JP2015100938A - ひび割れ抑制補強材及びこれを用いた補強コンクリート - Google Patents

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Abstract

【課題】ひび割れを起こす引張応力に対して確実に抵抗し、ひび割れの発生そのものを抑制することが可能であるとともに、鉄筋等への固定が容易に行える、コンクリートの打設が容易に行える、安価である等の種々の利点を有し、更にコンクリートの強度増強にも大きく寄与し得るひび割れ抑制補強材を提供する。【解決手段】コンクリートの表面近傍位置に表面に沿って埋設され、ひび割れを抑制するための補強材であって、幅寸法に対して長手寸法が長く形成された鋼製薄帯板2を素材として、この鋼製薄帯板2に六角形以上の多角形状、円形又は楕円形状で、混入される粗骨材の最大径以上の大きさで多数の孔3,3…を1列以上の規則的パターンで形成する。例えば、前記孔3,3…は複数列とし千鳥状配置で形成された複数列モデルとすることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、コンクリートに発生するひび割れを抑制するためにコンクリートの表面近傍位置に埋設されるひび割れ抑制補強材及びこれを用いた補強コンクリートに関する。
ポルトランドセメントに代表されるセメントと、細骨材と、粗骨材と、水とを主たる材料として撹拌混合して製造されるコンクリートの場合、セメントが水と反応する過程で水酸化カルシウムを発生させ、その水和熱や硬化過程における自己収縮・乾燥収縮などの影響によって、表面近くにひび割れが発生することが知られている。
従来から、コンクリートのひび割れを抑制するための補強材が数多く提案されている。例えば、下記特許文献1では、セメント硬化体のひび割れ抑制材であって、前記ひび割れ抑制材は、第1の糸と該第1の糸より長さが短い第2の糸とがネット状に組み合わさったネット状体であり、(前記第1の糸の引張剛性)/(前記第2の糸の引張剛性)が1.5〜30であるセメント硬化体のひび割れ抑制材が提案されている。
また、下記特許文献2では、コンクリートの表面近くに埋め込まれるコンクリート補強材であって、金属線又は非金属繊維を主材料とする網状体を有し、この網状体からその網状面とほぼ直角方向に突き出した凸状部が、分布して多数設けられ、該凸状部は、該コンクリート補強材をコンクリート成形用の型枠に当接したときに、前記網状体を前記型枠の面から所定長だけ離隔するものであるコンクリート補強材が提案されている。前記網状体は、非金属繊維を撚り合わせた糸、又は非金属繊維を束ねた紐状体を織り合わせて形成され、互いにほぼ60°の角度で交叉する3方向の線、糸又は紐状体を含むものである。
更には、鉄又はステンレスからなる線材を縦方向と横方向とに格子状に直交配置し、交点を電気抵抗溶接した溶接金網(ワイヤーメッシュ)もコンクリートの補強材として使用されている。
特開2009−126730号公報 特開2001−232624号公報
船戸ら,「砂付アラミド三軸メッシュを用いた鉄筋コンクリート部材のひび割れ幅」,土木学会第59回年次学術講演会(土木学会),平成16年9月,p649-650
前記特許文献1に係るひび割れ抑制材(耐アルカリ性ガラス繊維ネット)は、優れた引張剛性とコンクリートに対する付着性能を有し、効果的に過大なひび割れを抑制し、耐久性の高いコンクリート硬化体を製造するのに寄与するものであるが、弾性係数は鉄の1/3、コンクリートの約2倍程度しかないため、コンクリートのひび割れ発生を抑制する効果も限定的である。また、軽量であるためハンドリング性は良いが、可撓性を有し変形し易いため鉄筋への固定に労力を要し、かつコンクリートの打設の際にも、変形しないように十分に注意を払いながら慎重に行う必要があった。更には、材料費が高価であり工費が嵩んでしまうという問題点があった。
