JP2015106084A - レンズ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】可動部材を、精度よく並進させられ、可動部材の並進後に当該可動部材の回転中心位置を精度よく制御できるレンズ駆動装置を提供する。【解決手段】第1の長溝42が形成された固定部材24と、第2の長溝41とレンズが保持されている可動部材22と、第1の長溝42と第2の長溝41との間で固定部材24に対して可動部材22を第1および第2の長溝に沿って案内する第1のボール36と、レンズを挟んで第1のボールの反対側に複数配置された第2のボール37,38と、可動部材を第1および第2の長溝に沿って移動させるための駆動力を発生する第1のアクチュエータと、固定部材に対して可動部材を回転させるための駆動力を発生する第2のアクチュエータと、を具備し、可動部材が第2のアクチュエータによって固定部材に対して回転する際の回転中心は、第1のアクチュエータによって可動部材が上記第1および第2の長溝に沿って移動した際の第1のボールの位置とした。【選択図】図6

Description

本発明は、レンズを保持した可動部材を固定部材に対して移動するレンズ駆動装置に関する。
引用文献1(特開2011-85675号)の図4および図5に示すように、移動枠119の一端部(X方向正側の端)に回動軸115と係合する回動案内溝124が形成され、固定部材102にはこの回動案内溝124の移動を規制する回動軸115が設けられている。この回動案内溝124は、ヨー補正時に第1アクチュエータ104によって移動枠119が駆動される際、ヨー補正方向の平行移動時に回動軸115に対して摺動するとともに、平行移動後に第2アクチュエータ103によって当該回動軸115を中心として移動枠119をピッチ補正方向へ回動移動させる。
これにより移動枠119に保持された補正レンズL7はピッチ補正方向およびヨー補正方向に移動可能となる。
また、引用文献2(特開2010-266739号)には、ガタ無く像振れ補正用レンズを移動可能に支持することができる防振アクチュエータとして、固定板12と移動枠14を連結する支持アーム17と、平面内で移動可能に支持された移動枠14と固定板12の間に挟持された球状体であるスチールボール18と、を有する防振アクチュエータが開示されている。上記支持アーム17の可撓性部17aは、固定部17b、17cが平行を維持したまま薄板状の可撓性部17aが曲げられる形態には容易に弾性変形可能に構成されている。そして、第1駆動手段による水平方向の駆動力が作用すると、固定部17b、17cが平行を保持しながら水平方向にずれるように弾性変形し、水平方向の並進移動が許容され、第2駆動手段による鉛直方向の駆動力が作用すると、可撓性部17a付近を中心に移動枠14が回転されるように弾性変形される。
特開2011−85675号公報 特開2010−266739号公報
しかし、引用文献1の装置では、第1アクチュエータ104によるヨー補正時に、回動案内溝124が回動軸115に沿って移動するので、当該回動案内溝124と当該回動軸115との間には移動可能なように寸法公差をもうけなければならない。これは、「ガタ」を意味し、第2アクチュエータ103によって移動枠119をピッチ補正方向へ回動移動させる際、当該回動軸115の中心位置がずれてしまう。そのため、回転中心位置が不安定となり、ぶれ精度がでない。
また、引用文献2の装置では、像振れを補正するために必要な、像振れ防止用レンズ16の鉛直方向の移動距離は、支持アーム17と像振れ防止用レンズ16の間の距離に対して極めて小さく、移動枠14が回転される角度は微小であるということで、移動枠14の回転により発生する像振れ防止用レンズ16の移動は、近似的に鉛直方向の並進移動とみなしている。
そのため、像振れを補正するために必要にして十分な範囲及び精度で回転移動されない。即ち、回転中心位置が不安定となり、ぶれ精度がでない。
本願の目的は、可動部材を、精度よく並進させられ、可動部材の並進後に当該可動部材の回転中心位置を精度よく制御できるレンズ駆動装置を提供することにある。
