JP2015090346A - タイヤ試験機の校正装置及びタイヤ試験機の校正方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、ロードセルを校正する際に、回転ドラムに基準荷重を有する錘(おもり)をワイヤなどを介して取り付け、ワイヤを介して回転ドラムに水平方向(ラジアル方向)に基準荷重を付与することでロードセルの校正をすることが開示されている。
なお、実際のタイヤ試験ではラテラル方向の力は下向きのみならず、上向きにも発生する。そのため、ロードセルの校正を正確に行うためには上向きの力を実際に回転ドラムに加えて校正を行う必要があるが、これについても、上述した特許文献1にはその具体的な態様は示されていない。
例えば、ロードセルで下向きの力を計測する際には正常であるが、上向きの力を計測する際には異常があるようなロードセルに対して、特許文献1に開示された校正方法、又は特許文献1に開示された事項から想到可能な校正方法を適用しても、下向きに荷重を加えて校正する限りは異常を確認することはできず、正確な校正を行うことはできない。
即ち、本発明のタイヤ試験機の校正装置は、上下方向を向く軸部回りに回転自在に取り付けられた円筒状の回転ドラムと、前記回転ドラムの軸部に取り付けられて、回転ドラムに作用する力を計測可能なロードセルとを備えたタイヤ試験機に対して、前記ロードセルのラテラル方向に沿った力成分の校正を行う校正装置であって、前記回転ドラムの外周縁に掛け止めされるフック部材と、前記フック部材に一端側が連結された紐状で長尺の線状体と、前記線状体の他端側に連結されると共に前記ロードセルを校正するための基準荷重
を下方に向けて発生可能な荷重付与体と、前記線状体が巻きかけられ、且つ前記荷重付与体により前記線状体の他端側に付与される下向きの力を、前記線状体の一端側における上向きの力に変換する滑車装置と、を有することを特徴とするものである。
なお、好ましくは、前記錘部材は円板状の物体に形成され、前記錘部材の外径部から中央部にかけて一部が欠けて、挿入孔が形成されているとよい。
なお、好ましくは、前記錘部材には、その外径部に持ち手が取り付けられているとよい。
なお、好ましくは、前記フック部材から前記滑車装置を介して伸びる前記線状体の一端と、前記荷重付与体との間に、帯状で長尺な板材によって構成されている帯状長尺体が配備されているとよい。
以下、本発明のタイヤ試験機1の校正装置2及び校正方法における実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、第1実施形態の校正装置2を模式的に示したものである。
図1に示すように、第1実施形態の校正装置2は、上下方向を向くドラムシャフト3(軸部)回りに回転自在に取り付けられた円筒状の回転ドラム4と、回転ドラム4のドラムシャフト3に取り付けられて、回転ドラム4に作用する力を計測可能なロードセル5とを備えたタイヤ試験機1に対して、このロードセル5のラテラル方向に沿った力成分の校正を行うものである。
このタイヤ試験機1は、スピンドル軸6に固定状態とされたタイヤに対して、回転ドラム4を水平方向に移動させて押し付ける構成とされており、タイヤに押し付けられた際に回転ドラム4に発生する力やモーメントを計測する構成となっている。
いる。また、このスピンドル軸6にはタイヤを挟み込むように固定するリム7が設けられており、リム7でタイヤを固定しつつスピンドル軸6を回転させることにより、上下方向を向く軸回りにタイヤを回転できるようになっている。なお、リム7は上下動可能なビーム(梁)部材に取り付けられており、そのビーム(梁)部材が下降することで、リム7とそのリム7に対向するスピンドル軸6の上部の突設部分が近接し、タイヤを挟み込むように固定することができる。
回転ドラム4を支持する支持フレーム10には基礎に対して支持フレーム10を水平方向に前進・後退させるスライド機構12が設けられている。このスライド機構12は、支持フレーム10を水平方向に沿って案内可能なレール部材13と、支持フレーム10の側方に設けられてこの支持フレーム10を水平方向に押引するスクリュージャッキ部材14とを有しており、スクリュージャッキ部材14により押し引きされた支持フレーム10がレール部材13の敷設方向に沿って移動することで、回転ドラム4の外周面(模擬路面9)をスピンドル軸6に装着されたタイヤに押し付けたり、当該タイヤから引き離したりできるようになっている。なお、レール部材13には、例えば、リニアモーションガイドなどを採用することができる。