次いで、前記特許文献2に係るコンクリート補強材(砂付アラミド三軸メッシュ)は、前記非特許文献1によれば、ひび割れの発生を抑制する効果はほとんど無く、ひび割れ幅を抑制する効果しか期待できない。また、可撓性を有し変形し易いため鉄筋への固定に労力を要し、かつコンクリートの打設の際にも、変形しないように十分に注意を払いながら慎重に行う必要がある点や材料費が高価であり工費が嵩んでしまうという問題点は特許文献1に係るひび割れ抑制材と同様である。
前記溶接金網は、鉄筋と同様の弾性係数を有するため、ひび割れの発生を抑制できる効果を期待できるとともに、安価である点で他よりも優れている。しかし、線材の径は最小でも2.6mmであり、これが十字方向に交差するため最低でも5.2mmの設置厚が必要となるため、かぶりに大きな影響を与えることになる。また、交点部は溶接接合のためコンクリートの拘束度が弱いなどの問題もある。現状では、溶接金網の用途は、マンション、事務所、倉庫、橋梁などのスラブ(床版)やコンクリート舗装などに多くの需要があるが、それ以外の用途としては、主に簡易な構造物に対して限定的に使用されている。
そこで本発明の主たる課題は、コンクリートの表面近傍位置に表面にそって埋設され、ひび割れを抑制するための補強材であって、ひび割れを起こす引張応力に対して確実に抵抗し、ひび割れの発生そのものを抑制することが可能であるとともに、鉄筋等への固定が容易に行える、コンクリートの打設が容易に行える、安価である等の種々の利点を有し、更にコンクリートの強度増強にも大きく寄与し得るひび割れ抑制補強材及びこれを用いた補強コンクリートを提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、コンクリートの表面近傍位置に表面に沿って埋設され、ひび割れを抑制するための補強材であって、
幅寸法に対して長手寸法が長く形成された鋼製薄帯板を素材として、この鋼製薄帯板に六角形以上の多角形状、円形又は楕円形状で、混入される粗骨材の最大径以上の大きさで多数の孔を1列以上の規則的パターンで形成したことを特徴とするひび割れ抑制補強材が提供される。
上記請求項1記載の発明では、ひび割れ抑制補強材は、幅寸法に対して長手寸法が長く形成された鋼製薄帯板を素材として、この鋼製薄帯板に六角形以上の多角形状、円形又は楕円形状で、混入される粗骨材の最大径以上の大きさで多数の孔を1列以上の規則的パターンで形成したものである。先ず、鋼製薄帯板を素材として使用しているため、前述した従来の補強材よりも応力分担する断面積が大きく、弾性係数も鉄筋と同等であるため、ひび割れが発生する前に、ひび割れを起こす引張応力に対して確実に抵抗し、ひび割れの発生そのものを抑制することが可能となる。また、薄鋼板を用いているため、かぶり確保上の問題も解決される上、鉄筋等への固定が容易に行える、コンクリートの打設が容易に行える、更に安価である等の利点を有する。
前記孔は六角形以上の多角形状、円形又は楕円形状で、混入される粗骨材の最大径以上の大きさで形成しているため、コンクリートの粗骨材の流動・配置を阻害することがないとともに、孔にコンクリートが充填された硬化状態では、付着力に依存しないでコンクリートとの一体性が期待できる。コンクリートが充填された孔部位ではコンクリートが周囲の薄鋼板によって拘束された状態となり、この部位でコンクリートにひび割れが発生しない。そして、コンクリートが充填された孔と孔との間でひび割れの原因となる引張応力が発生すると考えられるが、この孔と孔との間(格点部)には鋼材が存在し、剛性が高いとともに、引張応力に対して鋼材が抵抗するため、ひび割れの発生そのものを抑制することが可能となる。更に、前記ひび割れ抑制補強材は、構造的にも引張材として抵抗することが可能であるため、曲げによる引張応力発生領域に配置するようにすれば、コンクリート自体の強度増強にも寄与し得るものとなる。
