JP2015094479A - フィンチューブ式熱交換器 - Google Patents

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誠一 西田
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Abstract

【課題】簡素な構成により、フィンチューブが中間保持部材の挿通孔の中で振動して異常摩耗を起こすことを防止する。【解決手段】伝熱管5の外周面に複数の鍔状フィン6が軸方向に連装された複数のフィンチューブ3と、このフィンチューブ3が挿通される複数の挿通孔12が形成された中間保持部材11とを備え、中間保持部材11に複数のフィンチューブ3が挿通されて纏められた複数の熱交換モジュールA,Bが互いに連結されるものにおいて、熱交換モジュールA,Bの間に押圧部材20が介装され、この押圧部材20は、連結される一方と他方の熱交換モジュールA,Bが連結された状態で、一方の熱交換モジュールAのフィンチューブ3と、他方の熱交換モジュールBのフィンチューブ3との両方に圧接し、これら各々のフィンチューブ3を中間保持部材11の中央部側Mに押圧する弾性体であることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator:HRSG)等に備わるフィンチューブ式熱交換器に関するものである。
排熱回収ボイラ等に使用される熱交換器(過熱器、再熱器等も含む)は、従来のボイラに比べて排ガス温度が低く、排ガスからの熱回収は接触伝熱に期待せざるを得ないため、熱伝導効率の良いフィンチューブ型熱交換器が多く使用されている。
フィンチューブ型熱交換器は、伝熱管の外周面に複数の鍔状フィンを軸方向に連装して表面積を増大させたフィンチューブが複数本、それぞれ平行且つ水平となるように、U字管を介して直列に接続され、鉛直方向に多段に配列させることにより構成される。そして、伝熱管の内部を流通する水等の伝熱媒体と、鍔状フィンの間を流れる排ガスとの間で熱交換が行われ、排ガスの熱エネルギーが伝熱媒体に吸収されて他部署で有効利用される。
火力発電所等で用いられる大型の熱交換器では、その内部に配設されるフィンチューブの直線部の長さが約20メートルにもなるため、フィンチューブの中間部が下方に撓むことを防止するために、フィンチューブの中間部が所定の間隔で保持される。具体的には、特許文献1に記載されているように、フィンチューブの外径と略同じ内径の挿通孔が多数形成された多孔板状の中間保持部材にフィンチューブが挿通され、この中間保持部材が熱交換器の容器の上部から吊り下げられることによってフィンチューブの撓みが防止される。
図10に示すように、伝熱管5の外周面に鍔状フィン6が連装された複数のフィンチューブ3が中間保持部材11の挿通孔12に挿通されて纏められたものが熱交換モジュールA,Bとされ、これらの熱交換モジュールA,Bが連結金具16とボルト17により横並びに連結されたユニットが、熱交換器の内部において上下に複数段設置される。
多孔板状の中間保持部材11は、フィンチューブ3が挿通される挿通孔12が千鳥状(ハニカム状)に穿設されており、中間保持部材11に挿通されるフィンチューブ3の配置密度が高くなるようになっている。これにより、限られた容量の熱交換器の内部により多くのフィンチューブ3を配設して熱交換効率を高めることができる。
特開昭60−159594号公報
このような熱交換器の内部において、各フィンチューブ3は排ガスの流動を受けて振動するため、中間保持部材11の挿通孔12に対して細かく衝突する運動を繰り返す。中間保持部材11の挿通孔12が円形であれば、上記のようにフィンチューブ3が挿通孔12の内部で振動しても特に問題無いが、前述のように挿通孔12は千鳥状に配列されているため、中間保持部材11の端部においては挿通孔12の一部が切断され、C字状に開放された形状となる。
このようにC字状に開放された形状の挿通孔12にフィンチューブ3が挿通されると、挿通孔12の下顎状の先端部分12a(エッジ)がフィンチューブ3の鍔状フィン6の外周部に小さい面積で接触(角当たり)し、鍔状フィン6を異常摩耗させるという問題があった。