JP2015092437A - 燃料電池電極形成用組成物、およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

燃料電池電極形成用組成物、およびそれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化物系非白金触媒を用いた燃料電池電極形成用組成物に使用する触媒や導電助剤である炭素材料の分散性が良好であり、保存安定性、塗工性を備えた燃料電池電極形成用組成物を提供することである。また、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層とそれを具有する燃料電池用電極膜接合体と、電池性能に優れた燃料電池を提供することである。【解決手段】水性樹脂型分散剤(A)と、導電助剤である炭素材料(B)及び/又は酸化物系非白金触媒(C)の少なくとも一方と、水性液状媒体(D)とを含有する燃料電池電極形成用組成物であって、水性樹脂型分散剤(A)が、酸性官能基を有し、酸価が50〜720mgKOH/gである燃料電池電極形成用組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池電極形成用組成物に係り、それらを用いた触媒層もしくは電極膜接合体、および燃料電池に関する。
燃料電池は、電気化学システムを用いて化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できるシステムであり、高効率であるため次世代エネルギーとして期待されている。特に、固体高分子型燃料電池は自動車用、定置用、小型モバイル用に活発に開発が進められている。従来より、これらの固体高分子型燃料電池の電極触媒には、高い酸素還元活性を有する白金や白金合金等を用いる白金系触媒が用いられているが、コスト、資源量、供給安定性の面から、白金系触媒以外の触媒(非白金系触媒と呼ぶ)の開発が求められている。しかし、現状の非白金系触媒の性能は、白金系触媒に比べて十分ではないため、白金の使用量を大幅に低減した触媒や、白金を使用しない非白金系触媒の性能を高める技術開発が進められている。非白金系の触媒としては、窒素をドープしたカーボン触媒や遷移金属酸化物などが注目を浴びている。(非特許文献1、特許文献1〜5など)
特に酸化物系非白金触媒は、白金系触媒よりも、経済的でコスト優位性が高いため積極的な開発が進められているが、その性能はまだ十分ではなく、白金系触媒を使用した場合に近い電池性能を得るためには、導電性の改善が必要である。そのため、導電助剤の添加や遷移金属酸化物と導電性物質を複合化した触媒を用いるなどの検討がなされている。しかしながら、遷移金属酸化物や導電助剤などは凝集を引き起こし易いため、組成物中の分散安定性を高める必要がある。また、これら組成物を塗工する場合、触媒の凝集が起こると塗膜にピンホールが生じたり、塗膜中の導電性、プロトン伝導性やガス拡散性が均一な電極膜を得ることができず、電流量の低下や起電力の低下を引き起こしてしまうという問題がある。このような技術課題があるが、これを解決する手段が見出せていなかった。
特開2011−6283号公報 特開2008−282725号公報 特開2009−295441号公報 特開2009−148706号公報 国際公開第2012/128287号パンフレット
SCIENCE(VOL.332、第443〜447頁、2011年)
本発明が解決しようとする課題は、酸化物系非白金触媒を用いた燃料電池電極形成用組成物に使用する触媒や導電助剤である炭素材料の分散性が良好であり、保存安定性、塗工性を備えた燃料電池電極形成用組成物を提供することである。また、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層とそれを具有する燃料電池用電極膜接合体と、電池性能に優れた燃料電池を提供することである。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
第一の発明は、水性樹脂型分散剤(A)と、導電助剤である炭素材料(B)及び/又は酸化物系非白金触媒(C)の少なくとも一方と、水性液状媒体(D)とを含有する燃料電池電極形成用組成物であって、
水性樹脂型分散剤(A)が、酸性官能基を有し、酸価が50〜720mgKOH/gである燃料電池電極形成用組成物に関する。
第二の発明は、水性樹脂型分散剤(A)が、下記単量体を共重合して得られる共重合体である、上記燃料電池電極形成用組成物に関する。
芳香環及び/又は脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1):10〜90重量%
酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2):10〜90重量%
前記(a1)〜(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3):0〜80重量%
(但し、前記(a1)〜(a3)の合計を100重量%とする。)
第三の発明は、水性樹脂型分散剤(A)の酸性官能基の一部が、塩基性化合物で中和されてなる上記燃料電池電極形成用組成物に関する。
第四の発明は、上記燃料電池電極形成用組成物から形成されてなる燃料電池用触媒層に関する。
第五の発明は、固体高分子電解質膜と、上記燃料電池用触媒層及び/又は上記燃料電池用撥水層と、ガス拡散層とを具備してなる燃料電池用電極膜接合体に関する。
第六の発明は、上記燃料電池用電極膜接合体を具備してなる燃料電池に関する。
本発明によれば、酸化物系非白金触媒材料や導電助剤である炭素材料の分散性が良好で、優れた保存安定性、塗工性を備えた燃料電池電極形成用組成物を提供することが可能となるため、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層と、それを具有する燃料電池用電極膜接合体を得ることが可能となる。したがって、電池性能に優れた燃料電池を提供することが可能となる。
<水性樹脂型分散剤(A)>
まず、本発明の水性樹脂型分散剤(A)について説明する。
水性樹脂型分散剤(A)は、導電助剤である炭素材料や酸化物系非白金触媒に対して分散剤として有効に機能し、これらの材料の凝集を緩和するものである。
水性樹脂型分散剤(A)は、酸性官能基を有し、酸価が50〜720mgKOH/gであり、水溶性ないし水分散性の樹脂型分散剤である。
また、好ましい酸性官能基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、及リン酸基等を挙げることができ、これらのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩も使用することができる。
