JP2015090804A - ラミネート型二次電池 - Google Patents

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Yasutsugu Matsumoto
康嗣 松本
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基治 小比賀
裕介 佐々木
Yusuke Sasaki
裕介 佐々木
雅信 佐藤
Masanobu Sato
雅信 佐藤
一希 宮竹
Kazuki Miyatake
一希 宮竹
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Abstract

【課題】外装体内部で発生したガスの放出方向を制御し得るラミネート型二次電池を提供する。【解決手段】発電要素が配置される中央部40と、中央部40を取り囲みかつシールされている外周縁部42と、有する外装体と、外周縁部42が有する第1の辺45に配置され、外装体の内部で発生したガスによる外装体の内部圧力上昇に基づいて開裂し、ガスを外部に放出するガス放出口50と、を有するラミネート型二次電池である。そして、外周縁部42が有する第1の辺45と異なる別の辺46,47は、中央部40に向かって折り返されて、中央部40に接着された折り返し部60を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、ラミネート型二次電池に関する。
電気自動車等の駆動電源として用いられるラミネート型二次電池においては、例えば、規格範囲外の電圧が印加されると、電池要素と共に封止された電解液溶媒が電気分解され、外装体内部でガスが発生することがある。また、規格範囲外の高温条件で使用される場合にも、電解質塩の分解等に起因してガスが発生することもある。
このようにして発生したガスによる外装体の破損を防止するため、外装体の内部圧力上昇に基づいて機能するガス放出口(安全弁)を外装体に設けている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−265699号公報
しかし、外装体内部におけるガス発生箇所にはバラつきがあり、発生したガスが必ずしもガス放出口から放出されず、ガスの放出方向が制御できない問題を有している。
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、外装体内部で発生したガスの放出方向を制御し得るラミネート型二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、発電要素と、前記発電要素が配置される中央部と、前記中央部を取り囲みかつシールされている外周縁部と、有する外装体と、前記外周縁部が有する第1の辺に配置され、前記外装体の内部で発生したガスによる前記外装体の内部圧力上昇に基づいて開裂し、前記ガスを外部に放出するガス放出口と、を有するラミネート型二次電池である。そして、前記外周縁部が有する前記第1の辺と異なる別の辺の少なくとも1つは、前記中央部に向かって折り返されて、前記中央部に接着された折り返し部を有する。
本発明によれば、折り返し部の存在により、外装体の内部圧力上昇に基づく開裂方向の力は、シールされている部位の中央部側端部(外周縁部と中央部との境界部)に集中しないため、折り返し部を有する辺の剥離強度(剛性)が向上し、当該辺が開裂してガスが放出することが抑制される。したがって、外装体の内部圧力上昇時において、折り返し部を有しない辺に配置されているガス放出口が優先して開裂するため、ガス放出方向を制御することができる。つまり、外装体内部で発生したガスの放出方向を制御し得るラミネート型二次電池を提供することが可能である。
本発明の実施の形態に係るラミネート型二次電池を説明するための平面図である。 図1に示される外装体を説明するための断面図である。 図1に示されるラミネート型二次電池の発電要素を説明するための分解斜視図である。 図1に示されるガス放出口を説明するための断面図である。 図1に示される折り返し部を説明するための側面図である。 折り返し部を有しない外装体の内部圧力上昇に伴う変形を説明するための概念図である。 折り返し部を有する外装体の内部圧力上昇に伴って発生する開裂方向の力を説明するための概念図である。 折り返し部を有しない外装体の内部圧力上昇に伴って発生する開裂方向の力を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態に係る変形例1を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態に係る変形例2を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態に係る変形例3を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態に係る変形例4を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態に係る変形例5を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態に係る変形例6を説明するための概念図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るラミネート型二次電池を説明するための平面図である。