このような異常摩耗は、ひいては伝熱管5の破損および伝熱媒体の漏洩を招くため、確実に防止しなければならない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡素な構成により、フィンチューブが中間保持部材の挿通孔の中で振動して異常摩耗を起こすことを防止することのできるフィンチューブ式熱交換器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明に係るフィンチューブ式熱交換器は、伝熱管の外周面に複数の鍔状フィンが軸方向に連装されて表面積を増大された複数のフィンチューブと、前記フィンチューブが挿通される複数の挿通孔が形成された中間保持部材とを備え、前記中間保持部材に複数の前記フィンチューブが挿通されて纏められた複数の熱交換モジュールが互いに連結されるフィンチューブ式熱交換器であって、複数の前記熱交換モジュールの間に介装される押圧部材を有し、前記押圧部材は、連結される一方と他方の前記熱交換モジュールが連結された状態で、前記一方の熱交換モジュールのフィンチューブと、前記他方の熱交換モジュールのフィンチューブとの両方に圧接し、これら各々のフィンチューブを前記中間保持部材の中央部側に押圧する弾性体であることを特徴とする。
上記構成のフィンチューブ式熱交換器によれば、連結される2つの熱交換モジュールの間に介装された押圧部材により、両側の熱交換モジュールのフィンチューブが、それぞれ中間保持部材の挿通孔の中で中間保持部材の中央部側に向かって押圧される。このため、各フィンチューブが中間保持部材の挿通孔の中で振動することが防止される。特に、中間保持部材の端部においてC字状に開放された形状に切断されている挿通孔の下顎状の先端部分(エッジ)がフィンチューブの鍔状フィンの外周部に小さい面積で接触することが防止され、鍔状フィンが異常摩耗することを防止することができる。
また、本発明に係るフィンチューブ式熱交換器は、前記一方と他方の熱交換モジュールの連結部において、前記一方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブと、前記他方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブとは千鳥状に交互に噛み合うように配置されており、前記押圧部材は、前記一方と他方の熱交換モジュールの各々の前記フィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状に成形された金属部品であり、前記押圧部材の自由状態における前記蛇行形状の蛇行幅寸法が、前記一方と他方の熱交換モジュールの各々の前記フィンチューブの重なり幅寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする。
上記構成のフィンチューブ式熱交換器は、押圧部材の自由状態における蛇行形状の蛇行幅寸法が、連結される両方の熱交換モジュールの間で千鳥状に配置されて対向するフィンチューブの重なり幅寸法よりも小さく設定されている。このため、対向するフィンチューブの間で金属部品である押圧部材が圧迫されて変形し、押圧部材の持つバネ作用(弾性)により、各フィンチューブがそれぞれ中間保持部材の挿通孔の中で中間保持部材の中央部側に向かって押圧される。
これにより、各フィンチューブが中間保持部材の挿通孔の中で振動することが防止され、各フィンチューブの異常摩耗が回避される。押圧部材は、その構造および形状が非常に簡素なものとなるため、低コストにて製造することができる。
また、本発明に係るフィンチューブ式熱交換器は、前記一方と他方の熱交換モジュールの連結部において、前記一方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブと、前記他方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブとは千鳥状に交互に噛み合うように配置されており、前記押圧部材は、前記一方と他方の熱交換モジュールの各々の前記フィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状に成形された金属部品であり、前記押圧部材の全長に亘り、前記蛇行形状の蛇行ピッチ寸法よりも小さな波形ピッチ寸法を持つ波形状が成形されていることを特徴とする。
上記構成のフィンチューブ式熱交換器は、その押圧部材が、連結される両方の熱交換モジュールの間で千鳥状に配置されて対向するフィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状であるとともに、その蛇行ピッチ寸法よりも小さな波形ピッチ寸法を持つ波形状が全長に亘って成形されている。
このため、対向するフィンチューブの間で、蛇行形状と波形状の両方を兼ね備えた金属部品である押圧部材が圧迫されて変形し、波形状の持つクッション作用によって各フィンチューブがそれぞれ中間保持部材の挿通孔の中で中間保持部材の中央部側に向かって押圧され、各フィンチューブが中間保持部材の挿通孔の中で振動することが防止され、各フィンチューブの異常摩耗が回避される。