本発明のレンズ駆動装置の一態様は、第1の長溝が形成された固定部材と、上記第1の長溝が形成された位置と対応する位置に第2の長溝が形成され、保持されているレンズの光軸と直交する平面内において上記固定部材に対して移動可能な可動部材と、上記固定部材に形成された第1の長溝と上記可動部材に形成された第2の長溝との間に配置されていて、当該固定部材に対して当該可動部材を当該第1および第2の長溝に沿って案内する第1のボールと、上記可動部材に形成された上記レンズを挟んで上記第1のボールの反対側に複数配置され、当該第1のボールとともに上記可動部材の移動を支持する第2のボールと、上記固定部材又は上記可動部材のうち一方にコイルが配置され、他方に磁石が配置されていて、当該可動部材を当該第1および第2の長溝に沿って移動させるための駆動力を発生する第1のアクチュエータと、上記固定部材又は上記可動部材のうち一方にコイルが配置され、他方に磁石が配置されていて、上記固定部材に対して上記可動部材を回転させるための駆動力を発生する第2のアクチュエータと、を具備し、上記可動部材が上記第2のアクチュエータによって上記固定部材に対して回転する際の回転中心は、上記第1のアクチュエータによって当該可動部材が上記第1および第2の長溝に沿って移動した際の上記第1のボールの位置であることを特徴とする。
一対の長溝と第1のボールとの精度良い位置関係を保った状態で、第1のボールを中心に固定部材に対して可動部材を回転移動させるようにしたので、可動部材の回転位置制御が正確にでき、もってぶれ精度が高いレンズ駆動装置を提供することができる。
図1は、実施形態に係る撮像装置を示す外観斜視図である。 図2は、図1の撮像装置の分解斜視図である。 図3は、図2の鏡枠の分解斜視図である。 図4は、図2の鏡枠を被写体側から見た正面図である。 図5は、図4の鏡枠をF5−F5で切断した断面図である。 図6は、第1の実施形態に係る防振ユニットの分解斜視図である。 図7は、図6の防振ユニットを上方から見た平面図である。 図8は、図7の防振ユニットをF8−F8で切断した断面図である。 図9は、図7の防振ユニットをF9−F9で切断した断面図である。 図10は、図7の防振ユニットをF10−F10で切断した断面図である。 図11は、図6の固定部材を可動部材側から見た平面図である。 図12は、図11の固定部材の斜視図である。 図13は、図6の可動部材を斜め下方から見た斜視図である。 図14は、図13の可動部材を図11の固定部材に取り付けた組立体を上方から見た平面図である。 図15は、図6の3つのボールの機能を説明するための断面図である。 図16は、第2の実施形態に係る防振ユニットの外観斜視図である。 図17は、図16の防振ユニットの分解斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
以下の説明において、デジタルコンパクトカメラ100(以下、単に、カメラ100と称する)から被写体に向かう方向を前方と称し、その反対を後方と称する。また、ユーザーが被写体に向けてカメラ100を構えた状態(図1の状態)で、カメラ100のレンズ102から被写体に向かう光軸Oと平行な方向をZ方向と称し、このZ方向と直交する水平な方向をX方向と称し、Z方向およびX方向と直交する鉛直な方向をY方向と称する場合もある。
レンズ102を介してカメラ100に入射する光の光軸Oは、後述する鏡枠10の反射鏡14(図5)によって鉛直下方(Y方向)に直角に折り曲げられる。このため、カメラ100の前後方向の厚さを薄くできる。
図1に示すように、カメラ100は、扁平な矩形箱状の筐体101を有する。筐体101の前面側には、レンズ102が設けられている。また、筐体101の上端には、シャッターボタン104が設けられている。
図2に示すように、カメラ100は、筐体101の裏面側に裏面カバー106を有する。裏面カバー106には、撮影した画像を表示するための表示パネル108が設けられている。また、筐体101の内部には、鏡枠10を収容するための鏡枠収納部105が設けられている。
図3は、鏡枠10の分解斜視図であり、図4は、鏡枠10を前方から見た正面図であり、図5は、鏡枠10を図4の線F5−F5で切断した断面図である。
図3に示すように、鏡枠10は、背面カバー11を有し、その内側に防振ユニット20(レンズ駆動装置)を収容配置するための防振ユニット収納部12を有する。また、鏡枠10は、図5に示すように、反射鏡14で下方に反射される光の光軸Oに沿って(Y方向に沿って)、複数のレンズ13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13hを有する。光軸Oに沿って最も下端に位置するレンズ13hは、防振ユニット20における移動対象物となる。
