JP2015106550A - 全固体二次電池および全固体二次電池の製造方法 - Google Patents

全固体二次電池および全固体二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】固体電解質層を薄膜化して、全固体二次電池の容量密度を向上させる。【解決手段】本発明は、互いに対極となる第一電極と第二電極と、固体電解質を含有する固体電解質塗工液の液滴を第一電極表面に吐出し、第一電極に固体電解質を付着させて形成される固体電解質層とを備え、固体電解質層は、第一電極と第二電極との間に配置される全固体二次電池である。第一電極は負極であり、第二電極が正極であることが好ましい。固体電解質が、ケイ素とリンとホウ素とからなる群から選ばれる一種以上の元素と、硫黄と、リチウムとを含有する化合物である。全固体二次電池の製造方法は、第一電極形成工程と、固体電解質を含有する固体電解質塗工液の液滴を第一電極表面に吐出し乾燥させて、第一電極に固体電解質を付着させ、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、第一電極に対し固体電解質層を挟む位置に第二電極を形成する第二電極形成工程とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体二次電池および全固体二次電池の製造方法に関する。
全固体二次電池は、正極層と負極層との間に固体電解質層を配置させた構造を備える。全固体二次電池の容量密度を向上させたり、内部抵抗を減少させたりするため、固体電解質層の薄膜化の要請がある。また通常、固体電解質層は、その面積が正極層の面積より大きいものが用いられる。
従来、全固体二次電池の作製方法として、正極層と負極層と固体電解質層とをそれぞれ作製した後、これらを一体化させる方法がある。特許文献1には、負極層上に固体電解質塗工液を塗布、乾燥させて固体電解質層を形成し、さらに固体電解質層上に正極層を張り合わせる方法が開示される。上記の方法においては、固体電解質塗工液の溶媒が負極層内に拡散することを抑制するため、負極層を予め圧延しておかなければならない。圧延前の負極層に固体電解質塗工液を塗布する場合、塗布工程が進むにつれて固体電解質塗工液の粘度が高くなる。その場合、均質な固体電解質層を形成することが困難である。
他法として、予め固体電解質層を作製した後、これを電極層に貼り合わせてもよい。固体電解質層の作製方法の例としては、固体電解質を含有する固体電解質塗工液を支持体に塗布し、溶媒を除去させたのち支持体から剥離させる方法がある。該固体電解質塗工液には結着剤が添加される。結着剤は抵抗上昇の原因となるため、その含有量は少ない方が好ましい。しかし結着剤の含有量を少なくすると、薄くかつ大面積の固体電解質層を作製しようとしても破損しやすく、作製は困難である。
特開2013-127873号公報
本発明は、固体電解質層を薄膜化して、全固体二次電池の容量密度を向上させることを課題とする。
本発明は、互いに対極となる第一電極と第二電極と、固体電解質を含有する固体電解質塗工液の液滴を第一電極表面に吐出し、第一電極に固体電解質を付着させて形成される固体電解質層とを備え、固体電解質層が、第一電極と第二電極との間に配置される全固体二次電池である。上記第一電極は負極であり、第二電極は正極であることが好ましい。
本発明においては、固体電解質が、ケイ素とリンとホウ素とからなる群から選ばれる一種以上の元素と、硫黄と、リチウムとを含有する化合物であることが好ましい。
本発明は、第一電極形成工程と、固体電解質を含有する固体電解質塗工液の液滴を第一電極表面に吐出し乾燥させて、第一電極に固体電解質を付着させ、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、第一電極に対し固体電解質層を挟む位置に第二電極を形成する第二電極形成工程とを含む全固体二次電池の製造方法を包含する。上記の製造方法においては、第一電極形成工程で得られる加圧成型前の第一電極の表面に、固体電解質層を形成することが好ましい。
本発明の全固体二次電池の例を示す概略図である。 本発明の実施例および比較例の充放電試験の測定結果である。
[全固体二次電池]
