JP2015103279A - 絶縁体組成物及びこれを用いた被覆電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性を有するだけなく、耐摩耗性、耐油性及び耐熱性に優れた絶縁体組成物を提供する。【解決手段】本発明の絶縁体組成物は、(A)エチレンエチルアクリレート共重合体及びエチレンメチルアクリレート共重合体の少なくともいずれか一方を60〜80質量部と、(B)エチレンアクリルゴムを40〜20質量部と、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを80〜140質量部とを含有する。【選択図】図1
Description
本発明は、電気自動車等の車両に配索される電線に用いられる絶縁体組成物及びこの絶縁体組成物を絶縁被覆とする被覆電線に関する。
電気自動車用のワイヤーハーネス等の電線は、短い経路内で大きく曲げられて配索されることがある。また、電気自動車に用いられる電線は、ワイヤーハーネスのプロテクタに対し大きな曲げ応力を伴って配索されることがある。そのため、このような電線は柔軟性を備えることが要求され、従来、柔軟なシリコーンゴムを絶縁被覆としたものが使用されている。ところが、シリコーンゴムを用いた被覆電線は耐熱性を有する反面、酸に対して弱いと共に強度が低いことから使用部位が限定され、汎用性に乏しいという問題がある。
これまで電線に柔軟性を付与する方法としては、金属導体を細径化することもなされていた。しかし、金属導体を細径化するには導体を加工する必要が生じるため、製造コストが上昇する要因となっていた。また、金属導体を細径化した場合には、振動によって断線する場合があった。このため金属導体を細径化せず、金属導体を被覆する絶縁体を柔軟化することがなされている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電線では、金属導体を被覆する絶縁被覆として、エチレン共重合体にエラストマーを混合し、さらに金属水酸化物を添加した架橋樹脂組成物を用いている。
しかし、特許文献1に記載の絶縁被覆は配索に必要な可とう性を有する反面、耐摩耗性が低いため、振動等によって容易に傷付き破損する恐れがある。また、この絶縁被覆は耐油性が低いため、ガソリンやエンジンオイル等との接触によって容易に劣化し、短期間で使用できなくなる恐れもある。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、柔軟性を有するだけなく、耐摩耗性、耐油性及び耐熱性に優れた絶縁体組成物及びこれを用いた被覆電線を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る絶縁体組成物は、(A)エチレンエチルアクリレート共重合体及びエチレンメチルアクリレート共重合体の少なくともいずれか一方を60〜80質量部と、(B)エチレンアクリルゴムを40〜20質量部と、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを80〜140質量部とを含有する。
本発明の第2の態様に係る絶縁体組成物は、第1の態様の絶縁体組成物に関し、(A)エチレンエチルアクリレート共重合体及びエチレンメチルアクリレート共重合体のショアA硬さが85以下である。
本発明の第3の態様に係る被覆電線は、第1又は第2の態様の絶縁体組成物と、絶縁体組成物によって被覆される金属導体とを備える。
本発明の絶縁体組成物は、曲げに対する良好な柔軟性を有するだけなく、高い耐油性、耐摩耗性及び耐熱性を有している。そのため、この絶縁体組成物を絶縁被覆として電線に用いることにより、良好な柔軟性、並びに高い耐油性、耐摩耗性及び耐熱性を有した電線とすることができる。そして、このような電線は耐久性が高く、車両に対して好適に配索することが可能である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
本発明者は、被覆電線に用いるため、種々の材料に対して柔軟性、引張破断強さ、耐液性、耐油性及び耐熱性を検討した。表1はこの検討結果であり、材料としてEVA等の樹脂材料、HNBR等のゴム材料及びエラストマー材料を選択し、それぞれに対して上述した特性を検討した結果を示す。
