JP2015093972A - 工程用保護フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2は、基材上に、特定の物性を有する接着剤層を設けることにより、加工工程後の電子部品の精度が落ちず、また、熱を加えるだけで自己剥離することができる工程用フィルムを開示している。
光学用フィルムの製造工程では、打ち抜き加工し、工程用保護フィルムを貼りあわせたまま複数枚を積層した後に、各光学フィルムを次の工程に送る場合がある。各光学フィルムを次の工程に送る手段は、例えば、真空吸引で個々の光学フィルムを吸引する手段が挙げられる。
しかし、特許文献1及び2のような従来の工程用フィルムは、この真空吸引の際に、積層した光学フィルムが密着し、複数枚が同時に吸引されてしまうという問題があった。
しかし、光学フィルムには検査や管理のためにQRコード(登録商標)やバーコード等の情報が印刷されている場合があり、マット層やエンボス処理した場合には、工程用保護フィルムを介してこれらの情報が読み取れなくなるという問題が生じた。また、エンボス処理した際は、フィルムの平面性が損なわれ、光学フィルムに貼り合わせる際に、気泡が混入する等の不具合が生じるという問題も生じた。
[1]基材上の一方の面に接着剤層を有してなり、前記基材の接着剤層を有する面とは反対側の面にパターン状のドットを有し、前記反対側の面の王研式平滑度が60秒未満である工程用保護フィルム。
[2]前記ドットは、直径が100〜1200μmである上記[1]に記載の工程用保護フィルム。
[3]前記ドットは、高さが2〜15μmである上記[1]又は[2]に記載の工程用保護フィルム。
[4]前記反対側の面の全面積に対する前記ドットの占める割合が10〜60%である上記[1]〜[3]の何れかに記載の工程用保護フィルム。
[5]前記反対側の面のドットの密度が5〜1000個/cm2である上記[1]〜[4]の何れかに記載の工程用保護フィルム。
[6]光学フィルム用として用いる上記[1]〜[5]の何れかに記載の工程用保護フィルム。
基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムを用いることが好ましい。これらの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的強度、寸法安定性及び透明性に優れる点で好ましい。
また、基材表面にコロナ放電処理を施したり、易接着剤層を設ける等の易接着処理を施すことにより、接着剤層又はドットパターンとの密着性を向上させたものも好適に用いられる。
基材の厚みとしては、一般には25〜500μmであるが、取り扱い性の観点から、50〜350μmであることが好ましい。
接着剤層は、光拡散フィルム、プリズムシート、偏光フィルム、位相差フィルム、ハードコートフィルム、透明導電性フィルム等の光学フィルム等の被着体に接着可能であり、かつ工程終了後に剥離可能なものであれば、特に制限することなく使用できる。
接着剤層を構成する接着剤としては、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられ、これらの中でも、接着力、被着体へ汚染性、及びコストの観点から、アクリル系接着剤が好適である。
なお、接着剤層上には、取り扱い性を向上するために、離型フィルムを積層しておくことが好ましい。離型フィルムとしては、シリコーン等の離型剤で表面処理したフィルムや、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
パターン状のドットは、基材の接着剤層を有する面とは反対側の面に形成されるものである。基材にケミカルコーティングやエンボス加工を行った場合、凹凸がフィルムの全面に形成されるため、バーコード等の情報の読み取り性が損なわれてしまう。また、エンボス加工ではフィルムの平面性が失われるため、光学フィルムに貼り合わせる際に気泡が混入する等して、貼り合わせ時の作業性が低下してしまう。これに対して、本発明のようにパターン状のドットでは、ドットパターンは部分的に存在するため、情報の読み取り性が損なわれることがない。また、ドットパターンは、ケミカルコーティングやエンボス加工よりも情報の読み取り性に優れつつ、王研式平滑度を低くすることができ、密着を防止することができる。また、基材にドットパターンを形成しても、エンボス加工のように、光学フィルムへの貼り合わせの作業性が低下することもない。
王研式平滑度は50秒以下であることが好ましく、30秒以下であることがより好ましく、20秒以下であることがさらに好ましい。また、王研式平滑度があまりに小さすぎると、滑り性が高くなり、ロール状態で巻きズレを生じる可能性があるため、王研式平滑度は10秒以上とすることが好適である。
なお、本発明における王研式平滑度は、JIS P8155:2010に準じて測定することができる。
ドットパターンは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等から形成することが好ましい。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの樹脂の中では、密着防止性を良好にする観点からは、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が好適である。また、これら樹脂の中でも、透明性の観点からはアクリル系樹脂が好適であり、その中でも、密着防止性をより良好にする観点から、アクリル系の熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が好適である。
アクリル系の熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネート系硬化剤との組み合わせが挙げられる。アクリル系の電離放射線硬化性樹脂としては、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂及びエポキシアクリレート系樹脂等が挙げられる。
マット剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、クレー、タルク等の無機粒子や、アクリル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子等の樹脂粒子があげられる。これらの中でも、分散などの性能とコストのバランスの観点からシリカが好適である。
マット剤の含有量は、ドットパターンの樹脂成分100質量部に対して、通常1〜20質量部程度である。また、マット剤の平均粒子径は、通常5〜15μm程度である。