本発明の全固体二次電池は、互いに対極となる第一電極と第二電極と、第一電極と第二電極との間に配置される固体電解質層とを備える。図1は、本発明の全固体二次電池の例を示す概略図である。図1において、100は全固体二次電池、200は第一電極、300は固体電解質層、400は第二電極、501および502は集電体である。第一電極は負極であることが好ましいが、正極であってもよい。便宜上、以下の記載では負極を第一電極とし、正極を第二電極として本発明を説明する場合がある。
[固体電解質層]
本発明を構成する固体電解質層は、固体電解質を含有する固体電解質塗工液の液滴を第一電極表面に吐出し、第一電極に固体電解質を付着させて形成させる。これにより少量の固体電解質を均質に第一電極表面に付着させることができる。そのため、固体電解質の塗工液の溶媒除去後、薄い固体電解質層を得られる。固体電解質層の平均膜厚は、5〜300μmであり、好ましくは10〜200μmである。これにより本発明は、内部抵抗を低減し、容量密度を向上させることができる。
該固体電解質層の含有成分としては固体電解質と結着剤とが挙げられる。その他、無機化合物を含有させてもよい。固体電解質としては、リン酸系固体電解質や硫化物系固体電解質を用いることができる。好ましくは、ケイ素とリンとホウ素とからなる群から選ばれる一種以上の元素と、硫黄と、リチウムとを含有する化合物が用いられる。これによりイオン伝導度が高い固体電解質層を形成できる。
上記の元素を含有する化合物としては、Li2SとP25とをモル比で、好ましくは50:50〜80:20、より好ましくは60:40〜75:25で混合させて得られる硫化物が挙げられる。より具体的には、Li3PO4、Li11、LiPSCl、LiPS等が挙げられる。全固体電解質のイオン伝導度は大きいほど好ましく、具体的には10−5S/cm以上が好ましく、10−4S/cm以上がより好ましい。固体電解質は、非晶質、結晶体のいずれでもよい。
固体電解質のイオン伝導度は、粒子径や比表面積に依存する。そのため、固体電解質の平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。固体電解質の平均粒子径は、任意に選び取った50粒の固体電解質粒子の粒子径を乾式粒度分布測定装置を用いて測定し、測定値の平均値を平均粒子径とすることができる。また比表面積は、少なくとも0.1m/g以上が好ましく、1m/g以上がより好ましい。比表面積を大きくするほど電極活物質との界面を大きくでき、イオン伝導経路を増大できる。固体電解質の比表面積は、いずれも比表面積測定計を用いて測定することができる。
固体電解質塗工液に添加される他の成分としては、結着剤が挙げられる。結着剤の例としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンブロック重合体(SBS)、スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック重合体(SEB)、スチレン−(スチレンブタジエン)−スチレンブロック重合体などのスチレン系熱可塑性エラストマー類、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等が挙げられる。
[負極(第一電極)]
本発明を構成する負極は、負極活物質と結着剤と固体電解質とを含有する。該固体電解質は、本発明の作製工程で固体電解質塗工液の液滴を負極表面に吐出することで、固体電解質塗工液に含有される固体電解質を、負極に含浸させることができる。その場合、本発明においては、負極の作製時に予め固体電解質を含有させておかなくてもよい。ただし本発明は、固体電解質を予め含有させて作製した負極を用いてもよい。
負極活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等の黒鉛活物質や、ケイ素またはスズもしくはこれらの酸化物の微粒子と上記の黒鉛活物質との混合物、ケイ素またはスズの微粒子、ケイ素またはスズを基本材料とした合金、Li3Ti5O12等の酸化チタン系化合物が挙げられる。結着剤は、固体電解質層に用いられる結着剤を同様に用いることができる。
負極において固体電解質は、少なくとも固体電解質層に含有される固体電解質と同じものが含有されうる。本発明の固体電解質層は、固体電解質塗工液の液滴を第一電極(負極)表面に吐出させて形成される。上記の固体電解質層の形成工程により、固体電解質塗工液に含有される固体電解質を負極に含浸させることができる。その場合、負極と固体電解質層とは同じ固体電解質を含有する。
