しかしながら、この電機子では、主ティース部が分岐ティース部よりも奥まった位置にあるため、主ティース部に内層コイル部を巻回することが難しかった。また、ティース部が主ティース部及び分岐ティース部を有することにより電機子コアの形状が複雑であるため、電機子コアの歩留まりが低かった。
そこで、本発明は、主ティース部に内層コイル部を容易に巻回できると共に、電機子コアの歩留まりを向上できる電機子及びそれを備えた回転電機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の電機子は、円環状のヨーク部と、前記ヨーク部から該ヨーク部の径方向へ突出する主ティース部及び前記主ティース部の先端部から分岐されて前記ヨーク部の周方向に沿って並ぶ一対の分岐ティース部が形成された複数のティース部とを有する電機子コアと、前記主ティース部に巻回された内層コイル部と、隣り合う前記ティース部の一方に形成された一方の前記分岐ティース部と、隣り合う前記ティース部の他方に形成された他方の前記分岐ティース部とに亘って巻回された外層コイル部と、前記ティース部における前記外層コイル部の配置位置よりも前記ヨーク部側で且つ前記内層コイル部の配置位置を除く部位、及び、前記ヨーク部のうちの少なくとも一方に設けられ、前記電機子コアを複数の分割部材に分割する分割部と、を備えている。
この電機子によれば、ティース部における外層コイル部の配置位置よりもヨーク部側で且つ内層コイル部の配置位置を除く部位、及び、ヨーク部のうちの少なくとも一方には、分割部が設けられている。そして、この分割部にて分割された複数の分割部材が分離された状態では、主ティース部への巻線のアクセスが容易になる。これにより、主ティース部に内層コイル部を容易に巻回することができる。
また、ティース部が主ティース部及び一対の分岐ティース部を有することにより電機子コアの形状が複雑とされていても、分割部にて電機子コアが複数の分割部材に分割されているので、電機子コアが一体に形成された場合に比して、電機子コアを容易に製造することができる。これにより、電機子コアの歩留まりを向上させることができる。
請求項2に記載の電機子は、請求項1に記載の電機子において、前記分割部が、前記分岐ティース部における前記外層コイル部の配置位置よりも前記主ティース部側の部位に設けられた構成とされている。
この電機子によれば、分割部は、分岐ティース部における外層コイル部の配置位置よりも主ティース部側の部位に設けられている。従って、主ティース部に内層コイル部を巻回する際には、この分岐ティース部における分割部よりも先端側の部分を形成する分割部材を、主ティース部及びヨーク部を含む他の分割部材から分離した状態とすることにより、主ティース部の先端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部の先端側から主ティース部への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部の先端側から主ティース部に内層コイル部を容易に巻回することができる。
請求項3に記載の電機子は、請求項2に記載の電機子において、前記一方の分岐ティース部における前記分割部よりも先端側の部分が、第一の前記分割部材によって形成され、前記他方の分岐ティース部における前記分割部よりも先端側の部分が、第二の前記分割部材によって形成され、前記第一の分割部材及び前記第二の分割部材が、絶縁部材により一体化された構成とされている。
この電機子によれば、一方の分岐ティース部における分割部よりも先端側の部分を形成する第一の分割部材と、他方の分岐ティース部における分割部よりも先端側の部分を形成する第二の分割部材とは、絶縁部材により一体化される。従って、主ティース部及びヨーク部を含む他の分割部材から分離された状態において第一及び第二の分割部材が互いに独立している場合に比して(絶縁部材により一体化されていない場合に比して)、隣り合う一対の分岐ティース部に外層コイル部を容易に巻回することができる。
請求項4に記載の電機子は、請求項2又は請求項3に記載の電機子において、前記分岐ティース部が、前記電機子コアの径方向に沿って延びて前記外層コイル部が巻回される軸部を有し、前記各分割部には、前記複数の分割部材を連結する連結部が設けられ、前記連結部が、前記軸部の先端部よりも幅が広く形成された構成とされている。
この電機子によれば、各分割部には、連結部が設けられているので、この連結部により複数の分割部材を連結することができる。また、この連結部は、分岐ティース部において外層コイル部が巻回される軸部の先端部よりも幅が広く形成されている。従って、分岐ティース部の軸部に外層コイル部が巻回されることにより連結部に曲げ荷重が加わっても、この曲げ荷重によって連結部が損傷(座屈)することを抑制することができる。
請求項5に記載の電機子は、請求項1に記載の電機子において、前記分割部が、前記主ティース部における前記一対の分岐ティース部との接続部位に設けられた構成とされている。
この電機子によれば、分割部は、主ティース部における一対の分岐ティース部との接続部位に設けられている。従って、主ティース部に内層コイル部を巻回する際には、分割部よりも一対の分岐ティース部側の部分を形成する分割部材を、主ティース部及びヨーク部を含む他の分割部材から分離した状態とすることにより、主ティース部の先端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部の先端側から主ティース部への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部の先端側から主ティース部に内層コイル部を容易に巻回することができる。
また、分割部よりも一対の分岐ティース部側の部分を形成する分割部材には、一対の分岐ティース部が一体に形成されるので、例えば、分岐ティース部毎に分割部材が形成された場合に比して、部材点数を減らすことができる。
請求項6に記載の電機子は、請求項1に記載の電機子において、前記分割部が、前記ヨーク部における前記ティース部との接続部位に設けられた構成とされている。