ここで、表1における柔軟性は、ショアDの硬さが32以下であり、かつ、ショアAの硬さが85以下の場合は「○」と評価し、この範囲外の場合は「×」と評価している。引張破断強さは、ASTM D638に基づき測定した結果であり、破断強さが10.3MPa以上の場合は「○」と評価し、10.3MPa未満の場合は「×」と評価している。また、耐油性(ガソリン)については、後述する測定法に基づき測定した結果であり、耐久試験後の変化率が15%以下の場合は「○」と評価し、15%を超える場合は「×」と評価している。耐熱性については、後述する測定法に基づき測定した結果であり、アレニウスプロットによる推定寿命が150℃以上の場合は「○」と評価し、150℃未満の場合は「×」と評価している。
なお、表1における耐液性(バッテリー液)については、次のように評価した。まず、各樹脂からJIS K6251に準拠する引張試験片6個を作成した。そのうち3つを50℃のバッテリー液に20時間浸した。バッテリー液に浸した試験片3つと浸していない試験片3つの引張試験を行い、浸漬前の試験片の伸び率に対する浸漬後の試験片における伸び率の平均比率(%)(浸漬後の試験片の伸び率/浸漬前の試験片の伸び率×100)を求めた。浸漬後の変化率が50%以上の場合は「○」と評価し、50%未満の場合は「×」と評価している。
表1において、「EVA」は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「EV270」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。「EEA」は、エチレンエチルアクリレート共重合体(商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を示す。「EMA」は、エチレンメチルアクリレート共重合体(商品名「エルバロイ(登録商標)AC1125」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。「LDPE」は低密度ポリエチレン(商品名「LD400」(日本ポリエチレン(株))を示す。
また表1において、「HNBR」は水素化ニトリルゴムを示す。「AEM」は、エチレンアクリルゴム(商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を示す。「EPDM」はエチレンプロピレンジエンモノマー共重合体(商品名「EPT3045H」(三井化学(株))を示す。「フッ素ゴム」は商品名「AFRAS150CS」(旭硝子(株)製)を用いている。「シリコーンゴム」は商品名「DY32−6066」(東レ(株)製)を用いている。「CSM」は、クロロスルホン化ポリエチレン(商品名「TS430」(東ソー(株))を示す。「CM」は、塩素化ポリエチレン(商品名「エラスレン(登録商標)302NA」(昭和電工(株))を示す。
「スチレン系エラストマー」は商品名「セプトン(登録商標)2063」((株)クラレ製)を用いており、「ポリウレタン系エラストマー」は商品名「クラミロン(登録商標)U8165」((株)クラレ製)を用いている。「ポリエステル系エラストマー」は商品名「ペルプレン(登録商標)P−40H」(東洋紡(株)製)を用いている。
表1に示すように、樹脂材料は機械的強度に優れる反面、柔軟性に劣る傾向がある。また、ゴム材料は柔軟性に優れる反面、機械的強度や耐液性に課題がある場合がある。そして、樹脂材料及びゴム材料において、高い耐熱性を有する材料は限られている。フッ素ゴムは強度及び耐薬品性に優れるが、被覆電線に用いるにはコストが高いため実用的ではない。さらに、エラストマー材料は柔軟性には優れているが、耐熱性に劣る傾向がある。
そのため、本発明者は上述の特性を考慮した樹脂材料の選択を行い、選択した樹脂材料にゴム材料を配合すると共に、目的とする柔軟性を備えるように配合比を特定した。その結果、柔軟性を維持しながらも高い耐油性、耐摩耗性及び耐熱性を備えた絶縁体組成物に到達し、本発明の完成に至ったものである。
すなわち、本発明の実施形態に係る絶縁体組成物は、エチレン共重合体としてのエチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)及びエチレンメチルアクリレート共重合体(EMA)の少なくともいずれか一方と、エチレンアクリルゴム(AEM)とを含有する。本実施形態の絶縁体組成物は、樹脂材料として比較的高い耐熱性を持ち、柔軟性が高いエチレン共重合体と、機械的強度は劣るが耐熱性及び柔軟性が高いエチレンアクリルゴムとを配合する。これにより、柔軟性を維持しつつも高い耐油性、耐摩耗性及び耐熱性を備えた絶縁体組成物を得ることができる。