また、本発明に係るフィンチューブ式熱交換器は、前記の波形状が前記押圧部材に設けられた構成において、前記押圧部材は、その自由状態における蛇行形状の蛇行幅寸法が、前記一方と他方の熱交換モジュールの各々の前記フィンチューブの重なり幅寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする。
上記構成のフィンチューブ式熱交換器は、その押圧部材が、連結される両方の熱交換モジュールの間で千鳥状に配置されて対向するフィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状であり、その蛇行幅寸法が、対向するフィンチューブの重なり幅寸法よりも小さく設定され、且つ、その蛇行ピッチ寸法よりも小さな波形ピッチ寸法を持つ波形状が全長に亘って成形されている。
このため、対向するフィンチューブの間で、蛇行形状と波形状の両方を兼ね備えた金属部品である押圧部材が圧迫されて変形し、その蛇行形状の蛇行幅寸法がフィンチューブの重なり幅寸法よりも小さく設定されたことによってもたらされるバネ作用と、波形状によってもたらされるクッション作用との相乗効果によって各フィンチューブが挿通孔の中で防振的に保持され、且つ中間保持部材の中央部側に向かって押圧される。これにより、各フィンチューブが中間保持部材の挿通孔の中で振動することが防止され、異常摩耗が回避される。
また、本発明に係るフィンチューブ式熱交換器は、前記一方と他方の熱交換モジュールの連結部において、前記一方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブと、前記他方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブとは千鳥状に交互に噛み合うように配置されており、前記押圧部材は、その自由状態では蛇行形状を有さない略直線状であり、前記一方と他方の熱交換モジュール間に介装された時には、各々の熱交換モジュールのフィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状に変形する柔軟性を備えており、且つ、前記押圧部材の全長に亘り、前記蛇行形状の蛇行ピッチ寸法よりも小さな波形ピッチ寸法を持つ波形状が成形されていることを特徴とする。
上記構成のフィンチューブ式熱交換器は、その押圧部材が、自由状態では蛇行形状を有さない略直線状であり、連結される2つの熱交換モジュール間に介装されると、各々の熱交換モジュールのフィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状に変形する。そして、自由状態では略直線状であるものの、その全長に亘って波形状が成形されている。
このように、自由状態では蛇行形状を有さない略直線状となるように形成された押圧部材は、単なる波板状のものであればよく、その製造が極めて容易である。そして、この押圧部材は、波形状が成形されていることによって柔軟性に富むため、連結される2つの熱交換モジュールの間に挟まれた時には、各々の熱交換モジュールのフィンチューブの間を蛇行する形状に容易に変形し、各フィンチューブにフィットするとともに、各フィンチューブを中間保持部材の中央部側に押圧することができる。このため、簡素で安価な構造により、各フィンチューブが中間保持部材の挿通孔の中で振動することを防止し、フィンチューブの異常摩耗を抑制することができる。
以上のように、本発明に係るフィンチューブ式熱交換器によれば、簡素な構成により、フィンチューブが中間保持部材の挿通孔の中で振動して異常摩耗を起こすことを防止することができる。
本発明を適用可能フィンチューブ式熱交換器の概略構成を示す縦断面図である。 フィンチューブの構造例を示す斜視図である。 図1のIII-III線に沿う縦断面図である。 図3のIV部拡大図である。 押圧部材の第1実施形態を示す縦断面図である。 押圧部材の第1実施形態の作用を示す図である。 押圧部材の第2実施形態を示す縦断面図である。 押圧部材の第3実施形態を示す縦断面図である。 押圧部材の第4実施形態を示す縦断面図である。 従来の技術を示すフィンチューブと中間保持部材の縦断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明を適用可能フィンチューブ式熱交換器の概略構成を示す縦断面図である。このフィンチューブ式熱交換器1は、排熱回収ボイラ(HRSG)等のボイラに設けられ、その熱交換容器2の内部に、水平な複数のフィンチューブ3がU字管4を介して接続されて、複数列、多数段に配列された構成となっている。
