しかしながら、上記のように縦材用の止水材と横材用の止水材とを用意してそれらを個別に壁下地材に取り付ける構成では、止水処理を行う際の作業負担が大きくなる。そのため、かかる作業負担の軽減を図るには技術改善の余地があると考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、外壁部の開口部の周囲における止水処理を好適に実施することができる建物の壁構造を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
第1の発明の建物の壁構造は、横並びに配置された複数の外壁面材(外壁面材15)と、前記外壁面材の背面側に設けられ該外壁面材が取り付けられた外壁下地(外壁下地16)と、前記外壁面材の背面に沿って延びている背面止水層(背面止水層52)とを含んで外壁部(外壁部11)が構成され、該外壁部に形成された壁開口部(窓部12)にサッシ枠(サッシ枠21)が設けられている建物(建物10)の壁構造であって、前記複数の外壁面材には、前記外壁部の壁幅方向において前記サッシ枠に横並びに設けられた横並び面材(横並び面材15A)と、前記外壁部の壁高さ方向において前記サッシ枠に縦並びに設けられた縦並び面材(上側面材15B、下側面材15C)とが含まれており、前記外壁下地は、前記横並び面材の側端部に沿って設けられ、前記壁高さ方向に延びている縦下地材(サッシ沿い縦材22)と、前記縦並び面材の下端部又は上端部に沿って設けられ、前記縦下地材から前記壁幅方向に延びている横下地材(上側横材26、下側横材27)と、を有しており、前記背面止水層は、前記縦下地材と前記横下地材との接続部分に対して設けられた止水役物(止水役物63)を有しており、前記止水役物は、前記縦下地材の屋外側面に重ねられた状態で該縦下地材に沿って前記壁高さ方向に延び、前記横並び面材、前記縦並び面材及び前記サッシ枠の背面側に入り込んでいる役物縦部(役物縦部71)と、前記横下地材の屋外側面に重ねられた状態で前記役物縦部の中間部分から前記横下地材に沿って前記壁幅方向に延び、前記縦並び面材及び前記サッシ枠の背面側に入り込んでいる役物横部(役物横部72)と、を有していることを特徴とする。
第1の発明によれば、外壁下地が、縦並び面材の側端部に沿って設けられた縦下地材と、縦並び面材の下端部又は上端部に沿って設けられた横下地材とを有しており、これら両下地材の接続部分(T字状の接続部分)に、背面止水層を構成するための止水役物が設けられている。この場合特に、止水役物は、縦下地材の屋外側面に重ねられた状態で該縦下地材に沿って延びる役物縦部と、横下地材の屋外側面に重ねられた状態で役物縦部の中間部分から横下地材に沿って延びる役物横部と、を有するものであって、言うなればT字状に一体成形されるものとなっている。そして、止水役物において、役物縦部が、横並び面材、縦並び面材及びサッシ枠の背面側に入り込んで配置され、役物横部が、縦並び面材及びサッシ枠の背面側に入り込んで配置されることから、壁下地のT字状部分について適正なる止水を行わせることができる。また、上記構成の止水役物を用いることにより、外壁部の施工時において縦下地材側の止水作業と横下地材側の止水作業とをまとめて行うことができ、止水処理にかかる作業負担を大いに軽減できる。その結果、外壁部の開口部の周囲における止水処理を好適に実施することができる。
第2の発明では、第1の発明において、前記背面止水層は、前記縦下地材の屋外側面に重ねられた状態で前記役物縦部から前記縦下地材に沿って前記壁高さ方向に延びている縦止水部材(第2止水部材62)と、前記横下地材の屋外側面に重ねられた状態で前記役物横部から前記横下地材に沿って前記壁幅方向に延びている横止水部材(第1止水部材61)と、を有している。
第2の発明では、外壁面材の背面側において縦下地材には、止水役物の役物縦部に連なるようにして縦止水部材が設けられ、同じく外壁面材の背面側において横下地材には、止水役物の役物横部に連なるようにして横止水部材が設けられている。この場合、縦下地材及び横下地材において、両下地材の接続部分(T字部分)とそれ以外の長尺部分とで止水の部材(止水役物、縦止水部材、横止水部材)を使い分けることができ、壁下地の形態に対応させつつ施工性の向上を図ることができる。
また、止水役物は、縦止水部材や横止水部材に比べて形状の複雑さが増すことになるが、上記のとおり複数に分割された部材を用いることで、止水役物として役物縦部や役物横部の長さが相違する複数種類のものを用意しておくことが不要となり、その点でも優位さがあるものとなっている。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記サッシ枠の上方には、前記縦並び面材(上側面材15B)が設けられ、前記縦並び面材の下端部に沿って前記横下地材(上側横材26)が設けられており、前記横下地材は、屋外側に向けて延出し且つ前記縦並び面材を下方から支持する面材支持部(面材支持部36)を有しており、前記役物横部は、前記面材支持部の上方において前記縦並び面材の背面側に入り込んでいる面材側入り込み部(入り込み部61a,72a)と、前記面材支持部の下方において前記サッシ枠の背面側に入り込んでいるサッシ側入り込み部(入り込み部61b,72b)と、前記面材側入り込み部と前記サッシ側入り込み部とを接続している接続部(接続部61c,72c)と、を有しており、前記接続部は、前記面材支持部を屋外側から覆っている。
第3の発明では、縦並び面材において屋外側に向けて延出する面材支持部に役物横部が取り付けられるものとなっており、詳しくは、面材支持部の上方において面材側入り込み部が縦並び面材の背面側に入り込み、かつ面材支持部の下方においてサッシ側入り込み部がサッシ枠の背面側に入り込んでおり、その状態で接続部が面材支持部を屋外側から覆うようになっている。この場合、縦並び面材の支持構造として、横下地材に屋外側に向けて延出する面材支持部が設けられていても、その延出形状を考慮しつつ適正なる止水を実施できる。つまり、面材支持部で止水が途切れることを回避しつつ、面材支持部の上下の止水作業をまとめて実施できる。