本発明の実施の形態に係るラミネート型二次電池10は、例えば、リチウムイオン二次電池であり、図1に示されるように、扁平な略矩形状を有しており、外装体20、発電要素70、集電タブ80,82、ガス放出口50および折り返し部60を有する。リチウムイオン二次電池は、小型かつ高性能(高出力および長寿命)であり、直列化および/又は並列化して接続して構成される組電池を小型化してスペース効率を向上させたり、高性能化したりすることができるため、好ましい。なお、後述するように、ラミネート型二次電池10は、折り返し部60を有するため、外装体20内部で発生したガスの放出方向を制御することが可能である。
外装体20は、中央部40および外周縁部42から構成される。中央部40は、発電要素70が配置される部位である。外周縁部42は、中央部40を取り囲んでいる部位であり、シールされている。
外周縁部42は、4つの辺44〜47を有する。辺44は、集電タブ80,82が配置されている部位である。辺45は、辺44に相対しかつガス放出口50が配置されている部位である。辺46および辺47は、辺44と辺45とを連結しかつ互いに相対している部位である。辺47は、後述される電解液の注入口が配置される。なお、符号Wは、外周縁部42におけるシールされている部位のシール幅(熱融着された部位の幅)を示している。
図2は、図1に示される外装体を説明するための断面図である。
外装体20は、軽量化および熱伝導性の観点から、略矩形状の高分子−金属複合ラミネートフィルム22,23からなり、発電要素70を挟み込むように被覆し、その周囲をシールすることで密閉している。つまり、発電要素70を挟み込んでいる部位が、中央部40を構成し、その周囲をシールしている部位が、外周縁部42を構成している。ラミネートフィルム22,23は、図2に示されるように、内側に位置する樹脂層30、外側に位置する樹脂層34、樹脂層30,34の間に配置される金属層32を有する。シールは、ラミネートフィルム22,23の樹脂層30を熱融着によって接合することによって形成されている。
樹脂層30,34を構成する材料は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの熱可塑性樹脂材料が適用される。金属層32を構成する材料は、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)である。
外装体20は、一対のラミネートフィルム22,23によって構成される形態に限定されず、例えば、予め袋状に形成されているラミネートフィルムを適用することも可能である。
図3は、図1に示されるラミネート型二次電池の発電要素を説明するための分解斜視図である。
発電要素70は、実際に充放電反応が進行する部位であり、図3に示されるように、負極72、セパレータ74、正極76が積層されて形成される。積層数は、必要な容量などを考慮し、適宜設定される。
負極72は、薄いシート状の負極集電体の両面に活物質層が形成されてなる。負極集電体は、高導電性部材(集電箔)からなり、集電タブ80と電気的に接触するタブ部分73を有する。タブ部分73は、発電した電気を外部に取り出すために配置されており、負極72の一辺から突出している。活物質層(負極活物質層)は、リチウムを挿入および脱離可能な負極活物質が配置されている領域(含有している領域)であり、タブ部分73を除いた負極集電体の両面に配置され、負極集電体に電気的に接触している。
正極76は、薄いシート状の正極集電体の両面に活物質層が形成されてなる。正極集電体は、高導電性部材(集電箔)からなり、集電タブ82と電気的に接触するタブ部分77を有する。タブ部分77は、発電した電気を外部に取り出すために配置されており、正極76の一辺から突出している。活物質層(正極活物質層)は、リチウムを挿入および脱離可能な正極活物質が配置されている領域(含有している領域)であり、タブ部分77を除いた正極集電体の両面に配置され、正極集電体に電気的に接触している。なお、正極活物質層の配置サイズは、負極72の負極活物質層の配置サイズよりも一回り小さく設定されている。
負極72の活物質層に係る負極活物質としては、容量および出力特性の観点から、炭材料料および合金系負極材料を適用することが好ましい。炭材料料は、例えば、グラファイト、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバ、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボンである。合金系負極材料は、例えば、ケイ素、酸化ケイ素、二酸化錫、炭化ケイ素、錫であり、リチウムと合金化し得る元素を含むことが好ましい。
