本明細書内で使用するハイブリッド微粒子は、親水性が高い微粒子を指し、主に水系化粧料である水性化粧料や水中油型化粧料に配合することで本発明の効果を発揮する。一般的に油系化粧料にも水が含まれる場合があり、本発明で使用するハイブリッド微粒子が使用可能な場合はあるが、効果が得られにくいことから、水系化粧料に使用することが好ましい。
また、本明細書内で使用する「ソフトフォーカス性」とは、化粧料組成物を肌に塗った際、滑らかな肌に見えるよう見え方を調節したり、肌に透明性を与え明るく見せたり等、様々な意匠性を与える効果のことを指す。
本発明の化粧料組成物は、内核が有機物であり、外殻がシリカ化合物、又は、シリカ化合物と、酸化アルミニウム及び/若しくは酸化チタンからなる複合化合物であるハイブリッド微粒子並びに、分子量75〜500のヒドロキシ化合物を含有することを特徴とする化粧料組成物である。
本発明の効果である「十分な保湿力を与える、べたつき感のない良好な塗り心地を与える」は、本発明で使用するハイブリッド微粒子と分子量75〜500のヒドロキシ化合物を併用することで得られる効果であり、また、「保存安定性に優れる、ソフトフォーカス効果を与える」という効果は、通常のシリカと比較し、コア/シェル型のハイブリッド構造を持つ微粒子を使用することで得られる効果であり、それぞれ詳細については本明細書にて後に記載する。
本発明の化粧料組成物に配合する分子量75〜500以下のヒドロキシ化合物は、主としてハイブリッド微粒子の分散媒としての機能、化粧料組成物の保湿剤としての機能を有する。また、本発明で使用するハイブリッド微粒子と共に使用することで、肌へ塗った際、べたつくことなく滑らかな感触(使用感)を与え、更には化粧料組成物の安定化剤としても機能する。本発明の化粧料組成物に配合する分子量75〜500のヒドロキシ化合物は、固体、液体どちらであってもよく、液体である方が好ましい。また、配合する分子量75〜500のヒドロキシ化合物が固体の場合、水等の液体成分に溶解させ、使用することが好ましい。ここで、本発明の化粧料組成物に配合する分子量75〜500のヒドロキシ化合物について以下例示する。
本発明の化粧料組成物に配合する分子量75〜500のヒドロキシ化合物は、化粧料分野において使用可能な成分であれば特に限定されない。また本発明の化粧料組成物に配合する分子量75〜500のヒドロキシ化合物は、分子内にアルコール性の水酸基を持つ化合物であることが好ましい。本明細書内では、分子内にアルコール性の水酸基を1つ持つ化合物をモノアルコール化合物、分子内にアルコール性の水酸基を2つ以上持つ化合物を多価アルコール化合物と定義する。よって、本発明の化粧料組成物に配合する好ましい分子量75〜500のヒドロキシ化合物は、例えば、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルデカノール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、ヘキシルドデカノール、バチルアルコール、ラノリンアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のモノアルコール化合物;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、グリセリルモノパルミチルエーテル、グリセリルモノステアリルエーテル、グリセリルモノオレイルエーテル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノイソミリスチン酸グリセリル、モノミリスチン酸ペンタエリスリット、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル等の多価アルコール化合物等が挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから多価アルコール化合物がより好ましい。
上記に挙げた分子量75〜500のヒドロキシ化合物は、必要に応じ1種又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。本発明で使用するハイブリッド微粒子1質量部に対して、合計で1〜80質量部配合することが好ましく、2〜40質量部配合することがより好ましい。本発明で使用するハイブリッド微粒子1質量部に対して、ヒドロキシ化合物が1質量部未満であると、ハイブリッド微粒子の分散媒・保湿剤としての効果が得られない場合があり、また、化粧料組成物を肌へ塗った際の滑らかな感触(使用感)が得られない場合がある。また、80質量部を超えると、本発明で使用するハイブリッド微粒子がもたらすソフトフォーカス性の効果が得られない場合がある。
本発明では75〜500の分子量を有するヒドロキシ化合物を使用する。分子量が75未満であると、ハイブリッド微粒子の分散媒としての効果が得られない場合があり、更に分子量が75未満のヒドロキシ化合物の多くは揮発性が高いため、保湿剤としての効果も得られない場合がある。また、分子量500以上のヒドロキシ化合物を使用すると、油性成分のようなべたつき感が現れ、本発明で使用するハイブリッド粒子を併用しても改善できない場合がある。ただし、本発明の効果を発揮するためには分子量が75〜500のヒドロキシ化合物を使用することが必須ではあるが、更に75未満のヒドロキシ化合物及び/又は分子量500以上のヒドロキシ化合物を、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば必要に応じて任意に配合してもよい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子は、内核と外殻からなるコア/シェル構造を持つ。このような構造の微粒子を化粧料組成物に使用することで、従来の化粧料組成物と比較して、保存安定性に優れ、ソフトフォーカス効果を持つ化粧料組成物が得られる。また、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、製造方法によって粒度分布を狭めることも可能であり、従来用いられてきたシリカ等の広い粒度分布を持つ微粒子では得られない、肌へ塗った際の滑らかな感触(使用感)も得ることができる。
内核は有機物であり、該有機物としては微粒子状の有機物であればいずれの材質でもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ナイロン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂;セルロース、キチン、キトサン等の天然高分子が挙げられる。また、2種以上のモノマーを重合した合成樹脂や、前記合成樹脂2種以上の混合物からなる合成樹脂(ポリマーアロイ)であってもよい。これらの樹脂を合成する際に使用するモノマーは、各々の樹脂を合成可能なモノマーであればいずれであってもよく、中でも原料モノマーとしてスチレン又は(メタ)アクリル酸エステルを1種又は2種以上使用した樹脂であることが好ましい。これらの材質が大きな形態の場合は、粉砕、造粒等により微粒子状にすればよいが、合成樹脂においては製造段階で微粒子状に製造することが好ましい。微粒子状に製造する方法としては、例えば乳化重合が挙げられる。乳化重合で製造した微粒子は粒子の形状がほぼ球状であり、反応条件によって小さな粒子径から大きな粒子径まで自由に製造出来、更に得られた微粒子の粒子径はばらつきが非常に小さいという利点を持つ。例えば、化粧料組成物に配合する場合、肌すべり改善効果、良好な感触の皮膜が得られる効果及び製品に成型した際の安定性向上効果等が期待出来ることから、粒子の大きさが球状かつ均一であることが好ましい。また、使用する場面や状況に応じて様々な粒径の微粒子が使用出来れば、尚好ましい。よって、本発明で使用するハイブリッド微粒子の原料として用いる内核の有機物としては、乳化重合によって得られる合成樹脂が好ましい。