第4の発明では、第3の発明において、前記面材支持部は、前記壁幅方向において前記縦下地材から離間した位置に配置されており、前記役物横部は、前記縦下地材から前記面材支持部までの離間距離よりも大きい長さ寸法を有しており、前記役物横部の前記接続部分においては、前記面材側入り込み部と前記サッシ側入り込み部との間の長さ寸法が、前記役物縦部から前記面材支持部に近付くにつれて徐々に大きくされている。
第4の発明では、面材支持部は、壁幅方向において縦下地材から離間した位置に配置されており、換言すれば、縦下地材と面材支持部との間には、壁幅方向に互いが離間される離間部分が設けられている。また、役物横部は、縦下地材から面材支持部までの離間距離よりも大きい長さ寸法を有しており、かつ、面材側入り込み部とサッシ側入り込み部との間の長さ寸法が、役物縦部から面材支持部に近付くにつれて徐々に大きくされている。この場合、役物横部は、横下地材への取り付け前の状態で略三角形をなしており、横下地材の面材支持部が縦下地材に対して壁厚み方向に張り出っている構成であっても、横下地材の面材支持部から縦下地材に向けて斜めに連続するようにして、止水役物を取り付けることができる。
第5の発明では、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記壁下地は、前記外壁面材と前記サッシ枠とが取り付けられるものであり、前記横下地材は、前記縦並び面材の背面に沿って延び、該縦並び面材が取り付けられた面材用横部材(面材用横部材26a,27a)と、前記サッシ枠の背面に沿って延び、該サッシ枠が取り付けられたサッシ用横部材(サッシ用横部材26b,27b)と、を有しており、前記面材用横部材及び前記サッシ用横部材は、いずれも前記縦下地材から前記幅方向に延びており、前記役物横部は、前記壁高さ方向において前記面材用横部材と前記サッシ用横部材とに掛け渡された状態で設けられている。
第5の発明によれば、サッシ枠及び縦並び面材がサッシ用横部材及び面材用横部材という別々の部材に取り付けられているため、これらサッシ枠及び縦並び面材が共通の部材に固定された構成とは異なり、サッシ枠及び縦並び面材のそれぞれの仕様に合わせてサッシ用横部材及び面材用横部材を施工することができる。このため、例えば急な設計変更などによりサッシ枠の仕様が変更された場合に、サッシ用横部材の仕様だけを変更すれば済み、サッシ用横部材の仕様変更についても縦並び面材からの荷重などを考慮する必要がない。
このような構成を有する外壁部においても、止水役物がサッシ用横部材と面材用横部材とに掛け渡されているため、サッシ用横部材と面材用横部材との境界部について止水性能が低下するということを好適に防止できる。
第6の発明では、第5の発明において、前記面材用横部材及び前記サッシ用横部材のうち一方の屋外側面が、他方の屋外側面よりも屋外側に配置されている。
第6の発明によれば、壁厚み方向において外壁面材に対してサッシ枠を屋外側に突出した位置に配置することや、サッシ枠を屋内側に入り込んだ位置に配置することが容易になる。これは、外壁面材に対するサッシ枠の相対的な位置に関する自由度を高めることで、外壁部の意匠性の向上を図るという観点において好都合である。しかも、止水役物が面材用横部材とサッシ用横部材とに掛け渡されているため、外壁面材に対するサッシ枠の位置に関係なく、面材用横部材とサッシ用横部材との境界部について止水性能が低下するということを防止できる。
第7の発明では、第5又は第6の発明において、前記サッシ用横部材は、前記壁幅方向において前記縦下地材に横並びに配置されており、前記面材用横部材は、前記縦下地材より屋外側に配置され、該縦下地材と前記縦並び面材との間に挟み込まれた状態になっており、前記壁高さ方向において前記面材用横部材を挟んで前記サッシ枠とは反対側においては、前記縦下地材と前記縦並び面材との間にスペーサ部材(横並びスペーサ部材45、縦並びスペーサ部材46)が挟み込まれた状態で設けられており、前記止水役物が前記縦並び面材と前記スペーサ部材との間に挟み込まれている。
第7の発明によれば、縦並び面材と縦下地材との間にサッシ用横部材が挟み込まれた状態になっていても、その他の部分について縦並び面材と縦下地材との間にスペーサ部材が挟みこまれているため、縦並び面材が壁厚み方向に傾くことを回避できる。しかも、下地役物が縦並び面材とスペーサ部材との間に挟み込まれているため、下地役物が縦下地材とスペーサ部材との間に挟み込まれた構成とは異なり、スペーサ部材の厚み寸法に関係なく下地役物の大きさや形状を設定することができる。これにより、下地役物の汎用性が高い構成を実現することができる。
第8の発明では、第7の発明において、前記スペーサ部材は、前記縦下地材と前記横並び面材との間にも挟み込まれた状態で設けられており、前記止水役物が前記横並び面材と前記スペーサ部材との間に挟み込まれている。
第8の発明によれば、縦並び面材及び横並び面材の両方と縦下地材との間にスペーサ部材が挟み込まれているため、横並び面材と縦並び面材との間に段差が生じることを回避できる。しかも、下地役物が横並び面材とスペーサ部材との間に挟み込まれているため、下地役物がスペーサ部材を挟んで横並び面材とは反対側(縦下地材側)に配置された構成とは異なり、横並び面材に対して設けられるスペーサ部材の厚み寸法に関係なく下地役物の大きさや形状を設定することができる。
第9の発明では、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記止水役物は、前記止水役物の外郭を形成する止水シート(止水シート65)と、前記止水シートに重ねられた状態で前記壁高さ方向又は前記壁幅方向に沿って延びており、前記止水シートとの重なり方向に圧縮されることで止水性能を発揮する止水テープ(止水テープ66)と、を有しており、前記止水役物においては、前記止水シートと前記止水テープとが重ねられた部分が、前記横並び面材、前記縦並び面材及び前記サッシ枠の背面側に入り込んでおり、前記止水テープは、前記役物縦部において、前記横並び面材と前記縦並び面材との境界部を挟んで配置され、前記壁高さ方向に沿って延びている一対の縦テープ部(サッシ側縦テープ部75a、面材側縦テープ部75b)と、前記役物横部において、前記縦並び面材と前記サッシ枠との境界部を挟んで配置され、前記壁幅方向に沿って延びている一対の横テープ部(横テープ部76)と、を有しており、前記一対の横テープ部は、前記一対の縦テープ部のうち前記サッシ枠側に配置されたサッシ側縦テープ部(サッシ側縦テープ部75a)の中間部分にそれぞれ接続されており、これら横テープ部の間の部分は前記サッシ側縦テープ部が設置されていない非設置部分とされている。