レンズ102を介してカメラ100に入射した被写体からの入射光は、反射鏡14で下方に直角に折り曲げられて複数のレンズ13a〜13hを通して撮像素子15に結像される。このとき、カメラ100に振動が与えられて生じる画像のブレを補正するように、防振ユニット20がレンズ13hを光軸Oと直交する面に沿って移動する。本実施形態のカメラ100は、光軸OがY方向に折り曲げられているため、防振ユニット20は、レンズ13hをXZ平面に沿って移動する。
以下、第1の実施形態に係る防振ユニット20について、図6乃至図15を参照して説明する。
図6は、防振ユニット20の分解斜視図であり、図7は、この防振ユニット20を光軸Oに沿って上方から見た平面図である。また、図8は、図7のF8−F8に沿って防振ユニット20を切断した断面図であり、図9は、図7のF9−F9に沿って防振ユニット20を切断した断面図であり、図10は、図7のF10−F10に沿って防振ユニット20を切断した断面図である。また、図11は、固定部材24を光軸Oに沿って上方から見た平面図であり、図12は、固定部材24の斜視図である。また、図13は、可動部材22を斜め下方から見た斜視図であり、図14は、図13の可動部材22を図11の固定部材24に取り付けた組立体30を上方から見た平面図である。さらに、図15は、可動部材22を固定部材24に対して移動可能に支持した3つのボール36、37、38の機能を説明するための断面図である。なお、図7乃至図10において、防振ユニット20のフレキシブルプリント基板21(以下、単に、FPC21と称する)の図示を省略してある。
図6に示すように、防振ユニット20は、レンズ13hを保持した可動部材22、可動部材22の下方に配置されて可動部材22をXZ平面に沿って移動可能に支持する固定部材24(第1の固定部材)、および可動部材22の上方に配置されたコイルフレーム26(第2の固定部材)を有する。つまり、可動部材22は、固定部材24とコイルフレーム26との間の空間に非接触状態で配置されている。可動部材22、固定部材24、およびコイルフレーム26は、それぞれ、その長手方向がX方向に沿う姿勢で配置される。
レンズ13hは、可動部材22の長手方向の略中央に保持して設けられている。コイルフレーム26は、レンズ13hを間に挟むように、長手方向両側に離間して、2つのコイル31、32を保持している。また、可動部材22は、コイル31、32に対向して、3つの磁石33、34、35を備えている。本実施形態では、コイルフレーム26にコイル31、32を設け、可動部材22に磁石33、34を設けたが、可動部材22にコイル31、32を設けてコイルフレーム26に磁石33、34を設けても良い。
本実施形態では、可動部材22の一端側に設けた磁石33は、コイル31に対向し、レンズ13hを間に挟んで可動部材22の他端側に設けた2つの磁石34、35は、コイル32に対向する。2つの磁石34、35は、可動部材22の機械強度を保つため、2つに分割して設けてあるが、もう一方の磁石33のように1つの磁石として一体に設けてもよい。
コイルフレーム26は、可動部材22に非接触で、固定部材24に固定される。可動部材22は、固定部材24に対しても非接触である。コイルフレーム26を固定部材24に固定するとき、コイルフレーム26の長手方向の両端から下方に突設した舌片26a、26bにそれぞれ設けた係合孔27a、27bに、固定部材24の長手方向の両端から突設した爪24a、24bがそれぞれ係合する。FPC21は、コイル31、32に接線されてコイルフレーム26に取り付けられている。
レンズ13hを間に挟んで一端側のコイル31および磁石33は、直進用のボイスコイルモータ(VCM)であり、可動部材22(すなわちレンズ13h)をX方向に駆動するための第1駆動部(第1のアクチュエータ)として機能する。また、他端側のコイル32および磁石34、35は、回転用のボイスコイルモータ(VCM)であり、可動部材22を揺動させてレンズ13hを概ねZ方向に駆動するための第2駆動部(第2のアクチュエータ)として機能する。そして、第1駆動部および第2駆動部は、協働して、レンズ13hをXZ平面に沿って所望する方向に移動させる駆動手段として機能する。