本発明は、負極上に固体電解質層を形成する前工程で、予め負極に固体電解質を含有させてもよい。その場合、予め含有させる固体電解質は、固体電解質塗工液に含有される固体電解質と異なるものでもよい。用いられる固体電解質は、リン酸系固体電解質や硫化物系固体電解質であり、イオン伝導性に優れる硫化物固体電解質が好ましく用いられる。
[正極(第二電極)]
本発明を構成する正極は、正極活物質と結着剤と固体電解質とを含有する。正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できるものであればよい。具体例としては、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(以下、「NCA」と称する場合もある。)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(以下、「NCM」と称する場合もある。)、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、硫化ニッケル、硫化銅、硫黄、酸化鉄、酸化バナジウム等が挙げられる。これらの正極活物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極活物質は、上記に挙げた正極活物質の例のうち、特に、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩であることが好ましい。「層状」とは、薄いシート状の形状のことを意味する。「岩塩型構造」とは、結晶構造の1種である塩化ナトリウム型構造のことであり、陽イオン及び陰イオンのそれぞれが形成する面心立方格子が、互いに単位格子の稜の1/2だけずれた構造をいう。このような層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩としては、例えば、Li1.1−xNiyCozAl1-y-z2(NCA)またはLi1.1-xNiyCozMn1-y-z2(NCM)(0<x<0.7、0<y<1、0<z<1、かつy+z<1)で表される3元系の遷移金属酸化物のリチウム塩が挙げられる。
正極に含有される結着剤と固体電解質とは、固体電解質層や負極に含有可能な結着剤や固体電解質として説明したものを、用いることができる。
[全固体二次電池の製造方法]
本発明の全固体二次電池は、第一電極形成工程と固体電解質層形成工程と、第二電極形成工程とを含む。全固体二次電池は、第一電極と第二電極との間に固体電解質層を配置させてなる積層構造を備える。その積層面の面積は、正極より負極と固体電解質層とが大きく形成される。したがって、第一電極は正極と負極とのいずれでもよいが、作製容易性の観点から、第一電極を負極とし、その表面に固体電解質層を形成することが好ましい。負極上に固体電解質層を形成させた後、これに第二電極としての正極を一体化させる。
[第一電極形成工程]
第一電極(負極)の形成は、負極塗工液を調製し、集電体上に該負極塗工液を塗布後、負極塗工液の溶媒を除去して行われる。集電体は、導電性を備える材料であればよく、フィルム状の銅、ステンレス鋼、ニッケル等が好ましく用いられる。
(負極塗工液の調製)
負極塗工液は、溶媒に上記に説明した負極活物質と結着剤とを添加し、均質に分散させて調製する。上記の成分の他に、固体電解質や導電助剤、分散剤、増粘剤等を添加してもよい。本発明においては負極塗工液に硫化物系固体電解質を添加しなくてもよい。その場合、負極塗工液の溶媒として、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド溶媒、酢酸ブチル、酢酸エチル等のアルキルエステル溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類溶媒等の極性溶媒を用いることができる。またキシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等の非極性溶媒を用いてもよい。負極活物質と結着剤との添加量は、得られる負極の総質量に占める負極活物質の質量が95〜99質量%であり、結着剤の質量が1〜5質量%になるように調製することが好ましい。