第9の発明によれば、止水役物においては止水シートの全ての面に止水テープが貼り付けられているわけではなく、外壁面材同士の間の隙間や、外壁面材とサッシ枠との間の隙間に合わせて、止水テープが設けられていない部分が形成されているため、それら隙間において止水役物の柔軟性を確保できる。これにより、外壁面材とサッシ枠と位置関係などに合わせて止水役物の形状を適正に整えることができる。
なお、外壁面材に対するサッシ枠の位置が、屋外側に突出した位置や屋内側に入り込んだ位置とされている構成では、外壁面材とサッシ枠との境界部について止水性能が低下することが懸念される。この課題を解決できる構成として、以下の発明を挙げることができる。
横並びに配置された複数の外壁面材(外壁面材15)と、前記外壁面材の背面側に設けられ該外壁面材が取り付けられた外壁下地(外壁下地16)と、前記外壁面材の背面に沿って延びている背面止水層(背面止水層52)とを含んで外壁部(外壁部11)が構成され、該外壁部に形成された壁開口部(窓部12)にサッシ枠(サッシ枠21)が設けられ、該サッシ枠が前記外壁下地に取り付けられている建物(建物10)の壁構造であって、
前記外壁下地は、
前記外壁面材の背面に沿って延び、該外壁面材が取り付けられた面材用下地材(面材用横部材26a)と、
前記サッシ枠の背面及び前記面材用下地材に沿って延び、該サッシ枠が取り付けられたサッシ用下地材(サッシ用横部材26b)と、
を有しており、
前記サッシ用下地材においては、当該サッシ用下地材における前記サッシ枠の取り付け面が、前記面材用下地材における前記外壁面材の取り付け面よりも屋内側に配置されており、
前記背面止水層は、前記外壁面材と前記サッシ枠との境界部分に対して設けられた境界役物(第1止水部材61、止水役物63)を有しており、
前記境界役物は、
前記外壁面材と前記面材用下地材との間に挟み込まれている面材側入り込み部(入り込み部61a,72a)と、
前記サッシ枠と前記サッシ用下地材との間に挟み込まれているサッシ側入り込み部(入り込み部61b、72b)と、
前記面材用下地材と前記サッシ用下地材との境界部を跨いだ状態で、前記面材側入り込み部と前記サッシ側入り込み部とを接続している接続部(接続部61c、接続部72c)と、
を有していることを特徴とする記載の建物の壁構造。
この構成によれば、外壁面材に対してサッシ枠を屋内側に入り込んだ位置に配置することが容易になる。この場合、外壁面材に対するサッシ枠の設置位置に関する自由度が高められるため、外壁部の意匠性向上を図ることができる。しかも、サッシ枠の背面側と外壁面材の背面側とに掛け渡された状態で境界役物が設けられているため、壁厚み方向におけるサッシ枠の位置に関係なく、サッシ枠と外壁面材との境界部についての止水性能が低下するということを抑制できる。
なお、この発明には、止水役物を境界役物に置き換えることで、上記第2乃至第9の発明のいずれかを適用することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の外壁構造を窓部が設けられた外壁部において具体化している。図1は外壁部11を示す図であり、(a)に外壁部11の概略正面図を示し、(b)に外壁下地16の斜視図を示す。図2は図1(a)のA−A線断面図、図3は図1(a)のB−B線断面図、図4は図1(a)のC−C線断面図、図5は図1(a)のD−D線断面図である。なお、図1(b)においては、サッシ枠21の図示を省略している。
図1〜図3に示すように、建物の外壁部11には、壁開口部としての窓部12が設けられている。外壁部11は、建物の外周部に沿って配置された複数の外壁面材15と、外壁面材15を支持する外壁下地16とを有している。これら外壁面材15は、外壁部11の壁幅方向に沿って並べられており、隣り合う外壁面材15の境界線Laは壁高さ方向に沿って延びている。この場合、隣り合う外壁面材15の間の隙間が目地部分になっている。外壁面材15は、軽量コンクリート等の外装材により板材に形成されている。
外壁面材15は、上下方向に延びた中空部17aを有している。中空部17aは、外壁面材15の上方及び下方に向けて開放されており、外壁面材15の幅方向に沿って所定間隔で複数配置されている。外壁面材15においては、中空部17aよりも屋外側の部分が外側壁肉部17bとされ、中空部17aよりも屋内側の部分が内側壁肉部17cとされている。中空部17aは、外側壁肉部17bと内側壁肉部17cとを繋ぐ中間繋ぎ部で仕切られている。
外壁部11は、外壁面材15の屋内側に設けられた壁断熱部18を有している。壁断熱部18は、発泡系断熱材により板状に形成されており、外壁面材15の背面側に沿って延びている。壁断熱部18は、外壁面材15から屋内側に離間した位置において、壁幅方向及び壁高さ方向においてサッシ枠21に並べて配置されている。
図1(a)に示すように、窓部12には、矩形枠状のサッシ枠21が設けられている。サッシ枠21は、壁高さ方向に沿って上下に延びる一対の縦枠部21aと、これら縦枠部21aの上端同士を連結する上枠部21bと、縦枠部21aの下端同士を連結する下枠部21cとを有している。なお、上枠部21b及び下枠部21cは、壁幅方向に沿って左右に延びている横枠部に相当する。
サッシ枠21は、壁幅方向において外壁面材15に横並びに配置されており、サッシ枠21と外壁面材15との境界線は、外壁面材15同士の境界線Laに一致している。サッシ枠21は、壁高さ方向において外壁面材15の中間位置に配置されており、壁高さ方向において外壁面材15に上下に並べられている。