図1に示すように、フック部材15は、正面視でU字状に曲げられた部材であり、回転ドラム4の外周縁に掛け止めされている。具体的には、回転ドラム4は円筒状板材などで形成されており、この円筒状の回転ドラム4は外周の上縁が上方に向かって庇状に突出すると共に、下縁が下方に向かって庇状に突出している。そのため、上述したフック部材15は曲げられた部分を外周(外周面)の下縁に引っ掛けるようにして掛け止めされている。これにより、荷重付与体17より発生し、滑車装置18、線状体16を介して伝達される上方向の力を回転ドラム4の外周(外周面)の下縁に付加することができるように構成されている。
体16には、鋼やステンレスなどのような金属、あるいはナイロンやアラミドなどの合成繊維から形成されたロープ、スリングなどが用いられる。線状体16の一端側には上述したフック部材15が連結されており、線状体16の他端側には荷重付与体17が連結されている。線状体16における一端側と他端側との間は滑車装置18に掛け回されている。
具体的には、錘積載部19は水平方向に沿って配備された板状の部材であり、錘積載部19の上面は錘部材20を積層状に載置可能に形成されている。また、錘積載部19には、上述した線状体16の他端側が連結されており、錘積載部19に積載された錘部材20の重量を線状体16に加えられるようになっている。
また、錘部材20の重量は予め基準の重さに設定されており、錘積載部19に積載する錘部材20の数を変更することで、フック部材15に加わる上向きの力を調整できるようになっている。このように線状体16の他端側に加わる下向きの力を調整できれば、線状体16の一端側に設けられたフック部材15に加わる上向きの力も変更可能となり、加える荷重を変えながらロードセル5の校正を行うことが可能となる。
具体的には、滑車装置18は、ブラケット22と、このブラケット22に水平方向を向く軸回りに回転自在に取り付けられた円盤状のシーブ23と、を有している。なお、ブラケット22はリム7の取り付けられたビーム(梁)部材に取り付けられている。上述のとおり、ビーム(梁)部材は上述のとおり上下動可能に構成されているが、ロードセル5のラテラル方向の校正を行う方法を実施する際には、ビーム(梁)部材は上方の位置で固定される。
まず、ロードセル5の校正手順を行う前に、校正装置2の準備として回転ドラム4の外周面の下縁にフック部材15のU字状に曲げられた部分を引っ掛ける。このフック部材15には線状体16の一端側が連結されている。そして、線状体16の長手方向の中途側を滑車装置18のシーブ23に回し掛け、線状体16の他端側に荷重付与体17の錘積載部19を取り付ける。
体16の一端側に上向きの力が加わる。このようにして錘部材20が1個のときにロードセル5で計測される上向きの力をまず計測する。
錘積載部19に積載される錘部材20の数が最大になった後は、錘部材20の数を減らしながら上向きの力を計測する。すなわち、錘積載部19に積載される錘部材20の数を1個ずつ減らし、錘部材20の数を1個減らす度にロードセル5でフック部材15に加わる上向きの力を計測する。このように錘積載部19からの錘部材20の減少と力の計測とを交互に繰り返す漸減工程を、錘積載部19に積載される錘部材20の数が再び0個になるまで連続して行う。
(1)校正装置2を取り付ける。
(2)錘部材20(基準おもり)を1個搭載する。ロードセル5の出力値を記録する。
(3)錘部材20を1個追加する。ロードセル5の出力値を記録する。
(4)同様に錘部材20を追加していき、そのたびにロードセル5の値を記録する。
(5)錘部材20の最大積載量(最大個数となる)まで、(4)の手順を行う。以上が漸増工程である。
(6)今度は順番に錘部材20を取り去っていく。そのたびにロードセル5の値を記録する。
(7)錘部材20がなくなるまで(6)の手順を繰り返す。以上が漸減工程である。
(8)これらで得られた錘部材20による荷重に対するロードセル5の出力値により、校正を行う。
なお、荷重がない場合(最小荷重の場合)の計測値と、錘部材20が最大積載まで加わった場合(最大荷重の場合)の計測値とを結んでゲイン直線をもとめ、最小値と最大値との間はゲイン直線からの差のみを記録し、記録した差荷重及び前記ゲイン曲線を用いて、ロードセル5を校正することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のタイヤ試験機1の校正装置2について説明する。
すなわち、第2実施形態の校正装置2は、回転ドラム4に設けられた校正対象のロードセル5とは別に、フック部材15から滑車装置18までの間の線状体16に第2のロードセル24(力計測器)を備えている。この第2のロードセル24は、フック部材15に加わる上向きの力、言い換えれば線状体16に加わる上向きの力を正確に計測可能となっている。
