JP2015102422A - 感知方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料液中の感知対象物を感知するにあたり、信頼性の高い測定を行うことができる感知方法を提供すること。
【解決手段】一面側の電極42表面に感知対象物を吸着する吸着層46が形成された水晶振動子4に対し、前記感知対象物を含有した試料液を前記水晶振動子4の一面側に供給する工程と、前記感知対象物に結合する第1のビーズ群45を含有した液を前記水晶振動子4の一面側に供給する工程と、しかる後に前記第1のビーズ群45よりも粒子の直径が小さい第2のビーズ群47を含有した液を前記水晶振動子4の一面側に供給する工程とを行う。第2のビーズ群47を供給する工程により、第2のビーズ群47が第1のビーズ群45と水晶振動子4表面との間隙に入り込み、第1のビーズ群45が水晶振動子4上に固定される。従って第1のビーズ群45により感知対象物の検出感度を増大させることができる。
【選択図】図10

Description

本発明は、圧電振動子を用いて感知対象物を感知する感知方法に関する。
食品衛生分野においては、食品中のカビ毒や抗生物質などの比較的分子量の低い物質の検出や定量が行われる。また、医薬品開発の分野においても低分子物質の検出や定量を行う場合がある。このような定量を行う手法として、特許文献1に開示されているようなQCM(Quarts Crystal Microbalance)を利用した感知方法が開発されている。この感知方法は、水晶振動子の表面に形成された吸着層に、試料液中の感知対象物が吸着されると、質量負荷効果により感知対象物の吸着量に応じて水晶振動子の発振周波数が変化することを利用した手法である。
ところで、QCMによる感知方法においては質量負荷効果を利用していることから、感知対象物の分子量が大きいほど前記吸着量に対する周波数変化量が大きい。即ち、感知対象物が低分子物質である場合には前記吸着量に対する周波数変化量が小さいので、感度が低くなってしまう。従って、試料液に含まれる感知対象物の濃度が低いと信頼度の高い計測を行うことが困難になる。
このような問題に対し、感知対象物である低分子物質に結合する性質を有する低分子物質よりも大きな分子を添加し、低分子物質に結合させることにより周波数変化量を増大させる手法、いわゆる増感と呼ばれる技術が知られている。当該増感に用いられる分子としては、例えば抗原検出を目的とした装置においては抗体が利用されることが多いが、更に大きな増感効果を得ることを目的として、抗体よりも大きな粒子を用いることがある。この場合、用いられる粒子としては粒径はナノメートルもしくはマイクロメートルオーダーであり、材質としては金コロイド、磁気ビーズ、ラテックスなどの質量の大きいものが主に利用されている。
しかし上述した粒子を用いた増感法においては、粒子が一定の大きさより大きくなると、水晶振動子表面に付着した粒子が水晶とは異なる固有の周波数で振動するようになり、非特許文献1及び2にて述べられているように、所望の質量付加による増感効果が得られない現象が知られている。このため、増感を目的として粒子を添加したにもかかわらず、却って感度が減少することがある。
特許文献2には、測定対象に比して粒径の大きな分子、及び架橋性化合物を添加して周波数振幅を増感する方法が開示されている。また特許文献3には、測定対象を吸着する薄膜に対して粒子を付着させ、当該粒子を除去することにより薄膜の表面積を増加させ、周波数振幅の増感を図る方法が開示されている。しかしこれらの方法は、本発明と原理が異なる。
特開2007−178348号公報 特開2006−275864号公報 特開2007−147556号公報
A sensitive new method for the determination of adhesive bonding between a particle and a substrate, J. Appl. Phys. 58(7), 1, October 1985 Positive Frequency Shift Observed Upon Adsorbing Micron-Sized Solid Objects to a Quartz Crystal Microbalance from the Liquid Phase, Anal. Chem. 2010, 82, pp.2237-2242
