JP2015098429A - 珪砂造粒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
SiO2+2C → Si+2CO (1)
しかし、実際には反応は複雑であり以下のような各素反応に分解され、これらの素反応が併行して起こっているものと考えられる。
SiO2+C → SiO+CO (2)
SiO+2C → SiC+CO (3)
SiO2+3C → SiC+2CO (4)
SiO+SiC → 2Si+CO (5)
SiO2+2SiC → 3Si+2CO (6)
SiO+C → Si+CO (7)
SiC+SiO2 → Si+SiO+CO (8)
Si+SiO2 → 2SiO (9)
このように、アーク炉内温度範囲での凝縮相はSiO2、C、SiC、Siであり、気相はCO、SiOである。また、炉内電極先端付近の高温部から式(2)の反応によりSiOガスが発生する。そして、原料層の上部では、層の隙間を生成したSiOガスやCOガスが上昇し排出される際、その通路である隙間の壁面には次の反応で析出物が付着する。
3SiO+CO → 2SiO2+SiC (10)
2SiO → Si+SiO2 (11)
一方、珪砂は珪石に比べて資源量が豊富であり、加えて採掘も容易であるので、金属シリコンの原料として珪石を代替できれば大きな利点となり得る。
本発明において、珪砂造粒体は、珪砂、アルカリ土類金属化合物、糖類及び水を含む珪砂混合物を成形後、硬化、乾燥させることにより製造される。
本発明に用いる硅砂は特に制限されるものではないが、得られる珪砂造粒体が金属シリコンの原料として用いられることを考慮すると、その純度は、SiO2含有量が97重量%以上であることが好ましく、特に、98重量%以上が好ましく、99重量%以上がより好ましく、99.5重量%以上が特に好ましい。珪砂造粒体から金属シリコンを製造する場合、SiO2成分以外の一部の不純物はアーク炉内で還元・溶融した金属シリコンが炉から排出されて凝固する際に分離されるものの、不純物含有量が増えると金属シリコン中に残存する量も増え、金属シリコンの品質低下を招く傾向にある。つまり、珪砂中の不純物が少ない、高純度の珪砂を使用することで、得られるシリコン中に残存する不純物含量を効果的に低減できる。また、アーク炉内での加熱により、蒸発した不純物が炉の周壁や配管の壁に付着し、堆積し易くなるという問題をも防止することができ、アーク炉を長時間安定して使用することができる。
本発明において、珪砂の結合剤として作用するアルカリ土類金属化合物には、公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物などが挙げられる。
本発明の製造方法で得られた珪砂造粒体は、珪砂の結合剤として作用するアルカリ土類金属の分散性を高める働きをする糖類を含有させることにより、極めて高い強度を有する珪砂造粒体を構成することができる。
また、水の量は、アルカリ土類金属化合物の硬化に必要な量であり、また、後述する成形方法における成形性を考慮して適宜決定される。かかる水の好適な量は、成形方法によっても多少異なるが、一般に、珪砂100重量部に対して、10〜20重量部である。上記割合は、成形のし易さにより決定される。水の量が10重量部以上であれば、硬化に十分であり、20重量部以下であれば、硅砂、糖類、アルカリ土類金属化合物及び水を含む混合物を成形する際に、混合物の流動性を抑え、金型からの漏れを防止することができる。
本発明の珪砂造粒体の製造方法において、珪砂、アルカリ土類金属化合物、糖類、水の混合方法は、それぞれが均一に混合される方法であれば、混合順序、混合方法等は特に制限されないが、糖類を予め水に溶解させた状態で、他の成分と混合することがより好ましい。糖類が溶けた水を使用することでアルカリ土類金属化合物の分散性はより著しく向上し、より一層、高強度化した珪砂造粒体を得ることが可能となる。一般的な混合順序を例示すれば、珪砂とアルカリ土類金属化合物とを混合後、得られる混合物に噴霧や滴下などの方法により糖類が溶けた水を添加する方法、アルカリ土類金属化合物と糖類が溶けた水とを混合したスラリーと珪砂とを混合する方法、珪砂とアルカリ土類金属化合物と糖類が溶けた水の3成分を同時に混合する方法等が挙げられる。
また、珪砂とアルカリ土類金属化合物と糖類が溶けた水の混合物には、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、成形性を向上させるため有機バインダーを添加することもできる。有機バインダーには、例えば、造粒便覧(日本粉体工業協会編、昭和50年5月30日発行、オーム社)の表1、3、4に記載される、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、デキストローズ、コーンシロップなどが挙げられる。また、上記以外に使用可能な有機物からなるバインダーとしては、デキストリン、コーンスターチ等のでん粉類;にかわ、カゼイン、大豆たん白等のたん白類;アラビアゴム等の天然ゴム類;ピッチ、加工タール、舗装タール等のタール類:ストレートアスファルト、ブローンアスファルト等のアスファルト類;アクリル系重合体、ポリアミド、ポリエチレン、その他セルロース等の熱可塑性レジン;ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリエステル、熱硬化性ポリウレタン等の熱硬化性レジン;ネオブレン、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等のエラストマーなどが挙げられる。