酸性官能基を有する水性樹脂型分散剤(A)としては、前述の酸性官能基を有する水溶性ないし水分散性の樹脂型分散剤であれば特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース等のセルロース系化合物が挙げられる。
また、水性樹脂型分散剤(A)としては、芳香環、及び/又は脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1)と、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)と、を必須成分とする共重合体は、水性樹脂型分散剤(A)の好ましい態様の一つである。
水性樹脂型分散剤(A)は、酸性官能基の一部を塩基性化合物で中和したものであることが好ましい。
<単量体(a1)>
芳香環及び/又は脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1)としては、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(a1−1)、脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1−2)、及び、芳香環と脂肪族骨格の両方を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。これらは単独もしくは2種類以上を併用して使用することができる。
芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(a1−1)としては、芳香環を有しているものであれば特に限定されない。例えば、スチレン、α−メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート等を例示することが出来る。
脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1−2)としては、脂肪族骨格を有しているものであれば特に限定されない。脂肪族骨格としては、飽和または不飽和の炭化水素基、及び1つ以上のヘテロ原子によって結合された飽和または不飽和の炭化水素である脂肪族基等があげられるが、その中でも、飽和炭化水素基、及びエーテル結合を有する飽和脂肪族基が好ましい。
飽和炭化水素基としては、鎖式飽和炭化水素基と環式飽和炭化水素基が挙げられる。
鎖式飽和炭化水素基を有する単量体としては、具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがあり、好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのアルキル基は分岐していてもよく、具体例としては、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ブチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、α−オレフィン化合物としては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等が挙げられる。
環式飽和炭化水素基を有する単量体としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エーテル結合を有する飽和脂肪族基としてはポリオキシアルキレン構造が挙げられる。ポリオキシアルキレン構造を有する単量体の具体例としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、末端に水酸基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノアクリレートまたはモノメタアクリレート等、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びメトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等、末端にアルコキシ基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノアクリレートまたはモノメタアクリレートがある。また、アルキルビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、エーテル結合を有する飽和脂肪族化合物は環式でもよく、具体例としては、グリシジル(メタ)クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
<単量体(a2)>
酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)が有する酸性官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホ基、リン酸基等を挙げることができ、これらのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩も使用することができる。
カルボキシル基を有する単量体としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等を例示することが出来る。特にメタクリル酸、アクリル酸が好ましい。
スルホ基を有する単量体としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
リン酸基を有する単量体としては、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、フェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、アシッド・ホスホオキシエチルメタクリレート、メタクロイル・オキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、3−クロロ−2−アシッド・ホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、アリルアルコールアシッドホスフェート等が挙げられる。
<単量体(a3)>