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、圧電振動子の周波数の変化に基づいて試料液中の感知対象物を感知するにあたり、信頼性の高い測定を行うことができる感知方法を提供することにある。
本発明の感知方法は、
試料液中の感知対象物を圧電振動子の周波数の変化に基づいて感知する方法において、
圧電振動子の一面側の電極表面に形成された、前記感知対象物を吸着する吸着層に対して試料液を供給する工程と、
しかる後に前記感知対象物に対応する部位に吸着する性質を有する第1の粒子の群を含む第1の液を前記圧電振動子の一面側に供給する工程と、
続いて前記第1の粒子よりも粒子径が小さくかつ前記感知対象物に対応する部位に吸着する性質を有する第2の粒子の群を含む第2の液を前記圧電振動子の一面側に供給して、前記第1の粒子と前記吸着層との間に第2の粒子を詰める工程と、
前記圧電振動子を発振回路により発振させ、前記第1の粒子を前記圧電振動子の一面側に供給する前後における各発振周波数を測定する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の感知方法は、感知対象物よりも分子量の大きい第1の粒子を用いて増感を図る感知方法において、第1の粒子よりも小さい第2の粒子の群を用い、第1の粒子と圧電振動子の表面との間の間隙を埋めて、第1の粒子の群を圧電振動子の表面上に固定している。従って、第1の粒子の固有振動が抑えられることにより第1の粒子の群の増感効果を確実に得ることができ、このため感知対象物を高精度に感知することができる。
本発明の感知方法に係る感知装置の構成図である。 前記感知装置を構成する感知センサーの斜視図である。 前記感知センサーの縦断側面図である。 前記感知センサーを構成する水晶振動子の平面図である。 前記感知装置の回路図である。 前記水晶振動子の表面の模式図である。 前記水晶振動子の表面の模式図である。 前記水晶振動子の表面の模式図である。 前記水晶振動子の表面の模式図である。 前記水晶振動子の表面の模式図である。 水晶振動子表面への粒子の結合による共振周波数の変化を表した模式図である。 前記水晶振動子の表面の模式図である。 本発明に係る感知方法の効果を測定したグラフである。 他の感知方法の効果を測定したグラフである。
図1に本発明の感知方法を実施するための感知装置の実施形態の一つを示す。当該感知装置はセンサーユニット2と、このセンサーユニット2に後述のように試料液、第1の液、第2の液、第3の液及び緩衝液を供給するための液供給系1と、センサーユニット2から排出される液体を貯留する液排出系90と、センサーユニット2に取り付けられた圧電センサーである水晶センサー7と、センサーユニット2に隣接して設けられた発振回路ユニット6と、を備えている。
液供給系1は、流路切替機構11、試料液供給部12、後述する第1のビーズの群45を含有した第1の液を供給する第1の液供給部13、後述する第2のビーズの群47を含有した第2の液を供給する第2の液供給部14、後述する中間物質であるビオチン化抗体40を含有した第3の液を供給する第3の液供給部15、緩衝液を供給する緩衝液供給部17を備えている。流路切替機構11は試料液供給路16を介して、試料液、第1の液、第2の液、第3の液、緩衝液のいずれかを選択してセンサーユニット2内に供給するように構成されている。流路切替機構11としては例えば6つのポートとインジェクションループとを備えたインジェクションバルブが用いられる。この場合インジェクションループ内に、選択された液が一のポートを介して一旦貯留され、次いで他のポートから当該液が送出される。
センサーユニット2は、図2に示すように、支持体21、配線基板3、水晶振動子4、流路形成部材5及びカバー部24が下側からこの順番に積層されて構成されている。支持体21には、水晶センサー7と流路形成部材5とを嵌合し、保持するための支持体凹部22が形成されている。従って、前記支持体凹部22に水晶センサー7を嵌合した状態で、流路形成部材5を水晶センサー7に押しつけることにより、流路形成部材5の下面が水晶振動子4を配線基板3に押圧して固着させる。さらに、支持体21は上方よりカバー体24にて覆われる。
図2及び図3において26は液体供給管、27は液体排出管であり、液供給系1から液体供給管26を介して反応用流路52に供給された試料液が液体排出管27を通じて液排出系90へと排出されるように構成されている。液排出系90は排液貯留部を備えている。