本発明の珪砂造粒体の製造方法において、上記珪砂、アルカリ土類金属化合物、糖類、及び水を含む混合物の成形方法は特に制限されず、公知の造粒方法を制限なく採用することができる。例えば、造粒便覧(日本粉体工業協会編、昭和50年5月30日発行、オーム社)の1編、1・4節で分類されている方法の内、圧縮成形型、転動型、押出成形型の一般的な方法が好適に採用できる。
本発明の珪砂造粒体の製造方法において、珪砂、アルカリ土類金属化合物、糖類、及び水を含む混合物の成形体は、水の存在下に珪砂とアルカリ土類金属化合物とが反応して硬化することによって、珪砂造粒体を得ることができる。
上記アルカリ土類金属化合物の硬化により得られる珪砂造粒体は、乾燥処理により、含有する水分を可及的に除去することが、アーク炉等で、高温雰囲気に晒された際の、水の急激な膨張による崩壊を防止することができ好ましい。具体的には、1300℃で強熱減量が0.1重量%〜3重量%、特に、0.1重量%〜1重量%となるまで上記乾燥を行なうことが好ましい。
本発明の製造方法で得られた珪砂造粒体は、かかる珪砂造粒体を金属シリコン製造用の原料、例えば、アーク炉による金属シリコンの原料として使用する場合、円柱、多角体(長方形)が好ましく、一番長い辺が5mm〜200mmのものが好適である。即ち、前記アーク炉での使用において、珪砂造粒体の一辺が5mm未満の場合、上記アーク炉内原料層をガスが通過するための十分な空隙を確保できないし、一方、200mmを超える造粒体を製造するのはコスト・生産性の点で不利になる。上記は、好ましくは5mm〜150mm、より好ましくは30mm〜150mm、更に好ましくは50mm〜150mmである。
本発明の製造方法で得られた珪砂造粒体は、金属シリコン、フェロシリコン・シリコマンガン等のシリコン合金、および炭化珪素等の製造に使用することができ、特にアーク炉による金属シリコンの製造に好適に用いられる。
後述の各実施例及び比較例の方法により得られた円柱状の硅砂造粒体の中から、高さが1.9cm〜2.3cmであるサンプルを抜き取り、オートグラフ(島津製精密万能試験機AG−Xplus50kN)にて圧壊荷重(N)を測定した。圧縮機上に円柱状造粒体を縦に配置し、鉛直方向に載荷した。荷重は1分間に0.2mm降下する速度とした。
ノギスにて計測した円柱状硅砂造粒体の高さh(cm)と直径2r(cm)、および電子天秤にて秤量した円柱状硅砂造粒体の重量m(g)から、次式にて見掛け密度ρを計算した。
ρ=m/(π・r2・h)
(3)珪砂の平均粒径
HORIBA社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950V2により10nm〜3000μmの範囲で粒度分布(体積基準分布)を測定し、珪砂の平均粒径を算出した。
珪砂を測定治具に装着し、蛍光X線(リガク社製蛍光X線分析装置ZSX PrimusII)にて元素分析し、SiO2及びNa2O含有量を算出した。
ISO 3301−1に準拠した、目開き75μmの飾、目開き150μm、及び目開き1400μmの飾を用い、100gの珪砂の相対粒子量を求めた。相対粒子量は、1400μmの飾を全通過することを確認した後、目開き75μmの節を通過した粒子の重量と、目開き150μmの節を通り目開き75μmの飾を通過しない粒子の重量、目開き150μmの飾を通過しない粒子の重量を測定し、全体を100重量%としたときの割合(重量%)として計測した。
珪砂(平均粒径250μm、SiO2含有量99.4重量%、Na2O含有量0.0重量%)を遊星型ボールミルにて平均粒径30μmまで粉砕した。粉砕した珪砂(平均粒径30μm)と未粉砕の珪砂(平均粒径250μm)を重量比で6対4の割合で混ぜた。得られた硅砂の相対粒子量は、表1に示す通りであった。この粒度を制御した珪砂100重量部に対し、水酸化カルシウム1.0重量部、水11.7重量部、ショ糖5.0重量部を乳鉢で良く混合した。混合の順序は、最初にショ糖と水のショ糖水溶液を作り、次に水酸化カルシウムをショ糖水溶液に添加、最後に硅砂を添加という順序で行った。この硅砂、水酸化カルシウム、ショ糖、及び水の混合物をおよそ15g秤量し、内径20mmの金型へ入れ、圧力約6MPaにて加圧成形した。成形後の高さは20mm±2mmであった。金型から取出した円柱状の硅砂成形体を湿潤状態に保ち、室温20℃で1日間ほど放置した。その後、送風乾燥器を用い150℃で2時間乾燥処理を施した。得られた円柱状の硅砂造粒体の重量を秤量し、また直径および高さを計測した。そして、これらの値から見掛け密度を計算した。さらに、圧壊荷重を測定した。また、300℃、及び800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表2にまとめた。