乳化重合は重合条件によって小さな粒子から大きな粒子まで容易に製造することが出来、具体的には粒径が5〜330nmのものであれば自由に製造することが出来る。乳化重合によって得られた内核となる微粒子の粒径は、動的光散乱法にて粒度分布を測定する方法が一般的であり、本発明においても、粒度分布計を用い測定することが好ましい。また、本発明で使用するハイブリッド微粒子の外殻は、乳化重合によって得られた5〜330nmの微粒子の周囲で外殻を形成することで得られ、外殻形成後のハイブリッド微粒子は、内核の粒子径から5〜20nm大きくなった10〜350nmの粒子径を有する。外殻形成後のハイブリッド微粒子の粒径は、顕微鏡にて粒子を観察し、数十〜数百の粒子の粒径を測定する方法がしばしば用いられる。本発明においても、そのようにして測定した粒子径を用い、平均粒子径を算出することが好ましい。
乳化重合によって微粒子を得る方法としては、乳化重合として公知の方法であればいずれの方法を使用してもよく、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーを水と界面活性剤(乳化剤)で乳化して重合開始剤で重合すればよい。モノマーの種類、モノマー濃度、反応温度、乳化剤濃度、開始剤濃度等の条件によって得られる合成樹脂の微粒子の大きさや粒度分布が決定するので、微粒子の大きさに指定がある場合にはこれらの条件を適宜調整して乳化重合を行えばよい。
上記の乳化重合により得られる具体的なエマルションとしては、例えば、ウレタン系エマルション、アクリレート系エマルション、スチレン系エマルション、酢酸ビニル系エマルション、SBR(スチレン/ブタジエン)エマルション、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)エマルション、BR(ブタジエン)エマルション、IR(イソプレン)エマルション、NBR(アクリロニトリル/ブタジエン)エマルション、或いはこれらの混合物等が挙げられる。
ウレタン系エマルションとしては、例えば、ポリエーテルポリオール系、ポリエステルポリオール系、ポリカーボネートポリオール系等が挙げられる。
アクリレート系エマルションとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(エステル)単独、(メタ)アクリル酸(エステル)/スチレン、(メタ)アクリル酸(エステル)/酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸(エステル)/アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸(エステル)/ブタジエン、(メタ)アクリル酸(エステル)/塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸(エステル)/アリルアミン、(メタ)アクリル酸(エステル)/ビニルピリジン、(メタ)アクリル酸(エステル)/アルキロールアミド、(メタ)アクリル酸(エステル)/N,N―ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸(エステル)/N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、シクロヘキシルメタクリレート系、エポキシ変性系、ウレタン変性系等の重合物が挙げられる。
スチレン系エマルションとしては、例えば、スチレン単独、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/ブタジエン、スチレン/フマルニトリル、スチレン/マレインニトリル、スチレン/シアノ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン/酢酸フェニルビニル、スチレン/クロロメチルスチレン、スチレン/ジクロロスチレン、スチレン/ビニルカルバゾール、スチレン/N,N−ジフェニルアクリルアミド、スチレン/メチルスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、スチレン/アクリロニトリル/メチルスチレン、スチレン/アクリロニトリル/ビニルカルバゾール、スチレン/マレイン酸等の重合物が挙げられる。
酢酸ビニル系エマルションとしては、例えば、酢酸ビニル単独、酢酸ビニル/スチレン、酢酸ビニル/塩化ビニル、酢酸ビニル/アクリロニトリル、酢酸ビニル/マレイン酸(エステル)、酢酸ビニル/フマル酸(エステル)、酢酸ビニル/エチレン、酢酸ビニル/プロピレン、酢酸ビニル/イソブチレン、酢酸ビニル/塩化ビニリデン、酢酸ビニル/シクロペンタジエン、酢酸ビニル/クロトン酸、酢酸ビニル/アクロレイン、酢酸ビニル/アルキルビニルエーテル等の重合物が挙げられる。
上記の乳化重合に使用出来る乳化剤は、公知の界面活性剤であればいずれも使用することが出来、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキル硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫化オレフィン塩、硫酸化脂肪酸塩、スルホン化脂肪酸塩、グリセライド硫酸エステル塩、アルコキシエタンスルホン酸塩、N −アシル−β−アラニン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシエチルタウリン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシメチルグリシン又はその塩、アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、N−アシル−N−メチルタウリンの塩、N−アシルグルタミン酸又はその塩、アシル化ペプチド、アシルオキシエタンスルホン酸塩、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、硫酸化油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム、トリアジン化合物及びアルキル又はアルケニルアミノカルボキシメチル硫酸塩等の1種又は2種以上の混合物を挙げることが出来る。