JP2015100817A - 連続鋳造装置の浸漬ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、モールド内に安定した溶鋼の旋回流を発生させ、鋳片品質の向上を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルは、浸漬ノズル(3)の円筒側面に2つ以上の吐出孔流路(2)を持ち、前記浸漬ノズル(3)使用時の水平断面における前記吐出孔流路(2)の第1、第2内面側壁(6,7)及び第1、第2外面側壁(10,11)が内側屈折点(5)及び外側屈折点(9)によって屈折して形成された直線によって構成され、前記浸漬ノズル(3)の吐出孔流路(2)の内側で前記第1内面側壁(6)及び前記第1外面側壁(10)がなす2本の直線と前記ノズル孔(1)の外縁(1c)が交わる第1、第2交点(13,14)を結ぶ直線(1a)と、前記浸漬ノズル(3)の突出孔流路(2)の内側で前記第1内面側壁(6)及び前記第1外面側壁(10)がなす2本の直線の間の第1中心線(15)とがなす第1角度(α)が、45〜135°とした構成である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルは、浸漬ノズル(3)の円筒側面に2つ以上の吐出孔流路(2)を持ち、前記浸漬ノズル(3)使用時の水平断面における前記吐出孔流路(2)の第1、第2内面側壁(6,7)及び第1、第2外面側壁(10,11)が内側屈折点(5)及び外側屈折点(9)によって屈折して形成された直線によって構成され、前記浸漬ノズル(3)の吐出孔流路(2)の内側で前記第1内面側壁(6)及び前記第1外面側壁(10)がなす2本の直線と前記ノズル孔(1)の外縁(1c)が交わる第1、第2交点(13,14)を結ぶ直線(1a)と、前記浸漬ノズル(3)の突出孔流路(2)の内側で前記第1内面側壁(6)及び前記第1外面側壁(10)がなす2本の直線の間の第1中心線(15)とがなす第1角度(α)が、45〜135°とした構成である。
【選択図】図1
Description
本発明は、連続鋳造装置の浸漬ノズルに関し、特に、溶鋼からスラブ、ブルーム、ビレット等の鋼片を連続的に製造する連続鋳造装置で使用する、特に、モールド内に安定した溶鋼の旋回流を発生させ、鋳片品質の向上に寄与するものである。
一般に、連続鋳造設備において、タンディッシュからモールドへ溶鋼を注入するために浸漬ノズルが広く使用されている。浸漬ノズルは、溶鋼が大気と直接接触して再酸化することを予防する役割を持ち、鋳片の品質向上に大きく寄与する重要な耐火物である。
また、浸漬ノズルからモールド内に吐出した溶鋼の流動は鋳片品質に影響する。例えば、ブルーム、ビレット等の矩形のモールドにおいては、各モールド面に出来るだけ均等に吐出流を供給することが鋳片割れを防止するうえで重要である。一方、溶鋼をモールド内で旋回・攪拌させることで介在物や気泡が凝固シェルに捕捉されにくくなるため鋳片の表面品質も向上する。
前記モールド内で溶鋼を攪拌するために、例えばモールド近傍に電磁撹拌装置を設置し、電磁力を利用して溶鋼を撹拌させる方法が知られている。しかし、この電磁撹拌装置は極めて高価であるため、これに代わる安価なシステムで撹拌することが求められてきた。
その方法として、浸漬ノズルからの吐出流によってモールド内で旋回流を作り、これによって溶鋼を攪拌する試みがなされてきた。
また、浸漬ノズルからモールド内に吐出した溶鋼の流動は鋳片品質に影響する。例えば、ブルーム、ビレット等の矩形のモールドにおいては、各モールド面に出来るだけ均等に吐出流を供給することが鋳片割れを防止するうえで重要である。一方、溶鋼をモールド内で旋回・攪拌させることで介在物や気泡が凝固シェルに捕捉されにくくなるため鋳片の表面品質も向上する。
前記モールド内で溶鋼を攪拌するために、例えばモールド近傍に電磁撹拌装置を設置し、電磁力を利用して溶鋼を撹拌させる方法が知られている。しかし、この電磁撹拌装置は極めて高価であるため、これに代わる安価なシステムで撹拌することが求められてきた。
その方法として、浸漬ノズルからの吐出流によってモールド内で旋回流を作り、これによって溶鋼を攪拌する試みがなされてきた。
例えば、特許文献1には、吐出流を、吐出の中心に関して対称な複数の位置において接線方向に吐出し、また、方形のモールド面に対して45±10°の角度で吐出することで、旋回流を得る方法が提案されている。また、吐出孔は、直線や湾曲形状のものが提案されている。
また、特許文献2には、吐出孔の内壁の一部がノズル内周の接線と一致するノズルが提案されている。
また、特許文献3には、吐出孔の吐出方向をその中心からの放射方向に対して周方向に角度を持たせて形成したノズルを利用し、溶鋼が吐出するときの反作用の力を浸漬ノズルが受けるようにして、浸漬ノズル自体を鉛直軸に回転させることによって溶鋼流を旋回させる方法が提案されている。
さらに、特許文献4には、吐出孔を放射方向に対して傾けて設置し、浸漬ノズルを上下2つのパーツとし、下側のノズルが鉛直軸に回転させる構造をとる方法が提案されている。
また、特許文献2には、吐出孔の内壁の一部がノズル内周の接線と一致するノズルが提案されている。