正極76の活物質層に係る正極活物質としては、容量および出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物を適用することが好ましい。リチウム−遷移金属複合酸化物は、例えば、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOである。
活物質層は、バインダや導電助剤等の添加剤をさらに含有する。バインダは、例えば、ポリアミック酸、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはこれらの混合物である。導電助剤は、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物であり、例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭材料料である。
負極集電体および正極集電体の材料は、例えば、鉄、ステンレス鋼、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびカーボンである。電子伝導性、電池作動電位という観点からは、アルミニウムや銅が好ましい。
セパレータ74は、電解液を含有する微多孔性シート(膜)からなる電解質層を構成する。セパレータ74のサイズは、正極76の活物質層の配置サイズより大きく設定されている。
セパレータの材料として、PPなどの他のポリオレフィン、PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、不織布を、利用することが可能である。不織布は、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステルである。
セパレータ74は、電解質が浸透することによって、イオンの透過性および電気伝導性を呈することとなる。セパレータ74が含有する電解液は、例えば、液体電解質、ポリマー電解質である。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として適用される有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート類である。支持塩は、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩や、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩である。
ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、液体電解質が注入されてなる構成を有する。イオン伝導性ポリマーは、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体である。真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。
集電タブ80,82は、負極72および正極76のタブ部分73,77に接続され、かつ外装体20の外周縁部42の辺44から外部に導出されている。集電タブ80,82と外装体20(ラミネートフィルム22,23)の樹脂層30との接触部位は、外装体20の密閉性を確保するため、接合されている。なお、集電タブ80は、負極用であり、集電タブ82は、正極用である。
辺44は、集電タブ80,82を介して振動が伝達されて微小隙間が発生し易い箇所である。したがって、例えば、集電タブ80,82に表面処理を施したり、樹脂層30の材料を調整したり、熱融着の手法や条件を変えたりすることによって、接着強度を向上させることが好ましい。
集電タブ80,82を構成する材料は、例えば、鉄、ステンレス鋼、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびカーボンである。電子伝導性、電池作動電位という観点からは、アルミニウムや銅が好ましい。
図4は、図1に示されるガス放出口を説明するための断面図である。
ガス放出口50は、外装体20の外周縁部42の辺45に配置され(図1参照)、外装体20内部で発生したガスによる外装体20の内部圧力上昇に基づいて開裂し、ガスを外部に放出する機能を有する。ガスの放出は、外周縁部42(ラミネートフィルム22,23)の辺45の樹脂層30の熱融着状態を開裂させることによって実施される。ガスは、例えば、経時に伴う電池構成部材の分解ガスや、製造時のコンタミネイションによる内部短絡あるいは過充電に伴う異常発熱によって生成される反応ガスである。
ガス放出口50は、ガス放出口50が配置されている部位の接着強度(剥離強度)を他の部位の接着強度(剥離強度)よりも弱くすることで、外装体20の内部で発生したガスよる応力が集中するように構成されている。具体的には、図4に示されるように、ガス放出口50は、シール狭隘部52および導入部54を有する。シール狭隘部52は、狭いシール幅Wを有する部位である。導入部54は、熱融着されていない部位であり、シール狭隘部52の端部から延長し、外装体20内部に連通している。
