JP2015107515A - レーザ溶接方法及び装置 - Google Patents

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Seiji Kumazawa
誠二 熊澤
勝児 住本
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勝児 住本
中井 出
Izuru Nakai
出 中井
北村 嘉朗
Yoshiaki Kitamura
嘉朗 北村
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Abstract

【課題】ケースと蓋との溶接を安定して高品質に実施することができるレーザ溶接方法及び装置を提供する。【解決手段】蓋2の平面と垂直な方向から見たときに蓋の中央から蓋の外側に向ってケースの開口部1aの縁と蓋の縁との接触部16にレーザ光6を照射することで、蓋の平面と垂直な線に対して外側に向ってレーザ光を照射し、レーザ光の照射部の外側に沿って接触部の全周にわたって配置した排気ノズル4−1の吸い込み口4−1aから排気を行うとともに、排気ノズルの下方に接触部の全周にわたって配置された給気ノズル15から給気を行い、加工点より発生するプルーム7を全周にわたって加工点より外側へ向ける。【選択図】図2

Description

本発明は、二つの長辺と二つの短辺とで構成する矩形枠の開口部を有する筒状体のケースの開口部に蓋を挿入して、開口部と蓋とを全周溶接するレーザ溶接方法及び装置に関するものである。
携帯機器等の駆動用電源として、高容量のアルカリ蓄電池に代表される水系電解液二次電池、又は、リチウムイオン二次電池に代表される非水系電解液二次電池などの密閉型二次電池が広く使用されている。また、電子機器のバックアップ電源等に電気二重層コンデンサが広く用いられている。近年、これらの密閉型二次電池又は電気二重層コンデンサは、ハイブリッド自動車又は電気自動車の電源として注目されており、高容量、高信頼性、低コストへの要望が、益々大きくなっている。
このような電池に代表されるエネルギデバイスは、ケースと封口板とを電解液が漏れないように封口板の外周を密閉する必要があり、低コストで安定した高品質の溶接技術が求められている。
電池のケースと封口板とを溶接することについては、熱源としての走査性、大気中での加工が可能な点、比較的短時間での深い溶込みが可能な点より、レーザ光を用いるのが一般的である。
ケースの内側と封口板外周との接合面にレーザ光を照射し、ケースと封口板との接合面を周回する軌道にレーザ光を走査して、封口板の全周をケースと溶接することにより、封口板の外周を密閉する。
電池の封口板を溶接する際、加工点にレーザ光を照射することにより、加工点より金属蒸気であるプルームが発生する。レーザ光の光路にプルームが存在すると、レーザ光がプルームによって吸収あるいは散乱し、加工点に到達するレーザパワーが低下して、溶込み深さが浅くなる、又は、溶接しなくなるという現象が発生し、溶接品質が安定しない。
プルームをレーザ光の光路外に向けることにより、加工を安定させる方法として、プルームをある方向に吸引することが考えられる。が、プルームの向きを制御する先行文献として、レーザ加工時に被加工物から発生する煙又は塵を吸込む集塵装置を従来の加工事例とする。
特許文献1によると、図10において、被加工物であるシート体51は把持手段52によって引張り力により把持されている。このように設置されたシート体51に対してその厚み方向、すなわち上方から、レーザ加工手段53によりレーザ光が照射される。一方、集塵装置54は、レンズ55とシート体51との間に配置される加工領域の周囲を囲んで設けた筒体56に備えられている。この筒体56の側面には、吸引装置57と連通する吸い込み口58を備えており、またこの吸い込み口58は、シート体51の加工形状を変化させないように、シート体51に対し、シートの厚み方向に隙間を設けている。
平面度保持手段61の保持部材59の形状は、図10に示すようにシート体51と保持部材59との角度を30度にしている。保持部材59が把持手段52との干渉を避けるため、移動手段60により移動した場合でも、吸い込み口58と吸引装置57の連結部の内径を保持部材59がふさぐことがないように、移動手段60の移動量と吸い込み口58の形状を設定している。
これらにより、シート体51の吸着動作を維持した状態で加工することができ、かつ、吸い込み口58とシート体51との隙間に平面度保持手段61の保持部材59を有しているため、外部からの空気の流入が少なく、シート体51上に塵を残すことなく、効率の良い集塵が可能となる。また、シート体51の端縁の加工時、平面度保持手段61が移動手段60により移動した場合でも、空気の流れが殆ど変化せずに安定した集塵をすることができる。
特開2002−96189号公報
しかしながら、特許文献1に示される従来技術をケースと封口板との溶接時におけるプルームの吸引に適用する場合、以下に示すような課題がある。
一つ目の課題として、封口板には端子又は注液口を塞ぐ封栓などの突起が構造上存在するため、非加工物の全ての加工点において安定したプルームの方向の制御が困難なことである。特許文献1によると、被加工物であるシート体51は把持手段52によって引張り力により把持されているため、シート体51は平面であり、シート体51上の加工点と吸い込み口58の相対位置はシート体51のどの位置であっても維持される。
一方、例えばリチウムイオン電池を例にとると、図1に示すように筒状体のケースに端子1x,1yが取り付けられた封口体である蓋を挿入している。このような非加工物が凹凸のある構造であると、加工位置によって加工点と吸い込み口58の相対位置を同じにしても、非加工物の凹凸構造の影響を受けて吸引状態が変化するため、非加工物の全ての加工位置において、同様の吸引状態を実現するのが困難となり、プルームを安定してレーザ光の光路外に向けることが難しい。
二つ目の課題として、レーザ光を非加工物の真上から照射した場合、プルームも加工点の真上に発生するため、レーザ光の光路からプルームを完全に外すことが困難である。例え加工点の上部の側面からの吸引力を上げても、プルームの上部は吸い込み口の方向に向くが、プルームの下部、すなわち加工点のすぐ上部付近のプルームはレーザ光の光路を塞ぐため、レーザ光がプルームによって吸収あるいは散乱の影響を完全に除去することは難しい。