各コイル31、32には、FPC21を介して、図示しない制御部によって制御された電流が流される。一方のコイル31に流す電流の向きを制御することで、磁石33に作用させる磁束の向きを変えて、可動部材22を長手方向(X方向)の両方向に移動させることができる。また、他方のコイル32に流す電流の向きを制御することで、磁石34、35に作用させる磁束の向きを変えて、可動部材22を短手方向(Z方向)の両側に揺動させることができる。言い換えると、上述したようなXZ平面に沿った可動部材22の動作を可能にするように、2つのコイル31、32、および3つの磁石33、34、35の姿勢が決められている。
可動部材22と固定部材24との間には、3つのボール36、37、38が配設されている。3つの中で1つだけ径の大きいボール36(第1のボール)は、可動部材22に回転中心を与える中心球体として機能する。このボール36は、図8に示すように、可動部材22側の溝41(第2の長溝)と固定部材24側の溝42(第1の長溝)によって挟まれるようにして、可動部材22(固定部材24)の一端側に配置されている。これら2つの溝41、42は、互いに向き合うように対向して同じ方向に延びた断面V字状の溝である。
可動部材22の溝41は、可動部材22の一端にレンズ13hから離れる方向に突設された突起22aの下面側に設けられている。つまり、この溝41は、レンズ13hから最も離れた可動部材22の端部に形成されている。そして、この溝41は、図13に示すように、可動部材22の長手方向(X方向)に沿って延設されている。
一方、固定部材24の溝42も、図12に示すように、固定部材24の長手方向(X方向)に沿って延設されている。なお、2つの溝41、42は、それぞれ、その長手方向両端が閉じられており、ボール36の脱落が防止される。
残り2つのボール37、38は、上述した大径のボール36を中心に可動部材22をXZ平面に沿って揺動させるための揺動球体(第2のボール)として機能する。これら2つのボール37、38は、レンズ13hを間に挟んでボール36の反対側で、ボール36を中心にした円周に沿って互いに離間して配置されている。
2つのボール37、38は、それぞれ、固定部材24の上面側に設けられた矩形の凹部43、44内に収容配置されている。そして、これら凹部43、44内に配置された各ボール37、38は、可動部材22の下面に設けた平らなパッド45、46で押さえられる。固定部材24側の各凹部43、44が一定の深さを有するため、平らなパッド45、46で押さえることで、ボール37、38の脱落を防止できる。
なお、大径のボール36は、可動部材22側の溝41の直角に向き合う2つの壁に対して2点で接触し、固定部材24側の溝42の2つの壁に対して2点で接触する。つまり、ボール36は、溝41、42に対して4点で接触する。また、残り2つのボール37、38は、それぞれ、固定部材24側の凹部43、44の底面に対して点接触し、可動部材22側のパッド45、46に対して点接触する。つまり、これら2つのボール37、38は、それぞれ、凹部43、44、およびパッド45、46に対して2点で接触する。
可動部材22と固定部材24との間には、3つの引っ張りバネ51、52、53が架け渡されて張設されている。これら3つの引っ張りバネ51、52、53は、可動部材22および固定部材24を互いに近付く方向に付勢する付勢手段として機能する。
レンズ13hを間に挟んで大径のボール36と反対側に、単一の引っ張りバネ51が配設されている。また、レンズ13hを間に挟んで単一の引っ張りバネ51と反対側に残り2つの引っ張りバネ52、53が配設されている。これら3つの引っ張りバネ51、52、53は、第1の三角形を形成する位置に配置され、上述した3つのボール36、37、38は、第1の三角形と反対方向を向いた第2の三角形を形成する位置に配置されている。
一般的なブレ補正装置では、可動部材と固定部材の間に配置した球状のスペーサーの近傍にそれぞれ引っ張りバネを配置するが、本実施形態では、レンズ13hを間に挟んで、2つのボール37、38を設けた側に単一の引っ張りバネ51を設け、1つのボール36を設けた側に2つの引っ張りバネ52、53を配置した。
各引っ張りバネ51、52、53の一端は、僅かに引き伸ばした状態で、可動部材22からそれぞれ突設したフック54、55、56に引っ掛けられる。また、各張りバネ51、52、53の他端は、僅かに引き伸ばした状態で、固定部材24に設けたフック57、58、59に引っ掛けられる。