請求項2に係る本発明として、前記鋼製薄帯板の板厚は2mm以下である請求項1記載のひび割れ抑制補強材が提供される。
上記請求項2記載の発明は、鋼製薄帯板の板厚を2mm以下に限定するものである。厚さ2mmの薄鋼板であれば、孔の形成と相まって人力によって簡単に変形させることが可能であり、ハンドリング性が向上し設置も容易となる。また、コンクリート打設時に容易に変形しない適度な硬さを持つことができる。
請求項3に係る本発明として、前記孔は直列的に一列に並べて形成された1列モデルとされる請求項1、2いずれかに記載のひび割れ抑制補強材が提供される。
上記請求項3記載の発明は、所謂、1列モデルのひび割れ抑制補強材の例である。幅寸法が小さく、狭隘な部位への設置に都合がよい。
請求項4に係る本発明として、前記孔は複数列とし千鳥状配置で形成された複数列モデルとされる請求項1、2いずれかに記載のひび割れ抑制補強材が提供される。
上記請求項4記載の発明は、所謂、複数列モデルのひび割れ抑制補強材の例である。孔の配置パターンを複数列とした場合は、千鳥状配置とするのがよい。千鳥状配置で孔を配置した場合は、後述するように、隣接する3つの孔の中心点を繋いだ線(以下、応力分散構造線)が正六角形状の亀甲線の連続体となる。ひび割れを起こす原因となる自己収縮・乾燥収縮などによる引張応力は任意の方向に起こることが予想されるが、構造的に安定している亀甲形状の応力分散構造線が構成されることで、安定的にいずれの方向に対しても引張応力に抵抗し、ひび割れの発生を抑制することが可能となる。
請求項5に係る本発明として、前記孔は打ち抜きにより形成され、この打ち抜き部材をクリップ状に加工し、ひび割れ抑制補強材同士を接続する仮止め金具として用いる請求項1〜4いずれかに記載のひび割れ抑制補強材が提供される。
上記請求項5記載の発明は、孔形成によって生じる残材の有効利用の途として、孔の打ち抜き形成によって生じた打ち抜き部材(残材)をクリップ状に加工し、ひび割れ抑制補強材同士を接続する仮止め金具として利用するものである。
請求項6に係る本発明として、前記請求項1〜5いずれかに記載のひび割れ抑制補強材がコンクリートの表面近傍位置に表面に沿って埋設されていることを特徴とする補強コンクリートが提供される。
請求項7に係る本発明として、前記ひび割れ抑制補強材を直列的に並べた接続部分において、隣接する2枚のひび割れ補強材の端部側に位置するそれぞれの孔を重ね合わせ、孔内に存在するコンクリートを介して構造的連続性を保つようにしてある請求項6記載の補強コンクリートが提供される。
上記請求項7記載の発明は、コンクリート内に埋設されたひび割れ抑制補強材の継手部の構造的連続性を確保するために、隣接する2枚のひび割れ補強材の端部側に位置するそれぞれの孔を重ね合わせ、孔内に存在するコンクリートを介して構造的連続性を保つようにしたものである。
請求項8に係る本発明として、前記ひび割れ抑制補強材と共に、リング状補強材又は棒状繊維が混入されている請求項6、7いずれかに記載の補強コンクリートが提供される。
請求項9に係る本発明として、前記ひび割れ抑制補強材と共に、リング状補強材と棒状繊維とが共に混入されている請求項6、7いずれかに記載の補強コンクリートが提供される。
上記請求項8、9記載の発明は、前記ひび割れ抑制補強材と共に、リング状補強材又は棒状繊維を混入したり、前記ひび割れ抑制補強材と共に、リング状補強材と棒状繊維とを共に混入したりすることによって、それぞれを単独で使用した場合と比べて、組合せ耐力以上の相乗的な耐力増強効果が現れることに着目したものである。