また、特許文献3には、吐出孔の吐出方向をその中心からの放射方向に対して周方向に角度を持たせて形成したノズルを利用し、溶鋼が吐出するときの反作用の力を浸漬ノズルが受けるようにして、浸漬ノズル自体を鉛直軸に回転させることによって溶鋼流を旋回させる方法が提案されている。
さらに、特許文献4には、吐出孔を放射方向に対して傾けて設置し、浸漬ノズルを上下2つのパーツとし、下側のノズルが鉛直軸に回転させる構造をとる方法が提案されている。
従来の溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の特許文献1及び2の場合、実験の結果、旋回流は得られるものの安定した旋回流は得られず、旋回流の発生/消失を繰り返すことになっていた。
また、前述の特許文献3の構成の場合、浸漬ノズルが容易に回転するように、金属部品を介してベアリングと接触する構造となっており、接続する耐火物とのシール性に問題があった。
また、前述の特許文献1から4の何れの場合も、こうした従来の提案構造では旋回する流れが不安定で且つ流速が遅く、介在物や気泡が凝固シェルに捕捉されるのを防ぐには充分な効果が得られていなかった。また、丸ビレットのような円形断面をもつ鋳造に対しては更に効果が得られなかった。
すなわち、前述の特許文献1及び2の場合、実験の結果、旋回流は得られるものの安定した旋回流は得られず、旋回流の発生/消失を繰り返すことになっていた。
また、前述の特許文献3の構成の場合、浸漬ノズルが容易に回転するように、金属部品を介してベアリングと接触する構造となっており、接続する耐火物とのシール性に問題があった。
また、前述の特許文献1から4の何れの場合も、こうした従来の提案構造では旋回する流れが不安定で且つ流速が遅く、介在物や気泡が凝固シェルに捕捉されるのを防ぐには充分な効果が得られていなかった。また、丸ビレットのような円形断面をもつ鋳造に対しては更に効果が得られなかった。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、浸漬ノズルの円筒側面に2つ以上の吐出孔流路を有し、浸漬ノズル使用時の水平断面におけるその吐出孔流路の内、外面側壁が屈折した直線によって構成され、モールド内に安定した溶鋼の旋回流を発生させ、鋳片品質の向上に寄与することを目的とする。
本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルは、ノズル孔を有する浸漬ノズルの円筒側面に2つ以上の吐出孔流路を持ち、前記浸漬ノズル使用時の水平断面における前記吐出孔流路の第1、第2内面側壁及び第1、第2外面側壁が、内側屈折点及び外側屈折点によって屈折して形成された直線によって構成され、前記浸漬ノズルの吐出孔流路の内側で前記第1内面側壁及び前記第1外面側壁がなす2本の直線と前記ノズル孔の外縁が交わる第1、第2交点を結ぶ直線と、前記浸漬ノズルの吐出孔流路の内側で前記第1内面側壁及び前記第1外面側壁がなす2本の直線の間の第1中心線とがなす第1角度が、45〜135°である構成である。
本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ノズル孔を有する浸漬ノズルの円筒側面に2つ以上の吐出孔流路を持ち、前記浸漬ノズル使用時の水平断面における前記吐出孔流路の第1、第2内面側壁及び第1、第2外面側壁が、内側屈折点及び外側屈折点によって屈折して形成された直線によって構成され、前記浸漬ノズルの吐出孔流路の内側で前記第1内面側壁及び前記第1外面側壁がなす2本の直線と前記ノズル孔の外縁が交わる第1、第2交点を結ぶ直線と、前記浸漬ノズルの吐出孔流路の内側で前記第1内面側壁及び前記第1外面側壁がなす2本の直線の間の第1中心線とがなす第1角度が、45〜135°であることにより、他の設備に変更を加えることなく、浸漬ノズルの吐出孔流路の形状改善のみによってモールド内に安定した溶鋼の旋回流を発生させ、鋳片品質の向上に寄与することができる。
すなわち、ノズル孔を有する浸漬ノズルの円筒側面に2つ以上の吐出孔流路を持ち、前記浸漬ノズル使用時の水平断面における前記吐出孔流路の第1、第2内面側壁及び第1、第2外面側壁が、内側屈折点及び外側屈折点によって屈折して形成された直線によって構成され、前記浸漬ノズルの吐出孔流路の内側で前記第1内面側壁及び前記第1外面側壁がなす2本の直線と前記ノズル孔の外縁が交わる第1、第2交点を結ぶ直線と、前記浸漬ノズルの吐出孔流路の内側で前記第1内面側壁及び前記第1外面側壁がなす2本の直線の間の第1中心線とがなす第1角度が、45〜135°であることにより、他の設備に変更を加えることなく、浸漬ノズルの吐出孔流路の形状改善のみによってモールド内に安定した溶鋼の旋回流を発生させ、鋳片品質の向上に寄与することができる。
本発明は、モールド内に安定した溶鋼の旋回流を発生させ、鋳片品質の向上に寄与することができる溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルを提供することを目的とする。
以下、図面と共に本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルの好適な実施の形態について説明する。