この電機子によれば、分割部は、ヨーク部におけるティース部との接続部位に設けられている。従って、主ティース部に内層コイル部を巻回する際には、分割部よりもティース部側の部分を形成する分割部材を、ヨーク部を含む他の分割部材から分離した状態とすることにより、主ティース部の先端側及び基端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部の先端側又は基端側から主ティース部への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部の先端側又は基端側から主ティース部に内層コイル部を容易に巻回することができる。
請求項7に記載の電機子は、請求項1に記載の電機子において、前記分割部が、前記ヨーク部における隣り合う前記ティース部の間の部位に設けられた構成とされている。
この電機子によれば、分割部は、ヨーク部における隣り合うティース部の間の部位に設けられている。従って、主ティース部に内層コイル部を巻回する際には、ヨーク部の周方向の一部とティース部とによって形成された各分割部材を互いに分離した状態とすることにより、主ティース部の先端側又は基端側から主ティース部への巻線のアクセスが容易になる。これにより、主ティース部の先端側又は基端側から主ティース部に内層コイル部を容易に巻回することができる。
請求項8に記載の電機子は、請求項1に記載の電機子において、前記複数の分割部材を複数のグループ毎に連結する複数の連結部材をさらに備え、前記複数のグループ毎に複数の前記分割部材が前記連結部材によって連結されることにより複数の電機子コア構成部が構成され、前記電機子コアが、前記複数の電機子コア構成部が組み合わされることにより構成されたものである。
この電機子によれば、複数のグループ毎に複数の分割部材が連結部材によって連結されることにより複数の電機子コア構成部が構成されており、この複数の電機子コア構成部を組み合わせることにより電機子コアを構成することができる。従って、複数の分割部材が互いに独立している場合に比して、電機子コアの組み立てを容易にすることができる。
請求項9に記載の電機子は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の電機子において、前記各分割部に、前記複数の分割部材を連結する連結部が設けられ、前記連結部が、前記分割部材同士を回動不能に連結する構成とされている。
この電機子によれば、各分割部には、連結部が設けられているので、この連結部により複数の分割部材を連結することができる。また、この連結部は、分割部材同士を回動不能に連結するので、電機子コアを安定的に一体化することができる。
請求項10に記載の電機子は、請求項9に記載の電機子において、前記連結部が、互いに連結される前記分割部材の一方に形成された凸部と、互いに連結される前記分割部材の他方に形成され、前記凸部が圧入された凹部と、を有する構成とされている。
この電機子によれば、連結部は、互いに連結される分割部材の一方に形成された凸部と、互いに連結される分割部材の他方に形成された凹部を有しており、この凹部には、凸部が圧入される。従って、例えば、溶接により分割部材が連結される場合に比して、連結強度を容易に確保することができる。
請求項11に記載の電機子は、請求項1に記載の電機子において、前記分割部が、前記ヨーク部における隣り合う前記ティース部の間の部位に設けられ、前記各分割部には、前記複数の分割部材を連結する連結部が設けられ、前記連結部が、互いに連結される前記分割部材の一方に形成され、先端側に向かうに従って幅が拡がる凸部と、互いに連結される前記分割部材の他方に形成されると共に、基端側に向かうに従って幅が拡がり、前記凸部が隙間嵌めされた凹部と、を有し、前記ヨーク部には、前記ヨーク部に対して前記ティース部が突出する側と反対側から圧入部材が圧入された構成とされている。
この電機子によれば、凸部及び凹部は隙間嵌めされ、さらにヨーク部に対して圧入部材が圧入されているので、その分、凸部及び凹部が圧入される場合に比して、凸部及び凹部に要求される寸法精度を緩和することができる。これにより、電機子コアの歩留まりをより向上させることができる。
請求項12に記載の電機子は、請求項1に記載の電機子において、前記分割部が、前記ヨーク部における隣り合う前記ティース部の間の部位に設けられ、前記各分割部には、前記複数の分割部材を連結する連結部が設けられ、前記連結部が、前記分割部材同士を回動可能に連結する構成とされている。
この電機子によれば、各分割部に設けられた連結部は、分割部材同士を回動可能に連結する。従って、例えば、幾つかの分割部材を連結部で連結した状態で、主ティース部間の内層側スロットの開口が拡がる方向に幾つかの分割部材を連結部を中心に回動させることにより、主ティース部の先端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部の先端側から主ティース部への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部の先端側から主ティース部に内層コイル部を容易に巻回することができる。
請求項13に記載の電機子は、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の電機子において、前記分岐ティース部が、前記主ティース部の先端部から延出する延出部と、前記延出部の先端部から前記電機子コアの周方向に沿って延びる折曲部と、を有し、前記折曲部の先端面が、前記主ティース部の延長軸線に沿って形成された構成とされている。
この電機子によれば、分岐ティース部は、電機子コアの周方向に沿って延びる折曲部を有しており、この折曲部の先端面に治具が当接されることにより、この折曲部の先端面を基準にして、折曲部を含む分割部材の位置が規定される。従って、電機子コアの周方向における分岐ティース部の位置のばらつきを抑制することができる。また、折曲部の先端面は、主ティース部の延長軸線に沿って形成されているので、治具の形状を簡易化することができる。