図2にも示すように、フィンチューブ3は、ステンレス鋼等で形成された伝熱管5の外周面に多数の鍔状フィン6が軸方向に短い間隔を開けて直立するように固定された構造である。伝熱管5の内部には、例えばボイラに供給される水が流される。なお、ここでの鍔状フィン6は、その外周縁部に歯車状の凹凸が形成されたセレートフィンとなっているが、凹凸が無い円板状のものとしてもよい。
熱交換容器2の底部と頂部には、それぞれ排ガス流入ダクト8と排ガス流出ダクト9とが設けられ、図示しない燃焼器で燃焼を終えた燃料の高温な排ガスが排ガス流入ダクト8から流入して熱交換容器2の内部を下方から上方に通過し、排ガス流出ダクト9から流出する。そして、鍔状フィン6により表面積を増大されたフィンチューブ3の周囲を高温な排ガスが流れることにより、伝熱管5の内部を流れる水が排ガスと熱交換して加熱される。こうして排気ガスの熱が効率良く回収されて有効に利用される。
フィンチューブ3の直線部の長さは20メートルにも達するため、重量のあるフィンチューブ3の中間部が下方に撓むことを防止するべく、所定の間隔で設置された複数の中間保持部材11によってフィンチューブ3の中間部が保持される。中間保持部材11は所定の厚みを備えた平板状の部材であり、フィンチューブ3が挿通される多数の挿通孔12が穿設され、熱交換容器2の天井構造材13等から吊持具14によって吊り下げられ、これによりフィンチューブ3中間部の撓みが防止される。
図3は図1のIII-III線に沿う縦断面図である。また、図4は図3のIV部拡大図である。
中間保持部材11に形成されている多数の挿通孔12は千鳥状(ハニカム状)に穿設されており、中間保持部材11に挿通されるフィンチューブ3の配置密度が高められて熱交換効率の向上が図られている。
図3に示すように、中間保持部材11に複数のフィンチューブ3が挿通されて纏められたものが熱交換モジュールA,Bとされ、これらの熱交換モジュールA,Bが連結金具16とボルト17により横並びに連結されたユニットUが、熱交換容器2の内部において上下多段に設置される。さらに、複数のユニットUが連結部材18を介して横並びにも連結される。
図4に拡大して示すように、各熱交換モジュールA,Bの連結部においては、中間保持部材11の端部に位置する挿通孔12の一部が切断されてC字状に開放された形状となっている。このようにC字状に開放された挿通孔12にもフィンチューブ3が挿通されており、熱交換モジュールA側のフィンチューブ3と、熱交換モジュールB側のフィンチューブ3とが千鳥状に交互に噛み合うように配置されている。
そして、熱交換モジュールA,Bの間に押圧部材20が介装される。この押圧部材20は、熱交換モジュールA,Bが連結された状態で、両方の熱交換モジュールA,Bの、C字状に開放された形状の挿通孔12に挿通されているフィンチューブ3に圧接し、これら両側のフィンチューブ3を、それぞれの熱交換モジュールA,Bの中間保持部材11の中央部側、即ち矢印Mの方向に押圧する弾性体である。
このような押圧部材20を設けることにより、各フィンチューブ3が挿通孔12の中で振動することが防止される。特に、中間保持部材11の端部においてC字状に開放された形状に切断されている挿通孔12の下顎状の先端部分12a(エッジ)がフィンチューブ3の鍔状フィン6の外周部に小さい面積で接触する(角当たり)ことが防止され、鍔状フィン6が異常摩耗することを効果的に抑制することができる。
[第1実施形態]
図5は、押圧部材20の第1実施形態を示す縦断面図である。この押圧部材20Aは、例えば厚さが3〜5ミリ程度、幅が1〜2メートル程度の金属帯板であり、熱交換モジュールA,Bの各々のフィンチューブ3の間を蛇行して通る蛇行形状に成形されている。そして、熱交換モジュールA,Bの各々の中間保持部材11の間、もしくは中間保持部材11に近接した位置に設置されている。
また、押圧部材20Aは、その自由状態における蛇行形状の蛇行幅寸法W2が、連結される熱交換モジュールA,Bの各々のフィンチューブ3の重なり幅寸法W1よりも小さく設定されている。このため、熱交換モジュールAとBとが連結されると、図6に示すように、その対向するフィンチューブ3の間で押圧部材20Aが圧迫され、金属部品である押圧部材20Aが曲率の小さい自由形状20aから曲率の大きい圧迫形状20bに変形する。
そして、押圧部材20Aの持つバネ作用(弾性)によって発生する押圧力Fにより、各フィンチューブ3がそれぞれ挿通孔12の中で中間保持部材11の中央部側(M方向)に向かって押圧される。
これにより、各フィンチューブ3が挿通孔12の中で振動することが防止され、各フィンチューブ3の異常摩耗が抑制される。特に、C字状に開放された形状に切断されている挿通孔12においては、押圧部材20Aに押圧されたフィンチューブ3の鍔状フィン6が挿通孔12の下顎状の先端部分(エッジ)12a(図4参照)から浮き上がり、先端部分12aに接触しなくなるため、先端部分12aとの接触によって鍔状フィン6が異常摩耗することを効果的に抑制することができる。