(塗布、乾燥)
上記の負極塗工液を、ダイコーター、ドクターブレード等を用いて集電体上に塗布し乾燥させて溶媒を除去する。これにより大面積の負極構造体を作製できる。該負極の形成工程は、反応性の高い硫化物固体電解質を用いずに行うことができる。その場合、大気中で負極を作成できる。そのため製造プロセスのコストを低減できる。
[固体電解質層形成工程]
(固体電解質塗工液の調製)
固体電解質塗工液は、上記に説明した固体電解質と結着剤とを溶媒に添加し、均質に分散させて調製する。上記の成分の他に、無機化合物、分散剤、増粘剤等を添加してもよい。本発明に用いられる固体電解質塗工液は、薄い固体電解質層を形成するため、固体電解質の含有量を低濃度に調製する。固体電解質塗工液における固体電解質の濃度は、1〜40質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。本発明に用いられる固体電解質塗工液は、液滴状にて吐出するため、従来の塗布方法と比較して低粘度でも固体電解質層の形成が可能である。固体電解質塗工液の粘度は、0.01〜10Pa・sが好ましく、0.1〜5Pa・sがより好ましい。したがって結着剤の濃度は、0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
固体電解質塗工液には、硫化物系固体電解質を添加することが好ましい。そのため溶媒としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等の非極性溶媒が好ましい。
(固体電解質塗工液の吐出、乾燥)
調製した固体電解質塗工液の液滴を、負極の集電体接合面とは反対側の表面に吐出する。固体電解質塗工液の吐出は、非接触ジェットディスペンサー、スプレーコーティング等の吐出孔を備える吐出装置を用いて行う。吐出孔を連続的に移動させながら、吐出間隔を好ましくは0〜2mm、より好ましくは0〜0.5mmにして固体電解質塗工液を吐出させ、負極表面の所望の領域に固体電解質を付着させる。固体電解質塗工液は負極表面の全域に付着させることができ、大面積の固体電解質層を形成できる。
全固体二次電池の内部抵抗を抑制し、容量密度を向上させる観点から、固体電解質層の厚みは小さいほど好ましい。本発明においては、厚みが5〜500μmの固体電解質層を形成できる。固体電解質層の厚みは、固体電解質塗工液における固体電解質の濃度や、固体電解質塗工液の一回あたりの吐出量を調節することで所望の厚みにすることができる。
固体電解質層の厚みは、5〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。固体電解質層の厚みが5μm未満の場合、第一電極表面に均質に固体電解質を付着させることが困難である。500μmを超える場合、内部抵抗を増大させる。いずれの場合も、全固体二次電池の所望の容量密度を得られない。上記の好ましい厚みの固体電解質層を形成させるため、本発明においては固体電解質濃度が0.5〜3質量部の固体電解質塗工液の一回あたりの吐出量は、0.5〜10mgが好ましく、1〜5mgがより好ましい。すなわち本発明において、固体電解質塗工液は液滴として吐出される。これにより本発明は、少量の固体電解質を電極面の所望の領域に均質に付着させることができ、破損しにくく薄い固体電解質層を形成できる。
上記の作用効果をより詳しく説明する。従来のダイコーター等を用いる塗工方法では、固体電解質塗工液の溶媒が負極中に拡散するため、塗工が進むにつれて固体電解質塗工液の粘度が上昇し、塗工液中の固体電解質が凝集しやすい。そのような塗工液を用いて形成された固体電解質層を加圧する場合、固体電解質の凝集箇所に力が集中して固体電解質層を破損させる。
これに対し本発明は、固体電解質塗工液を少量の吐出量で固体電解質を負極の面方向に連続的に吐出して負極に付着させる。一回あたり吐出量が微量であるため、溶媒の負極への拡散を抑制できる。また塗工中、常に同じ性状の塗工液を吐出できる。これにより負極面に対し均質に固体電解質を分散させた固体電解質層を形成できる。本発明は、所定の吐出条件で固体電解質を電極面に付着させるため、塗工により形成された固体電解質層と比較して、固体電解質を均質に分散できる。そのため、加圧による固体電解質層の破損を防止できる。