ここで、絶縁体組成物の柔軟性、耐摩耗性(強度)及び耐油性は、エチレン共重合体の種類、これに配合されるゴム材料の種類及びこれらの配合比によって変動する。そのため、本発明者は、エチレン共重合体及びゴム材料の種類並びにこれらの配合比を変えて、柔軟性、強度及び耐油性を検討した。表2及び表3は、エチレン共重合体とゴム材料との各種配合比について、柔軟性(電線柔軟性)、強度及び耐油性を評価したものである。なお、電線柔軟性、強度及び耐油性については、後述する測定法に基づき測定した結果である。
表2において、「HDPE」は、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)HB332R」、ショアD硬さ:68)を示す。「EMA」は、エチレンメチルアクリレート共重合体(商品名「エルバロイ(登録商標)AC1125」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。「EVA」は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「EV270」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。表3において、「EEA」は、エチレンエチルアクリレート共重合体(商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を示す。「LDPE」は低密度ポリエチレン(商品名「LD400」(日本ポリエチレン(株))を示す。
表2及び表3において、「AEM」はゴム材料としてのエチレンアクリルゴムであり、商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を用いている。また、難燃剤として、表面処理を行っていない水酸化アルミニウム(商品名「BF013」(日本軽金属(株))を用いている。そして、純銅を金属導体とし、この金属導体に、表2及び表3に示す材料を混合して得た絶縁体組成物を押出成形して被覆することにより被覆電線を作製し、この被覆電線を試験サンプルとして電線柔軟性、強度及び耐油性を評価した。
表2及び表3から、ゴム材料がAEMの場合、電線柔軟性、強度及び耐油性を満足する絶縁体組成物が得られる樹脂材料は、エチレン共重合体であるEMA及びEEAとである。そして表2及び表3に示すように、エチレン共重合体(A)とAEM(B)との質量比(A/B)は、60/40〜80/20となる。なお、上述のように、HDPE(高密度ポリエチレン)は、ショアD硬さが50を超えている。この場合、表2に示すように、たとえ柔軟なAEMを配合したとしても要求される柔軟性を得ることは困難である。また、表3より、AEMが40質量部を超える場合、柔軟性は向上する反面、強度及び耐油性が低下してしまう。
このように、樹脂材料としてEEA及びEMAの少なくともいずれか一方を用い、ゴム材料としてAEMを用い、混合比を上述の範囲にすることで、エチレン共重合体とゴム材料とが良好になじむことができる。このため、エチレン共重合体により高い耐熱性、耐摩耗性及び耐油性を確保し、ゴム材料により柔軟性を確保した絶縁体組成物を得ることができる。
なお、樹脂材料として用いるエチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)及びエチレンメチルアクリレート共重合体(EMA)は、ショアA硬さが85以下であることが好ましい。これらのショアA硬さが85を超えても、本発明の効果を発揮することができる。ただ、ショアA硬さが85を超える場合、エチレンアクリルゴム(AEM)の配合量が少ないと柔軟性又は耐熱性が低下する可能性がある。
上述のように、本実施形態の絶縁体組成物は、エチレンエチルアクリレート共重合体及びエチレンメチルアクリレート共重合体の少なくともいずれか一方を60〜80質量部と、エチレンアクリルゴムを40〜20質量部とを含有する。さらに本実施形態の絶縁体組成物は、難燃性を付与するために難燃剤として金属水酸化物を含有する。
このような金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、塩基性炭酸マグネシウム(mMgCO3・Mg(OH)2・nH2O)、水和珪酸アルミニウム(ケイ酸アルミニウム水和物,Al2O3・3SiO2・nH2O)、水和珪酸マグネシウム(ケイ酸マグネシウム五水和物,Mg2Si3O8・5H2O)等の水酸基又は結晶水を有する金属化合物の一種又は複数を挙げることができる。この中でも金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
金属水酸化物としての水酸化アルミニウムの配合量は、樹脂材料としてのEEA及びEMAの少なくともいずれか一方と、ゴム材料としてのAEMとの合計100質量部に対して、80〜140質量部とすることが好ましい。水酸化アルミニウムが80質量部未満の場合には十分な難燃性を付与することができない恐れがあり、140質量部を超えると電線に必要な柔軟性が得られない恐れがある。