尚、本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルを開発するまでの課程を含めて、まず、説明する。
一般に、電磁撹拌装置をはじめとして、製造設備に特に変更を加えずにモールド内に安定した旋回流を得るためには、浸漬ノズルから吐出孔を通って流出する吐出流が、(1)浸漬ノズルの中心軸から見て放射方向に対して一定量傾くこと、(2)上記吐出流の状態が安定して継続されること、の2点が重要である。このような視点から様々な吐出孔形状を考案し、水モデル実験を実施して各孔形状の評価を行い、本発明による浸漬ノズルの開発に至ったものである。
尚、本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルを開発するまでの課程を含めて、まず、説明する。
一般に、電磁撹拌装置をはじめとして、製造設備に特に変更を加えずにモールド内に安定した旋回流を得るためには、浸漬ノズルから吐出孔を通って流出する吐出流が、(1)浸漬ノズルの中心軸から見て放射方向に対して一定量傾くこと、(2)上記吐出流の状態が安定して継続されること、の2点が重要である。このような視点から様々な吐出孔形状を考案し、水モデル実験を実施して各孔形状の評価を行い、本発明による浸漬ノズルの開発に至ったものである。
浸漬ノズルの水モデルはφ200mmの丸ビレット連鋳機を想定した水モデルとし、浸漬ノズルは内径35mm、外径75mm、ノズルの肉厚20mm、吐出孔の出口断面を24mm×22mm、吐出孔数4個、鋳込み引き抜き速度を2.0m/分とした条件で行った。
まず、図11のように、文献1〜4にあるようなノズル孔1の接線方向に吐出孔流路2を設けた形状、図12の文献1と3にあるようなノズル孔1の接線方向に吐出孔流路2を設けて湾曲させた形状を用いて旋回流が生じるかどうかを検討したが、旋回流は得られるものの、安定した旋回流は得られず、旋回流の発生/消失を繰り返した。
そこで、様々な形状を検討し、図2に示したように、吐出孔流路2を途中でくの字型に屈折させ鍵型に曲げた場合、モールド全体に浸漬ノズル3を中心軸とした旋回流が安定的に形成されることを発見した。
さらに、図13のように吐出孔流路2の内側のみを屈折した場合と、図14のように外側のみを屈折させた場合について実験を行ったが、この場合は十分な旋回流が得られなかった。
まず、図11のように、文献1〜4にあるようなノズル孔1の接線方向に吐出孔流路2を設けた形状、図12の文献1と3にあるようなノズル孔1の接線方向に吐出孔流路2を設けて湾曲させた形状を用いて旋回流が生じるかどうかを検討したが、旋回流は得られるものの、安定した旋回流は得られず、旋回流の発生/消失を繰り返した。
そこで、様々な形状を検討し、図2に示したように、吐出孔流路2を途中でくの字型に屈折させ鍵型に曲げた場合、モールド全体に浸漬ノズル3を中心軸とした旋回流が安定的に形成されることを発見した。
さらに、図13のように吐出孔流路2の内側のみを屈折した場合と、図14のように外側のみを屈折させた場合について実験を行ったが、この場合は十分な旋回流が得られなかった。
前記吐出孔流路2の形状によって旋回流が生じたり、生じなかったりする理由を探るため、吐出孔流路2の位置毎の流速について測定位置A,B,C,Dでプロペラ流速計を用いて調査した。この測定位置を示す模式図を図7、図8に示す。図7は、測定位置を浸漬ノズル3の吐出孔流路2の外側から見た状態を示し、図8は、吐出孔流路2位置での横断面を示す。測定位置AとBは、旋回流を生もうとする吐出孔流路の内側であり、CとDは外側になる。
図9は、十分な旋回流が得られた図2の吐出孔流路2の断面の場合の吐出流速測定結果である。横軸は、時間変化を示し、縦軸は10秒間毎の平均流速の相対値を示し、上で高く、下で低い状態を示す。前記吐出孔流路2の上下方向での流速を比較すると、下側のBとDで大きいが、これは浸漬ノズル3内を上方から下方へ流下する流れの影響による。一方、流速には時間変化が見られるが、浸漬ノズル3直上にある周知のスライディングプレートで流量制御するため、浸漬ノズル3内で少し偏った流れとなり、また、流速が変化することによる。吐出孔流路2の同一水平面上(DとB, CとA)の流速値を比較すると、屈折の内側B、A側の方が、外側C、D側と比べて常に遅くなっていた。
それに対し図10は、十分な旋回流が得られなかった図12の吐出孔流路2の断面の場合の吐出流速測定結果である。吐出孔流路2の同一水平面上(DとB, CとA)の流速値を比較すると吐出孔流路2の外側の流速D、Cと内側の流速B、Aとの差が殆どなく、時折湾曲の内側(B、A)の方が流速が速くなる逆転現象が認められた。計測中のモールド内は、旋回流の発生/消失を繰り返す不安定な状態であった。
図9は、十分な旋回流が得られた図2の吐出孔流路2の断面の場合の吐出流速測定結果である。横軸は、時間変化を示し、縦軸は10秒間毎の平均流速の相対値を示し、上で高く、下で低い状態を示す。前記吐出孔流路2の上下方向での流速を比較すると、下側のBとDで大きいが、これは浸漬ノズル3内を上方から下方へ流下する流れの影響による。一方、流速には時間変化が見られるが、浸漬ノズル3直上にある周知のスライディングプレートで流量制御するため、浸漬ノズル3内で少し偏った流れとなり、また、流速が変化することによる。吐出孔流路2の同一水平面上(DとB, CとA)の流速値を比較すると、屈折の内側B、A側の方が、外側C、D側と比べて常に遅くなっていた。