水晶センサー7は、配線基板3上に圧電振動子である水晶振動子4を設けて構成されている。この水晶振動子4は、図4に示すように、圧電片である円盤状の水晶片41の両面に、励振電極42、43を設けて構成されている。この例では図4(b)に示すように裏面側の励振電極43Aと第2の励振電極43Bとを互いに離間してX方向に並ぶように配置すると共に、図4(a)に示すように表面側には前記2つの励振電極43A、43Bに対する励振電極である共通電極42を配置している。従って、第1の励振電極43Aと共通電極42とにより第1の振動領域4Aが、第2の励振電極43Bと共通電極42とにより第2の振動領域4Bが、夫々形成される。
第1の励振電極43A及び第2の励振電極43Bは、水晶センサー7をセンサーユニット2に接続したときには、図5に示すように配線基板3の導電路32、34を介して、2つの発振回路6A、6Bに夫々接続される。このとき共通電極42は配線基板3の導電路33を介して発振回路6A、6Bのアース側に接続されることになる。配線基板3の端部領域には、各導電路32、33、34と夫々接続される接続端子35、36、37が形成されている。
水晶振動子4上の共通電極42において第1の励振電極43Aに対応する第1の領域上には、例えば抗原である感知対象物を吸着するための抗体49からなる吸着層46が形成されている。一方共通電極42において第2の励振電極43Bに対応する第2の領域は、吸着層46が形成されずに剥き出しの状態となっており、データ処理時に第1の領域の発振周波数の温度変化をキャンセルする役割を果たしている。
また、発振回路ユニット6は、センサーユニット2に差し込まれることにより、図5に示すように前記配線基板3の接続端子部と電気的に接続される。発振回路ユニット6の後段には、測定回路部81及びデータ処理部82が設けられている。前記測定回路部81は、発振周波数を計測する機能を有する。データ処理部82は、計測された周波数の時系列データを記憶したり当該時系列データを表示したりする部位であり、例えばパーソナルコンピュータからなる。
水晶振動子4の第1の振動領域4A及び第2の振動領域4Bの発振周波数は測定回路部81に取り込まれる。そしてデータ処理部82にて第1の振動領域4Aにおける発振周波数と第2の振動領域4Bにおける発振周波数との差分の時系列データが求められる。
上述の感知装置を用いて、試料液中の抗原の定量を行う工程について説明する。最初に、緩衝液を緩衝液供給部17からセンサーユニット2内の反応用流路52へと供給し、第1の振動領域4A及び第2の振動領域4Bの発振周波数F4a及びF4bを測定する。続いて液供給系1の試料液供給部12よりセンサーユニット2内に試料液が供給され、当該試料液は液体供給口53から反応用流路52へと流入する。反応用流路52へと流入した試料液は反応用流路52内部に広がり、水晶振動子4上の共通電極42が形成された面へと達する。
ここで、試料液中の抗原は、水晶とは直接反応せず、また第2の振動領域4Bの共通電極42は電極が直接剥き出しとなっており、当該領域にも抗原は反応しない。このため、図6のように抗体49により吸着層46が形成されている共通電極42に対して抗原を供給すると、図7に示すように第1の振動領域4Aの共通電極42上の吸着層46を構成する抗体49に対してのみ抗原が反応し、吸着層46上に結合される。図7から図10及び図12において71は抗原であり、また抗原71の吸着層46への結合密度を実際より高く図示している。
試料液を供給してから所定の時間が経過した後、ビオチン化抗体40を含んだ第3の液を、第3の液供給部15からセンサーユニット2内の反応用流路52へと供給し、図8に示すように抗原71に対してビオチン化抗体40を結合させる。ビオチン化抗体40は、抗原71に対して選択的に結合する抗体40bと、ビオチン40aとが結合して構成された中間物質である。続いて、第1のビーズ(粒子)の群45を含んだ第1の液を第1の液供給部13からセンサーユニット2内の反応用流路52へと供給し、水晶振動子4上の共通電極42が形成された面に対して、第1のビーズの群45を供給する。第1のビーズの群45が分散されている第1の液は例えば緩衝液からなるが、純水であってもよい。
図9に示すように第1のビーズの群45は表面がビオチン化抗体40上のビオチン40aと結合するようにアビジン粒子48により処理されている。第1のビーズの群45の表面に結合されたアビジン粒子48とビオチン化抗体40とは、1:1で結合することから、水晶振動子4の表面上に供給された第1のビーズ45は、ビオチン化抗体40を介して、前述の吸着層46に対して結合した抗原71に重畳して結合する。第1のビーズの群45を構成するビーズの大きさとしては、直径200nm〜3000nm、材質としては例えば磁気ビーズ、金コロイド、ラテックスなどが用いられる。
