<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるスロットマシンに本発明を適用した場合の第1の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図であり、図2はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図である。
図2に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、複数の木製パネルが固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。
筐体11の前面側には、前面扉12が取り付けられている。前面扉12はその左側部を回動軸として、筐体11の内部空間を開閉可能とするように筐体11に支持されている。なお、前面扉12は、その背面に設けられた施錠装置13によって開放不能に施錠状態とされており、この施錠状態は、キーシリンダ14に対する所定のキーによる解錠操作により解除される。
スロットマシン10は、遊技者に面して装着されるパネルを備えている。例えば、前面扉12の中央部上寄りには、図1に示すように、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル20が設けられている。遊技パネル20には、縦長の3つの表示窓部21L,21M,21Rが横並びとなるように形成されている。表示窓部21L,21M,21Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓部21L,21M,21Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。
遊技パネル20の表示窓部21L,21M,21Rの下方には、貯留記憶された仮想メダル数を表示するクレジット表示部16と、入賞時に獲得したメダルの枚数を表示する獲得枚数表示部17とがそれぞれ設けられている。
スロットマシン10の前面下部には、文字や絵柄によって機種名などの機種認識表示を行う下部パネル33が備えられている。図3(a)は前面扉12のベース体37及び下部パネル33の概略水平断面図、(b)は前面扉12のベース体37及び下部パネル33の分解斜視図である。下部パネル33は、印刷が施された0.2mm厚程度の薄い装飾シート35と、当該装飾シート35の全体を前後に挟持する外ケース36及び内ケース34と、外ケース36と内ケース34を固定するための左右一対の下部パネル固定部材95とから構成されている。
装飾シート35には文字や絵柄などが印刷されており、透明または半透明な外ケース36を通して、外部から機種の認識などを行うことができる。装飾シート35の大きさは内ケース34の前面部と同じ大きさである。外ケース36は装飾シート35に印刷された模様を遊技者に見せるために透明または半透明樹脂で形成されている。外ケース36の材料は透明または半透明なガラスであっても良い。一方、内ケース34は不透明樹脂で形成されている。内ケース34の水平方向の長さは、外ケース36の水平方向の長さよりも、外ケース36の厚み分だけ短くなっている。また、内ケース34の垂直方向の高さは外ケース36と同じである。したがって、外ケース36の内側に内ケース34を、隙間なく重ねることができる。
内ケース34及び外ケース36のそれぞれ左右両端には後方に向けた返し部34a,36aが一体形成されており、装飾シート35を挟むようにして外ケース36と内ケース34とが前後に重ね合わせられた場合、外ケース36の返し部36aが外側となるようにして各ケース34,36の対応する返し部34a,36a同士が内外に重なる。内ケース34の返し部34aには横方向に貫通するようにして固定用孔92が形成されており、外ケース36の返し部36aには横方向に貫通するようにして固定用孔93が形成されている。重なり合った返し部34a,36aの各固定用孔92,93は横方向に連通している。連通した状態の固定用孔92,93の組み合わせに対応させて、左右一対の下部パネル固定部材95には固定用フック94が一体形成されている。固定用フック94が対応する固定用孔92,93の組み合わせに嵌合されるようにして下部パネル固定部材95が装着されていることにより、装飾シート35を挟んだ状態で外ケース36と内ケース34とが一体化されている。
内ケース34の前面上部には内ケース34と前面扉12のベース体37を固定するためのパネル用フック91が形成されている。下部パネル固定部材95により一体化された下部パネル33は、内ケース34のパネル用フック91が前面扉12のベース体37に形成された受口部98内に挿入されるとともに受口部98の周縁部に係合されていることにより、当該ベース体37に固定されている。
図2に示すように、筐体11は仕切り板によりその内部が上下2分割されており、仕切り板の上部にはリールユニット31が取り付けられている。リールユニット31は、円筒状にそれぞれ形成された左リール32L,中リール32M,右リール32Rを備えている。各リール32L,32M,32Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール32L,32M,32Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール32L,32M,32Rが各表示窓部21L,21M,21Rと1対1で対応している。したがって、各リール32L,32M,32Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓部21L,21M,21Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール32L,32M,32Rが正回転すると、各表示窓部21L,21M,21Rを通じてリール32L,32M,32Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
これら各リール32L,32M,32Rは、それぞれが図2には図示しないステッピングモータ61に連結されており、各ステッピングモータの駆動により各リール32L,32M,32Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
図1に示すように、遊技パネル20の下方左側には、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー41が設けられている。メダルが投入されているときにこのスタートレバー41が操作されると、各リール32L,32M,32Rが一斉に回転を始める。
スタートレバー41の右側には、回転している各リール32L,32M,32Rを個別に停止させるために操作されるストップボタン42,43,44が設けられている。各ストップボタン42,43,44は停止対象となるリール32L,32M,32Rに対応する表示窓部21L,21M,21Rの直下にそれぞれ配置されている。各ストップボタン42,43,44は、左リール32Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となる。
なお、スタートレバー41の操作に基づき各リール32L,32M,32Rの回転が開始され、各ストップボタン42,43,44の操作に基づき各リール32L,32M,32Rが回転を停止して、メダル付与及び遊技状態の管理といった各種処理の実行が完了するまでが、1回のゲームに相当する。
表示窓部21L,21M,21Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口45が設けられている。メダル投入口45から投入されたメダルは、図2に示すように、前面扉12の背面に設けられたセレクタ52によって、投入可能時であれば下流のメダル通路140へ導かれ、投入不可時であれば皿用通路76を通って、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口58からメダル受け皿59へと導かれる。図2に示すように、皿用通路76はセレクタ52の下方に位置し、ホッパ装置53からメダルを排出するための開口77を備えているメダルの通路である。また、ホッパ装置53は、後述する有効ライン上にメダルの付与に対応した入賞が成立した場合に、貯留タンク53aに貯留されたメダルを、メダル排出口58を通じてメダル受け皿59に払い出す機能を有している。
メダル投入口45の下方には、図1に示すように、メダル投入口45に投入されたメダルがセレクタ52内に詰まった際に押される返却ボタン46が設けられている。また、表示窓部21L,21M,21Rの下方左側には、クレジットされた仮想メダルを一度にベット可能な最大分投入するための第1クレジット投入ボタン47と、仮想メダルを一度に2枚投入するための第2クレジット投入ボタン48と、仮想メダルを一度に1枚投入するための第3クレジット投入ボタン49とが設けられている。
スタートレバー41の左側には、精算ボタン51が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の貯留上限数(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の払出メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状況下で精算ボタン51を操作された場合、仮想メダルが現実のメダルとしてメダル排出口58から払い出されるようになっている。
図2において、筐体11に設けられた仕切り板の下方右側にはメダルを遊技者に付与する排出手段としてのホッパ装置53が設置されている。ホッパ装置53は、メダルを貯留する貯留タンク53aと、メダルを遊技者に払い出す払出装置53bとより構成されている。払出装置53bは、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、皿用通路76の中央右部に設けられた開口77へメダルを排出し、メダル受け皿59へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置53の右方には、貯留タンク53a内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク96が設けられている。ホッパ装置53の貯留タンク53a内部には、この貯留タンク53aから予備タンク96へとメダルを排出する誘導プレート97が設けられている。したがって、誘導プレート97が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク96に貯留されることとなる。
筐体11の内部においてホッパ装置53の左方には、図2に示すように、電源装置81が設けられている。電源装置81には、電源投入時や電源遮断時に操作される電源ボタン55と、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのリセットボタン56と、スロットマシン10の設定状態を「設定1」から「設定6」の範囲で変更するために操作される当選確率設定キー挿入孔57と、を備えている。
<入賞成立のための条件>
本スロットマシン10では、各リール32L,32M,32Rの図柄が視認可能となる位置を結ぶようにして、計5本の組合せラインが設定されている。より詳しくは、左リール32Lの上段図柄,中リール32Mの中段図柄,右リール32Rの下段図柄を結んだ第1ラインと、左リール32Lの上段図柄,中リール32Mの上段図柄,右リール32Rの上段図柄を結んだ第2ラインと、左リール32Lの中段図柄,中リール32Mの中段図柄,右リール32Rの中段図柄を結んだ第3ラインと、左リール32Lの下段図柄,中リール32Mの下段図柄,右リール32Rの下段図柄を結んだ第4ラインと、左リール32Lの下段図柄,中リール32Mの中段図柄,右リール32Rの上段図柄を結んだ第5ラインと、が設定されている。1枚目のメダルがメダル投入口45から投入されると、第3ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口45に投入されると、更に第2ライン及び第4ラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口45に投入されると、更に第1ライン及び第5ラインが有効ラインとなる。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合には、入賞成立として、遊技媒体たるメダルが所定数払い出される特典が付与されたり、遊技状態が移行される特典が付与されたりするようになっている。
前面扉12の上部には、図1に示すように、上部ランプ64が設けられているとともにスピーカ65が設けられており、さらに補助表示部66が設けられている。上部ランプ64は、スロットマシン10において異常が発生した場合に当該異常に対応した態様で発光制御されるとともに、入賞結果に応じた態様で発光制御される。また、上部ランプ64は、補助表示部66における表示演出に対応した発光演出が行われるように発光制御される。スピーカ65は左右一対として設けられており、スロットマシン10において異常が発生した場合に当該異常に対応した音又は音声が出力されるように音出力制御されるとともに、入賞結果に対応した音又は音声が出力されるように音出力制御される。また、スピーカ65は、補助表示部66における表示演出に対応した音出力演出が行われるように音出力制御される。補助表示部66は、スロットマシン10において異常が発生した場合には当該異常に対応した画像が表示されるように表示制御される。また、補助表示部66は、内部抽選における役の当選結果及び各ゲームにおける入賞結果に対応した画像が表示されるように表示制御される。
<セレクタ52>
次に、セレクタ52について図2に加えて図4(a)を参照しながら説明する。図4(a)はセレクタ52を構成するベースケース体74の正面図である。
セレクタ52は、図2及び図4(a)に示すように、複数のケース体74,75を備えており、これらケース体74,75が組み合わされることによりハウジング73が形成されている。これら複数のケース体74,75のうちベースケース体74には、図4(a)に示すように、メダル投入口45から投入されたメダルを下流へ導くための案内通路141が形成されている。案内通路141は、メダルが1列で通過可能なようにして、図の上端部から右下部に向けて弧を描くような曲線状に形成されている。
詳細には、ベースケース体74には、当該ベースケース体74のベース板部74aから突出させて突条142が形成されており、当該突条142に区画されるようにして案内通路141が形成されている。突条142の一部の領域は、案内通路141の底部を構成しており、メダル投入口45から落下してコーナー部分143の下流側に到達した後のメダルは突条142の上を転がるようにして下流へ流れることとなる。
ベースケース体74には、案内通路141のコーナー部分143の下流側に到達したメダルをメダル受け皿59へ排出するための通路切替弁144を備えている。当該通路切替弁144は通路切替用のソレノイドの先端に配設されており、切替駆動部145の状態に応じて変位する。通路切替弁144が初期位置に配置されている状況においては、当該通路切替弁144における案内通路141側に突出した領域が案内通路141の突条142に対してメダルの厚みよりも若干大きい距離だけ離間された位置に対向配置される。これにより、通路切替弁144が初期位置に配置されている状況においては、メダルはメダル通路140に向けて案内されることとなる。
一方、通路切替弁144を駆動する切替駆動部145が駆動状態となることで、通路切替弁144が切替駆動部145の磁力により吸引されることで、初期位置から切替位置に変位する。通路切替弁144が切替位置に配置された場合、通路切替弁144における案内通路141側に突出した領域と突条142との間の距離が狭くなる。上流側から流れてきたメダルはその上端側が通路切替弁144に当たることで案内通路141の途中位置から下方に落下する。このメダルは、メダル受け皿59に誘導される。
なお、複数のケース体74,75には、ベースケース体74に対向させるようにしてカバーケース体75が含まれており(図4(a)において図示略)、当該カバーケース体75がベースケース体74に対向配置されることにより、通路切替弁144が初期位置に配置されている状況でメダルが案内通路141から落下してしまわないように通路壁を生じさせる。
案内通路141において通路切替弁144よりも下流側には、投入メダル検出センサ146a,146bが設けられている。投入メダル検出センサ146a,146bは、フォトセンサからなる第1投入メダル検出センサ146aと同じくフォトセンサからなる第2投入メダル検出センサ146bとを備え、これら各投入メダル検出センサ146a,146bは案内通路141の流下方向に並ぶようにして近接配置されている(同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度に近い位置に配置されている)。これら各投入メダル検出センサ146a,146bにより案内通路141のメダルの通過が順次検出される。
具体的には、これら各投入メダル検出センサ146a,146bは、後述する主制御装置70と電気的に接続されており、メダルを検出している状態においてはHIレベルの検出信号を出力し(ON状態)、メダルを検出していない状態ではLOWレベルの検出信号を出力する(OFF状態)。第1投入メダル検出センサ146aの検出信号がOFFからONとなり、第1投入メダル検出センサ146aの検出信号がONである状況で第2投入メダル検出センサ146bの検出信号がOFFからONとなり、第2投入メダル検出センサ146bの検出信号がONである状況で第1投入メダル検出センサ146aの検出信号がONからOFFとなり、第1投入メダル検出センサ146aの検出信号がOFFである状況で第2投入メダル検出センサ146bの検出信号がONからOFFとなることで、主制御装置131において1個のメダルの通過が特定される。
なお、上記ON,OFFの関係が逆であってもよい。また、投入メダル検出センサ146a,146bが複数設けられている構成に限定されることはなく、投入メダル検出センサ146が1個のみ設けられている構成としてもよく、フォトセンサではなく磁気検出センサやプッシュセンサが用いられている構成としてもよい。
ここで、スロットマシン10では、投入メダル検出センサ146a,146bにメダルの通過を誤認識させる不正行為が想定される。当該不正行為としては、例えば、一対の投入メダル検出センサ146a,146bの間隔に対応させて2つの発光体をフィルムなどに埋設させた不正用治具を用いるものが考えられる。この場合、各発光体が各投入メダル検出センサ146a,146bの検出範囲に存在するようにフィルムを挿入し、各投入メダル検出センサ146a,146bの正規の検出順序に対応させて各発光体を点滅させることでメダルの投入を誤認識させるものと考えられる。そして、メダルを誤認識させた後にスタートレバー41を操作することにより、メダルを投入することなくゲームを開始することが可能となってしまう。また、仮想メダルの貯留記憶を行わせた後に精算ボタン51を操作することにより、不正にメダルを取得することができてしまう。