それに対し図10は、十分な旋回流が得られなかった図12の吐出孔流路2の断面の場合の吐出流速測定結果である。吐出孔流路2の同一水平面上(DとB, CとA)の流速値を比較すると吐出孔流路2の外側の流速D、Cと内側の流速B、Aとの差が殆どなく、時折湾曲の内側(B、A)の方が流速が速くなる逆転現象が認められた。計測中のモールド内は、旋回流の発生/消失を繰り返す不安定な状態であった。
このことから、屈折ないし湾曲した吐出孔流路2の外側の流れが安定して大きい状態では十分な旋回流を生むことが出来るが、安定しないと充分な旋回流を生まないことが解り、湾曲した場合(図12,図10)、湾曲外側の流れが大きいときには旋回流が生まれるが、流れが安定せず逆転する場合には旋回流が消失することが解った。
この現象は、吐出孔流路2の形状に起因していると考えられる。すなわち、図3は吐出孔流路2が屈折した場合の、流路内での流れを示した模式図である。図7に示したB、A側は、流路が屈折する際の内側である。吐出孔流路2が屈折するとき、内側屈折点5の第1内面側壁6の下流側では、管壁には沿わずに剥離する流れが発生する。流れが剥離することで内側屈折点5の下流側に渦6aが発生し、その結果、屈折部6A内側の内側屈折点5の下流側での流速は遅くなる。それに対し、流量は一定であるから屈折部6A内側での流速の減少のため、屈折部6A外側では流速が早くなる。一方、屈折部6A外側の流れは外側屈折点9の下流側の側壁によって、浸漬ノズル3の中心から見た放射方向に対して傾いた流れとなる。このように、内側屈折点5による渦6aの発生による屈折部6の外側での流速の増大と、屈折部6Aの外側による流れの方向付けの二つの効果が働くことで、この浸漬ノズル3の中心から見た放射方向に対して傾いた流れが安定して継続し、その結果、安定した旋回流を生むものである。
一方、図12の湾曲した流路の場合、湾曲部内での流れの剥離が起こりにくく、湾曲による外側の流れが速い場合には旋回流を生むが、浸漬ノズル3内の流れが乱れた場合、吐出流が安定せず旋回流は消失したと考えられる。図11のノズル孔1の接線方向に吐出孔流路2を設けた場合も同様に考えられる。さらに、図13のように内側のみを屈折し、外側は屈折させなかった場合には、流路内側の屈折部下流に渦6aが発生したとしても、外側流路が直線であるため影響が少なく、流れの方向は放射状となるため旋回流は生じない。また、図14のように外側のみを屈折させた場合、内側で渦6aを生じないので旋回流を生まない。
本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルは、前述の発見と解析によって得られたものである。
本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルは、前述の発見と解析によって得られたものである。
以下、図1に基づいて本発明による溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズルの好適な形態について説明する。
尚、吐出孔流路2は浸漬ノズル3下部で回転対称の位置に設置することが好ましい。こうすることで吐出孔流路2からの流れによって旋回運動を継続させることができる。また、吐出孔流路2の設置個数は2〜4が好ましいが、それ以上とすることも可能である。
本発明において技術的に最も重要な点は内側屈折点5で吐出孔流路2が湾曲ではなく屈折した構造を持ち、流れが壁面から剥離して澱み部が発生する点にある。このため浸漬ノズル3使用時の水平断面におけるその吐出孔流路2の両側面は、実質的に屈折した直線によって構成されていることが望ましい。内面側の第1、第2内面側壁6、7を屈折させることで内側屈折点5より下流側で渦6aを作り出し、また流路外側の流速を上昇させることができる。また、外面側の第1、第2外面側壁10,11を屈折させることで、流れの方向をノズル孔1の中心から見た放射方向に対して傾いた方向に向けることができ、旋回流ができる。これらを組み合わせることで、安定した旋回流を生むものである。
従って、モールド内での旋回流を生成させるためには、吐出孔流路2内流速に定常的な偏りを発生させることが必要であり、そのためには、流路2の両側の壁がそれぞれ同じ方向に屈折していること、屈折角度がある一定範囲の中であることが重要である。図13のように内側のみが屈折し、反対側が直線である場合、流れは直線の壁面に沿ってノズル孔1からほぼ放射状に吐出され、モールド内に旋回流を発生させることが出来ない。また図14のように外側のみが屈折している場合にもモールド内に充分な旋回流を発生させることが出来ない。
前記吐出孔流路2の内側屈折点5および外側の外側屈折点9では、製造上の便宜を図るために小さなRを付けても良い。但し特に内側においては、Rが大きすぎると屈折流路から湾曲流路に近付き、充分な旋回流が得られなくなる。具体的にはRは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、内側と外側のRは曲率が異なっても差し支えない。
