JP2015087764A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 彩度と耐光性が共に優れたトナーを提供する。【解決手段】 結着樹脂、着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該着色剤は、特定の構造を有するピリドンアゾ化合物であることを特徴とするトナー。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法の如き記録方法に用いられるトナーに関する。
近年、カラー画像の普及が盛んで高画質化への要求が高まっている。デジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、色画像原稿をブルー、グリーン、レッドの各色フィルターで色分解した後、オリジナル画像に対応した潜像をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色現像剤を用い現像する。そのため、各色の現像剤中の着色剤が持つ着色力が画質に大きな影響を与える。
また、印刷業界におけるジャパンカラー及びDesk Top Publishing(DTP)におけるAdobeRGBをはじめとする色空間の再現が重要となっている。この色空間の再現には、顔料の分散性の改善や色域の広い染料を用いる方法が知られている。
トナー用のイエロー着色剤は、例えば、イソインドリノン骨格、キノフタロン骨格、アントラキノン骨格、アゾ骨格などの化合物が知られている。これらは、顔料として用いられることが多いが、透明性や着色力の面で限界があり、そのための改良法として染料が使用されている。例えば、イエロー染料として、アゾ結合を1つ有するピリドンアゾ化合物(単量体)を用いる例が知られている(特許文献1〜2参照)。
しかしながら、高画質化させるために、さらに彩度、耐光性に優れた染料の開発が求められている。
特開平07−140716号公報 特開平11−282208号公報
本発明の目的は、彩度と耐光性が共に優れたトナーを提供することにある。
上記課題は、以下の発明によって解決される。
即ち、本発明は、結着樹脂、着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、下記一般式(1)で表される色素化合物を含有することを特徴とするトナーを提供することである。
Figure 2015087764
本発明により、彩度と耐光性が共に優れたトナーを提供することができる。
実施例1で用いた色素化合物(1)のCDCl中、室温、400MHzにおけるH−NMRスペクトルを表す図である。
以下に、発明を実施するための形態を挙げて、本発明を説明する。
本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、一般式(1)で表される色素化合物は、結着樹脂との相溶性が高く、トナーの製造工程において結着樹脂中に均一に溶解する特徴を持つ。そのため、結着樹脂と本発明の一般式(1)で表される色素化合物を含有させたトナーを製造することで、彩度と耐光性が共に優れるトナーを見出し本発明に至った。
本発明で用いられる一般式(1)で表される色素化合物は、ピリドン環のN位をアルキレン基やフェニレン基で連結させている事が特徴である。連結させることで、色素化合物と結着樹脂との相溶性を高め、色素化合物同士のスタッキングを抑制し、分散性が向上するために、彩度を向上させることができる。また、本発明で用いられる色素化合物は、ピリドン環を連結させ、2量化することで、色素化合物の励起状態からの緩和を促進させ、ピリドン環が単量体の場合よりも耐光性が向上する。
一方、アゾ基に隣接するフェニル基に、例えば、カルボン酸アミド基などの励起状態の緩和を促進させる基を含ませることで耐光性を上げる効果もある。特に、カルボン酸長鎖アルキルアミド基を用いた場合は、色素化合物と結着樹脂との相溶性がさらに好ましくなり、彩度が向上する。
これに対して、アゾ基に隣接するフェニル基に、色素化合物の励起状態の緩和を抑制させる長鎖アルキル基を用いた場合では、色素化合物と結着樹脂との相溶性が落ちるため、結果として得られるトナーは、彩度と耐光性が低下してしまう。
Figure 2015087764
(一般式(1)中、
、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアミノ基を表し、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基またはカルボン酸アミド基を表し、
m、nは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、
、A、mが1〜4の整数である場合におけるB、nが1〜4の整数である場合におけるBは、それぞれ独立して、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、カルボン酸アミド基またはスルホン酸アミド基を表し、
Lは、炭素数1〜12の直鎖アルキレン基、炭素数1〜12の分岐アルキレン基、またはフェニレン基を表す。)
<色素化合物>
一般式(1)で表される色素化合物について説明する。
一般式(1)中、R、Rは、アルキル基、アリール基またはアミノ基を表す。
一般式(1)中のR、Rにおけるアルキル基としては、特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、または、tert−ブチル基が挙げられる。
一般式(1)中のR、Rにおけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えばフェニル基が挙げられる。
一般式(1)中のR、Rにおけるアミノ基としては、特に限定されるものではない。例えば、アミノ基、または、ジメチルアミノ基が挙げられる。
一般式(1)中のR、Rがアルキル基の場合、彩度および耐光性が優れたトナーが得られるため好ましい。特に、メチル基であることが好ましい。
一般式(1)中、R、Rは、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基またはカルボン酸アミド基を表す。
一般式(1)中のR、Rにおけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではない。例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸ブチル基、または、カルボン酸エチルヘキシル基が挙げられる。
一般式(1)中のR、Rにおけるカルボン酸アミド基としては、カルボン酸ジメチルアミド基、または、カルボン酸ジエチルアミド基の如きカルボン酸ジアルキルアミド基;カルボン酸メチルアミド基、または、カルボン酸エチルアミド基の如きカルボン酸モノアルキルアミド基が挙げられる。
一般式(1)中のR、Rがシアノ基の場合、特に彩度および耐光性が優れたトナーが得られるため好ましい。
一般式(1)中のLは、炭素数1〜12の直鎖アルキレン基または炭素数1〜12の分岐アルキレン基、またはフェニレン基を表す。
一般式(1)中のLにおけるアルキレン基としては、特に限定されるものではないが、直鎖または分岐状でもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、または、へキサデシレン基が挙げられる。メチレン基、エチレン基、プロピレン基、または、ブチレン基であることが好ましく。特には、エチレン基の場合、彩度および耐光性が優れたトナーが得られるため好ましい。
一般式(1)中のLにおけるフェニレン基としては、特に限定されるものではないが、1,2−ジ置換フェニレン基、1,3−ジ置換フェニレン基、または、1,4−ジ置換フェニレン基が挙げられる。特に、1,3−ジ置換フェニレン基の場合、彩度および耐光性が優れたトナーが得られるため好ましい。
一般式(1)中のm及びnは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表すが、0又は1であることが好ましく、0であることが最も好ましい。
、A、mが1〜4である場合におけるB、nが1〜4である場合におけるBは、それぞれ独立して、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、カルボン酸アミド基またはスルホン酸アミド基を表す。
尚、AとB、AとBとが同じであっても良い。また、Bが複数ある場合(即ち、mが2〜4の場合)には、複数のBがそれぞれ同じであっても異なっていても良い。Bが複数ある場合も同様である。