これに対して、本スロットマシン10では、通常時にメダル投入口45より投入されて、投入メダル検出センサ146a,146bにより検出されたメダルが滞留する状態を作り出した。そして、不正用治具により不正が行われると滞留しているメダルが減少し、不正を行った者では通常時の滞留状態を復元できなくなる対策を施した。以下、通常時及び不正行為時のメダルの滞留状態について説明する。
図4(b)は図1のA−A断面図である。前面扉12の背面側にはセレクタ52の案内通路141により案内されたメダルが通過することとなるメダル通路140が形成されている。メダル通路140は通路形成カバー82を用いて形成されている。具体的には、通路形成カバー82は、不透明樹脂製であり、図4(b)に示すようにコの字型の溝83をもつ直方体状に形成されている。前面扉12のベース体37の前面側には下部パネル33が設けられていて、背面側には図2に示すようにメダル通路140が形成されている。具体的には、通路形成カバー82が前面扉12のベース体37に、コの字型の溝83を有する面が固定面となるようにして取り付けられていることにより、滞留領域84を含むメダル通路140が形成されている。なお、固定方法は接着剤を用いた固定でも、ねじを用いた固定でもよい。通路形成カバー82は不透明であれば、金属製であっても良い。コの字型の溝83の高さと幅は、遊技者が使用するメダル1枚分より若干大きいものとされている。また、メダル通路140の滞留領域84にはメダルが1列で並び、メダルの側面の一部が滞留領域84の下壁と線接触して、立った状態で存在する。当該1列のメダルが立った状態を維持できる範囲において、コの字型の溝83の高さと幅は任意である。
図5はセレクタ52を構成するベースケース体74、メダル通路140の滞留領域84及び回転体24の概略断面図である。図5に示すように、セレクタ52の下流にメダル通路140の滞留領域84が設けられている。セレクタ52を通過したメダルはメダル通路140の滞留領域84に案内される。滞留領域84は水平方向に対して約15°の角度で下方に向けて傾斜しており、滞留領域84内のメダルには自重により、図1において正面視左下方向に転動しようとする力がかかる。セレクタ52の下流部側の通路とメダル通路140の滞留領域84の傾斜は等しく、通路は直線的に連続している。メダル通路140の滞留領域84は複数枚のメダルを立てた状態で通路方向に並べることが可能となる通路長となるように形成されており、具体的には5枚以上のメダルを立てた状態で並べて待機させることが可能となる通路長となるように形成されている。
滞留領域84の下流には滞留領域84からのメダルの流出を阻止するとともに必要に応じて1個ずつメダルを下流に排出するための回転体24が設置されている。回転体24は円盤状であり、メダル以上の厚みを有している。回転体24には、メダルがはまるような、メダルよりひと回り大きなくぼみ29が存在する。当該くぼみ29の縁は円弧状に形成されている。その円弧の半径はメダルの半径に比べて若干大きい。図5に示すように、メダル通路140の滞留領域84は一直線であり、その下流の回転体24に至るまでに曲りはない。一方、滞留領域84の下流において、下方に向けた曲りが生じており、その位置に回転体24が存在する。回転体24は滞留領域84の底部84aの下端にメダルの半径よりも小さい隙間を開けて配置されている。この隙間は、回転体24の回転に支障をきたさず、回転体24と滞留領域84の底部84aの下端にメダルがはまらない程度の大きさであれば任意である。回転体24は滞留領域84を流下したメダルが落下する位置に、くぼみ29を上にして配置されている。したがって、回転体24が初期位置にある場合に、滞留領域84を1枚のメダルが流下すると、当該メダルは自然に回転体24のくぼみ29にはまる。また、回転体24に1枚のメダルがはまっている状態でもう1枚のメダルが滞留領域84を流下してきた場合、2枚目のメダルは回転体24上のメダルに接触した状態で滞留領域84に留まる。つまり、回転体24が初期位置にある状態で、複数枚のメダルが投入されると、1枚は回転体24のくぼみ29にはまり、残りのメダルは滞留領域84内に滞留することとなる。滞留領域84は1枚のメダルの高さ、幅よりも若干広く設計されているため、残りのメダルは立った状態で滞留領域84内に1列に並ぶ。
図5に示すように、回転体24の中心には排出用ステッピングモータ26の出力軸26aの先端が取り付けられている。したがって、排出用ステッピングモータ26を駆動させることにより、回転体24を回転させることができる。回転体24の正回転は、図5の正面視において、反時計回りである。出力軸26aには、軸方向に対して垂直に検出用突起39が設けられており、排出用ステッピングモータ26には当該検出用突起39を検出する初期位置センサ28が設置されている。初期位置センサ28はフォトセンサである。初期位置センサ28は出力軸26aの検出用突起39を検出することでONとなる。初期位置センサ28がONである場合の回転体24の回転位置がすでに説明した初期位置に相当する。排出用ステッピングモータ26が回転すると、同時に回転体24及び検出用突起39が回転する。したがって、回転体24が1回転すると出力軸26aの検出用突起39も1回転することになる。
排出用ステッピングモータ26の真横には間を開けて排出メダル検出センサ27が配置されている。排出メダル検出センサ27はフォトセンサである。なお、排出メダル検出センサ27は磁気検出センサであっても良い。排出メダル検出センサ27は回転体24のくぼみ29にメダルがはまった状態で回転体24が90°回転した際に回転体24にはまっているメダルを検出できる位置に配置されている。回転体24が初期位置から1回転する過程を説明すると、初期位置から90°回転した状態で排出メダル検出センサ27にメダルが検出され、初期位置から180°回転するまでに回転体24にはまっていたメダルは回転体24から下方へ落下する。その後、初期位置から360°回転したところで、今度は初期位置センサ28が出力軸26aの検出用突起39を検出する。
図2に示すように、回転体24の下流にはホッパ装置53の貯留タンク53aへとのびる貯留タンク用通路25が設けられている。当該貯留タンク用通路25は図2において下向きに15°ほどの傾斜を有している。なお、当該貯留タンク用通路25をメダルが自重で貯留タンク53aに向かって滑っていく傾斜であれば、傾斜角は15°以上であっても、以下であっても良い。図2に示すように当該貯留タンク用通路25の下流には、貯留タンク53aのガイド部85が存在する。当該ガイド部85は、貯留タンク用通路25と同じ傾斜をもち、貯留タンク用通路25の下に位置する。また、当該ガイド部85と貯留タンク用通路25は重なり部分を有する。したがって、回転体24の回転の途中で落下したメダルは貯留タンク用通路25、貯留タンク53aのガイド部85上を移動してホッパ装置53の貯留タンク53aへと流下する。
通常時、滞留領域84には5枚のメダルが滞留している状態にある。滞留状態のメダルの枚数は5枚より多くても少なくても良い。滞留領域84の上流にあるセレクタ52内の第1投入メダル検出センサ146aでメダルが検出された場合、排出用ステッピングモータ26が駆動を開始して回転体24にはまっていた1枚のメダルが排出され、1枚少なくなった滞留メダルの列の最後尾に投入されたメダルが並ぶことになる。この際、第1投入メダル検出センサ146aによりメダルの投入が、排出メダル検出センサ27によりメダルの排出が、それぞれ検出される。このため、メダルの投入が検出されたにも関わらず、所定時間内にメダルの排出が検出されない場合には異常状態となる。
図6及び図7を用いてメダルの動きとセンサのON,OFFのタイミングについて詳述する。図6のt1〜t8はメダルの通過タイミング及び投入メダル検出センサ146a,146b、初期位置センサ28のON,OFFのタイミングを示している。また、図6(a)は投入メダルの静止状態と動作状態を、(b)は第1投入メダル検出センサ146aのONとOFFを、(c)は第2投入メダル検出センサ146bのONとOFFを、(d)は回転体24の初期位置センサ28のONとOFFをそれぞれ表している。
図6のt1はメダル投入の瞬間を表しており、上流側の第1投入メダル検出センサ146a及び下流側の第2投入メダル検出センサ146bのメダル検出の対象領域は空であり、これら投入メダル検出センサ146a,146bはOFFである。図6のt2のタイミングにて、メダルは第1投入メダル検出センサ146aのメダル検出の対象領域に差しかかる。図6(b)に示すように、かかるタイミングで第1投入メダル検出センサ146aはON状態となる。これを契機として、図7(a)に示すように排出用ステッピングモータ26が動き出す。具体的には、第1投入メダル検出センサ146aが011の信号を検出した場合に排出用ステッピングモータ26が動き始める。ノイズ除去の目的で、1の信号を2回連続で検出したタイミングで、排出用ステッピングモータ26の回転開始を確定する。上流側の第1投入メダル検出センサ146aのONの立ち上がりを見て、早めにメダルの排出を行う。これにより、メダルの投入から排出までの流れをスムーズにし、メダルの連続投入による滞留メダルの増加を回避する。
回転体24は、くぼみ29にはまっている1枚のメダルとともに回転し始める。回転体24の正回転は、図5の正面視において、反時計回りである。図6(d)に示すように、t3のタイミングで排出用ステッピングモータ26の初期位置センサ28がOFFとなる。その後、案内通路141を流下したメダルは、図7(b)のタイミングで第2投入メダル検出センサ146bの検出領域に差しかかり、かかるt4のタイミングで図6(c)に示すように第2投入メダル検出センサ146bはONとなる。このとき、図6(b)及び(c)において第1投入メダル検出センサ146a及び第2投入メダル検出センサ146bは共にONである。さらに、図7(c)のタイミングで第1投入メダル検出センサ146aの検出対象領域をメダルが通過し終えるため、かかるt5のタイミングで図6(b)に示すように第1投入メダル検出センサ146aがOFFとなり、第2投入メダル検出センサ146bの検出対象領域を通過し終えるt6のタイミングで第2投入メダル検出センサ146bがOFFとなる。
ここまでの、第1投入メダル検出センサ146a及び第2投入メダル検出センサ146bのON,OFFの順序が正しい場合に、1枚のメダルが投入されたと判断する。その後、図7(d)のタイミングで排出用ステッピングモータ26が初期位置に復帰して停止し、図6に示すt8のタイミングで投入されたメダルが、1枚排出されて少なくなった滞留メダルの列の最後尾に辿り着く。図7(d)に示すようにt7のタイミングにおいて排出用ステッピングモータ26は初期位置に復帰している。つまり、メダル投入口45から、初期状態の滞留枚数から1枚少なくなった滞留メダルの列の最後尾までの通路領域の通路長及びメダルの通過速度を定める当該通路領域の通路構造は、第1投入メダル検出センサ146aに検出されたメダルが滞留メダルの列の最後尾に到達するまでの時間よりも、初期位置に配置されている回転体24が1周するのに要する時間の方が短くなるように設計されている。したがって、滞留領域84に滞留するメダルの数は増加しない。また、メダルの連続投入が行われても滞留領域84に滞留するメダルの数が初期状態である5枚よりも多い状態となりにくくなる。
メダルの検出に関しては、所定の時間条件下、第1投入メダル検出センサ146a,第2投入メダル検出センサ146bの順で各センサがON,OFFとなった時にのみメダルが正規に投入されたと判断される。すなわち、第1投入メダル検出センサ146aがONとなってから第2投入メダル検出センサ146bがONとなるまでに、通常、メダルが移動に要する時間よりも長い所定時間を経過した場合や、通常時とは逆に第2投入メダル検出センサ146b,第1投入メダル検出センサ146aの順で各センサ146がONとなった時には、エラーとなって、その旨が報知等されるとともに遊技が禁止される。
次に、メダル通路140の滞留領域84を外部から視認可能にする下部パネルの構成について説明する。図3(b)は前面扉12のベース体37及び下部パネル33の分解斜視図である。前面扉12のベース体37、内ケース34及び装飾シート35には長方形の視認用孔68a,68b,68cがあいている。したがって、装飾シート35の文字や図柄は当該視認用孔68bを避けて印刷される。図3(b)に示すように、下部パネル33は前面扉12のベース体37に取り付けられる。この状態において、装飾シート35、内ケース34及び前面扉12のベース体37の視認用孔68a,68b,68cは重なる位置に形成されている。そして、これらの視認用孔68a,68b,68cには透明または半透明樹脂製の視認用窓部67a,67b,67cが取り付けられている。なお、視認用窓部67a,67b,67cはガラス製であっても良い。上述の通り、外ケース36は装飾シート35を遊技者に見せるために透明である。したがって、当該構成において、外部から下部パネル33を見る場合、外ケース36と、装飾シート35、内ケース34及びベース体37の視認用窓部67a,67b,67cを通して、メダル通路140の滞留領域84を目視で確認できる。
図1に示すように、目視できるのは滞留しているメダルのみであり、回転体24や回転体24のくぼみ29にはまっているメダル、及び排出メダル検出センサ27などは含まれない。したがって、排出メダル検出センサ27及び初期位置センサ28に外部からの光が入ることはなく、誤作動を防ぐことが可能である。
一方、装飾シート35、内ケース34、前面扉12のベース体37のうち、少なくとも前面扉12のベース体37は不透明部材から成る。また、通路形成カバー82も不透明である。このため、視認用窓部67a,67b,67cが透明または半透明であっても、遊技者は下部パネル33の奥にあるセレクタ52やホッパ装置53、電源装置81などを見ることができない。これにより、不正を行おうとする者は不正を行い難くなる。
かかる構成において、不正用治具による不正行為が行われた場合、投入メダル検出センサ146がメダルを誤認識し、1枚の滞留メダルが排出される。しかし、減少した滞留メダルの追加は行われないため、当該不正行為により滞留メダルの数が減少する。滞留メダルの減少を確認することのより、1枚分の不正が行われた事実を、遊技ホールの管理者は目視により確認することができる。さらに不正が続けられ、予め滞留させていた枚数分の滞留メダルが失われたところで、滞留領域84が空となる。このため、次回の不正において、排出されるメダルが存在しなくなり、メダルの投入が検出されたにも関わらず、所定時間内にメダルの排出が検出されずに異常状態となる。当該不正行為により滞留メダルが減少した後、メダルの投入を行っても、1枚の投入に対して1枚の排出が行われるため、滞留領域84にメダルは溜まらず、元の滞留状態を復元することはできない。つまり、一度不正行為が行われると、不正行為を行った者では滞留領域84を正常な滞留状態に復帰させることができない。したがって、1枚分の不正から目視による確認が可能となる。
図2に示すように皿用通路76の下方、前面扉12の背面の下方左端には、不正用治具によって不正が行われた場合に、遊技ホールの管理者がスロットマシン10を不正前の状態に戻すための復帰ボタン15が設けられている。当該復帰ボタン15をON操作することにより、メダルの検出に関わらず排出用ステッピングモータ26の駆動を一時的に止めることが可能となる。これにより、遊技ホールの管理者は回転体24がメダルの排出を行わない条件下でメダルを滞留させて元の滞留状態を復元することができる。
具体的には、不正行為発見後、遊技ホールの管理者は所定のキーを用いてキーシリンダ14に対して解錠操作を行い、施錠状態を解除して前面扉12を開く。その後、復帰ボタン15をON操作しながら、メダル投入口45からメダルを投入することにより、滞留領域84にメダルを滞留させることが可能である。この際、第1投入メダル検出センサ146aによりメダルの投入が検出されても、排出用ステッピングモータ26は駆動しない。このため、遊技ホールの管理者は、回転体24が回転しない条件下でメダルを投入することができ、投入されたメダルは滞留領域84に滞留する。
また、復帰ボタン15は前面扉12の背面において、横方向の中央よりも回動先端側に位置する。メダル投入口45も前面扉12の表面において、横方向の中央よりも回動先端側に位置している。遊技ホールの管理者は復帰操作において、復帰ボタンをON操作しながらメダルの投入を行う必要がある。復帰ボタン15とメダル投入口45は、復帰操作において、前面扉12の表裏両面において操作をしやすい位置関係にある。
所定枚数(5枚)のメダルを滞留領域84に滞留させて、滞留領域84を不正行為前の状態に復帰させた後、復帰ボタン15から手を離して前面扉12を閉じ、キーシリンダ14に対して施錠操作を行うことで、再び前面扉12は解放不能な施錠状態となる。これにより、通常の遊技が可能となる。一方、当該復帰ボタン15は前面扉12の背面に存在することから、不正行為を行った者は操作できない。したがって、不正行為後に不正行為を行った者が滞留領域84を正常な状態に復帰させることは困難である。
<各種制御装置>
スロットマシン10には、各種制御装置が設けられている。具体的には、図2及び図8に示すように、リールユニット31の上方には、主制御装置131が設けられている。当該主制御装置131は、筐体11の背板に取り付けられている。主制御装置131は、主基板が基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスを開放する場合には、締結状態を解除する必要があり、当該締結状態の解除に際して破壊箇所が生じることとなる。当該破壊箇所の有無を確認することで、基板ボックスが開放されたか否かを簡易的に確認することが可能となる。
スロットマシン10には、主制御装置131以外にもサブ制御装置80が設けられている。図2に示すようにサブ制御装置80は、前面扉12において補助表示部66の後方に重ねて配置されている。サブ制御装置80は、主制御装置131から受信したコマンドに基づき、上部ランプ64、スピーカ65及び補助表示部66の制御を実行する。なお、サブ制御装置80は、主制御装置131と同様に、基板ボックス内に制御基板が収容されてなる。
<スロットマシン10の電気的構成>
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図8のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置131には、演算処理手段であるCPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU151には、電源ボックスの内部に設けられた電源装置81の他に、所定の上限値の範囲内で乱数を生成し適宜更新する乱数カウンタ154や時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路155などが内部バスを介して接続されている。かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。また、主制御装置131には、図示しない入出力ポートが設けられており、当該入出力ポートを介して各種信号の入出力が行われる。