尚、吐出孔流路2は浸漬ノズル3下部で回転対称の位置に設置することが好ましい。こうすることで吐出孔流路2からの流れによって旋回運動を継続させることができる。また、吐出孔流路2の設置個数は2〜4が好ましいが、それ以上とすることも可能である。
本発明において技術的に最も重要な点は内側屈折点5で吐出孔流路2が湾曲ではなく屈折した構造を持ち、流れが壁面から剥離して澱み部が発生する点にある。このため浸漬ノズル3使用時の水平断面におけるその吐出孔流路2の両側面は、実質的に屈折した直線によって構成されていることが望ましい。内面側の第1、第2内面側壁6、7を屈折させることで内側屈折点5より下流側で渦6aを作り出し、また流路外側の流速を上昇させることができる。また、外面側の第1、第2外面側壁10,11を屈折させることで、流れの方向をノズル孔1の中心から見た放射方向に対して傾いた方向に向けることができ、旋回流ができる。これらを組み合わせることで、安定した旋回流を生むものである。
従って、モールド内での旋回流を生成させるためには、吐出孔流路2内流速に定常的な偏りを発生させることが必要であり、そのためには、流路2の両側の壁がそれぞれ同じ方向に屈折していること、屈折角度がある一定範囲の中であることが重要である。図13のように内側のみが屈折し、反対側が直線である場合、流れは直線の壁面に沿ってノズル孔1からほぼ放射状に吐出され、モールド内に旋回流を発生させることが出来ない。また図14のように外側のみが屈折している場合にもモールド内に充分な旋回流を発生させることが出来ない。
前記吐出孔流路2の内側屈折点5および外側の外側屈折点9では、製造上の便宜を図るために小さなRを付けても良い。但し特に内側においては、Rが大きすぎると屈折流路から湾曲流路に近付き、充分な旋回流が得られなくなる。具体的にはRは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、内側と外側のRは曲率が異なっても差し支えない。
前記吐出孔流路2の屈折部6Aより浸漬ノズル3内側で第1内面側壁6及び第1外面側壁10がなす2本の直線及びその延長線の間の第1中心線15と、屈折部6Aより浸漬ノズル3外側で第2内面側壁7及び第2外面側壁11がなす2本の直線及びその延長線の間の第2中心線16とがなす第2角度βが15〜85°であることが好ましく、より好ましくは25〜75°である。15°未満では、屈折の内側流路にて管壁より剥離する流れが発生しないため、流路内で充分な流速差を得ることが出来ないのに加え、流れはノズル中心からほぼ放射状に吐出されるため、モールド内の旋回流は得られない。一方、85°より大きくなると、旋回流速は減少するようになる。これは、内面側で発生する渦の成長が大きくなりすぎ、外側での流速向上を抑制するためと考えられる。また、第2外面側壁11とノズル外面3aとの肉厚が薄くなるので、使用中の浸漬ノズル3の亀裂剥離等の問題を生じやすくなり、これ以上に大きくすることは得策でない。
前記屈折部6Aより浸漬ノズル3の吐出孔流路2の内側で第1内面側壁6及び前記第1外面側壁10がなす2本の直線と前記ノズル孔1の外縁1cが交わる第1、第2交点13,14を結ぶ直線1aと、屈折部6Aより浸漬ノズル3の吐出孔流路2の内側で前記第1内面側壁6及び前記第1外面側壁10がなす2本の直線の間の第1中心線15とがなす第1角度αが、45〜135°であることが好ましい。より好ましくは50〜120°である。αが45°未満の場合、135°より大きい場合には、ノズル孔1と吐出孔流路2の間のれんが肉厚が薄くなり、製造が困難である。
前記屈折部6Aより浸漬ノズル3内側で第1内面側壁6及び第1外面側壁10がなす2本の直線とノズル孔1が交わる一対の第1、第2交点13,14の間の距離Wiは、ノズル孔1半径riとしたときに、0.15≦Wi/ri≦1.6であることが好ましく、より好ましくは0.2≦Wi/ri≦1.4である。0.15未満では、吐出孔流路2が小さくなりすぎて流量の確保が出来なくなるために好ましくなく、1.6より大きいと屈折させた場合に、ノズル外面3aとの肉厚が薄くなるため、使用中の浸漬ノズル3の亀裂剥離等の問題が発生しやすくなるために好ましくない。
前記浸漬ノズル3の厚みをt、ノズル孔1半径をriとし、浸漬ノズル3中心から内側屈折点5までの距離をaとした際、(a-ri)/tは0.2以上とすることが好ましく、より好ましくは、0.3以上である。
前記(a-ri)/tが0.2未満の場合、浸漬ノズル3のノズル孔1から吐出孔流路2へ向かった流れが十分には発達せず、そのため、屈折点5,9より下流側での渦の成長も十分には起こらない。そのため、十分な旋回流が得られない。(a-ri)/tの最大値は特には規定されないが、後述の吐出孔流路2の形状によって決定される。
前記(a-ri)/tが0.2未満の場合、浸漬ノズル3のノズル孔1から吐出孔流路2へ向かった流れが十分には発達せず、そのため、屈折点5,9より下流側での渦の成長も十分には起こらない。そのため、十分な旋回流が得られない。(a-ri)/tの最大値は特には規定されないが、後述の吐出孔流路2の形状によって決定される。