三つ目の課題として、非加工物の周囲を全周溶接しなければならない点がある。給気又は排気を一方向からのみ行うと、レーザ光の光路上にプルームが位置する点が必ず存在し、その点において加工が不安定となる。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたもので、ケースと蓋との溶接を安定して高品質に実施するができるレーザ溶接方法及び装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の第1態様にかかるレーザ溶接方法は、開口部が二つの長辺と二つの短辺とで構成する矩形枠である筒状体のケースの前記開口部に蓋を挿入して、前記開口部の縁と前記蓋の縁との接触部を全周にわたってレーザ溶接する溶接方法において、
前記接触部の外側に沿って全周にわたって配置した排気ノズルのから、前記蓋の平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の中央側から前記蓋の外側に向けて排気を行い、
前記排気ノズルの下方に前記接触部の外側に沿って全周にわたって配置した給気ノズルの給気口から、前記蓋の平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の外側から前記蓋の中央側に向けて不活性ガスを供給する給気を行い、
前記排気ノズルの前記吸い込み口で排気を行うとともに、前記給気ノズルの前記給気口から、前記蓋の前記平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の外側から前記蓋の中央側に向けて給気を行いつつ、前記蓋の前記平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の中央側の上方から前記蓋の外側に向って前記接触部にレーザ光を照射することで、前記蓋の前記平面と垂直な線に対して外側に向って傾斜する軌道に沿って前記レーザ光を前記接触部に順に照射する、レーザ溶接方法であることを特徴としている。
また、本発明の第2態様にかかるレーザ溶接方法は、前記給気ノズルの前記給気口から不活性ガスを、前記ケースの外側面に当って上側に向きを変えるように供給することにより、前記給気を行う、第1態様に記載のレーザ溶接方法であることを特徴としている。
更に、本発明の第3態様にかかるレーザ溶接方法は、前記排気ノズルのうちの長辺側の排気ノズルの長さが、前記ケースの長辺の長さより長く配置して、前記長辺側の排気ノズルの端の部分での吸引力と前記排気ノズルのうちの短辺側の排気ノズルでの吸引力とにより、前記レーザ光の走査する方向と外側の直角方向に近い角度に向かって前記プルームが吸引され続けて前記プルームが外側に傾斜する、第1又は2態様に記載のレーザ溶接方法であることを特徴としている。
更に、本発明の第4態様にかかるレーザ溶接方法は、前記接触部に前記レーザ光を照射するとき、前記接触部のうちの前記レーザ光を照射する位置に応じて、前記排気ノズルの前記吸い込み口からの前記排気と、前記給気ノズルの前記給気口からの前記給気とを、前記接触部の長辺側と短辺側とで個別的にオンオフ制御する、第1〜3態様のいずれか1つに記載のレーザ溶接方法であることを特徴としている。
更に、本発明の第5態様にかかるレーザ溶接装置は、開口部が二つの長辺と二つの短辺とで構成する矩形枠である筒状体のケースの前記開口部に蓋を挿入して、前記開口部の縁と前記蓋の縁との接触部を全周にわたってレーザ溶接するレーザ溶接装置において、
前記蓋の平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の中央側の上方から前記蓋の外側に向って前記接触部にレーザ光を照射することで、前記蓋の前記平面と垂直な線に対して外側に向って傾斜する軌道に沿って前記レーザ光を前記接触部に順に照射するレーザ光照射装置と、
前記接触部の外側に沿って全周にわたって配置しかつ前記ケース側に開口した吸い込み口を有して、前記吸い込み口により、前記蓋の平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の中央側から前記蓋の外側に向けて排気して、レーザ照射時に前記接触部のうちの前記レーザ光が照射された加工点より発生するプルームを、前記加工点から前記加工点の外側に向けて傾斜させて前記レーザ光の前記軌道から外す排気ノズルと、
前記排気ノズルの下方に前記接触部の外側に沿って全周にわたって配置され、かつ、前記ケース側に開口した給気口を有して、前記蓋の前記平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の外側から前記蓋の中央側に向けて不活性ガスを供給する給気ノズルとを備えて、
前記排気ノズルの前記吸い込み口で排気を行うとともに、前記給気ノズルの前記給気口から、前記蓋の前記平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の外側から前記蓋の中央側に向けて給気を行いつつ、前記レーザ光照射装置で前記レーザ光を前記接触部に照射する、レーザ溶接装置であることを特徴としている。
更に、本発明の第6態様にかかるレーザ溶接装置は、前記ケースに接して前記ケースを保持する治具と、
前記排気ノズルに連結されて前記排気ノズルを開閉する排気用流速調整バルブと、
前記給気ノズルに連結されて前記給気ノズルを開閉する給気用流速調整バルブと、
前記接触部に前記レーザ光を照射するとき、前記接触部のうちの前記レーザ光を照射する位置に応じて、前記排気用流速調整バルブと前記給気用流速調整バルブとをそれぞれ個別にオンオフ制御して、前記排気ノズルの前記吸い込み口からの前記排気と、前記給気ノズルの前記給気口からの前記給気とを個別に制御する制御部とを備える、第5態様に記載のレーザ溶接装置であることを特徴としている。
本発明の前記態様によれば、ケース(例えば二次電池のケース)の開口部の縁と蓋(例えば封口板)の縁との接触部を溶接する溶接工程において、全ての加工点において安定した高品質及び高速の密封溶接を実現できる。また、例えば、蓋が凹凸がある構造体であっても、同様に高品質の溶接を実現することができる。そのため、例えば、高容量及び高信頼性で低コストである二次電池、又は、同様の構造である電気二重層コンデンサを始めとした電子部品等の製造を可能とする。