なお、請求項14に記載の電機子のように、内層コイル部と外層コイル部とは、使用する巻線の線径が互いに異なっていても良い。このように構成されていると、主ティース部と分岐ティース部とで巻線が巻回できるスペースが異なるため、そのスペースに対応した線径の巻線を適用することができる。
また、請求項15に記載の電機子のように、内層コイル部及び外層コイル部は、いずれも使用する巻線の材料がアルミニウムであっても良い。
例えば、従来の一体化された電機子コアにおいて主ティース部に内層コイル部を巻回する場合、主ティース部へのアクセスが複雑であるため巻線を屈曲させる必要があった。しかしながら、アルミニウム製の巻線は強度が低いため、一体化された電機子コアへのアルミニウム製の巻線の適用は困難であった。
この点、本発明の電機子によれば、上述のように主ティース部への巻線のアクセスが容易であり、巻線の屈曲を抑制した状態で主ティース部に内層コイル部を巻回することができる。従って、請求項15に記載の電機子のように、内層コイル部及び外層コイル部にいずれもアルミニウム製の巻線を使用することが可能になる。これにより、例えば、内層コイル部及び外層コイル部に銅製の巻線を使用した場合に比して、材料費が安くて済むのでコストダウンすることができると共に、軽量化することができる。
また、請求項16に記載の電機子のように、内層コイル部と外層コイル部とは、使用する巻線の材料が互いに異なっていても良い。このように構成されていると、例えば、内層コイル部にアルミニウム製の巻線、外層コイル部に銅製の巻線を使用するなどのように、内層コイル部と外層コイル部とに使用する巻線の材料を回転電機の特性に合った最適な設定にすることができる。
また、請求項17に記載の回転電機のように、請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の電機子を備えていると、電機子の製造・組立が容易であるので、コストダウンすることができる。
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
図1に示されるように、本発明の第一実施形態に係る電機子10は、一例として、アウタロータ型のブラシレスモータに用いられる固定子であり、電機子コア12と、複数の内層コイル部14と、複数の外層コイル部16とを備えている。
図2に示されるように、電機子コア12は、円環状のヨーク部18と、このヨーク部18の周囲に形成された複数のティース部20とを有している。複数のティース部20には、主ティース部21と、一対の分岐ティース部22,23とが形成されている。主ティース部21は、ヨーク部18から該ヨーク部18の径方向外側へ突出しており、一対の分岐ティース部22,23は、主ティース部21の先端部から分岐されてヨーク部18の周方向に沿って並んでいる。図3に示されるように、この一対の分岐ティース部22,23は、主ティース部21の延長軸線24に対する両側に配置されている。この主ティース部21の延長軸線24は、主ティース部21の中心軸線の延長線であり、電機子コア12の径方向に沿って延びている。
各分岐ティース部22,23は、より具体的には、主ティース部21の先端部から延出する延出部26と、延出部26の先端部から延長軸線24側に電機子コア12の周方向に沿って延びる折曲部27とを有している。延出部26は、さらに具体的には、傾斜部28及び軸部29を有している。傾斜部28は、延出部26の基端側を形成しており、電機子コア12の径方向外側に向かうに従って延長軸線24から離れるように電機子コア12の径方向に対して傾斜している。軸部29は、延出部26の先端側を形成しており、傾斜部28の先端部から電機子コア12の径方向に沿って延びている。
各ティース部20に形成された一対の折曲部27の先端面27Aは、延長軸線24に対する両側に位置されており、互いに電機子コア12の周方向に対向している。また、各折曲部27の先端面27Aは、延長軸線24に沿って形成されている。
そして、各ティース部20は、上記形状とされた主ティース部21及び一対の分岐ティース部22,23を有することにより、概略Y字形状を成している。この各ティース部20は、延長軸線24を中心に左右対称に形成されている。また、複数のティース部20は、互いに同一形状とされており、ヨーク部18の周囲に等ピッチで配列されている。隣り合うティース部20の間には、内層側スロット34が形成されており、各ティース部20における一対の分岐ティース部22,23の間には、外層側スロット36が形成されている。
図1に示されるように、内層コイル部14は、内層側スロット34に挿入されており、主ティース部21に集中巻きで巻回されている。各内層コイル部14は、渡り線を介して他の内層コイル部14と接続されるか、又は、渡り線を介して他の内層コイル部14と接続されずに互いに独立した状態とされる。また、この内層コイル部14の端末部は、バスバー等に結合されるか、又は、制御基板に直接接続される。
一方、外層コイル部16は、外層側スロット36に挿入されており、隣り合うティース部20の一方に形成された一方の分岐ティース部22と、隣り合うティース部20の他方に形成された他方の分岐ティース部23に亘って巻回されている。この外層コイル部16は、より具体的には、上述の軸部29(図3参照)に巻回されている。この各外層コイル部16は、内層コイル部14と同様に、渡り線を介して他の外層コイル部16と接続されるか、又は、渡り線を介して他の外層コイル部16と接続されずに互いに独立した状態とされる。また、この外層コイル部16の端末部は、バスバー等に結合されるか、又は、制御基板に直接接続される。
なお、内層コイル部14と外層コイル部16とは、使用する巻線の材料及び線径が互いに同一でも良いが、互いに異なっていても良い。この内層コイル部14及び外層コイル部16に使用する巻線の材料としては、例えば銅やアルミニウムを適宜選択することが可能である。