一般式(1)中のA、A、B、Bにおけるカルボン酸アミド基としては、特に限定されるものではないが、カルボン酸ジメチルアミド基、カルボン酸ジエチルアミド基、カルボン酸ジ(エチルヘキシル)アミド基、または、カルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)アミド基の如きカルボン酸ジアルキルアミド基;カルボン酸メチルアミド基、カルボン酸エチルアミド基、カルボン酸(エチルヘキシル)アミド基、または、カルボン酸(2−エチルヘキシル)アミド基の如きカルボン酸モノアルキルアミド基が挙げられる。特に、カルボン酸ジアルキルアミド基であることが好ましく、カルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)アミド基が、彩度および耐光性が優れたトナーが得られるため特に好ましい。
m及びnが0であることが好ましいことを考慮すると、A、Aの少なくとも一方がカルボン酸ジアルキルアミド基であることが好ましく、カルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)アミド基であることがより好ましい。
一般式(1)中のA、A、B、Bにおけるスルホン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、スルホン酸メチルエステル基、スルホン酸エチルエステル基、スルホン酸ブチルエステル基、スルホン酸エチルヘキシルエステル基、または、スルホン酸(2−エチルヘキシル)エステル基が挙げられる。特に、スルホン酸(2−エチルヘキシル)エステル基の場合、彩度および耐光性が優れたトナーが得られるため好ましい。
一般式(1)中のA、A、B、Bにおけるスルホン酸アミド基としては、特に限定されるものではないが、スルホン酸メチルアミド基、または、スルホン酸エチルアミド基の如きスルホン酸アルキルアミド基、スルホン酸(2−エチルヘキシル)アミド基が挙げられる。特に、スルホン酸(2−エチルヘキシル)アミド基の場合、彩度および耐光性が優れたトナーが得られるため好ましい。
また、一般式(1)において、Lを挟んで両側に存在する部分構造が同一の構造であることが、彩度および耐光性が優れたトナーが得られるため好ましい。
一般式(1)中のA、A、B、BとLとの組み合わせとしては、以下の組み合わせであることが好ましい。
i)一般式(1)中、Lがフェニレン基であり、A、A、mが1〜4である場合におけるB、nが1〜4である場合におけるBは、それぞれ独立して、スルホン酸エステル基、カルボン酸アミド基またはスルホン酸アミド基である。
ii)一般式(1)中、Lが、炭素数1以上12以下の直鎖アルキレン又は炭素数1以上12以下の分岐アルキレンであり、A、A、mが1〜4である場合におけるB、nが1〜4である場合におけるBは、それぞれ独立して、カルボン酸アミド基である。
一般式(1)で表わされる色素化合物はアゾ体の状態を示しているが、互変異性体であるヒドラゾ体の状態も本発明の範疇である。
本発明で用いられる一般式(1)で表される色素化合物は、例えば、国際特許出願WO2012/039361号に記載されている公知の方法を参考にして合成することが可能である。
本発明で用いられる一般式(1)で表される化合物の好ましい例として、化合物(1)〜(33)を以下に示すが、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2015087764
Figure 2015087764
Figure 2015087764
Figure 2015087764
Figure 2015087764
Figure 2015087764
Figure 2015087764
Figure 2015087764
<トナー>
本発明で用いられる一般式(1)で表される色素化合物は、結着樹脂との相溶性が高く、トナーの製造工程において結着樹脂中に均一に溶解する特徴を持つ。そのため、結着樹脂と本発明の一般式(1)で表される色素化合物を含有させることで、彩度と耐光性が共に優れるトナーを得ることができる。
一般式(1)で表される色素化合物の含有量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部であることが好ましい。
また、本発明のトナーにおいては、色調を調整するために、異なる構造を有する一般式(1)で表される色素化合物を複数併用してもよく、また、公知の染料及び顔料と組み合わせて用いても良い。
組み合わせて用いる顔料としては、好ましくは、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー180、または、C.I.ピグメントイエロー155等が用いられる。
<結着樹脂>
本発明に用いる結着樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂を挙げることができる。
具体的には、以下の重合性単量体の単独重合体或いは共重合体であるビニル系樹脂が挙げられる。重合性単量体としては、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレンの如きスチレン或いはスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシルの如きメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きビニルニトリル類;ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンの如きケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンの如きオレフィン類を例示できる。
その他、ビニル系樹脂以外の樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂の如き非ビニル縮合系樹脂、及び、これら非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、トナー用の樹脂としては、ポリエステル樹脂も好ましい樹脂である。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、それらの低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。特に、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、さらに、脂肪族ジカルボン酸における脂肪族部位が飽和カルボン酸である事が好ましい。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、特に制限はされないが、特に全成分中、アルコール成分/酸成分が45/55〜55/45のmol比であるものが好ましい。
また、ポリエステル樹脂は、分子鎖の末端基数が増えるとトナーの帯電特性において環境依存性が大きくなりやすくなる。そのため、酸価は90mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以下であることがより好ましい。また、水酸基価は50mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以下であることがより好ましい。但し、トナーの摩擦帯電特性を考慮すると、酸価が3mgKOH/g以上であることが好ましい。
本発明において、トナーの機械的強度を高めると共に、トナー分子の分子量を制御するために、架橋材を用いて架橋させた結着樹脂であってもよい。
例えば、二官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート、および上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、特に限定されるものではないが、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよびそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、前記結着樹脂を得るために用いられる重合性単量体100質量部に対して、0.05〜10質量部用いることが好ましく、さらには0.1〜5質量部用いることがより好ましい。
結着樹脂のガラス転移温度は、好ましくは45〜80℃であり、より好ましくは55〜70℃である。また、結着樹脂の数平均分子量(Mn)は2,500〜50,000であることが好ましい。また、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000であることが好ましい。
<ワックス>
本発明のトナーは、ワックスを含有していることが好ましい。
