JP2015092011A - 水性塗料塗装用のアルミニウム材 - Google Patents

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【課題】水性塗料による塗膜形成時の塗膜の膨れを防止することができる水性塗料塗装用のアルミニウム材及び化成処理アルミニウム材、並びに水性塗料塗装アルミニウム材を提供すること。【解決手段】水性塗料塗装用のアルミニウム材は、表面に塗装下地としての化成皮膜を形成し、化成皮膜上に水性塗料による塗膜を形成するためのアルミニウム材である。アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差が0.28V以下であり、かつ、金属間化合物の粒子の円相当径が10μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、水性塗料塗装用のアルミニウム材及び化成処理アルミニウム材、並びに水性塗料塗装アルミニウム材に関する。
従来、アルミニウム材(アルミニウム合金材も含む)は、建築材料、自動車材料、家庭用品、包装容器等に広く用いられている。アルミニウム材は、耐食性、成形性等の観点から、塗装処理された塗装アルミニウム材として用いられることが多い。
塗装アルミニウム材を製造する方法としては、例えば、コイルコーティング法が知られている。コイルコーティング法では、まず、圧延したアルミニウム材の表面に化成処理(塗装下地処理)を施して化成皮膜を形成する。次いで、この化成皮膜上に塗料を塗布した後、焼き付け等で塗料を乾燥させて塗膜を形成する。このコイルコーティング法によれば、前述の工程を1つのラインで行うことも可能であるため、効率よく短時間で塗装アルミニウム材を製造することができる。
塗装アルミニウム材の製造に用いられる塗料としては、従来、有機溶剤を溶媒とした有機溶剤系塗料が用いられていた。しかしながら、近年、環境問題への対策等の観点から、有機溶剤系塗料から水を溶媒とした水性塗料への転換が図られている。
ところが、水性塗料を用いて塗装アルミニウム材を製造すると、水性塗料を焼き付け等で乾燥させて塗膜を形成する際に塗膜が膨れ、外観異常や耐食性低下等の塗膜性能の不良が生じる場合がある。塗膜の膨れは、特に塗布量が多い場合や焼き付け時間が短い場合等に発生しやすくなっており、高性能の塗膜を形成したり、塗膜を効率よく形成したりする場合に障害となっている。
そのため、従来、塗膜の膨れを防止するための検討が種々行われている。例えば、特許文献1では、化成処理後の表面皮膜の親水性及び接触角が塗膜の膨れ現象に関係していると考え、Zr付着量が特定の範囲となる化成処理を行った後、水性塗料を塗布、乾燥させてなる缶蓋用アルミニウム材が開示されている。
また、特許文献2では、化成皮膜中の金属成分(特にMg)が塗膜の膨れ現象に関係していると考え、Mgを含有するアルミニウム材の表面に塗装下地として化成皮膜が形成された表面処理アルミニウム材において、化成皮膜を形成する主要金属成分の原子濃度に対する化成皮膜中のMgの原子濃度の比を特定の範囲とすることが開示されている。
特開平6−79226号公報 特許第3369997号公報
しかしながら、近年、耐食性や外観への要求品質の高まりから、塗膜の膨れがさらに少ないアルミニウム材が求められるようになってきている。塗膜の膨れに関しては、前述した特許文献1、2等の検討がなされてきているものの、高品質が追求される中で、さらなる改良が必要となってきている。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、水性塗料による塗膜形成時の塗膜の膨れを防止することができる水性塗料塗装用のアルミニウム材及び化成処理アルミニウム材、並びに水性塗料塗装アルミニウム材を提供しようとするものである。
本発明の第1の態様は、表面に塗装下地としての化成皮膜を形成し、該化成皮膜上に水性塗料による塗膜を形成するためのアルミニウム材であって、該アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差が0.28V以下であり、かつ、前記金属間化合物の粒子の円相当径が10μm以下であることを特徴とする水性塗料塗装用のアルミニウム材にある(請求項1)。
本発明の第2の態様は、前記水性塗料塗装用のアルミニウム材の表面に塗装下地としての化成皮膜が形成されていることを特徴とする水性塗料塗装用の化成処理アルミニウム材にある(請求項3)。