以上詳説のとおり本発明によれば、コンクリートの表面近傍位置に表面にそって埋設され、ひび割れを抑制するための補強材であって、ひび割れを起こす引張応力に対して確実に抵抗し、ひび割れの発生そのものを抑制することが可能であるとともに、鉄筋等への固定が容易に行える、コンクリートの打設が容易に行える、安価である等の種々の利点を有し、更にコンクリートの強度増強にも大きく寄与し得るひび割れ抑制補強材及びこれを用いた補強コンクリートを提供することが可能となる。
ひび割れ抑制補強材1の1列モデル1Aを示す、(A)は正面図、(B)は側面図である。 ひび割れ抑制補強材1の3列モデル1Bを示す、(A)は正面図、(B)は側面図である。 ひび割れ抑制補強材(3列モデル1B)のひび割れ抑制メカニズムを説明するための図である。 仮止め金具5を示す、(A)は正面図、(B)は側面図である。 ひび割れ抑制補強材1の接続要領を示す、(A)は正面図、(B)は側面図である。 本発明に係るひび割れ抑制補強材1を用いたコンクリートの曲げ強度試験結果を示す図である。 従来の耐アルカリ性ガラス繊維ネットを用いたコンクリートの曲げ強度試験結果を示す図である。 従来の砂付アラミド三軸メッシュを用いたコンクリートの曲げ強度試験結果を示す図である。 本発明に係る各種ひび割れ抑制補強材の曲げ強度試験結果を示す図である。 ひび割れ抑制補強材同士の連結部において、端部側に位置するそれぞれの孔を重ね合わせた場合と、重ね合わせなかった場合との違いを検証するための曲げ強度試験結果を示す図である。 リング状補強材を併用した場合の補強効果を検証するための曲げ強度試験結果を示す図である。 リング状補強材及び棒状繊維を併用した場合の補強効果を検証するための曲げ試験結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明に係るひび割れ抑制補強材1は、図1及び図2に示されるように、コンクリートの表面近傍位置に表面に沿って埋設され、ひび割れを抑制するための補強材であって、幅寸法に対して長手寸法が長く形成された鋼製薄帯板2を素材として、この鋼製薄帯板2に六角形以上の多角形状、円形又は楕円形状で、混入される粗骨材の最大径以上の大きさで多数の孔3,3…を1列以上の規則的パターンで形成したものである。前記鋼製薄帯板2の厚みtは2mm以下、好ましくは1.6mm以下、より好ましくは0.8〜1.2mmとするのが望ましい。
以下、具体的に詳述する。
先ず、図1に示される例は、本発明に係るひび割れ抑制補強材1の一列モデル1Aの例である。鋼製薄帯板1の幅寸法Bは、孔3の直径Rに対して連結幅部A×2の寸法を加算した寸法とされる。孔3の直径Rは、使用される粗骨材の最大寸法以上の大きさとされる。粗骨材の最大寸法とは、「コンクリート標準示方書」(土木学会)によれば、部材最小寸法の1/5または鉄筋の最小あきの3/4およびかぶりの3/4以下とすると規定されており、一般的には20mm又は25mmとされ、断面寸法の大きい場合は40mmを標準とすることが規定されている。従って、前記孔3の直径Rは、少なくとも20mm以上とされ、好ましくは30〜45mmとされる。前記連結部幅部Aの寸法は、2.5〜10mm、好ましくは5〜7mm程度が好適とされ、前記孔3と孔3との間の寸法Cは、7〜20mm、好ましくは10〜15mmとされる。
前記孔3の形状は、六角形以上の多角形状、円形又は楕円形状とされる。多角形状の場合の径Rは最小内径の寸法とする。多角形状の場合は、八角形以上とすることが望ましく、最も望ましいのは円形又は楕円形状である。この孔3は、プレスによる打ち抜きによって形成する。