ワックスとは、トナー定着時のオフセットを防止する目的で使用される材料を意味する。本発明において用いられるワックスとしては、特に限定されるものではないが、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャー・トロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックスおよびそれらの誘導体等が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコール等のアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪族あるいはその化合物、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独、もしくは併せて用いることができる。
ワックスの添加量としては、結着樹脂100質量部に対して2.5〜15.0質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量部の範囲である。ワックスの添加量を上記の範囲に調整することによって、オイルレス定着を容易にすると共に、帯電特性への影響もより低く抑えることが可能となる。
本発明に用いられるワックスは、融点が50℃以上200℃以下のものが好ましく、融点55℃以上150℃以下のものがさらに好ましい。なお、ワックスの融点が50℃以上200℃以下である場合、トナーの耐ブロッキング性が更に向上し、さらに、定着時のワックスの染み出しも向上し、オイルレス定着における剥離性も向上させることができる。
なお、本発明における融点とは、ASTM D3418−82に準じて測定された示差走査熱量(DSC)曲線における主体吸熱ピークのピーク温度を示す。具体的には、ワックスの融点は、示差走査熱量計(メトラートレード社製:DSC822)を用い、測定温度範囲を30〜200℃、昇温速度を5℃/minとし、常温常湿環境下における2回目の昇温過程によって温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線を得、得られたDSC曲線における主体吸熱ピークのピーク温度である。
<その他のトナー構成材料>
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤を含有していても良い。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤は、トナーを負荷電性に制御するものとして、スルホン酸基、スルホン酸塩基またはアルコキシスルホニル基を有する重合体または共重合体、サリチル酸誘導体およびその金属錯体、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸や、その金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
また、トナーを正荷電性に制御するものとしては、ニグロシンおよび脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩およびこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。これらを単独であるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明のトナーは、無機微粉体や樹脂粒子がトナー粒子に対して外部添加されていてもよい。無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナまたはそれらの複酸化物や、これらを表面処理したものの微粉体が挙げられ、樹脂粒子としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂の如き樹脂粒子が挙げられる。これらの無機微粉体や樹脂粒子は、流動性助剤やクリーニング助剤の機能を有する外添剤である。
<トナーの物性>
本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)が4.0〜9.0μmであることが好ましく、より好ましくは4.9〜7.5μmである。トナーの重量平均粒径(D4)が上記範囲を満たす場合、帯電安定性が向上し、多数枚の連続現像動作(耐久動作)において、画像カブリや現像スジがより生じにくくなる。また、ハーフトーン部の再現性もより向上する。
本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(以下、重量平均粒径(D4)/個数平均粒径(D1)またはD4/D1とも称する)が1.35以下であることが好ましく、より好ましくは1.30以下である。トナーが、上記関係を満たすことによって、カブリ発生の抑制や転写性が向上すると共に、線幅の太さがより均一となる。
なお、本発明のトナーの重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)は、トナー粒子の製造方法によってその調整方法は異なる。例えば、懸濁重合法の場合は、水系分散媒体調製時に使用する分散剤濃度や反応撹拌速度、または反応撹拌時間等をコントロールすることによって調整することができる。
本発明のトナーは、フロー式粒子像分析装置で測定される該トナーの平均円形度が0.930以上0.995以下であることが好ましく、より好ましくは0.960以上0.990以下であることが、トナーの転写性が大幅に改善される点から好ましい。
<トナーの製造方法>
以下にトナー粒子の製造方法について説明するが、本発明はこれらの製造方法に限定されるものではない。
本発明のトナー粒子を製造するための方法としては、例えば、粉砕法、懸濁重合法、懸濁造粒法、乳化重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、エステル伸張重合法が挙げられる。
<懸濁重合法によるトナー粒子の製造>
懸濁重合法によるトナー粒子の製造について説明する。
懸濁重合法では、着色剤、重合性単量体および重合開始剤、また必要に応じて樹脂、ワックスを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物の粒子を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程と、前記重合性単量体組成物の粒子に含まれる前記重合性単量体を重合させる工程とを経てトナー粒子が製造される。尚、重合開始剤は、必ずしも重合性単量体組成物中に含有させる必要はなく、造粒中、或いは造粒後に添加してもよい。
上記トナーの製造方法における重合性単量体組成物は、前記着色剤を第1の重合性単量体に分散させた分散液(色素分散体)を、第2の重合性単量体と混合して調製されたものであることが好ましい。即ち、着色剤を第1の重合性単量体中に十分に分散させた後で、他のトナー材料と共に第2の重合性単量体と混合することにより、着色剤がより良好な分散状態でトナー粒子中に存在できるものとなる。なお、第1の重合性単量体と第2の重合性単量体は、同一の重合性単量体であっても異なる重合性単量体であってもよい。
重合性単量体としては、例えば、以下の化合物を例示できる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリロニトリル、アクリル酸アミドの如きアクリル酸系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリロニトリル、メタクリル酸アミドの如きメタクリル酸系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、シクロヘキセンの如きオレフィン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン化合物を挙げることができる。これらは使用用途に応じて、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、上記重合性単量体の中でも、スチレン、アクリル酸系単量体、又は、メタクリル酸系単量体であることが好ましく、これらを単独もしくは併用することが好ましい。
また、用いることのできる樹脂としては、具体的には、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレンアクリル系共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体)、ポリエステル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルメチルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独、あるいは2種以上混合して用いることができる。