本発明の第3の態様は、前記水性塗料塗装用の化成処理アルミニウム材の前記化成皮膜上に水性塗料による塗膜が形成されていることを特徴とする水性塗料塗装アルミニウム材にある(請求項5)。
本発明者は、鋭意研究の結果、アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差が、アルミニウム材表面の化成皮膜上に水性塗料による塗膜を形成する際の塗膜の膨れ発生に大きく関係していることを見出した。この関係性については、以下のように推測される。
すなわち、アルミニウム材には、鋳造時に生成される金属間化合物が母相(Al)中に分散されている。金属間化合物の周囲には、母相(Al)との硬さの相違から、圧延中に隙間が生じる場合がある。この場合、化成処理後の乾燥が不十分であると、化成処理液が金属間化合物周囲の隙間に残存する。一方、アルミニウム材の表面には、その表面に存在する金属間化合物と母相(Al)との電位差によって局部電池が形成される。
このような状態において、化成皮膜上に塗布した水性塗料の焼き付けを行うと、金属間化合物周囲の隙間に残存する化成処理液の温度が上昇し、母相(Al)の溶解反応(Al→Al3++3e)と金属間化合物上での水素の還元反応(2H++2e→H2)とが起こる(つまり、水素ガスが発生する)。水性塗料の焼き付け時、塗膜表面は硬化している状態にあるため、発生した水素ガスが塗膜中に残存し、塗膜の膨れの原因となる。
ここで、一般的に、金属の溶解反応(M→Mn++ne)の反応速度(=電流)は、平衡電位からのズレ(過電圧:η)を用いて、下記の数式1に示す理論式(Butler−Volmerの式)で表される。電流値(電流密度:i)は、過電圧に対して指数関数的に増加する。したがって、前述の電位差が大きいほど(過電圧が大きいほど)、電流値が増加する。つまり、母相(Al)の溶解反応が促進され、さらには金属間化合物上での水素の還元反応が促進される。その結果、水素ガスの発生量が多くなり、塗膜の膨れも発生しやすくなる。
Figure 2015092011

なお、上記の数式1において、i:電流密度(A/cm2)、i0:交換電流密度(A/cm2)、α:0.3〜0.7の値をとる定数(無次元)、F:ファラデー定数(9.65×104C/mol)、R:気体定数(8.314J/K・mol)、T:温度(K)である。また、n:金属元素の価数であり、アルミニウムの場合、n=3である。
このようなことから、前記水性塗料塗装用のアルミニウム材(以下、適宜、単にアルミニウム材という)は、該アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差を前記特定の値以下(0.28V以下)としている。これにより、水性塗料の焼き付け時に、水素ガスの発生を抑制することができ、塗膜の膨れを防止することができる。
また、前記アルミニウム材において、金属間化合物の粒子の円相当径を10μm以下としている。そのため、金属間化合物と母材との間に生じる隙間が小さくなり、化成処理液が残存しにくくなる。また、金属間化合物の各粒子の表面積が小さくなるため、金属間化合物上での水素の還元反応を抑制し、水素ガスの発生量を低減することができる。これにより、塗膜の膨れをより確実に防止することができる。
また、前記水性塗料塗装用の化成処理アルミニウム材(以下、適宜、単に化成処理アルミニウム材という)は、前述と同様の理由により、化成皮膜上に水性塗料による塗膜を形成する際の塗膜の膨れを防止することができる。
また、前記水性塗料塗装アルミニウム材は、前述と同様の理由により、水性塗料による塗膜の膨れを防止したものとなる。これにより、耐食性が高く、外観に優れたものとなる。
このように、本発明によれば、水性塗料による塗膜形成時の塗膜の膨れを防止することができる水性塗料塗装用のアルミニウム材及び化成処理アルミニウム材、並びに水性塗料塗装アルミニウム材を提供することができる。
前記水性塗料塗装用のアルミニウム材において、前述のとおり、該アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差が0.28V以下である。この電位差が0.28Vを超える場合には、水性塗料による塗膜形成時の水素ガスの発生量が多くなり、塗膜の膨れを十分に防止することができない。