続いて、上述の電機子コア12についてさらに詳述する。図3に示されるように、分岐ティース部22,23における上述の外層コイル部16(図1参照)の配置位置38よりも主ティース部21側の部位には、分割部40が設けられている。そして、この分割部40により、電機子コア12は、複数の分割部材に分割されている。
つまり、図2に示されるように、この電機子コア12は、三種類の分割部材42,43,44に分割されている。第一の分割部材42は、一方の分岐ティース部22における分割部40よりも先端側の部分によって形成されており、第二の分割部材43は、他方の分岐ティース部23における分割部40よりも先端側の部分によって形成されている。さらに、第三の分割部材44は、電機子コア12における第一及び第二の分割部材42,43以外の残余部の部分によって形成されている。すなわち、この第三の分割部材44は、各ティース部20に形成された一対の分岐ティース部22,23における分割部40よりも主ティース部21側の部分と、主ティース部21と、ヨーク部18とによって形成されている。
なお、上述の分割部40が形成された分岐ティース部22,23における分割部40よりも先端側の部分は、本発明における「ティース部における外層コイル部の配置位置よりもヨーク部側で且つ内層コイル部の配置位置を除く部位」の一例である。
上述の各分割部40には、複数の分割部材42,43,44を連結する連結部46が設けられている。この連結部46は、本発明における「分割部材同士を回動不能に連結する連結部」の一例であり、図3に示されるように、凸部47及び凹部48を有している。凸部47は、第一及び第二の分割部材42,43に形成されおり、凹部48は、第三の分割部材44に形成されている。凸部47は、先端側に向かうに従って幅が拡がる概略台形形状とされており、凹部48は、基端側(底側)に向かうに従って幅が拡がる台形形状とされている。
そして、凸部47が凹部48に圧入されることにより、第一及び第二の分割部材42,43は、第三の分割部材44にそれぞれ連結されている。第一及び第二の分割部材42,43は、本発明における「互いに連結される分割部材の一方」の一例であり、第三の分割部材44は、本発明における「互いに連結される分割部材の他方」の一例である。
また、図4,図5に示されるように、第一の分割部材42と第二の分割部材43とは、樹脂製の絶縁部材50(インシュレータ)により一体化されている。この絶縁部材50は、第一及び第二の分割部材42,43のうち凸部47を除く部分を第一及び第二の分割部材42,43の高さ方向(電機子コアの軸方向と同じ)の両側から覆う構成とされている。この絶縁部材50は、第一の分割部材42を覆う第一絶縁部52と、第二の分割部材43を覆う第二絶縁部53とを有している。第一絶縁部52と第二絶縁部53との間には、隙間が設けられなくても良く、また、隙間が設けられていても良い。また、第一絶縁部52と第二絶縁部53との間に隙間が設けられる場合、第一絶縁部52と第二絶縁部53とが、例えば格子状梁等により連結されていても良い。
なお、特に図示しないが、図2に示される第三の分割部材44にも絶縁部材が設けられており、第三の分割部材44は、この絶縁部材により高さ方向の両側から覆われている。上述の内層コイル部14及び外層コイル部16は、これら絶縁部材を介して主ティース部21及び分岐ティース部22,23にそれぞれ巻回される。図1〜図3では、絶縁部材の図示が省略されている。
続いて、上述の電機子10の製造方法について説明する。先ず、図4,図5に示されるように、第一の分割部材42と第二の分割部材43とが絶縁部材50により一体化される。また、図2に示される第三の分割部材44に絶縁部材が装着される。
そして、第一及び第二の分割部材42,43が第三の分割部材44に対して分離された状態で、主ティース部21の先端側から主ティース部21に巻線が巻回され、この主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)が形成される。また、絶縁部材50により一体化された第一及び第二の分割部材42,43にそれぞれ形成された一方の分岐ティース部22と他方のティース部20とに亘って巻線が巻回され、この一対の分岐ティース部22,23に外層コイル部16(図2参照)が形成される。
また、図3に示される折曲部27の先端面27Aに治具が当接され、この折曲部27の先端面27Aを基準にして、第三の分割部材44に対する第一及び第二の分割部材42,43の位置、ひいては、ヨーク部18の周方向に沿った分岐ティース部22,23の位置が規定される。そして、第一及び第二の分割部材42,43にそれぞれ形成された凸部47が第三の分割部材44に形成された凹部48に圧入されることにより、第一及び第二の分割部材42,43が第三の分割部材44に連結される。以上の要領により、図1に示される電機子10が製造される。
なお、以上の要領で製造された電機子10におけるヨーク部18の内側には、例えばセンターピース等の電機子10を支持するための部材に形成された圧入部材54が圧入される。また、この電機子10の径方向外側には、回転子56が配置され、この回転子56及び電機子10によりアウタロータ型のブラシレスモータである回転電機60が構成される。
続いて、第一実施形態の作用及び効果について説明する。
図3に示されるように、第一実施形態によれば、分岐ティース部22,23における外層コイル部16(図1参照)の配置位置38よりも主ティース部21側の部位には、分割部40が設けられている。そして、各分岐ティース部22,23における分割部40よりも先端側の部分を形成する第一及び第二の分割部材42,43が、主ティース部21及びヨーク部18を含む第三の分割部材44から分離された状態では、主ティース部21の先端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部21の先端側から主ティース部21への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部21の先端側から主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を容易に巻回することができる。