前記懸濁重合法に用いられる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができる。具体的には、アゾ化合物、有機過酸化物、無機過酸化物、有機金属化合物、光重合開始剤が挙げられる。より具体的には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)の如きアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−へキシルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの如き有機過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き無機過酸化物系重合開始剤、過酸化水素−第1鉄系、BPO−ジメチルアニリン系、セリウム(IV)塩−アルコール系等のレドックス開始剤が挙げられる。光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインメチルケタールが挙げられる。これらの方法は、単独または2つ以上組み合わせて使用することができる。
前記重合開始剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲である場合が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部の範囲である場合である。前記重合性開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減温度を参考に、単独または混合して使用される。
前記懸濁重合法で用いられる水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、公知の無機系および有機系の分散安定化剤を用いることができる。無機系の分散安定化剤としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。有機系の分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。また、ノニオン性、アニオン性、カチオン性の界面活性剤の利用も可能である。具体的には、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが挙げられる。
前記分散安定化剤のうち、本発明においては、酸に対して可溶性のある難水溶性無機分散安定化剤を用いることが好ましい。また、本発明においては、難水溶性無機分散安定化剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散安定化剤が重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部の範囲となるような割合で使用することが該重合性単量体組成物の水系媒体中での液滴安定性の点で好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300〜3000質量部の範囲の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
<懸濁造粒法によるトナー粒子の製造>
懸濁造粒法によるトナー粒子の製造について説明する。
本発明のトナーに含有されるトナー粒子は、懸濁造粒法により製造された粒子であっても良い。懸濁造粒法においては、加熱工程を有さないため、低融点ワックスを用いた場合に起こる樹脂とワックスの相溶化を抑制し、相溶化に起因するトナーのガラス転移温度の低下を抑制することができる。
また、懸濁造粒法は、結着樹脂となるトナー材料の選択肢が広く、一般的に定着性に有利とされるポリエステル樹脂を主成分にすることが容易である。そのため、懸濁重合法を適用しにくい樹脂組成のトナーを製造する場合に有利な製造方法である。
例えば下記のようにして懸濁造粒法によってトナー粒子を製造することができる。
まず、着色剤、結着樹脂及びワックスを、溶剤中で混合して溶剤組成物(色素分散体)を調製する。次に、該溶剤組成物を液体媒体中に分散して溶剤組成物の粒子を造粒してトナー粒子懸濁液を得る。そして、得られた懸濁液を加熱したり、反応容器内を減圧したりして溶剤を除去することでトナー粒子を得ることができる。
前記溶剤組成物は、着色剤を第1の溶剤に分散させて得られた分散液を、さらに他のトナー材料と共に第2の溶剤と混合して調製されたものであることが、好ましい。これによって、顔料がより良好な分散状態でトナー粒子中に存在できるものとなる。
前記懸濁造粒法に用いることができる溶剤としては、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素の如き含ハロゲン炭化水素類、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコールの如きアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの如き多価アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブの如きセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類、ベンジルアルコールエチルエーテル、ベンジルアルコールイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランの如きエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類が挙げられる。これらを単独または2種類以上混合して用いることができる。これらのうち、前記トナー粒子懸濁液中の溶剤を容易に除去するため、沸点が低く、且つ前記結着樹脂を十分に溶解できる溶剤を用いることが好ましい。
前記溶剤の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、50〜5000質量部の範囲である場合が好ましく、120〜1000質量部の範囲である場合がより好ましい。
前記懸濁造粒法で用いられる水系媒体は、分散安定化剤を含有させることが好ましい。該分散安定化剤としては、懸濁重合法で用いられるものを同じく用いることができる。前記分散安定剤の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲である場合が、該溶剤組成物の水系媒体中での液滴安定性の点で好ましい。
<粉砕法によるトナー粒子の製造>
粉砕法によるトナー粒子の製造について説明する。
粉砕法によってトナー粒子を製造する場合には、着色剤及び結着樹脂を含有する着色樹脂粉体に必要に応じてワックス、荷電制御剤、その他の添加剤が用いられる。
粉砕法トナーは、混合機、熱混練機、分級機の如き公知の製造装置を用いて製造することができる。
まず、結着樹脂、着色剤、ワックス及び荷電制御剤、必要に応じてその他の材料をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合する。次に、ロール、ニーダー又はエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融させる。さらに、捏和及び混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、ワックスを分散させる。冷却固化の後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
結着樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
2種以上の樹脂を混合して用いる場合、トナーの粘弾性特性を制御するために、分子量の異なる樹脂を混合することが好ましい。
<乳化凝集法によるトナー粒子の製造>
次に、乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法について説明する。
まず、ワックス分散液、樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、その他必要なトナー成分の分散液を用意する。それぞれの分散液には、分散質と水系媒体とが含まれており、水系媒体は、水を主要成分としている媒体を意味する。水系媒体の具体例としては、水そのもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。
各分散液の混合液に含有される粒子を凝集し凝集体粒子を形成する工程(凝集工程)、並びに、該凝集体粒子を加熱し融合する工程(融合工程)、洗浄工程、乾燥工程を経て、トナー粒子を得る。