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリグリセリン脂肪酸類、脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビット脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸−N−メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、テトラポリオキシエチレンテトラポリオキシプロピレンエチレンジアミン縮合物類(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリオキシエチレンヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンダイズステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンフィトステロール(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリチル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸、イソステアリン酸ポリオキシエチレン−60グリセリル、オリゴコハク酸ポリオキシエチレン−3−ポリオキシプロピレン−20、オレス−20、セテス−20、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、N−長鎖アルキルジメチルアミンオキサイド及びプルロニック型類等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキル(アルケニル)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(アルケニル)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、エーテル基或いはエステル基或いはアミド基を含有するモノ或いはジ或いはトリアルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)ピリジニウム塩、アルキル(アルケニル)ジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル) イソキノリニウム塩、ジアルキル(アルケニル)モルホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル) アミン、アルキル(アルケニル)アミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤、ホスホベタイン系界面活性剤、アミドアミノ酸系界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤等が挙げられる。また、分子内に二重結合を有する反応性界面活性剤も使用することが出来、こうした反応性界面活性剤としては、例えば、特開昭58−203960号公報、特開昭61−222530号公報、特開昭63−023725号公報、特開昭63−091130号公報、特開平04−256429号公報、特開平06−239908号公報、特開平08−041113号公報、特開2002−301353号公報等に記載されたものが挙げられる。
エマルションを製造する際、上記の乳化剤は通常の使用量の範囲で任意に使用することが出来るが、原料モノマーに対して、0.1〜20質量%添加して使用することが好ましく、0.2〜10質量%添加して使用することがより好ましく、0.5〜8質量%添加して使用することが最も好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子の外殻は、シリカ化合物、又は、シリカ化合物と、酸化アルミニウム及び/若しくは酸化チタンからなる複合化合物である。なお、「シリカ化合物と、酸化アルミニウム及び/若しくは酸化チタンからなる複合化合物」とは、具体的に、シリカ化合物及び酸化アルミニウムからなる複合化合物、シリカ化合物及び酸化チタンからなる複合化合物及び、シリカ化合物及び酸化アルミニウム及び酸化チタンからなる複合化合物から選択されるいずれかの化合物である。これらの化合物の製造方法は特に限定されないが、シラン化合物、シラン化合物とアルミニウム化合物、シラン化合物とチタン化合物及び、シラン化合物とアルミニウム化合物とチタン化合物のいずれかを、内核の有機物の周りで反応させることで得ることが好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子を製造するときは、内核である有機物の微粒子を水中或いは水と有機溶媒の混合液中に分散させた後、外殻層になるシリカ化合物又はシリカ化合物と金属酸化物からなる複合化合物を微粒子の周囲で反応させ微粒子を被覆する。よって上記乳化重合で得られた微粒子は、そのまま次の外殻を形成する反応に使用することが出来る。この外殻を形成する反応時、乳化重合の際に使用した乳化剤は、ハイブリッド微粒子内に取り込まれる場合もあり、取り込まれず水中或いは水と有機溶媒の混合液中に残存する場合もある。ハイブリッド微粒子内に乳化剤が取り込まれた場合は、その後のろ過・洗浄・乾燥後も外に出てくることはなく、最終的に得られたハイブリッド微粒子を化粧料組成物に配合しても何ら問題を与えない。取り込まれず水中或いは水と有機溶媒の混合液中に乳化剤が残存した場合、ろ過工程によってその大半を取り除き、水洗による洗浄によってハイブリッド微粒子表面上に残った微量の乳化剤を取り除くことが出来る。そのため最終的に得られたハイブリッド微粒子を化粧料組成物に配合しても何ら問題を与えない。一方、粉砕等によって得られる微粒子状の化合物については、水に分散するものであれば、そのまま水中に分散させればよく、水に分散しないものであれば、分散剤等を使用して水中に分散すればよい。使用出来る分散剤としては、乳化剤として上記に挙げた界面活性剤を使用することが出来る。この場合も、使用した分散剤は、外殻形成時、ハイブリッド微粒子内に取り込まれる場合もあり、取り込まれず水中或いは水と有機溶媒の混合液中に残存する場合もあるが、上記と同様の理由により、どちらの場合であっても最終的に化粧料組成物に配合しても何ら問題を与えない。
外殻若しくは外殻の一部となるシリカ化合物を形成する原料としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン化合物;モノメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルモノメトキシシラン等のフェニルアルコキシシラン化合物;前記アルキルアルコキシシラン類のフッ素変性物であるフッ素化アルキル基含有トリアルコキシシラン化合物;アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルジメチルエトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シラン化合物;3−グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基含有シラン化合物;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シラン化合物;モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン等のクロロシラン化合物;オルト珪酸ソーダ(2Na2O・SiO2)、メタ珪酸ソーダ(Na2O・SiO2)、1号珪酸ソーダ(Na2O・2SiO2)、2号珪酸ソーダ(2Na2O・5SiO2)、3号珪酸ソーダ(Na2O・3SiO2)等の珪酸塩等が挙げられる。外殻を形成する化合物として上記に例示したシラン化合物を使用する際には、1種又は2種以上のシラン化合物を使用することができる。