また、アルミニウム材において、前述のとおり、金属間化合物の粒子の円相当径が10μm以下である。金属間化合物は、鋳造時に生成されるが、その後の熱間圧延や冷間圧延により分断化されていく。しかしながら、金属間化合物の粒子の円相当径が10μmを超える場合には、金属間化合物と母材との間に生じる隙間が大きくなり、化成処理液が残存しやすくなると共に、金属間化合物の各粒子の表面積が大きくなる。そのため、水性塗料による塗膜形成時に水素ガスの発生量が多くなり、塗膜の膨れを十分に防止することができない。
また、金属間化合物の粒子の円相当径を制御する方法としては、例えば、鋳造時の冷却速度を上げる、均質化処理温度を上げる、均質化処理時間を長くする、熱間圧延の圧下率を上げる、冷間圧延の圧下率を上げる等の方法がある。特に、鋳造時の冷却速度を上げること、熱間圧延の圧下率を上げることが効果的である。
なお、アルミニウム材の表面の電位は、自然電位法を用いて測定することができる。例えば、アルミニウム材を所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液に所定時間浸漬し、さらに所定濃度の硝酸に所定時間浸漬して表面を洗浄した後、所定濃度の塩化ナトリウム水溶液中で飽和カロメル電極に対する自然浸漬電位を測定して求めることができる。
また、アルミニウム材の表面に存在する金属間化合物の電位は、例えば、EPMA(電子線マイクロアナライザ)を用いてアルミニウム材の表面における金属間化合物の組成を分析した結果と、各種金属間化合物の酸化還元電位の文献値とを用いて求めることができる。
また、金属間化合物の粒子の円相当径は、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて、アルミニウム材の表面の反射電子組成像を観察し、撮影した写真から画像解析処理により金属間化合物の粒子の面積を測定し、面積=πr2(r:半径)の式から円相当径(=2r)を求めることができる。
また、前記アルミニウム材は、少なくともMn及びFeを含有し、前記金属間化合物中のMn及びFeの合計原子濃度に対するMnの原子濃度の比が0.25以上であることが好ましい(請求項2)。この場合には、アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差をより小さくすることができる。
すなわち、MnやFeを含むアルミニウム材には、鋳造時において、Al6(Mn,Fe)、Al12(Mn,Fe)3Si、Al3Fe等の金属間化合物が生成する。金属間化合物中のMnやFeの原子濃度の割合は、金属間化合物の電位に大きく影響する(例えば、Al6Mn:−0.67V(vs.SCE)、Al3Fe:−0.55V(vs.SCE))。したがって、前記原子濃度の比を調整することにより、アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差をより小さくすることができる。
前記金属間化合物中のMn及びFeの合計原子濃度に対するMnの原子濃度の比(以下、適宜、Mn/(Mn+Fe)のように表す。この場合、「Mn」はMn元素の原子濃度(at%)、「Fe」はFe元素の原子濃度(at%)である。)が0.25未満の場合には、アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差が大きくなり、水性塗料による塗膜形成時の塗膜の膨れを防止するという効果を十分に得ることができないおそれがある。
なお、金属間化合物中のMn及びFeの合計原子濃度に対するMnの原子濃度の比:Mn/(Mn+Fe)は、例えば、EPMA(電子線マイクロアナライザ)を用いてアルミニウム材の表面における金属間化合物の組成を分析して求めることができる。
前記水性塗料塗装用の化成処理アルミニウム材において、前記化成皮膜は、リン酸クロメート皮膜であってもよい(請求項4)。この場合には、アルミニウム材の耐食性を高めることができる。また、化成皮膜上に形成される水性塗料による塗膜とアルミニウム材との密着性を向上させることができる。
なお、化成皮膜とは、アルミニウム材の表面に化成処理によって形成される皮膜であり、アルミニウム材に高度の耐食性を付与したり、化成皮膜上に形成される塗膜とアルミニウム材との密着性を向上させたりするものである。化成皮膜としては、前述のリン酸クロメート皮膜以外にも、例えば、リン酸ジルコニウム皮膜、リン酸チタニウム皮膜等が挙げられる。
前記水性塗料塗装アルミニウム材において、前記水性塗料の塗布量は、100mg/dm2以上であることが好ましい(請求項6)。すなわち、水性塗料による塗膜形成時の塗膜の膨れは、特に水性塗料の塗布量が多い場合に発生しやすくなる。よって、この場合、水性塗料による塗膜形成時の塗膜の膨れを防止するという効果をより有効に発揮することができる。