外装体20内部において発生したガスは、導入部54を経てシール狭隘部52に向けて導かれるため、ガスによる応力は、シール狭隘部52に集中して作用する。そして、内部圧力上昇が継続することにより、接着強度が相対的に弱くなっているシール狭隘部52が開裂し、ガスが外部に放出される。これにより、ラミネート型二次電池10の破裂などの事態が防止され、異常時の信頼性が向上する。
ガス放出口50は、辺45を熱融着する際に使用されるヒートバーが加える熱のパターン形状を適宜調整することによって、簡便に形成することが可能である。例えば、シール狭隘部52を構成することとなる部位に十分な熱を付加し、かつ、導入部54を構成することとなる部位に熱を付加しないことにより、シール狭隘部52および導入部54が容易に形成される。シール狭隘部52が開裂する圧力は、例えば、約1kgf/cmであり、シール狭隘部52のシール幅Wや熱融着条件を変えることで適宜設定可能である。
ガス放出口50の配置位置は、辺45に限定されないが、集電タブ80,82が配置される辺44を避けることが好ましい。辺44は、上述のように集電タブ80,82を介して振動が伝達されて微小隙間が発生し易い箇所であり、接着強度の管理が難しく、また、集電タブ80,82の方向には、電気的な接続部や電子部品が配置される可能性が高く、ガス放出方向には好ましくないためである。
ガス放出口50は、辺45に複数設けたり、辺45の全長に渡って形成したり、複数の辺に配置したりすることも可能である。必要に応じて、ガス放出口50を集電タブ80,82が配置される辺44に配置することも可能である。導入部54の形状は、矩形形状(図1参照)に限定されず、例えば、円弧形状や、シール狭隘部52に向かったテーパー状とすることも可能である。
ガス放出口50は、シール狭隘部52および導入部54を有する形態に限定されず、ガス放出口50を構成することとなる部位におけるヒートバーの熱融着条件を変更し、当該部位における熱融着による接着強度を、隣接する他の部位の熱融着による接着強度より弱くすることによって、ガス放出口50を形成することも可能である。熱融着による接着強度は、例えば、ヒートバーの加熱温度あるいは加圧力を低下させたり、加熱時間を短くしたりすることにより、弱めることが可能である。
図5は、図1に示される折り返し部を説明するための断面図、図6は、折り返し部を有しない外装体の内部圧力上昇に伴う変形を説明するための概念図、図7は、折り返し部を有する外装体の内部圧力上昇に伴って発生する開裂方向の力を説明するための概念図、図8は、折り返し部を有しない外装体の内部圧力上昇に伴って発生する開裂方向の力を説明するための概念図である。
折り返し部60は、図5に示されるように、外装体20(ラミネートフィルム22,23)の外周縁部42の辺46,47を中央部40に向かって折り返して中央部40に接着することによって形成される。接着には、例えば、ポリエステル系接着剤を利用することが可能であるが、特にこの形態に限定されない。
例えば、折り返し部60を有しない外装体において、ガスが発生して外装体内部の圧力が上昇すると、図6に示されるように、外周縁部42と中央部40との境界部(シールされている部位の中央部側端部)41の断面角度θが大きくなり、そして、外装体20の内部圧力上昇に対応して、境界部41の断面角度θが、90°を超える時点から境界部41における接着強度(剥離強度)の相対的に弱い部分からの剥離が開始し、180°に近づくにつれて開裂に至ることとなる。
つまり、折り返し部60を有しない外装体は、境界部41の断面角度θが90°以上になると、図8に示されるように、外装体20を構成するラミネートフィルム22,23の形状に沿った開裂方向の力Fによる応力が、境界部41に応力が集中し、剥離そして開裂に至ることになる。
一方、折り返し部60を有する外装体は、図7に示されるように、開裂方向の力Fによる応力は、境界部41に集中しないため、折り返し部60が配置される辺46,47の剥離強度(剛性)が向上し、辺46,47が開裂してガスが放出することが抑制される。したがって、外装体20の内部圧力上昇時において、折り返し部60を有しない辺45に配置されているガス放出口50が優先して開裂するため、ガス放出方向を制御することができる。つまり、外装体20内部で発生したガスの放出方向を制御し得るラミネート型二次電池10を提供することが可能である。
折り返し部60は、外装体20の一部を利用して形成されているため、ラミネート型二次電池10の重量および体積の増加が抑制される。また、ガス放出口50を優先して開裂させるために、ガス放出口50の接着強度(剥離強度)を過度に低下させる必要がないないため、経時によって、予期せぬ開裂が生じることが抑制される。