筒状体のケースに端子が取り付けられた封口体である蓋を挿入した図 本発明の第1実施形態にかかるレーザ溶接方法における、ケースと蓋との溶接工程を示す上面図 本発明の第1実施形態にかかるレーザ溶接方法における、ケースと蓋との溶接工程を示す断面図 本発明の第1実施形態にかかるレーザ溶接方法における、ケースと蓋との溶接工程を示す断面図 本発明の第2実施形態にかかるレーザ溶接方法における、ケースと蓋との溶接工程を示す上面図 本発明の第2実施形態にかかるレーザ溶接方法における、ケースと蓋とのコーナー部の溶接工程を示す上面図 本発明の第2実施形態にかかるレーザ溶接方法における、長辺側と短辺側との溶接工程を示す三面図 本発明の第3実施形態にかかるレーザ溶接方法における、右側の接触部でのケースと蓋との溶接工程を示す断面図 本発明の第3実施形態にかかるレーザ溶接方法における、左側の接触部でのケースと蓋との溶接工程を示す断面図 本発明の第3実施形態の変形例にかかるレーザ溶接方法における、右側の接触部でのケースと蓋との溶接工程を示す断面図 本発明の第3実施形態の前記変形例にかかるレーザ溶接方法における、左側の接触部でのケースと蓋との溶接工程を示す断面図 従来のレーザ加工機の集塵装置の構成を示す側面図
以下、本発明の実施の形態にかかるレーザ溶接方法及び装置について、図面を参照しながら説明する。説明の簡略化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示し、一部の説明を省略する。
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態における、開口部1aが二つの長辺1bと二つの短辺1cとで構成する矩形枠である筒状体のケースの開口部1aに蓋2を挿入して、開口部1aの縁と蓋2の縁との接触部16を全周にわたってレーザ溶接する溶接方法について、蓋2の平面に垂直方向のレーザ照射側から見た図である。また、図2における断面A−A’を図3に示す。ただし、治具3にはハッチングを付して、他の部材と容易に区別可能として図示している。図2及び図3において、開口部1aが二つの長辺1bと二つの短辺1cとで構成する矩形枠である筒状体のケース1と、ケース1の開口部1aに蓋2を挿入したものを治具3によって位置規制する。治具3は、中央に開口部3aを貫通形成した長方形板状部材で構成され、開口部3a内にケース1を嵌合してケース1の長手方向及び幅方向の側面の下部に当接して位置規制する。治具3の高さは、下記する排気ノズル4,4−1を配置するための空間を確保するため、ケース1の高さより低く構成されている。このとき、治具3がケース1の長手方向の両側面及び幅方向の両側面を、ケース1の内側方向に向けて外側からそれぞれ押すことにより、ケース1と蓋2との隙間が長手方向及び幅方向においてなるべく小さくなるように規制を行う。
治具3の上には、レーザ溶接の加工点(接触部16のうちのレーザ光が照射された位置)より発生するプルーム7及び加工(レーザ照射)後に加工点の上方に漂う煙又は塵を吸引して排気するための長辺側の排気ノズルである4−1と4−2と、短辺側の排気ノズルである4−3と、排気ノズル4−1、4−2及び4−3から吸引されたプルーム7及び煙及び塵を集塵装置20へと導く排気管5とが配置されている。排気管5の途中には、排気用流速調整バルブ22を配置して、排気用流速調整バルブ22によって所定の流速となるように調整することができる。ここで、集塵装置20と排気用流速調整バルブ22と排気管5とでプルーム方向制御用排気装置24の一例を構成している。長辺側の排気ノズル4−1及び4−2と短辺側の排気ノズル4−3とは、基本的な構成及び働きは同様である。
図3に示すように、治具3の上面に排気ノズル4−1、4−2、4−3が空洞を介して配置されており、排気ノズル4−1、4−2、4−3の排気のための吸い込み口4−1a、4−2a、4−3aは、接触部側、すなわち、ケース1側に向いている。ここでは、一例として、治具3のケース1から見て外側に、吸い込み口4−2aの高さ8に対して、排気ノズル4−2の吸い込み口4−2aと逆方向の奥の排気管5側の高さ9が大きくなるような寸法に構成されている。このような構成の排気ノズル4−2を、吸い込み口4−2aの上面の高さ11が加工点の位置より少し高い位置、すなわち排気ノズル全体が加工点の位置より高い高さで配置している。
また、排気管5の先にある排気用流速調整バルブ22によって、下記の作用効果を達成可能な程度の所定の流速で排気するように調整するとともに、開閉することによりオンオフ制御もできるようにしている。このように構成することにより、排気ノズル4−1は、加工点より発生するプルーム7及び加工後に加工点上方に漂う煙又は塵を吸い込み口4−1aの周辺の雰囲気(空気)と一緒に吸い込み口4−1aに吸引することにより、加工(レーザ照射)時に発生するプルーム7を吸い込み口4−1aの方向へ向けるように方向制御することができる。
また、治具3のケース1の上面外側近傍、すなわち、各排気ノズル4−1、4−2、4−3の底面近傍の治具3の上面近傍には、図3に示すように、加工点に雰囲気ガスを供給する給気ノズル15の給気口15aが、排気ノズル4−1、4−2と同様にレーザ光6の図2における接触部16の外側に沿って形成されるように配置されている。各給気ノズル15は、給気用流速調整バルブ22を介してガス供給装置30に接続され、ガス供給装置30から給気用流速調整バルブ22を介して給気ノズル15の給気口15aから、加工点の外側から全周に亘って、不活性ガス、例えば窒素ガスなどの給気を行う。給気は、給気ノズル15の給気口15aから蓋2の外側から蓋2の中央側に向けて不活性ガスを供給して、不活性ガスがケース1の外側面に当って上側に向きを変えるように供給することにより行う。また、給気用流速調整バルブ22によって、所定の流速で給気するように調整するとともに、開閉することによりオンオフ制御もできるようにしている。このように不活性ガスを供給する給気により、レーザ照射時に加工点で酸化を防止することができる。
ケース1の縁と蓋2の縁との接触部16に対して、蓋2の平面と垂直な方向から見たときに、ケース1及び蓋2の上方でかつ蓋2の中心から蓋2の外側(治具3側)に向って斜めに、レーザ光照射装置21からレーザ光6を照射することで、蓋2の平面と垂直な線に対して外側に向って傾斜する軌道に沿って接触部16にレーザ光6を順に照射する。接触部16のうちのレーザ光6を照射した部分(加工点又は照射部)では、レーザ光6の照射によりケース1と蓋2との加工点部分での温度が上昇して溶融を始める。このとき、加工点から加工点の上方に向けて、ケース1と蓋2とのプラズマ状態であるプルーム7が炎状に発生する。しかしながら、排気ノズル4−1、4−2、4−3の吸引力により、プルーム7は排気ノズル4−1、4−2、4−3の吸い込み口4−1a、4−2a、4−3aの方向に向いて傾斜させられて、レーザ光6の軌道から外れる。そのため、レーザ光6が、プルーム7に干渉せずに加工点まで到達し、プルーム7による吸収あるいは散乱よって加工点に到達するレーザ光のパワーが低下することがないため、安定した照射が可能となり、ケース1と蓋2との溶接品質が安定する。
