JP2015090785A - 電解液添加用化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池の電解液に添加するための化合物に関するものである。
近年、有用な二次電池としてリチウムイオン二次電池が汎用されている。そして、リチウムイオン二次電池の電解液に、種々の添加剤を加えて、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させる技術が多く開示されている。そのような添加剤の一つとして、リチウムビス(オキサラト)ボレート(以下、LiBOBという。)が知られている。
例えば、特許文献1には、LiBOBを電解液に添加したリチウムイオン二次電池が具体的に記載され、LiBOBの添加に因り電池の耐久性が改善されたことが記載されている。
リチウムイオン二次電池の正極、負極、電解液としては、それぞれに多くの種類がある。そして、正極、負極、電解液の組み合わせで多種多様なリチウムイオン二次電池を構成できる。そこで、さまざまな構成のリチウムイオン二次電池においてサイクル特性の向上に寄与し得るLiBOB以外の新たな添加剤が求められていた。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、LiBOBに代わり、リチウムイオン二次電池の電解液に添加し得る新たな化合物を提供することを目的とする。
LiBOBが添加された電解液を用いたリチウムイオン二次電池が優れたサイクル特性を示すのは、以下の機序によるものと考えられる。まず、リチウムイオン二次電池が充放電する条件下において、電解液に添加されたLiBOBは分解される。次に、LiBOB由来の分解物が電極に付着し膜を形成する。ここで、この膜が電極の保護体となるために、電極の劣化が抑制され、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が好適になると推定される。
そこで、本発明者は、LiBOBの分解経路及び分解物の化学構造を研究した。そして、LiBOBと同様に還元分解し得る化合物であって、LiBOBの化学構造と類似する化合物であれば、種々のリチウムイオン二次電池の電解液中で分解することで電極に膜を形成し、LiBOBと同様又はそれ以上の電極保護効果を奏することが期待できると考えた。
そして、本発明者はリチウムイオン二次電池の電解液に添加し得る新たな化合物につき探索研究を行い、特定の化合物がリチウムイオン二次電池の電解液中で電極保護効果を奏し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の化合物は下記一般式(1)で表される。
R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して、水素、アルキル、不飽和アルキル、フェニル、R2とR3が一体となって酸素、R4とR5が一体となって酸素から選択され、
R6は、アルキル、不飽和アルキル、フェニルから選択され、
XはF、ClO4、CjF2j+1SO3、N(SO2CiF2i+1)2から選択され、
nは0又は1、
mは0又は1、
lは1〜6の整数、
kは1〜6の整数、
jは1〜6の整数、
iは1〜6の整数である。
ただし、R1が不飽和アルキルのときには、nは1、R2とR3は一体となって酸素若しくは環状アルキルである。)
また、本発明のリチウムイオン二次電池用電解液は、一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
本発明の化合物は、リチウムイオン二次電池の電極を保護できる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の化合物は、下記一般式(1)で表される。
本発明の化合物は、下記一般式(1)で表される。
R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して、水素、アルキル、不飽和アルキル、フェニル、R2とR3が一体となって酸素、R4とR5が一体となって酸素から選択され、
R6は、アルキル、不飽和アルキル、フェニルから選択され、
XはF、ClO4、CjF2j+1SO3、N(SO2CiF2i+1)2から選択され、
nは0又は1、
mは0又は1、
lは1〜6の整数、
kは1〜6の整数、
jは1〜6の整数、
iは1〜6の整数である。
ただし、R1が不飽和アルキルのときには、nは1、R2とR3は一体となって酸素若しくは環状アルキルである。)
一般式(1)における不飽和アルキルとは、二重結合若しくは三重結合を1つ又は複数有するアルキルを意味する。不飽和アルキルの炭素数は2〜12が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が特に好ましい。
一般式(1)におけるアルキルとは、直鎖アルキル、分岐アルキル又は環状アルキルを意味する。アルキルの炭素数は1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物のうち、特に好ましいものを以下具体的に示す。
一般式(1)で表される化合物は、例えば以下の合成経路のいずれかを含む製造方法で製造することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用電解液は、一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。電解液に含まれる溶媒に対し一般式(1)で表される化合物は0mol/Lを越え10mol/L以下の濃度で含まれるのが良く、0.001〜5mol/Lの濃度が好ましく、0.005〜2mol/Lの濃度がより好ましく、0.01〜1mol/Lの濃度が特に好ましい。
リチウムイオン二次電池が充放電する条件下において、リチウムイオン二次電池用の電解液に添加された一般式(1)で表される化合物は電極表面上で分解されるか又は電解液に含まれる他の成分若しくは電極の成分と反応することで分解される。そして、その分解物は正極及び/又は負極に付着して電極保護膜を形成するか、電解液に含まれる他の成分と反応して正極及び/又は負極に付着して電極保護膜を形成する。当該電極保護膜により電極が保護されるので、リチウムイオン二次電池の充放電に伴う電極の劣化が抑制され、又は、電極と電解液との直接の接触が抑制されることにより電解液の劣化が抑制される。その結果として、充放電後のリチウムイオン二次電池の容量が好適に維持され、リチウムイオン二次電池のサイクル特性は向上する。