また、上述の金属水酸化物は樹脂材料への相溶性を考慮して表面処理がなされたものが好ましい。金属水酸化物への表面処理としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いて行うことができる。この中でも、本実施形態の絶縁体組成物は、シランカップリング剤を用いて表面処理を施した金属水酸化物を用いることが好ましく、シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを用いることが特に好ましい。シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを、上述のEEA及びEMAの少なくともいずれか一方とAEMとの混合物に添加することにより、耐摩耗性と耐熱性を両立することが可能となる。
シランカップリング処理する際のシランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルエトキシシラン及びビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトシキシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。この中でも、高い耐摩耗性を付与しコストが低いという観点から、金属水酸化物の表面にビニルシリル基を付与するビニルシラン系のシランカップリング剤が好ましい。また、このようなシランカップリング剤の使用量も特に限定されないが、例えば金属水酸化物に対して0.1〜5重量%の範囲で用いることが好ましく、0.3〜1重量%の範囲で用いられることが特に好ましい。
本実施形態の絶縁体組成物には、以上の必須成分に加えて、本実施形態の効果を妨げない範囲で種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、難燃助剤、酸化防止剤、金属不活性剤、老化防止剤、滑剤、充填剤、補強剤、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、帯電防止剤、発泡剤等が挙げられる。
以上のような本実施形態の絶縁体組成物においては、曲げに対する良好な柔軟性を有するだけなく、高い耐油性、耐摩耗性及び耐熱性を有したものとすることができる。このため、この絶縁体組成物を絶縁被覆として電線に用いることにより、車両への配索を良好に行うことができる。しかも、本実施形態の絶縁体組成物は強度及び耐熱性が高いことから、耐久性が向上した電線とすることができる。
図1は本実施形態の被覆電線1の一例を示す。被覆電線1は、金属導体2を絶縁被覆3で被覆することにより形成されている。
金属導体2は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。そして金属導体2は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。金属導体2の材料としては、銅、銅合金及びアルミニウム、アルミニウム合金等の公知の導電性金属材料を用いることができる。
次に、本実施形態の被覆電線の製造方法について説明する。被覆電線1の絶縁被覆3は、上述の材料を混練することにより調製されるが、その方法は公知の手段を用いることができる。例えば、予めヘンシェルミキサー等の高速混合装置を用いてプリブレンドした後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の公知の混練機を用いて混練することにより、絶縁被覆3を構成する絶縁体組成物を得ることができる。
そして、本実施形態の被覆電線において、金属導体2を絶縁被覆3で被覆する方法も公知の手段を用いることができる。例えば絶縁被覆3は、一般的な押出成形法により形成することができる。そして、押出成形法で用いる押出機としては、例えば単軸押出機や二軸押出機を使用し、スクリュー、ブレーカープレート、クロスヘッド、ディストリビューター、ニップル及びダイスを有するものを使用することができる。
そして、絶縁被覆3の絶縁体組成物を調製する場合には、エチレン共重合体及びゴム材料が十分に溶融する温度に設定された二軸押出機に、エチレン共重合体及びゴム材料を投入する。この際、金属水酸化物、さらには必要に応じて、難燃助剤や酸化防止剤などの他の成分も投入する。そして、エチレン共重合体及びゴム材料等はスクリューにより溶融及び混練され、一定量がブレーカープレートを経由してクロスヘッドに供給される。溶融したエチレン共重合体及びゴム材料等は、ディストリビューターによりニップルの円周上へ流れ込み、ダイスにより導体の外周上に被覆された状態で押し出されることにより、金属導体2の外周を被覆する絶縁被覆3を得ることができる。