水性樹脂型分散剤(A)としては、芳香環及び/又は脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1)と、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)との共重合体の他、芳香環及び/又は脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1)と、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)と、前記(a1)〜(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3)との共重合体も好ましい態様の一つである。
前記(a1)〜(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3)は、特に限定されないが、例えば水酸基含有不飽和単量体、窒素含有不飽和単量体、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、等が挙げられる。
水酸基含有不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール等が挙げられる。
窒素含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド等のモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド等のジアルキロール(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系不飽和化合物を例示できる。
更にその他の不飽和単量体としては、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレート類;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル、アルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有ビニルモノマー、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラノール基含有ビニル化合物及びその誘導体などを挙げることができ、これらの群から複数用いることができる。
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられる。
その他の単量体(a3)の中でも、好ましくはアミノ基を有するエチレン性不飽和単量体である。
<単量体(a1)〜(a3)の構成比、及び機能>
水性樹脂型分散剤(A)中の共重合体を構成する単量体の比率は、単量体(a1)〜(a3)の合計を100重量%とした場合に、好ましくは、
芳香環及び/又は脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1):10〜90重量%
酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2):10〜90重量%
前記(a1)〜(a2)以外のその他の単量体(a3):0〜80重量%
より好ましくは、(a1):15〜70重量%、(a2):15〜70重量%、(a3):1〜70重量%であり、更に好ましくは、(a1):30〜70重量%、(a2):15〜50重量%、(a3):1〜40重量%である。
芳香環及び/又は脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1)由来の芳香環や脂肪族骨格が、前述の炭素材料への主たる吸着部位となると推測している。
また、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)は、共重合体を水性液状媒体に溶解ないし分散させる機能を担う。酸性官能基を中和した場合、その効果がより大きくなるため好ましい。
そして、炭素材料に、芳香環や脂肪族骨格を介して共重合体が吸着し、好ましくは中和され、イオン化された酸性官能基の電荷反発により、炭素材料の水性液状媒体中における分散状態を安定に保つことが出来るようになったものと考察される。
上記単量体(a1)〜(a3)を共重合してなる共重合体の分子量は特に制限はないが、水性樹脂型分散剤(A)の固形分20%水溶液における粘度が、好ましくは5〜100,000mPa・sであり、さらに好ましくは10〜50,000mPa・sである。
尚、本発明における粘度とは、特に断わりの無い限り、B型粘度計を用いて25℃の条件下で測定した値である。
<分散剤の酸価>
水性樹脂型分散剤(A)は、酸性官能基を有する単量体を重合もしくは縮合して製造されるが、水性樹脂型分散剤(A)の分子全体における酸性官能基を有する単量体の構成比率を酸価で表すと下記のようであることが好ましい。即ち、使用する水性樹脂型分散剤(A)の酸価が、50mgKOH/g以上720mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、更には80mgKOH/g以上600mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。
なお、酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠して測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
<製造方法>
水性樹脂型分散剤(A)は、種々の製造方法で得ることができる。
例えば、上記単量体(a1)〜(a3)を、水と共沸し得る有機溶剤中で、任意に重合開始剤とを混合して加熱することで重合する。その後、水に代表される水性液状媒体と、好ましくは塩基性化合物とを加えて酸性官能基の一部を中和し、共沸可能な溶剤を留去し、水性樹脂型分散剤(A)の水溶液ないし水性分散液を得ることができる。
重合時の有機溶剤としては、水と共沸するものであれば良いが、共重合体に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールがあり、さらに好ましくは1−ブタノールがある。
あるいは、親水性有機溶剤中で共重合し、水と、好ましくは塩基性化合物を加えて中和し、親水性有機溶剤は留去せず、親水性有機溶剤と水とを含む水性液状媒体に、水性樹脂型分散剤(A)が溶解ないし分散した液を得ることができる。
この場合、用いられる親水性有機溶剤としては、共重合体に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
共重合体の中和に使用される塩基性化合物としては、下記のものが挙げられる。
例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。上記したような共重合体は、水性液媒体中に、分散又は溶解される。
<重合開始剤>