この機序からみて、一般式(1)で表される化合物はリチウムイオン二次電池の容量維持剤と把握することができるし、リチウムイオン二次電池のサイクル特性向上剤と把握することもできる。また、一般式(1)で表される化合物は電極保護膜形成剤と把握することもできる。一般式(1)で表される化合物に由来する電極保護膜に因り好適に電極が保護されることからみて、該電極保護膜は充放電にて膨張及び縮小する電極(電極の活物質)を十分に被覆できている。すなわち、一般式(1)で表される化合物に由来する電極保護膜は堅牢であり、そのヤング率は高いと推定される。
実際に、化合物1〜5につき、Gaussian09(登録商標、ガウシアン社)にて還元電位を計算したところ、それぞれ、1.2V、1.2V、2.2V、0.9V、1.73Vであった。なお、電極電位の基準には「Li++e− ⇔ Li」の酸化還元反応を用い、還元電位は還元前後の自由エネルギーの差を電子数で除した値とした。
同じ条件で、電解液の添加剤として用いられるLiBOB及び電解液に含まれる一般的な電解質であるLiPF6の還元電位を計算したところ、LiBOBの還元電位は1.6Vであり、LiPF6の還元電位は0.6Vであった。したがって、リチウムイオン二次電池が充放電する条件下において、化合物1〜5はLiBOBと同等程度に分解しやすく、LiPF6と比較すると非常に分解しやすいといえる。
本発明の一般式(1)で表される化合物を含むリチウムイオン二次電池用電解液は、当然にリチウムイオン二次電池に用いることができる。
リチウムイオン二次電池は、通常、正極、負極、セパレータ及び電解液を有する。そして、正極及び負極はそれぞれ、集電体と、集電体の表面に結着させた活物質層を有する。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
活物質層は活物質、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む。
活物質としては、正極活物質と負極活物質があるが、いずれも公知のものを用いれば良い。
正極活物質としては、層状岩塩構造のLiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦1.2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1) 、Li2MnO3を挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn2O4、Li2Mn2O4等のスピネル、及びスピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePO4FなどのLiMPO4F(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBO3などのLiMBO3(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、充放電に寄与するリチウムイオンを含まない正極活物質材料、たとえば、硫黄単体(S)、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiS2などの金属硫化物、V2O5、MnO2などの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極および/または負極に、公知の方法により、予めイオンを添加させておく必要がある。ここで、当該イオンを添加するためには、金属または当該イオンを含む化合物を用いればよい。
高容量である点から、層状岩塩構造のLiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦1.2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)が好ましく、このうち、0<b<70/100、0<c<50/100、10/100<d<1の範囲内のものが好ましく、1/3≦b≦50/100、20/100≦c≦1/3、1/3≦d<1の範囲内のものがより好ましく、b=1/3、c=1/3、d=1/3、または、b=50/100、c=20/100、d=30/100のものが特に好ましい。a、e、fについては、上述の範囲内の数値であれば特に制限は無い。例えば、a=1、e=0、f=2を例示できる。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能である単体、合金または化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。ケイ素などを負極活物質に採用すると、ケイ素1原子が複数のリチウムと反応するため、高容量の活物質となるが、リチウムの吸蔵及び放出に伴う体積の膨張及び収縮が顕著となるとの問題が生じる恐れがあるため、当該恐れの軽減のために、ケイ素などの単体に遷移金属などの他の元素を組み合わせた合金又は化合物を負極活物質として採用するのも好適である。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb2O5、TiO2、Li4Ti5O12、WO2、MoO2、Fe2O3等の酸化物、又は、Li3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
負極活物質としては、特にリチウムを高容量で吸蔵及び放出可能なSiOx(0.3≦x≦1.6)が好ましい。
結着剤は活物質及び導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂を例示することができる。