図2に示すように、レーザ光6の二つの長辺1bと二つの短辺1cの接触部16の外側に沿って排気ノズル4−1、4−2、4−3をそれぞれ配置し、排気ノズル4−1、4−2、4−3の吸い込み口4−1a、4−2a、4−3aから排気を行うことにより、加工点より発生するプルーム7を全周にわたって加工点より外側へ向けることが可能となり、全周にわたってケース1と蓋2との安定した溶接が実現できる。
前記第1実施形態おいて、具体的な実施例にかかるレーザ溶接方法及び装置について、実施例1として説明する前に、まず、給気を行わない例を比較例1として、説明する。
[比較例1]
図2及び図3において、長辺1bが150mm、短辺1cが30mm、板厚0.6mmのアルミニウムからなるケース1に、板厚1.5mmのアルミニウムからなる蓋(封口板)2を挿入する。
次に、ケース1の外寸より僅かに大きな矩形の開口部3aを有する、例えば銅などの金属から構成される治具3に、ケース1を挿入する。図示はしていないが、このとき、治具3はケース1を蓋2側へ押す機構を持ち、ケース1を押すことにより、ケース1と蓋2との隙間がなるべく小さくなるようにしている。
次に、排気を開始する。ここで、まず、治具3及び排気ノズル等の構成について、図2と図3とに基づいて説明する。治具3は、図2と図3とに示すように、二つの長辺と二つの短辺とのそれぞれ四つの辺に接する四つのブロックから構成されている。長辺側のブロックの上方には、吸い込み口4−1aと4−2aの高さ8が10mm、排気ノズル4−1と4−2の吸い込み口4−1aと4−2aと逆方向の奥の排気管5側の高さ9が30mm、長辺と平行する長さ10が150mmの排気ノズル4−1と4−2を、吸い込み口4−1aと4−2aとの下面の高さ13が加工点の位置より5mm高い位置に配置する。また、短辺側のブロックの上方には、吸い込み口4−3aの高さ8が10mm、排気ノズル4−3の吸い込み口4−3aと逆方向の奥の排気管5側の高さ9が30mm、短辺と平行する長さ17が長さ30mmの排気ノズル4−2を、吸い込み口4−3aの下面の高さ13が加工点の位置より5mm高い高さで配置する。各排気ノズル4−1、4−2及び4−3と治具3との間は空気が流れるように空洞とし、排気管5の先にある排気用流速調整バルブ22によって1〜5m/s程度の流速で排気するように調整した。この比較例1では、給気ノズル15からのガスの給気はしなかった。
次に、スポット径が0.5mmである3kWのファイバーレーザによるレーザ光6を、レーザ光照射装置21から、図3の紙面の奥側から手前側の方向に150mm/sの速度でケース1の開口部1aの矩形に沿って走査した。このとき、レーザ光6とケース1と蓋2との加工点から蓋2の平面と垂直な線との傾斜角度12を5度として走査を行い、レーザ光6の加工点から発生するプルーム7を観察したところ、プルーム7は、接触部16の全周において接触部16の外側の方向へ向いていた。
溶接後、ケース1と蓋2との溶接部を観察したところ、全溶接箇所にピット及びスパッタ痕等の不安定箇所は見られなかったが、所々に表面上の僅かなビードの乱れが観察された。ビードの乱れの何れの箇所も断面を観察すると、溶込み形状及び深さに大きな変化はなく、溶接としては安定していることが分かった。
前記第1実施形態おいて、具体的な実施例にかかるレーザ溶接方法及び装置について、実施例1として説明する。
給気ノズル15から窒素ガスの給気を行う以外は、比較例1と同様の構成で同様な溶接を行った。
図3において、ガス供給装置30から給気ノズル15に供給される窒素ガスは、給気ノズル15の元にある給気用流速調整バルブ29によって流速が調整されている。すなわち、給気ノズル15から噴射される窒素ガスの流速が全周にわたって1〜2m/sとなるように給気用流速調整バルブ29で調整し、レーザ光6が接触部16を全周する間中、窒素ガスの吹き付けを行った。このときのレーザ光6の照射点(加工点)から発生するプルーム7を観察したところ、接触部16の全周において、プルーム7は接触部16の外側の方向へ向いていたが、蓋2の平面と垂直な線とプルーム7との傾斜角度14は、比較例1より大きくなっていた。
給気ノズル15からの窒素ガスの吹き付けによりプルーム7がより外側に傾く理由として、以下のようなことが考えられる。排気ノズル4−1と給気ノズル15との給排気部を拡大した図を図4に示す。この図4において、給気ノズル15の給気口15aの中心を、溶接されるケース1の加工点の高さより低く配置することにより、給気ノズル15の給気口15aから左の方向へ向かって給気される窒素ガスの半分以上は、ケース1の外側面に当って上側に向きを変えるように配置している。排気により外側へ傾いていたプルーム7に、前記上向きの窒素ガスが接触すると、排気ノズル4−1によって、吸い込み口4−1aの周辺の空気と一緒に吸い込み口4−1a内に吸引されて排気される。この結果、排気ノズル4−1の吸い込み口4−1aの流量が増え、プルーム7の吸引力が増すことにより、プルーム7は更に外側へ傾く。なお、給気ノズル15の上方向きに流れる窒素ガスは、そのまま加工点付近の外側を流れ、加工時の酸化を防止する。
溶接後、ケース1と蓋2との溶接部を観察したところ、全溶接箇所にピット及びスパッタ痕等の不安定箇所は見られなかった。所々に表面上の僅かなビードの乱れが観察されたが、その発生数は、比較例1に比較すると少なくなっていた。これは、排気のみでなく窒素ガスの給気を同時に行うことにより、排気ノズル4−1への排気量が多くなり、加工点から発生するプルーム7がより一層排気ノズル4−1の方向へ吸引されたためだと考えられる。ビードの乱れの何れの箇所も断面を観察すると、溶込み形状及び深さに大きな変化はなく、溶接としては安定していることが分かった。
なお、実施例1では、給気ガスとして窒素ガスを用いているが、アルゴンガスなどの加工に応じたその他のガスを用いても、同様の効果が得られる。また、流速についても非加工物の材料又は大きさに応じて最適な値に設定すればよく、特に制限されるものではない。