ショ糖の添加量を2.5重量部、水の添加量を14.2重量部とした以外は実施例1と同様の方法で硅砂造粒体を作製した。得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を表2に示す。
ショ糖の添加量を3.3重量部、水の添加量を13.3重量部とした以外は実施例1と同様の方法で硅砂造粒体を作製した。得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を表2に示す。
実施例1と同様の方法で、表1に記載の相対粒子量を有する硅砂を得た。この粒度を制御した硅砂100重量部に対して、水酸化カルシウム1.0重量部、水16.7重量部を乳鉢で良く混合した。混合の順序は、最初に水酸化カルシウムと硅砂を混合し、次に水を添加という順序で行った。この硅砂、水酸化カルシウム、水の混合物をおよそ15g秤量し、内径20mmの金型へ入れ、圧力約6MPaにて加圧成形した。成形後の高さは20mm±2mmであった。金型から取出した円柱状の硅砂成形体を湿潤状態に保ち、室温20℃で1日間ほど放置した。その後、送風乾燥器を用い150℃で2時間乾燥処理を施した。得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、300℃、及び800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表2に示す。
実施例1と同様の方法で、表1に記載の相対粒子量を有する硅砂を得た。この粒度を制御した硅砂100重量部に対して、水酸化カルシウム1.0重量部、水14.2重量部、ブドウ糖2.5重量部を乳鉢で良く混合した。混合の順序は、最初にブドウ糖と水のブドウ糖水溶液を作り、次に水酸化カルシウムを添加、最後に硅砂を添加という順序で行った。この硅砂、水酸化カルシウム、ブドウ糖、及び水の混合物をおよそ15g秤量し、内径20mmの金型へ入れ、圧力約6MPaにて加圧成形した。成形後の高さは20mm±2mmであった。金型から取出した円柱状造粒体を湿潤状態に保ち、室温20℃で1日間ほど放置した。その後、送風乾燥器を用い150℃で2時間乾燥処理を施し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
ブドウ糖の添加量を5.0重量部、水の添加量を11.7重量部とした以外は実施例4と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類を果糖にした以外は実施例4と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類を果糖にした以外は実施例5と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類を麦芽糖にした以外は実施例4と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類を麦芽糖にした以外は実施例5と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類を乳糖にした以外は実施例4と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類を乳糖にした以外は実施例5と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類をグリセリンにした以外は実施例4と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類をグリセリンにした以外は実施例5と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類をマンニトールにした以外は実施例4と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
糖類をマンニトールにした以外は実施例5と同様の方法で硅砂造粒体を作製し、得られた硅砂造粒体の見かけ密度、圧壊荷重を測定した。また、800℃で加熱処理を行った後、同様に見かけ密度及び圧壊荷重を測定した。結果を表3に示す。
Claims (4)
- 珪砂100質量部に対して、糖類2〜6質量部、アルカリ土類金属化合物0.1〜10質量部及び水10〜20重量部を含む混合物を造粒することを特徴とする珪砂造粒体の製造方法。
- 前記珪砂として、全粒子の粒径が1400μm以下であり、粒径75μm以下の相対粒子量(重量)が25〜85%、粒径150μm超、1400μm以下の範囲にある相対粒子量(重量)が0%〜50%である珪砂(ただし、1400μm以下の相対粒子量は100%である)を用いる請求項1記載の珪砂造粒体の製造方法。
- 糖類が単糖類及び少糖類から選択される、請求項1又は2に記載の珪砂造粒体の製造方法。
- 糖類を予め水に溶解させた状態で他の成分と混合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の珪砂造粒体の製造方法。
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