すなわち、主制御装置131の入力側には、スタートレバー41の操作を検出するスタート検出センサ41a、各ストップボタン42,43,44の操作を個別に検出するストップ検出センサ42a,43a,44a、メダル投入口45から投入されたメダルを検出する第1,第2投入メダル検出センサ146a,146b、排出用ステッピングモータ26が駆動して回転体24が回転することにより排出される滞留メダルを検出する排出メダル検出センサ27、回転体24の初期位置を検出する回転体24の初期位置センサ28、復帰ボタン15の操作を検出する復帰検出センサ15a、各クレジット投入ボタン47,48,49の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ47a,48a,49a、精算ボタン51の操作を検出する精算検出センサ51a、ホッパ装置53から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ53c、リセットボタン56の操作を検出するリセット検出センサ56a、当選確率設定キー挿入孔57に当選確率設定キーが挿入されてON操作されたことを検出する当選確率設定キー検出センサ57a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポートを介してCPU151へ出力されるようになっている。
また、主制御装置131の入力側には、電源装置81に設けられた停電監視回路81bが接続されている。電源装置81には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部81aや、上述した停電監視回路81bなどが搭載されている。
停電監視回路81bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源ボタン55による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路81bは、電源部81aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU151に供給され、CPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
電源部81aは、出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されている。この安定化電圧が出力される時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
主制御装置131の出力側には、クレジット表示部16、獲得枚数表示部17、各リール32L,32M,32Rを回転させるための各ステッピングモータ61、セレクタ52に設けられた通路切替用のソレノイド、排出用ステッピングモータ26、ホッパ装置53、サブ制御装置80、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171等が接続されている。
サブ制御装置80は、上部ランプ64やスピーカ65、補助表示部66を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU151、ROM152、RAM153等が一体化された基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、サブ制御装置80が独自に上部ランプ64、スピーカ65及び補助表示部66を駆動制御する。従って、サブ制御装置80は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基盤を設けることにより、メイン基盤の負担軽減を図っている。なお、各種表示部16,17をサブ制御装置80が制御する構成としてもよい。
上述したCPU151には、このCPU151によって実行される各種の制御プログラム及び固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路などが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成されている。
RAM153について詳細に説明すると、RAM153には、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリや、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源ボタン55の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタの値を記憶しておくためのバックアップエリアが設けられている。なお、CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路81bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
また、RAM153には、1枚のメダルが第1投入メダル検出センサ146a及び第2投入メダル検出センサ146bを正規の順序で通過したことを示す通過完了フラグの格納エリア153a、第1投入メダル検出センサ146aが011の信号を検出したことを契機として排出用ステッピングモータ26が駆動を開始し、回転体24が回転を開始したことを示す回転フラグの格納エリア153b、検出された投入メダルの枚数をカウントする排出カウンタエリア153c、仮想メダルを貯留記憶するための仮想メダル記憶エリア153d、ベットされたメダルの枚数(賭け数)を記憶するためのベットメダル記憶エリア153eが設けられている。なお、仮想メダル記憶エリア153dにおける貯留記憶可能な最大仮想メダル枚数は50枚となっており、ベットメダル記憶エリア153eにおける記憶可能な最大ベット枚数は3枚となっている。
<主制御装置131により実行される処理>
続いて、主制御装置131内のCPU151により実行される各制御処理を図9〜図16のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とメイン処理とを説明し、その後タイマ割込み処理を説明する。
<NMI割込み処理>
NMI割込み処理では、停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置81の停電監視回路81bでは停電信号が生成され、主制御装置131に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信した主制御装置131では、NMI割込み処理が実行される。
NMI割込み処理では、先ず、CPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリアに退避させる。続いて、停電フラグをRAM153内に設けられた停電フラグ格納エリアに格納する。その後、RAM153のバックアップエリアに退避させたデータを再びCPU151の使用レジスタに復帰させる。この復帰処理でNMI割込み処理が終了する。
<メイン処理>
図9は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源ボタン55のON操作によって電源が投入された際に実行される。
先ずステップS101では、初期化処理として、スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後CPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。
これらの初期化処理が終了すると、次にステップS102ではリセットボタン56がON操作されているか否かを判定する。リセットボタン56がON操作されている場合にはステップS103に進み、RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。
ステップS102にてリセットボタン56が操作されていないことを確認した後、またはステップS103にてRAMクリア処理を行った後、ステップS104では設定キーが当選確率設定キー挿入孔57に挿入されているか否かを判定する。設定キーが挿入されている場合にはステップS105に進み設定変更処理を行う。設定変更処理として、先ずRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。そして、予め設定された6段階の設定状態(「設定1」〜「設定6」)のうちどの設定状態が選択されたかを判定した上で、選択された設定状態に応じた内部処理を実行する。
ステップS106では停電フラグが格納されているか否かを確認する。停電フラグが格納されていない、すなわち先のステップS103又はステップS105にてRAM153のデータがクリアされている場合には、後述するステップS107の通常処理に進み、本処理を終了する。
ステップS106において停電フラグが格納された状態にあるときには、ステップS108以降に示す復電処理に移行する。停電フラグが格納された状態にあるということは、ステップS103のRAMクリア処理、ステップS105の設定変更処理等のサブルーチン処理が全く実行されていないことを意味する。従って、RAM153のデータは全く書き替えられていないこととなり、復電処理ではRAM153のデータなどが正常であるかどうかなどの確認処理が必要となる。
そのために先ず、ステップS108ではRAM判定値が正常であるか否かを確認する。RAM判定値とは、RAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。具体的には、RAM153のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合、RAM153のデータは正常であると判定する。
ステップS108においてRAM判定値が異常である、つまりチェックサムの値が0でなかったときには、RAM153のデータが破壊された可能性が高い。そのため、このような場合にはステップS109にてエラー表示処理を行う。エラー表示処理として、先ず割込み処理を禁止し、入出力ポート内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポートに接続された全てのアクチュエータをOFFに制御する。その後、遊技ホールの管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に、リセットボタン56がON操作されるまでかかる状態を維持する。
ステップS108においてRAM判定値が正常であると判定した場合にはステップS110に進み、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる。次に、ステップS111において、復電処理の実行を伝える復電コマンドをサブ制御装置80に送信する。その後、ステップS112にて遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い、ステップS113にてスタート検出センサ41a等の各種センサの初期化を行い、ステップS114にて排出用ステッピングモータ26の初期位置復帰を行う。具体的には、排出用ステッピングモータ26の初期位置センサ28がONであるか否かを判定する。ONである場合は、すでに回転体24が初期位置に存在するため、そのまま本初期位置復帰処理を終了する。一方、初期位置センサ28がOFFである場合には、排出用ステッピングモータ26を駆動し、排出用ステッピングモータ26の初期位置センサ28がONになるまで、回転体24を回転させる。
以上の処理が終了した後、ステップS115にて停電フラグをリセットし、電源遮断前の番地に戻る。具体的には、先に説明したタイマ割込み処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップS104)が実行されることとなる。
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について図10のフローチャートに基づき説明する。
先ずステップS201では、貯留記憶されている仮想メダル、又はベットされたメダルを実際のメダルとして排出するためのメダル精算処理を実行する。先ず前回の遊技回において再遊技入賞が成立し、再遊技設定がなされているか否かを判定する。再遊技入賞とは、抽選処理にて再遊技当選となり、有効ライン上に再遊技図柄の組合せが成立することにより発生する。そして、再遊技入賞が成立した場合には、遊技者にとっては、次の遊技回をメダル又は仮想メダルの投入を要することなく開始させることができる。再遊技設定がなされている場合には、そのまま本メダル精算処理を終了し、再遊技設定がなされていない場合には、精算検出センサ51aからの検出信号に基づいて、精算ボタン51が操作されたか否かを判定する。精算ボタン51が操作されていない場合には、そのまま本メダル精算処理を終了する。精算ボタン51が操作されている場合には、RAM153の仮想メダル記憶エリア153dを確認することで仮想メダルが貯留記憶されているか否かを判定するとともに、RAM153のベットメダル記憶エリア153eを確認することでメダルがベットされているか否かを判定する。仮想メダルが貯留記憶されておらず、さらにメダルがベットされていない場合には、メダルを排出する(精算する)必要がないため、そのまま本メダル精算処理を終了する。仮想メダルが貯留記憶されている又はメダルがベットされている場合には、排出制御処理を実行した後に本メダル精算処理を終了する。
続いてステップS202では、メダルがベットされているか否かを判定する。すなわち、クレジット投入ボタン47〜49の操作により仮想メダルがベットされたか、又はメダル投入口45よりメダルが投入されたか否かを判定する。
ステップS202において、メダルがベットされているときには、続いてステップS203にて有効ライン設定処理を実行する。有効ライン設定処理では、RAM153のベットメダル記憶エリア153eを確認することにより、現在のベット枚数を把握し、その把握したベット枚数に応じて有効ラインを設定する。このベット枚数に応じた有効ラインの設定については既に説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。ちなみに、設定された有効ライン数が多いほど、後述する抽選処理にて当選となった役の入賞が成立し易くなる。つまり、設定された有効ライン数が多いほど、すなわちベット枚数が多いほど、1遊技回でのメダルの獲得期待値が高くなると言える。
続くステップS204では、スタートレバー41が操作されたか否かを判定する。ステップS202,ステップS204が共にYESの場合には、ステップS205にてベット不許可処理を実行する。具体的には、RAM153の遊技中フラグ格納エリアに遊技中フラグを格納する。当該遊技中フラグが格納されることにより、クレジット投入検出センサ47a〜49aからのON信号が無効化される。また、通路切替用のソレノイドが非励磁とされ、仮にメダル投入口45からメダルが投入されたとしても皿用通路76を介して遊技者にかかるメダルが返却されるようになる。さらには、精算検出センサ51aからのON信号が無効化される。
その後、ステップS206の抽選処理、ステップS207のリール制御処理、ステップS208のメダル払出処理、ステップS209の特別遊技状態処理を順に実行し、ステップS210ではベット許可処理を行う。かかる処理では、RAM153の遊技中フラグ格納エリアから遊技中フラグをクリアする。これにより、クレジット投入検出センサ47a〜49a及び精算検出センサ51aからのON信号の無効化状態が解除される。また、通路切替用のソレノイドが励磁され、メダル投入口45からメダルが投入された際にメダル通路140へ導かれるようになる。以上の処理を行った後、ステップS201に戻る。一方、ステップS202にてメダルがベットされていない、またはステップS204にてスタートレバー41が操作されていない場合も、ステップS201に戻る。
次に、通常処理におけるステップS206〜ステップS209の各処理について説明する。
ステップS206の抽選処理について説明する。
先ず、乱数テーブル選択処理を実行する。当該乱数テーブル選択処理では、スロットマシン10の現在の設定状態に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する。ここで、スロットマシン10の設定状態は図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」のいずれかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。
また、乱数テーブル選択処理では、現在のベット枚数に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する。つまり、乱数テーブル選択処理では、RAM153のベットメダル記憶エリア153eを確認し、当該エリア153eに格納された値に基づいて当否決定用の乱数テーブルを選択する。具体的には、ベット枚数は1〜3枚のいずれかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比して3倍よりも高い確率となっている。かかる構成より、ベット枚数が多いほど、1遊技回でのメダルの獲得期待値が高くなると言える。
このようにして選択された乱数テーブルに、スタートレバー41が操作されたときに乱数カウンタ154よりラッチした乱数を照らして役の抽選を行う。ここで、役には所定枚数の払い出しのある小役、メダルを投入することなく次ゲームをプレイできるリプレイ、小役入賞の当選確率が一般遊技状態と比して非常に高い特別遊技状態などが存在する。各役に対応させて入賞を成立させるための図柄または図柄の組合せが設定されており、当選となった役に対応した図柄または図柄の組合せが有効ライン上に停止することで、その当選役に対応した特典が遊技者に付与される。抽選処理では、いずれかの役に当選したか否かを判定し、いずれの役にも当選していない場合にはそのまま本処理を終了する。いずれかの役に当選した場合には、その役に応じた当選フラグを格納すると共に図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。続いてリール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納する。ここで、スベリテーブルとは、ストップボタン42〜44が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
次に、ステップS207のリール制御処理について、説明する。
