ複合システムに適用できる。最近、この技術によって、先進の機能的および構造的特性を有する新規なCNT−濃縮Alのマトリックスナノ複合材料が作製された。
図3は、放電プラズマ焼結によるFL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料の明視野走査型透過電子顕微鏡(BF−STEM)画像を示している。ここで提示されたものと同様の各種BF−STEM像によれば、個々のFL−GOナノシートは、YSZホストマトリックスの粒界に均一に分散していると共に、相互接続網目構造を形成する。従来のTEMに比べてSTEMモードの画像では、YSZマトリックス内のFL−GO相互接続網目構造のより良い実物説明を可能にする。かなりの同等な厚さを有する薄い相互接続する輝線はFL−GOナノシートであり、放電プラズマ焼結の間に熱的に還元されたもので、ナノ構造3YSZマトリックスの粒界に均一に分散されている。
また、YSZマトリックスはナノ構造で、細孔を含まず、構造的に均一なことが示されている。マトリックスの平均粒径は〜250nmである。明らかな点は、FL−GOナノシートは焼結中の3YSZマトリックスの粒成長を強く抑制することであり、それらは均一にマトリックス内に分散しているので、結晶粒微細化もまた、全ナノ複合材料全体に均一に実現される。同様のグラフェンの助けによる結晶粒微細化はSiとAlのマトリックス複合材料で知られている。図4に示される従来のBF−TEM画像は、FL−GO分散及びYSZマトリックスの粒子サイズ分布の点でナノ複合材料の優れた構造の均一性を確認する。
図4は十分に緻密な、放電プラズマ焼結によるFL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料のTEM画像を示している。(a)はGO分散及び3YSZ粒径分布の観点からナノ複合材料の構造的均質性を確認するための、異なる倍率を有する明視野TEM像である。(b)は原子的に親密な、無孔GO/3YSZ界面の高分解能TEM像である。(c)は対応のSTEM−エネルギー分散分光法元素マッピングを伴うSTEM像である。
図4bに示したものと同様の多くの高解像度TEM(HRTEM)画像によれば、かなりの同等な厚さを有する個々のFL−GOナノシートが、三重会合点と結晶粒界上に位置しており、3YSZマトリックスと原子的に親密な界面を形成する。非晶質または結晶質のいずれかの二次界面相は検出されなかったが、これは90MPaの応力下で1573Kにおける真空中のFL−GOナノシートと3YSZマトリックスの大きな熱安定性を示唆する。
もう一つの興味深い特徴は、個々のFL−GOナノシートの内部層内に形成された不規則性である(図4b)。芸術的な観点では、FL−GOナノシートは、「YSZの島」で「流れる川」と似ている。このような不規則性によって、内側層の相互ならびに表面層と内側層との物理的な接続が可能となり、それ故例えば、荷重支持や電荷キャリアを伝送する際に、FL−GOナノシートの全体的な機能とパフォーマンスを向上させる。一般に、グラファイト及び多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の炭素層は相互作用せず、弱いファンデルワールス力によって分離され、機械的および電気的負荷の大部分が表面層のみで行われる点に留意されたい。
MWCNTがAlセラミックマトリックスの中に埋め込まれている場合に、個々のMWCNTの内部に同様の凹凸を形成すること;すなわち、MWCNTはセラミックマトリックス中で劇的に強くなることが示された。この理由は、これらの不規則性が壁間の荷重伝達をもたらし、高度にエネルギーを消散する多層型の破壊を引き起こすからである。
FL−GOナノシート内でこれらの不規則性が形成されることは、グラファイト酸化および剥離の副作用である可能性がある。また、FL−GOとYSZマトリックスの熱膨張係数及び弾性率の不一致を考慮すると、このような有益な内部凹凸の発生の原因である別の機構はおそらく残留応力(熱的ミスフィット応力)である。この残留応力は、FL−GOナノシートのc軸方向に座屈を引き起こす。FL−GO網目構造で圧縮した場合、これらのミスフィット応力がカーボン三次元網目構造全体の接続性をさらに効果的に向上させ、それらの接合抵抗を減少させ、TE−ナノ複合材料の全体的な導電性を高める。顕著な例は、Alのセラミック環境内に密接に埋め込まれた濃縮MWCNT三次元網目構造(20体積%)の卓越した5000S/mのDC電気伝導率である。導電率の大きな値は、これらの純粋にホットプレスされたもの、整列されたもの、または高度に圧縮されたMWCNTバルクと同等であり、多孔質スポンジ状MWCNTバルクよりも劇的に高い。