次に、図2に示される例は、本発明に係るひび割れ抑制補強材1の三列モデル1Bの例である。鋼製薄帯板1の幅寸法Bは、孔3の直径R×3に連結幅部A×2の寸法を加算した寸法とされる。孔3の直径Rは、使用される粗骨材の最大寸法以上の大きさとされる点は上記1列モデル1Aと同様であり、一般的には20mm又は25mmとされ、断面寸法の大きい場合は40mmとされる。従って、前記孔3の直径Rは、少なくとも20mm以上とされ、好ましくは30〜45mmとされる。前記連結部幅部Aの寸法は、2.5〜10mm、好ましくは5〜7mm程度が好適とされ、前記孔3と孔3との間の寸法Cは、7〜20mm、好ましくは10〜15mmとされる。孔3の形状についても上記一列モデル1Aと同様である。複数列モデルの場合、前記孔3、3…は千鳥状に配置される。
なお、本形態例では、前記1列モデル1Aと三列モデル1Bとについて説明したが、他に2列モデル、4列モデル以上についても同様である。要はコンクリートの寸法や設置場所に応じて、適合する列数(補強材1の幅寸法B)が決定される。
上記三列モデル1Bを例にとって本補強材1の効果を説明すると、図3に示されるように、孔3,3…にコンクリートが充填された硬化状態では、付着力に依存しないでコンクリートとの一体性が期待できる。コンクリートが充填された孔3部位ではコンクリートが周囲の薄鋼板によって拘束された状態となり、この部位でコンクリートにひび割れが発生しない。そして、コンクリートが充填された孔3と孔3との間でひび割れの原因となる引張応力が発生すると考えられるが、この孔3と孔3との間(格点部P)には鋼材が存在し、剛性が高いとともに、引張応力に対して鋼材が抵抗するため、ひび割れの発生そのものを抑制することが可能となる。更に、前記ひび割れ抑制補強材1は、構造的にも引張材として抵抗することが可能であるため、曲げによる引張応力発生領域に配置するようにすれば、コンクリート自体の強度増強にも寄与し得るものとなる。
特に、複数列モデルのひび割れ抑制補強材1Bの場合、同図3に示されるように、隣接する3つの孔3,3…の中心点を繋いだ線(以下、応力分散構造線4)が正六角形状の亀甲線の連続体となる。ひび割れを起こす原因となる自己収縮・乾燥収縮などによる引張応力は任意の方向に起こることが予想されるが、構造的に安定している亀甲形状の応力分散構造線4が構成されることで、安定的にいずれの方向に対しても引張応力に抵抗し、ひび割れの発生を抑制することが可能となる。
ひび割れ抑制補強材1の孔3は、打ち抜きによって形成されるが、この打ち抜き部材(残材)を、図4に示されるように、クリップ状に加工し、ひび割れ抑制補強材1,1同士を接続する仮止め金具5として用いるのが望ましい。同図4に示される例は、孔3を円形とした場合の例であるが、外形よりも内側に一部(連結部5a)を残して円弧状の切込みを入れて、この切込み片5Aを図4(B)に示されるように、傾斜状に起立させるようにする。図5は一列モデル1Aの連結態様を示したものであるが、前記ひび割れ抑制補強材1A、1Aを直列的に並べた接続部分において、隣接する2枚のひび割れ補強材1A、1Aの端部側に位置するそれぞれの孔を1又は複数個、図示例では3孔ほど重ね合わせるようにして左右のひび割れ抑制補強材1A、1Aを繋げたならば、孔3と孔3との間の部分を前記仮止め金具5の切込み片5Aにより挟み込んで拘束するようにする。打設されたコンクリートが孔3内に入り込み、このコンクリートを介してひび割れ抑制補強材1A、1Aは構造的連続性(作用力の伝達)を保つようになる。
<実施例1>
本発明に係るひび割れ抑制補強材1と、従来の補強材との強度性能比較試験を行った。