接着剤層の表面には、取り扱い性を向上するためにセパレータを貼り合わせておくことが好ましい。セパレータは、上述した基材と同様にプラスチックフィルムを用いることが好ましい。また、セパレータの厚みは通常5〜100μm程度である。
また、基材と接着剤層との間、基材とドットパターンとの間、あるいはドットパターン上に、帯電防止層を形成してもよい。帯電防止層を有することにより、剥離帯電を防止し、作業性を向上させることができる。
<王研式平滑度>
工程用保護フィルムの接着剤層上に厚み188μmのポリエステルフィルム(東レ社製、ルミラーT60)を貼り合わせたサンプルを作製し、該サンプルのドットパターン側(もしくはマット層側)の面を、水柱型王研式透気度試験機(旭精工社製、KY−5)の測定ヘッド面に押し付け、JIS P8155:2010に準じて、王研式平滑度を測定した。
光学フィルムの片面に、工程用保護フィルムを貼り合わせたものを10枚積層し、垂直方向から100gの圧力を1分間かけた後、積層した状態のまま、バキュームツールを用いて、工程用保護フィルム付きの光学フィルムを1枚ずつ移動させた。この際に、一枚のみ持ち上げることができたものを「〇」、複数枚持ち上がったものを「×」とした。
(平面)
透明フィルムにQRコード(登録商標)を印刷し、その上に工程用保護フィルムを貼り合わせ、工程用保護フィルムが上を向くように平面上に設置した。10cm上方にセットした携帯電話のカメラでQRコード(登録商標)の読み取り性を評価した。その結果、瞬時に読み取れたものを「〇」、読み取りに時間がかかったものを「△」、読み取れなかったものを「×」とした。
(曲面)
直径95mmの筒表面にQRコード(登録商標)が印刷された透明フィルムを貼り合わせ、その上に工程用保護フィルムを貼り合わせた。10cm離れた箇所から携帯電話のカメラでQRコード(登録商標)の読み取り性を評価した。瞬時に読み取れたものを「〇」、読み取りに時間がかかったものを「△」、読み取れなかったものを「×」とした。
厚み25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ社製、ルミラー25S10)の一方の面に、アクリルポリオール(綜研化学社製、サーモラックEF−43)が100部、イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン社製、コロネートL)が3部、マット剤(シリカ、平均粒子径9μm)が6部、希釈溶剤からなるドットパターン形成用塗布液を調製し、グラビア印刷によりドットパターンを印刷した。なお、実施例1〜4及び比較例1は、ドット中心間の距離が1mm、ドット密度が100個/cm2となる版を使用し、実施例5は、ドット中心間の距離が2mm、ドット密度が12.5個/cm2となる版を使用した。また、ドットの直径及びドットの高さは、ドットパターン形成用塗布液の固形分濃度により、表1の値に調整した。ドットの直径及びドットの高さは、顕微鏡観察により確認した。
次いで、透明ポリエステルフィルムのドットパターンとは反対側の面に、アクリル系接着剤(綜研化学社製、SKダイン1491H)及び希釈溶剤からなる接着剤層塗布液を塗布、乾燥し、厚み10μmの接着剤層を形成し、実施例1〜5及び比較例1の工程用保護フィルムを得た。
厚み25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ社製、ルミラー25S10)の一方の面に、実施例1のドットパターン形成用塗布液を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥し、マット層を形成した。次いで、マット層とは反対側の面に、実施例1と同様の接着剤層を形成し、工程用保護フィルムを得た。
マット層の厚みを6μmに変更した以外は、比較例2と同様にして、工程用保護フィルムを得た。
実施例1のドットパターン形成用塗布液に、シリコーンパウダー(信越化学社製、KMP−601、平均粒子径12μm)を1部添加した以外は、比較例2と同様にして、工程用保護フィルムを得た。
実施例1のドットパターン形成用塗布液に、シリコーンパウダー(信越化学社製、KMP−601、平均粒子径12μm)を3部添加し、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布、乾燥し、マット層を形成した。次いで、マット層とは反対側の面に、実施例1と同様の接着剤層を形成し、工程用保護フィルムを得た。
比較例2のマット層上に、帯電防止性コーティング材(三菱化学社製、サフトマー)を溶剤で希釈してなる帯電防止層塗布液を乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布、乾燥し、帯電防止層を形成した以外は、比較例2と同様にして、工程用保護フィルムを得た。
比較例1の工程用保護シートは、実施例と同様にドットパターンを有するものであるが、王研式平滑度が60秒以上であることから、密着防止性を満足できないものであった。
比較例2、3及び6の工程用保護シートは、王研式平滑度が60秒以上であるため、密着防止性を満足できないものであった。また、比較例3の工程用保護シートは、ドットパターンではなくマット層を形成したものであるため、凹凸が全面に渡って形成され、情報の読み取り性も満足できないものであった。また、比較例6の工程用保護シートは、帯電防止層を有しているにも関わらず、バキュームツールを用いて工程用保護フィルム付きの光学フィルムを移動させる際に、複数枚持ち上がる結果となっている。このことは、帯電を防止しても工程用保護フィルム付きの光学フィルムの密着を防ぐことはできず、王研式平滑度を小さくすることが密着を防止することに重要であることを示している。
比較例4及び5の工程用保護シートは、王研式平滑度が60秒未満であるものの、ドットパターンではなくマット層を形成したものであるため、凹凸が全面に渡って形成され、情報の読み取り性を満足できないものであった。
Claims (6)
- 基材上の一方の面に接着剤層を有してなり、前記基材の接着剤層を有する面とは反対側の面にパターン状のドットを有し、前記反対側の面の王研式平滑度が60秒未満である工程用保護フィルム。
- 前記ドットは、直径が100〜1200μmである請求項1に記載の工程用保護フィルム。
- 前記ドットは、高さが2〜15μmである請求項1又は2に記載の工程用保護フィルム。
- 前記反対側の面の全面積に対する前記ドットの占める割合が10〜60%である請求項1〜3の何れかに記載の工程用保護フィルム。
- 前記反対側の面のドットの密度が5〜1000個/cm2である請求項1〜4の何れかに記載の工程用保護フィルム。
- 光学フィルム用として用いる請求項1〜5の何れかに記載の工程用保護フィルム。
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