一方、ノズル孔1中心から屈折部外側側面における外側屈折点9までの距離をbとした際、(b-ri)/tは0.9以下であることが好ましく、より好ましくは0.85以下である。0.9より大きいと、屈折部外側の流れは外側屈折点9の下流側の側壁によって、ノズル孔1の中心から見た放射方向に対して傾いた流れとなる効果が十分には発揮できず好ましくない。
前記吐出孔流路2の幅は、一定であることを基本とするが、一定でなくても良い。具体的には、前記外側屈折点9より内側の幅が変化し、吐出孔流路2の入り口で大きく、屈折部6A側で小さくなってもその逆に大きくなってもかまわない。また、内側屈折点5より外側についても同様に幅が変化してもかまわない。さらには、屈折部6Aの前後で幅が変化しても差し支えない。
前述吐出孔流路2を浸漬ノズル3側面に設けるのに加えて、図15で示すように、ノズル底面に底孔17を設けても良い。
鋳型断面積と浸漬ノズル3内の溶鋼通過量との関係から、浸漬ノズル3内の溶鋼通過量が多くて側面に設けた吐出孔流路2からの吐出流が鋳型断面積との比較で多すぎる場合、旋回流を生む吐出流が強くなりすぎてメニスカス変動が大きくなり、鋳造が不安定になる場合がある。この場合、底孔17を設け、旋回流を与えるに必要な流量だけ側面の吐出孔流路2から流出させ、残りの溶鋼流を、前記底孔17からモールド下流へ導入させることで安定的な旋回状態とメニスカス変動の抑制の両立を図ることが出来る。
前記底孔17の開孔面積をSbとし、側面に設けた吐出孔流路2の開孔面積と、底孔17の開孔面積を合計した総開孔面積Stとした際、上記底孔17からの溶鋼流出量Sb/Stに関係し、その値が大きければ、ノズル内の溶鋼通過量に対する底孔17から流出する溶鋼量の比率も多くなる。また、Sb/Stは、0〜0.4とすることが望ましい。より好ましくは0.1〜0.35である。
前記底孔17の底孔壁17aに平行な方向の断面における形状は円形であることを基本とするが、多角形形状でも構わない。また、底孔壁17aに垂直な断面方向での形状は、直線をなす場合、曲線をなす場合、複数の直線または曲線を組み合わせる場合、中央部で凸となる形状などを選択できる。
更には、図示していないが、複数個の底孔17を開けることも可能である。この場合、前記Sbはその底孔17の面積の総和となる。また、複数個開けた底孔17の吐出方向をノズル軸に対して傾斜を持たせたり、さらに吐出方向がノズル軸と交わらないように設けることも可能である。
前述吐出孔流路2を浸漬ノズル3側面に設けるのに加えて、図15で示すように、ノズル底面に底孔17を設けても良い。
鋳型断面積と浸漬ノズル3内の溶鋼通過量との関係から、浸漬ノズル3内の溶鋼通過量が多くて側面に設けた吐出孔流路2からの吐出流が鋳型断面積との比較で多すぎる場合、旋回流を生む吐出流が強くなりすぎてメニスカス変動が大きくなり、鋳造が不安定になる場合がある。この場合、底孔17を設け、旋回流を与えるに必要な流量だけ側面の吐出孔流路2から流出させ、残りの溶鋼流を、前記底孔17からモールド下流へ導入させることで安定的な旋回状態とメニスカス変動の抑制の両立を図ることが出来る。
前記底孔17の開孔面積をSbとし、側面に設けた吐出孔流路2の開孔面積と、底孔17の開孔面積を合計した総開孔面積Stとした際、上記底孔17からの溶鋼流出量Sb/Stに関係し、その値が大きければ、ノズル内の溶鋼通過量に対する底孔17から流出する溶鋼量の比率も多くなる。また、Sb/Stは、0〜0.4とすることが望ましい。より好ましくは0.1〜0.35である。
前記底孔17の底孔壁17aに平行な方向の断面における形状は円形であることを基本とするが、多角形形状でも構わない。また、底孔壁17aに垂直な断面方向での形状は、直線をなす場合、曲線をなす場合、複数の直線または曲線を組み合わせる場合、中央部で凸となる形状などを選択できる。
更には、図示していないが、複数個の底孔17を開けることも可能である。この場合、前記Sbはその底孔17の面積の総和となる。また、複数個開けた底孔17の吐出方向をノズル軸に対して傾斜を持たせたり、さらに吐出方向がノズル軸と交わらないように設けることも可能である。
本発明による浸漬ノズル3を適用するモールド形状としては、水平断面における直径または長辺寸法が600mm以下の丸ビレット、角ビレット、ブルームが適しており、溶鋼通過量は0.3〜2.0ton/minの操業が適している。 モールド形状は、矩形あるいは円形に近い形状であれば、モールド全体で旋回流が発生するが、スラブのような長辺が非常に長い形状の場合には、ノズル周辺には旋回流が良く発達するものの、ノズルから遠いモールド短辺壁周囲では旋回流が発生し難い。溶鋼通過量で見た場合、0.3ton/min以下の低流量の場合は、非常に吐出流速が穏やかなために不十分な旋回流しか発生しない。 一方2.0ton/min 以上の高流量の場合には、メニスカス変動によって強くかき乱されてしまうため、不安定な状態となる。