リール制御処理では、先ずウエイト処理を行う。このウエイト処理は、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまで今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機する処理である。このため、遊技者がメダルをベットしてスタートレバー41を操作したとしても、直ちに各リール32L,32M,32Rが回転しないことがある。ウエイト処理に続いてリール回転処理を行い、各リール32L,32M,32Rを回転させる。その後、左リール32Lが回転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定し、経過していない場合には所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過した場合には、ストップボタン42〜44のいずれかが押下操作されてリールの停止指令が発生したか否か、より具体的にはストップ検出センサ42a〜44aからのON信号を受信しているか否かを判定する。停止指令が発生していない場合には、予め定められた各リール32L,32M,32Rの最大回転時間を経過したか否かを判定する。最大回転時間を経過していない場合には再び停止指令の有無を調べ、最大回転時間を経過した場合には回転中の全てのリールを強制的に順次停止させる強制停止処理を行う。
一方、ストップボタン42〜44のいずれかが押下操作されて停止指令が発生した場合には、リール停止処理を行う。このリール停止処理では、押下操作されたストップボタン42〜44に対応するリールを停止させるが、役の抽選において役に当選し、当選フラグが格納されている場合にはRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶように制御する。
続いて、今回の停止指令が第1停止指令か否か、すなわち3つのリール全てが回転しているときにストップボタン42〜44が押下操作されたか否かを判定する。第1停止指令の場合には、スベリテーブル変更処理を行う。このスベリテーブル変更処理では、例えば当選した有効ライン上で役を揃えようとしたときに役の複合が発生するか否かを判定し、役の複合が発生しないときにはそのまま次のステップに移行し、役の複合が発生するときには当選した有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に変更後の有効ラインに合ったスベリテーブルに変更した後に次のステップに移行する。
一方、今回の停止指令が第1停止指令でないときには、第2停止指令か否か、つまり3つのリールのうち1つのリールが停止し2つのリールが回転しているときにストップボタン42〜44が押下操作されたか否かを判定する。第2停止指令のときには、停止目判定処理を行う。この停止目判定処理では、2つのリールが停止したときにその2つが「7」図柄等のボーナス図柄で揃っているか否かを判定し、揃っていないときにはそのまま次のステップに移行し、揃っているときにはスピーカ65から効果音等を発生させた後に次のステップに移行する。
そして、前出の強制停止処理、又は前出のスベリテーブル変更処理の後、あるいは今回の停止指令が第2停止指令でなかった場合、又は前出の停止目判定処理を行った後には、左リール32L、中リール32M、右リール32Rのすべての回転が停止したか否かを判定する。全てのリールが停止していない場合には停止指令の有無を調べ、全てのリールが停止している場合には払出判定処理を行った後に本リール制御処理を終了する。
払出判定処理では、役が有効ライン上に並んでいるか否かを判定し、役が有効ライン上に並んでいないときにはRAM153の払出予定数格納エリアに「0」をセットし、役が有効ライン上に並んでいるときにはその役が当選した役と一致しているか否かを判定し、一致していないときには上部ランプ64等によりエラー表示を行うと共に払出予定数格納エリアに「0」をセットする。一致しているときには払出予定数格納エリアに並んだ役と対応する払出数をセットする。
次に、ステップS208のメダル払出処理について説明する。
メダル払出処理では、先ず払出数カウンタがカウントした払出数と、払出予定数格納エリアに格納された払出予定数とが一致しているか否かを判定する。払出数と払出予定数とが一致していないときには、RAM153の仮想メダル記憶エリア153dの仮想メダル枚数が上限(貯留されている仮想メダル枚数が50枚)に達しているか否かを判定する。上限に達していないときには、仮想メダル記憶エリア153dの仮想メダル枚数及び払出数をそれぞれ1加算する。その後、クレジット表示部16及び獲得枚数表示部17の枚数をそれぞれ1加算するための表示部変更処理を行う。
一方、仮想メダル記憶エリア153dの仮想メダル枚数が上限に達しているときには、メダル払出用回転板を駆動してメダルをホッパ装置53からメダル排出口58を介してメダル受け皿59へ払い出す。続いてホッパ装置53に取り付けられた払出検出センサ53cのメダル検出信号に応じて払出数を1加算する。その後、獲得枚数表示部17の枚数を1加算するための表示部変更処理を行う。表示部変更処理を行った後、再び払出数と払出予定数との一致を見る。払出数と払出予定数とが一致したときには、払出終了処理を行った後に本メダル払出処理を終了する。払出終了処理では、払出予定数格納エリアや払出数カウンタの値を「0」にクリアする。
次に、ステップS209の特別遊技状態処理について説明する。
遊技状態の移行のみが行われる状態移行入賞後に特別遊技状態となる。具体的には、各リール32L,32M,32Rの特定図柄が有効ライン上に停止した場合に状態移行入賞となる。状態移行入賞が成立した場合には、遊技状態が特別遊技状態に移行する。
特別遊技状態処理(BB状態処理)では、BBに当選していることを示すBB当選フラグに「1」が格納されている状況で、その当選フラグに対応した入賞が成立しているか否かを判定する。BB入賞が成立した場合には、RAM153のBB設定フラグに「1」を格納することで遊技状態をBB状態に移行させる。また、RAM153に、BB状態中に払出可能な残りのメダル数を示す残払出数データとして所定の値を格納する。
遊技状態がBB状態となることで、抽選処理ではBB状態用抽選テーブルを選択する。また、BB状態においては、リール32L,32M,32Rの回転が停止され入賞が発生する毎にその入賞分の数がRAM153の残払出数データから減算される。そして、残払出数データが「0」となった場合に、BB設定フラグが「0」クリアされて、BB状態が終了する。BB状態が終了した場合には、1回のゲームが終了したことを意味するため、RAM153に格納された各種遊技情報等のデータ(例えば前回の遊技で用いた乱数値等)をクリアする。
<タイマ割込み処理>
次に主制御装置131のCPU151により例えば1.49msecごとに発生するタイマ割込み処理について、図11のフローチャートに基づき説明する。図11は、タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
先ず、ステップS301に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているCPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる。ステップS302では停電フラグが格納されているか否かを確認し、停電フラグが格納されているときにはステップS303に進み、停電時処理を実行する。
ここで、停電時処理について説明する。先ず、コマンド送信が終了しているか否かを判定する。送信が終了していない場合には本処理を終了してタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。コマンドの送信が完了している場合には、CPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する。その後、停止処理としてRAM判定値をクリアすると共に入出力ポートにおける出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをOFFにする。次に、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより、それ以後のRAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
タイマ割込み処理の説明に戻り、ステップS302にて停電フラグが格納されていない場合には、ステップS304以降の各種処理を行う。
すなわち、ステップS304では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS305では、CPU151自身に対して次回のタイマ割込みを設定可能とする割込み終了宣言処理を行う。ステップS306では、各リール32L,32M,32Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ61を駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS307では、入出力ポートに接続された各種センサ(図8参照)の状態を読み込むと共に、読み込み結果が正常か否かを監視するセンサ監視処理を行う。
ステップS308では、排出用ステッピングモータ26の駆動により回転体24が回転して排出される滞留メダルを検出する滞留メダル排出検出処理を行う。ステップS309では、回転体24が初期位置に復帰したことを契機として、排出用ステッピングモータ26の停止処理を行う。
続くステップS310では、クレジット投入ボタンからの信号に応じて所定枚数のメダルをベットする仮想メダル投入処理を行う。ステップS311では、各タイマの値の減算等を行うタイマ演算処理を行う。ステップS312では、メダルのベット数や、払い出し枚数をカウントした結果を外部集中端子板171へ出力するベット枚数のイン・アウトカウンタ処理を行う。ステップS313では、各種コマンドをサブ制御装置80へ送信するコマンド出力処理を行う。ステップS314では、セグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う。ステップS315では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを所定の表示部に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う。ステップS316では、I/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS317では、先のステップS301にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれCPU151内の対応するレジスタに復帰させる。その後ステップS318にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
次に、メダルの投入に基づくベット設定について説明する。メダルの投入に基づくベット設定は、上述したタイマ割込み処理(図11)におけるステップS307のセンサ監視処理にて行われる。詳細には、センサ監視処理における投入メダル検出処理にて行われる。
投入メダル検出処理について図12のフローチャートを用いて説明する。
投入メダル検出処理では、先ずステップS401にてベット許可状態か否かを判定する。ベット許可状態でなければ、そのまま本投入メダル検出処理を終了する。ステップS401にて、ベット許可状態である場合に次のステップS402にて投入監視処理を実行する。投入監視処理では、各投入メダル検出センサ146a,146bが検出した信号に基づいて、メダルが投入されたか否かを確認する。
ここで、投入監視処理について図13のフローチャートを用いて説明する。
ステップS501〜ステップS504ではメダルの検出順序確認処理を実行する。具体的には、ステップS501における第1判定処理で第1投入メダル検出センサ146aがONとなったか否かを、ステップS502における第2判定処理で第1,第2投入メダル検出センサ146a,146bが共にONとなったか否かを、ステップS503における第3判定処理で第2投入メダル検出センサ146bのみONとなったか否かを、ステップS504における第4判定処理で第1,第2投入メダル検出センサ146a,146bが共にOFFとなったか否かを判定する。これら各判定処理を上記順番で行うことでメダルの検出が適式に行われたか否かを確認する。
上記各判定処理について詳細に説明すると、第1判定処理では、図14に示すように、先ずステップS601にてRAM153に設けられた通過フラグ格納エリアに第1通過フラグが格納されているか否かを判定する。第1通過フラグは、1枚のメダルが投入された場合に、当該メダルが既に第1投入メダル検出センサ146aの検出位置に到達したことを示すフラグである。第1通過フラグが格納されている場合は、そのまま本第1判定処理を終了する。一方、第1通過フラグが格納されていない場合にはステップS602にて第1投入メダル検出センサ146aがONとなっているか否かを判定し、第1投入メダル検出センサ146aがONとなっている場合にはステップS603にて復帰ボタン15がOFFであることを確認する。その後、ステップS604にて排出用ステッピングモータ26の駆動を開始して回転体24を回転させて、くぼみ29にはまっているメダルの排出を行う滞留メダル排出処理を開始し、ステップS605にて回転フラグを格納する。つまり、回転フラグは回転体24が回転中であることを示すフラグである。この際、図14には図示しない排出カウンタに「1」を加算する処理を行う。排出カウンタは検出された投入メダルの数を数えるカウンタである。検出された投入メダルの数と同数の滞留メダルを排出することで、滞留領域84に滞留するメダルの数を一定に保つことができる。そして、ステップS606にて通過フラグ格納エリアに第1通過フラグを格納し、本第1判定処理を終了する。ステップS603にて復帰ボタン15がONである場合にはそのまま本第1判定処理を終了する。これにより、復帰ボタン15をONにした場合には、排出用ステッピングモータ26が駆動せずに、回転体24によるメダルの排出が行われない。よって復帰ボタン15をONにした場合、メダル投入口45からメダルを投入することで、メダル通路140の滞留領域84にメダルを滞留させて、不正前の状態を復元できる。
一方、ステップS602において第1投入メダル検出センサ146aがONでなかった場合には、ステップS607にて第2投入メダル検出センサ146bがONとなったか否かを判定する。第2投入メダル検出センサ146bがONでない場合には、そのまま本第1判定処理を終了する。第2投入メダル検出センサ146bがONである場合には、ステップS608にて遊技禁止設定処理を行い、リセットボタン56がONされるまで、その状態を維持する。リセットボタン56がONされた場合は、解除処理を行い、本第1判定処理を終了する。遊技禁止設定処理では、先ず割込み処理を禁止し、さらに入出力ポート内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポートに接続された全てのアクチュエータをOFFに制御して遊技が不可能な状態とする。また、遊技禁止設定処理では、異常報知処理を実行する。続くステップS609では、リセットボタン56が操作されるまで待機する。上記のように異常処理を実行することで、メダルを投入メダル検出センサ146a,146b付近で往復動させてメダルの投入を誤認識させる不正行為が抑制される。
その後、リセットボタン56が操作されることにより、ステップS609にて肯定判定をし、ステップS610に進む。ステップS610では、上述した異常処理を解除する。具体的には、次回のタイマ割込み処理を許可し、異常報知処理を解除する。また、ステップS610では、RAM153の通過フラグ格納エリアに格納された通過フラグをクリアする。その後、本第1判定処理を終了する。
次に、第2判定処理では、先ずRAM153の通過フラグ格納エリアに第2通過フラグが格納されているか否かを判定する。第2通過フラグは、1枚のメダルが投入された場合に、当該メダルが既に第1,第2投入メダル検出センサ146a,146bの両方の検出対象領域内に存在することを示すフラグである。第2通過フラグが格納されていない場合には、第1投入メダル検出センサ146a及び第2投入メダル検出センサ146bが共にONとなったか否かを判定し、共にONとなっている場合には、復帰ボタン15がOFFであることを確認して、通過フラグ格納エリアに第1通過フラグが格納されているか否かを判定する。第1通過フラグが格納されている場合には通過フラグ格納エリアに第2通過フラグを格納する。その後、本第2判定処理を終了する。
一方、通過フラグ格納エリアに第2通過フラグが格納されている場合には、そのまま本第2判定処理を終了する。復帰ボタン15がONである場合も、そのまま本第2判定処理を終了する。復帰ボタン15がONである場合には、滞留メダルの補充を行っており、メダルの検出を行う必要がないためである。また、第1投入メダル検出センサ146a及び第2投入メダル検出センサ146bが共にONでない場合には、第1通過フラグの格納後に所定時間が経過したか否かを判定する。かかる判定は、例えば、チェックの回数により判定する。所定時間が経過していない場合には、そのまま本第2判定処理を終了する。一方、第1投入メダル検出センサ146a及び第2投入メダル検出センサ146bが共にONでなく、所定時間が経過している場合、または第1,第2投入メダル検出センサ146a,146bが共にONであり、第1通過フラグが格納されていない場合には、遊技禁止設定処理を行い、リセットボタン56がONされるまで、その状態を維持する。リセットボタン56がONされた場合は、解除処理を行い、本第2判定処理を終了する。
次に、第3判定処理について説明する。当該第3判定処理では、第2判定処理と類似した処理を実行する。先ず、第3通過フラグが格納されているか否かを判定し、格納されている場合はそのまま本第3判定処理を終了する。ここで、第3通過フラグは1枚のメダルが投入された場合に当該メダルが既に第1投入メダル検出センサ146aの検出対象領域を通過し終えたことを示すフラグである。
一方、第3通過フラグが格納されていな場合は、第2投入メダル検出センサ146bのみONとなったか否かを判定する。第2投入メダル検出センサ146bのみがONとなっていない場合は、第2通過フラグの格納後に所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合は、そのまま本第3判定処理を終了する。一方、所定時間が経過している場合には、遊技禁止設定処理を行い、リセットボタン56がONされるまで、その状態を維持する。そして、リセットボタン56がONされた場合は、解除処理を行い、本第3判定処理を終了する。また、第2投入メダル検出センサ146bのみONであった場合、復帰ボタン15がOFFであることを確認して、第1通過フラグ及び第2通過フラグが格納されているか否かを判定し、両通過フラグが格納されてない場合も同様の処理を行う。一方、両通過フラグが格納されている場合は、第3通過フラグを通過フラグ格納エリアに格納し、本第3判定処理を終了する。復帰ボタン15がONである場合は、そのまま本第3判定処理を終了する。復帰ボタン15がONである場合には、滞留メダルの補充を行っており、メダルの検出を行う必要がないためである。