供試体は、□150mm×L530mmのコンクリート供試体とし、各補強材はコンクリート供試体の下面から20mmの位置に配置した。本発明に係るひび割れ抑制補強材1は、板厚1mm、幅45mm、孔径40mmの1列モデルを3枚並べた。従来の補強材としては、耐アルカリ性ガラス繊維ネット(幅150mm)と、砂付アラミド三軸メッシュ(幅150mm)とを用いた。コンクリートの配合は下表1とし、コンクリート供試体は各補強材毎に3本づつ準備した。
Figure 2015100938
試験結果を下表2に示すとともに、各供試体の曲げじん性試験結果を図6〜図8に示す。なお、曲げ靭性係数は、JHS 730-2003「繊維補強覆工コンクリートの曲げ靭性試験方法」に準拠して求めた。
Figure 2015100938
本発明補強材は、曲げ強度及び曲げ靭性ともに最も高く、耐アルカリ性ガラス繊維ネットと比較すると、曲げ強度では1.13倍、曲げ靭性では1.37倍に向上し、ひび割れの発生及びひび割れ幅の抑制に大きく寄与することが判明した。
<実施例2>
本発明に係るひび割れ抑制補強材1には、1列モデルや複数列モデルがあるが、複数列モデルとした場合、1列モデルに比べてどれだけ強度性能が上がるかを試験した。
1列モデルとしては、板厚1mm、幅45mm、孔径40mmの補強材を用い、これを孔が正方配置で並べた場合と、孔が千鳥配置となるように並べた場合の2種類のコンクリート供試体(実施例1と同じ配合)を用意した。また、複数列モデルとしては、板厚1mm、幅130mm、孔径40mmの千鳥配置孔の補強材1枚を用いたコンクリート供試体(実施例1と同じ配合)を用意して試験を行った。
試験結果を下表3に示すとともに、図9に示す。
Figure 2015100938
特に、3列モデルの曲げ靭性は、1列モデルに比べて、約57%程度向上することが判明した。また、1列モデルの場合、孔が正方配列になるように設置するよりも、千鳥配置となるように配置した方が曲げ強度及び曲げ靭性が向上できることが確認できた。
<実施例3>
さらに本実施例3では、ひび割れ抑制補強材1,1同士を直列的に並べた接続部分において、隣接する2枚のひび割れ補強材1の端部側に位置するそれぞれの孔を重ね合わせて接続した場合と、重ね合わせずに直列的に並べた場合との違いを検証するための曲げ強度試験結果を行った。
試験は、<実施例1>と同様に、供試体は、□150mm×L530mmのコンクリート供試体とし、割れ抑制補強材1はコンクリート供試体の下面から20mmの位置に配置した。本発明に係るひび割れ抑制補強材1は、板厚1mm、幅45mm、孔径40mmの1列モデルを3枚並べるようにし、ひび割れ抑制補強材1、1同士の接続部分では孔2個分を重ね合わせるようにした。
その試験結果を図10に示す。同図10から明らかなように、割れ抑制補強材1、1の接続部分で孔を重ね合わせた場合は、重ね合わせ無い場合よりも曲げ強度及び曲げ靭性が向上できることが確認できた。
<実施例4>
本実施例4では、本発明に係るひび割れ抑制補強材1とともに、他のコンクリート補強材を併用した場合の効果について試験を行った。
(1)リング状補強材併用による効果
本発明に係るひび割れ抑制補強材1(板厚1mm、幅45mm、孔径40mmの1列モデル−3枚)とともに、リング状補強材(1.5vol%混入)を併用した場合について試験を行った。このリング状補強材は、孔の打ち抜き形成によって生じた打ち抜き部材(残材)を更に打ち抜き加工して得られたリング状の補強材である。
試験は、本発明に係るひび割れ抑制補強材1を単独使用の場合の強度試験と、前記リング状補強材を単独使用の場合の強度試験と、本発明に係るひび割れ抑制補強材1及びリング状補強材を併用使用した場合について曲げ強度試験を行った。