複数の外壁面材15には、サッシ枠21に横並びに配置された横並び面材15Aと、サッシ枠21の上側に配置された上側面材15Bと、サッシ枠21の下側に配置された下側面材15Cとが含まれている。上側面材15B及び下側面材15Cは、横並び面材15Aと横並びに配置されている。サッシ枠21と上側面材15Bとの境界線Lb、及びサッシ枠21と下側面材15Cとの境界線Lcは、いずれも壁幅方向に沿って延びている。この場合、サッシ枠21と上側面材15B及び下側面材15Cとの間の隙間を目地部分と称することもできる。なお、上側面材15B及び下側面材15Cは、いずれもサッシ枠21に縦並びに配置された縦並び面材に相当する。
図1(b)に示すように、外壁下地16は、壁高さ方向に沿って延びている複数の縦フレーム材を有している。これら縦フレーム材は、隣り合う外壁面材15の境界部に対してそれぞれ配置されている。複数の縦フレーム材には、サッシ枠21と横並び面材15Aとの境界部に対して設けられたサッシ沿い縦材22が含まれている。なお、各フレーム材は、居住空間の上下に配置された上梁や下梁などの建物躯体に対して固定されている。
サッシ沿い縦材22は、サッシ枠21と横並び面材15Aとの境界線Laに沿って延びており、この境界線Laに壁厚み方向に重なる位置に配置されている。サッシ沿い縦材22は、L字状の山形鋼(アングル)により形成されており、面材15A〜15C及びサッシ枠21の背面側(屋内側)に配置されている。サッシ沿い縦材22は、互いに交差する一対の板部23,24を有しており、一方の板部23が壁幅方向に沿って延びた手前側板部23とされ、他方の板部24が手前側板部23から奥側(屋内側)に向けて延びた奥行き板部24とされている。手前側板部23は、サッシ枠21と横並び面材15Aとの境界線Laを壁幅方向に跨いだ状態になっており、面材15A〜15C及びサッシ枠21の背面に対向している。奥行き板部24は、手前側板部23のサッシ枠21側に配置されており、サッシ枠21の外周面(縦枠部21aの外側面)に対向している。
外壁下地16は、隣り合うサッシ沿い縦材22を連結するサッシ沿い横材として、サッシ枠21の上側に配置された上側横材26と、サッシ枠21の下側に配置された下側横材27とを有している。上側横材26及び下側横材27は上下一対で設けられており、それぞれ上側面材15B、下側面材15C及びサッシ枠21の背面側において壁幅方向に延びている。なお、サッシ沿い縦材22が縦下地材に相当し、上側横材26及び下側横材27が横下地材に相当する。
上側横材26及び下側横材27は、面材15B,15Cが固定された面材用横部材26a,27aと、サッシ枠21が固定されたサッシ用横部材26b,27bとを有している。面材用横部材26a,27a及びサッシ用横部材26b,27bは、いずれも鋼材により長尺状に形成されており、一対のサッシ沿い縦材22に掛け渡されている。サッシ用横部材26b,27bは、一対のサッシ沿い縦材22の間に配置されており、その端面がサッシ沿い縦材22の奥行き板部24に重ねられた状態で、その奥行き板部24に溶接等により固定されている。面材用横部材26a,27aは、サッシ沿い縦材22の屋外側に配置されており、サッシ沿い縦材22の手前側板部23に壁厚み方向に重ねられた状態で、その手前側板部23に溶接等により固定されている。
図1(b)、図4、図5に示すように、サッシ用横部材26b,27bは、L字状の山形鋼により形成されており、互いに交差する一対の板部31,32をそれぞれ有している。一方の板部31は、サッシ枠21の上下に配置された壁断熱部18の端面に沿って壁幅方向に延びている端面側板部31とされ、他方の板部32は、壁断熱部18の屋外側面に引っ掛けられた引っ掛け板部32とされている。引っ掛け板部32の屋外側面は、サッシ沿い縦材22の手前側板部23の屋外側面と面一になっており、サッシ枠21の背面は、壁幅方向においてサッシ沿い縦材22と横材26,27とに掛け渡された状態で、手前側板部23及び引っ掛け板部32の各屋外側面に重ねられている。なお、引っ掛け板部32の屋外側面は、手前側板部23の屋外側面より屋外側に入り込んだ位置に配置されていてもよい。
面材用横部材26a,27aは、サッシ沿い縦材22の手前側板部23に屋外側から重ねられた重ね板部35を有している。重ね板部35は、平板状に形成され、その板面を壁厚み方向に向けた状態で一対のサッシ沿い縦材22に掛け渡されており、重ね板部35の端部がサッシ沿い縦材22の手前側板部23に重ねられている。また、重ね板部35の屋外側面には、上側面材15B及び下側面材15Cの背面が重ねられている。この場合、上側横材26の重ね板部35の端部は、サッシ沿い縦材22と上側面材15Bとの間に挟まった状態になっており、下側横材27の重ね板部35の端部は、サッシ沿い縦材22と下側面材15Cとの間に挟まった状態になっている。
サッシ用横部材26b、27bの引っ掛け板部32は、面材用横部材26a,27aの重ね板部35の背面側に配置されている。上側横材26及び下側横材27のいずれにおいても、引っ掛け板部32は、その一部が重ね板部35に重なり、且つ壁高さ方向において重ね板部35よりもサッシ枠21側に突出した位置に配置されている。この場合、上側横材26及び下側横材27の各屋外側面においては、引っ掛け板部32と重ね板部35とにより段差が形成されている。例えば、上側横材26においては、引っ掛け板部32の上端部が重ね板部35の背面側に配置されている一方で、引っ掛け板部32の下端部が重ね板部35よりも下方位置に配置されている。また、下側横材27においては、引っ掛け板部32の下端部が重ね板部35の背面側に配置されている一方で、引っ掛け板部32の上端部が重ね板部35よりも上方位置に配置されている。
面材用横部材26a,27aのうち、上側横材26の面材用横部材26aは、上側面材15Bを下方から支持する面材支持部36を有している。面材支持部36は、上側横材26の重ね板部35の下端から屋外側に突出しており、板面を上下に向けた板部とされている。面材支持部36には、上側横材26が載せられており、面材支持部36の上面が上側横材26の下端面に対向している。面材支持部36は、重ね板部35に対して溶接等により固定されている。