次に、第4判定処理について説明する。第4判定処理では、先ず、第4通過フラグが格納されているか否かを判定し、格納されている場合はそのまま本第4判定処理を終了する。ここで、第4通過フラグは1枚のメダルが投入された場合に当該メダルが既に第1投入メダル検出センサ146a及び第2投入メダル検出センサ146bの検出対象領域を通過し終えたことを示すフラグである。
一方、第4通過フラグが格納されていない場合は、第1投入メダル検出センサ146a及び第2投入メダル検出センサ146bが共にOFFとなったか否かを判定する。2つの投入メダル検出センサ146a,146bが共にOFFとなっていない場合は、第3通過フラグの格納後に所定時間が経過したか否かを判定する。投入されたメダルが第2投入メダル検出センサ146bの検出対象領域の上流側の端から下流側の端まで移動するのに要する時間より若干長い所定時間が経過していない場合はそのまま本第4判定処理を終了する。一方、所定時間を経過している場合には、遊技禁止設定処理を行い、リセットボタン56がONされるまで、その状態を維持する。そして、リセットボタン56がONされた場合は、解除処理を行い、本第4判定処理を終了する。また、2つの投入メダル検出センサ146a,146bが共にOFFの場合において、復帰ボタン15がOFFであることを確認して、第1〜第3通過フラグの全てが通過フラグ格納エリアに格納されているか否かを判定し、格納されていない場合も同様の処理を行う。一方、第1〜第3通過フラグの全てが格納されている場合は、1枚のメダルが投入された場合に当該メダルが既に第2投入メダル検出センサ146bの検出位置を通過し終えたことを示す第4通過フラグを格納し、本第4判定処理を終了する。復帰ボタン15がONである場合は、そのまま本第4判定処理を終了する。復帰ボタン15がONである場合には、滞留メダルの補充を行っており、メダルの検出を行う必要がないためである。
投入監視処理(図13)の説明に戻り、ステップS501〜ステップS504の検出順序確認処理を実行した後は、ステップS505にて通過フラグ格納エリアに第1〜第4の全通過フラグが格納されているか否かを判定する。全通過フラグが格納されていない場合には、そのまま本投入監視処理を終了する。全通過フラグが格納されている場合には、ステップS506にてRAM153の通過完了フラグ格納エリア153aに通過完了フラグを格納するとともに、第1〜第4の全通過フラグをクリアして本投入監視処理を終了する。
投入メダル検出処理(図12)の説明に戻り、ステップS402にて投入監視処理を実行した後は、ステップS403にて正常なメダルの検出があったか否かを判定する。かかる判定は、通過完了フラグが格納されているか否かを判定することにより行われる。通過完了フラグは投入監視処理(図13)におけるステップS506にて格納されるフラグである。
正常なメダルの検出がなかった場合には、そのまま本投入メダル検出処理を終了する。正常なメダルの検出があった場合には、ステップS404に進む。ステップS404では、RAM153のベットメダル記憶エリア153eを確認することにより、最大ベット枚数となっているか否かを判定する。この最大ベット枚数は、例えば、遊技状態が通常ゲームの場合には「3」となっている。最大ベット枚数でない場合には、ステップS405にてRAM153のベットメダル記憶エリア153eの値(ベット枚数)を1加算した後に、ステップS407に進む。一方、最大ベット枚数である場合には、ステップS406にて仮想メダル枚数を1加算した後にステップS407に進む。つまり、最大ベット枚数の状況においてメダルが投入されると、その投入されたメダルは仮想メダルとして貯留記憶される。
ステップS407では、最大ベット枚数であって最大仮想メダル枚数(例えば、50枚)であるか否かを判定する。いずれかが最大枚数でない場合には、そのまま本投入メダル検出処理を終了する。いずれも最大枚数である場合には、ステップS408にて通路切替用のソレノイドを非励磁状態としてメダルの投入を不許可とした後に、本投入メダル検出処理を終了する。このメダルの投入を不許可とした状態は、最大ベット枚数の状態又は最大仮想メダル枚数の状態のいずれかが解消されることに応じて、解除される。
次に、滞留領域に滞留しているメダルの排出制御を行うための処理構成について説明する。
図15のフローチャートを用いて、ステップS308(図11)の滞留メダル排出検出処理について説明する。先ず、ステップS701にて、回転フラグが格納されているか否かを判定する。回転フラグは排出用ステッピングモータ26の駆動により回転体24が回転中であることを示すフラグであり、第1判定処理(図14)におけるステップS605にて格納される。ステップS701にて、回転フラグが格納されていない場合は、回転体24が回転していないことを意味するため、そのまま本滞留メダル排出検出処理を終了する。
一方、ステップS701にて、回転フラグが格納されている場合には、ステップS702に進み、排出メダルの検出があるか否かを判定する。回転体24が回転する場合、回転体24のくぼみ29に存在していたメダルは、排出される際に排出メダル検出センサ27により検出される。排出メダルの検出が確認された場合は、ステップS703において、排出カウンタの値を「1」減算する。
ステップS702において、排出メダルが検出されていない場合には、ステップS704にて、所定時間が経過しているか否かを判定する。所定時間は回転体24が90°回転する時間よりも若干長い。所定時間を経過していなければ、そのまま本滞留メダル排出検出処理を終了する。排出用ステッピングモータ26が駆動を開始し、回転体24が回転し始めた直後で、未だ滞留メダルの排出に至っていない場合が考えられるためである。一方、ステップS704において、所定時間を経過している場合には、ステップS705に進み、異常処理を行って無限ループに入る。回転体24が所定時間回転しているにも関わらず、所定時間内に滞留メダルの排出が確認されない場合は、不正用治具による不正行為が行われていると考えられるためである。
異常処理とは、遊技ホールの管理者などにエラーの発生を報知するための処理である。具体的には、サブ制御装置80に対して第1エラーコマンドを出力することにより、上部ランプ64を所定の態様で点灯させる。なお、当該異常報知の態様は、これに限定されることはなく、例えば、スピーカ65から所定の報知音又は報知音声を出力する構成としてもよく、補助表示部66にて所定の報知表示を行う構成としてもよい。さらには、外部集中端子板171を介してホール管理装置にエラー信号を送信する構成としてもよい。
不正用治具によるメダルの誤認識が行われた場合、滞留領域84に存在していた滞留メダルは1枚ずつ回転体24の回転によって貯留タンク用通路25に運ばれる。したがって、予め滞留させていたメダルの枚数分の不正が行われた場合に滞留領域84は空になる。その後、さらに不正が続けられた場合、メダルの投入は検出されるが、メダルの排出は検出されない状態となる。ステップS705はこのような状態になった場合に異常処理を行うことを意味している。一方、復帰ボタン15がON操作されている場合には、排出用ステッピングモータ26が駆動せず、回転体24が回転しないため、滞留領域84にメダルの補充が可能である。
次に、図16のフローチャートを用いて、ステップS309(図11)の排出用ステッピングモータ26の停止処理について説明する。
先ず、ステップS801にて、回転フラグが有るか否かを判定する。回転フラグが無い場合は、回転体24が回転していないため、そのまま本排出用ステッピングモータ26の停止処理を終了する。一方、回転フラグが格納されている場合は、ステップS802において、排出用ステッピングモータ26の初期位置センサ28がONであるか否かを判定する。初期位置センサ28がOFFである場合には、回転体24は回転途中であり、初期位置に戻っていないため、そのまま本排出用ステッピングモータ26の停止処理を終了する。
一方、ステップS802にて、初期位置センサ28がONである場合には、ステップS803に進み、排出カウンタの値が「0」であるか否かを判定する。排出カウンタの値が「0」でない場合は、そのまま本排出用ステッピングモータ26の停止処理を終了する。検出された投入メダルの枚数と排出された滞留メダルの枚数が一致していないためである。一方、ステップS803にて排出カウンタの値が「0」である場合には、ステップS804に進み、排出用ステッピングモータ26を停止する。その後、ステップS805で回転フラグをクリアし、本排出用ステッピングモータ26の停止処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
投入メダルを滞留させるための滞留領域84を設け、1枚のメダルの投入に対して1枚のメダルが排出される構成とした。これにより、不正用治具によりメダルの誤認識が起きた場合、メダルの排出のみが行われる。メダルが滞留しない状態となることで、遊技ホールの管理者は不正の事実を知ることができる。
滞留領域84の上流に2つの投入メダル検出センサ146a,146bを配設するとともに、下流に回転体24を配設した。2つの投入メダル検出センサ146a,146bのうち、上流側の第1投入メダル検出センサ146aの立ち上がり、具体的には011の信号を検出したタイミングで排出用ステッピングモータ26を駆動し、回転体24を回転させる。これにより、滞留メダル排出の開始タイミングが早くなり、メダルが投入されてから滞留メダルの列の最後尾に到達するまでにメダルの排出を行うことが容易になる。これに伴い、メダルの連続投入が行われても、滞留メダルが増加しないようにするための通路設計が容易となる。かかる通路設計を実現することにより、不正用治具により不正を行った者は、滞留領域84を元の状態に戻すことができなくなる。
メダルの滞留領域84を外部から視認できるように、透明または半透明な視認用窓部67a,67b,67cを設けた。これにより、メダルの滞留領域84を外部から目視により確認することができる。不正用治具により不正が行われた場合、滞留メダルは1枚分の不正行為に対して1枚ずつ減少する。遊技ホールの管理者は滞留メダルが減少する様子を遊技機外部から視認可能である。したがって、不正の有無を1枚分の不正から認識することが可能となり、遊技ホールが被る被害を最小限に抑えることができる。
視認できる範囲はメダルが滞留している範囲に限り、その上流に位置する投入メダル検出センサ146a,146b及びその下流に位置する回転体24及び回転体24のくぼみ29にはまっているメダル、初期位置センサ28、排出メダル検出センサ27は見えない構成とした。これにより、滞留メダルの上流に位置する投入メダル検出センサ146a,146b及び下流のセンサ類には外部から入光せず、センサ類の誤作動を防ぐことができる。
第1投入メダル検出センサ146aにおいて、メダル検出の信号を得たにもかかわらず、所定時間メダルの排出が行われない場合は滞留メダル排出検出処理(図15)のステップS705の異常処理を行う構成とした。第1投入メダル検出センサ146aがメダルの誤認識を滞留メダルの枚数分続けた場合、滞留領域84は空になるため、次回の不正において、第1投入メダル検出センサ146aがメダル検出の信号を得たにも関わらず、排出メダル検出センサ27がメダルの排出を検出しない状態となる。この状態に対して遊技機が滞留メダル排出検出処理におけるステップS705と同じ異常処理を実行することで、遊技ホールの管理者は不正が行われた事実を知ることができる。
不正が行われた後、遊技ホールの管理者が滞留領域84を元の滞留状態に戻すための復帰ボタン15が前面扉12の背面に配置した。当該復帰ボタン15がON操作されると排出用ステッピングモータ26が駆動せず、回転体24が回転しない。このため、不正が行われた後、遊技ホールの管理者は当該復帰ボタン15を操作して回転体24の動きを止め、滞留領域84にメダルを滞留させて、元の状態を容易に復元できる。一方、復帰ボタン15が前面扉12の背面に設けられている。前面扉12は、その背面に設けられた施錠装置13によって開放不能に施錠状態とされているため、不正を行った者が当該復帰ボタン15を操作して、滞留領域84を元の状態に復元することは困難である。
<第2の実施形態>
本実施形態では、滞留領域84の構成が上記第1の実施形態と異なっている。また、本実施形態では特殊メダル通路149が存在する。そこで、以下にかかる相違する構成について説明する。なお、上記第1の実施形態と同一の構成については基本的に説明を省略する。
図17は、本実施形態におけるセレクタ52を構成するベースケース体74、メダル通路140、特殊メダル通路149及び回転体24の概略断面図である。また、図18は本実施形態において不正が行われた場合のメダルの動きを示す、セレクタ52を構成するベースケース体74、メダル通路140、特殊メダル通路149路及び回転体24の概略断面図である。
本実施形態においては、メダル通路140の滞留領域84は、途中位置で曲がっており、そのコーナー部分よりも上流側を構成し当該コーナー部分に向けて下り傾斜となった上流領域126と、コーナー部分よりも下流側を構成し鉛直方向に延びる下流領域125とを備えている。下流領域125の下流には回転体24が設置されている。回転体24の初期位置において、回転体24のくぼみ29は鉛直上向きである。下流領域125を流下したメダルが、初期位置にある回転体24のくぼみ29にはまる構造となっている。回転体24からメダル4枚分の場所に下流領域125と上流領域126が交わる曲がり角が存在する。2つの領域は共に第1の実施形態における滞留領域84と同じ幅と厚みを有している。したがって、遊技者が投入するメダルは滞留領域84の最後尾に並んだ後、メダルの投入が行われる度に上流領域126の通路に沿って移動した後、下流領域125の通路に沿って移動し、最終的に排出用ステッピングモータ26の駆動により回転する回転体24によって貯留タンク用通路25へと移動する。
下流領域125は途中で分岐しており、回転体24からメダル2つ分上流に移動した場所で特殊メダル通路149とつながっている。当該特殊メダル通路149は、下流領域125に対してほぼ90°の角度で接続されている。正確には、特殊メダル通路149は水平方向に対して5°ほど緩やかに下方へ傾斜している。当該特殊メダル通路149には、遊技者の使用するメダルとは異なる特殊なメダルが1枚滞留している。当該特殊メダルは通常の遊技者が使用するメダルと同じ大きさを有しているが、色または模様が異なるため、一見して通常のメダルと違うことが判断できる。このようなメダルを使用することにより、不正用治具により不正が行われた場合に、不正を行った者では復元困難な状況を作り出せる。なお、特殊メダル通路149の傾斜は、水平方向に対して5°以上であっても以下であっても良いが、正規のメダル投入に伴う滞留メダルの移動において、特殊メダルが下流領域125内へ移動しない程度に緩やかである必要がある。また、滞留させる特殊メダルは複数枚であっても良い。通常、上流領域126及び下流領域125に遊技者が使用する通常メダルが滞留している場合、通常メダルの動きが優先されるため、特殊メダルは移動したり、排出されたりしない。特殊メダル通路149は特殊メダル投入口163に通じており、特殊メダル投入口163はスロットマシン10の前面扉12の背面に設けられている。当該特殊メダルは、特殊メダル投入口163から、遊技ホールの管理者により手入れで補充される。
ここで、視認用窓部67は特殊メダル1枚分が外部から見える位置に、特殊メダル1枚分よりも若干大きな面積で設けられる。視認用窓部67は四角形であっても円形であっても良い。当該視認用窓部67は装飾シート35、内ケース34、及び前面扉12のベース体37にあけられた視認用孔68a,68b,68cに透明または半透明の視認用窓部67a,67b,67cを接着剤で固定することにより形成される。
図18(a)に示すように、不正用治具による不正が行われた場合、滞留領域84内の滞留メダルのうち、上流領域126のメダルが減少し、失われる。上流領域126も外部から視認可能な構成においては、1枚分の不正から見抜くことができる。その後も不正を続けると、下流領域125の滞留メダルも減少し始める。そして、下流領域125における滞留メダルの残り枚数が、回転体24のくぼみ29にはまっているものと合わせて2枚となったところで、特殊メダル通路149内の特殊メダルが下流領域125に流れ込む。特殊メダルのみを外部から視認可能な構成において、この時点で不正が行われたことを目視により把握することが可能となる。最終的に図18(b)に示すように特殊メダルも排出され、排出メダル検出センサ27が排出メダルを検出しなくなり、異常状態であることを遊技ホールの管理者に報知する。不正を行った者が入手可能なメダルは通常のメダルに限られているため、一度特殊メダルが移動すると、元の状態を復元することは困難である。
以上詳述した本実施形態によれば、特殊メダルが特殊メダル通路149に存在することが、不正が行われていないことの証拠となる。このため、特殊メダル通路149のうち、少なくとも特殊メダルが存在する部分に視認用窓部67を設けておくことで、外部から特殊メダルの存在の有無を確認することができ、不正の有無を容易に確認できる。つまり、視認用窓部67の面積が狭くて済む。これは、装飾シート35、内ケース34、及び前面扉12のベース体37にあける視認用孔68a,68b,68cの面積が狭くて済むことを意味している。
また、通常の遊技者は特殊メダルを手に入れることができないため、不正が行われた場合、特殊メダルを不正前の状態に戻すことは困難であり、遊技ホールの管理者は不正が行われた旨を知ることができる。また、遊技ホールの管理者は不正が行われて特殊メダルが失われた状態からでも、前面扉12の裏にある復帰ボタン15をONにした後、通常メダルを滞留させ、その後に特殊メダルを手入れにより補充することで、元の状態に復帰させることが可能である。
<第3の実施形態>
本実施形態では、不正用治具による不正行為が行われた場合に、不正が行われた事実を外部に知らせる方法が上記第1の実施形態と異なっている。以下、当該相違する構成について説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態と同一の構成については基本的にその説明を省略する。
図19は、本実施形態におけるメダル通路140の滞留領域84の構造を示す概略断面図である。また、図20は本実施形態において不正が行われた場合における滞留領域84の天井可動部86aの動きを示す概略断面図である。