このような被覆電線1は、良好な柔軟性、並びに高い耐油性、耐摩耗性及び耐熱性を有した絶縁体組成物によって絶縁被覆3が形成されている。そのため、曲げに対する良好な柔軟性を有すると共に、ガソリン等に対する耐油性及び断線等に対する耐摩耗性を有した電線となる。さらに、被覆電線1は、高い耐熱性も有しているため、高温部品としての内燃機関やモーター、コンバーター等の近傍に配設することが可能である。その結果、被覆電線1は、電気自動車等の車両への配索に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[試験サンプルの作成]
以下の実施例では、純銅を金属導体とし、この金属導体に各材料を混練して得た絶縁体組成物を押出成形して被覆することにより、被覆電線を作製した。そして、この被覆電線を試験サンプルとして各種評価を行った。なお、被覆電線は、外径が3.70mm、絶縁体組成物からなる絶縁被覆が0.7mmの厚さとなるように作製した。
以下の実施例では、純銅を金属導体とし、この金属導体に各材料を混練して得た絶縁体組成物を押出成形して被覆することにより、被覆電線を作製した。そして、この被覆電線を試験サンプルとして各種評価を行った。なお、被覆電線は、外径が3.70mm、絶縁体組成物からなる絶縁被覆が0.7mmの厚さとなるように作製した。
[評価方法]
<電線柔軟性>
まず、被覆電線1からなる試験サンプルを、長さLが100mmとなるように切断した。次に図2に示すように、試験サンプルの両端を支持台10に載置した。そして、試験サンプルの中央を速度100mm/分の速度で押したときの反力を、フォースゲージを用いて測定した。フォースゲージの値が6.00N以下の場合を「○」と評価し、6.00Nを超えた場合を「×」と評価した。
<電線柔軟性>
まず、被覆電線1からなる試験サンプルを、長さLが100mmとなるように切断した。次に図2に示すように、試験サンプルの両端を支持台10に載置した。そして、試験サンプルの中央を速度100mm/分の速度で押したときの反力を、フォースゲージを用いて測定した。フォースゲージの値が6.00N以下の場合を「○」と評価し、6.00Nを超えた場合を「×」と評価した。
<耐油性>
耐油性の評価はISO6722に準拠して行った。すなわち、ガソリンへの浸漬前に試験サンプルの外径を測定する。次に、試験サンプルをガソリンに浸漬し、30分放置する。浸漬後、ガソリンから試験サンプルを取り出して表面に付着しているガソリンを拭き取り、浸漬前と同じ箇所で外形を測定する。ガソリンへの浸漬前の外径に対する浸漬後の外径の変化率(浸漬後の外径/浸漬前の外径×100)が15%以下の場合を「○」と評価し、15%を超えた場合を「×」と評価した。
耐油性の評価はISO6722に準拠して行った。すなわち、ガソリンへの浸漬前に試験サンプルの外径を測定する。次に、試験サンプルをガソリンに浸漬し、30分放置する。浸漬後、ガソリンから試験サンプルを取り出して表面に付着しているガソリンを拭き取り、浸漬前と同じ箇所で外形を測定する。ガソリンへの浸漬前の外径に対する浸漬後の外径の変化率(浸漬後の外径/浸漬前の外径×100)が15%以下の場合を「○」と評価し、15%を超えた場合を「×」と評価した。
<耐摩耗性>
耐摩耗性は、テープ摩耗性によって評価した。具体的には、長さ900mmの試験サンプルを固定し、JIS R6251に規定する150番Gの摩耗テープを試験サンプルに接触させ、摩耗テープに対して500gの重りを加える。この状態で1500mm/minの速度で摩耗テープを移動させ、試験サンプルが摩耗して金属導体と摩耗テープとが接触するまでの摩耗テープの長さを測定した。接触までの長さが330mm以上の場合を「○」と評価し、330mm未満の場合を「×」と評価した。
耐摩耗性は、テープ摩耗性によって評価した。具体的には、長さ900mmの試験サンプルを固定し、JIS R6251に規定する150番Gの摩耗テープを試験サンプルに接触させ、摩耗テープに対して500gの重りを加える。この状態で1500mm/minの速度で摩耗テープを移動させ、試験サンプルが摩耗して金属導体と摩耗テープとが接触するまでの摩耗テープの長さを測定した。接触までの長さが330mm以上の場合を「○」と評価し、330mm未満の場合を「×」と評価した。
<難燃性>