押圧部材20Aは、板金材料を蛇行形状に成形しただけの非常に簡素な形状であるため、低コストにて製造することができる。
[第2実施形態]
図7は、押圧部材の第2実施形態を示す縦断面図である。この押圧部材20Bは、その厚さが第1実施形態における押圧部材20Aよりも薄く、幅が1〜2メートル程度の金属帯板であり、熱交換モジュールA,Bの各々のフィンチューブ3の間を蛇行して通る蛇行形状に成形されている。
そして、押圧部材20Bの全長に亘り、その蛇行形状の蛇行ピッチ寸法P1よりも小さな波形ピッチ寸法P2を持つ波形状22が連続的に成形されている。即ち、この押圧部材20Bは、波形状22が連続した波板がさらに蛇行した形状に湾曲整形されたものである。押圧部材20Bは、これらの波形状22の頂部においてフィンチューブ3の鍔状フィン6の外周と接触する。
このため、図4のように熱交換モジュールAとBとが連結されると、その対向するフィンチューブ3の間で、蛇行形状と波形状22の両方を兼ね備えた金属部品である押圧部材20Bが圧迫されて変形し、波形状22の持つクッション作用によって各フィンチューブ3がそれぞれ中間保持部材11の挿通孔12の中で中間保持部材11の中央部側に向かって押圧される。したがって、各フィンチューブ3が挿通孔12の中で振動することが防止され、各フィンチューブ3(鍔状フィン6)の異常摩耗が回避される。
[第3実施形態]
図8は、押圧部材の第3実施形態を示す縦断面図である。この押圧部材20Cは、第2実施形態における押圧部材20Bと同様に、熱交換モジュールA,Bの各々のフィンチューブ3の間を蛇行して通る蛇行形状に成形されるとともに、押圧部材20Cの全長に亘り、その蛇行形状の蛇行ピッチ寸法P1よりも小さな波形ピッチ寸法P2を持つ波形状22が連続的に成形されている。
また、第1実施形態における押圧部材20A(図5参照)と同様に、その自由状態における蛇行形状の蛇行幅寸法W2が、連結される熱交換モジュールA,Bの各々のフィンチューブ3の重なり幅寸法W1よりも小さく設定されている。
このため、図4のように熱交換モジュールAとBとが連結されると、対向するフィンチューブ3の間で、蛇行形状と波形状22の両方を兼ね備えた金属部品である押圧部材20Cが圧迫されて変形する。そして、押圧部材20Cの蛇行幅寸法W2がフィンチューブ3の重なり幅寸法W1よりも小さく設定されたことによってもたらされるバネ作用(押圧力)と、波形状22によってもたらされるクッション作用との相乗効果によって各フィンチューブ3が挿通孔12の中で防振的に保持され、且つ中間保持部材11の中央部側に向かって押圧される。
これにより、各フィンチューブ3が挿通孔12の中で振動することが防止され、鍔状フィン6等の異常摩耗を抑制することができる。
[第4実施形態]
図9は、押圧部材の第4実施形態を示す縦断面図である。この押圧部材20Dは、その自由状態では第1〜第3実施形態の押圧部材20A,20B,20Cのような蛇行形状を有さない略直線状である。また、第2、第3実施形態の押圧部材20B,20Cのように、その全長に亘って、各フィンチューブ3の蛇行ピッチ寸法P1よりも小さな波形ピッチ寸法P2を持つ波形状22が連続的に成形されている。そして、図4のように熱交換モジュールAとBとが連結され、その間に介装された時には、各々の熱交換モジュールA,Bのフィンチューブ3の間を蛇行して通る蛇行形状に変形できる柔軟性を備えている。
このように、自由状態では蛇行形状を有さない略直線状に形成されている押圧部材20Dは、単なる波板状のものであればよく、その製造が極めて容易である。そして、この押圧部材20Dは、波形状22が成形されていることによって柔軟性に富むため、連結される2つの熱交換モジュールA,Bの間に挟まれた時には、各々の熱交換モジュールA,Bのフィンチューブ3の間を蛇行する形状に容易に変形し、各フィンチューブ3にフィットして、各フィンチューブ3を中間保持部材11の中央部側に押圧することができる。このため、簡素で安価な構造により、各フィンチューブ3が中間保持部材11の挿通孔12の中で振動することを防止し、フィンチューブ3の異常摩耗を抑制することができる。
以上説明したように、前記各実施形態に係るフィンチューブ式熱交換器1によれば、連結される熱交換モジュールAとBの間に押圧部材20A,20B,20C,20Dを介装するという簡素な構成により、フィンチューブ3が中間保持部材11の挿通孔12の中で振動して異常摩耗を起こすことを効果的に防止することができる。