重合の際、上記単量体(a1)〜(a3)の合計を100重量%に対して、任意に0.001〜10重量%の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、及びジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明における水溶性樹脂型分散剤(A)は、導電助剤である炭素材料や酸化物系非白金触媒に対する分散剤として機能し、触媒活性や導電性を阻害することなく、分散安定性に優れた燃料電池電極形成用組成物を提供することができる。本発明の燃料電池電極形成用組成物は、優れた分散安定性を示すだけでなく、保存安定性に優れ、プロトン伝導性ポリマーを添加する際にも、その分散状態を維持したまま混合分散することができる。また、プロトン伝導性ポリマーとの濡れ性を改善できる。よって、塗膜中での導電助剤である炭素材料や酸化物系非白金触媒とプロトン伝導性ポリマーとの密着性や、触媒活性点へのプロトン伝導性も向上できるため、燃料電池電極形成用組成物に好適に使用できる。
<導電助剤である炭素材料(B)>
本発明における導電助剤である炭素材料(B)としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、カーボンブラック、グラファイト、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、グラフェン、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。比表面積が20m2/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m2/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡で測定された粒子径を平均したものである。
導電助剤である炭素材料(B)の燃料電池電極形成用組成物中の分散粒径は、0.03μm以上、5μm以下に微細化することが望ましい。導電助剤としての炭素材料の分散粒径が0.03μm未満の組成物は、その作製が難しい場合がある。又、導電助剤としての炭素材料の分散粒径が5μmを超える組成物を用いた場合には、触媒層の材料分布のバラつき、電極の抵抗分布のバラつき等の不具合が生じる場合がある。
ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA
、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、2
05等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては、例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。例えば石油由来の原料で製造される昭和電工社製のVGCFなどを挙げることができる。
<酸化物系非白金触媒(C)>
本発明における酸化物系非白金触媒(C)としては、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、バナジウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、タングステン、およびモリブデンからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属を含む酸化物を使用することができ、より好ましくはこれら遷移金属元素の炭窒酸化物を使用することができる。
前記酸化物系非白金触媒の組成式は、例えば、M1Cpqr( ただし、M1は遷移金属元素であり、p、q、rは原子数の比を表し、0≦p≦3、0≦q≦2、0<r≦3である。)、M2aM3bxyz(ただし、M2は、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、バナジウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、タングステン、およびモリブデンか
らなる群より選択される1種の金属であり、M2は、前記群より選択されるM1とは異なる少なくとも1種の金属である。a、b、x、y、zは原子数の比を表し、0.5≦a<1、0<b≦0.5、0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、かつa+b=1である。)で表される。また、これら化合物と導電性化合物を複合化した触媒も好適に使用することができる。
<水性液状媒体(D)>
本発明に使用する水性液状媒体としては、水を使用することが好ましいが、必要に応じて、例えば、電極基材もしくは転写基材への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。特に、プロトン伝導性ポリマーとの相溶性及び触媒インキ組成物とした場合の乾燥効率の問題から、アルコール類が好適に使用できる。アルコール類としては、例えば、沸点80〜200℃程度の1価のアルコールないし多価アルコールが利用でき、好ましくは炭素数が4以下のアルコール系溶剤が挙げられる。具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。これらの1価のアルコールの中でも、2−プロパノール、1−ブタノール及びt−ブタノールが好ましい。多価アルコールとしては具体的には、プロピレングリコール、エチレングリコール等が好ましく、中でもプロピレングリコールが特に好ましい。
<プロトン伝導性ポリマー>
触媒層のプロトン伝導性を向上させるために従来公知のプロトン伝導性ポリマーを使用することができる。プロトン伝導性ポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸系等のフッ素系イオン交換樹脂、スルホン酸基などの強酸性官能基を導入したオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。例えば電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホン酸基の乖離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。このようなプロトン伝導性ポリマーの具体例としては、デュポン社製の「Nafion」等が挙げられる。通常、プロトン伝導性ポリマーは、ポリマーを5〜30重量%程度含むアルコール水溶液として使用される。アルコールとしては、例えば、メタノール、プロパノール、エタノールジエチルエーテル等が使用される。
<燃料電池電極形成用組成物>