図5は完全に緻密な、放電プラズマ焼結によるFL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料の破断面を示している。図5aと図5bは、異なる倍率のSEM像で、構造的に均一なナノ構造3YSZマトリックス内部の還元されたFL−GOナノシートの非常に均一な分散を示す。図5c及び図5dは、部分的に破断中の3YSZマトリックスから引き抜かれたいくつかの個々のFL−GOナノシートのTEM画像である。
図5の破断面は、STEMおよびTEM観察をサポートする(図3および図4)と共に、拡張性がある加工処理技術の成功を再確認する(図2)ものである。これらは、ナノ構造で無孔な構造的に均一な3YSZのホストマトリックス内部の、FL−GOナノシートの均一な分散内である。破断面に引き出され、分離されたナノシートの観察によると、SPSの間は界面(結晶粒界)で化学反応が発生していないことを意味するが、これはHRTEM画像と一致している(図4b)。おそらく、ある粒界領域内の物理的なYSZ−GO−YSZ結合は、このナノ複合材料システムの完全粒界破壊モードを説明できる。
この引き出しプロセスが摩擦であり、既存の欠陥の先端近傍でのエネルギー散逸に寄与する場合には、YSZマトリックスの破壊靭性及び強度のある程度の改善が予想される。このことは、Siのマトリックス複合材料で記載のものと同様である。ここで、これらの画像のみを使用して、この引き出しプロセスが摩擦でありエネルギー散逸であるか否かを判定することは不可能である。最後に、YSZセラミックに埋め込まれているにもかかわらず、FL−GOナノシートはその表面領域付近の亀裂が屈曲できるように、高度に柔軟である必要がある。
熱電特性評価:
図6は、十分に緻密な放電プラズマ焼結によるFL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料の電気伝導度、ゼーベック係数、熱伝導率、力率と熱電性能指数、ZTであり、温度の関数として示している。電気伝導度の高い値(室温と673Kの間で600〜700S/m)によって、絶縁性の3YSZセラミックマトリックス内部の熱的還元FL−GOナノシートの高度な結合性三次元網目構造の形成が確認された。温度による導電率の増加は、半導体のような挙動を示している。
作製したままのGOは絶縁体であるが、それは適切な化学的または熱的還元プロセスの際に、導電性になりうる点に留意されたい。したがって、SPSは、FL−GOナノシートの構造的な回復と効率的な脱酸素に有効であり、ヒドラジンなどの毒性還元性化学物質を必要としないことが、同様に、示されている。これはさらにSPS後の高解像度のC1sのX線光電子分光法(XPS)測定における炭素−酸素ピークの実効的な減衰によって支持されている。
図7は、放電プラズマ焼結の前と後のFL−GOナノシートについての高解像度のC1sXPSおよびラマンスペクトルを示している。図7に示すように、乾燥した複合粉のC1sスペクトルで検出された炭素−酸素結合の量(49.25%)は、SPS後の21.41%に低下する。これはまた、原子状酸素の有意な損失によって、FL−GOナノシートの重量がSPS後に減少している必要があることを意味する。それ故、2.65重量%の値は複合粉末に適用されるだけであり、他方でそれは放電プラズマ焼結ナノ複合材料の本当のFL−GO荷重よりもはるかに大きくなる必要がある。GOの熱還元に類似のものは、GO−Siのシステムで知られており、真空中でのSPS中に比較的長い熱還元プロセス(50MPaの下で、873Kで30分間と1898Kで5分間)の後で、その常温伝導率が(7.2体積%で)693S/m、(4.3体積%で)97S/mに達した。
ゼーベック係数の絶対値は、373から673Kにおける範囲で14.1から20.4μV/Kであり(図6b)、純粋なCNT、グラフェン、並びにGOマクロ構造及びCNTポリマーマトリックス複合体のそれに匹敵する。