同様に、第一及び第二の分割部材42,43が第三の分割部材44から分離された状態(図4,図5参照)では、一対の分岐ティース部22,23の先端側及び基端側をオープンな状態にすることができる。これにより、一対の分岐ティース部22,23の先端側又は基端側から一対の分岐ティース部22,23への巻線のアクセスが容易になるので、外層コイル部16(図1参照)についても容易に巻回することができる。
また、図4,図5に示されるように、第一及び第二の分割部材42,43は、絶縁部材50により一体化されている。従って、第三の分割部材44から分離された第一及び第二の分割部材42,43が互いに独立している場合に比して(絶縁部材50により一体化されていない場合に比して)、隣り合う一対の分岐ティース部22,23に外層コイル部16(図1参照)を容易に巻回することができる。
このように、第一実施形態によれば、主ティース部21及び分岐ティース部22,23への巻線のアクセスが容易になるので、巻線の巻回時の屈曲を抑制することができる。これにより、巻線を巻回する作業の高速化、及び、巻線の高占積率化を実現することができる。
また、上述のように、第一及び第二の分割部材42,43が、絶縁部材50により一体化されているので、第一及び第二の分割部材42,43における組付時の位置のばらつきを抑制することができ、ひいては、第一及び第二の分割部材42,43が内層コイル部14と接触することを抑制することができる。さらに、このように第一及び第二の分割部材42,43が絶縁部材50により一体化されることにより、一対の分岐ティース部22,23に外層コイル部16(図1参照)が巻回された場合でも、この外層コイル部16の張力により第一及び第二の分割部材42,43(一対の分岐ティース部22,23)が互いに近づく側に変形することを抑制することができる。
また、ティース部20が主ティース部21及び一対の分岐ティース部22,23を有することにより電機子コア12の形状が複雑とされていても、分割部40にて電機子コア12が複数の分割部材42,43,44に分割されているので、電機子コア12が一体に形成された場合に比して、電機子コア12を容易に製造することができる。これにより、電機子コア12の歩留まりを向上させることができる。
また、上述のように、第一及び第二の分割部材42,43を第三の分割部材44から分離された状態で主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を巻回することができる。従って、隣り合うティース部20の一方に形成された一方の分岐ティース部22と、隣り合うティース部20の他方に形成された他方の分岐ティース部23との間の隙間を広くする必要が無い(内層コイル部14を巻回するための巻線が通過するのに必要な幅を確保する必要が無い)。このため、ティース部20の先端部を含む磁気回路の設計の幅を広げることができる。
また、各分割部40には、連結部46が設けられているので、この連結部46により第一及び第二の分割部材42,43を第三の分割部材44に連結することができる。また、この連結部46は、図3に示されるように、凸部47及び凹部48を有しており、この凸部47は、凹部48に圧入されるので、電機子コア12を安定的に一体化することができる。また、このように凸部47が凹部48に圧入されるので、例えば、溶接により第一及び第二の分割部材42,43と第三の分割部材44が連結される場合に比して、連結強度を容易に確保することができる。
また、凸部47が凹部48に圧入されることにより、支持部材を用いなくても第一及び第二の分割部材42,43を第三の分割部材44に連結することができるので、部材点数の増加を抑制することができる。
また、分岐ティース部22,23は、電機子コア12の周方向に沿って延びる折曲部27を有しており、この折曲部27を有する第一及び第二の分割部材42,43は、折曲部27の先端面27Aに治具が当接されることにより、折曲部27の先端面27Aを基準にして、第三の分割部材44に対する位置が規定される。従って、電機子コア12の周方向における分岐ティース部22,23の位置のばらつきを抑制することができる。また、折曲部27の先端面27Aは、主ティース部21の延長軸線24に沿って形成されているので、治具の形状を簡易化することができる。
また、この第一実施形態に係る電機子10は、上記のように製造・組立が容易であるので、図1に示されるように、この電機子10を回転電機60に適用することにより、この回転電機60をコストダウンすることができる。
なお、電機子10に設けられた内層コイル部14と外層コイル部16とにおいて、使用する巻線の線径が互いに異なっていると、主ティース部21と分岐ティース部22とで巻線が巻回できるスペースが異なるため、そのスペースに対応した線径の巻線を適用することができる。
また、内層コイル部14及び外層コイル部16において、いずれも使用する巻線の材料がアルミニウムであると、例えば、内層コイル部14及び外層コイル部16に銅製の巻線を使用した場合に比して、材料費が安くて済むのでコストダウンすることができると共に、軽量化することができる。
ところで、例えば、従来の一体化された電機子コアにおいて主ティース部21に内層コイル部14を巻回する場合、主ティース部21へのアクセスが複雑であるため巻線を屈曲させる必要がある。しかしながら、アルミニウム製の巻線は強度が低いため、一体化された電機子コア12へのアルミニウム製の巻線の適用は困難である。
この点、第一実施形態に係る電機子10によれば、上述のように主ティース部21への巻線のアクセスが容易であり、巻線の屈曲を抑制した状態で主ティース部21に内層コイル部14を巻回することができる。従って、内層コイル部14及び外層コイル部16にいずれもアルミニウム製の巻線を使用することが可能になる。
一方、電機子10に設けられた内層コイル部14と外層コイル部16とにおいて、使用する巻線の材料が互いに異なっていると、例えば、内層コイル部14にアルミニウム製の巻線、外層コイル部16に銅製の巻線を使用するなどのように、内層コイル部14と外層コイル部16とに使用する巻線の材料を回転電機60の特性に合った最適な設定にすることができる。