図19に示すように滞留領域84の上部には滞留領域84の天井86が存在する。また、天井86の一部は前面扉12のベース体37において縦方向に延在させて設けられた左右一対のレール88によりスライド移動可能に支持された天井可動部86aとなっている。天井可動部86aは滞留領域84の天井86のうち、セレクタ52の出口を一端として、滞留メダルの下流から3枚目のメダルの上を他端とする範囲にわたって存在している。天井可動部86aと前面扉12のベース体37との間にはバネ89が圧縮状態で2か所に配設されており、天井可動部86aが滞留領域84に向けて付勢されている。滞留領域84に向けて付勢されている天井可動部86aが滞留メダル上に乗っている構成であっても、バネ89の付勢力は弱く設定されているとともに、滞留領域84の天井部分には低摩擦化処理が施されているため、滞留メダルは自重によって下流へと流下することが可能である。滞留メダルが存在する場合は、滞留メダルが当該天井可動部86aを支える形になるため、滞留領域84の幅はメダルの直径に保たれている。また、突起87の先端は前面扉12の背面に突出しているため、前面扉12を開いて当該突起87を持ち上げることで、天井可動部86aを持ち上げることができる。
本実施形態について図20を用いて、不正用治具により不正が行われた場合の天井可動部86aの動きを説明する。図20は滞留領域84の天井可動部86aの動きを示す概略断面図である。通常時は図20(a)のように滞留しているメダルが天井86を支えている。図20(b)に示すように、滞留メダルが減少して残り枚数が2枚になったところで、滞留領域84の天井86を支える滞留メダルが1枚しか存在しなくなる。そして、滞留メダルが残り1枚になったところで、滞留領域84の天井可動部86aは支えを失い、レール88に沿って下方に落ち込む。外部から目視により当該状態を確認することで、不正が行われたことを発見することが可能となる。さらに不正が続けられると、排出メダル検出センサ27が排出メダルを検出しなくなり、異常状態であることが遊技機からの信号により遊技ホールの管理者に報知される。
上述した本実施形態によれば、不正を行った者は、その後にメダルを投入しても、滞留領域84が天井可動部86aによってふさがっているため、メダルを滞留させることができず、元の状態に戻すことができない。このため、不正が行われた事実を、遊技ホールの管理者は必ず発見することができる。一方、遊技ホールの管理者は、前面扉12の背面に突出している突起87を持ち上げることで滞留領域84の天井可動部86aを上げることができ、その間に復帰ボタン15をONにして天井86を支える滞留メダルを補充した後、突起87から手を放し、復帰ボタン15をOFFにすることで、元の状態に戻すことが可能である。
<第4の実施形態>
本実施形態では、滞留領域84を不透明にし、滞留メダルの存在を目視ではなく、センサにより監視する点で、上記第1の実施形態と異なる。以下、当該相違する構成について説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態と同一の構成については基本的にその説明を省略する。
図21は滞留メダル検出センサ127の設置位置を示すスロットマシン10の正面図である。5枚並んでいる滞留メダルの列の上流から2番目のメダル位置に滞留メダル検出センサ127を設置する。不正の早期発見を目的とする場合、不正が行われて、滞留メダルが減少し始める上流に滞留メダル検出センサ127を設けるのが有効である。一方、通常時のメダル投入からメダル排出までの流れの中で、最上流のメダルは頻繁に移動するため、不正の監視に適さない。このため、上流から2番目のメダル位置にセンサが設置されている。本実施形態では滞留領域84を外部から視認する必要がないため、前面扉12のベース体37及び下部パネル33に視認用窓部67を設ける必要がない。
図22は、タイマ割込み処理(図11)内で行われる滞留メダル検出センサ127による滞留メダル検出処理のフローチャートである。先ず、ステップS901において、滞留メダル検出センサ127がONであるか否かを判定し、ONであればそのまま本滞留メダル検出処理を終了する。滞留メダルの存在が確認されたためである。一方、滞留メダル検出センサ127がOFFである場合、ステップS902において、所定時間が経過しているかどうかを確認し、所定時間を経過していなければそのまま本滞留メダル検出処理を終了する。所定時間待つのは、通常のメダル投入時においても、滞留メダルが移動する際に滞留メダル検出センサ127がOFFになる瞬間があるためである。所定時間を経過している場合はステップS903において滞留メダル排出検出処理(図15)のステップS705と同様の異常処理を実行し、無限ループに入る。当該所定時間は、1枚の滞留メダルが排出されてできた隙間を埋めるために他の滞留メダルが移動する時間よりも若干長いものとする。
通常時に正当なメダルの投入が行われた場合、滞留メダルが移動することによって、一時的に滞留メダル検出センサ127がOFFになることが考えられるが、その後、所定時間内にONになるため、異常処理が実行されることはない。一方、不正用治具による不正が行われた場合、滞留領域84内の滞留メダルが減少し、滞留メダル検出センサ127によって、滞留メダルが検出されなくなる。この状態が所定時間以上持続された場合に異常処理が行われる。不正が行われた場合、その後にメダルを投入しても、投入した枚数のメダルが排出されるため、メダルの滞留は起こらない。
上述した本実施形態によれば、前面扉12のベース体37に視認用孔68をあけなくて良い。また、装飾シート35に視認用孔68をあける必要もない。このため、視認用孔68を避けて装飾を印刷する必要もない。
本実施形態によれば、滞留メダル排出処理(図22)内のステップS902において不正用治具による不正行為が行われたか否かを判定する。滞留メダル検出センサ127による異常処理は、滞留メダルが2枚排出された状態において実施される。したがって、下流の排出メダル検出センサ27による異常処理よりも早い段階で不正を遊技ホールの管理者に報知することが可能となる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組合せて適用してもよい。
(1)上記各実施形態においては、滞留メダルの排出を回転体24により行う構成としたが、これに限らず、例えばソレノイドを用いても良い。この場合、通常時のソレノイドを非励磁状態とし、滞留メダルを下から支える。第1投入メダル検出センサ146aが011の信号を検出した場合に、ソレノイドを励磁状態にし、1枚のメダルを下流へ落下させ、落下した1枚のメダルを排出メダル検出センサ27で検出した後、再びソレノイドを非励磁状態として残りの滞留メダルの落下を防ぐことができる。また、複数枚のメダルの連続投入に対しては、第1投入メダル検出センサ146aが検出した投入メダルの数をカウントし、検出した投入メダルの枚数と同数の滞留メダルの排出を排出メダル検出センサ27で検出した後に、ソレノイドを非励磁状態とすることができる。これにより、メダルの連続投入が行われても、滞留領域84に滞留するメダルの数が増加しにくくなる。
(2)上記各実施形態においては、回転体24のくぼみ29の数を1つとしたが、これを複数としても良い。例えば、回転体24のくぼみ29の数を3つにすることが可能である。この場合、回転体24のくぼみ29にはまった滞留メダルは回転体24が120°回転すると自重により落下する。出力軸26aに検出用突起39を120°毎に設けておくことで、回転体24を120°毎に停止させることができる。初期位置から120°回転して停止した回転体24のくぼみ29には滞留メダルが取り込まれる。このように、1枚の滞留メダルを排出するための回転体24の回転角度を減少させることで、より早期に滞留メダルの排出が完了する。これにより、メダルの連続投入が行われても、滞留領域84に滞留するメダルの数が増加しにくくなる。
(3)上記各実施形態においては、回転体24が1回転するのに要する時間をメダルが第1投入メダル検出センサ146aにより検出されてから滞留領域84に待機しているメダルの列の最後尾に到達するまでの時間よりも短いものとしたが、これを遊技者がメダルを連続投入できる最短の間隔よりも短いものとしても良い。これにより、メダルの連続投入が行われても、滞留領域84に滞留するメダルの数は初期状態の枚数より増加しなくなる。
(4)上記各実施の形態において、セレクタ52から滞留領域84までを直線的な通路で結ぶ構成としたが、これに曲がり角を設け、セレクタ52の出口から滞留メダルの待機列の最後尾までの間の距離を、最大ベット枚数(3枚)と最大貯留記憶枚数(50枚)の和である53枚分のメダルを並べられる距離としても良い。これにより、メダルの連続投入が行われても、滞留メダルの待機列の最後尾は常にセレクタ52の下流に保たれる。連続して53枚以上のメダルが投入された場合、メダルはメダル通路140ではなく、皿用通路76に導かれるためである。要は、53枚の想定される最短の連続投入に対しても、滞留メダルの待機列の最後尾がセレクタ52の第2投入メダル検出センサ146bより下流に留まるような通路構成及び排出制御手段を備えていれば良い。これを実現するために、上述した他の実施形態の(1)乃至(3)及び(4)を単独で、又は複合的に適用することができる。
(5)上記各実施形態においては、投入メダルが滞留領域84を経てホッパ装置53へと導かれる構成としたが、これに限らず、滞留部とホッパ装置53が通路によりつながっていない構成としても良い。また、滞留部は外部から視認可能であっても、そうでなくても良い。滞留部を視認可能とした場合は、遊技ホールの管理者は不正用治具により不正が行われている最中にメダルが当該滞留部に堆積していないことを確認することが可能となる。また、投入されたメダルはホッパ装置53にはつながっていない滞留部に溜まり続ける。一定以上の高さまでメダルが堆積したことをセンサで検出した場合にはそれに対応した報知を行う構成とすることで、滞留部からメダルがあふれてしまうことを防止することが可能となる。
(6)上記各実施形態においては、投入メダル検出センサ146の数を2つとしたが、これに限らず、投入メダル検出センサ146は1つであっても、3つ以上であっても良い。この場合、投入メダル検出センサ146が1つであれば、投入メダル検出センサ146による監視の負担が半減する。メダルが投入メダル検出センサ146を通過する順番を把握できなくなるため、不正用治具を容易に作られてしまう懸念もあるが、滞留メダルの枚数分を超えて不正を行った場合は異常処理が行われるため、遊技ホールが被る被害に変化はない。
一方、投入メダル検出センサ146を3つ以上連接させた場合、投入メダル検出センサ146による監視負担が増加する一方、不正用治具の作成がより困難になる。メダルの排出開始の判断は、下流のセンサよりも中流のセンサ、中流のセンサよりも上流のセンサで行うことが好ましく、そうすることで、メダルの排出タイミングを早くすることが可能となる。
(7)上記各実施形態においては、滞留メダル排出検出処理(図15)のステップS704における所定時間を回転体24が90°回転するより若干長い時間としたが、これを回転体24の2回転分の時間にしても良い。この場合、メダルが回転体24のくぼみ29に上手く取り込まれなかった場合にも、異常処理は行われず、通常の遊技を行っている者が不正を行っている者と間違えられる可能性が下がる。
(8)上記各実施の形態において、排出用ステッピングモータ26の駆動タイミングを、上流側の第1投入メダル検出センサ146aによる検出開始タイミングとしたが、これを第2投入メダル検出センサ146bの検出終了タイミングとしても良い。この場合、投入メダルの検出が完全に終了した後に、滞留メダルの排出が行われる。その結果、第1投入メダル検出センサ146aが誤作動しても、滞留メダルは減少しない。このため、通常の遊技者が不正を行った者に間違えられる確率が減少する。
(9)上記各実施の形態において、セレクタ52から滞留領域84までを直線的な通路で結ぶ構成としたが、セレクタ52の出口から滞留メダルの待機列の最後尾までの間を蛇行させる構成としても良い。この場合、投入されたメダルが、1枚排出されて少なくなった滞留メダルの列の最後尾に辿り着くまでの時間が長くなるため、滞留メダルの数を一定に保つのに効果的である。
(10)上記各実施の形態において、セレクタ52から滞留領域84までを同じ傾斜の直線的な通路で結ぶ構成としたが、セレクタ52の出口から滞留メダルの待機列の最後尾までの通路の傾斜角を小さくし、滞留領域84より下流の通路の傾斜角を大きくしても良い。この場合、投入されたメダルが、1枚排出されて少なくなった滞留メダルの列の最後尾に辿り着くまでの時間が長くなるため、滞留メダルの数を一定に保つのに効果的である。
(11)上記各実施の形態において、スロットマシン10について具体化した例を示したが、スロットマシン10とパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。スロットマシン10とパチンコ機とを融合した形式の遊技機においては、取込装置にて取り込んだ遊技球の数を計測するために取込検知センサが設けられており、当該取込検知センサにて所定数の遊技球が検知された状況下でスタートレバー41が操作された場合に絵柄の変動表示が開始される。この場合、取込検知センサに対して不正用治具を挿入して、実際には遊技球が取り込まれていないにも関わらず遊技球の取込を取込検知センサに誤検知させる不正行為が想定される。これに対して、取込んだ遊技球を滞留させる滞留領域84を設け、その下流に、1球の入球に対して1球の遊技球を排出する回転体24を設置し、更に下流に排出球の検出センサを設ける。この場合、不正用治具による不正が行われると、滞留領域84から滞留していた遊技球が失われ、遊技球の排出が行われなくなる。したがって、遊技ホールの管理者は不正行為を知ることができる。
(12)上記第1の実施形態において、視認用窓部67a,67b,67cの大きさをメダル4枚分としたが、これをメダル1枚分としても良い。この場合、装飾シート35、内ケース34、及び前面扉12のベース体37にあける視認用孔68a,68b,68cの大きさがメダル1枚分に縮小される。これにより、当該視認用孔68a,68b,68cが装飾シート35に与える模様等の制限を少なくすることができる。
この場合、視認用窓部67a,67b,67cは滞留領域84に待機するメダルの列の上流側から2番目のメダルの位置とすることが好ましい。滞留領域84の上流側ほど、少ない枚数の不正を発見するのに適している。しかし、メダルが投入されて、滞留メダルの排出が行われると、最上流のメダルは移動する。投入されたメダルが滞留領域84のメダルの待機列の最後尾に到着するのは、メダル排出の後である。つまり、最上流のメダル位置に視認用窓部67a,67b,67cを設けると、通常のメダル投入においても、視認領域が空になる時間があるため、目視による確認に適さない。したがって、目視による監視には、滞留領域84に待機するメダルの列の上流側から2番目のメダル位置が適している。
(13)上記各実施形態において、前面扉12のベース体37の背面にメダル通路140の滞留領域84を設けたが、当該滞留領域84を前面扉12のベース体37の表面に設けても良い。この場合、前面扉12のベース体37に視認用孔68や視認用窓部67を設ける必要がない。このため、ベース体37に大きな穴をあけずに、滞留領域84を外部から視認可能にすることができる。必要な穴は、セレクタ52から流下するメダルを前面扉12のベース体37の表面に導く孔と、滞留領域84を流下したメダルを再び前面扉12のベース体37の背面に導く孔のみである。どちらも、メダルが通過できる大きさの穴であれば良い。前面扉12のベース体37の背面に導かれたメダルは、ホッパ装置53の貯留タンク53aへと流下する。下部パネル33の内ケース34が透明または半透明の樹脂またはガラスである場合、視認用窓部67を設ける必要があるのは装飾シート35のみである。
(14)上記第1、第2及び第3実施形態において、視認用孔68a,68b,68c及び視認用窓部67a,67b,67cの大きさをメダルの一部のみが見える大きさとしても良い。この場合、装飾シート35、内ケース34、及び前面扉12のベース体37にあける視認用孔68a,68b,68cの大きさがメダル1枚分に縮小される。これにより、当該視認用孔68a,68b,68cが装飾シート35に与える模様等の制限を少なくすることができる。
(15)上記第2の実施形態においては、不正の有無の確認手段として特殊メダルを用いたが、回転体24により排出可能であれば、特殊メダル通路149に待機させる確認手段はメダルでなくても構わない。この場合、不正の有無を判断する確認手段として、円柱ではなく多角柱の金属体を特殊メダル通路149に待機させても良い。なお、多角柱の物体は樹脂製であっても、ガラス製であっても構わない。円柱形のメダルよりも、多角柱の金属体の方が安定している。このため、通常のメダル投入による滞留メダルの移動の際に、誤って排出されてしまう可能性を下げることができる。
(16)上記第4の実施形態においては、滞留メダル検出センサ127を、滞留領域84の上流から2番目のメダルの位置に配置したが、滞留メダル検出センサ127を1番上流のメダルの位置に配置しても良い。この場合、滞留メダルが1枚減少した段階で異常処理を行うことが可能となる。したがって、最小単位の不正を見抜くことができる。
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.遊技媒体を受け入れる受入部(メダル投入口45)と、
前記受入部にて受け入れられた遊技媒体を検出する受入検出手段(投入メダル検出センサ146a,146b)と、
を備えている遊技機において、
前記受入部にて受け入れられた遊技媒体が前記受入検出手段により検出された後に滞留する滞留部(滞留領域84)と、
前記受入検出手段にて遊技媒体が検出されたことに基づいて前記滞留部に滞留している遊技媒体を排出する排出手段(排出用ステッピングモータ26)と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、受入部において受け入れられた遊技媒体が受入検出手段によって検出されたことを契機として滞留部に滞留している遊技媒体が排出される。また、受け入れられた遊技媒体は受入検出手段によって検出された後、滞留部に滞留する。不正用治具による不正が行われ、受入検出手段が遊技媒体を誤認識した場合、遊技媒体の排出のみが起こり、新たな遊技媒体の滞留が起こらない。したがって、不正用治具による不正が行われ続けた場合、滞留部に滞留している遊技媒体が減少していき、滞留部が空となる。よって、滞留部における遊技媒体の滞留状態から不正の有無を確認することが可能となる。
特徴A2.前記排出手段による遊技媒体の排出を行う必要がない状態において前記滞留部に遊技媒体が待機していることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、不正が行われていない場合は滞留部に遊技媒体が待機している。一方、不正用治具による不正が行われた場合は、滞留部から遊技媒体が排出されて、滞留部が空となる。したがって、不正の有無を明確に判定することが可能となる。