各粒子の分散液には、界面活性剤等の分散剤を添加することが出来る。着色剤粒子は公知の方法で分散されるが、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターの如きメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機が好ましく用いられる。
界面活性剤としては、水溶性高分子、無機化合物、及び、イオン性または非イオン性の界面活性剤が挙げられる。特に、分散性の問題から分散性が高いイオン性が好ましく、特に、アニオン性界面活性剤が好ましく使われる。
また、洗浄性と界面活性能の観点から、界面活性剤の分子量は、100〜10,000であることが好ましく、より好ましくは200〜5,000である。
前記界面活性剤の具体例としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムの如き水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムの如きアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイドの如き両性イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンの如きノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムの如き無機化合物が挙げられる。
なお、これらは1種単独で用いても良く、また、必要に応じて2種以上を組み合せて用いてもよい。
また、本発明のトナーは液体現像法に用いられる現像剤(以下、液体現像剤と呼ぶ)に用いることも出来る。
<液体現像剤の製造方法>
以下、液体現像剤の製造方法について説明する。
まず、液体現像剤を得るには、電気絶縁性担体液に、一般式(1)で表される色素化合物を含有する着色樹脂粉体(トナー)、必要に応じて、電荷制御剤,ワックス等の助剤を分散または溶解させて製造する。また、先に、濃縮トナーを作り、さらに電気絶縁性担体液で希釈して現像剤を調製するというような、二段法で調製してもよい。
分散機としては、特に限定されるものではないが、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターの如きメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機が好ましく用いられる。
着色樹脂粉体に、更に公知の顔料や染料等の着色剤を単独、または、2種以上を組み合わせて追加して用いることもできる。
ワックス及び着色剤は前記と同様である。
電荷制御剤としては、静電荷現像用液体現像剤に用いられているものであれば、特に制限されることはないが、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オレイン酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、大豆レシチン、アルミニウムオクトエートが挙げられる。
本発明で用いられる電気絶縁性担体液としては、特に制限はないが、電気抵抗10Ω・cm以上であり、誘電率3以下である有機溶剤を使用することが好ましい。
具体的には、ヘキサン、ペンタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンの如き脂肪族炭化水素溶剤、アイソパーH,G,K,L,M(エクソン化学(株)製)、リニアレンダイマーA−20、A−20H(出光興産(株)製)のように沸点が68〜250℃の温度範囲のものが好ましい。これらは、系の粘度が高くならない範囲で単独、または、2種以上併用してもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。得られた反応生成物の同定は、下記に挙げる装置を用いた複数の分析方法によって行った。即ち、使用した分析装置は、H核磁気共鳴分光分析(ECA−400、日本電子(株)製)、MALDI MS(autoflex装置、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いた。尚、MALDI MSにおいて検出イオンはネガティブモードを採用した。
〈合成例1:化合物(1)の製造〉
Figure 2015087764
アミン化合物(1)2gのメタノール(MeOH)40mL溶液を5℃に冷却し、35%の塩酸1.7mLを滴下した。これに亜硝酸ナトリウム0.48gの水9mL溶液を滴下した(ジアゾ化A液)。また別途、ピリドン化合物(1)0.90gのメタノール(MeOH)20mL溶液を5℃に冷却し、これにジアゾ化A液を5℃以下の温度に保持されるようにゆっくりと滴下し、更に0〜5℃で3時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、pHを6に中和した後、クロロホルムで抽出した。得られた粘体をカラムクロマトグラフィーにより精製(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル)し、1.73gの化合物(1)を得た。
[化合物(1)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.90(2H,s),7.83(2H,d),7.46(2H,t),7.29−7.22(4H,m),4.35−4.31(4H,m),3.24−3.20(4H,m),2.60(6H,s),1.83−1.80(8H,m),1.66−1.32(18H,m),1.28−0.83(28H,m),0.79−0.69(5H,m),0.66−0.60(5H,m).
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1067.363(M−2H)2−
〈合成例2:化合物(31)の製造〉
Figure 2015087764
アミン化合物(31)2gのメタノール(MeOH)40mL溶液を5℃に冷却し、35%の塩酸1.7mLを滴下した。これに亜硝酸ナトリウム0.48gの水9mL溶液を滴下した(ジアゾ化A液)。また別途、ピリドン化合物(31)0.90gのメタノール(MeOH)20mL溶液を5℃に冷却し、これにジアゾ化A液を5℃以下の温度に保持されるようにゆっくりと滴下し、更に0〜5℃で3時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、pHを6に中和した後、クロロホルムで抽出した。得られた粘体をカラムクロマトグラフィーにより精製(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル)し、1.48gの化合物(31)を得た。
[化合物(31)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.90(2H,s),7.53−7.48(6H,m),7.29−7.25(2H,m),4.36(4H,s),3.52−3.32(4H,m),3.19(4H,d),2.61(6H,s),1.86−1.77(2H,m),1.60−1.50(2H,m),1.48−1.29(16H,m),1.28−1.17(6H,m),1.16−1.02(10H,m),1.01−0.88(12H,m),0.86−0.81(6H,m),0.76−0.68(6H,m).
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1069.159(M)
〈合成例3:化合物(32)の製造〉
Figure 2015087764
アミン化合物(32)2gのメタノール40mL溶液を5℃に冷却し、硫酸6.9mL、40%ニトロシル硫酸溶液1.76mLをゆっくりと滴下した(ジアゾ化B液)。また別途、ピリドン化合物(32)0.90gのメタノール20mL溶液を5℃に冷却し、これにジアゾ化B液を5℃以下の温度に保持されるようにゆっくりと滴下し、更に0〜5℃で3時間撹拌した。反応終了後、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を濃縮し、得られた固体をカラムクロマトグラフィーによる精製(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル)し、1.48gの化合物(32)を得た。
[化合物(32)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.90(2H,s),7.53−7.48(8H,m),4.36(4H,s),3.46−3.35(4H,m),3.22−3.18(4H,m),2.63(6H,s),1.86−1.77(2H,m),1.60−1.47(2H,m),1.45−1.00(28H,m),0.98−0.78(18H,m),0.76−0.65(6H,m).