Sの負の符号は、調べた温度範囲(373から673K)でのn型挙動を示唆している。これは電子がSPSしたナノ複合材料中の支配的な電荷キャリアであることを意味している。興味深いと共に有望であることは、ゼーベック係数と電気伝導度が室温から523Kまで同じ増加傾向に従うが、これによって523Kで0.28μW/m・Kの最大の力率が得られる(図6d)。一般的には、Sとσは反対の行動をする。
要約すれば、種々の炭素ナノ構造体のフィルム、バルクおよび複合材料の力率Sσ値と実験熱電能Sを全て考慮すると、保護用の絶縁体3YSZセラミックマトリックスが還元されたFL−GOの三次元網目構造の固有熱電特性を劣化させないように見える。
別の有望かつ前例のない観察としては、FL−GO/三次元網目構造の能力が、室温での3YSZマトリックスの熱伝導率τを2.962から1.879W/m・Kまでかなり減少することである(図6c)。これは、FL−GOの添加の結果として、新しい界面と結晶粒界の大量の形成によって説明でき(図3、4、5)、効果的にフォノンを散乱させ、熱伝導率を減少させる可能性がある。また、還元FL−GOナノシートの多数の欠陥は、ラマンスペクトルに反映されるが(図7)、散乱中心としても作用し得ると共に、還元FL−GO網目構造の熱伝導性の格子と電子だけでなく、YSZマトリックスの熱伝導も減少させる。ラマン分析では、強度、拡がりとDバンド(不良モード)とGバンド(グラファイトモード)の比は、一般に、炭素質材料の無秩序さと面内C−Cの完全性を定性的に評価するために使用される。
グラファイトの酸化と剥離の際に、Dバンドの出現、I/I比の有意な増加、Gバンドの拡大及びシフト、DバンドとGバンドの若干の結合、及び2次元バンドの消失によって、明らかにSPS前のFL−GOナノシート中の利用可能な高いレベルの欠陥について実証される。しかし、SPS後の、Gバンドの拡大とI/I比の減少、Gバンドシフトの完全な消失、DバンドとGバンドの完全な分離、並びに2次元バンドの出現は、sp2炭素部位のかなりの修復と炭素−酸素結合の除去を強く暗示する。これらは、FL−GO網目構造の高い導電性とC1sXPSスペクトル(図7)によってサポートされている。放電プラズマ焼結ナノ複合材料中のFL−GOナノシートの2次元バンドの対称性は確かに、剥離後に期待されるc軸の積み重ね順序の破壊に起因する。
最後に、熱伝導率の値が熱電性能指数ZT値(SσT/κとして)を計算するために使用されたが、これは、FL−GO/3YSZマトリックス熱電ナノ複合材料の全体の熱電性能を決定する。図6eに示されているように、ZTは温度とともに増加し、673Kで0.73×10−4の最大値に達する。ナノ複合材料は、FL−GOナノシート表面を燃焼せずに空気中で適切に作動できる523Kで、0.69×10−4のZT値であるが、これは673Kで得られる最大値に非常に近い点に留意されたい。放電プラズマ焼結したナノ複合材料の低い熱伝導率のおかげで、そのZT値は純粋な炭素のマクロ構造並びにポリマーマトリックスナノ複合材料に匹敵する。唯一の違いは、新しいTZPマトリックス熱電ナノ複合材料は、熱/機械的衝撃や振動を伴う機械的に過酷な環境で確実に使用できる。そこでは、エネルギーの安定供給、信頼性並びに耐久性がエネルギー効率よりも重要である。
本発明の実験の詳細
グラファイト酸化物粉末の調製
グラファイト酸化物粉末は、FL−GOナノシートを得るための前駆体である。黒鉛粉末を酸化するために、ハマー(Hummers)とオフマン(Offeman)の方法を改良した手法を用いた。典型的な実験では、入手したままの合成の、導電グレードの黒鉛粉末5.09gを、3.75gのNaNO、170mlの95%HSOおよび22.5gのKMnOの強力な酸化剤の混合物で、室温で5日間、ゆっくりと処理した。これは丸底フラスコ中で、マグネチックスターラーを用いて連続的に撹拌しながら行った。連続的な撹拌下で、5重量%のHSO水溶液525mlを5日間攪拌し、高粘性、褐色の混合物にゆっくりと添加した。この添加は非常に発熱性であるので、約40分以内でゆっくりと行った。新しい混合物を穏やかに約3時間さらに攪拌した。次に、30重量%のH水溶液15gをスラリーに添加し、約3時間撹拌した。この添加によって、多量のガスが発生した。