上記に例示したシラン化合物の中でも、下記の一般式(1)で表されるシラン化合物及び珪酸塩のいずれか若しくは両方を使用することが好ましい。
R1 nSi(OR2)4−n(1)
(式中、R1は炭素数1〜18のアミノ基を含有してもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はフッ素原子で置換されてもよい炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、nは0〜3の数を表す。)
一般式(1)のR1は、炭素数1〜18のアミノ基を含有してもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はフッ素原子で置換されてもよい炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基等のアルキル基;前記アルキル基の適所にアミノ基を含有したアミノアルキル基;前記アルキル基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基等のアルケニル基;前記アルケニル基の適所にアミノ基を含有したアミノアルケニル基;前記アルケニル基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化アルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族含有炭化水素基;前記芳香族含有炭化水素基の適所にアミノ基を含有したアミノ芳香族含有炭化水素;前記芳香族含有炭化水素基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化芳香族含有炭化水素基等が挙げられる。中でも、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が最も好ましい。
一般式(1)のR2は、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アリール基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等のアルケニル基等が挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、炭素数1及び2のアルキル基がより好ましい。
一般式(1)のnは、0〜3の数を表す。中でも、本発明の効果を顕著に発揮することから、外殻形成後、外殻表面にヒドロキシル基部を形成するシラン化合物を使用することが好ましい。よって、n=0〜2が好ましく、n=0が最も好ましい
外殻若しくは外殻の一部となるシリカ化合物を形成する原料としては、上記の一般式(1)で表されるn=0〜2のシラン化合物、オルト珪酸ソーダ及びメタ珪酸ソーダの群から選択される1種又は2種以上を使用することが好ましく、上記の一般式(1)で表されるn=0のシラン化合物、オルト珪酸ソーダ及びメタ珪酸ソーダの群から選択される1種又は2種以上を使用することがより好ましい。
外殻の一部となりうる酸化アルミニウムを形成する原料としては、例えば、アルミン酸リチウム、アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリウム、アルミン酸バリウム、アルミン酸マグネシウム等のアルミン酸塩;アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等の無機酸アルミニウム;乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム等の有機酸アルミニウム;塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、塩素等の不純物の混入がなく、反応の制御が容易なことから、アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド及び有機酸アルミニウムが好ましく、アルミン酸塩及び有機酸アルミニウムがより好ましい。
外殻の一部となりうる酸化チタンを形成する原料としては、例えば、チタン酸リチウム、チタン酸ソーダ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム等のチタン酸塩;チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンイソブトキシド等のチタンアルコキシド;硝酸チタン、硫酸チタン等の無機酸チタン;乳酸チタン、酢酸チタン、シュウ酸チタン等の有機酸チタン;塩化チタン等が挙げられる。これらの中でも、塩素等の不純物の混入がなく、反応の制御が容易なことから、チタン酸塩、チタンアルコキシド及び有機酸チタンが好ましく、チタン酸塩及び有機酸チタンがより好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子の外殻は、シリカ化合物、シリカ化合物及び酸化アルミニウムからなる複合化合物、シリカ化合物及び酸化チタンからなる複合化合物及び、シリカ化合物、酸化アルミニウム及び酸化チタンからなる複合化合物の4つの形態のいずれでもよいが、酸化アルミニウムや酸化チタンを含有する外殻の方が、シリカ化合物のみの外殻に比べ、得られるハイブリッド微粒子の衝撃安定性が高いことから好ましく、反応の制御が容易なことや、得られるハイブリッド微粒子の衝撃安定性がより高いことから、酸化アルミニウムを含有している外殻であることがより好ましい。ハイブリッド微粒子の衝撃安定性が高いことは、化粧料組成物に配合し肌に塗った際の肌すべりや塗り心地に影響する。すなわち、衝撃安定性が低いと、肌に塗る際にハイブリッド微粒子の粒径が崩れ、揃っていた粒径がバラバラになることでざらつき感を与える可能性があるが、衝撃安定性が高いと、粒径は保たれ、ざらつき感なく均一に肌に付着・伸展させることが出来る。
外殻は、上記のシリカ化合物を形成する原料、シリカ化合物を形成する原料と酸化アルミニウムを形成する原料、シリカ化合物を形成する原料と酸化チタンを形成する原料及び、シリカ化合物を形成する原料と酸化アルミニウムを形成する原料と酸化チタンを形成する原料のいずれかを、それぞれ任意の割合で、内核の有機物の周囲で反応させることによって得ることが出来る。外殻は、珪素原子に対するアルミニウム原子及び/又はチタン原子の比(アルミニウム原子及びチタン原子のいずれか若しくは両方が0の場合も含む)が、珪素原子/(アルミニウム原子+チタン原子)=100/0〜80/20(モル比)になるように原料を仕込み反応することが好ましく、珪素原子/(アルミニウム原子+チタン原子)=99.9/0.1〜90/10(モル比)がより好ましく、珪素原子/(アルミニウム原子+チタン原子)=99.7/0.3〜95/5(モル比)が最も好ましい。