なお、本発明の固体電解質層において、均質に固体電解質を分散させた状態とは、膜厚が一定な固体電解質層を形成する状態に加え、膜厚が上記の好ましい範囲内で周期的または非周期的に変化する固体電解質層を形成する状態を含む。すなわち本発明の固体電解質層は上記の所定の範囲内の膜厚を備えることで、その表面が平坦であるか否かに関わらず、全固体二次電池の容量密度を向上させることができる。
また、吐出により固体電解質塗工液に含有される固体電解質が、負極の活物質等の粒子の間隙に入り込む。したがって固体電解質を含有させずに作製した負極においても、固体電解質層形成後は、固体電解質を含有する負極になる。すなわち、負極作製工程で反応性の高い固体電解質を扱わずにすむため負極作製を大気中で行え、製造コストを低減できる。また容量密度が高い全固体二次電池を得ることができる。
[第二電極形成工程]
第二電極(正極)の形成は、正極塗工液を調製し、集電体上に該正極塗工液を塗布後、正極塗工液の溶媒を除去して行われる。集電体は、導電性を備える材料が用いられ、アルミニウム、ステンレス鋼等が好ましく用いられる。
(正極塗工液の調製)
正極塗工液は、溶媒に上記に説明した正極活物質と結着剤と固体電解質とを添加し、均質に分散させて調製する。上記の成分の他に、導電助剤、分散剤、増粘剤等を添加してもよい。正極塗工液の溶媒として、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等の非極性溶媒を用いてもよい。正極活物質と結着剤との添加量は、得られる正極の総質量に占める正極活物質の質量が95〜99質量%であり、結着剤の質量が1〜5質量%になるように調製することが好ましい。
(塗布、乾燥)
上記の正極塗工液を、ダイコーター、ドクターブレード等を用いて集電体上に塗布し乾燥させて溶媒を除去することで、本発明を構成する正極を形成できる。
[セル組立工程]
加圧により負極と一体化させた固体電解質層の面上に正極を積層させ、負極と正極との間に固体電解質層を配置させた積層体を組み立てる。この積層体を加圧することで一体化させ、本発明の全固体二次電池を作製することができる。
[正極構造体の形成]
正極活物質としてのLiNiCoAlO三元系粉末と、硫化物系固体電解質としてのLiS−P(80:20モル%)非晶質粉末と、正極層導電性物質(導電助剤)としての気相成長炭素繊維粉末とを60:35:5の質量%比で秤量し、自転公転ミキサを用いて混合した。
上記の混合粉に、結着剤としてのSBRを溶解させた脱水キシレン溶液を、SBRが混合粉の総質量に対して5.0質量%となるように添加して、1次混合液を生成した。さらに、1次混合液に、粘度調整のため脱水キシレンを適量添加し、2次混合液を生成した。さらに、混合粉の分散性を向上させるために、直径5mmのジルコニアボールを、空間、混合粉、ジルコニアボールがそれぞれ混練容器の全容積に対して1/3ずつを占めるように2次混合液に投入し、3次混合液を生成した。この3次混合液を自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌することで、正極塗工液を生成した。
正極集電体として厚さ15μmのアルミ箔集電体を用意し、卓上スクリーン印刷機に正極集電体を載置し、150μmのメタルマスクを用いて正極塗工液をシート上に塗工した。その後、正極塗工液が塗工されたシートを60℃のホットプレートで30分乾燥させた後、80℃で12時間真空乾燥させた。これにより、正極集電体上に正極層を形成した。乾燥後の正極集電体及び正極層の総厚さは約165μmであった。
正極集電体及び正極からなるシートをロールギャップ10μmのロールプレス機を用いて圧延することで、正極構造体を生成した。正極構造体の厚みは120μm前後であった。
[負極構造体の形成]
負極活物質としての黒鉛粉末(80℃で24時間真空乾燥したもの)と、結着剤としてのPVdFとを95.0:5.0の質量%比で秤量した。そして、これらの材料と適量のNMPとを自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌した後、1分脱泡処理することで、負極塗工液を生成した。
負極集電部材として厚さ16μmの銅箔集電部材を用意し、ブレードを用いて銅箔集電部材上に負極塗工液を塗工した。銅箔集電部材上の負極塗工液の厚さ(ギャップ)は150μm前後であった。