続いて、第一実施形態の変形例について説明する。
上述の第一実施形態において、延出部26は、その全長に亘って略一定の幅で形成されていたが、図6に示されるように、延出部26は、軸部29の先端側に向かうに従って徐々に幅が狭くなるようにテーパー状に形成されていても良い。そして、これにより、連結部46は、軸部29の先端部よりも幅が広く形成されていても良い。つまり、図6に示される変形例において、連結部46の幅W1は、軸部29の先端部の幅W2よりも幅広とされている。
このように構成されていると、軸部29に外層コイル部16(図1参照)が巻回されることにより連結部46に曲げ荷重が加わっても、この曲げ荷重によって連結部46が損傷(座屈)することを抑制することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図7に示される本発明の第二実施形態における電機子コア62は、上述の第一実施形態における電機子コア12に対し、次のように構成が変更されている。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
第二実施形態の電機子コア62において、分割部40は、主ティース部21における一対の分岐ティース部22,23との接続部位に設けられている。この分割部40は、ティース部20における内層コイル部14の配置位置と外層コイル部16の配置位置(図1参照)との間に位置している。そして、この分割部40により、電機子コア62は、複数の分割部材に分割されている。
つまり、この電機子コア62は、二種類の分割部材63,64に分割されている。第一の分割部材63は、分割部40よりも一対の分岐ティース部22,23側の部分によって形成されており、第二の分割部材64は、各ティース部20に形成された主ティース部21と、ヨーク部18とによって形成されている。この複数の分割部材63,64は、各分割部40に設けられた連結部46によって連結されている。第一の分割部材63には、凹部48が形成され、第二の分割部材64には、凸部47が形成されている。
なお、上述の分割部40が形成された主ティース部21における一対の分岐ティース部22,23との接続部位は、本発明における「ティース部における外層コイル部の配置位置よりもヨーク部側で且つ内層コイル部の配置位置を除く部位」の一例である。また、凸部47が形成された第二の分割部材64は、本発明における「互いに連結される分割部材の一方」の一例であり、凹部48が形成された第一の分割部材63は、本発明における「互いに連結される分割部材の他方」の一例である。
続いて、第二実施形態の作用及び効果のうち、上述の第一実施形態と異なる内容について説明する。
第二実施形態によれば、分割部40は、主ティース部21における一対の分岐ティース部22,23との接続部位に設けられている。従って、主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を巻回する際には、分割部40よりも一対の分岐ティース部22,23側の部分を形成する第一の分割部材63を、主ティース部21及びヨーク部18を含む第二の分割部材64から分離した状態とすることにより、主ティース部21の先端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部21の先端側から主ティース部21への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部21の先端側から主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を容易に巻回することができる。
また、第一の分割部材63には、一対の分岐ティース部22,23が一体に形成されるので、例えば、上述の第一実施形態のように、分岐ティース部22,23毎に分割部材が形成された場合に比して、部材点数を減らすことができる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図8に示される本発明の第三実施形態における電機子コア72は、上述の第一実施形態における電機子コア12に対し、次のように構成が変更されている。なお、第三実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
第三実施形態の電機子コア72において、分割部40は、ヨーク部18におけるティース部20との接続部位に設けられている。そして、この分割部40により、電機子コア72は、複数の分割部材に分割されている。
つまり、この電機子コア72は、二種類の分割部材73,74に分割されている。第一の分割部材73は、分割部40よりもティース部20側の部分によって形成されており、第二の分割部材74は、ヨーク部18によって形成されている。この複数の分割部材73,74は、各分割部40に設けられた連結部46によって連結されている。第一の分割部材73には、凸部47が形成され、第二の分割部材74には、凹部48が形成されている。
なお、凸部47が形成された第一の分割部材73は、本発明における「互いに連結される分割部材の一方」の一例であり、凹部48が形成された第二の分割部材74は、本発明における「互いに連結される分割部材の他方」の一例である。
続いて、第三実施形態の作用及び効果のうち、上述の第一実施形態と異なる内容について説明する。