酸化アルミニウムや酸化チタンを含有し外殻とする場合、シリカ化合物を形成する原料に対する酸化アルミニウムを形成する原料及び酸化チタンを形成する原料のいずれか若しくは両方の割合が少なすぎると、衝撃安定性が改善されない場合や化粧料組成物に配合するに適さない微粒子になる場合があり、多すぎるとハイブリッド微粒子の製造時に粒子同士が凝集してしまう場合や化粧料組成物に配合するに適さない微粒子になる場合がある。
外殻を形成させるためには、シリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上、シリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上と酸化アルミニウムを形成する原料の1種又は2種以上、シリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上と酸化チタンを形成する原料の1種又は2種以上、及びシリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上と酸化アルミニウムを形成する原料の1種又は2種以上と酸化チタンを形成する原料の1種又は2種以上のいずれかを、内核である有機物の周囲で反応させ、内核の有機物を被覆すればよい。これらの原料は全て同時に内核である有機物の周囲で反応させても、それぞれ別々に反応させてもよいが、衝撃安定性が高くなることから全て同時に反応させることが好ましい。また、シリカ化合物を形成する原料は、内核の有機物に対して任意の量を反応させればよいが、好ましくは内核の有機物微粒子10質量部に対してシリカ化合物の珪素原子が0.5〜50質量部、より好ましくは1〜30質量部になるように反応させ、被覆すればよい。シリカ化合物を形成する原料が少なすぎると、外殻をうまく形成出来ない場合があり、シリカ化合物を形成する原料が多すぎると粒子同士の融合や凝集が起こる場合がある。
外殻を形成する具体的な方法としては、シリカ化合物のみで外殻を形成する場合、例えば、内核となる有機物を0.1〜30質量%で含む水の中に、或いは水と有機溶媒の混合液の中に分散させ、0〜50℃でシリカ化合物を形成する原料(例えば、オルト珪酸ソーダ)を添加し、同温度で1〜48時間攪拌して反応させる。その後、系の温度を60〜80℃に上げて1〜20時間反応を行えばよい。この反応により、シリカ化合物からなる外殻を形成することが出来る。
また、シリカ化合物と酸化アルミニウムの複合化合物で外殻を形成する場合、例えば、内核となる有機物を0.1〜30質量%で含む水の中に、或いは水と有機溶媒の混合液の中に分散させ、0〜50℃でシリカ化合物を形成する原料(例えば、オルト珪酸ソーダ)及び酸化アルミを形成する原料(例えば、アルミン酸ソーダ)を添加し、同温度で1〜48時間攪拌して反応させる。その後、系の温度を60〜80℃に上げて1〜20時間反応を行えばよい。この反応により、シリカ化合物と酸化アルミニウムの複合化合物からなる外殻を形成することが出来る。尚、酸化チタンを含有する外殻を形成する場合も同様の反応方法でよく、外殻にアルキル基や反応基を付与したい場合には、アルキルアルコキシシラン化合物や(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン等のシラン化合物を使用すればよい。
さらに、上記の反応時には触媒を使用してもよい。使用出来る触媒としては、例えば、硫酸やトルエンスルフォン酸等の強酸;四塩化チタン、塩化ハフニウム、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化鉄、塩化スズ、フッ素化硼素等の金属ハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ソヂウムメチラート、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物やアルコラート化物や炭酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウム等の金属酸化物;テトライソプロピルチタネート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド等の有機金属化合物が挙げられる。
本発明で使用するハイブリッド微粒子の最も好ましい外殻は、シリカ化合物及び酸化アルミニウム等からなる複合化合物であるが、本発明の化粧料組成物にハイブリッド微粒子を配合した際、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて当該外殻上にシラン化合物を更に反応させてもよい。当該反応に適したシラン化合物としては、例えば、モノメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルモノメトキシシラン等のフェニルアルコキシシラン化合物;前記アルキルアルコキシシラン類のフッ素変性物であるフッ素化アルキル基含有トリアルコキシシラン化合物; アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルジメチルエトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シラン化合物;3-グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基含有シラン化合物;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シラン化合物等が挙げられる。これらのシラン化合物を反応させることで、本発明で使用するハイブリッド微粒子の物性を変性出来、例えば、微粒子に疎水性を持たせる、微粒子に反応性を持たせる、微粒子の帯電性を変性する等の物性変性した微粒子が得られる。これらの反応に使用するシラン化合物は求める物性に応じて決めてやればよく、その反応量等は規定されないが、外殻形成時使用した原料の各原子の合計量(アルミニウム原子及びチタン原子のいずれか若しくは両方が0の場合も含む)に対する当該シラン化合物の珪素原子の比が、(外殻中の珪素原子+アルミニウム原子+チタン原子)/(当該シラン化合物の珪素原子)=1/0.05〜1/5(モル比)になるように反応することが好ましく、1/0.1〜1/3(モル比)になるよう反応することがより好ましく、1/0.5〜1/2(モル比)になるように反応することが最も好ましい。尚、反応方法は本発明で使用するハイブリッド微粒子の外殻を形成するときの反応方法に従えばよい。