本発明の燃料電池電極形成用組成物は、水性樹脂型分散剤(A)と、導電助剤である炭素材料(B)もしくは酸化物系非白金触媒(C)の少なくとも一方と、水性液状媒体(D)とを含有するものである。水性樹脂型分散剤(A)、導電助剤である炭素材料(B)もしくは酸化物系非白金触媒(C)、及び水性液状媒体(D)の割合は、特に限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択され得る。
燃料電池電極形成用組成物の調製方法も特に制限は無い。調製は、各成分を同時に分散しても良いし、あらかじめ導電助剤である炭素材料を分散後に、酸化物系非白金触媒やプロトン伝導性ポリマーを添加してもよく、使用する炭素材料、触媒材料、プロトン伝導性ポリマーや、水性液状媒体により最適化することができる。但し、導電助剤である炭素材料や酸化物系非白金触媒の分散体を先に作製し、プロトン伝導性ポリマーを後添加して燃料電池電極形成用組成物を作製すると、分散時間の短縮などコストダウンに大きく貢献することができる。
例えば、本発明の燃料電池電極形成用組成物では、酸化物系非白金触媒100重量部に対して、導電助剤である炭素材料は特に規定はないが、1〜500重量部、好ましくは10〜300重量部、水性樹脂型分散剤が0.01〜25重量部、好ましくは0.02〜10重量部である。また、プロトン伝導性ポリマーを添加する場合は、その添加量は酸化物系非白金触媒100重量部に対して10〜300重量部、好ましくは20〜250重量部である。
<燃料電池用触媒層>
燃料電池用触媒層は、前述の燃料電池電極形成用組成物を電極基材(カーボンペーパなど)に直接塗布及び乾燥することにより形成されてもよく、また触媒インキ組成物をテフロン(登録商標)シート等の剥離可能な転写基材に塗布乾燥後、固体高分子電解質膜に転写することにより形成されてもよい。
燃料電池電極形成用組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
塗布した後、乾燥することにより、塗膜(燃料電池用触媒層)が形成される。乾燥温度は、通常40〜120℃程度、好ましくは75〜95℃程度である。また、乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常5分〜2時間程度、好ましくは30分〜1時間程度である。塗布乾燥後の燃料電池用触媒層の厚みは、通常5μm〜80μm程度、好ましくは10μm〜70μm程度がよい。
上記の燃料電池用触媒層を固体高分子電解質膜に転写する場合の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5MPa〜30MPa程度、好ましくは1MPa〜20MPa程度がよい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために、加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、固体高分子電解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
<アノード用燃料電池用触媒材料>
本発明における、カソード側の燃料電池用触媒層の触媒材料は、前述のとおり、酸化物系非白金触媒を使用する。一方で、アノード側の燃料電池用触媒層に用いられる触媒材料としては、公知もしくは市販のものを使用することができる。例えば、触媒粒子が、触媒担持体としての炭素粒子、酸化物粒子、あるいは窒化物粒子上に担持してなるものが挙げられる。
触媒粒子としては、水素の酸化を促進するものであれば特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム又はこれらの合金が挙げられる。
触媒担持体としては、例えば、炭素粒子、酸化物粒子、窒化物粒子が挙げられる。
炭素粒子としては、上述の炭素系触媒材料の主構成成分に使用される炭素材料の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。
酸化物粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
窒化物粒子としては、例えば、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化クロム、窒化バナジウム等が挙げられる。
触媒粒子の触媒担持体上への担持率は特に限定されない。触媒粒子として白金、触媒担持体として炭素粒子を用いた場合は、触媒粒子100重量%に対して、通常1〜70重量%程度までの担持が可能である。
市販の燃料電池用触媒材料としては、例えば、
TEC10E50E、TEC10E70TPM、TEC10V30E、TEC10V50E等の白金担持炭素粒子;
TEC66E50、TEC62E58等の白金−ルテニウム合金担持炭素粒子;
をいずれも田中貴金属工業社より購入することができるが、これらに限定されるものではない。
<燃料電池用電極膜接合体>
本発明における燃料電池用電極膜接合体とは、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、燃料電池用触媒層が密着して形成され、さらに、その片面もしくは両面に、カーボンペーパ等の電極基材が密着して具備したものを意味する。
燃料電池用電極膜接合体の製造方法としては、固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、転写基材上に予め形成された燃料電池用触媒層を転写後、電極基材を熱圧着することで燃料電池用電極膜接合体を作製する方法が挙げられる。また、固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、電極基材予め形成された燃料電池用触媒層を、熱圧着することで燃料電池用電極膜接合体を作製してもよい。
上述の燃料電池用電極膜接合体において、電極基材と燃料電池用触媒層及び固体高分子電解質膜間を熱圧着する場合の、加圧レベルは、通常0.1MPa〜50MPa程度、好ましくは1MPa〜30MPa程度がよい。また、加熱温度としては、固体高分子電解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
<燃料電池用撥水層>
本発明の燃料電池用電極膜接合体は、触媒層の電極基材と接触する側に微多孔質の層を含んでいてもよい。この層は、触媒層の一部として取り扱われたり、あるいは撥水層やMPL(micro porous layer、マイクロポーラスレイヤー)とも呼ばれ、触媒層へのガス供給の均一化や、導電性の向上に加え、カソード側で発電時に発生する水の排水性を向上させる等の役割を持つ。
<固体高分子電解質膜>