上側横材26の面材支持部36は、壁幅方向において重ね板部35の中間位置に配置されている。面材支持部36の長さ寸法が重ね板部35の長さ寸法より小さくされており、面材支持部36は、サッシ沿い縦材22に壁厚み方向に重なっていない。ここで、壁幅方向において、面材支持部36はサッシ沿い縦材22から離間しており、上側面材15Bの中間位置が面材支持部36により支持された状態になっている。
上側面材15B及び下側面材15Cには、これら面材15B,15Cの背面との間に面材用横部材26a,27aの重ね板部35を挟み込む挟み部材41が取り付けられている。挟み部材41は、面材15B,15Cの背面側に配置され、ボルト42により面材15B,15Cのそれぞれに固定されている。この場合、重ね板部35は、面材15B,15Cと挟み部材41との間に挟まれた状態で、面材15B,15Cを支持している。なお、上側横材26の重ね板部35は、上側面材15Bと挟み部材41との間に上方から入り込んでおり、下側横材27の重ね板部35は、下側面材15Cと挟み部材41との間に下方から入り込んでいる。
ここで、上側面材15B及び下側面材15Cとサッシ沿い縦材22との間に重ね板部35が挟み込まれている構成では、壁高さ方向において重ね板部35を挟んでサッシ枠21とは反対側の領域において、面材15B,15Cとサッシ沿い縦材22との間に、重ね板部35の厚み寸法の分だけ隙間が形成されてしまう。また、壁厚み方向において、横並び面材15Aの位置を上側面材15B及び下側面材15Cの位置と同じにすると、横並び面材15Aとサッシ沿い縦材22との間にも同様の隙間が形成されてしまう。
そこで、図2、図3に示すように、横並び面材15A、上側面材15B及び下側面材15Cとサッシ沿い縦材22との間には、スペーサ部材45,46が挟み込まれている。これにより、これら面材15A〜15Cをサッシ沿い縦材22に対して適正な状態で固定できる。また、スペーサ部材45,46が設けられていない構成とは異なり、重ね板部35が挟まっている分だけ上側面材15B及び下側面材15Cが壁厚み方向に傾くということや、横並び面材15Aと上側面材15B及び下側面材15Cとの間に段差が生じるということを回避できる。
スペーサ部材45,46は、ゴム等の弾性部材により形成されているが、サッシ沿い縦材22と面材15A〜15Cとの間に挟み込まれて圧縮された状態でも、重ね板部35の厚み寸法と同じ厚み寸法を確保できる部材とされている。スペーサ部材45,46は、サッシ沿い縦材22に沿って壁高さ方向に延びている長尺部材であり、圧縮された状態及び圧縮されていない状態のいずれにおいても高い止水性能を有している。
スペーサ部材45,46は、横並び面材15A、上側面材15B及び下側面材15Cの側端部に沿って上下方向に延びている。これらスペーサ部材45,46は、壁幅方向に所定間隔で並べられており、上下に延びる境界線Laを挟んで左右一対の2列で配置されている。スペーサ部材45,46のうち、横並び面材15Aの背面側に配置された横並びスペーサ部材45は、サッシ枠21に壁幅方向に重なる位置にも配置されている一方で、縦並び面材としての上側面材15B及び下側面材15Cの背面側に配置された縦並びスペーサ部材46は、サッシ枠21に壁幅方向に重なる位置には配置されていない。
サッシ沿い縦材22に対してサッシ枠21が取り付けられている領域においては、横並びスペーサ部材45が1列で配置されている。これは、サッシ枠21は、上側面材15B及び下側面材15Cとは異なり、サッシ沿い縦材22との間に重ね板部35を挟み込んでおらず、サッシ沿い縦材22との間の隙間が小さいためである。この場合、横並びスペーサ部材45が、壁幅方向においてサッシ枠21に所定間隔で横並びに配置されていることになる。
外壁部11においては、外壁面材15やサッシ枠21の周縁部に沿って止水処理が施されており、この止水処理により、外壁面材15同士の間の隙間や外壁面材15とサッシ枠21との間の隙間に設けられた隙間止水層51と、外壁面材15やサッシ枠21の背面側に設けられた背面止水層52とが形成されている。外壁部11においては、背面止水層52が隙間止水層51よりも奥側に配置されており、この位置関係からして、隙間止水層51を一次防水と称し、背面止水層52を二次防水と称することができる。
図2〜図5に示すように、隙間止水層51は、壁高さ方向に沿って延びている境界線Laに沿って延びている部分においては、不定形のシーリング材55と、定形の止水部材であるガスケット56とを有している。ガスケット56は、シーリング材55の背面側に配置されており、外壁面材15同士の間の隙間においては、シーリング材55及びガスケット56が、いずれもこれら外壁面材15の間に配置されている。これに対して、横並び面材15Aとサッシ枠21との間の隙間においては、シーリング材55が、これら横並び面材15Aとサッシ枠21との間に配置されている一方で、ガスケット56は、横並び面材15Aよりも屋内側の位置において、横並びスペーサ部材45とサッシ枠21との間の隙間に配置されている。
隙間止水層51は、壁幅方向に沿って延びている境界線Lb,Lcに沿って延びている部分においては、シーリング材55を有している一方で、ガスケット56を有していない。
背面止水層52は、サッシ沿い縦材22、上側横材26及び下側横材27のそれぞれの長手方向に沿って延びており、それらサッシ沿い縦材22、上側横材26及び下側横材27と、横並び面材15A、上側面材15B、下側面材15C及びサッシ枠21の各背面との間に挟まった状態で設けられている。背面止水層52において、サッシ沿い縦材22に沿って延びている部分は、壁高さ方向を長辺とする縦長形状とされており、上下に延びる境界線Laを壁幅方向に跨いだ状態で設けられている。一方、上側横材26及び下側横材27に沿って延びている部分は、壁幅方向を長辺とする横長形状とされており、左右に延びる境界線Lb,Lcを壁高さ方向に跨いだ状態で設けられている。