ガス放出口50は、境界部41の断面角度θが90°以下で作動することが必要である。したがって、中央部40に対する折り返し部60の接着強度は、外装体20の体積が5%以上増加した際に、折り返し部60が配置された辺46,47における境界部41の断面角度θが90°以上となっても、開裂しないように設定されることが好ましい。この場合、ガス放出口50が優先して確実に開裂することになる。
中央部40に対する折り返し部60の接着強度は、外周縁部42の接着強度と同等かそれ以上であることが好ましい。この場合、折り返し部60が配置された辺46,47の剥離強度を、ガス放出口50の剥離強度よりも十分に大きくすることができる。
折り返し部60は、集電タブ80,82が配置される辺44に設けられていない。これは、上述のように,辺44は、集電タブ80,82を介して振動が伝達されて微小隙間が発生し易い箇所であり、接着強度の管理が難しく、また、集電タブ80,82が干渉するため折り返し部60の形成が困難であるためである。
折り返し部60は電解液が注液される辺47に設けられており、辺47の剥離強度(剛性)が向上している。したがって、辺47が位置する外周縁部42に電解液が付着していても、開裂が抑制される。
折り返し部60は、ガス放出口50が配置される辺45に隣接する辺46,47の両方に設けられている。したがって、ガス放出口50が配置される辺45における開裂をより確実とすることが可能である。
なお、自動車用途などにおいては、昨今、大型化された電池が求められている。そして、折り返し部60の存在により、外装体20内部で発生したガスをガス放出口から確実に排出するという効果は、ガス発生量の多い大面積の電池の場合に、より優位に発揮される。したがって、ラミネート型二次電池10が大型であることが、効果がより発揮されるという意味で好ましい。
大面積の電池は、例えば、負極72の活物質層(負極活物質層)が矩形状であり、当該矩形状の短辺の長さが100mm以上であることによって規定することが可能である。矩形状の短辺の長さの上限は特に限定されるものではないが、通常250mm以下である。
電極の物理的な大きさの観点とは異なる、大型化電池の観点として、電池面積や電池容量の関係から電池の大型化を規定することも可能である。例えば、扁平積層型ラミネート電池の場合には、定格容量に対する電池面積(電池外装体まで含めた電池の投影面積の最大値)の比の値が5cm/Ah以上であり、かつ、定格容量が3Ah以上であることによって、大面積の電池を規定することが可能である。
次に、変形例1〜6を順次説明する。
図9は、本発明の実施の形態に係る変形例1を説明するための概念図である。
変形例1は、折り返し部60の代わりに、板バネ65を有する。板バネ65は、外周縁部42の辺46,47を挟んでおり、辺46,47の剥離強度(剛性)を向上させる。したがって、外装体20内部において発生したガスによる内部圧力上昇に基づく辺46,47の開裂が抑制される。つまり、ガス放出口50が配置されていない辺46,47における開裂が抑制されるため、変形例1においても、外装体20内部において発生したガスは、確実にガス放出口50から外部へ放出されることとなる。板バネ65は、その挟む力が経時によって低下しないため、好ましい。
図10は、本発明の実施の形態に係る変形例2を説明するための概念図である。
変形例2は、折り返し部60の代わりに、ガイド部材67を有する。ガイド部材67は、外周縁部42の辺46,47および中央部40の形状に対応するガイド面68を有し、辺46,47を支持している。つまり、ガイド部材67は、外周縁部42と中央部40との境界部(シールされている部位の中央部側端部)41の断面角度θを規定している。したがって、外装体20内部において発生したガスによって外装体20の体積が増加した場合であっても、境界部41の断面角度θの増大が抑制される(断面角度が小さい状態で維持される)。これにより、ガス放出口50が配置されていない辺46,47における開裂が抑制されるため、変形例2においても、外装体20内部において発生したガスは、確実にガス放出口50から外部へ放出されることとなる。
図11は、本発明の実施の形態に係る変形例3を説明するための概念図である。
変形例3は、折り返し部60の代わりに、シール部材69を有する。シール部材69は、外周縁部42の辺46,47を覆っており、辺46,47の形状を維持するため、外装体20内部において発生したガスの圧力による辺46,47の開裂が抑制される。つまり、ガス放出口50が配置されていない辺46,47における開裂が抑制されるため、変形例3においても、外装体20内部において発生したガスは、確実にガス放出口50から外部へ放出されることとなる。シール部材69の材料は、辺46,47の形状を維持することが可能であれば特に限定されず、例えば、PP、PE、シリコン樹脂、ゴムを適宜適用することが可能である。
図12は、本発明の実施の形態に係る変形例4を説明するための概念図である。