ここで、本発明で使用するハイブリッド微粒子を化粧料組成物に配合することで得られる効果を、従来使用されていたハイブリッド型ではない微粒子(粒子全体がシリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている粒子)を化粧料組成物に配合する場合と比較する。本発明で使用するハイブリッド微粒子は、内核が合成樹脂であり、外殻がシリカ化合物及びシリカ化合物と金属酸化物からなる複合化物のいずれかから成るハイブリッド微粒子である。すなわち、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、粒子全体がシリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている従来品に比べ、ハイブリッド微粒子自体の比重が小さくなる(合成樹脂の比重がシリカ化合物や金属酸化物に比べ小さいため)。このことは、化粧料組成物に配合した際の肌すべりや塗り心地に大きく影響し、本発明のハイブリッド微粒子を用いた化粧料組成物の方が、粒子全体がシリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている粒子を配合した化粧料組成物に比べ、より肌に伸び良く塗れ、肌すべりも良く、化粧膜を長期間軽く保ち、べたつきのない感触のよい被膜を形成・持続させることが出来る。また、これら粒子の比重の違いは、化粧料組成物自体の安定性にも寄与する。すなわち、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、シリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている粒子に比べ、比重が小さいことから、化粧料組成物に配合した際に、粒子の沈降等が起きにくく、系の安定性が改善され、長期保存安定性が得られる。比重は合成樹脂によって様々な値を取るが、本明細書内に前述したエマルション類を形成する合成樹脂であれば、特に問題なくこの効果は得られる。中でも、上記効果が顕著に現れ、その効果が優れていることから、原料にスチレンを用い重合した樹脂、原料に(メタ)アクリル酸エステルを用い重合した樹脂を用いることが好ましい。ここで、表1に内核に使用可能な代表的な合成樹脂の比重を、表2にシリカ、酸化アルミニウム及び酸化チタンの比重を示す。
これらの合成樹脂を内核に使用した本発明のハイブリッド微粒子は、比重を0.85〜2.5程度に自由に変えることが可能であり、肌すべりや塗り心地と系の安定性両方の観点から、1.0〜2.0程度のハイブリッド微粒子であることが性能上好ましい。
更に、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、粒子全体がシリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている従来品に比べ、内核部の合成樹脂の種類によって粒子の屈折率もまた調整可能である。シェル部にシリカ化合物だけではなく、アルミニウム化合物、チタン化合物等を含有することでも、多少の屈折率調整は可能ではあるが、ハイブリッド微粒子中の金属酸化物の好ましい含有量は、シリカ化合物と比較すると非常に少量であるため、内核の合成樹脂の屈折率の影響の方をより受け易い。ゆえに、内核の合成樹脂で調整した屈折率をもつハイブリッド微粒子を化粧料組成物に配合することで、それぞれの屈折率に応じた、意匠性の異なる、ソフトフォーカス性に優れた化粧料組成物を得ることが出来る。中でも、肌すべりや良好な塗り心地が得られる効果と共にこの効果を発揮することから、原料にスチレンを用い重合した樹脂、原料に(メタ)アクリル酸エステルを用い重合した樹脂を用いることが好ましい。ここで、表3に内核に使用可能な代表的な合成樹脂の屈折率を、表4にシリカ、酸化アルミニウム及び酸化チタンの屈折率を示す。
これらの合成樹脂を内核に使用した本発明のハイブリッド微粒子は、屈折率を1.40〜1.90程度に自由に変えることが可能であり、ソフトフォーカス効果が顕著に得られやすいことから、1.45〜1.65程度のハイブリッド微粒子であることが性能上好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子は外殻に酸化アルミニウムや酸化チタン等の金属酸化物を含有することで、内核の合成樹脂同様、ハイブリッド微粒子の比重や屈折率を調整することが可能である。しかし、前述したとおり、外殻の金属酸化物の好ましい含有量は、シリカ化合物と比較すると非常に少量であるため、この効果は、内核の合成樹脂ほど影響を与えるものではなく、本明細書内で前述したシリカ化合物と金属酸化物の配合比の範囲内であれば、調整可能である(シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタンの比重、屈折率の値は前述した表2、表4を参照)。すなわち、外殻で使用する原料に適切なものを選択することで、内核の合成樹脂だけでは調整出来なかった比重の微調整を行い、用途に応じた肌すべりや塗り心地を与える化粧料組成物が得られ、また、同様に屈折率を微調整することにより、内核の合成樹脂だけでは出来なかった肌への意匠性やソフトフォーカス効果を与える化粧料組成物を得ることが出来る。また、外殻にシリカ化合物だけではなく、酸化アルミニウムや酸化チタンを含有することで、粒子としての衝撃安定性を上げることも可能である。すなわち、シリカ化合物のみを外殻に使用すると、化粧料組成物に配合し肌に塗った際、ハイブリッド微粒子の粒径が崩れる場合があり、揃っていた粒径がバラバラになると肌でざらつき感を感じる可能性がある。しかし、外殻にシリカ化合物だけではなく、酸化アルミニウムや酸化チタンを含有することで、粒子としての強度が上がることから、衝撃安定性が高まり、これを配合した化粧料組成物を肌に塗った際、粒径は保たれ、ざらつき感なく均一に肌に付着・伸展させることが出来、心地よい印象を与える。ゆえに、本発明で使用するハイブリッド微粒子は外殻に酸化アルミニウムや酸化チタンを含有することが性能上好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子は、化粧料組成物であればどの用途の化粧料組成物にも配合することは可能であるが、ハイブリッド微粒子の親水性が高いことから本発明の効果が顕著に現れ易い水系化粧料組成物に配合することが好ましく、中でも意匠性やソフトフォーカス効果に優れていることから、水系の日中用基礎化粧料や、日焼け止め、化粧下地、BBクリームやファンデーション等に配合することが好ましい。
さらに、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、外殻がシリカ化合物のみの場合はもちろん、シリカ化合物と金属酸化物からなる複合化合物であっても、その大半がシリカ化合物であることから、通常のシリカ粒子の持つ性能、すなわち、安定剤としての効果、感触改良剤としての効果、不透明化剤としての効果、増粘剤としての効果、隠蔽剤としての効果、パール顔料としての効果、沈降防止剤としての効果、固結防止剤としての効果、粉末化剤としての効果、研磨剤としての効果、スクラブ剤としての効果、吸着剤としての効果、抗ケーキング剤としての効果、増量剤としての効果、紫外線散乱剤としての効果等もまた持ち併せている。更に、外殻に、シリカ化合物だけではなく、アルミニウム化合物やチタン化合物を含有することで、これらの量を変化させ、外殻の硬度を調整する事が出来る。