第三実施形態によれば、分割部40は、ヨーク部18におけるティース部20との接続部位に設けられている。従って、主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を巻回する際には、分割部40よりもティース部20側の部分を形成する第一の分割部材73を、ヨーク部18を含む第二の分割部材74から分離した状態とすることにより、主ティース部21の先端側及び基端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部21の先端側又は基端側から主ティース部21への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部21の先端側又は基端側から主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を容易に巻回することができる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図9に示される本発明の第四実施形態における電機子コア82は、上述の第一実施形態における電機子コア12に対し、次のように構成が変更されている。なお、第四実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
第四実施形態の電機子コア82において、分割部40は、ヨーク部18における隣り合うティース部20の間の部位(より具体的には、隣り合うティース部20の間の中央部)に設けられている。そして、この分割部40により、電機子コア82は、複数の分割部材84に分割されている。この複数の分割部材84は、互いに同一形状とされており、ヨーク部18の周方向の一部と、ティース部20とによって形成されている。
この複数の分割部材84のうち幾つかの分割部材84(一例として、周方向に等間隔で配列された3つの分割部材84)は、第一グループ(例えばU相)に属しており、この第一グループに属する複数の分割部材84は、図10に示されるように、樹脂製の連結部材86(インシュレータ)によって連結されている。同様に、図9に示されるように、第二グループ(例えばV相)に属する複数の分割部材84は、別の連結部材87によって連結されており、第三グループ(例えばW相)に属する複数の分割部材84は、さらに別の連結部材88によって連結されている。
また、この第四実施形態では、複数のグループ毎に複数の分割部材84が連結部材86,87,88によって連結されることにより複数の電機子コア構成部96,97,98(一例として、3つの電機子コア構成部)が構成されている。図10に示される電機子コア構成部96は、この複数の電機子コア構成部の一つである。他の電機子コア構成部97,98の基本的な構成も、電機子コア構成部96と同様である。そして、この複数の電機子コア構成部96,97,98が組み合わされることにより、図9に示される電機子コア82が構成されている。
また、このように複数の電機子コア構成部96,97,98が組み合わされて電機子コア82が構成された状態において、複数の分割部材84は、各分割部40に設けられた連結部46によって連結されている。各分割部材84には、凸部47及び凹部48がそれぞれ形成されている。図10に示されるように、凸部47は、ヨーク部18の周方向の一部における一方の端部に形成されており、凹部48は、ヨーク部18の周方向の一部における他方の端部に形成されている。
続いて、第四実施形態の作用及び効果のうち、上述の第一実施形態と異なる内容について説明する。
図9に示されるように、第四実施形態によれば、分割部40は、ヨーク部18におけるティース部20との接続部位に設けられている。従って、主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を巻回する際には、ヨーク部18の周方向の一部とティース部20とによって形成された各分割部材84を互いに分離した状態とすることにより、主ティース部21の先端側及び基端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部21の先端側又は基端側から主ティース部21への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部21の先端側又は基端側から主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を容易に巻回することができる。
また、複数のグループ毎に複数の分割部材84が連結部材86,87,88によって連結されることにより複数の電機子コア構成部96,97,98が構成されており、この複数の電機子コア構成部96,97,98を組み合わせることにより電機子コア82を構成することができる。従って、複数の分割部材84が互いに独立している場合に比して(連結部材86,87,88を用いない場合に比して)、電機子コア82の組み立てを容易にすることができる。
なお、第四実施形態において、上述の第一乃至第三グループは、一例として、U相、V相、W相に分かれていたが、上述の第一乃至第三グループでは、それぞれU相、V相、W相が混合していても良い。
また、電機子コア82は、三つの電機子コア構成部96,97,98に分割されていたが、電機子コア構成部の数は、三つ以外でも良い。
また、上述の第一乃至第三グループでは、それぞれ分割部材84の数が三つとされていたが、各グループにおける分割部材84の数は、三つ以外でも良い。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図11に示される本発明の第五実施形態における電機子コア102は、上述の第四実施形態における電機子コア82に対し、次のように構成が変更されている。なお、第五実施形態において、第四実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
第五実施形態の電機子コア102において、凸部47は、凹部48よりも若干小さく形成されており、凹部48に隙間嵌め(隙間を有して嵌合)される構成とされている。そして、凸部47を凹部48に隙間嵌めして複数の分割部材84が環状に連結された状態において、ヨーク部18の内側(ヨーク部18に対してティース部20が突出する側と反対側)に圧入部材54が圧入されることにより、電機子コア102(複数の分割部材84)が径方向に拡がり、凸部47及び凹部48が嵌合された状態とされている。
続いて、第五実施形態の作用及び効果のうち、上述の第四実施形態と異なる内容について説明する。