変形例4に係るガス放出口50は、外周縁部42の辺45において、ラミネートフィルム22の樹脂層30を一部切除して隙間部56を形成することにより露出したラミネートフィルム22の金属層32と、ラミネートフィルム23の樹脂層30とを熱融着することによって形成されている。この場合、金属層32および樹脂層30の材質は、樹脂層30間の接着強度に比較して金属層32と樹脂層30との間の接着強度が弱くなるように選択される。例えば、樹脂層30の材質は、PPであり、金属層32の材質は、アルミニウムである。
したがって、隙間部56が配置されている部位の接着強度は、隙間部56が形成されていない部位の接着強度よりも弱くなるため、変形例4においても、外装体20内部において発生したガスの圧力が上昇するに応じて、ガス放出口50が配置されている辺45が優先的に開裂し、ガスが外部に放出されることになる。
図13は、本発明の実施の形態に係る変形例5を説明するための概念図である。
変形例5に係るガス放出口50は、外周縁部42の辺45において、ラミネートフィルム22の樹脂層30を一部切除して形成された隙間部56に板形状の接着強度調整部材58を配置し、接着強度調整部材58と、ラミネートフィルム22の樹脂層30とを熱融着することによって形成されている。接着強度調整部材58の材料は、樹脂層30の材料と異なっており、樹脂層30間の接着強度に比較して接着強度調整部材58と樹脂層30との間の接着強度が弱くなるように選択される。例えば、樹脂層30の材質は、PPであり、接着強度調整部材58の材質は、PEである。
したがって、隙間部56および接着強度調整部材58が配置されている部位の接着強度は、隙間部56および接着強度調整部材58が配置されていない部位の接着強度よりも弱くなるため、変形例5においても、外装体20内部において発生したガスの圧力が上昇するに応じて、ガス放出口50が配置されている辺45が優先的に開裂し、ガスが外部に放出されることになる。また、変形例5は、接着強度調整部材58を有するため、変形例4に比較し、樹脂層30および金属層32の材質の選択の自由度が大きい。
図14は、本発明の実施の形態に係る変形例6を説明するための概念図である。
変形例6に係るガス放出口50は、外周縁部42の辺45において、板形状の接着強度調整部材58を介在させて、ラミネートフィルム22の樹脂層30とラミネートフィルム23の樹脂層30とを熱融着することによって形成されている。
したがって、接着強度調整部材58が配置されている部位の接着強度は、接着強度調整部材58が配置されていない他の部位の接着強度よりも弱くなるため、変形例6においても、外装体20内部において発生したガスの圧力が上昇するに応じて、ガス放出口50が配置されている部位が優先的に開裂し、ガスが外部に放出されることになる。なお、変形例6は、隙間部56を形成する必要がないため、変形例5に比較し、ラミネートフィルム22の製造コストを低減することが可能である。
以上のように、本実施の形態においては、折り返し部の存在により、外装体の内部圧力上昇に基づく開裂方向の力は、シールされている部位の中央部側端部(外周縁部と中央部との境界部)に集中しないため、折り返し部を有する辺の剥離強度(剛性)が向上し、当該辺が開裂してガスが放出することが抑制される。したがって、外装体の内部圧力上昇時において、折り返し部を有しない辺に配置されているガス放出口が優先して開裂するため、ガス放出方向を制御することができる。つまり、外装体内部で発生したガスの放出方向を制御し得るラミネート型二次電池を提供することが可能である。
また、外装体の一部を利用して、ガス放出口が配置されていない辺の剥離強度(剛性)を向上させているため、ラミネート型二次電池の重量および体積の増加が抑制される。また、ガス放出口を優先して開裂させるために、ガス放出口の剥離強度(剛性)を低下させていないため、経時によって、予期せぬ開裂が生じることが抑制される。
中央部に対する折り返し部の接着強度は、外装体の体積が5%以上増加した際に、折り返し部が配置された辺におけるシールされている部位の中央部側端部における断面角度が90°以上となっても、開裂しないように設定することが好ましい。この場合、折り返し部を有する辺が開裂してガスが放出することがさらに抑制され、ガス放出口が優先して確実に開裂することになる。
中央部に対する折り返し部の接着強度は、外周縁部の接着強度と同等かそれ以上であることが好ましい。この場合、折り返し部が配置された辺の剥離強度を、ガス放出口の剥離強度よりも十分に大きくすることができる。
折り返し部は、集電タブが配置される辺に設けないことが好ましい。これは、集電タブが干渉するため、折り返し部の形成が困難であり、また、集電タブが配置される辺は、集電タブを介して振動が伝達されて微小隙間が発生し易い箇所であり接着強度の管理が難しいためである。
折り返し部を電解液が注液される辺に設ける場合、電解液が注液される辺の剥離強度(剛性)が向上するため、当該辺が位置する外周縁部に電解液が付着していても、開裂が抑制される。
ガス放出口が配置される辺に隣接する辺の両方に、折り返し部を設ける場合、ガス放出口が配置される辺における開裂をより確実とすることが可能である。