この曲げ強度試験の結果を図11に示す。本発明に係るひび割れ抑制補強材単独使用の場合の荷重−たわみ曲線と、リング状補強材を単独使用の場合の荷重−たわみ曲線とを重ね合わせた合成曲線と、本発明に係るひび割れ抑制補強材及びリング状補強材の併用使用の場合の荷重−たわみ曲線とを比較し、その差分が併用による相乗効果ということになるが、下表4に示されるように、合成曲線に対して約30%の靭性向上効果が相乗的に見込めることが判明した。
Figure 2015100938
(2)リング状補強材及び棒状繊維の併用による効果
次に、本発明に係るひび割れ抑制補強材(板厚1mm、幅45mm、孔径40mmの1列モデル−3枚)とともに、リング状補強材(1.5vol%混入)と棒状繊維(0.5vol%混入)とを併用した場合について強度試験を行った。
試験は、本発明に係るひび割れ抑制補強材1とリング状補強材とを併用使用した場合の強度試験とともに、これに更にPP棒状繊維(0.5vol%)を混入した場合と、鋼棒状繊維(0.5vol%)を混入した場合とについて曲げ試験を行った。
その試験結果を図12に示す。この試験結果に基づいて、曲げ靭性係数を求めた結果、下表5に示されるように、PP棒状繊維(0.5vol%)混入の場合は、曲げ靭性が約20%向上し、鋼棒状繊維(0.5vol%)を混入した場合は、曲げ靭性が約70%向上し、曲げ強度が約30%向上した。
Figure 2015100938
なお、上記試験結果から、本発明に係るひび割れ抑制補強材1とともに、リング状補強材に代えて棒状繊維を併用した場合についても靭性向上効果が相乗的に見込めることが容易に予想できるものと考えられる。
また、上記の実施例では、ひび割れ抑制抑制材の素材として鋼材料を用いているが、所要の性能が確保できる範囲において鋼材料以外の金属材料を用いることも可能である。
1…ひび割れ抑制補強材、2…鋼製薄鋼板、3…孔、4…応力分散構造線、5…仮止め金具、P…格点部

Claims (9)

  1. コンクリートの表面近傍位置に表面に沿って埋設され、ひび割れを抑制するための補強材であって、
    幅寸法に対して長手寸法が長く形成された鋼製薄帯板を素材として、この鋼製薄帯板に六角形以上の多角形状、円形又は楕円形状で、混入される粗骨材の最大寸法以上の大きさで多数の孔を1列以上の規則的パターンで形成したことを特徴とするひび割れ抑制補強材。
  2. 前記鋼製薄帯板の板厚は2mm以下である請求項1記載のひび割れ抑制補強材。
  3. 前記孔は直列的に一列に並べて形成された1列モデルとされる請求項1、2いずれかに記載のひび割れ抑制補強材。
  4. 前記孔は複数列とし千鳥状配置で形成された複数列モデルとされる請求項1、2いずれかに記載のひび割れ抑制補強材。
  5. 前記孔は打ち抜きにより形成され、この打ち抜き部材をクリップ状に加工し、ひび割れ抑制補強材同士を接続する仮止め金具として用いる請求項1〜4いずれかに記載のひび割れ抑制補強材。
  6. 前記請求項1〜5いずれかに記載のひび割れ抑制補強材がコンクリートの表面近傍位置に表面に沿って埋設されていることを特徴とする補強コンクリート。
  7. 前記ひび割れ抑制補強材を直列的に並べた接続部分において、隣接する2枚のひび割れ補強材の端部側に位置するそれぞれの孔を重ね合わせ、孔内に存在するコンクリートを介して構造的連続性を保つようにしてある請求項6記載の補強コンクリート。
  8. 前記ひび割れ抑制補強材と共に、リング状補強材又は棒状繊維が混入されている請求項6、7いずれかに記載の補強コンクリート。
  9. 前記ひび割れ抑制補強材と共に、リング状補強材と棒状繊維とが共に混入されている請求項6、7いずれかに記載の補強コンクリート。
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