これにより、3つのボール36、37、38を間に挟んで押圧するように、可動部材22が固定部材24に向けて引き付けられる。この状態で、大径のボール36が2つの溝41、42に沿ってX方向に移動可能となり、且つこのボール36を中心に、可動部材22が揺動可能となる。言い換えると、2つの溝41、42は、ボール36の位置で、可動部材22のZ方向成分への移動を禁止しており、ボール36を中心とした回転およびX方向へのスライド移動を許容する。
図14には、可動部材22を固定部材24と組み合わせた組立体30の平面図を示してあり、3つのボール36、37、38の中心を結んだ三角形と、3つの引っ張りバネ51、52、53の中心を結んだ別の三角形と、をそれぞれ破線で図示してある。図示のように、これら2つの三角形は、逆向きに重なっている。なお、一方の三角形の重心は他方の三角形の中にあり、他方の三角形の重心は一方の三角形の中にある。
図14に示すように、可動部材22の回転中心から離間した反対側、すなわちレンズ13hを間に挟んで大径のボール36と反対側に単一の引っ張りバネ51を設けることで、可動部材22がボール6を中心に回転したときのこの引っ張りバネ51による復元力を比較的小さく(弱く)できる。逆に、レンズ13hを間に挟んでボール36の反対側に2つの引っ張りバネ52、53を設けると、可動部材22がボール6を中心に回転したときの引っ張りバネ52、53による復元力が大きくなってしまう。
つまり、単一の引っ張りバネ51をボール36(回転中心)から遠い位置に配置することで、引っ張りバネ51の復元力に基づくモーメントを小さくでき、防振ユニット20の共振周波数を低く抑えることができる。このため、本実施形態によると、防振ユニット20を高精度に動作制御でき、防振性能を向上させることができる。
なお、図14に示した本実施形態では、磁石33の外側にボール36を配置し、磁石33とレンズ13hとの間に2つの引っ張りバネ52、53を配置し、且つ、2つの磁石34、35の外側に2つのボール37、38、および単一の引っ張りバネ51を配置したレイアウトを採用したが、これに限らず、磁石33、34、35、ボール34、35、36、および引っ張りバネ51、52、53のX方向のレイアウトは任意に変更可能である。少なくとも、レンズ13hを間に挟んで、直進用のボール36の反対側に単一の引っ張りバネ51を設ければよい。
図15(a)は図8の要部を部分的に拡大した図であり、図15(b)は図9の要部を部分的に拡大した図である。図15(a)および図15(b)は、3つのボール36、37、38のY方向の位置関係を分かり易くするため、Y方向の位置を合わせて並べて図示している。
これによると、3つのボール36、37、38の中心はXZ平面と平行な中心面S0(第1平面)上に配置され、大径のボール36が可動部材22の溝41に接触する2つの点、および2つのボール37、38がそれぞれ可動部材22のパッド45、46に接触する点がXZ平面と平行な面S1(第2平面)上に配置され、大径のボール36が固定部材24の溝42に接触する2つの点、および2つのボール37、38がそれぞれ固定部材24の凹部43の底面、および凹部44の底面に接触する点がXZ平面と平行な面S2(第3平面)上に配置されている。
言い換えると、本実施形態では、3つのボール36、37、38の中心を同じ面S0に配置し、3つのボール36、37、38が可動部材22に接触する4つの点を面S0と平行な面S1に配置し、3つのボール36、37、38が固定部材24に接触する4つの点を面S0と平行な面S2に配置するように、ボール36の直径を設計した。本実施形態では、ボール36を保持した2つの溝41、42が直角に交わる2つの壁を有するため、ボール36の直径を他の2つのボール37、38の直径の√2倍に設計した。
これにより、防振ユニット20の駆動制御に応じて可動部材22がXZ平面に沿って移動した際に、2つの平行な面S1、S2内で、各ボール36、37、38の外周面上で摩擦力が作用することになる。このため、ボール36、37、38の外周面に作用する摩擦力のモーメントのバランスが安定し、共振を生じることを抑制できる。