このように前記第1実施形態によれば、給気ノズル15から不活性ガスの給気を行うことにより、排気だけの場合よりも、接触部16の全周において、プルーム7が、蓋2の平面と垂直な線に対して外側に向ってより大きく傾斜させることができる。この結果、ケース(例えば二次電池のケース)1の縁と蓋(例えば封口板)2の縁との接触部16を溶接する溶接工程において、全ての加工点においてプルーム7のレーザ光6の干渉を抑制することができて、安定した高品質及び高速の密封溶接を実現できる。また、たとえ蓋2が凹凸がある構造体であっても、同様に高品質の溶接を実現することができる。そのため、例えば、高容量及び高信頼性で低コストである二次電池、又は、同様の構造である電気二重層コンデンサを始めとした電子部品等の製造を可能とする。
以下は、前記第1実施形態の効果が優れていることをより理解しやすくするため、排気ノズル4−1と4−2と4−3との排気を停止した比較例2について、説明する。
[比較例2]
比較例1と同様の構造でかつレーザ光6の照射時に排気ノズル4−1と4−2と4−3との排気を停止して、比較例1と同様の溶接を行った。
レーザ光6の照射点から発生するプルーム7を観察したところ照射点より真上に向いていた。溶接後、ケース1と蓋2との溶接部を観察したところ、全溶接箇所にピット及びスパッタ痕等の不安定箇所は数多く見られ、更に多くの箇所で表面上のビードの乱れが観察された。何れの箇所も断面を観察すると、ピット及びスパッタ痕の箇所において溶込み形状及び深さに大きな変化が見られ、接触部の全体に亘って安定した溶接が出来なかった。
なお、前記第1実施形態において、接触部16にレーザ光6を照射するとき、接触部16のうちのレーザ光6を照射する位置に応じて、排気ノズル4−1,4−2,4−3の吸い込み口4−1a,4−2a,4−3aからの排気と、給気ノズル15の給気口15aからの給気とを、接触部16の長辺側と短辺側とで個別的にオンオフ制御するようにしてもよい。これについて、以下、第2実施形態及び第3実施形態として、詳しく説明する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態にかかるレーザ溶接方法及び装置について説明する。
図5は、ケース1の長辺1bに接する治具を、長辺側の治具3−1と3−2とし、同様にケース1の短辺1cに接する治具を、短辺側の治具3−3として、それぞれ区別している。長辺側の治具3−1と3−2上に配置した長辺側のノズル4−1と4−2との長さを、ケース1の長辺1bの長さより長くして、ケース1の長辺1bの両端部から長辺側のノズル4−1と4−2の端の部分がそれぞれはみ出るように配置する。そうすることにより、図6に示すように接触部16のコーナー部をレーザ光6が走査する際のプルーム7の方向は、ケース1の長辺(接触部16の長辺)より長い排気ノズル4−1又は4−2の端の部分での吸引力と短辺側の排気ノズル4−3での吸引力とにより、レーザ光6の走査する方向と外側の直角方向(走査方向と直交する直角方向でかつ外側の方向)に近い角度(図6では右下方向)に向かって吸引され続ける。そのため、接触部16の直線部16aのみでなくコーナー部16bでも、プルーム7が、レーザ光6の進行方向に対して常に接触部16の外側(図6の右下方向)に向く(外側に傾斜する)。
図7の(b)と(c)とは、それぞれ、図7の(a)の長辺側の接触部16と短辺側の接触部16とに対するレーザ光6の照射角度を示している。蓋2の中心から外側に向って接触部16にレーザ光6を照射するため、長辺側の接触部16を照射するときの角度をθとし、短辺側の接触部16を照射するときの角度をθとすると、θ<θが成り立つ。且つ長辺側の排気ノズル4−1がケース1の長辺側の長さより長いため、短辺側の接触部16をレーザ光6が走査する場合のプルーム7は、長辺側の接触部16を走査するときよりよりも、大きく外側に傾く。このため、全周にわたって、プルーム7がレーザ光6と干渉することがより低減され、溶接が更に安定する。
前記第2実施形態おいて、具体的な実施例にかかるレーザ溶接方法及び装置について、実施例2として説明する。
ケース1の長辺1bに接する長辺側の治具3−1と3−2との上に配置した長辺側の排気ノズル4−1と4−2の長さ10を、ケース1の長辺1bの長さ150mmよりも長い200mmとした以外は、実施例1と同様の構成で同様な溶接を行った。
溶接後、コーナー部16bにおけるケース1と蓋2との溶接部を観察したところ、4箇所のコーナー部16bの全てにおいてピット及びスパッタ痕等の不安定箇所は見られなかった。また、表面上のビードの乱れも観察されなかった。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態にかかるレーザ溶接方法及び装置について説明する。
図2及び図3に示す蓋2には、図1に示すように、実際には、端子1x,1y及び注液口を塞ぐ封栓(図示せず)などの突出した構造体が構成されている。図3において右側の接触部16でケース1と蓋2とを溶接する際、対向する左側の接触部16で排気及び給気を行うと、蓋2に構造体がある箇所と、構造体がない箇所とにおいて、排気する流速に分布が生じ、全周にわたって安定した溶接ができなくなる場合がある。
従って、図2の右側の接触部16でケース1と蓋2とを溶接するときに、左側の接触部16では排気、又は、排気及び給気をせず、溶接している側だけで排気、又は、排気及び給気を行う方が、加工点の気流をより制御し易い。
このため、例えば、制御部28の制御の下にレーザ光照射装置21からレーザ光を接触部16に照射して溶接するとき、少なくとも、4個の排気用流速調整バルブ22と4個の給気用流速調整バルブ29とを制御部28で個別に開閉制御するようにすればよい。好ましくは、制御部28で、レーザ光照射装置21と、集塵装置20と、排気用流速調整バルブ22と、プルーム方向制御用排気装置24と、給気用流速調整バルブ29と、ガス供給装置30とをそれぞれ動作制御するようにして、前記した所望の動作を行わせるようにすることができる。
このように制御部28で少なくとも、4個の排気用流速調整バルブ22と4個の給気用流速調整バルブ29とを個別に制御すれば、接触部16の長辺側と短辺側とで個別的にオンオフ制御することができる。