難燃性の評価は、各試験サンプルを45度の角度でドラフト内に設置し、ISO6722に規定される難燃試験に準拠して行った。すなわち、金属導体の断面積が2.5mm2以下の試験サンプルの場合は、試験サンプルの下端にブンゼンバーナーの内炎部を15秒間接触させた後ブンゼンバーナーから外した。また、金属導体の断面積が2.5mm2を超える試験サンプルの場合は、試験サンプルの下端にブンゼンバーナーの内炎部を30秒間接触させた後ブンゼンバーナーから外した。そして、試験サンプルからブンゼンバーナーを外した後、絶縁被覆上の炎が70秒以内に全て消え、試験サンプルの絶縁被覆が燃焼せずに50mm以上残ったものを「○」と評価した。試験サンプルからブンゼンバーナーを外した後に70秒を超えて燃え続けるか、試験サンプルの絶縁被覆の焼け残りが50mm未満のものを「×」と評価した。
難燃性の評価は、各試験サンプルを45度の角度でドラフト内に設置し、ISO6722に規定される難燃試験に準拠して行った。すなわち、金属導体の断面積が2.5mm2以下の試験サンプルの場合は、試験サンプルの下端にブンゼンバーナーの内炎部を15秒間接触させた後ブンゼンバーナーから外した。また、金属導体の断面積が2.5mm2を超える試験サンプルの場合は、試験サンプルの下端にブンゼンバーナーの内炎部を30秒間接触させた後ブンゼンバーナーから外した。そして、試験サンプルからブンゼンバーナーを外した後、絶縁被覆上の炎が70秒以内に全て消え、試験サンプルの絶縁被覆が燃焼せずに50mm以上残ったものを「○」と評価した。試験サンプルからブンゼンバーナーを外した後に70秒を超えて燃え続けるか、試験サンプルの絶縁被覆の焼け残りが50mm未満のものを「×」と評価した。
<長期耐熱性>
まず、各試験サンプルの作成の際に使用した絶縁体組成物を用い、JIS3号形で厚さが1mmのダンベル状試験片を作成した。次に、試験片を170℃、180℃、190℃のオーブンにそれぞれ投入して加熱し、加熱後の試験片をJIS K6251に規定に準じて引張伸び率を測定した。この際、各加熱温度における試験片の引張伸び率が100%以下となる加熱時間を求めた。
まず、各試験サンプルの作成の際に使用した絶縁体組成物を用い、JIS3号形で厚さが1mmのダンベル状試験片を作成した。次に、試験片を170℃、180℃、190℃のオーブンにそれぞれ投入して加熱し、加熱後の試験片をJIS K6251に規定に準じて引張伸び率を測定した。この際、各加熱温度における試験片の引張伸び率が100%以下となる加熱時間を求めた。
そして、各試験片における加熱温度と引張伸び率が100%以下となる加熱時間とをアレニウスプロットすることにより、10000時間後の推定寿命を予測した。10000時間後の推定寿命が150℃以上の場合を「○」と評価し、150℃未満145℃以上の場合を「△」と評価し、145℃未満の場合を「×」と評価した。
<強度>
JIS K7161に準じて、各試験サンプルから絶縁被覆のみをサンプリングし、引張試験を200mm/minの速度で実施した。この際、引張強度が10MPa以上の場合を「○」と評価し、10MPa未満の場合を「×」と評価した。
JIS K7161に準じて、各試験サンプルから絶縁被覆のみをサンプリングし、引張試験を200mm/minの速度で実施した。この際、引張強度が10MPa以上の場合を「○」と評価し、10MPa未満の場合を「×」と評価した。
[金属水酸化物の配合量]
金属水酸化物の配合比と、電線柔軟性及び強度との関係を評価した。まず、表4及び表5に示すように、樹脂材料としてEEAを用い、ゴム材料としてAEMを用い、EEAとAEMの質量比を70:30(質量部)とし、さらに金属水酸化物の配合量を変えた複数の試験サンプルを作製した。そして、得られた試験サンプルに対し、上述の難燃性及び電線柔軟性の評価試験を行った。なお、EEAは商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を用い、AEMは商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を用いた。さらに、表面処理を行っていない水酸化アルミニウムとしては、商品名「BF013」(日本軽金属(株))を用い、表面処理を行っていない水酸化マグネシウムとしては、商品名「キスマ(登録商標)5A」(協和化学(株))を用いた。