特徴A3.前記受入検出手段により検出された枚数分の遊技媒体が前記滞留部から排出された場合に前記排出手段による遊技媒体の排出を終了させる排出制御手段(CPU151におけるステップS309の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1又は特徴A2のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A3によれば、受け入れられた遊技媒体と同じ枚数分の遊技媒体が滞留部から排出される。不正用治具による不正が行われて滞留部から遊技媒体が排出され、滞留部が空になった場合、不正を行った者はその後に遊技媒体を遊技機に入れても、滞留部に遊技媒体を滞留させることはできない。したがって、1度滞留部が空になると、遊技ホールの管理者が復元処理をするまで、空の状態が維持される。よって、不正が行われた事実の把握が容易になる。
特徴A4.前記受入部より受け入れられた遊技媒体が前記滞留部において列をなして並ぶ構成であり、
前記受入部より受け入れられた遊技媒体が前記滞留部に待機している遊技媒体の列の最後尾に到達する前に、前記滞留部に待機していた遊技媒体のうち前記受入検出手段により検出された枚数分の遊技媒体の排出が完了するように前記滞留部の構造が設定されていることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
特徴A4によれば、新たな遊技媒体が受入検出手段により検出された場合、滞留部に待機していた遊技媒体の排出が行われた後、受け入れられた遊技媒体が滞留部の待機列の最後尾に並ぶことになる。この場合、遊技媒体の受け入れが連続的に行われても、滞留部に待機する遊技媒体の数は増加しづらくなる。また、例えば滞留部を目視可能な構成とした場合には、滞留部における待機列の遊技媒体の数が減少して、再び増加する様子を外部から視認可能となる。これにより、滞留部の遊技媒体の排出を阻止する不正用治具と受入検出手段に遊技媒体を誤認識させる不正用治具が同時に用いられた場合においても、待機列に並んでいる遊技媒体の増減の有無を目視により確認することで、不正を把握することが可能となる。
特徴A5.前記滞留部から排出される遊技媒体を検出する滞留遊技媒体検出手段(排出メダル検出センサ27)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A5によれば、滞留遊技媒体検出手段により滞留部から排出される遊技媒体が検出されることで、滞留部に遊技媒体が滞留していることを確認可能である。また、不正用治具が使用されて滞留部が空になった場合、本来排出されるべき遊技媒体が排出されず、滞留遊技媒体検出手段により遊技媒体が検出されないため、不正用治具の使用が明らかになる。
特徴A6.前記滞留遊技媒体検出手段により前記受入検出手段で検出された枚数分の遊技媒体が検出されたことに基づき前記排出手段による排出動作を停止させる排出停止制御手段(CPU151におけるステップS309の処理を実行する機能)と、
前記受入検出手段にて遊技媒体の受け入れが検出された場合において、前記滞留遊技媒体検出手段にて予め定められた期間に亘って遊技媒体が検出されなかった場合に異常処理を実行する異常処理実行手段と、
を備えていることを特徴とする特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6によれば、滞留部が空の場合は、遊技媒体の受け入れが検出されてから所定時間内に、滞留部からの遊技媒体の排出が行われず異常処理が実行される。一方、通常時は遊技媒体の受け入れが検出されてから所定時間内に、滞留部からの遊技媒体の排出が行われるため、異常処理は実行されない。これにより、不正が行われた場合のみを選択的に異常状態とすることが可能となる。また、排出動作を停止させる契機を特定するための滞留遊技媒体検出手段を不正の発生を特定するために兼用することが可能であるため、構成の簡素化が図られる。
特徴A7.前記滞留部に遊技媒体が滞留していない状態となった場合に、前記滞留部への新たな遊技媒体の流入を阻止する手段(天井可動部86a)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A7によれば、滞留部に遊技媒体が滞留していない状態となった場合、新たな遊技媒体を遊技機に入れても遊技媒体は滞留部に入れない。このため、不正用治具の使用により滞留部の遊技媒体が排出されて空になった場合、不正を行った者は滞留部を不正前の状態に復元することが困難であり、遊技ホールの管理者は不正が行われた事実を把握することができる。
特徴A8.前記排出手段は、回転を伴って遊技媒体を下流へと排出する回転体(回転体24)を備え、
回転体による排出動作が行われた場合に、初期位置に復帰させてから回転を終了させる手段(CPU151におけるステップS309の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A8によれば、回転体の初期位置を遊技媒体の早期排出に有利な位置に設計することで、新たな遊技媒体の受け入れから滞留していた遊技媒体の排出までの流れがスムーズになり、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴A9.前記受入検出手段が第1の検出状態となった後に第2の検出状態となった場合に遊技媒体が受け入れられたことを特定する特定手段(CPU151におけるステップS402及びステップS403の処理を実行する機能)と、
前記第1の検出状態となった場合に排出手段による排出を開始させる開始制御手段(CPU151におけるステップS501の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A9よれば、滞留部に滞留している遊技媒体の排出を早期に行うことができる。これにより、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴A10.前記受入検出手段は複数の検出手段を備えており、それら複数の検出手段は遊技媒体の通過方向に位置をずらして配置されており、
当該遊技機は、最下流に存在する検出手段よりも上流に存在する検出手段にて遊技媒体が検出された場合に、排出を開始する排出開始制御手段(CPU151におけるステップS501の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A9に記載の遊技機。
特徴A10によれば、受入検出手段を複数備えていることから、不正用治具の作成が困難になる。また、上流で遊技媒体が検出された場合に、滞留部に滞留している遊技媒体の排出を開始するため、遊技媒体の排出を早期に行うことができる。これにより、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴A11.前記排出手段を停止可能な排出停止操作手段(復帰ボタン15)を遊技機内部(前面扉12の背面)又は遊技機背面部に備えていることを特徴とする特徴A1乃至A10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A11によれば、排出停止操作手段を操作することにより、排出手段を停止させることが可能となる。不正用治具の使用により、滞留部に滞留していた遊技媒体が排出されて滞留部が空になった場合、不正を行った者が遊技媒体を入れても、遊技媒体の受け入れを契機に滞留部に滞留している遊技媒体が排出されるため、滞留部を元の滞留状態に戻すことができない。これに対して、遊技ホールの管理者が排出停止操作手段を操作することにより、排出手段を停止させることで、入れられる遊技媒体の排出を阻止し、滞留部に再び遊技媒体を滞留させることが可能となる。一方、排出停止操作手段は遊技機内部又は遊技機背面部に配設されている。したがって、不正行為を行った者は、排出停止操作手段を操作することはできず、滞留部に遊技媒体を滞留させることはできない。
特徴A12.前記排出停止操作手段が操作されている状態で前記受入検出手段が遊技媒体を検出した場合に、前記滞留部に滞留している遊技媒体の排出を回避する手段(CPU151におけるステップS603の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
特徴A12によれば、不正を行った者がその後に排出停止操作手段を不正に操作して元の滞留状態を復元しようとする場合、排出停止操作手段を継続操作しながら遊技媒体を遊技機に入れなければならず、不正を行ったことを隠すことが難しくなる。
特徴A13.前記排出停止操作手段が開閉式扉(前面扉12)の背面であって回動先端側に設けられていることを特徴とする特徴A11又はA12に記載の遊技機。
特徴A13によれば、排出停止操作手段が回動先端側に設けられていることから、遊技ホールの管理者は遊技機内部の回動基端側で排出停止操作手段を操作する必要が無く、復帰操作が容易である。また、遊技媒体を受け入れる受入部が前面扉の表面であって回動先端側に設けられている場合、排出停止操作手段を操作しながら遊技媒体を入れることがより容易になる。
なお、特徴A1〜A13のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A13、特徴B1〜B2、特徴C1〜C18、特徴D1〜D12のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
<特徴B群>
特徴B1.遊技媒体を受け入れる受入部(メダル投入口45)と、
前記受入部にて遊技媒体が受け入れられたことに基づいて遊技実行手段(リール32L,32M,32R)における遊技の開始を可能とする遊技開始制御手段(CPU151におけるステップS202の処理を実行する機能)と、
前記遊技実行手段における遊技結果に基づいて、貯留部(貯留タンク53a)に貯留されている遊技媒体を払い出す払出手段(ホッパ装置53)と、
を備えた遊技機において、
前記受入部にて受け入れられた遊技媒体を滞留させる滞留部(滞留領域84)を前記貯留部とは別に備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、受入部にて受け入れられた遊技媒体は滞留部にて滞留することとなる。これにより、滞留部における遊技媒体の滞留状況を確認することで、遊技媒体の受け入れを誤認識させる不正行為が行われたか否かを確認することが可能となる。
特徴B2.前記滞留部に遊技媒体が滞留していない状態を外部から視認可能にするための視認可能部(視認用窓部67a,67b,67c)を備えていることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、滞留部に遊技媒体が滞留しているか否かを外部から視認することが可能である。したがって、不正用治具による不正が行われたか否かを簡易的に確認可能である。
なお、特徴B1〜B2のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A13、特徴B1〜B2、特徴C1〜C18、特徴D1〜D12のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
<特徴C群>
特徴C1.遊技媒体を受け入れる受入部(メダル投入口45)と、
前記受入部にて受け入れられた遊技媒体を検出する受入検出手段(投入メダル検出センサ146a,146b)と、
を備えている遊技機において、
前記受入検出手段により検出された後の遊技媒体が通過する通路領域(メダル通路140)の少なくとも一部を遊技機外部から視認可能にするための視認可能部(視認用窓部67a,67b,67c)が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、受入部により受け入れられた遊技媒体が受入検出手段の下流の通路を通過していく様子を遊技機外部から目視により確認できる。不正用治具による不正が行われている場合は、遊技媒体の受け入れが行われないため、当該通路が空の状態が継続される。このため、当該通路の視認により、不正用治具の使用の有無を確認することが可能となる。
特徴C2.前記通路領域内に、前記受入部にて受け入れられた遊技媒体が前記受入検出手段により検出された後に滞留する滞留部(滞留領域84)を備えており、
前記滞留部の下流に前記受入検出手段にて遊技媒体が検出されたことに基づいて前記滞留部に滞留している遊技媒体を排出する排出手段(排出用ステッピングモータ26)を備えており、
前記視認可能部が前記滞留部に滞留している遊技媒体を視認可能にしていることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C2によれば、当該遊技機は滞留部を備えており、当該滞留部の少なくとも一部は遊技機外部から視認可能である。したがって、遊技媒体が滞留部に滞留していることを遊技機外部から視認可能である。また、当該遊技機は排出手段を備えており、受入検出手段の検出結果に基づいて、滞留部に滞留している遊技媒体が排出される。したがって、不正用治具を用いて受入検出手段に遊技媒体を誤認識させる不正が行われ続けた場合、滞留部に滞留している遊技媒体の排出が行われるが、滞留部に新たな遊技媒体の補充は行われない。つまり、滞留部の遊技媒体は減少し続け、滞留部が空になる。遊技ホールの管理者は、この様子を視認可能部を通して遊技機外部から確認することで、不正行為が行われている事実を把握することが可能となる。
特徴C3.前記排出手段による遊技媒体の排出を行う必要がない状態において前記滞留部に遊技媒体が待機していることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
特徴C3によれば、不正が行われていない場合は滞留部に遊技媒体が待機していることを外部から視認により確認できる。一方、不正用治具による不正が行われた場合は、滞留部から遊技媒体が排出されて、滞留部が空となる様子を外部から視認により確認できる。したがって、不正の有無を明確に判定することが可能となる。
特徴C4.前記受入検出手段により検出された枚数分の遊技媒体が前記滞留部から排出された場合に前記排出手段による遊技媒体の排出を終了させる排出制御手段(CPU151におけるステップS309の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C2又は特徴C3に記載の遊技機。
特徴C4によれば、受け入れられた遊技媒体と同じ枚数分の遊技媒体が滞留部から排出される。不正用治具による不正が行われて滞留部から遊技媒体が排出され、滞留部が空になった場合、不正を行った者はその後に遊技媒体を遊技機に入れても、滞留部に遊技媒体を滞留させることはできない。したがって、1度滞留部が空になると、遊技ホールの管理者が復元処理をするまで、空の状態が維持される。よって、不正が行われた事実の把握が容易になる。
特徴C5.前記受入部より受け入れられた遊技媒体が前記滞留部において列をなして並ぶ構成であり、
前記受入部より受け入れられた遊技媒体が前記滞留部に待機している遊技媒体の列の最後尾に到達する前に、前記滞留部に待機していた遊技媒体のうち前記受入検出手段により検出された枚数分の排出が完了するように前記滞留部の構造が設定されていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
特徴C5によれば、新たな遊技媒体が受入検出手段により検出された場合、滞留部に待機していた遊技媒体の排出が行われた後、受け入れられた遊技媒体が滞留部の待機列の最後尾に並ぶことになる。この場合、遊技媒体の受け入れが連続的に行われても、滞留部の待機する遊技媒体の数は増加しづらくなる。また、滞留部の少なくとも一部が目視可能であるため、滞留部における待機列の遊技媒体の数が減少して、再び増加する様子を外部から視認可能である。これにより、滞留部の遊技媒体の排出を阻止する不正用治具と受入検出手段に遊技媒体を誤認識させる不正用治具が同時に用いられた場合においても、待機列に並んでいる遊技媒体の増減の有無を目視により確認することで、不正を把握することが可能となる。
特徴C6.前記排出手段による遊技媒体の排出を行う必要がない通常状態において遊技媒体が前記滞留部にて列をなして並ぶ構成であり、
前記視認可能部は、少なくとも前記通常状態において前記滞留部に滞留している遊技媒体の列のうち最上流の遊技媒体よりも下流側の遊技媒体が視認可能となるように設けられていることを特徴とする特徴C2乃至C5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C6によれば、通常状態における最上流の遊技媒体の位置ではなく、下流側の遊技媒体の位置を視認可能である。通常状態における最上流の遊技媒体の位置は、遊技媒体の排出や受入により遊技媒体の有無が変化するが、下流側の遊技媒体の位置には、通常時、常に遊技媒体が存在する。遊技媒体が存在しなくなる場合は、不正用治具による不正が行われる場合である。これにより、目視による不正の有無の判断がより確実に行える。
特徴C7.前記視認可能部により視認可能な領域に前記受入検出手段が含まれていないことを特徴とする特徴C2乃至C6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C7によれば、受入検出手段に外部からの光が入らないようにしながら、視認可能部を設けることが可能となる。
特徴C8.前記滞留部から排出される遊技媒体を検出する滞留遊技媒体検出手段(排出メダル検出センサ27)を備えていることを特徴とする特徴C2乃至C7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C8によれば、滞留遊技媒体検出手段により滞留部から排出される遊技媒体が検出されることで、滞留部に遊技媒体が滞留していることを確認可能である。また、不正用治具が使用されて滞留部が空になった場合、本来排出されるべき遊技媒体が排出されず、滞留遊技媒体検出手段により検出されないため、不正用治具の使用が明らかになる。したがって、遊技ホールの管理者は不正が行われた事実を、目視による確認のみの場合よりも確実に把握できる。
特徴C9.前記滞留遊技媒体検出手段により遊技媒体が検出されたことに基づき前記排出手段による排出動作を停止させる排出停止制御手段(CPU151におけるステップS309の処理を実行する機能)と、
前記受入検出手段にて遊技媒体の受け入れが検出された場合において、前記滞留遊技媒体検出手段にて予め定められた期間に亘って遊技媒体が検出されなかった場合に異常処理を実行する異常処理実行手段と、
を備えていることを特徴とする特徴C8に記載の遊技機。
特徴C9によれば、滞留部が空の場合は、遊技媒体の受け入れが検出されてから所定時間内に、滞留部からの遊技媒体の排出が行われず異常処理が実行される。一方、通常時は遊技媒体の受け入れが検出されてから所定時間内に、滞留部からの遊技媒体の排出が行われるため、異常処理は実行されない。これにより、不正が行われた場合のみを選択的に異常状態とすることが可能となる。このように、目視による確認に加えて滞留遊技媒体検出手段による異常処理を行うことで、遊技ホールの管理者はより確実に不正を把握することができる。また、排出動作を停止させる契機を特定するための滞留遊技媒体検出手段を不正の発生を特定するために兼用することが可能であるため、構成の簡素化が図られる。