すなわち、例えば、図8Aに示すように、右側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するときに、右側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−1の排気用流速調整バルブ22を制御部28で開いた状態で排気を行いつつ、左側の接触部16においてケース1側の排気ノズル4−2の排気用流速調整バルブ22を制御部28で閉じて排気を停止する。このとき、左側の接触部16においてケース1の左側の給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で開いた状態で給気を行いつつ、右側の接触部16においてケース1側の給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で閉じて給気を停止する。
この結果、右側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するとき、左側の接触部16においてケース1の左側の給気ノズル15から給気された不活性ガスが、ケース1の外側面に当って上側に向きを変えたのち、右側の接触部16で排気されている排気ノズル4−1の吸い込み口4−1aに吸い込まれて排気される。この際、右側の接触部16の加工点で発生するブルーム7を、蓋2の平面と垂直な線に対して外側に向って確実に傾斜させるように作用する。
また、図8Bに示すように、レーザ光6が接触部16を半周して左側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するときには、左側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−2の排気用流速調整バルブ22を制御部28で開いた状態で排気を行いつつ、右側の接触部16においてケース1側の排気ノズル4−1の排気用流速調整バルブ22を制御部28で閉じて排気を停止する。このとき、右側の接触部16においてケース1の右側の給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で開いた状態で給気を行いつつ、左側の接触部16においてケース1側の給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で閉じて給気を停止する。
この結果、左側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するとき、右側の接触部16においてケース1の右側の給気ノズル15から給気された不活性ガスが、ケース1の外側面に当って上側に向きを変えたのち、左側の接触部16で排気されている排気ノズル4−2の吸い込み口4−2aに吸い込まれて排気される。この際、左側の接触部16の加工点で発生するブルーム7を、蓋2の平面と垂直な線に対して外側に向って確実に傾斜させるように作用する。
このように動作させることにより、図8Aの右側の接触部16でケース1と蓋2とを溶接するときに、左側の接触部16では排気をせず、溶接している側だけで排気を行うことができ、また、図8Bの左側の接触部16でケース1と蓋2とを溶接するときに、右側の接触部16では排気をせず、溶接している側だけで排気を行うことができて、加工点の気流を、より制御し易くなる。よって、溶接する側が、溶接する側と対向する側の排気の影響を全く受けないので、蓋2の構造物の構成に関係無く、特に、長辺1b側の接触部16の溶接を安定して行うことができる。
なお、前記第3実施形態の変形例としては、以下のような構成及び動作とすることもできる。
例えば、図9Aに示す右側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するときには、右側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−1の排気用流速調整バルブ22を制御部28で開いた状態で排気を行うとともに給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で開いた状態で給気を行いつつ、左側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−2の排気用流速調整バルブ22と給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29とを制御部28で閉じて排気と給気とを停止する。また、図9Bに示すように、レーザ光6が接触部16を半周して左側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するときには、左側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−2の排気用流速調整バルブ22を制御部28で開いた状態で排気を行うとともに給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で開いた状態で給気を行いつつ、右側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−1の排気用流速調整バルブ22と給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29とを制御部28で閉じて排気と給気とを停止する。
このように構成すれば、溶接する側が、溶接する側と対向する側の排気と給気との影響を受けないので、蓋2の構造物の構成に関係無く、長辺1b側の接触部16の溶接を更に安定させることができる。
前記第3実施形態おいて、具体的な実施例にかかるレーザ溶接方法及び装置について、実施例3として説明する。
図8Aに示すように、右側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するときに、右側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−1の排気用流速調整バルブ22を制御部28で開いた状態で排気を行いつつ、左側の接触部16においてケース1側の排気ノズル4−2の排気用流速調整バルブ22を制御部28で閉じて排気を停止する。このとき、左側の接触部16においてケース1の左側の給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で開いた状態で給気を行いつつ、右側の接触部16においてケース1側の給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で閉じて給気を停止する。