以上のように、第1の実施形態によると、可動部材22の回転中心となるボール36をX方向に延設した2つの溝41、42で保持する構成を採用したため、ボール36の外周面と溝41、42の壁面との間にガタを生じることがなく、可動部材22のX方向への直進動作およびボール36を中心とした回転動作を高精度に制御できる。特に、本実施形態によると、大径のボール36の外周面が各溝41、42に対してそれぞれ2点で接触するため、ボール36と溝41(42)との間に作用する荷重を分散でき、摩擦力を小さくできる。このため、上述した直進動作および回転動作をよりスムーズにできる。
また、本実施形態によると、可動部材22の回転中心となるボール36から最も離れた位置に単一の引っ張りバネ51を設けたため、可動部材22がホーム位置から揺動したときの復元力を弱くすることができ、防振ユニット20のθ方向の共振周波数を低くすることができる。
次に、第2の実施形態に係る防振ユニット60について、図16および図17を参照して説明する。
図16は、防振ユニット60を斜め下方から見た外観斜視図であり、図17は、この防振ユニット60の分解斜視図である。この防振ユニット60は、3つの引っ張りバネ51、52、53の代わりに鉄などの磁性体により形成した2枚の板61、62を有する以外、上述した第1の実施形態の防振ユニット20と略同じ構造を有する。よって、ここでは、上述した第1の実施形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
2枚の板61、62は、固定部材24の下面側で、磁石33、34、35に対向して設けられている。一方の板61は、磁石33と反対側で固定部材24に固設され、他方の板62は、磁石34、35と反対側で固定部材24に固設されている。これら磁性体の板61、62は、それぞれ、対向する磁石33、34、35との間に生じる磁気吸引力により、可動部材22を固定部材24に引き付ける付勢手段として機能する。
本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、大径のボール36を2つの溝41、42で保持しているため、可動部材22と固定部材24との間にガタを生じることがなく、直進動作および回転動作が可能となる。
また、本実施形態によると、第1の実施形態のように引っ張りバネ51、52、53を用いないため、XZ平面に沿って生じるバネの復元力を考慮する必要がなく、レイアウトの自由度を高めることができる。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
例えば、上述した実施形態では、大径のボール36を保持する溝41、42を断面V字状とした場合について説明したが、これに限らず、ボール36の外周面に2点で接触する形状のX方向に延びた溝であればいかなる断面形状であってもよく、例えば断面U字状の溝としても良い。
また、上述した実施形態では、レンズ13hを保持した可動部材22を固定部材24に対してXZ平面に沿って移動させる構造について説明したが、これに限らず、撮像素子15を保持した可動部材を固定部材24に対して移動可能としてもよい。
以下、他の発明を付記する。
[1] 移動対象物を保持した可動部材と、
この可動部材に対向して設けられた固定部材と、
上記可動部材と上記固定部材の間に配置された中心球体と、
上記移動対象物を間に挟んで上記中心球体と反対側で上記可動部材と上記固定部材の間に配置された転動体と、
上記中心球体および上記転動体を押圧するように上記可動部材と上記固定部材を互いに近付く方向に付勢する付勢手段と、
上記可動部材および上記固定部材のそれぞれに設けられ、上記移動対象物に離接する方向に上記中心球体を移動可能に収容した第1および第2溝と、
上記可動部材を上記固定部材に対して移動させる駆動手段と、
を有する駆動装置。
[2] 上記第1および第2溝は、互いに向き合うように対向して同じ方向に延びた断面V字状の溝である[1]の駆動装置。
[3] 上記第1溝は、上記移動対象物から離間した上記可動部材の一端に設けられている[2]の駆動装置。
[4] 上記駆動手段は、上記第1および第2溝に沿って上記可動部材を移動させる第1駆動部、および上記第1および第2溝に配置された上記中心球体を中心に上記可動部材を回転させる第2駆動部を有する[2]の駆動装置。
[5] 上記転動体は、上記中心球体を中心にした円周に沿って離間して配置された複数の揺動球体であり、