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1069.068(M)
〈合成例4、5:化合物(2)、(10)の製造〉
合成例1において、アミン化合物(1)およびピリドン化合物(1)をそれぞれ対応するアミン化合物およびピリドン化合物に変更した以外は、合成例1と同様な操作で、化合物(2)、(10)を得た。
目的物であることは、上記分析により同定した。
[化合物(10)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.95(2H,s),7.80(2H,s),7.33(2H,d),7.26(2H,d),4.33(4H,s),3.74−3.28(6H,m),3.24−3.12(8H,m),2.56 (6H,s),1.84−0.68(122H,m)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1604.218(M)
〈合成例6〜14:化合物(15)、(21)、(24)、(25)、(27)、(34)、(35)、(36)、(40)の製造〉
合成例3において、アミン化合物(32)およびピリドン化合物(32)をそれぞれ対応するアミン化合物およびピリドン化合物に変更した以外は、合成例3と同様な操作で、化合物(15)、(21)、(24)、(25)、(27)、(34)、(35)、(36)、(40)を得た。
目的物であることは、上記分析により同定した。
[化合物(21)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.80(2H,s),7.82(2H,s),7.59(1H,t),7.30−7.27(4H,m),7.21(2H,d),7.06(1H,s),3.46(6H,d),3.17(8H,t),2.64(6H,s),1.85−0.62(122H,m)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1653.266(M)
[化合物(27)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=15.76(2H,s),8.58(2H,s),8.15(2H,d),7.90(2H,d),4.45(4H,s),4.39−4.25(8H,m),2.63(6H,s),1.79−1.72(4H,m),1.56−1.32(42H,m),0.99−0.89(24H,m)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1159.206(M)
[化合物(34)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.88(2H,s),7.49(4H,s),7.18(2H,s),4.35(4H,s),3.45(8H,dd),3.18(6H,d),2.59(6H,s),1.91−1.70(4H,br),1.62−0.72(122H,m)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1605.323(M)
[化合物(35)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.99(2H,s),7.33−7.27(6H,m),4.30(4H,s),3.04(8H,s),2.51(6H,s),1.76−1.71(3H,br),1.58(9H,s),1.46−0.66(116H,m)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1605.004(M)
[化合物(36)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.76(2H,s),7.70(1H,t),7.45(4H,s),7.36(2H,s),7.18(2H,s),7.15(1H,t),3.47−3.39(8H,m),3.15(6H,d),2.65(6H,s),1.84−1.75(3H,br),1.58−0.73(119H,m)
[化合物(40)についての分析結果]
[1]H−NMR(400MHz、CDCl、室温):δ(ppm)=14.89(2H,s),8.55(2H,s),8.30(4H,s),4.37(4H,d),4.35−4.27(8H,m),2.66(6H,s),1.76(4H,t),1.61−1.31(38H,m),1.02−0.89(24H,m)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1159.219(M)
[トナーの製造]
以下に記載する方法で本発明のトナー及び比較トナーを製造した。
<実施例1>
化合物(1)5質量部とスチレン120質量部の混合物をアトライター(三井鉱山社製)を用いて3時間撹拌し、スチレン中に化合物(1)が分散した色素分散体(1)を得た。
高速撹拌装置T.K.ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を備えた2L用四つ口フラスコ中にイオン交換水710部と0.1mol/Lのリン酸三ナトリウム水溶液450部を添加し、回転数を12000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/Lの塩化カルシウム水溶液68質量部を徐々に添加し微小なリン酸カルシウムを含む水系分散媒体を調製した。
・上記色素分散体(1) 133.2質量部
・スチレン 46.0質量部
・n−ブチルアクリレート 34.0質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物 2.0質量部
(オリエント化学工業株式会社製 ボントロンE−88)
・極性樹脂 10.0質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=10000、Mn=6000)
・エステルワックス 25.0質量部
(DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度=70℃、Mn=704)
・ジビニルベンゼン 0.10質量部
上記処方を60℃に加温し、T.K.ホモミキサーを用いて5000rpmにて均一に溶解・分散した。これに重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、回転数12000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え、液温を60℃で重合を5時間継続させた後、液温を80℃に昇温させ8時間重合を継続させた。重合反応終了後、80℃/減圧下で残存単量体を留去した後、液温を30℃まで冷却し、重合体微粒子分散体(1)を得た。
次に、重合体微粒子分散体(1)を洗浄容器に移し、撹拌しながら、希塩酸を添加してpH1.5に調整し、2時間撹拌させた。濾過器で固液分離を行い、重合体微粒子(1)を得た。重合体微粒子(1)の水への再分散と固液分離とを、リン酸カルシウムを含むリン酸とカルシウムの化合物を十分に除去されるまで、繰り返し行った。その後に、最終的に固液分離した重合体微粒子を、乾燥機で十分に乾燥してトナー粒子(1)を得た。
得られたトナー粒子(1)100質量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子の数平均粒径7nm)1.00質量部、ルチル型酸化チタン微粉体(一次粒子の数平均粒径45nm)0.15質量部、ルチル型酸化チタン微粉体(一次粒子の数平均粒径200nm)0.50質量部をヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)で5分間乾式混合して、本発明のトナー(1)を得た。
<実施例2〜6>
実施例1において、化合物(1)5質量部を用いる代わりに、化合物(10)6質量部、化合物(21)5質量部、化合物(24)7質量部、化合物(31)5質量部、化合物(34)5質量部に各々変更した以外は実施例1と同様に製造して本発明のトナー(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を得た。
<比較例1〜2>
実施例1において、化合物(1)を用いる代わりに、比較化合物(1)、(2)に変更した以外は実施例1と同様に製造して、比較用トナー(比1)、(比2)を得た。
比較化合物(1)、(2)の構造を以下に示す。
Figure 2015087764
Figure 2015087764
<実施例7>