実施形態1における、各試料の電位差と膨れ個数との関係を示すグラフである。 実施形態1における、各試料のMn/(Mn+Fe)と膨れ個数との関係を示すグラフである。
本発明の水性塗料塗装用のアルミニウム材にかかる実施形態について説明する。
(実施形態1)
本例は、化学成分の異なる複数のアルミニウム板材(試料1〜試料13)を各製造条件にて作製し、各試料について各種評価したものである。以下に、各試料の製造方法及び評価方法を説明する。
<試料の製造方法>
まず、表1に示す各種成分(Mg、Mn、Fe、Si、Cu)を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金の鋳塊を常法により鋳造した。なお、鋳造の冷却速度について、スラブ表層から20mm位置の冷却速度を、試料1〜試料11については8〜10℃/秒、試料12、試料13については3〜5℃/秒とした。
次いで、この鋳塊に対して、面削、均質化処理、熱間圧延(熱間粗圧延、熱間仕上圧延)を施した。なお、熱間圧延では、熱間粗圧延を500℃で開始し、試料1〜試料11については厚さ500mmから30mmに圧延し、試料12、試料13については厚さ300mmから30mmに圧延した。そして、熱間仕上圧延を施し、各試料共に厚さ2.5mm(終了温度330℃)とした。その後、冷間圧延を施し、必要に応じて中間焼鈍を施すことにより、板厚0.25mmのアルミニウム板材(以下、適宜、単に板材という)を得た。
Figure 2015092011

<各試料の特性評価>
「金属間化合物の組成」については、EPMA(電子線マイクロアナライザ)を用いて、アルミニウム板材の表面における金属間化合物の組成を分析した。表2には、各元素の原子濃度(at%)を示した。
「原子濃度比:Mn/(Mn+Fe)」については、M元素及びFe元素の原子濃度から求めた。
「金属間化合物の最大径」については、走査型電子顕微鏡を用いて、板材表面の反射電子組成像を観察し、撮影した写真から画像解析処理により金属間化合物の粒子の面積を測定(本実施形態では200倍で5枚撮影し、0.175mm2の面積を測定)し、面積=πr2(r:半径)の式から金属間化合物粒子の円相当径(=2r)を求め、そのうち最も大きい値を最大径とした。
「板材表面の自然電位」については、各試料のアルミニウム板材を10%水酸化ナトリウム水溶液に60秒間、次いで硝酸に30秒間浸漬し、板材の表面を洗浄した後、2.5%塩化ナトリウム水溶液中で飽和カロメル電極に対する自然浸漬電位を測定した。
「金属間化合物の電位」については、前述のEPMAによる板材表面における金属間化合物の組成の分析結果と、各種金属間化合物の酸化還元電位の文献値(Al6Mn:−0.67V(vs.SCE)、Al3Fe:−0.55V(vs.SCE))とから、下記の式(1)を用いて算出した。
金属間化合物の電位(V)(vs.SCE)=−0.12×(Mn/(Mn+Fe))−0.55・・・(1)
「電位差」については、前述の「板材表面の自然電位」と「金属間化合物の電位」とから、両者の電位差を求めた。
<塗膜膨れ評価>
各試料のアルミニウム板材の表面に対して、前処理として脱脂処理(日本ペイント株式会社製、EC781を使用)を行った。次いで、アルミニウム板材の表面に対して、アルカリエッチング処理(日本ペイント株式会社製、SC420N−2を使用)を行った。なお、エッチング量は、200mg/m2となるように調整した。
次いで、アルミニウム板材の表面に対して、化成処理としてリン酸クロメート処理(日本ペイント株式会社製、アルサーフ401S/45Sを使用)を行い、リン酸クロメート皮膜(化成皮膜)を形成した。これにより、表面に化成処理を施したアルミニウム板材(化成処理アルミニウム材)を得た。
次いで、アルミニウム板材の表面上に、エポキシ樹脂系水性塗料(DIC株式会社製、9K584)を塗布量130mg/dm2にて塗布した後、平均昇温速度12℃/秒、到達温度250℃の条件で焼き付けを行い、塗膜を形成した。これにより、水性塗料を塗装したアルミニウム板材(水性塗料塗装アルミニウム材)を得た。
次いで、水性塗料を塗装したアルミニウム板材に対して、塗膜の膨れを評価した。「塗膜の膨れ個数」については、光学顕微鏡を用いて、アルミニウム板材の表面上に形成された水性塗料による塗膜外観を観察し、塗膜の膨れが発生している箇所を数えた。表3には、単位面積当たり(1cm2当たり)の塗膜の膨れ個数を示した。
Figure 2015092011