この結果、右側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するとき、左側の接触部16においてケース1の左側の給気ノズル15から給気された不活性ガスが、ケース1の外側面に当って上側に向きを変えたのち、右側の接触部16で排気されている排気ノズル4−1の吸い込み口4−1aに吸い込まれて排気される。この際、加工点で発生するブルーム7を、蓋2の平面と垂直な線に対して外側に向って確実に傾斜させるように作用する。
また、図8Bに示すように、レーザ光6が接触部16を半周して左側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するときには、左側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−2の排気用流速調整バルブ22を制御部28で開いた状態で排気を行いつつ、右側の接触部16においてケース1側の排気ノズル4−1の排気用流速調整バルブ22を制御部28で閉じて排気を停止する。このとき、右側の接触部16においてケース1の右側の給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で開いた状態で給気を行いつつ、左側の接触部16においてケース1側の給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で閉じて給気を停止する。
この結果、左側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するとき、右側の接触部16においてケース1の右側の給気ノズル15から給気された不活性ガスが、ケース1の外側面に当って上側に向きを変えたのち、左側の接触部16で排気されている排気ノズル4−2の吸い込み口4−2aに吸い込まれて排気される。この際、加工点で発生するブルーム7を、蓋2の平面と垂直な線に対して外側に向って確実に傾斜させるように作用する。
このように給排気を動作制御すること以外は、実施例1と同様に、接触部16の全周でケース1と蓋2とを溶接した。
ケース1の長辺1b側の接触部16を溶接中にプルーム7を観察した結果、揺れが少なくプルーム7が安定しているように見えた。溶接後、ケース1と蓋2との溶接部を観察したところ、全溶接箇所にピット及びスパッタ痕等の不安定箇所は見られなかった。所々に表面上の僅かなビードの乱れが観察されたが、その発生数は実施例1に比較すると更に少なくなっていた。これは、実施例1(図3)では常に両側の排気ノズル4−1と4−2が動作していて、溶接と対向する側の排気がプルーム7を照射点側に僅かに引き戻されることが、蓋2の構造物によって影響するのに対し、本実施例3では、溶接する側が、溶接する側と対向する側の排気の影響を全く受けないので、蓋2の構造物の構成に関係無く、長辺1b側の接触部16の溶接が安定したためだと考えられる。ビードの乱れの何れの箇所も断面を観察すると、溶込み形状及び深さに大きな変化はなく、溶接としては安定していることが分かった。
前記第3実施形態の変形例において、具体的な実施例にかかるレーザ溶接方法及び装置について、実施例4として説明する。
図9Aに示す右側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するときには、右側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−1の排気用流速調整バルブ22を制御部28で開いた状態で排気を行うとともに給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で開いた状態で給気を行いつつ、左側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−2の排気用流速調整バルブ22と給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29とを制御部28で閉じて排気と給気とを停止する。また、図9Bに示すように、レーザ光6が接触部16を半周して左側の接触部16においてケース1と蓋2とを溶接するときには、左側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−2の排気用流速調整バルブ22を制御部28で開いた状態で排気を行うとともに給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29を制御部28で開いた状態で給気を行いつつ、右側の接触部16では、ケース1側の排気ノズル4−1の排気用流速調整バルブ22と給気ノズル15の給気用流速調整バルブ29とを制御部28で閉じて排気と給気とを停止すること以外は、実施例3と同様に、接触部16の全周でケース1と蓋2とを溶接した。
ケース1の長辺1b側の接触部16を溶接中にプルーム7を観察した結果、実施例3と比較して更に揺れが少なく、プルーム7が安定しているように見えた。溶接後、ケース1と蓋2との溶接部を観察したところ、全溶接箇所にピット及びスパッタ痕等の不安定箇所は見られなかった。また、表面上のビードの乱れも観察されなかった。これは、溶接する側が、溶接する側と対向する側の排気と給気との影響を受けないので、蓋2の構造物の構成に関係無く、長辺1b側の接触部16の溶接が更に安定したためだと考えられる。ビードの乱れの何れの箇所も断面を観察すると、溶込み形状及び深さに大きな変化はなく、溶接としては安定していることが分かった。
なお、実施例1〜4のそれぞれでは、ケース1と蓋2との金属材料がアルミニウムの事例を示したが、これらの金属材料は、溶接可能な組合せであれば特に制限されるものではなく、勿論同種金属の溶接であってもよい。
また、実施例1〜4のそれぞれでは、スポット径、形状、レーザ出力、及び、溶接速度等の条件は、溶接する金属部材の材料、表面状態、板厚、及び、治具を含めた総熱容量に依存するため、上記に限った内容ではない。勿論、ケース、蓋、排気ノズルのサイズ、及び、排気流速も、上記に限った内容ではない。
さらに、実施例1〜4のそれぞれでは、レーザ光照射装置21としてファイバーレーザを用いたが、高出力が得られるディスクレーザ、YAGレーザ、COレーザ、又は、半導体レーザ等の他のレーザを用いても、同様の効果が得られる。
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明かかるレーザ溶接方法及び装置によれば、高品質且つ低コストで金属製のケースと蓋との溶接を可能とする。そのため、本発明にかかるレーザ溶接方法及び装置によれば、携帯電話又はデジタルカメラなどの携帯機器用駆動電源、あるいは電子機器のバックアップ電源等を低コストで提供することができる。更には、本発明にかかるレーザ溶接方法及び装置は、高出力を必要とするハイブリッド自動車又は電気自動車の電源を低コストで提供する際にも適用することができる。