スチレン82.6質量部、n−ブチルアクリレート9.2質量部、アクリル酸1.3質量部、ヘキサンジオールアクリレート0.4質量部、n−ラウリルメルカプタン3.2質量部を混合した。この混合液に、イオン交換水150質量部にネオゲンRK(第一工業製薬社製)1.5質量部を溶かした水溶液を添加して、分散させた。さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、イオン交換水10質量部に過硫酸カリウム0.15質量部を溶かした水溶液を添加した。窒素置換をした後、70℃で6時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5質量%、体積基準のメジアン径が0.2μmの樹脂粒子分散液(7)を得た。
エステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度=70℃、Mn=704)100質量部、ネオゲンRK15質量部をイオン交換水385質量部に混合させ、湿式ジェットミルJN100((株)常光製)を用いて約1時間分散してワックス分散液(7)を得た。ワックス分散液(7)の濃度は20質量%であった。
化合物(1)100質量部、ネオゲンRK15質量部をイオン交換水885部に混合し、湿式ジェットミルJN100((株)常光製)を用いて約1時間分散して着色剤粒子分散液(7)を得た。
着色剤粒子分散液(5)における着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、0.2μmであり、濃度は10質量%であった。
樹脂粒子分散液(7)160質量部、ワックス分散液(7)10質量部、着色剤粒子分散液(7)10質量部、硫酸マグネシウム0.2部をホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、撹拌させながら、65℃まで加温した。65℃で1時間撹拌した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約6.0μmである凝集体粒子が形成されていることが確認された。ネオゲンRK(第一工業製薬社製)2.2質量部加えた後、80℃まで昇温して120分間撹拌して、融合した球形トナー粒子を得た。冷却後、ろ過し、ろ別した固体を720質量部のイオン交換水で、60分間攪拌洗浄した。トナー粒子を含む溶液をろ過し、ろ液の電気伝導度が150μS/cm以下となるまで同様な洗浄を繰り返した。真空乾燥機を用いて乾燥させ、トナー粒子(7)を得た。
上記トナー粒子(7)100質量部に、BET法で測定した比表面積が200m/gである疎水化処理されたシリカ微粉体1.8質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で乾式混合し、トナー(7)を得た。
<実施例8乃至10>
実施例7において、化合物(1)100質量部を用いる代わりに、化合物(2)60質量部、化合物(27)90質量部、化合物(32)80質量部に変更した以外は実施例7と同様に製造してトナー(8)、(9)、(10)を得た。
<比較例3及び4>
実施例7において、化合物(1)を用いる代わりに、比較化合物(1)、(2)に変更した以外は実施例7と同様に製造して、比較トナー(比3)、(比4)を得た。
<実施例11>
結着樹脂(ポリエステル樹脂:Tg=55℃、酸価=20mgKOH/g、水酸基価=16mgKOH/g、ピーク分子量Mp=4500、数平均分子量Mn=2300、重量平均分子量Mw=38000)100質量部、化合物(15)5質量部、1,4−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物0.5質量部、パラフィンワックス(最大吸熱ピーク温度78℃)5質量部を、ヘンシェルミキサー(FM−75J型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−45型、池貝鉄鋼(株)製)にて60kg/hrのFeed量で混練(吐出時の混練物温度は約150℃)した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗砕した後、機械式粉砕機(T−250:ターボ工業(株)製)にて20kg/hrのFeed量で微粉砕した。
更に得られたトナー微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機により分級することで、トナー粒子を得た。
上記トナー粒子100質量部に、BET法で測定した比表面積が200m/gである疎水化処理されたシリカ微粉体1.8質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で乾式混合し、トナー(11)を得た。
<実施例12乃至14>
実施例11において、化合物(15)を化合物(25)、化合物(36)、化合物(40)、に変更した以外は実施例11と同様に製造してトナー(12)、トナー(13)、トナー(14)を得た。
<比較例5及び6>
実施例8において、化合物(15)を比較化合物(1)、(2)に変更した以外は実施例8と同様に製造してトナー(比5)、(比6)を得た。
<実施例15>
実施例1において、化合物(1)5質量部を用いる代わりに、C.I.ピグメントイエロー185(BASF社製、商品名「PALIOTOL Yellow D1155」)4質量部と化合物(1)3質量部を混合して用いた以外は実施例1と同様に製造してトナー(15)を得た。
<実施例16>
実施例1において、化合物(1)5質量部を用いる代わりに、C.I.ピグメントイエロー155(クラリアント社製、商品名「Toner Yellow 3GP」)3質量部と化合物(21)3質量部を混合して用いた以外は実施例1と同様に製造してトナー(16)を得た。
<実施例17>
C.I.ピグメントイエロー180(DIC株式会社製、商品名「SYMULER Fast Yellow BY2000GT」)100質量部、ネオゲンRK15質量部をイオン交換水885質量部に混合させ、湿式ジェットミルJN100((株)常光製)を用いて約1時間分散して着色剤粒子分散液(17)を得た。
着色剤粒子分散液(17)中に分散する着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、0.2μmであった。
実施例7において、着色剤粒子分散液(7)10質量部を用いる代わりに、着色剤粒子分散液(7)3質量部と着色剤粒子分散液(17)3質量部を混合して用いた以外は実施例7と同様に製造してトナー(17)を得た。
上記トナー粒子100質量部に、BET法で測定した比表面積が200m/gである疎水化処理されたシリカ微粉体1.8質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で乾式混合し、イエロートナー(17)を得た。
<実施例18>
結着樹脂(ポリエステル樹脂:Tg=55℃、酸価20mgKOH/g、水酸基価16mgKOH/g、Mp=4500、Mn=2300、Mw=38000)100質量部、C.I.ピグメントイエロー155(クラリアント社製、商品名「Toner Yellow 3GP」)3質量部、化合物(15)3質量部、1,4−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物0.5質量部、パラフィンワックス(最大吸熱ピーク温度78℃)5質量部を、ヘンシェルミキサー(FM−75J型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−45型、池貝鉄鋼(株)製)で60kg/hrのFeed量で混練(吐出時の混練物温度は約150℃)した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗砕した後、機械式粉砕機(T−250:ターボ工業(株)製)にて20kg/hrのFeed量で微粉砕した。
更に得られたトナー微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機により分級することで、トナー粒子を得た。
上記トナー粒子100質量部に、BET法で測定した比表面積が200m/gである疎水化処理されたシリカ微粉体1.8質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で乾式混合し、トナー(18)を得た。
懸濁重合法で製造したトナーの粒度分布を測定することによって、色素化合物が重合性単量体中に分散した分散体の特性を確認した。分散体の粘度が上昇して、造粒性が低下したり、色素化合物の分散が不均一になったりした場合には、粒度分布がブロードになる傾向にある。
トナーの粒度分布の指標として、個数平均粒径(D1)と重量平均粒径(D4)との比である、D4/D1を用いた。