金属水酸化物の配合比と、電線柔軟性及び強度との関係を評価した。まず、表4及び表5に示すように、樹脂材料としてEEAを用い、ゴム材料としてAEMを用い、EEAとAEMの質量比を70:30(質量部)とし、さらに金属水酸化物の配合量を変えた複数の試験サンプルを作製した。そして、得られた試験サンプルに対し、上述の難燃性及び電線柔軟性の評価試験を行った。なお、EEAは商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を用い、AEMは商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を用いた。さらに、表面処理を行っていない水酸化アルミニウムとしては、商品名「BF013」(日本軽金属(株))を用い、表面処理を行っていない水酸化マグネシウムとしては、商品名「キスマ(登録商標)5A」(協和化学(株))を用いた。
表4より、難燃剤が水酸化アルミニウムである場合、水酸化アルミニウムの配合比がEEA及びAEMの合計100質量部に対し80〜140質量部の範囲内であれば、難燃性と電線柔軟性とを両立することが可能となる。また、表5より、難燃剤が水酸化マグネシウムである場合、水酸化マグネシウムの配合比がEEA及びAEMの合計100質量部に対し60〜140質量部の範囲内であれば、難燃性と電線柔軟性とを両立することが可能となる。
[金属水酸化物への表面処理]
EEA及びEMAの少なくともいずれか一方とAEMとを含有する絶縁体組成物において、金属水酸化物への表面処理の形態と耐摩耗性及び長期耐熱性との関係を評価した。具体的には、表6に示すように、樹脂材料としてEEAを用い、ゴム材料としてAEMを用い、EEAとAEMの質量比を70:30(質量部)とし、金属水酸化物の配合量を80〜140質量部とした複数の試験サンプルを作製した。なお、金属水酸化物への表面処理として、ステアリン酸処理、シランカップリング処理、チタネート処理をそれぞれ施した。
EEA及びEMAの少なくともいずれか一方とAEMとを含有する絶縁体組成物において、金属水酸化物への表面処理の形態と耐摩耗性及び長期耐熱性との関係を評価した。具体的には、表6に示すように、樹脂材料としてEEAを用い、ゴム材料としてAEMを用い、EEAとAEMの質量比を70:30(質量部)とし、金属水酸化物の配合量を80〜140質量部とした複数の試験サンプルを作製した。なお、金属水酸化物への表面処理として、ステアリン酸処理、シランカップリング処理、チタネート処理をそれぞれ施した。
EEA及びAEMとしては、金属水酸化物の配合量評価と同じものを用いた。表面処理を行っていない水酸化アルミニウムとしては、商品名「BF013」(日本軽金属(株))を用い、ステアリン酸処理を行った水酸化アルミニウムとしては、商品名「BF013S」(日本軽金属(株))を用いた。さらに、シランカップリング処理を行った水酸化アルミニウムとしては、商品名「BF013STV」(日本軽金属(株))を用い、チタネート処理を行った水酸化アルミニウムとしては、商品名「BF013T」(日本軽金属(株))を用いた。フェノール系酸化防止剤としては、商品名「AO−60」((株)ADEKA)を用いた。また、リン系酸化防止剤としては、商品名「AO−2112」((株)ADEKA)を用いた。
そして、上述のようにして得られた試験サンプルに対して耐摩耗性試験を行い、試験サンプルが摩耗して金属導体と摩耗テープとが接触するまでの摩耗テープの長さを測定した。図3は、各試験サンプルにおける金属導体と摩耗テープとが接触するまでの摩耗テープの長さと水酸化アルミニウムの配合量との関係を示すグラフである。図3に示すように、シランカップリング処理を行った水酸化アルミニウムは、配合量が80〜140質量部の範囲内では、金属導体と摩耗テープとが接触するまでの摩耗テープの長さが330mm以上となった。これに対し、ステアリン酸処理及びチタネート処理を施した水酸化アルミニウム及び未処理の水酸化アルミニウムは、少なくとも配合量が140質量部の場合には、金属導体と摩耗テープとが接触するまでの摩耗テープの長さが330mm未満となる。そのため、金属酸化物としてシランカップリング処理された水酸化アルミニウムを使用することにより、耐摩耗性を向上させることが可能となる。
さらに、表6において、金属水酸化物としての水酸化アルミニウムの配合量が120質量部の試験サンプルに対して長期耐熱性試験を行った。図4及び図5では、未処理の水酸化アルミニウム、及びシランカップリング処理された水酸化アルミニウムをそれぞれ用いた絶縁体組成物をアレニウスプロットした結果を示す。図6及び図7では、チタネート処理された水酸化アルミニウム、及びステアリン酸処理された水酸化アルミニウムをそれぞれ用いた絶縁体組成物をアレニウスプロットした結果を示す。