1 ケース
1a 開口部
1b 長辺
1c 短辺
1x,1y 端子
2 蓋(例えば、封口板)
3,3−1,3−2,3−3 ケースを規制する治具
3a 開口部
4−1,4−2,4−3 排気ノズル
4−1a,4−2a,4−3a 吸い込み口
5 排気管
6 レーザ光
7 プルーム
8 排気ノズルの吸い込み口の高さ
9 排気ノズルの吸い込み口と逆方向の奥の排気管側の高さ
10 排気ノズルの長辺と平行する長さ
11 排気ノズルの吸い込み口の上面の高さ
12 照射点の法線方向とレーザ光との傾斜角度
13 排気ノズルと治具の間の部材
14 照射点の法線方向とプルームとの傾斜角度
15 給気ノズル
15a 給気口
16 接触部
20 集塵装置
21 レーザ光照射装置
22 排気用流速調整バルブ
24 プルーム方向制御用排気装置
28 制御部
29 給気用流速調整バルブ
30 ガス供給装置
51 シート体
52 把持手段
53 レーザ加工手段
54 集塵装置
55 レンズ
56 筒体
57 吸引装置
58 吸い込み口
59 保持部材
60 移動手段
61 平面度保持手段

Claims (6)

  1. 開口部が二つの長辺と二つの短辺とで構成する矩形枠である筒状体のケースの前記開口部に蓋を挿入して、前記開口部の縁と前記蓋の縁との接触部を全周にわたってレーザ溶接する溶接方法において、
    前記接触部の外側に沿って全周にわたって配置した排気ノズルの吸い込み口から、前記蓋の平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の中央側から前記蓋の外側に向けて排気を行い、
    前記排気ノズルの下方に前記接触部の外側に沿って全周にわたって配置した給気ノズルの給気口から、前記蓋の平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の外側から前記蓋の中央側に向けて不活性ガスを供給する給気を行い、
    前記排気ノズルの前記吸い込み口で排気を行うとともに、前記給気ノズルの前記給気口から、前記蓋の前記平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の外側から前記蓋の中央側に向けて給気を行いつつ、前記蓋の前記平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の中央側の上方から前記蓋の外側に向って前記接触部にレーザ光を照射することで、前記蓋の前記平面と垂直な線に対して外側に向って傾斜する軌道に沿って前記レーザ光を前記接触部に順に照射する、レーザ溶接方法。
  2. 前記給気ノズルの前記給気口から不活性ガスを、前記ケースの外側面に当って上側に向きを変えるように供給することにより、前記給気を行う、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記排気ノズルのうちの長辺側の排気ノズルの長さが、前記ケースの長辺の長さより長く配置して、前記長辺側の排気ノズルの端の部分での吸引力と前記排気ノズルのうちの短辺側の排気ノズルでの吸引力とにより、前記レーザ光の走査する方向と外側の直角方向に近い角度に向かって前記プルームが吸引され続けて前記プルームが外側に傾斜する、請求項1又は2に記載のレーザ溶接方法。
  4. 前記接触部に前記レーザ光を照射するとき、前記接触部のうちの前記レーザ光を照射する位置に応じて、前記排気ノズルの前記吸い込み口からの前記排気と、前記給気ノズルの前記給気口からの前記給気とを、前記接触部の長辺側と短辺側とで個別的にオンオフ制御する、請求項1〜3のいずれか1つに記載のレーザ溶接方法。
  5. 開口部が二つの長辺と二つの短辺とで構成する矩形枠である筒状体のケースの前記開口部に蓋を挿入して、前記開口部の縁と前記蓋の縁との接触部を全周にわたってレーザ溶接するレーザ溶接装置において、
    前記蓋の平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の中央側の上方から前記蓋の外側に向って前記接触部にレーザ光を照射することで、前記蓋の前記平面と垂直な線に対して外側に向って傾斜する軌道に沿って前記レーザ光を前記接触部に順に照射するレーザ光照射装置と、
    前記接触部の外側に沿って全周にわたって配置しかつ前記ケース側に開口した吸い込み口を有して、前記吸い込み口により、前記蓋の平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の中央側から前記蓋の外側に向けて排気して、レーザ照射時に前記接触部のうちの前記レーザ光が照射された加工点より発生するプルームを、前記加工点から前記加工点の外側に向けて傾斜させて前記レーザ光の前記軌道から外す排気ノズルと、
    前記排気ノズルの下方に前記接触部の外側に沿って全周にわたって配置され、かつ、前記ケース側に開口した給気口を有して、前記蓋の前記平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の外側から前記蓋の中央側に向けて不活性ガスを供給する給気ノズルとを備えて、
    前記排気ノズルの前記吸い込み口で排気を行うとともに、前記給気ノズルの前記給気口から、前記蓋の前記平面と垂直な方向から見たときに前記蓋の外側から前記蓋の中央側に向けて給気を行いつつ、前記レーザ光照射装置で前記レーザ光を前記接触部に照射する、レーザ溶接装置。
  6. 前記ケースに接して前記ケースを保持する治具と、
    前記排気ノズルに連結されて前記排気ノズルを開閉する排気用流速調整バルブと、
    前記給気ノズルに連結されて前記給気ノズルを開閉する給気用流速調整バルブと、
    前記接触部に前記レーザ光を照射するとき、前記接触部のうちの前記レーザ光を照射する位置に応じて、前記排気用流速調整バルブと前記給気用流速調整バルブとをそれぞれ個別にオンオフ制御して、前記排気ノズルの前記吸い込み口からの前記排気と、前記給気ノズルの前記給気口からの前記給気とを個別に制御する制御部とを備える、請求項5に記載のレーザ溶接装置。
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