例えば、上下方向に延びる境界部について説明すると、図2に示すように、横並び面材15Aと上側面材15Bとの境界部分においては、背面止水層52が、境界線Laを跨いで横並びスペーサ部材45と縦並びスペーサ部材46とに掛け渡された状態で、面材15A,15Bの背面側に入り込んでいる。この場合、背面止水層52においては、両側端部のうち一方の端部が、横並び面材15Aと横並びスペーサ部材45との間に挟まった状態になっており、他方の端部が、上側面材15Bと縦並びスペーサ部材46との間に挟まった状態になっている。
図3に示すように、横並び面材15Aとサッシ枠21との境界部分においては、背面止水層52が境界線Laを跨いだ状態で、横並びスペーサ部材45とサッシ枠21の背面とに掛け渡された状態になっている。この場合、背面止水層52においては、両側端部のうち一方の端部が、横並び面材15Aと横並びスペーサ部材45との間に挟まった状態になっている一方で、他方の端部が、サッシ沿い縦材22の手前側板部23とサッシ枠21の縦枠部21aとの間に挟まった状態になっている。
次に、左右方向に延びる境界部について説明すると、図4に示すように、上側面材15Bとサッシ枠21との境界部においては、背面止水層52が上側横材26の屋外側面に重ねられた状態で、上側面材15B及びサッシ枠21のそれぞれの背面側に入り込んでいる。背面止水層52は、上側横材26において、面材用横部材26aの重ね板部35とサッシ用横部材26bの引っ掛け板部32とに掛け渡されている。この場合、背面止水層52は、面材用横部材26aの面材支持部36を屋外側から覆った状態で、その上端部が重ね板部35と上側面材15Bとの間に挟まった状態になっており、その下端部が引っ掛け板部32とサッシ枠21との間に挟まった状態になっている。
図5に示すように、サッシ枠21と下側面材15Cとの境界部においては、背面止水層52が下側横材27の屋外側面に重ねられた状態で、下側面材15C及びサッシ枠21のそれぞれの背面側に入り込んでいる。背面止水層52は、上側横材26に対する設置構成と同様に、下側横材27において、面材用横部材27aの重ね板部35とサッシ用横部材27bの引っ掛け板部32とに掛け渡されている。この場合、背面止水層52においては、下端が重ね板部35と下側面材15Cとの間に挟まった状態になっており、上端が引っ掛け板部32とサッシ枠21との間に挟まった状態になっている。
背面止水層52は、1つの部材により形成されているのではなく、複数の部材が組み合わされることで形成されている。ここでは、背面止水層52の構成について、外壁部11の構築手順を交えながら、図6、図7を参照しつつ説明する。図6、図7は、背面止水層52の形成手順を説明するための図である。
図6、図7に示すように、背面止水層52は、サッシ沿い縦材22や上側横材26、下側横材27に沿って直線状に延びた状態で設けられる止水部材61,62と、サッシ沿い縦材22と横材26,27との接続部分に対して設けられる止水役物63とを含んで構成されている。これら止水部材61,62及び止水役物63は、防水シート等の止水シート65と、ブチルテープ等の止水テープ66とを有している。止水シート65は、止水部材61,62及び止水役物63の外郭をそれぞれ形成している。止水テープ66は、厚み方向に圧縮されることで止水性能や防水性能を発揮するものであり、止水シート65のシート面に接着剤等により貼り付けられている。
止水部材61,62及び止水役物63は、外壁面材15やサッシ枠21の背面側に入り込んでいる複数の入り込み部と、それら入り込み部を接続する接続部とを有している。入り込み部は、止水シート65に止水テープ66が貼り付けられた部分により形成されており、接続部は、止水シート65に止水テープ66が貼り付けられていない部分により形成されている。止水シート65において、止水テープ66が貼り付けられていない方の面が、サッシ沿い縦材22や上側横材26、下側横材27に貼り付けられる貼り付け面とされており、入り込み部(止水テープ66)に重なる部分が接着剤等が塗布された接着部分とされている。止水部材61,62は短辺の長さ寸法(幅寸法)が異なっており、幅寸法の大きい方を第1止水部材61とし、小さい方を第2止水部材62とする。
なお、第1止水部材61及び止水役物63が、外壁面材15とサッシ枠21との境界部に対して設けられた境界役物に相当する。
図6(a)に示すように、まず、構築した外壁下地16に対してスペーサ部材45,46を取り付ける。サッシ枠21よりも高い位置においては、スペーサ部材45,46の上端同士を同じ高さ位置に配置し、縦並びスペーサ部材46の下端を上側横材26の重ね板部35の上端と同じ高さ位置に配置する。サッシ枠21よりも低い位置においては、スペーサ部材45,46の下端同士を同じ高さ位置に配置し、縦並びスペーサ部材46の上端を下側横材27の重ね板部35の下端と同じ高さ位置に配置する。横並びスペーサ部材45は、壁幅方向において、その側面がサッシ沿い縦材22の手前側板部23の側端面と面一になる位置に配置する。スペーサ部材45,46は、サッシ沿い縦材22の手前側板部23の屋外側面に接着剤等により貼り付ける。
次に、図6(b),(c)に示すように、長方形状の第1止水部材61を上側横材26に取り付ける。第1止水部材61においては、止水シート65が長方形状に形成されていることで第1止水部材61の外郭を形成しており、止水テープ66は、止水シート65の一対の長辺のそれぞれに沿って貼り付けられている。一対の止水テープ66は互いに離間しており、これら止水テープ66は、止水シート65の長手方向に沿って2列で延びている。第1止水部材61においては、止水テープ66が貼り付けられた部分が入り込み部61a,61bとされており、止水テープ66が貼り付けられていない部分が接続部61cとされている。
第1止水部材61を上側横材26に取り付けた場合、上側の入り込み部61aが重ね板部35の屋外側面に貼り付けられ、下側の入り込み部61bが引っ掛け板部32の屋外側面に貼り付けられている。この場合、第1止水部材61は、面材支持部36を上下に跨いで重ね板部35と引っ掛け板部32とに掛け渡された状態とされ、接続部61cが上側横材26の面材支持部36を屋外側から覆っている。壁幅方向において、第1止水部材61の長さ寸法は、面材支持部36の長さ寸法と同じにされており、第1止水部材61は面材支持部36よりも側方にははみ出していない。