上記中心球体の中心および上記各揺動球体の中心を通る第1平面、上記中心球体が上記可動部材の上記第1溝に接触する2つの点および上記各揺動球体が上記可動部材に接触する点を通る第2平面、および、上記中心球体が上記固定部材の上記第2溝に接触する2つの点および上記各揺動球体が上記固定部材に接触する点を通る第3平面が、互いに平行である[2]の駆動装置。
[6] 上記付勢手段は、上記移動対象物を間に挟んで上記中心球体と反対側に、上記可動部材と上記固定部材を互いに近付く方向に付勢する単一の引っ張りバネを有する[1]の駆動装置。
[7] 光学素子または撮像素子を保持した可動部材と、
この可動部材に対して上記光学素子または撮像素子の光軸方向に近接して設けられた固定部材と、
上記光学素子または撮像素子から外れた位置で上記可動部材と上記固定部材の間に配置された回転中心を与えるための中心球体と、
上記光学素子または撮像素子を間に挟んで上記中心球体と反対側で上記可動部材と上記固定部材の間に配置された複数の揺動球体と、
上記中心球体および上記揺動球体を押圧するように上記可動部材と上記固定部材を互いに近付く方向に付勢する付勢手段と、
互いに対向して上記可動部材および上記固定部材のそれぞれに設けられ、上記光学素子または撮像素子に離接する方向に上記中心球体を移動可能に収容した第1および第2溝と、
上記第1および第2溝に沿って上記可動部材を第1方向に移動させる直進駆動部と、
上記第1および第2溝に配置された上記中心球体を中心に上記可動部材を回転させる回転駆動部と、
を有する駆動装置。
[8] 上記第1および第2溝は、互いに向き合うように対向して上記第1方向に延びた断面V字状の溝である[7]の駆動装置。
[9] 上記第1溝は、上記光学素子または撮像素子から離間した上記可動部材の一端に設けられている[8]の駆動装置。
[10] 上記中心球体の中心および上記各揺動球体の中心を通る第1平面、上記中心球体が上記可動部材の上記第1溝に接触する2つの点および上記各揺動球体が上記可動部材に接触する点を通る第2平面、および、上記中心球体が上記固定部材の上記第2溝に接触する2つの点および上記各揺動球体が上記固定部材に接触する点を通る第3平面が、互いに平行である[8]の駆動装置。
[11] 上記付勢手段は、上記光学素子または撮像素子を間に挟んで上記中心球体と反対側に、上記可動部材と上記固定部材を互いに近付く方向に付勢する単一の引っ張りバネを有する[7]の駆動装置。
[12] 撮像素子と、
被写体の像を上記撮像素子に結像する光学素子と、
上記光学素子または撮像素子を保持した可動部材と、
この可動部材に対して上記光学素子または撮像素子の光軸方向に近接して設けられた固定部材と、
上記光学素子または撮像素子から外れた位置で上記可動部材と上記固定部材の間に配置された回転中心を与えるための中心球体と、
上記光学素子または撮像素子を間に挟んで上記中心球体と反対側で上記可動部材と上記固定部材の間に配置された複数の揺動球体と、
上記中心球体および上記揺動球体を押圧するように上記可動部材と上記固定部材を互いに近付く方向に付勢する付勢手段と、
互いに対向して上記可動部材および上記固定部材のそれぞれに設けられ、上記光学素子または撮像素子に離接する方向に上記中心球体を移動可能に収容した第1および第2溝と、
上記第1および第2溝に沿って上記可動部材を第1方向に移動させる直進駆動部と、
上記第1および第2溝に配置された上記中心球体を中心に上記可動部材を回転させる回転駆動部と、
を有する撮像装置。
[13] 上記第1および第2溝は、互いに向き合うように対向して上記第1方向に延びた断面V字状の溝である[12]の撮像装置。
[14] 上記第1溝は、上記光学素子または撮像素子から離間した上記可動部材の一端に設けられている[13]の撮像装置。
[15] 上記中心球体の中心および上記各揺動球体の中心を通る第1平面、上記中心球体が上記可動部材の上記第1溝に接触する2つの点および上記各揺動球体が上記可動部材に接触する点を通る第2平面、および、上記中心球体が上記固定部材の上記第2溝に接触する2つの点および上記各揺動球体が上記固定部材に接触する点を通る第3平面が、互いに平行である[13]の撮像装置。
[16] 上記付勢手段は、上記光学素子または撮像素子を間に挟んで上記中心球体と反対側に、上記可動部材と上記固定部材を互いに近付く方向に付勢する単一の引っ張りバネを有する[12]の撮像装置。