第五実施形態によれば、凸部47及び凹部48は隙間嵌めされ、さらにヨーク部18に対して圧入部材54が圧入されているので、その分、第四実施形態のように凸部47及び凹部48が圧入される場合に比して、凸部47及び凹部48に要求される寸法精度を緩和することができる。これにより、電機子コア102の歩留まりをより向上させることができる。
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態について説明する。
図12,図13に示される本発明の第六実施形態における電機子コア112は、上述の第五実施形態における電機子コア102に対し、次のように構成が変更されている。なお、第六実施形態において、第五実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
第六実施形態の電機子コア112は、ブラシ付き直流モータの回転子に用いられるものである。この第六実施形態の電機子コア112において、ヨーク部18は、その中心に孔113を有する環状に形成されており、各分割部40は、ヨーク部18の径方向に沿って延びている。各分割部40には、ヨーク部18の径方向に並ぶ一対の連結部46が設けられている。
各連結部46は、凸部47及び凹部48を有しており、一方の連結部46と他方の連結部46とでは、凸部47及び凹部48の向きが逆になっている。上述の第五実施形態と同様に、凸部47は、凹部48よりも若干小さく形成されており、凹部48に隙間嵌めされる構成とされている。
そして、凸部47を凹部48に隙間嵌めして複数の分割部材84が環状に連結された状態において、ヨーク部18の内側(ヨーク部18に対してティース部20が突出する側と反対側)に圧入部材の一例であるシャフト部材114が圧入されることにより、電機子コア112(複数の分割部材84)が径方向に拡がり、凸部47及び凹部48が嵌合された状態とされている。
このように構成されていても、凸部47及び凹部48が隙間嵌めとされた分、凸部47及び凹部48が圧入される場合に比して、凸部47及び凹部48に要求される寸法精度を緩和することができるので、電機子コア112の歩留まりをより向上させることができる。
[第七実施形態]
次に、本発明の第七実施形態について説明する。
図14,図15に示される本発明の第七実施形態における電機子コア122は、上述の第五実施形態における電機子コア102に対し、次のように構成が変更されている。なお、第七実施形態において、第五実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
第七実施形態の電機子コア122において、各分割部40に設けられた連結部46は、隣り合う分割部材84の一方に形成されたピン部127と、隣り合う分割部材84の他方に形成された孔部128とを有している。そして、図15に示されるように、ピン部127が孔部128に挿入されることにより、隣り合う分割部材84同士は、回動可能に連結される。
続いて、第七実施形態の作用及び効果のうち、上述の第五実施形態と異なる内容について説明する。
第七実施形態によれば、各分割部40に設けられた連結部46は、分割部材84同士を回動可能に連結する。従って、図15に示されるように、例えば、幾つかの分割部材84を連結部46で連結した状態で、主ティース部21間の内層側スロット34の開口が拡がる方向にこの幾つかの分割部材84を連結部46を中心に回動させることにより、主ティース部21の先端側をオープンな状態にすることができる。これにより、主ティース部21の先端側から主ティース部21への巻線のアクセスが容易になるので、主ティース部21の先端側から主ティース部21に内層コイル部14(図1参照)を容易に巻回することができる。
[変形例]
次に、上記各実施形態に共通の変形例について説明する。
上述のように、第一及び第二実施形態(図1〜図7参照)では、ティース部20における外層コイル部16の配置位置よりもヨーク部18側で且つ内層コイル部14の配置位置を除く部位に分割部40が形成され、第三乃至第七実施形態(図8〜図15参照)では、ヨーク部18に分割部40が形成されていた。しかしながら、上述の第一及び第二実施形態のいずれかと、第三乃至第七実施形態のいずれかとが組み合わされて、ティース部20における外層コイル部16の配置位置よりもヨーク部18側で且つ内層コイル部14の配置位置を除く部位と、ヨーク部18とに分割部40がそれぞれ形成されていても良い。
また、第一乃至第七実施形態(図1〜図15参照)において、分割部40は、ティース部20における外層コイル部16の配置位置よりもヨーク部18側で且つ内層コイル部14の配置位置を除く部位、及び、ヨーク部18のうちの少なくとも一方であれば、上記各実施形態に記載した位置以外の位置に形成されていても良い。
また、上述の第一乃至第七実施形態のうち第六実施形態を除く実施形態は、アウタロータ型のブラシレスモータにおける固定子に適用されていたが、インナロータ型のブラシレスモータにおける固定子に適用されていても良い。この場合には、上述のティース部20がヨーク部18の径方向内側に向けて突出される。
また、上述の第一乃至第七実施形態のうち第六実施形態を除く実施形態は、アウタロータ型のブラシレスモータにおける固定子以外に、ブラシ付き直流モータの回転子に適用されても良い。
また、上記各実施形態において、各ティース部20には、一つの主ティース部21と、一対の分岐ティース部22,23が設けられていたが、各分岐ティース部22,23の先端部に一対の分岐ティース部22,23と同様の一対の分岐ティース部がさらに形成されていても良い。また、各ティース部20に形成される一対の分岐ティース部の段数(電機子コア12の径方向に一対の分岐ティース部が並ぶ数)は、2以上でも良い。
また、上記各実施形態において、凸部47及び凹部48が形成される分割部材は、上記と逆でも良い。
また、凸部47及び凹部48の代わりに、例えば溶接などその他の連結手段が用いられても良い。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。