そして、上側面材15B及びサッシ枠21が外壁下地16に取り付けられた場合には、第1止水部材61において、上側の入り込み部61aが上側面材15Bと重ね板部35との間に挟まれた状態になり、下側の入り込み部61bがサッシ枠21と引っ掛け板部32との間に挟まれた状態になる。
なお、上側横材26に取り付けられた第1止水部材61が横止水部材に相当し、この第1止水部材61においては、上側の入り込み部61aが面材側入り込み部に相当し、下側の入り込み部61bがサッシ側入り込み部に相当する。
また、図7(a),(b)に示すように、T字状の止水役物63をサッシ沿い縦材22と上側横材26との接続部分に対して、それらサッシ沿い縦材22と上側横材26とに掛け渡した状態で取り付ける。止水役物63は、サッシ沿い縦材22に沿って上下に延びている役物縦部71と、その役物縦部71の中間部分から上側横材26に沿って左右に延びている役物横部72とを有している。
止水役物63においては、止水シート65がT字状に形成されていることで止水役物63の外郭を形成しており、止水テープ66は、役物縦部71の一対の長辺のそれぞれに沿って縦長に貼り付けられた縦テープ部75a,75bと、役物横部72の一対の長辺のそれぞれに沿って横長に貼り付けられた横テープ部76とを有している。一対の縦テープ部75a,75bは、壁幅方向において互いに離間しており、これら縦テープ部75a,75bは、壁高さ方向に沿って2列で延びている。一対の横テープ部76は、壁高さ方向において互いに離間しており、これら横テープ部76は、壁幅方向に沿って2列で延びている。
一対の横テープ部76は、一対の縦テープ部75a,75bのうちサッシ枠21側に配置されたサッシ側縦テープ部75aにそれぞれ接続されており、このサッシ側縦テープ部75aよりも横並び面材15A側には突出しておらず、横並び面材15A側に配置された面材側縦テープ部75bからは離間している。また、一対の横テープ部76の間の部分には、サッシ側縦テープ部75aが設置されておらず、サッシ側縦テープ部75aは、上側の横テープ部76から上方に向けて延びているとともに、下側の横テープ部76から下方に向けて延びている。
役物横部72においては、その長さ寸法(役物縦部71からの延出寸法)が、壁幅方向において役物縦部71と面材支持部36との離間距離(サッシ沿い縦材22と面材支持部36との離間距離)よりも大きくされている。役物横部72の幅寸法(役物縦部71が延びている方向の寸法)は、役物縦部71から遠ざかるにつれて徐々に大きくなっている。この場合、役物横部72の一対の長辺はそれぞれ直線状に延びており、役物横部72はテーパ状に形成されている。役物横部72においては、各横テープ部76が役物横部72の各長辺に沿って延びており、これら横テープ部76の離間距離が、役物縦部71から遠ざかるにつれて徐々に大きくなっている。つまり、接続部71cの長さ寸法が徐々に大きくなっている。
止水役物63の役物縦部71においては、縦テープ部75a,75bが貼り付けられた部分が入り込み部71a,71bとされており、縦テープ部75a,75bが貼り付けられていない部分が接続部71cとされている。同様に、役物横部72においては、横テープ部76が貼り付けられた部分が入り込み部72a,72bとされており、横テープ部76が貼り付けられていない部分が接続部72cとされている。
止水役物63を上側横材26及びサッシ沿い縦材22に取り付けた場合、役物横部72においては、上側の入り込み部72aが重ね板部35の屋外側に貼り付けられ、下側の入り込み部72bが引っ掛け板部32の屋外側面に貼り付けられている。役物横部72は、既に貼り付けられている第1止水部材61の端部にも重ねて貼り付けられている。この場合、上側の入り込み部61a,72aが同士が重ねられ、下側の入り込み部61b,72b同士が重ねられている。
上述したように、役物横部72の幅寸法は、サッシ沿い縦材22から面材支持部36に近付くにつれて徐々に大きくなっているため、役物横部72の先端部分では接続部72cにより面材支持部36を屋外側から覆うことができる一方で、面材支持部36よりサッシ沿い縦材22側の領域であっても面材支持部36が存在しない分だけ接続部72cに余剰分が生じるということを抑制している。
役物縦部71においては、横並び面材15A側(T字外側)の入り込み部71aが横並びスペーサ部材45の屋外側面に貼り付けられている。サッシ枠21側(T字内側)の入り込み部71bについては、上側の入り込み部71bが縦並びスペーサ部材46の屋外側面に貼り付けられている一方で、下側の入り込み部71bがサッシ沿い縦材22の手前側板部23の屋外側面に直接貼り付けられている。
そして、横並び面材15A、上側面材15B及びサッシ枠21が外壁下地16に取り付けられた場合、止水役物63の役物横部72においては、第1止水部材61と同様に、上側の入り込み部72aが上側面材15Bと重ね板部35との間に挟まれた状態になり、下側の入り込み部72bがサッシ枠21と引っ掛け板部32との間に挟まれた状態になる。止水役物63の役物縦部71においては、T字外側の入り込み部72aが横並び面材15Aと横並びスペーサ部材45との間に挟まれた状態になる。T字内側の入り込み部72bについては、上側の入り込み部72bが上側面材15Bと縦並びスペーサ部材46との間に挟まれた状態になり、下側の入り込み部72bがサッシ枠21とサッシ沿い縦材22の手前側板部23との間に挟まれた状態になる。
さらに、図7(c),(d)に示すように、長方形状の第2止水部材62をサッシ沿い縦材22に取り付ける。第2止水部材62は、第1止水部材61よりも幅寸法が小さいだけで、その第1止水部材61と同じ構成を有している。この場合、一対の止水テープ66の離間距離が、第2止水部材62の方が第1止水部材61よりも小さくなっている。また、第2止水部材62は、入り込み部62a,62b及び接続部62cを有している。