特徴C10.前記排出手段による排出が阻止されている状態において、所定の複数の遊技媒体が遊技媒体列を生じさせるように待機している状態が通常の滞留状態であり、
前記滞留遊技媒体検出手段は、前記通常の滞留状態での遊技媒体列において上流から2番目の遊技媒体が視認可能部に含まれるようにすることを特徴とする特徴C9に記載の遊技機。
特徴C10によれば、滞留部に待機している遊技媒体の列の上流側で遊技媒体の有無を判定する。不正用治具による不正が行われた場合、上流側から遊技媒体が失われていくため、遊技ホールの管理者は早期に不正が行われた事実を知ることができる。一方、最上流の遊技媒体の位置は、遊技媒体の排出と受け入れにより、遊技媒体が頻繁に動くため、不正の監視に適さない。したがって、通常の滞留状態での遊技媒体列における上流から2番目の遊技媒体の位置を含む形で視認可能部を設けることにより、的確に不正を監視することができる。
特徴C11.前記滞留部に遊技媒体が滞留していない状態となった場合、前記滞留部への新たな遊技媒体の流入を阻止する手段(天井可動部86a)を備えていることを特徴とする特徴C2乃至C10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C11によれば、滞留部に遊技媒体が滞留していない状態となった場合、新たな遊技媒体を遊技機に入れても遊技媒体は滞留部に入れない。このため、不正を行った者は滞留部を不正前の状態に復元することが困難であり、遊技ホールの管理者は不正が行われた事実を把握することができる。
特徴C12.前記遊技媒体とは異なる確認手段(特殊メダル)を待機させる待機領域(特殊メダル通路149)を備え、前記滞留部に遊技媒体が滞留していない状態となった場合に前記待機領域から前記確認手段が排出されることを特徴とする特徴C2乃至C11のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C12によれば、滞留部に遊技媒体が滞留していない状態となった場合に排出される確認手段は遊技者の使用する遊技媒体とは異なる。これにより、不正を行った者は排出された遊技媒体を元に戻すことができないため、遊技ホールの管理者は不正が行われた事実をより確実に把握することができる。
特徴C13.前記排出手段は、回転を伴って遊技媒体を下流へと排出する回転体(回転体24)を備え、
回転体による排出動作が行われた場合に、初期位置に復帰させてから回転を終了させる手段(CPU151におけるステップS309の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C2乃至C12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C13によれば、回転体の初期位置を遊技媒体の早期排出に有利な位置に設計することで、新たな遊技媒体の受け入れから滞留していた遊技媒体の排出までの流れがスムーズになり、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴C14.前記受入検出手段が第1の検出状態となった後に第2の検出状態となった場合に遊技媒体が受け入れられたことを特定する特定手段(CPU151におけるステップS402及びステップS403の処理を実行する機能)と、
前記第1の検出状態となった場合に排出手段による排出を開始させる開始制御手段(CPU151におけるステップS501の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C2乃至C13のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C14によれば、滞留部に滞留している遊技媒体の排出を早期に行うことができる。これにより、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴C15.前記受入検出手段は複数の検出手段を備えており、それら複数の検出手段は遊技媒体の通過方向に位置をずらして配置されており、
当該遊技機は、最下流に存在する検出手段よりも上流に存在する検出手段にて遊技媒体が検出された場合に、排出を開始する排出開始制御手段(CPU151におけるステップS501の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C14に記載の遊技機。
特徴C15によれば、受入検出手段を複数備えていることから、不正用治具の作成が困難になる。また、滞留部に滞留している遊技媒体の排出を早期に行うことができる。これにより、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴C16.前記排出手段を停止可能な排出停止操作手段(復帰ボタン15)を遊技機内部(前面扉12の背面)又は遊技機背面部に備えていることを特徴とする特徴C2乃至C15のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C16によれば、排出停止制御手段を操作することにより、排出手段を停止させることが可能となる。不正用治具による不正行為が行われ、滞留部に滞留していた遊技媒体が排出されて滞留部が空になった場合、メダル投入口45から遊技媒体の投入が行われても、投入した枚数分の遊技媒体が排出されるため、滞留部に遊技媒体を再び滞留させることはできない。これに対して、遊技ホールの管理者が排出停止制御手段を操作することにより、排出手段を停止させることで、投入される遊技媒体排出を阻止し、滞留部に再び遊技媒体を滞留させることが可能となる。一方、排出停止制御手段は遊技ホールの管理者により施錠管理可能な場所に配設されている。不正行為を行った者は、施錠状態を解錠できないため、排出停止制御手段を操作することはできず、滞留部に遊技媒体を滞留させることはできない。
特徴C17.前記排出停止操作手段が操作されている状態で前記受入検出手段が遊技媒体を検出した場合に、前記滞留部に滞留している遊技媒体の排出を回避する手段(CPU151におけるステップS603の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C16に記載の遊技機。
特徴C17によれば、不正を行った者がその後に排出停止操作手段を不正に操作して元の滞留状態を復元しようとする場合、排出停止操作手段を継続操作しながら遊技媒体を遊技機に入れなければならず、不正を行ったことを隠すことが難しくなる。
特徴C18.前記排出停止操作手段が開閉式扉(前面扉12)の背面であって回動先端側に設けられていることを特徴とする特徴C16又はC17に記載の遊技機。
特徴C18によれば、排出停止操作手段が回動先端側に設けられていることから、遊技ホールの管理者は遊技機内部の回動基端側で排出停止操作手段を操作する必要が無く、復帰操作が容易である。また、遊技媒体を受け入れる受入部が前面扉の表面であって回動先端側に設けられている場合、排出停止操作手段を操作しながら遊技媒体を入れることがより容易になる。
なお、特徴C1〜C18のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A13、特徴B1〜B2、特徴C1〜C18、特徴D1〜D12のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
<特徴D群>
特徴D1.遊技媒体を受け入れる受入部(メダル投入口45)と、
前記受入部にて受け入れられた遊技媒体を検出する受入検出手段(投入メダル検出センサ146a,146b)と、
を備えている遊技機において、
前記受入部にて受け入れられた遊技媒体が前記受入検出手段により検出された後に滞留する滞留部(滞留領域84)と、
前記受入検出手段にて遊技媒体が検出されたことに基づいて前記滞留部に滞留している遊技媒体を排出する排出手段(排出用ステッピングモータ26)と、
前記滞留部に遊技媒体が滞留していることを検出する滞留遊技媒体検出手段(滞留メダル検出センサ127)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、受入部により受け入れられた遊技媒体は受入検出手段にて検出された後、滞留部に滞留する。滞留部に滞留している遊技媒体は遊技媒体検出手段により検出される。受入検出手段にて遊技媒体が検出された場合、滞留部に滞留している遊技媒体が排出される。このため、不正用治具を用いて受入検出手段に遊技媒体を誤認識させる不正行為が行われ続けた場合、滞留部に滞留している遊技媒体は排出され、滞留部に新たな遊技媒体は補充されないため、滞留部は空となる。この状態において、滞留遊技媒体検出手段は遊技媒体を検出しなくなるため、遊技ホールの管理者は不正行為が行われた事実を把握することが可能となる。
特徴D2.前記排出手段による遊技媒体の排出を行う必要がない状態において前記滞留部に遊技媒体が待機していることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
特徴D2によれば、不正が行われていない場合は滞留遊技媒体検出手段により滞留部に待機している遊技媒体が検出されている。一方、不正用治具による不正が行われた場合は、滞留部から遊技媒体が排出されて、滞留部が空となる。この場合、滞留遊技媒体検出手段により、遊技媒体が検出されなくなる。したがって、不正の有無を明確に判定することが可能となる。
特徴D3.前記受入検出手段により検出された枚数分の遊技媒体が前記滞留部から排出された場合に前記排出手段による遊技媒体の排出を終了させる排出制御手段(CPU151におけるステップS309の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D1又は特徴D2に記載の遊技機。
特徴D3によれば、受け入れられた遊技媒体と同じ枚数分の遊技媒体が滞留部から排出される。不正用治具による不正が行われて滞留部から遊技媒体が排出され、滞留部が空になった場合、不正を行った者はその後に遊技媒体を遊技機に入れても、滞留部に遊技媒体を滞留させることはできない。したがって、1度滞留部が空になると、遊技ホールの管理者が復元処理をするまで、空の状態が維持される。滞留部が空になると、滞留遊技媒体検出手段が遊技媒体を検出しなくなるため、その状態を遊技ホールの管理者は把握可能である。
特徴D4.前記受入部より受け入れられた遊技媒体が前記滞留部において列をなして並ぶ構成であり、
前記受入部より受け入れられた遊技媒体が前記滞留部に待機している遊技媒体の列の最後尾に到達する前に、前記滞留部に待機していた遊技媒体のうち前記受入検出手段により検出された枚数分の排出が完了するように前記滞留部の構造が設定されていることを特徴とする特徴D3に記載の遊技機。
特徴D4によれば、新たな遊技媒体が受入検出手段により検出された場合、滞留部に待機していた遊技媒体の排出が行われた後、受け入れられた遊技媒体が滞留部の待機列の最後尾に並ぶことになる。この場合、遊技媒体の受け入れが連続的に行われても、滞留部の待機する遊技媒体の数は増加しづらくなる。
特徴D5.前記排出手段による排出が阻止されている状態において、所定の複数の遊技媒体が遊技媒体列を生じさせるように待機している状態が通常の滞留状態であり、
前記滞留遊技媒体検出手段は、前記通常の滞留状態での遊技媒体列において上流から2番目の遊技媒体が検出範囲に存在するように設けられていることを特徴とする特徴D4に記載の遊技機。
特徴D5によれば、滞留部に待機している遊技媒体の列の上流側で遊技媒体の有無を判定する。不正用治具による不正が行われた場合、上流側から遊技媒体が失われていくため、遊技ホールの管理者は早期に不正が行われた事実を知ることができる。一方、最上流の遊技媒体の位置は、遊技媒体の排出と受け入れにより、遊技媒体が頻繁に動くため、不正の監視に適さない。したがって、通常の滞留状態での遊技媒体列における上流から2番目の遊技媒体の位置に検出手段を配置することにより、的確に不正を監視することができる。
特徴D6.前記滞留部に遊技媒体が滞留していない状態となった場合、前記滞留部への新たな遊技媒体の流入を阻止する手段(天井可動部86a)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D6によれば、滞留部に遊技媒体が滞留していない状態となった場合、新たな遊技媒体を遊技機に入れても遊技媒体は滞留部に入れない。このため、不正を行った者は滞留部を不正前の状態に復元することが困難であり、遊技ホールの管理者は不正が行われた事実を把握することができる。
特徴D7.前記排出手段は、回転を伴って遊技媒体を下流へと排出する回転体(回転体24)を備え、
回転体による排出動作が行われた場合に、初期位置に復帰させてから回転を終了させる手段(CPU151におけるステップS309の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D7によれば、回転体の初期位置を遊技媒体の早期排出に有利な位置に設計することで、新たな遊技媒体の受け入れから滞留していた遊技媒体の排出までの流れがスムーズになり、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴D8.前記受入検出手段が第1の検出状態となった後に第2の検出状態となった場合に遊技媒体が受け入れられたことを特定する特定手段(CPU151におけるステップS402及びステップS403の処理を実行する機能)と、
前記第1の検出状態となった場合に排出手段による排出を開始させる開始制御手段(CPU151におけるステップS501の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D8によれば、滞留部に滞留している遊技媒体の排出を早期に行うことができる。これにより、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴D9.前記受入検出手段は複数の検出手段を備えており、それら複数の検出手段は遊技媒体の通過方向に位置をずらして配置されており、
当該遊技機は、最下流に存在する検出手段よりも上流に存在する検出手段にて遊技媒体が検出された場合に、排出を開始する排出開始制御手段(CPU151におけるステップS501の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D8に記載の遊技機。
特徴D9によれば、受入検出手段を複数備えていることから、不正用治具の作成が困難になる。また、滞留部に滞留している遊技媒体の排出を早期に行うことができる。これにより、遊技機に遊技媒体が連続して入れられた場合においても、滞留部に滞留する遊技媒体の数が増えないようにすることが容易になる。
特徴D10.前記排出手段を停止可能な排出停止操作手段(復帰ボタン15)を遊技機内部(前面扉12の背面)又は遊技機背面部に備えていることを特徴とする特徴D1乃至D9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D10によれば、排出停止制御手段を操作することにより、排出手段を停止させることが可能となる。不正用治具による不正行為が行われ、滞留部に滞留していた遊技媒体が排出されて滞留部が空になった場合、メダル投入口45から遊技媒体の投入が行われても、投入した枚数分の遊技媒体が排出されるため、滞留部に遊技媒体を再び滞留させることはできない。これに対して、遊技ホールの管理者が排出停止制御手段を操作することにより、排出手段を停止させることで、投入される遊技媒体排出を阻止し、滞留部に再び遊技媒体を滞留させることが可能となる。一方、排出停止制御手段は遊技ホールの管理者により施錠管理可能な場所に配設されている。不正行為を行った者は、施錠状態を解錠できないため、排出停止制御手段を操作することはできず、滞留部に遊技媒体を滞留させることはできない。
特徴D11.前記排出停止操作手段が操作されている状態で前記受入検出手段が遊技媒体を検出した場合に、前記滞留部に滞留している遊技媒体の排出を回避する手段(CPU151におけるステップS603の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D10に記載の遊技機。
特徴D11によれば、不正を行った者がその後に排出停止操作手段を不正に操作して元の滞留状態を復元しようとする場合、排出停止操作手段を継続操作しながら遊技媒体を遊技機に入れなければならず、不正を行ったことを隠すことが難しくなる。
特徴D12.前記排出停止操作手段が開閉式扉(前面扉12)の背面であって回動先端側に設けられていることを特徴とする特徴D10又はD11に記載の遊技機。
特徴D12によれば、排出停止操作手段が回動先端側に設けられていることから、遊技ホールの管理者は遊技機内部の回動基端側で排出停止操作手段を操作する必要が無く、復帰操作が容易である。また、遊技媒体を受け入れる受入部が前面扉の表面であって回動先端側に設けられている場合、排出停止操作手段を操作しながら遊技媒体を入れることがより容易になる。
なお、特徴D1〜D12のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A13、特徴B1〜B2、特徴C1〜C18、特徴D1〜D12のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
上記特徴A群の発明、上記特徴B群の発明、上記特徴C群の発明は、以下の課題を解決することが可能である。
遊技機の一種として、スロットマシンがある。スロットマシンは複数のリールを備えており、それら各リールの外周部に付与された複数の図柄のうちの一部が表示窓を通じて視認可能な構成となっている。そして遊技者がメダルなどの遊技媒体をベットしてスタートレバーを操作することで各リールが回転を開始し、各リールが回転を開始した後にストップボタンを操作することで各リールが順次停止する。
かかる遊技機には、遊技者の所持するメダルを仮想メダル(仮想遊技媒体)として貯留記憶する機能を有するものがある。当該機能が設けられていることにより、実際のメダルの投入動作を行うことなく遊技を開始させることが可能となり、遊技を開始させる上での操作性の向上が図られている。
遊技者によりメダルが投入されたことは、メダルを遊技機内部に案内する案内通路に設置された投入メダル検出センサがメダルの通過を検出することにより確認される。また、当該検出センサを複数個連接させると共に、これら投入メダル検出センサのメダルの検出順序が正規の順序である場合に、制御装置にて1枚のメダルの通過を特定する構成も提案されている。
ここで、上記例示等のような遊技機においては、メダルの投入を誤認識させる不正行為が想定され、この点において未だ改良の余地がある。
なお、以上の問題はスロットマシンに限らず、他の遊技機にも該当する問題である。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。