つまり、滑車装置18のシーブ23と線状体16との相互間には、摩擦力が多少なりとも発生しており、線状体16の他端側に基準荷重を加えても、滑車装置18を挟んだ一端側には発生した摩擦力を差し引いた荷重しか加わらない。そのため、校正用のロードセル5で計測された計測値は厳密には基準荷重に対応したものとなっていない可能性がある。無論、上述した摩擦力は非常に小さいことが多いので、摩擦力を無視してロードセル5を校正することも可能であるが、より精度の良い校正を行うためには線状体16の一端側、つまりフック部材15に作用する荷重をダイレクトに計測するのが好ましい。
具体的に第2実施形態の校正装置2で上述した漸増工程や漸減工程を行う場合には、錘部材20を追加または減らす度に第2のロードセル24で計測される荷重を計測し、第2のロードセル24で計測された荷重と、ロードセル5で計測された荷重とを用いてゲイン直線を求めれば、より精度良い校正が可能となる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のタイヤ試験機1の校正装置2について説明する。
図6に示す如く、この帯状長尺体26はその名称のとおり、帯状で長尺な板材(金属板など)によって構成されている。この帯状長尺体26により、荷重付与体17が回転することを抑制し、ひいては錘部材20の回転を抑制し、より短時間で荷重を安定化させることができる。この帯状長尺体26は、図7に示すように、下向きの校正においても使用することも可能である。
2 校正装置
3 ドラムシャフト(軸部)
4 回転ドラム
5 ロードセル
6 スピンドル軸
7 リム
8 ドラム本体
9 模擬路面
10 支持フレーム
11 締結ピン
12 スライド機構
13 レール部材
14 スクリュージャッキ部材
15 フック部材
16 線状体
17 荷重付与体
18 滑車装置
19 錘積載部
20 錘部材
21 挿通孔
22 ブラケット
23 シーブ
24 第2のロードセル(力計測器)
25 持ち手
Claims (7)
- 上下方向を向く軸部回りに回転自在に取り付けられた円筒状の回転ドラムと、前記回転ドラムの軸部に取り付けられて、回転ドラムに作用する力を計測可能なロードセルとを備えたタイヤ試験機に対して、前記ロードセルのラテラル方向に沿った力成分の校正を行う校正装置であって、
前記回転ドラムの外周縁に掛け止めされるフック部材と、
前記フック部材に一端側が連結された紐状で長尺の線状体と、
前記線状体の他端側に連結されると共に前記ロードセルを校正するための基準荷重を下方に向けて発生可能な荷重付与体と、
前記線状体が巻きかけられ、且つ前記荷重付与体により前記線状体の他端側に付与される下向きの力を、前記線状体の一端側における上向きの力に変換する滑車装置と、
を有することを特徴とするタイヤ試験機の校正装置。 - 前記荷重付与体は、前記線状体の先端に取り付けられた錘積載部と、前記錘積載部に積載可能とされた複数の錘部材とを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験機の校正装置。
- 前記錘部材は円板状の物体に形成され、
前記錘部材の外径部から中央部にかけて一部が欠けて、挿入孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ試験機の校正装置。 - 前記錘部材には、その外径部に持ち手が取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ試験機の校正装置。
- 前記フック部材から滑車装置までの間の線状体に、前記フック部材に加わる上向きの力を計測可能な力計測器が配備されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ試験機の校正装置。
- 前記フック部材から前記滑車装置を介して伸びる前記線状体の一端と、前記荷重付与体との間に、帯状で長尺な板材によって構成されている帯状長尺体が配備されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のタイヤ試験機の校正装置。
- 請求項2乃至6のいずれかに記載のタイヤ試験機の校正装置を用いて、前記ロードセルのラテラル方向に沿った力成分の校正を行うに際しては、
前記錘積載部に積載される錘部材を1個追加し、その度に前記ロードセルでフック部材に加わる上向きの力を計測する漸増工程と、前記錘積載部に積載される錘部材を1個減らし、その度に前記ロードセルでフック部材に加わる上向きの力を計測する漸減工程とを行い、
前記漸増工程及び漸減工程で得られた複数の上向きの力の計測値をもとに、前記ロードセルの校正を行うことを特徴とするタイヤ試験機の校正方法。
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