折り返し部は、発電要素の負極の負極活物質層が矩形状であり、負極活物質層の短辺の長さを100mm以上であるラミネート型二次電池や、定格容量に対する、外装体まで含めた投影面積である電池面積の比の値が5cm/Ah以上であり、かつ、定格容量が3Ah以上であるラミネート型二次電池に、適用することが好ましい。この場合、ラミネート型二次電池は、ガス発生量の多い大面積の電池となり、折り返し部60の存在により、外装体20内部で発生したガスをガス放出口から確実に排出するという効果が、優位に発揮されるためである。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。例えば、ラミネート型二次電池は、正負の集電タブが外装体の一辺から導出される形態に限定されず、外装体における対向する辺からそれぞれ導出されるものに適用することも可能である。また、必要に応じて、変形例1、2および3に係る板バネ、ガイド部材およびシール部材を、折り返し部が形成されていない辺に適宜配置することも可能である。
ラミネート型二次電池は、単独で使用することが可能であるが、組電池の形態で利用することも可能である。組電池の容量および電圧は、ラミネート型二次電池を接続する際に、適宜、直列あるいは並列化することで、自由に調整することが可能である。
組電池自体を、直列化および/又は並列化して接続することで組電池モジュール(大型の組電池)として提供することも可能である。組電池モジュールは、大出力を確保し得るため、例えば、車両のモータ駆動用電源として搭載することが容易である。さらに、組電池モジュールは、例えば、内蔵するラミネート型二次電池毎あるいは組電池毎の充電制御を行うなど、非常にきめ細かい制御ができるため、1回の充電あたりの走行距離の延長、車載電池としての寿命の長期化などの性能の向上を図ることが可能である。
10 ラミネート型二次電池、
20 外装体、
22,23 ラミネートフィルム、
30,34 樹脂層、
32 金属層、
40 中央部、
41 境界部、
42 外周縁部、
44,45,46,47 辺、
50 ガス放出口、
52 シール狭隘部、
54 導入部、
56 隙間部、
58 接着強度調整部材、
60 折り返し部、
65 板バネ、
67 ガイド部材、
68 ガイド面、
69 シール部材、
70 発電要素、
72 負極、
73 タブ部分、
74 セパレータ、
76 正極、
77 タブ部分、
80,82 集電タブ、
F 開裂方向の力、
,W シール幅、
θ 境界部の断面角度。

Claims (6)

  1. 発電要素と、
    前記発電要素が配置される中央部と、前記中央部を取り囲みかつシールされている外周縁部と、有する外装体と、
    前記外周縁部が有する第1の辺に配置され、前記外装体の内部で発生したガスによる前記外装体の内部圧力上昇に基づいて開裂し、前記ガスを外部に放出するガス放出口と、を有し、
    前記外周縁部が有する前記第1の辺と異なる別の辺の少なくとも1つは、前記中央部に向かって折り返されて、前記中央部に接着された折り返し部を有する
    ことを特徴とするラミネート型二次電池。
  2. 前記外周縁部が有する別の辺は、集電タブが配置される第2の辺を有しており、
    前記第2の辺は、前記折り返し部を有しないことを特徴とする請求項1に記載のラミネート型二次電池。
  3. 前記外周縁部が有する別の辺は、電解液が注液される第3の辺を有しており、
    前記第3の辺は、前記折り返し部を有することを特徴とする請求項2に記載のラミネート型二次電池。
  4. 前記外装体は、略略矩形状であり、
    前記ガス放出口を有する前記第1の辺と前記集電タブが配置される前記第2の辺とを連結しかつ相対している第3および第4の辺と、を有しており、
    前記第3および第4の辺は、前記折り返し部を有することを特徴とする請求項2に記載のラミネート型二次電池。
  5. 前記発電要素は、
    正極集電体の表面に正極活物質層が形成されてなる正極と、
    負極集電体の表面に負極活物質層が形成されてなる負極と、
    セパレータと、有し、
    前記負極活物質層は、矩形状であり、前記負極活物質層の短辺の長さが100mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のラミネート型二次電池。
  6. 定格容量に対する、前記外装体まで含めた投影面積である電池面積の比の値が5cm/Ah以上であり、かつ、定格容量が3Ah以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のラミネート型二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024192693A1 (zh) * 2023-03-21 2024-09-26 宁德新能源科技有限公司 二次电池和电子装置

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