止水役物63の上方領域において、第2止水部材62をサッシ沿い縦材22に取り付けた場合、一方の入り込み部62aが横並びスペーサ部材45の屋外側面に貼り付けられ、他方の入り込み部62bが縦並びスペーサ部材46の屋外側面に貼り付けられている。この場合、第2止水部材62は、一対のスペーサ部材45,46に掛け渡された状態になっている。ここで、第2止水部材62は、第1止水部材61とは異なり、面材支持部36を覆う必要がないため、接続部62cの幅寸法が第1止水部材61に比べて小さくされている。接続部62cの幅寸法は、一対のスペーサ部材45,46の離間距離とほぼ同じにされている。
第2止水部材62は、止水役物63の役物縦部71の上端にも重ねて貼り付けられている。この場合、横並び面材15A側の入り込み部62a,71a同士が重ねられ、上側面材15B側の入り込み部62b,71b同士が重ねられている。
そして、横並び面材15A及び縦並び面材15Aが外壁下地16に取り付けられた場合、第2止水部材62の入り込み部62aにおいては、役物縦部71の入り込み部71aと同様に、横並びスペーサ部材45と横並び面材15Aとの間に挟まれた状態になる。また、第2止水部材62の入り込み部62bにおいては、役物縦部71の入り込み部71bと同様に、縦並びスペーサ部材46と上側面材15Bとの間に挟まれた状態になる。
サッシ沿い縦材22の他の部分や下側横材27などに対しても、第2止水部材62や止水役物63が取り付けられることで、背面止水層52が形成される。例えば、下側横材27やサッシ沿い縦材22については、上述したように、上側横材26とは異なり面材支持部36を有していないため、第1止水部材61ではなく第1止水部材61を取り付ける。上側横材26に対しては、第2止水部材62の一方の入り込み部62aを上側とし、他方の入り込み部62bを下側として、上側の入り込み部62aをサッシ用横部材27bの引っ掛け板部32の屋外側面に貼り付け、下側の入り込み部62bを面材用横部材27aの重ね板部35の屋外側面に貼り付ける。これにより、第2止水部材62が引っ掛け板部32と重ね板部35とに掛け渡された状態になる。
また、下側横材27とサッシ沿い縦材22との接続部分に対して取り付けられる止水役物63においては、役物横部72がテーパ状に形成されておらず、役物横部72の幅寸法が均一に設定されている。これも、下側横材27が上側横材26とは異なり面材支持部36を有しておらず、役物横部72の接続部72cが面材支持部36を屋外側から覆う必要がないためである。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
背面止水層52が止水役物63を有しているため、サッシ沿い縦材22と上側横材26及び下側横材27との接続部分について、止水役物63を取り付けるという容易な作業により止水処理を実施できる。したがって、建築現場においてサッシ沿い縦材22と上側横材26との接続部分に合わせて第1止水部材61と第2止水部材62とを接続するという作業負担を低減できる。
止水役物63の役物縦部71及び役物横部72に第1止水部材61及び第2止水部材62を接続することが可能であるため、サッシ沿い縦材22と上側横材26及び下側横材27との接続部分と、その他の部分とで止水役物63と止水部材61,62とを使い分けることができる。したがって、背面止水層52を形成する場合に、外壁下地16の形態に対応させつつ施工性の向上を図ることができる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、サッシ沿い縦材22と外壁面材15との間にスペーサ部材45,46が挟み込まれていたが、スペーサ部材45,46は設けられていなくてもよい。この場合、第2止水部材62や止水役物63の止水テープ66が、スペーサ部材45,46に代わってサッシ沿い縦材22と外壁面材15との間に挟み込まれる程度の厚み寸法を有していることが好ましい。また、上側横材26及び下側横材27の重ね板部35がサッシ沿い縦材22の屋外側に配置されているのではなく、サッシ沿い縦材22と壁幅方向に沿って横並びに配置されていることが好ましい。この構成によれば、サッシ沿い縦材22と外壁面材15との間に重ね板部35が挟み込まれないため、外壁面材15の全体をサッシ沿い縦材22の屋外側面に直接重ねることが可能となる。
(2)上記実施形態では、上側横材26及び下側横材27において、面材用横部材26a,27aに外壁面材15が取り付けられ、サッシ用横部材26b,27bにサッシ枠21が取り付けられていたが、面材用横部材26a,27a及びサッシ用横部材26b,27bのうち一方に外壁面材15及びサッシ枠21の両方が取り付けられていてもよい。この場合でも、横材26,27において、外壁面材15の取り付け部分とサッシ枠21との取り付け部分とに掛け渡された状態で止水部材61,62や止水役物63が設けられていることが好ましい。
(3)上記実施形態では、止水役物63の役物横部72がテーパ状に形成されていたが、役物横部72は、その接続部72cにより面材支持部36を屋外側から覆うことができれば、テーパ状とされていなくてもよい。例えば、接続部72cの幅寸法が面材支持部36に近付くにつれて段階的に大きくされている構成や、役物横部72の全体が第1止水部材61の幅寸法と同じ幅寸法を有している構成とする。これらの構成でも、役物横部72の接続部72cにより面材支持部36を屋外側から覆うことはできる。
(4)上記実施形態では、上側横材26において、面材支持部36がサッシ沿い縦材22から壁幅方向に離間した位置に配置されていたが、面材支持部36がサッシ沿い縦材22に壁厚み方向に重なる位置に配置されていてもよい。この場合でも、止水役物63の役物横部72の幅寸法を大きくすることで、接続部72cにより面材支持部36を屋外側から覆うことは可能である。
(5)外壁面材15について、縦並び面材としては、上側面材15B及び下側面材15Cのうち一方だけが設けられていてもよい。
(6)止水部材61,62や止水役物63は、止水シート65及び止水テープ66のうち止水シート65だけを有していてもよい。要は、止水部材61,62や止水役物63は、変形可能なシート部材や薄板部材により形成され、外壁下地16と外壁面材15及びサッシ枠21との間に挟まった状態で設けられていればよい。