また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。以下、当該ポリマーについて説明する。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基などリン酸系の基などが例示される。中でも、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリメタクリル酸など、分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーが好ましい。ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。したがって親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、また、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。分子中にカルボキシル基を含むポリマーは、例えば、酸モノマーを重合する、あるいはポリマーにカルボキシル基を付与するなどの方法で製造することができる。酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、クロトン酸、ペンテン酸、アンジェリカ酸、チグリン酸など分子中に一つのカルボキシル基をもつ酸モノマー、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−ペンテン二酸、メチレンコハク酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4−ヘキサジエン二酸、アセチレンジカルボン酸など分子内に二つ以上のカルボキシル基をもつ酸モノマーなどが例示される。これらから選ばれる二種以上のモノマーを重合してなる共重合ポリマーを用いてもよい。
例えば特開2013-065493号公報に記載されたような、アクリル酸とイタコン酸との共重合体からなり、カルボキシル基どうしが縮合して形成された酸無水物基を分子中に含んでいるポリマーを結着剤として用いることも好ましい。一分子中にカルボキシル基を二つ以上有する酸性度の高いモノマー由来の構造があることにより、充電時に電解液分解反応が起こる前にリチウムイオンなどをトラップし易くなると考えられている。さらに、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸に比べてカルボキシル基が多く酸性度が高まると共に、所定量のカルボキシル基が酸無水物基に変化しているため、酸性度が高まりすぎることもない。そのため、この結着剤を用いて形成された負極をもつ二次電池は、初期効率が向上し、入出力特性が向上する。
活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、活物質:結着剤=1:0.05〜1:0.5であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、および各種金属粒子などが例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。導電助剤の使用量については特に制限はないが、例えば、活物質100質量部に対して0.5〜30質量部とすることができる。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を含む混合物を調製し、この混合物に適当な溶剤を加えてペースト状の活物質層形成用組成物とする。集電体の表面に活物質層形成用組成物を塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
電解液は正極及び負極間をイオンが移動するための媒体であって、溶媒と該溶媒に溶解された電解質とを含む液である。そして、電解液は本発明の一般式(1)で表される化合物を含む。
リチウムイオン二次電池の電解液に用いられる溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等の非水系溶媒を挙げることができる。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,3−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステルを例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。電解液の溶媒として、上述のものを複数併用してもよい。特に、エチレンカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネートの3種を併用するのが好ましい。
リチウムイオン二次電池の電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を挙げることができる。電解液中の電解質の濃度は、0.5〜1.7mol/Lの範囲が好ましい。
電解液には、本発明の一般式(1)で表される化合物以外にも、従来のLiBOBなどのリチウム(オキサラト)ボレート類やその他の好適な添加剤を添加してもよい。
リチウムイオン二次電池の製造方法の一例を説明する。正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とする。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等で接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とする。リチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
リチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、たとえば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風量発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
Claims (3)
- 請求項1に記載の前記一般式(1)で表される化合物を含むリチウムイオン二次電池用電解液。
- 請求項1に記載の前記一般式(1)で表される化合物を含む電解液を具備するリチウムイオン二次電池。
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