固体高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホン酸基の乖離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。具体例としてはデュポン社製の「Nafion」、旭硝子社製の「Flemion」、旭化成社製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等が挙げられる。電解質膜の膜厚は、通常10μm〜250μm程度、好ましくは20μm〜100μm程度である。
<電極基材(ガス拡散層;GDL)>
電極基材は、公知であり、アノード又はカソードを構成する各種の電極基材を使用できる。電極基材はガス拡散層あるいはGDLとも呼ばれ、カソード側では空気中の酸素を取り入れ、アノード側では水素を取り込めるように気体が通過および拡散できるような多孔質または繊維状のものであることが好ましい。更に電子の出し入れが必要なため、導電性を有する材料を用いらなければならない。電極基材は導電性を有する材料であれば良いが、好ましくは炭素繊維からなるカーボンペーパなどがよい。具体例としては東レ社製の「TGP−H−090」等が挙げられる。
<転写基材>
転写基材は、燃料電池電極形成用組成物を塗布することで燃料電池用触媒層を形成し、転写基材上にある触媒層をナフィオンなどの固体高分子電解質膜に転写するためのフィルム基材である。転写基材としては、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。具体例としてはテフロン(登録商標)シート等が挙げられる。転写基材の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6μm〜100μm程度、好ましくは10μm〜50μm程度、より好ましくは15μm〜30μm程度とするのがよい。
<燃料電池>
燃料電池は、固体高分子電解質4を挟むように、対向配置されたセパレータ1、ガス拡散層2、アノード触媒層(燃料極)3、カソード触媒層(空気極)5、ガス拡散層6、及びセパレータ7とから構成される(図面1を参照)。
上記セパレータ1、7は、燃料ガス(水素)や酸化剤ガス(酸素)等の反応ガスの供給、排出を行う。そして、アノード及びカソード触媒層3、5に、ガス拡散層2、6を通じてそれぞれ均一に反応ガスが供給されると、両電極に備えられた触媒と固体高分子電解質4との境界において、気相(反応ガス)、液相(固体高分子電解質膜)、固相(両電極が持つ触媒)の三相界面が形成される。そして、電気化学反応を生じさせることで直流電流が発生する。
上記電気化学反応において、
カソード側:O2+4H++4e-→2H2
アノード側:H2→2H++2e-
の反応が起こり、アノード側で生成されたH+イオンは固体高分子電解質4中をカソード側に向かって移動し、e-(電子)は外部の負荷を通ってカソード側に移動する。
一方、カソード側では酸化剤ガス中に含まれる酸素と、アノード側から移動してきたH+イオン及びe-とが反応して水が生成される。この結果、上述の燃料電池は、水素と酸素とから直流電力を発生し、水を生成することになる。
以下に、燃料電池の性能を評価する方法の一例を示す。燃料電池用電極膜接合体を2.5cm角の試料とし、その両側からガス漏えい防止のため、ガスケットを2枚、次いでセパレータとしてグラファイトプレート2枚ではさみ、更に両側から集電板を2枚装着して単セルとして作製する。カソード(空気極)側から加湿した酸素ガスを供給し、アノード(燃料極)側から加湿した水素ガスを供給して電池特性を測定する。
なお、本発明における燃料電池電極形成用組成物、触媒層の用途は、上述の燃料電池に限定するものではなく、金属‐空気電池、排ガス浄化、水処理浄化等にも用いることが可能である。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、特に断りの無い限り、「部」とは「重量部」、「%」とは「重量%」を意味する。
(合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブタノール200.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、スチレン140.0部、アクリル酸60.0部、およびV−601(アゾ重合開始剤;和光純薬工業社製)12.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601を0.6部添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、共重合体(1)溶液を得た。また、共重合体(1)の酸価は233(mgKOH/g)であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール74.2部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を400部添加して水性化した後、100℃まで加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタノールを留去した。
水で希釈し、不揮発分20%の水性樹脂型分散剤(1)の水溶液ないし水性分散体を得た。また、不揮発分20%の水性樹脂型分散剤(1)の水溶液の粘度は、40mPa・s(B型粘度計による25℃の値)であった。
(合成例2〜15)
表1に示す配合組成で、合成例1と同様の方法で合成し、合成例2〜15の分散剤を得た。
尚、表1中の単量体(a1)〜(a3)の数値は、単量体(a1)〜(a3)の合計を100重量%としたときの、各単量体の重量%を意味する。
Figure 2015092437

St:スチレン
BA:ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
2−SEMA:2−スルホエチルメタクリレート
HEMA:ヒドロキシルエチルメタクリレート
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAE:ジメチルアミノエタノール
アンモニア:アンモニア水 25重量%水溶液
NaOH:水酸化ナトリウム水溶液 25重量%水溶液
<酸化物系非白金触媒の合成>
[製造例1:酸化物系非白金触媒(X1)]
オキシジルコニウムフタロシアニン(大日精化社製)を、電気炉にてH2/O2/Ar(0.02/0.005/0.975)混合ガス雰囲気下、1000℃で10時間熱処理を行い、得られた粉体を乳鉢で粉砕し、酸化物系非白金触媒(X1)を得た。
[製造例2:カーボン中に担持された酸化物系非白金触媒(X2)]