負極塗工液が塗工されたシートを、80℃に加熱された乾燥機内に収納し、15分乾燥した。さらに、乾燥後のシートを80℃で24時間真空乾燥を行った。これにより、負極構造体を生成した。負極構造体の厚みは140μm前後であった。
[電解質塗工液の生成]
硫化物系固体電解質としてのLi2S-P25(80:20モル%)非晶質粉末に、SBRが溶解した脱水キシレン溶液をSBRが混合粉の総質量に対して2.0質量%となるように添加して1次混合液を生成した。この1次混合液に、粘度調整のための脱水キシレンを適量添加することで、2次混合液を生成した。さらに、混合粉の分散性を向上させるために、直径5mmのジルコニアボールを、空間、混合粉、ジルコニアボールがそれぞれ混練容器の全容積に対して1/3ずつを占めるように3次混合液に投入した。これにより生成された3次混合液を自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌することで、電解質層塗工液を生成した。
[固体電解質層の生成]
非接触ジェットディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製)に負極構造体を載置し、固体電解質塗工液を負極上に塗布した。1回あたりの塗出量は約2mgで、塗出間隔は0.3mmで行った。その後、電解質層塗工液が塗工されたシートを40℃のホットプレートで10分乾燥させた後、40℃で12時間真空乾燥させた。これにより、負極構造体上に固体電解質層を形成した。乾燥後の固体電解質層の厚さは100−150μmで周期的に変化していた。
[全固体二次電池の生成]
負極構造体及び固体電解質層からなるシート及び正極構造体をそれぞれトムソン刃で打ちぬき、シートの固体電解質層と正極構造体の正極層とをロールギャップ150μmのロールプレス機を用いたドライラミネーション法により貼り合わせることで、固体電池の単セル(単電池)を生成した。
[比較例1]
正極構造体の生成と、負極構造体の生成と、固体電解質塗工液の調製とは、実施例と同様の工程により生成した。
[固体電解質層の生成]
卓上スクリーン印刷機に負極構造体を載置し、500μmのメタルマスクを用いて固体電解質塗工液を負極構造体上に塗工した。その後、固体電解質塗工液が塗工されたシートを40℃のホットプレートで10分乾燥させた後、40℃で12時間真空乾燥させた。これにより、負極構造体上に電解質層を形成した。乾燥後の固体電解質層の総厚さは約300μmであった。
[全固体二次電池の生成]
負極構造体及び固体電解質層からなるシート及び正極構造体をそれぞれトムソン刃で打ちぬき、シートの固体電解質層と正極構造体の正極層とをロールギャップ350μmのロールプレス機を用いたドライラミネーション法により貼り合わせることで、全固体二次電池の単セル(単電池)を生成した。
[比較例2]
正極構造体の生成と、負極構造体の生成と、固体電解質塗工液の調製とは、実施例と同様の工程により生成した。
[固体電解質層の生成]
卓上スクリーン印刷機に負極構造体を載置し、200μmのメタルマスクを用いて固体電解質層塗工液を負極構造体上に塗工した。しかし、途中で塗工液の粘度が上昇して固体電解質が凝集する箇所があった。そのため加圧成型時に固体電解質層が破損し、固体電解質層を生成できなかった。
[比較例3]
正極構造体の生成と、負極構造体の生成と、固体電解質塗工液の調製とは、実施例と同様の工程により生成した。
[固体電解質層の生成]
負極構造体をロールギャップ50μmのロールプレス機を用いて圧延することで、圧延された負極層をもつ負極構造体を生成した。この負極構造体を卓上スクリーン印刷機に載置し、300μmのメタルマスクを用いて電解質層塗工液を負極構造体上に塗工した。その後、電解質層塗工液が塗工されたシートを40℃のホットプレートで10分乾燥させた後、40℃で12時間真空乾燥させた。これにより、負極構造体上に電解質層を形成した。固体電解質層の厚さは200μm前後であった。
[全固体二次電池の生成]
負極構造体及び固体電解質層からなるシート及び正極構造体をそれぞれトムソン刃で打ちぬき、シートの固体電解質層と正極構造体の正極層とをロールギャップ250μmのロールプレス機を用いたドライラミネーション法により貼り合わせることで、固体電池の単セル(単電池)を生成した。