Figure 2015092011

表2、表3に、各試料の特性評価及び塗膜膨れ評価の結果を示す。さらに、本実施形態では、図1に、各試料の「電位差」と「膨れ個数」との関係を示すグラフを、図2に、各試料の「原子濃度比:Mn/(Mn+Fe)」と「膨れ個数」との関係を示すグラフを示す。
表2、表3、図1に示すように、試料7〜試料11は、「金属間化合物の最大径」が10μm以下であるが、「電位差」が0.28Vを超えているため、塗膜に膨れが発生した。また、試料12、試料13は、「電位差」が0.28V以下であるが(図1参照)、「金属間化合物の最大径」が10μmを超えているため、塗膜に膨れが発生した。
さらに、表2、表3、図2に示すように、試料7〜試料11は、「原子濃度比:Mn/(Mn+Fe)」が0.25未満であるため、塗膜に膨れが発生した。また、試料12、試料13は、「原子濃度比:Mn/(Mn+Fe)」が0.25以上であるが(図2参照)、「金属間化合物の最大径」が10μmを超えているため、塗膜に膨れが発生した。
一方、表2、表3、図1、図2に示すように、試料1〜試料6は、「電位差」が0.28V以下であり、「金属間化合物の最大径」が10μm以下であるため、塗膜に膨れが発生しなかった(塗膜の膨れ個数が0個/cm2)。また、試料1〜試料4、試料6は、「原子濃度比:Mn/(Mn+Fe)」も0.25以上であった。
また、表1、表2に示すように、試料1と試料13とは、板材の化学成分が同じであるが、試料13に比べて試料1の鋳造の冷却速度を上げ、熱間圧延における熱間粗圧延の圧下率を上げている。そのため、試料1は、金属間化合物の最大径が10μm以下となったが、試料13は、金属間化合物の最大径が10μmを超えた。
また、表1、表2に示すように、試料11と試料12とは、板材の化学成分が同じであるが、試料12に比べて試料11の鋳造の冷却速度を上げ、熱間圧延における熱間粗圧延の圧下率を上げている。そのため、試料11は、金属間化合物の最大径が10μm以下となったが、試料12は、金属間化合物の最大径が10μmを超えた。
このような結果は、金属間化合物の粒子の円相当径を制御する方法として、鋳造時の冷却速度を上げること、熱間圧延の圧下率を上げることが効果的であることを示しているものと考えられる。
以上の結果から、本発明の水性塗料塗装用のアルミニウム材は、アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差が0.28V以下であり、かつ、金属間化合物の粒子の円相当径が10μm以下であるため、水性塗料による塗膜形成時の塗膜の膨れを防止することができることがわかった。
また、本発明の水性塗料塗装用のアルミニウム材において、金属間化合物中のMn及びFeの合計原子濃度に対するMnの原子濃度の比:Mn/(Mn+Fe)が0.25以上であることが好ましいことがわかった。
(その他の実施形態)
本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。

Claims (6)

  1. 表面に塗装下地としての化成皮膜を形成し、該化成皮膜上に水性塗料による塗膜を形成するためのアルミニウム材であって、
    該アルミニウム材の表面の電位と表面に存在する金属間化合物の電位との電位差が0.28V以下であり、かつ、前記金属間化合物の粒子の円相当径が10μm以下であることを特徴とする水性塗料塗装用のアルミニウム材。
  2. 少なくともMn及びFeを含有し、前記金属間化合物中のMn及びFeの合計原子濃度に対するMnの原子濃度の比が0.25以上であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料塗装用のアルミニウム材。
  3. 請求項1又は2に記載のアルミニウム材の表面に塗装下地としての化成皮膜が形成されていることを特徴とする水性塗料塗装用の化成処理アルミニウム材。
  4. 前記化成皮膜は、リン酸クロメート皮膜であることを特徴とする請求項3に記載の水性塗料塗装用の化成処理アルミニウム材。
  5. 請求項3又は4に記載の化成処理アルミニウム材の前記化成皮膜上に水性塗料による塗膜が形成されていることを特徴とする水性塗料塗装アルミニウム材。
  6. 前記水性塗料の塗布量は、100mg/dm2以上であることを特徴とする請求項5に記載の水性塗料塗装用のアルミニウム材。
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