本発明の化粧料組成物は、本発明の化粧料組成物の必須成分である分子量75〜500のヒドロキシ化合物以外で、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲内であれば、適宜様々な特性を付与する目的で、化粧料組成物で一般に使用されるその他の添加剤を使用することが出来る。例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、有機酸、無機酸、脂肪酸エステル、シリコーン油、粘性調整剤(増粘剤)、アミノ酸及びその誘導体、有機アミン、タンパク質及びその誘導体、ビタミン及びその誘導体、高分子化合物、pH調整剤、保湿剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、紫外線吸収剤、ヘアコンディショニング剤、着色剤、香料、安定化剤、収斂剤、清涼剤、血行促進剤、消炎剤、賦活剤、美白剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、アルカリ、アミン、各種抽出物及び植物海藻エキス等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を任意に配合することが出来る。
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。しかしながら、これによって本発明は何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
まず、本発明の化粧料組成物に配合するハイブリッド微粒子の製造方法について以下に示す。なお、得られたハイブリッド微粒子の粒径は、外殻形成後のものを記載している。株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、粒子100個の粒径を倍率5万倍で観察し、その平均粒子径を算出している。
<微粒子1の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド2gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらオルト珪酸ソーダ15.77g(珪素原子換算で2.41g:85.7mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させて得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子1の粉体を得た(平均粒子径約120nm)。
<微粒子2の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらオルト珪酸ソーダ15.77g(珪素原子換算で2.41g:85.7mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させて得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子2の粉体を得た(平均粒子径約200nm)。
<微粒子3の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド4gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.1%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらオルト珪酸ソーダ15.77g(珪素原子換算で2.41g:85.7mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させて得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子3の粉体を得た(平均粒子径約50nm)。
<微粒子4の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製) を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びアルミン酸ソーダ0.07g(アルミニウム原子換算で0.024g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させて得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子4の粉体を得た(平均粒子径約200nm)。
<微粒子5の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製) を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.03g(珪素原子換算で2.29g:81.7mmol)及びアルミン酸ソーダ0.74g(アルミニウム原子換算で0.25g:9.1mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=90/10(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させて得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子5の粉体を得た(平均粒子径約200nm)。
<微粒子6の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製) を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びチタン酸ソーダ0.26g(チタン原子換算で0.041g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/チタン原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させて得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子6の粉体を得た(平均粒子径約200nm)。
<微粒子7の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、メタクリル酸メチルモノマー48g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製) を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリメタクリル酸メチルを固形分として8.9%含有するポリメタクリル酸メチル乳化物を得た。得られたポリメタクリル酸メチル乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びアルミン酸ソーダ0.07g(アルミニウム原子換算で0.024g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させて得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子7の粉体を得た(平均粒子径約220nm)。