[比較例4]
正極構造体の生成と、負極構造体の生成と、固体電解質塗工液の調製とは、実施例と同様の工程により生成した。
[固体電解質層の生成]
負極構造体をロールギャップ50μmのロールプレス機を用いて圧延することで、圧延された負極層をもつ負極構造体を生成した。この負極構造体を卓上スクリーン印刷機に載置し、200μmのメタルマスクを用いて電解質層塗工液を負極構造体上に塗工した。その後、電解質層塗工液が塗工されたシートを40℃のホットプレートで10分乾燥させた後、40℃で12時間真空乾燥させた。これにより、負極構造体上に電解質層を形成した。固体電解質層の厚さは130μm前後であった。
[全固体二次電池の生成]
実施例と同様の工程により生成した。
[評価方法]
実施例および比較例1−4の全固体二次電池の単セルの容量(Ah)を東洋システム製充放電評価装置 TOSCAT−3100により測定した。単セル電圧が単調に増大する場合は、微小内部短絡が発生しなかったと評価した。また単セル電圧が安定的に増大しない場合は、微小内部短絡が発生したと評価した。
実施例および比較例1−4の工程でそれぞれ10個の全固体電池を作成し、上記の方法で充放電試験を行った。図2において実線は、実施例として作製した一の全固体電池の測定結果である。破線は、比較例1として作製した一の全固体電池の測定結果である。図2の充電プロファイルによれば、実施例は正常な充電が行われ、充電に伴い単セル電圧が単調に増大した。一方、比較例1は、充電中の単セル電圧が安定的に増大しない。図2より、実施例は微小内部短絡が発生しなかったと評価した。比較例1は、微小内部短絡が発生したと評価した。
実施例の工程で作製した10個の全固体二次電池を充放電させたところ、10個のうち9個の全固体二次電池で、微小内部短絡が発生しなかったと評価できた。一方、比較例1については、10個のうち5個で、微小内部短絡が発生した。比較例2−4について、微小内部短絡発生しなかったと評価された全固体二次電池の個数は、表1に記載したとおりであった。表1の評価結果のとおり、本発明は破損しにくく、歩留まり向上に寄与する。
実施例および比較例1−4の評価結果から、本発明は破損しにくく薄い固体電解質層を形成できることが確認された。また容量密度も比較例1−4より良好であった。
100 全固体二次電池
200 第一電極
300 固体電解質層
400 第二電極
501 集電体
502 集電体

Claims (5)

  1. 互いに対極となる第一電極と第二電極と、固体電解質を含有する固体電解質塗工液の液滴を第一電極表面に吐出し、第一電極に固体電解質を付着させて形成される固体電解質層とを備え、固体電解質層は、第一電極と第二電極との間に配置される全固体二次電池。
  2. 第一電極が負極であり、第二電極が正極である、請求項1に記載の全固体二次電池。
  3. 固体電解質が、ケイ素とリンとホウ素とからなる群から選ばれる一種以上の元素と、硫黄と、リチウムとを含有する化合物である請求項1または請求項2に記載の全固体二次電池。
  4. 第一電極形成工程と、固体電解質を含有する固体電解質塗工液の液滴を第一電極表面に吐出し乾燥させて、第一電極に固体電解質を付着させ、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、第一電極に対し固体電解質層を挟む位置に第二電極を形成する第二電極形成工程とを含む全固体二次電池の製造方法。
  5. 第一電極形成工程で得られる加圧成型前の第一電極の表面に、固体電解質層を形成する請求項4に記載の全固体二次電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20200130585A (ko) * 2019-05-10 2020-11-19 주식회사 엘지화학 황화물계 전고체 전지용 고체 전해질 필름
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KR102701438B1 (ko) * 2019-05-10 2024-09-04 주식회사 엘지에너지솔루션 황화물계 전고체 전지용 고체 전해질 필름

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