本発明による浸漬ノズル3は、吐出孔流路2の形状に係るものであり、ノズル孔1の構造、およびノズル材質に関する制約は受けない。ノズル孔1の構造としては、一般的な直管構造、および管途中で径が部分的に変化する構造、内管に凹凸を持つ構造等でも同様の効果が得られる。ノズル材質としては、アルミナ-黒鉛質をはじめ、マグネシア-黒鉛質、スピネル-黒鉛質、ジルコニア-黒鉛質、アルミナ質、粘土質、スピネル質、溶融石英質等が該当する。この吐出孔流路2は、水平面に対し上向き、或いは下向きの角度を有していても、水平方向の場合と同様の効果を発揮する。
実施例および比較例
実際の設備と同様のスケールの水モデルシミュレーション設備を用い、表1に表わされる浸漬ノズル3を使用した際に、安定して旋回流の発生を実現できるか否かを評価した。
浸漬ノズル3の水モデルはφ200mmの丸ビレット連鋳機を想定した水モデルとし、浸漬ノズル3は内径35mm、外径75mm、ノズルの肉厚20mm、吐出孔の出口断面を24mm×22mm、吐出孔数2個、鋳込み引き抜き速度を1.5m/分とした条件で行った。
旋回流の評価は以下のように行った。すなわち、3分間実験し、その間モールド内に定常的に旋回流が発生していた場合を旋回流速と安定性の観点から評価した。旋回流速は、十分大きい場合は“良好”、旋回流はあるがあまり大きくない場合は“やや不十分”、発生しない場合は“発生せず”とした。また、安定については、安定して旋回流が得られた場合を“良好”とし、回流が発生/消失を繰り返す場合は“不安定”とし、発生しない場合は“発生せず”とした。
種々の吐出孔流路2の形状を用いて水モデル試験を実施したが、その特徴は以下の通りである。
流路途中で屈折点がある場合、全てR5とした。試験結果について表1に示す。なお各吐出孔形状の特徴については、下記のように表現した。
1. 接線:吐出孔経路が内径の接線方向の直線で形成される図11の形状で文献1〜4に例示されている形状である。
2. 湾曲:使用時の鉛直方向から見た場合に吐出孔経路が屈曲している図12に示した形状で、文献1,3に例示されている形状である。
3. 内側のみ屈折: 吐出孔経路の側壁が内側のみ屈折し、反対側は直線で形成される、図13に示した形状である。
4. 外側のみ屈折: 吐出孔経路の側壁が外側のみ屈折し、反対側は直線で形成される、図14に示した形状である。
5. 屈折:吐出孔流路2の側壁が途中で両壁が同一方向へ屈折する図2に示した形状である。
文献1〜4に記載されているような接線形状、および文献1, 3に記載されている湾曲形状の場合、旋回流は流速が弱い上に発生と消失を繰り返し、モールドは不安定な状況であった(比較例1,2)。吐出孔経路の内側のみが屈折(比較例3〜5)、外側のみが屈折(比較例6〜9)の場合は、旋回流は発生しなかった。吐出孔流路2両側が同じ方向へ屈折している形状で、βが15〜85°であり、ノズル中心から屈折点5,9までの距離a,bがそれぞれ0.2≦(a-ri)/t, (b-ri)/t≦0.9の範囲内である場合には、充分な速度をもって、安定した旋回流が得られたが(発明品1〜7)、βが範囲内でも屈折点までの距離が範囲外である場合(比較例10,12,13)や、βが範囲外の場合(比較例11,14,15)は安定して旋回流は存在するものの、あまり大きくはなかった。
実際の設備と同様のスケールの水モデルシミュレーション設備を用い、表1に表わされる浸漬ノズル3を使用した際に、安定して旋回流の発生を実現できるか否かを評価した。
浸漬ノズル3の水モデルはφ200mmの丸ビレット連鋳機を想定した水モデルとし、浸漬ノズル3は内径35mm、外径75mm、ノズルの肉厚20mm、吐出孔の出口断面を24mm×22mm、吐出孔数2個、鋳込み引き抜き速度を1.5m/分とした条件で行った。
旋回流の評価は以下のように行った。すなわち、3分間実験し、その間モールド内に定常的に旋回流が発生していた場合を旋回流速と安定性の観点から評価した。旋回流速は、十分大きい場合は“良好”、旋回流はあるがあまり大きくない場合は“やや不十分”、発生しない場合は“発生せず”とした。また、安定については、安定して旋回流が得られた場合を“良好”とし、回流が発生/消失を繰り返す場合は“不安定”とし、発生しない場合は“発生せず”とした。
種々の吐出孔流路2の形状を用いて水モデル試験を実施したが、その特徴は以下の通りである。
流路途中で屈折点がある場合、全てR5とした。試験結果について表1に示す。なお各吐出孔形状の特徴については、下記のように表現した。
1. 接線:吐出孔経路が内径の接線方向の直線で形成される図11の形状で文献1〜4に例示されている形状である。
2. 湾曲:使用時の鉛直方向から見た場合に吐出孔経路が屈曲している図12に示した形状で、文献1,3に例示されている形状である。
3. 内側のみ屈折: 吐出孔経路の側壁が内側のみ屈折し、反対側は直線で形成される、図13に示した形状である。
4. 外側のみ屈折: 吐出孔経路の側壁が外側のみ屈折し、反対側は直線で形成される、図14に示した形状である。
5. 屈折:吐出孔流路2の側壁が途中で両壁が同一方向へ屈折する図2に示した形状である。