なお、本発明は、上記の第1〜第4実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更や改良を加えることができ、このように変更や改良を加えた実施形態も本発明の権利範囲に含まれるものとする。
1 フィンチューブ式熱交換器
3 フィンチューブ
5 伝熱管
6 鍔状フィン
11 中間保持部材
12 挿通孔
20A,20B,20C,20D 押圧部材
22 波形状
A,B 熱交換モジュール
M 中間保持部材の中央部側
P1 蛇行ピッチ寸法
P2 波形ピッチ寸法
W1 フィンチューブの重なり幅寸法
W2 押圧部材の自由状態における蛇行幅寸法

Claims (5)

  1. 伝熱管の外周面に複数の鍔状フィンが軸方向に連装されて表面積を増大された複数のフィンチューブと、前記フィンチューブが挿通される複数の挿通孔が形成された中間保持部材とを備え、
    前記中間保持部材に複数の前記フィンチューブが挿通されて纏められた複数の熱交換モジュールが互いに連結されるフィンチューブ式熱交換器であって、
    複数の前記熱交換モジュールの間に介装される押圧部材を有し、
    前記押圧部材は、連結される一方と他方の前記熱交換モジュールが連結された状態で、前記一方の熱交換モジュールのフィンチューブと、前記他方の熱交換モジュールのフィンチューブとの両方に圧接し、これら各々のフィンチューブを前記中間保持部材の中央部側に押圧する弾性体であることを特徴とするフィンチューブ式熱交換器。
  2. 前記一方と他方の熱交換モジュールの連結部において、前記一方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブと、前記他方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブとは千鳥状に交互に噛み合うように配置されており、
    前記押圧部材は、前記一方と他方の熱交換モジュールの各々の前記フィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状に成形された金属部品であり、
    前記押圧部材の自由状態における前記蛇行形状の蛇行幅寸法が、前記一方と他方の熱交換モジュールの各々の前記フィンチューブの重なり幅寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブ式熱交換器。
  3. 前記一方と他方の熱交換モジュールの連結部において、前記一方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブと、前記他方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブとは千鳥状に交互に噛み合うように配置されており、
    前記押圧部材は、前記一方と他方の熱交換モジュールの各々の前記フィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状に成形された金属部品であり、
    前記押圧部材の全長に亘り、前記蛇行形状の蛇行ピッチ寸法よりも小さな波形ピッチ寸法を持つ波形状が成形されていることを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブ式熱交換器。
  4. 前記押圧部材は、その自由状態における蛇行形状の蛇行幅寸法が、前記一方と他方の熱交換モジュールの各々の前記フィンチューブの重なり幅寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項3に記載のフィンチューブ式熱交換器。
  5. 前記一方と他方の熱交換モジュールの連結部において、前記一方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブと、前記他方の熱交換モジュール側の前記フィンチューブとは千鳥状に交互に噛み合うように配置されており、
    前記押圧部材は、その自由状態では蛇行形状を有さない略直線状であり、前記一方と他方の熱交換モジュール間に介装された時には、各々の熱交換モジュールのフィンチューブの間を蛇行して通る蛇行形状に変形する柔軟性を備えており、
    且つ、前記押圧部材の全長に亘り、前記蛇行形状の蛇行ピッチ寸法よりも小さな波形ピッチ寸法を持つ波形状が成形されていることを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブ式熱交換器。
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