オキシチタニウムテトラピラジノポルフィラジン(オリエント化学工業社製)10重量部に、多層カーボンナノチューブMWCNTを1重量部加え、回転式電気炉にてH2/O2/Ar(0.02/0.005/0.975)混合ガス雰囲気下、1000℃で10時間熱処理を行い、得られた粉体を乳鉢で粉砕し、酸化物系非白金触媒(X2)を得た。
[実施例a−1]
導電助剤である炭素材料としてケッチェンブラックEC300J(ライオン社製)5部、合成例(1)に記載の水性樹脂型分散剤(1)の水溶液ないし水性分散体を2.5部(固形分として0.5部)、水92.5部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、燃料電池電極形成用炭素材料分散体(1)を得た。そして、下記の方法にて燃料電池電極形成用炭素材料分散体としての分散度を求めた。結果を表2に示す。
[実施例a−2]
導電助剤である炭素材料としてケッチェンブラックEC300J(ライオン社製)5部、合成例(1)に記載の水性樹脂型分散剤(1)の水溶液ないし水性分散体を2.5部(固形分として0.5部)、水92.5部をニーダーに入れて分散を行い、燃料電池電極形成用炭素材料分散体(2)を得た。そして、分散体(1)と同様にして分散度を求めた。
[実施例a−3〜a−16、比較例a−1〜a−7]
表2に示す導電助剤である炭素材料、水性樹脂型分散剤を使用して、燃料電池電極形成用炭素材料分散体(1)と同様の方法で、実施例a−3〜a−16の燃料電池電極形成用炭素材料分散体(3)〜(16)と、比較例a−1〜a−7の燃料電池電極形成用炭素材料分散体(17)〜(23)とを得、分散体(1)と同様にして分散度を求めた。
(燃料電池電極形成用炭素材料分散体及び燃料電池電極形成用組成物の分散度の判定)
燃料電池電極形成用炭素材料分散体及び燃料電池電極形成用組成物の分散度は、グラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めた。
評価結果を炭素材料分散体の場合の結果を表2に示す。表中の数字は粗大粒子の大きさを示し、数値が小さいほど分散性に優れ、均一な燃料電池電極形成用炭素材料分散体であることを示している。
Figure 2015092437
KJ:ケッチェンブラックEC300J(ライオン社製)
CNT:カーボンナノチューブVGCF−H(昭和電工社製)
CMC:カルボキシメチルセルロース(エーテル化度0.8)を5重量%水溶液として使用。酸価:204mgKOH/g)。
HEC:ヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社製)を5重量%水溶液として使用。
2−PrOH:2−プロパノール
BuOH:ブタノール
PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
表2において、KJ/CNT=9/1とは、ケッチェンブラックとVGCFを9対1の重量比で混合したことを表す。また、水/2−PrOH=1/1とは、水と2−プロパノールを重量比で同量混合した混合溶剤を表す。水/BuOH=1/1、水/PGM=1/1に関しても同様である。
表2に示すように、実施例a−1〜a−16の本発明の燃料電池電極形成用炭素材料分散体を用いた場合、導電助剤である炭素材料(B)の分散性に優れ、均一な燃料電池電極形成用炭素材料分散体であることが明らかとなった。水性樹脂型分散剤(A)を使用することにより、導電助剤の種類、混錬方法が異なっても、分散性に優れた均一な燃料電池電極形成用炭素材料分散体を得ることが分かる。
<燃料電池電極形成用組成物の調製>
[実施例b−1]
実施例a−1で調整した燃料電池電極形成用炭素材料分散体(1)100部(炭素材料の固形分として5部)に対して、酸化物系非白金触媒(X1)を2部、プロトン伝導性ポリマーとして20重量%ナフィオン(Nafion)分散溶液(デュポン社製、CStypeDE2020)12.5部(ポリマーの固形分として2.5部)を配合し、ディスパーにて攪拌混合することで本発明の燃料電池電極形成用組成物(1)を調製した。そして、燃料電池電極形成用炭素材料分散体と同様にして燃料電池電極形成用組成物の分散度を求めた。結果を表3に示す。
[実施例b−2〜b−16、比較例b−1〜b−7]
表3に示す触媒材料、燃料電池電極形成用炭素材料分散体を用いた以外は、実施例b−1と同様にして燃料電池電極形成用組成物(2)〜(23)を調製し、分散度を求めた。
[実施例b−17]
酸化物系非白金触媒(X2;炭素中の触媒担持量は28.6%=触媒固形分では2部に相当)を7部、水性樹脂型分散剤(1)の水溶液ないし水性分散体を2.5部(固形分として0.5部)、水92.5部、プロトン伝導性ポリマーとして20重量%ナフィオン(Nafion)分散溶液(デュポン社製、CStypeDE2020)12.5部(ポリマーの固形分として2.5部)を配合し、ディスパーにて攪拌混合することで本発明の燃料電池電極形成用組成物(24)を調製し、分散度を求めた。
[比較例b−8]
表3に示す水性樹脂型分散剤、触媒材料を用いた以外は、実施例b−17と同様にして燃料電池電極形成用組成物(25)を調製し、分散度を求めた。
Figure 2015092437
A:酸化物系触媒 (X1)
B:カーボン中に担持された酸化物系触媒 (X2)
<カソード用燃料電池用触媒層の作製>
[実施例c−1 カソード用燃料電池用触媒層(1)の作製]
燃料電池電極形成用組成物(1)を、ドクターブレードにより、乾燥後の目付け量が4mg/cm2になるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、大気雰囲気下、95℃で60分間乾燥することにより、本発明のカソード用燃料電池用触媒層(1)を作製し、下記の塗工性評価を行った。
[実施例c−2〜c−17、比較例c−1〜c−8]
表4に示すように、燃料電池電極形成用組成物(1)の代わりに燃料電池電極形成用組成物(2)〜(25)に変更した以外は、実施例c−1と同様にして、それぞれ、カソード用燃料電池用触媒層(2)〜(25)を作製し、同様に塗工性を評価した。
(塗工性評価)
テフロン(登録商標)フィルム上に形成されたカソード用燃料電池用触媒層を、ビデオマイクロスコープVHX−900(キーエンス社製)にて500倍で観察し、塗工ムラ(ムラ:触媒層の濃淡により評価)およびピンホール(触媒層が塗布されていない欠陥の有無により評価)について、下記の基準で判定した。結果を表4に示す。
(ムラ)
○:触媒層の濃淡が確認されない(良好)。
△:触媒層の濃淡が2〜3箇所あるが極めて微小領域である(実用上問題ない)。
×:触媒層の濃淡が多数確認される、または濃淡の縞の長さが5mm以上のもの1個以上(不良)。