重量平均粒径、個数平均粒径は、以下のように測定した。
トナーの個数平均粒径(D1)及び重量平均粒径(D4)はコールター法による粒度分布解析にて測定した。測定装置として、コールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター株式会社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定した。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%塩化ナトリウム水溶液を調製した。例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン株式会社製)が使用できる。具体的な測定方法としては、前記電解水溶液100〜150mL中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5mL加え、更に測定試料(トナー)を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行う。得られた分散処理液を、アパチャーとして100μmアパチャーを装着した前記測定装置により、2.00μm以上のトナーの体積、個数を測定してトナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナーの個数分布から求めた個数平均粒径(D1)と、トナーの体積分布から求めたトナーの重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)及びD4/D1を求めた。
上記チャンネルとしては、2.00〜2.52μm、2.52〜3.17μm、3.17〜4.00μm、4.00〜5.04μm、5.04〜6.35μm、6.35〜8.00μm、8.00〜10.08μm、10.08〜12.70μm、12.70〜16.00μm、16.00〜20.20μm、20.20〜25.40μm、25.40〜32.00μm、32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
評価は以下の基準に沿って行い、D4/D1が1.35未満であれば、良好な粒度分布であると判断した。
A:D4/D1が1.30未満
B:D4/D1が1.30以上、1.35未満
C:D4/D1が1.35以上
実施例の評価結果を表1に示す。表1中、PY185、PY180、PY155は、それぞれC.I.ピグメントイエロー 185、C.I.ピグメントイエロー 180、C.I.ピグメントイエロー 155を示す。
Figure 2015087764
表1より明らかなように、懸濁重合によるトナーの製造であっても、良好な粒度分布を有するトナーが得られることが分かる。
<画像サンプル評価>
次に上述のトナー(1)〜(12)、及び、(比1)〜(比6)を用いて、画像サンプルを出力し、後述する画像特性を比較評価した。尚、画像特性の比較に際し画像形成装置としてLBP−5300(キヤノン社製)の改造機を使用した通紙耐久を行った。改造内容としてはプロセスカートリッジ(以下CRGとする)内の現像ブレードを厚み8μmのSUSブレードに交換した。その上でトナー担持体である現像ローラーに印加する現像バイアスに対して−200Vのブレードバイアスを印加できるようにした。
評価に際しては各イエロートナーを個別に充填したCRGを評価項目毎に用意した。そして各々のトナーを充填したCRGごとに画像形成装置にセッティングし、下記に記載した評価項目毎に評価した。評価結果は表2に示す。
(1)色度(L、a、b)の測定
上述のイエロートナー(1)〜(12)、及び、(比1)〜(比6)を用いて作成した各画像サンプルに関して、反射濃度計SpectroLino(Gretag Macbeth社製)にて、L表色系における色度(L、a、b)を測定した。
(2)トナーの耐光性評価
色度測定の際に得られた画像サンプルをキセノン試験装置(AtlasCi4000、スガ試験機(株)製)に投入し、(照度:340nmで0.39W/m、温度:40℃、相対湿度:60%)の条件下、80時間曝露した。印字物の反射濃度を試験前後で測定した。初期の色度をそれぞれa 、b 、L とし、曝露後の色度をそれぞれa、b、Lとしたとき、色差ΔEを以下のように定義し、算出した。
Figure 2015087764
評価基準は以下の通りである。
A:ΔE<5.0(耐光性が非常に良い)
B:5.0≦ΔE<10.0(耐光性が良い)
C:10.0≦ΔE(耐光性に劣る)
(3)彩度評価
彩度評価を以下のように行った。
同じ単位面積当たりの着色剤量における彩度Cが大きい程、彩度の伸びが良好であるといえる。画像サンプル作製時の彩度Cの初期値を用いて評価した。尚、Cは、下記式で算出される。
Figure 2015087764
評価基準は以下の通りである。
A:Cが112以上(彩度の伸びが非常に良い)
B:Cが108以上112未満(彩度の伸びが良い)
C:Cが108未満(彩度の伸びが悪い)
Figure 2015087764
表2より明らかなように、本発明で得られるトナーは対応する比較トナーと比較していずれの製造法によっても彩度と耐光性が共に優れている事が分かる。また、実施例15乃至18の結果で示されるように、顔料と組み合わせても問題なく使用できる。
本発明によれば、彩度と耐光性が共に優れたトナーを提供することができる。

Claims (8)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有するトナーであって、該着色剤が下記一般式(1)で表される色素化合物であることを特徴とするトナー。
    Figure 2015087764

    (一般式(1)中、
    、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアミノ基を表し、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基またはカルボン酸アミド基を表し、
    m、nは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、
    、A、mが1〜4の整数である場合におけるB、nが1〜4の整数である場合におけるBは、それぞれ独立して、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、カルボン酸アミド基またはスルホン酸アミド基を表し、
    Lは、炭素数1〜12の直鎖アルキレン基、炭素数1〜12の分岐アルキレン基、またはフェニレン基を表す。)
  2. 前記一般式(1)中、A、A、mが1〜4である場合におけるB、nが1〜4である場合におけるBが、それぞれ独立して、スルホン酸エステル基、カルボン酸アミド基またはスルホン酸アミド基であり、Lがフェニレン基であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記一般式(1)中、A、A、mが1〜4である場合におけるB、nが1〜4である場合におけるBは、それぞれ独立して、カルボン酸アミド基を表し、Lが、炭素数1以上12以下の直鎖アルキレン又は炭素数1以上12以下の分岐アルキレンであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  4. 前記一般式(1)中、A及びAの少なくとも一方がカルボン酸ジアルキルアミド基であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトナー。
  5. 前記一般式(1)中、A及びAの少なくとも一方がカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)アミド基であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のトナー。
  6. 前記一般式(1)中、Lが、エチレン基であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のトナー。
  7. 前記一般式(1)において、Lを挟んで両側に存在する部分構造が同一の構造であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のトナー。
  8. 前記トナーが、懸濁重合法又は乳化凝集法によって製造されたトナーであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のトナー。
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