次に、さらに分解して不純物を除去するために、3重量%のHSOと0.5重量%のHとの520mlの水溶液を最終的なスラリーに添加した。混合物を10時間撹拌し、次いで約2日間沈殿物を放置し、最後にその上澄み液を除去した。この最初の精製工程を9回繰り返した。得られた混合物を、最終的に完全に不純物イオンを除去するために超純水(18MΩ・cm)で5回洗浄した。各洗浄工程は、約10時間、1000mlの純水で混合し、その後、2−14日間(イオン濃度に応じて)滞留させ、上澄み液を除去し、および超純水を添加することを含む。
5.5mS/mの非常に低いイオン伝導度を達成するために、この最終的な時間のかかる洗浄工程を7回繰り返した。このような低イオン濃度は、酸素含有官能基が大量にあるGOナノシートに対して高いコロイド安定性を確実にする。新しい水系グラファイト酸化物スラリーは濃縮された形態では黒色であるが、希釈された形態では淡黄色である(図2b参照)。
水系FL−GO懸濁液の調製:
GOナノシートの高度に安定した水系懸濁液を調製するために、ある量の精製されたグラファイト酸化物懸濁液を、超純水と混合し、マグネチックスターラーを用いて連続的に攪拌しながら1時間プローブ超音波処理をした。この超音波処理工程によって、一部の粒子の剥離と非常に薄いGOナノシートの抽出がもたらされた。このGOナノシートは、pHと独立して水中で負に帯電している(図1)。超音波処理した溶液を5000rpmで5分間遠心分離機をかけて、その後さらに遠心分離精製のために、遠心分離された細胞の上位70%を収集した。この分離プロセスは、完全に非剥離粒子と凝集物を除去するために3回繰り返された。様々なTEM画像(図2〜図5)を見ると、最後の上澄み液はFL−GOナノシートのみを含む必要がある。次に、この溶液のpHをNaOH溶液及び1時間の溶液槽の超音波処理を使用して、〜4.4に調整した。このpHにおいて、FL−GOナノシートのゼータ電位(−43mV)は、高濃度であっても水中での長期安定性を可能にするのに十分高い。十分に分散したFL−GOナノシートを高濃度に含むこの水溶液では、沈殿の痕跡なしに1ヵ月に渡って安定であった(図1a参照)。
水中でのGOナノシートのコロイド安定性と、ゼータ電位のpH依存性を決定するために、高希釈溶液が必要であった。この点で、3回遠心分離し、濃縮された上澄み液の数滴が、200mlの超純水で希釈されると共に、2時間溶液槽で超音波処理された。ゼータ電位測定および沈降試験並びに水中での3YSZナノ粒子のゼータ電位−pHの関係(例えば、pH〜4.3で40mV)によって、3回の遠心分離によって濃縮されたFL−GO水溶液についてpH約4.4が選択された。
FL−GO/3YSZマトリックスナノ複合粉末の製造:
このステップは、先に十分に記載されている。ここでは、安定な水系3YSZ懸濁液の調製および複合粉末の組成物の正確な決定だけが記載されている。70nm〜の平均粒径を有する、市販の所定量の正方晶3YSZ粉末(TZ-3Y-Eグレード、東ソー、日本)は、最初に200mlの超純水と混合され、3mmのZrOボールを使用してプラスチック容器内で2時間ボール混合された。このステップは、3YSZ粉末の粗い凝集体を解膠するために行った。次に、得られた濃縮スラリーを超純水1リットルで希釈し、HClを用いてpHを〜4.3に調整した。最終的に、スラリーを激しく磁気攪拌棒で攪拌しながら、2時間プローブで超音波処理した。得られた水系懸濁液は非常に安定しており、類似のpHを有する水系FL−GO懸濁液と混合するための準備ができた。
複合粉末のFL−GO含有量を正確に決定するために、TG実験器(SII EXSTAR6000、TG6200/DTA)を使用した。(吸収された水の量は、測定から除外するように)393Kの後で、空気中の重量損失を測定した(図2b)。水の除去を確実にするために、サンプルを1時間393Kで保持した。2回のTG測定を実施したが、結果はほとんどと同じであって(2.65重量%及び2.68重量%)、FE−GOナノシートは3YSZ粉末の全ての場所で並外れた分散の均一性を示していた。
FL−GO/3YSZマトリックスナノ複合粉末の焼結:
FL−GO/3YSZマトリックス粉末の固化成形は、〜5Paの真空雰囲気であって、黒鉛鋳型のSPS(住友石炭鉱業(株)製、Dr.Sinter、SPS−511S)を用いて、以下の条件によって行った:50℃/分の加熱速度で1573Kに達するまで加熱し、90MPaの応力下で1573Kに12分保持し、後にチャンバ内が室温になるまで冷却を継続する。グラファイトダイスの深い側孔内の温度は、操作温度と考えられるため、粉末試料から1mm離れた位置で光高温計を用いて測定した。放電プラズマ焼結ナノ複合材料の見掛け密度は5.816g/cmで、液浸媒体として水を用いてアルキメデスの原理によって測定した。ナノ複合材料は、最大3メートルまでの高さからの自由落下テストに首尾よく合格したが、これはその大きな機械的信頼性を示すものである。
FL−GOナノシートの重量は、原子状酸素の有意な減少に起因するために、SPS後に減少している必要がある点に留意されたい(図7のXPSの結果を参照)。したがって、実際の放電プラズマ焼結したFL−GOナノ複合材料の真の重量は、複合粉末のそれである2.65重量%よりもはるかに低いことが必要である。
特性化:
構造的な観察のために、15kVで運転されるFE−SEM(JSM−6500F、JEOL、東京、日本)、従来型のLaB銃TEM(JEM−2100、JEOL、東京、日本)並びにSTEMモードの200kVで運転される電界放出TEM(JEM−2100F、JEOL、東京、日本)および高分解能STEM−EDS元素マッピングを可能にするエネルギー分散分光法(EDS)アナライザを用いた。TEM試料には、〜15μmの厚さの平板を準備するために、従来の研削に続いて研磨、およびディンプルの研削/研磨工程(ガタン656、USA)がなされた。次いで、平板を精密イオン研磨システム(PIPS;二重ペニングアルゴンイオン銃、ガタン691、USA)を使用して、最終的な薄化のために中空のモリブデンメッシュ上に載せた。
高分解能XPSスペクトルは単色X線のAlKα線(0.2mm径;18kV、50W)を使用するPHI Quantera SXM分光計(アルバックファイ、日本)で記録された。エネルギー較正を183.2eV時のZrOの特性ピークZr3d5/2を用いて行った。ラマンスペクトルは、室温で、514.532nmのレーザー光を用いた顕微ラマン分光計で記録した。Gバンドの強度に対して正規化された当該スペクトルは、試料の多くの異なる部分から収集され、それらは高度に比較可能である。
汎用熱測定システムZEM−3(ULVAC−RIKO社、日本)を使用して、ヘリウム雰囲気中で、室温、373K、523Kおよび673Kで、ゼーベック係数Sと導電率σが、標準四探針法により同時に測定された。棒状サンプル(2x2x10mm)は、任意の導電性ペーストを使用せずに、プローブに機械的に接続されていたことに留意されたい。すなわち、部分的に露出した還元FL−GOナノシートは、その表面上でプローブとの良好な接触をしていたため、それらの結合三次元網目構造によって、10mmの棒状サンプルに沿って電気を伝えることができた。レーザーフラッシュ法(ULVAC TC−7000、日本)は、アルゴン雰囲気中で、室温、373K、473K、523K、573K、623Kおよび673Kについて、10mm円板ナノ複合材料試料(厚さ1.5mm)の熱拡散率と比熱容量を同時に測定するために使用された。比較用として、10分間50MPaの下で1573Kで放電プラズマ焼結された、純粋で完全に緻密な3YSZサンプル(6.027g/cm)の室温の熱伝導率も測定された。次に、各温度での熱伝導率(W/m・K)が、対応する測定された熱拡散率(m/秒)と比熱容量(J/g・K)に密度(5.816g/cm)を乗じて計算された。最終的には、力率(μW/m・K)および無次元性能指数ZT値が、それぞれSσ及びSσT/κとして計算された。
今まで本発明の実施形態の説明が記述されたが、当業者には前述は例示にすぎず、例示としてのみ提示されたもので、これに限定的されないことは明らかである。多数の他の実施形態および変形例は、これに添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に入るものと考えられる。