(ピンホ−ル)
○:ピンホールが1つも確認されない(良好)。
△:ピンホールが2〜3個あるが極めて微小である(不良)。
×:ピンホールが多数確認される、または直径1mm以上のピンホールが1個以上(極めて不良)。
Figure 2015092437
<カソード用燃料電池用触媒層の発電特性評価>
[実施例d−1〜d−18、比較例d−1〜d−9]
カソード用燃料電池用触媒層(1)〜(25)は、下記に示す燃料電池(単セル)発電試験によって評価した。
(燃料電池(単セル)の作製)
カソード用燃料電池用触媒層と、アノード用燃料電池用電極(ケミックス社製;東レ社製カーボンペーパ基材TGP−H−090へ、Pt/Ru触媒を目付け量が0.5mg/cm2となるように塗布後、乾燥した電極)とを、それぞれ固体高分子電解質膜(Nafion NR−212、デュポン社製、膜厚51μm)の両面に密着して、150℃、5MPaの条件で狭持した後、カソード用燃料電池触媒層のテフロン(登録商標)フィルムを剥離し、その表面にカーボンペーパ基材(TGP−H−090、東レ社製)を密着することで、燃料電池用電極膜接合体を作製した。
得られた燃料電池用電極膜接合体を2.5cm角の試料とし、その両側からガスケット2枚、次いでセパレータであるグラファイトプレート2枚ではさみ、更に両側から集電板を2枚装着して燃料電池(単セル)として作製した。
(燃料電池(単セル)発電試験)
得られた燃料電池(単セル)を用いて、セル温度を80℃とし、カソード側から温度80℃、相対湿度100%で加湿した空気を流量300mL/minで供給し、アノード側からも同様に、温度80℃、相対湿度100%で加湿した水素ガスを流量300mL/min供給し、背圧もアノード側、カソード側ともに0.3MPaとして発電特性を測定した。結果を表5に示す。
<ガス拡散層に直接塗工して燃料電池用触媒層を作製する方法>
以下では、ガス拡散層に本発明の燃料電池電極形成用組成物を直接塗工して燃料電池用触媒層を作製する方法について例示する。
[実施例d−18]
燃料電池電極形成用組成物(1)を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素系触媒材料の目付け量が6mg/cm2になるように炭素繊維からなるカーボンペーパ基材(TGP−H−090、東レ社製)上に塗布し、大気雰囲気中95℃、60分間乾燥して、カソード用燃料電池用触媒層(26)を作製した。塗工ムラなく、またカーボンペーパからの液だれもなく良好な触媒層を形成できた。
[比較例d−9]
表5に示すように、燃料電池電極形成用組成物(1)の代わりに燃料電池電極形成用組成物(18)に変更した以外は、実施例d−18と同様にしてカソード用燃料電池用触媒層(27)を作製した。所々、塗工ムラが見られたが、カーボンペーパ上に触媒層を形成できた。
(燃料電池(単セル)の作製)
カソード用燃料電池用触媒層(26)及び(27)についても実施例d−1と同様にして燃料電池(単セル)を作製し、発電試験を行った。結果を表5に示す。
Figure 2015092437
表5の発電試験結果において、開放電圧にはそれほど差異はみられていない。これは、電流が発生していない(もしくは微小な)領域においては導電性の影響は小さく、酸化物系非白金触媒そのものの触媒活性が支配因子となっているためと考えられる。一方、電流密度2.0A/cm2時点における電圧には大きな差が見られており、特に、燃料電池電極形成用組成物の分散性が良好なほど、電流密度2.0A/cm2時の電圧が高くなり、ひいては燃料電池の最大出力密度の向上に繋がっていることがわかる。これは、高電流領域においては導電性が支配因子となっているためと考えられ、炭素材料を酸化物系非白金触媒と均一に接触させ、導電性を確保することが重要であることがわかる。
以上より、本発明の燃料電池用触媒層を用いた燃料電池は、燃料電池の最大出力密度が優れていることがわかった。また、燃料電池電極形成用組成物の分散性が良好なほど、燃料電池電極形成用組成物の保存安定性が良好で、さらには、燃料電池用触媒の塗工性だけでなく、燃料電池の発電特性も良好であることがわかった。
良好な発電特性が得られた現象については、下記のように推測している。本発明の燃料電池電極形成用組成物を用いて作製される燃料電池用触媒層は、導電助剤である炭素材料または酸化物系非白金触媒が燃料電池電極形成用組成物中での分散制御が良好なため、触媒層とした時の層内での均一な導電、プロトン伝導、およびガス透過の良好なネットワークが形成出来ているために、材料のポテンシャルを十分に引き出すことが出来、電流密度2.0A/cm2時においても高い電圧を維持できているものと考えられる。

図1は、燃料電池の構造の模式図である。
1 セパレータ
2 ガス拡散層
3 アノード電極触媒(燃料極)
4 固体高分子電解質
5 カソード電極触媒(空気極)
6 ガス拡散層
7 セパレータ

Claims (6)

  1. 水性樹脂型分散剤(A)と、導電助剤である炭素材料(B)及び/又は酸化物系非白金触媒(C)の少なくとも一方と、水性液状媒体(D)とを含有する燃料電池電極形成用組成物であって、
    水性樹脂型分散剤(A)が、酸性官能基を有し、酸価が50〜720mgKOH/gである燃料電池電極形成用組成物。
  2. 水性樹脂型分散剤(A)が、下記単量体を共重合して得られる共重合体である、請求項1に記載の燃料電池電極形成用組成物。
    芳香環及び/又は脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1):10〜90重量%
    酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2):10〜90重量%
    前記(a1)〜(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3):0〜80重量%
    (但し、前記(a1)〜(a3)の合計を100重量%とする。)
  3. 水性樹脂型分散剤(A)の酸性官能基の一部が、塩基性化合物で中和されてなる請求項1または2記載の燃料電池電極形成用組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の燃料電池電極形成用組成物から形成されてなる燃料電池用触媒層。
  5. 固体高分子電解質膜と、請求項4記載の燃料電池用触媒層と、ガス拡散層とを具備してなる燃料電池用電極膜接合体。
  6. 請求項5に記載の燃料電池用電極膜接合体を具備してなる燃料電池。

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