<微粒子8の製造方法>
旭化成ラテックス社製 DL−612(スチレン/ブタジエンラテックス)20g(スチレン/ブタジエンポリマーを固形分として48%含有)を、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を1019.6g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びアルミン酸ソーダ0.07g(アルミニウム原子換算で0.024g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させて得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子8の粉体を得た(平均粒子径約230nm)。
<微粒子9について>
日本アエロジル株式会社製 アエロジル 200(親水性シリカ粒子 平均粒子径12nm)
<微粒子10について>
日本アエロジル株式会社製 アエロジル 300(親水性シリカ粒子 平均粒子径7nm)
上記に記載した微粒子についてまとめたものを以下表5に示す。
<保湿力・肌すべり・塗り心地(べたつき感)に関する試験(微粒子1〜11を使用)>
試験方法
まず、水:グリセリン=60:40の重量比で配合した混合液(1)、水:ソルビトール=60:40の重量比で配合した混合液(2)、水:PEG500=60:40の重量比で配合した混合液(3)、水:PEG1000=60:40の重量比で配合した混合液(4)、水:PEG3000=60:40の重量比で配合した混合液(5)、水:尿素=60:40の重量比で配合した混合液(6)を調整する。更に水を液(7)とする。これら液7種から1種選択し、液100gに対し、表6に示した配合量で微粒子を配合する。常温にて攪拌後、微粒子が均一に分散しているのを確認し、試験サンプル1〜22を調整した。この試験サンプル1〜22と、微粒子を使用していない試験サンプル23について、一般女性A〜J(10人)に自ら肌へ塗ってもらい、それぞれの保湿力・肌すべり・塗り心地(べたつき感)について調査した。肌すべりに関しては、肌に塗る際の滑らかさを評価してもらい、保湿力、塗り心地(べたつき感)に関しては、肌に塗りしばらく肌になじませた後、5分後の肌の様子で評価してもらう。
評価方法
保湿力、肌すべり・塗り心地(べたつき感)についてそれぞれ、最も良好なものを3点とし、それを基準に、2点、1点、0点の4段階で評価してもらう。
試験サンプル1〜23は以下表6に示す。
一般女性A〜J(10人)の、保湿力に関する個人評価結果を表7に示し、その各個人の点数を集計した試験サンプルごとの総合点を図1に示す。また、肌すべりに関する個人評価結果を表8に示し、その各個人の点数を集計した試験サンプルごとの総合点を図2に示す。更に、塗り心地(べたつき感)に関する個人評価結果を表9に示し、その各個人の点数を集計した試験サンプルごとの総合点を図3に示す。最後に、その3つの観点からの評価結果を全て集計し、どの試験サンプルが総合的に好まれたのか点数化したものを図4に示した。
結果、保湿力は、液(1)〜(6)を用いた試験サンプルに関しては、どのサンプルも良好な結果を示したが、液(7)を用いた試験サンプル22においては、水の蒸発によりほとんどの女性が保湿力を感じなかった。肌すべりは、本発明で使用するハイブリッド微粒子と液(1)〜(6)を用いた試験サンプルは、非常に良好な結果を示したが、従来用いられていたシリカ粒子は、粒子の比重等が影響し、良好な肌すべり効果は見られなかった。また、本発明で使用するハイブリッド微粒子と液(7)を用いたサンプルについても、肌へ塗る際の滑らかさは得られなかった。塗り心地(べたつき感)に関しては、微粒子を併用することで全ての試験サンプルで改善傾向が見られたが、中でもハイブリッド微粒子と分子量75〜500のヒドロキシ化合物であるグリセリンやソルビトール、PEG500を配合した試験サンプルは良好な結果を示した。
ゆえに、総合評価において、本発明品で使用するハイブリッド微粒子と分子量75〜500のヒドロキシ化合物を配合した試験サンプルは、他試験サンプルに比べ良好な結果を示した。
< 安定性に関する試験(微粒子1〜10を使用) >
試験方法
上記保湿力・肌すべり・塗り心地(べたつき感)に関する試験に使用した試験サンプル1〜22について常温で2週間静置し、それぞれの系の安定性について調査した(試験サンプル23は除く)。
評価方法
目視による評価
◎ … 変化なし
○ … 上下に色むらがある
△ … 下部に白濁あり
× … 沈殿あり
結果を以下表10に示す。
結果、本発明で使用するハイブッリド型の微粒子を用いた系は、そうでない従来用いられていた微粒子を使用した系に比べ、良好な安定性を示した。
<意匠性・ソフトフォーカス性に関する試験(ハイブリッド微粒子1〜11を使用)>
試験方法
上記保湿力・肌すべり・塗り心地(べたつき感)に関する試験及び安定性に関する試験に用いた微粒子を化粧下地に配合し、見え方に違いが出るか、保湿力・肌すべり・塗り心地(べたつき感)に関する試験で評価してもらった一般女性A〜J(10人)に再度自ら肌へ塗ってもらい、それぞれの化粧下地を肌に塗った際の意匠性・ソフトフォーカス性について調査した。
評価方法
意匠性(見え方)が変わった場合は「はい」、変わらなかった場合は「いいえ」、どちらとも言えない場合は「わからない」と回答。「はい」と答えた人数で、各化粧下地の意匠性・ソフトフォーカス性を評価する。
各微粒子(微粒子No.2、4、7、8、9、10)を配合した水中油型化粧下地(試験サンプル24〜29)を調整した。他成分の配合量(g)は以下表11を参照。
(I)試験サンプル24と25の比較評価
一般女性10人中 「はい」 … 4人
「いいえ」 … 3人
「わからない」… 3人
(II)試験サンプル25と26の比較試験
一般女性10人中 「はい」 …10人
「いいえ」 … 0人
「わからない」… 0人
(III)試験サンプル26と27の比較評価
一般女性10人中 「はい」 … 9人
「いいえ」 … 1人
「わからない」… 0人
(IV)試験サンプル25と27の比較試験
一般女性10人中 「はい」 … 9人
「いいえ」 … 0人
「わからない」… 1人
(V)試験サンプル24と28の比較評価
一般女性10人中 「はい」 … 8人
「いいえ」 … 1人
「わからない」… 1人
(VI)試験サンプル28と29の比較評価
一般女性10人中 「はい」 … 0人
「いいえ」 …10人
「わからない」… 0人
上記(I)〜(VI)の試験で以下のことがわかる。
(I)の結果 …外殻に金属酸化物を使用した場合、人によっては若干意匠
性の変化を感じる場合がある。
(II)〜(IV)の結果…内核に用いる樹脂によって意匠性が変わる。
(V)の結果 …従来のシリカ粒子を使用した場合と本発明で使用するハイ
ブリッド微粒子を使用した場合では意匠性が変わる。
(VI)の結果 …従来使用されていたシリカ粒子は、粒径等に関係なく意匠
性は変えられない。
よって、以上の結果から、ハイブリッド微粒子を配合した本発明の化粧料組成物は、従来の微粒子を配合した化粧料組成物に比べ、意匠性やソフトフォーカス効果に変化を与えることができることがわかった。