続いて第2のビーズ(粒子)の群47を含んだ第2の液を第2の液供給部14からセンサーユニット2内の反応用流路52に供給する。水晶振動子4の表面上に供給された第2のビーズの群47は、第1のビーズの群45と同様に、表面がアビジン粒子48により処理されている(図10中には図示せず)。そして図10に示すように、ビオチン化抗体40に結合した第1のビーズの群45の粒子と吸着層46との間隙に入り込み、当該間隙を埋める。第2のビーズの群47を構成するビーズの大きさとしては、直径5nm〜100nm、材質としては例えば磁気ビーズ、金コロイド、ラテックスなどが用いられる。そして一定時間経過後、緩衝液を緩衝液供給部17からセンサーユニット2内の反応用流路52へと供給し、吸着層46のブロッキングを行う。
このようにして反応用流路52内部を通過する試料液は、緩衝液と同様に共通電極42の表面にも供給され当該共通電極42上を通過していく。そして振動領域4A、4Bの発振周波数の双方が当該水圧により等しく低下する。試料液に感知対象物である抗原71が含まれている場合には、この作用と同時に、第1の振動領域4A上の吸着膜46に抗原71が吸着される。さらに第1のビーズの群45を共通電極42の表面に供給することにより、第1のビーズの群45が抗原71に重畳して結合されるため、質量負荷効果により吸着量に応じて発振周波数F1が低下する。一方第2の振動領域4B上には抗原71は吸着されないため、第1のビーズの群45も結合せず、質量負荷効果に起因する発振周波数F2の低下は発生しない。この結果、振動領域4A、4Bの発振周波数はF4a’、F4b’となり、(F4a’−F4b’)と(F4a−F4b)との間に変化が生じる。この(F4a’−F4b’)と(F4a−F4b)との差分をとり、当該差分と試料液中の感知対象物の濃度との関係式を取得しておき、当該関係式と測定により得られた差分とから、試料液中の感知対象物の濃度を求める。
上述の実施形態によれば、感知対象物である抗原71よりも分子量の大きい第1のビーズの群45を用いて増感を図る感知方法において、第1のビーズの群よりも粒子が小さい第2のビーズの群47を用い、第1のビーズの群45と水晶振動子4の表面との間の間隙を埋めて、第1のビーズの群45を水晶振動子4の表面上に固定している。従って、第1のビーズの群45の粒子の固有振動が抑えられることにより第1のビーズの群45の増感効果を確実に得ることができ、このため抗原71を高精度に感知することができる効果がある。
上述してきた実施形態においては、水晶振動子における粒子結合による増感法において、粒子がある程度の大きさを超えると増感効果が低下するという上述してきた問題を解決するために、先ず感知対象物を水晶振動子4上の共通電極42の表面に形成された吸着層46に結合させる。その後感知対象物に結合する性質を持つ第1のビーズの群45を吸着層46に結合している感知対象物に対して重畳して結合させる。続いて第1のビーズの群45より粒子が小さい第2のビーズの群47を水晶振動子4上に供給すると、第2のビーズの群47を構成するビーズは第1のビーズの群45を構成するビーズと比して、粒径が1/10〜1/100程度であるため、図10を用いて前述したように、第1のビーズの群45と吸着層46との間隙に第2のビーズの群47が入り込む。そして第2のビーズの群47が当該間隙を埋めることにより、第1のビーズの群45の固有振動が抑制される。本発明においては、第1のビーズの群45を第2のビーズの群47に先だって水晶振動子4上に供給することにより、抗原71の量と第1のビーズ群45がビオチン化抗体40を介して抗原71に結合する量との間の対応関係に基づいて、増感効果を得ることができる。また、第2のビーズ47は第1のビーズ45に比して体積、重量共に微小であるため、第1のビーズの群45による増感効果に対して悪影響を与えない。
このように第2のビーズの群47によって、第1のビーズの群45を構成するビーズの固有振動を抑制することができる。その結果として、当該第1のビーズの群45の質量負荷効果が発揮され、後述の(1)式で表される増感効果を効率よく得ることができる。従って、感知対象物の分子量が小さい場合であっても高感度に感知対象物を検出することが可能となる。
ここで、本実施形態における水晶振動子4に対して第1のビーズの群45及び第2のビーズの群47を供給する効果について説明する。