図4より、未処理の水酸化アルミニウムを用いた絶縁体組成物は、10000時間後の推定寿命が150℃である。また図5より、シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを用いた絶縁体組成物は、10000時間後の推定寿命が151℃である。このように、これらの水酸化アルミニウムを用いた樹脂組成物は、長期耐熱性が良好な結果となる。
これに対し、図6より、チタネート処理された水酸化アルミニウムを用いた絶縁体組成物は、10000時間後の推定寿命が136℃である。また図7より、ステアリン酸処理された水酸化アルミニウムを用いた絶縁体組成物は、10000時間後の推定寿命が149℃である。つまり、これらの水酸化アルミニウムを用いた絶縁体組成物は長期耐熱性が悪化し、特にチタネート処理された水酸化アルミニウムを用いた場合には長期耐熱性が大きく低下する結果となる。これらのことから、金属水酸化物としてシランカップリング処理された水酸化アルミニウムを使用することにより、長期耐熱性を向上させることが可能となる。
次に、表7〜9に示す配合比で、サンプル番号1−1〜1−12、2−1〜2−12、及び3−1〜3−10の各試験サンプルを作成した。そして、得られた試験サンプルに対して、難燃性、電線柔軟性、耐摩耗性、耐油性、長期耐熱性及び強度の各評価試験を行った。各試験サンプルの評価結果を各表に合わせて示す。
なお、表7に記載のEEA、並びに表7〜9に記載のAEM及びシランカップリング処理を行った水酸化アルミニウムは、金属水酸化物への表面処理評価と同じものを用いた。表8の「EMA」は、ショアA硬さが78の商品名「エルバロイ(登録商標)AC1125」(三井・デュポンポリケミカル(株))を用いた。表9のEEAは、ショアD硬さが41の商品名「レクスパール(登録商標)A1150」(日本ポリエチレン(株))を用いた。
表7に示すように、EEAを使用した実施例に係るサンプル1−2,1−3,1−5,1−6,1−8及び1−9は、難燃性、電線柔軟性、耐摩耗性、耐油性、長期耐熱性及び強度の各評価において優れた結果となった。これに対し、比較例に係るサンプル1−1、1−4、1−7、1−10〜1−12は、上記各評価の少なくとも一つにおいて不十分な結果となった。特に、サンプル1−1よりゴム材料としてのAEMの配合量が過少な場合には柔軟性が悪化することが分かり、サンプル1−11よりAEMの配合量が過大の場合には耐油性が悪化することが分かる。また、サンプル1−4、1−7及び1−10より、金属水酸化物の配合量が過大の場合には、難燃性は優れるものの、電線柔軟性、耐摩耗性、長期耐熱性及び強度が悪化する結果となる。
表8に示すように、EMAを使用した実施例に係るサンプル2−2,2−3,2−5,2−6,2−8及び2−9も、表7の試験サンプルと同様に、難燃性、電線柔軟性、耐摩耗性、耐油性、長期耐熱性及び強度の各評価において優れた結果となった。これに対し、比較例に係るサンプル2−1、2−4、2−7、2−10〜2−12も、表7の試験サンプルと同様に、上記各評価の少なくとも一つにおいて不十分な結果となった。
表9に示すように、ショアD硬さが41のEMAを使用した実施例に係るサンプル3−5,3−6,3−8及び3−9も、難燃性、電線柔軟性、耐摩耗性、耐油性、長期耐熱性及び強度の各評価において優れた結果となった。ただ、サンプル3−2及び3−3については、長期耐熱性が若干低下する結果となった。このことから、良好な長期耐熱性を考慮すると、樹脂材料としてのEEA及びEMAのショアA硬さは85以下であることが好ましい。
以上、本発明を実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 被覆電線
2 金属導体
3 絶縁被覆
2 金属導体
3 絶縁被覆
Claims (3)
- (A)エチレンエチルアクリレート共重合体及びエチレンメチルアクリレート共重合体の少なくともいずれか一方を60〜80質量部と、
(B)エチレンアクリルゴムを40〜20質量部と、
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを80〜140質量部と、
を含有することを特徴とする絶縁体組成物。 - (A)エチレンエチルアクリレート共重合体及びエチレンメチルアクリレート共重合体のショアA硬さが85以下であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体組成物。
- 請求項1又は2に記載の絶縁体組成物と、
前記絶縁体組成物によって被覆される金属導体と、
を備えることを特徴とする被覆電線。
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