10…鏡枠、 13h…レンズ、 15…撮像素子、 20…防振ユニット、 22…可動部材、 24…固定部材、 26…コイルフレーム、 30…組立体、 31、32…コイル、 33、34、35…磁石、 36、37、38…ボール、 41、42…溝、 43、44…凹部、 45、46…パッド、 51、52、53…引っ張りバネ、 60…防振ユニット、 61、62…板、S0…中心面、 S1、S2…面。

Claims (7)

  1. 第1の長溝が形成された固定部材と、
    上記第1の長溝が形成された位置と対応する位置に第2の長溝が形成され、保持されているレンズの光軸と直交する平面内において上記固定部材に対して移動可能な可動部材と、
    上記固定部材に形成された第1の長溝と上記可動部材に形成された第2の長溝との間に配置されていて、当該固定部材に対して当該可動部材を当該第1および第2の長溝に沿って案内する第1のボールと、
    上記可動部材に形成された上記レンズを挟んで上記第1のボールの反対側に複数配置され、当該第1のボールとともに上記可動部材の移動を支持する第2のボールと、
    上記固定部材又は上記可動部材のうち一方にコイルが配置され、他方に磁石が配置されていて、当該可動部材を当該第1および第2の長溝に沿って移動させるための駆動力を発生する第1のアクチュエータと、
    上記固定部材又は上記可動部材のうち一方にコイルが配置され、他方に磁石が配置されていて、上記固定部材に対して上記可動部材を回転させるための駆動力を発生する第2のアクチュエータと、を具備し、
    上記可動部材が上記第2のアクチュエータによって上記固定部材に対して回転する際の回転中心は、上記第1のアクチュエータによって当該可動部材が上記第1および第2の長溝に沿って移動した際の上記第1のボールの位置であることを特徴とするレンズ駆動装置。
  2. 上記可動部材に形成された上記第2の長溝は当該可動部材の一端側に形成され、上記第2のボールは当該一端側に対して上記レンズを間に挟んだ他端側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
  3. 上記第1のアクチュエータは上記レンズを挟んで上記可動部材の一端側に配置され、上記第2のアクチュエータは上記一端側とは反対の他端側に配置されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
  4. 上記固定部材に形成された第1の長溝および上記可動部材に形成された第2の長溝の断面形状は、V型、又はU型であることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
  5. 上記固定部材は、上記可動部材との間に上記第1および第2のボールを有する第1の固定部材と、上記第1のアクチュエータの上記コイルまたは磁石を備え且つ上記第2のアクチュエータの上記コイルまたは磁石を備えた第2の固定部材と、を有し、上記第1および第2の固定部材の間に上記可動部材を非接触で保持する空間を有する箱型形状をしていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
  6. 上記複数の第2のボールの直径はそれぞれ等しく、当該第2のボールの直径よりも上記第1のボールの直径は大きく設定され、当該第1及び第2のボールの中心位置はレンズの光軸と直交する同一平面内に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
  7. 上記第1のボール及び上記第2のボールを挟んで上記可動部材と上記固定部材とを互いに近付く方向に付勢する3つの付勢手段を更に有し、
    上記3つの付勢手段は上記レンズが内部に位置するように第1の三角形を形成する位置に配置され、
    上記第1のボール及び上記第2のボールは上記レンズが内部に位置するとともに上記第2の三角形を形成する位置に配置され、
    上記第1の三角形と上記第2の三角形とは互いに反対方向に向くように位置していることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
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