圧電振動子の表面に対して質量が負荷される前後における、負荷質量と周波数との関係について、一般的には次式(1)で表される関係式(Sauerbreyの式)が成立する。背景技術の項にて述べた増感効果は当該関係式を利用している。
Figure 2015102422
ここで、Δmは負荷質量(g)、Sは電極面積(cm)、ρは圧電振動子の密度(g/cm)、μは圧電振動子の剪断応力(g/cm・sec)、Nはオーバートーン次数、Fは公称周波数(Hz)、ΔFは反応前後の圧電振動子における周波数変化(Hz)である。
しかし、圧電振動子に対して質量を負荷する物質がある程度の大きさを超えると、質量を負荷する物質が圧電振動子とは異なる固有の周波数にて振動するようになり、上述の(1)式の関係、即ち発振周波数の低下が成り立たなくなる現象が知られている。
当該現象について図11を用いて説明する。
図11のように、水晶振動子8に単に球体83を結合させた状態を考える。水晶振動子8の質量をM、球体83の質量をmとおき、水晶振動子8及び球体83の単体での振動について、夫々がばね定数K及びkであるばねの振動であると仮定する。水晶振動子8と球体83とは結合しているので、図11によって示すようにばねを2つ直列に結合させた状態の共振が発生する。
非特許文献1には、当該共振の角周波数は、水晶振動子8の角周波数よりも高くなり、従って上述した(1)の式にて表される関係が成り立たない旨が開示されている。そこで本実施形態においては、球体83と水晶振動子8との間隙を球体83よりも小さい粒子にて埋めることにより球体83の固有振動を抑止し、従って水晶振動子8の単体にての振動のみを得るようにしている。
また、本実施形態においては、予め取得した(F4a’−F4b’)と(F4a−F4b)との差分と試料液中の感知対象物の濃度との関係式と、測定により得られた差分とに基づいて、試料液中の感知対象物の濃度を求めるものとしてきたが、当該定量の代わりに、(F4a’−F4b’)と(F4a−F4b)との間に差分があることを検出することによって、抗原の有無の判定を行ってもよい。
また、上述してきた実施形態においては、試料液供給前に第1の振動領域4A及び第2の振動領域4B発振の周波数F4a及びF4bを測定し、(F4a’−F4b’)と(F4a−F4b)との差分を比較することにより感知対象物である抗原71の定量を行うと述べてきたが、発振周波数F4a及びF4bを測定するタイミングは、第1のビーズの群45の供給前であれば、前記試料液の供給後、第3の液の供給前であってもよいし、第3の液の供給後であってもよい。
さらに、上述してきた実施形態においては、ビオチン化抗体40を含んだ第3の液を第3の液供給部15から供給することに代え、図12に示すように、予め第1のビーズの群45及び第2のビーズの群47の表面を、アビジン粒子48及び当該アビジン粒子48に結合するビオチン化抗体40により処理してもよい。その上で、当該第1のビーズの群45及び第2のビーズの群47をこの順番にて水晶振動子4上に供給することにより、同様の結果を得ることができる。即ち、第1のビーズ群45及び第2のビーズ群47の各ビオチン化抗体40が吸着膜46上の抗原71に捕捉される。
さらに、上述してきた実施形態においては、水晶振動子4の温度特性による周波数変化をキャンセルするために、振動領域が4A及び4Bの二つに分かれた水晶振動子4を用いている。当該水晶振動子4の代わりに、振動領域が一つ、すなわち水晶振動子の両面に夫々一つの対応した電極を設けた水晶振動子を用いてもよい。この場合、水晶振動子の一面側に感知対象物を吸着する吸着層を設け、第1のビーズの群45の供給前後における当該水晶振動子の発振周波数の差分を測定する。
上述してきた本発明の実施形態に係る感知装置を用い、本発明の効果を測定する試験を行った。感知対象物としてはビオチン結合ウシ血清アルブミン(BSA)を用いた。ビオチン結合BSAは金電極の表面に微量結合する性質を有する。
(評価試験)
ビオチン結合BSAを100μg/mL含有する試料液をセンサーユニットに供給し、一定時間経過後に直径1μmのアビジン結合磁気ビーズを含有したBSAからなる緩衝液をセンサーユニットに供給し、ビーズ供給前との周波数の変化を取得した。そしてさらに一定時間経過後に直径50nmのアビジン結合磁気ビーズを含有したBSAからなる緩衝液をセンサーユニット2に供給し、さらなる周波数の変化を取得した。
(参照試験)