文献1〜4に記載されているような接線形状、および文献1, 3に記載されている湾曲形状の場合、旋回流は流速が弱い上に発生と消失を繰り返し、モールドは不安定な状況であった(比較例1,2)。吐出孔経路の内側のみが屈折(比較例3〜5)、外側のみが屈折(比較例6〜9)の場合は、旋回流は発生しなかった。吐出孔流路2両側が同じ方向へ屈折している形状で、βが15〜85°であり、ノズル中心から屈折点5,9までの距離a,bがそれぞれ0.2≦(a-ri)/t, (b-ri)/t≦0.9の範囲内である場合には、充分な速度をもって、安定した旋回流が得られたが(発明品1〜7)、βが範囲内でも屈折点までの距離が範囲外である場合(比較例10,12,13)や、βが範囲外の場合(比較例11,14,15)は安定して旋回流は存在するものの、あまり大きくはなかった。
次に、モールド形状による旋回流発生状況を確認するために、実際の連鋳機で本発明の発明品1と比較例1の浸漬ノズル3を使用し、その効果を確認した。図4に、発明品1の断面図を、試験結果について表2に示す。比較例では、充分な旋回状態を得ることは出来なかったが、発明品1を使用した場合、モールドのサイズ、形状に関わらず良好な旋回状態を得ることが出来た。
また、スループットによる旋回流発生状況を確認するために、水モデルシュミレーション試験を実施した。ノズルは発明品1の形状を用い、モールドサイズは500x500mmの矩形とした。結果を表3に示す。
全てスループット条件において、旋回流は発生したが、スループット条件が0.2ton/minの場合は、旋回流速が遅く、不十分な状態であった。0.4、1.8ton/minの条件では、良好な旋回状態を得られたが、2.2ton/minの場合には、メニスカス変動が激しくなることで不安定な状態となった。
全てスループット条件において、旋回流は発生したが、スループット条件が0.2ton/minの場合は、旋回流速が遅く、不十分な状態であった。0.4、1.8ton/minの条件では、良好な旋回状態を得られたが、2.2ton/minの場合には、メニスカス変動が激しくなることで不安定な状態となった。
本発明による連続鋳造装置の浸漬ノズルは、他の設備に変更を加えることなく、浸漬ノズルの吐出孔の形状改善のみによってモールド内に安定した溶鋼の旋回流を発生させ、鋳片品質の向上に寄与することができる。
1 ノズル孔
a,b 距離
α 第1角度
β 第2角度
ri ノズル孔の半径
t 厚み
1a 直線
1b ノズル孔内面
1c 外縁
2 吐出孔流路
3 浸漬ノズル
5 内側屈折点
6 第1内面側壁
6a 渦
6A 屈折部
7 第2内面側壁
7a 外側屈折点
9 外側屈折点
10 第1外面側壁
11 第2外面側壁
13 第1交点
14 第2交点
15 第1中心線
16 第2中心線
17 底孔
17a 底孔壁
A〜D プロペラ流速計
a,b 距離
α 第1角度
β 第2角度
ri ノズル孔の半径
t 厚み
1a 直線
1b ノズル孔内面
1c 外縁
2 吐出孔流路
3 浸漬ノズル
5 内側屈折点
6 第1内面側壁
6a 渦
6A 屈折部
7 第2内面側壁
7a 外側屈折点
9 外側屈折点
10 第1外面側壁
11 第2外面側壁
13 第1交点
14 第2交点
15 第1中心線
16 第2中心線
17 底孔
17a 底孔壁
A〜D プロペラ流速計
Claims (1)
- ノズル孔(1)を有する浸漬ノズル(3)の円筒側面に2つ以上の吐出孔流路(2)を持ち、前記浸漬ノズル(3)使用時の水平断面における前記吐出孔流路(2)の第1、第2内面側壁(6,7)及び第1、第2外面側壁(10,11)が、内側屈折点(5)及び外側屈折点(9)によって屈折して形成された直線によって構成され、
前記浸漬ノズル(3)の吐出孔流路(2)の内側で前記第1内面側壁(6)及び前記第1外面側壁(10)がなす2本の直線と前記ノズル孔(1)の外縁(1c)が交わる第1、第2交点(13,14)を結ぶ直線(1a)と、前記浸漬ノズル(3)の吐出孔流路(2)の内側で前記第1内面側壁(6)及び前記第1外面側壁(10)がなす2本の直線の間の第1中心線(15)とがなす第1角度(α)が、45〜135°であることを特徴とする溶融金属連続鋳造用の浸漬ノズル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013243775A JP2015100817A (ja) | 2013-11-26 | 2013-11-26 | 連続鋳造装置の浸漬ノズル |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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JPS58112641A (ja) * | 1981-12-28 | 1983-07-05 | Nippon Steel Corp | 連続鋳造における非金属介在物低減法 |
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WO2013161578A1 (ja) * | 2012-04-26 | 2013-10-31 | 品川リフラクトリーズ株式会社 | 連続鋳造装置の浸漬ノズル |
-
2013
- 2013-11-26 JP JP2013243775A patent/JP2015100817A/ja active Pending
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