新規な機械的に信頼性の高いTZPマトリックスTE−ナノ複合材料は、熱的/機械的衝撃、振動、機械的に過酷な環境下で、持続可能なクリーンな発電のために使用できる。そこでは、特にエネルギーの安定供給、信頼性、耐久性が、エネルギー効率よりも重要である。TZPのマトリックスの優れた生体適合性を考慮すると、このような新規なナノ複合材料であっても体内で、例えば、電力埋め込み医療装置に使用できる。

Claims (14)

  1. 水中で一次元または二次元の熱電ナノ構造を分散させる工程と、
    保護マトリックス材料内部に熱電ナノ構造を三次元網目構造として埋め込む工程と、
    を備えることを特徴とする機械的に信頼性の高いバルクの熱電ナノ複合材料の製造方法。
  2. 前記熱電ナノ構造は、遷移金属の酸化物、炭素、及び遷移金属炭化物と炭窒化物から選ばれる少なくとも一つの要素(element)であることを特徴とする請求項1に記載の熱電ナノ複合材料の製造方法。
  3. 数層のグラフェン酸化物ナノシートが、前記二次元の熱電ナノ構造として使用されることを特徴とする請求項1に記載の熱電ナノ複合材料の製造方法。
  4. 前記保護マトリックス材料は、正方晶ZrOセラミックスであって、前記正方晶ZrOセラミックは前記熱電ナノ構造とそれらの三次元埋め込み網目構造の支持体として使用されることを特徴とする請求項1に記載の熱電ナノ複合材料の製造方法。
  5. xモル%のY−ZrO(0<x<8)が正方晶ZrOの保護マトリックスとして使用されることを特徴とする請求項4に記載の熱電ナノ複合材料の製造方法。
  6. 分散された熱電ナノ構造と正方晶ZrOのナノ粒子の安定な水系懸濁液を調製する工程と、
    前記熱電ナノ構造を分散させた水系懸濁液と前記正方晶ZrOのナノ粒子を分散させた水系懸濁液とを混合する工程と、
    撹拌を停止した後に沈殿した複合粉末を集める工程と、
    前記複合粉末を乾燥させる工程と、
    前記乾燥した複合粉末を緻密化する工程と、
    を備える正方晶ZrOのセラミックマトリックス内部に熱電ナノ構造を分散させて埋め込む含む方法。
  7. 前記混合物の上澄み液が熱電ナノ構造を含まず、かつ滞留の数分後に透明である限り、任意の固体量の水系熱電ナノ構造懸濁液に水系正方晶ZrOの懸濁液の添加を継続することを特徴とする請求項6に記載の正方晶ZrOのセラミックマトリックス内部に熱電ナノ構造を分散させて埋め込む方法。
  8. 前記混合物の上澄み液が澄んで透明であるとき前記複合粉末が収集されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記乾燥し沈殿した複合粉末の緻密化は、電流活性/アシスト焼結(ECAS)又は放電プラズマ焼結(SPS)等の、加圧・通電アシスト急速昇温の緻密化プロセスによって実行されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  10. SPS緻密化が黒鉛モールド内であって、所定の熱処理条件で10Paを超えない真空雰囲気中で行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記所定の熱処理条件は、30〜500MPaの応力下で1273から1873Kで0−60分間保持することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 100〜500nmの範囲のサイズを有する粒子を有する正方晶ZrOの保護マトリックスであって、
    二次元の熱電ナノ構造は、均一であって個別に正方晶ZrOの保護マトリックスの粒界に分散しており、
    前記二次元の熱電ナノ構造は導電性の3次元網目構造が形成されることを特徴とする熱電バルクナノ複合材料。
  13. 前記正方晶ZrOの保護マトリックスは、Y−正方晶ZrO、CeO−正方晶ZrO、Y−CeO−正方晶ZrO、Al-Y−正方晶ZrOから選ばれる少なくとも一種の要素であることを特徴とする請求項12に記載の熱電ナノ複合材料。
  14. 前記二次元の熱電ナノ構造は、グラフェン、カーボンナノチューブ、遷移金属酸化物、並びに遷移金属の炭化物及び炭窒化物から選ばれる少なくとも一種の要素であることを特徴とする請求項12に記載の熱電ナノ複合材料。
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