評価試験と同じ感知装置を用い、同濃度のビオチン結合BSA試料液をセンサーユニットに供給し、一定時間経過後に直径50nmのアビジン結合磁気ビーズを含有したBSAからなる緩衝液をセンサーユニットに供給し、ビーズ供給前との周波数の変化を取得した。そしてさらに一定時間経過後に直径1μmのアビジン結合磁気ビーズを含有したBSAからなる緩衝液をセンサーユニットに供給し、さらなる周波数の変化を取得した。
評価試験の結果を図13に、参照試験の結果を図14に、夫々グラフにて示す。
評価試験においては1μmのビーズを供給した後周波数が減少し(a)、その後50nmのビーズを供給することにより、周波数が大きく減少し(a)、上述した(1)式の効果が得られることが示された。一方、参照試験においては50nmのビーズを供給したところ周波数が減少したものの(b)、その後1μmのビーズを供給したところ、周波数が増加した(b)。このことは大きな(1μm)ビーズを供給する前に小さな(50nm)ビーズを供給しても、増感効果を得ることはできず、却って上述した水晶振動子と大きなビーズ(粒子)との結合共振が起きたものと推測される。従って本発明のビーズによる増感方法は水晶振動子とビーズの結合共振を有意に抑止し、所望の質量負荷効果による増感を実現することができるといえる。
1 液供給系
2 センサーユニット
3 配線基板
4 水晶振動子
40 ビオチン化抗体
42 共通電極
45 第1のビーズの群
46 吸着層
47 第2のビーズの群
48 アビジン粒子
49 抗体
5 流路形成部材
71 抗原

Claims (9)

  1. 試料液中の感知対象物を圧電振動子の周波数の変化に基づいて感知する方法において、
    圧電振動子の一面側の電極表面に形成された、前記感知対象物を吸着する吸着層に対して試料液を供給する工程と、
    しかる後に前記感知対象物に対応する部位に吸着する性質を有する第1の粒子の群を含む第1の液を前記圧電振動子の一面側に供給する工程と、
    続いて前記第1の粒子よりも粒子径が小さくかつ前記感知対象物に対応する部位に吸着する性質を有する第2の粒子の群を含む第2の液を前記圧電振動子の一面側に供給して、前記第1の粒子と前記吸着層との間に第2の粒子を詰める工程と、
    前記圧電振動子を発振回路により発振させ、前記第1の粒子を前記圧電振動子の一面側に供給する前後における各発振周波数を測定する工程と、を含むことを特徴とする感知方法。
  2. 前記試料液を供給する工程を行った後、第1の液を前記圧電振動子の一面側に供給する工程の前に、前記感知対象物に吸着される中間物質を含む第3の液を前記圧電振動子の一面側に供給する工程を行い、
    前記第1の粒子及び第2の粒子は、前記中間物質に吸着される性質を有することを特徴とする請求項1記載の感知方法。
  3. 前記第1の粒子は、粒子本体を構成する基体と、基体の外周面に付着し、感知対象物に対応する部位に吸着する性質を有すると共に前記基体よりも粒径が小さい吸着用粒子の群と、を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の感知方法。
  4. 前記第1の粒子に備えられた吸着用粒子は、アビジン粒子であることを特徴とする請求項3記載の感知方法。
  5. 前記第2の粒子は、粒子本体を構成する基体と、基体の外周面に付着し、感知対象物に対応する部位に吸着する性質を有すると共に前記基体よりも粒径が小さい吸着用粒子の群と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の感知方法。
  6. 前記第2の粒子に備えられた吸着用粒子は、アビジン粒子であることを特徴とする請求項5記載の感知方法。
  7. 前記試料液を供給する工程を行った後、第1の液を前記圧電振動子の一面側に供給する工程の前に、前記感知対象物に吸着される中間物質である、ビオチンが結合されたウシ血清アルブミンを含む第3の液を前記圧電振動子の一面側に供給する工程を行うことを特徴とする請求項4または6記載の感知方法。
  8. 前記第1の粒子及び第2の粒子は、粒子本体を構成する基体と、基体の外周面に付着すると共に前記基体よりも粒径が小さい吸着用粒子と、当該吸着用粒子に付着した中間物質と、を備え、
    前記中間物質は、前記感知対象物に吸着される性質を有することを特徴とする請求項1記載の感知方法。
  9. 前記第1の粒子及び第2の粒子に備えられた吸着用粒子は、アビジン粒子であり、かつ前記中間物質は、ビオチン化抗体であることを特徴とする請求項8記載の感知方法。
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