JP2018131567A - 色素化合物及びトナー - Google Patents

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暁子 北尾
Akiko Kitao
暁子 北尾
東 隆司
Takashi Azuma
隆司 東
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Abstract

【課題】発色性と耐光性のいずれも良好な色素化合物及びトナーの提供。【解決手段】式(1−A)、(1−B)、並びに中央に3配位のBが位置する化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物及びキノン化合物を含有する色素化合物。[R1〜R8はH、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン又はアミノ基;MはMg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)2、TiO、AlCl又はAlOH]【選択図】なし

Description

本発明は、色素化合物及びトナーに関する。
近年、カラー画像の普及が盛んで高画質化への要求が高まっている。デジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、色画像原稿をブルー、グリーン、レッドの各色フィルターで色分解した後、オリジナル画像に対応した潜像をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤を用いて現像する。そのため、各色の現像剤中の着色剤が持つ着色力が画質に大きな影響を与えることになる。
高画質化のためには、印刷業界における色再現規格であるジャパンカラーを再現することやRGBワークフローに用いられるAdobeRGBに近づけることが重要である。
AdobeRGBは、色空間の規格としてアドビシステムズ社が提唱するものであり、従来の規格である国際電気標準会議(IEC)が定めたsRGBと比較して、色再現範囲が広く、きめ細やかな色彩表現が可能である。しかし、色材の発色性が不十分であると、AdobeRGBのデータをそのまま画像として出力することができず、画質が低下するという問題がある。特に、AdobeRGBはsRGBと比較してシアン色から緑色にかけての色再現範囲が著しく広いという特徴があり、シアンインクの発色性が問題となる。
しかし、現在使用されているシアン着色剤の銅フタロシアニン化合物では上記色空間の確保は困難で、新規な色材の開発が必須であると言われている(特許文献1参照)。
上記問題点の改善のため、着色剤として中心金属原子に銅以外の金属を配位させたフタロシアニン化合物が開示されており、これらの着色剤を使用した場合、明度が高く、色調が良好になることが知られている(非特許文献1参照)。
また、マゼンタトナー用着色剤として、キナクリドン顔料、チオインジゴ顔料、ペリレン顔料およびジケトピロロピロール顔料や、キサンテン染料、モノアゾ染顔料等が知られているが、発色性を高めるために染料を用いる例が報告されている。
例えば、サブフタロシアニン化合物は、非常に発色性、着色力が高い染料として知られている(特許文献2参照)。
特開2009−122496号公報 特開2015−44990号公報
白井汪芳、小林長夫 編・著「フタロシアニン―化学と機能」―170〜181 株式会社アイピーシー、1997年
しかし、フタロシアニン化合物も、サブフタロシアニン化合物も一般的に耐光性が低い。
本発明は上記した課題を解決することを目的とする。即ち、発色性と耐光性のいずれも良好な色素化合物及びトナーを提供することを目的とする。
そこで本発明の一態様によれば、
下記式(1−A)で示される構造を有する化合物、下記式(1−B)で示される構造を有する化合物及び下記式(1−C)で示される構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物、及び
下記式(2)で示される構造を有するキノン化合物、を含有する色素化合物が提供される。
Figure 2018131567
[式(1−A)及び(1−B)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン基、又はアミノ基を表し、MはMg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)、TiO、AlCl、又はAlOHを表す。]
Figure 2018131567
[式(1−C)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、またはアミノ基を表し、Xはハロゲン、ヒドロキシ基を表す。]
Figure 2018131567
[式(2)中、R〜R12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、又はシアノ基を表す。RとR10又はR11とR12は互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜R12は環構造を形成するために必要な原子団を表す。]
また、本発明の他の態様によれば、
下記式(3−A)で示される構造を有する化合物、下記式(3−B)で示される構造を有する化合物、下記式(3−C)で示される構造を有する化合物、及び下記式(5)で示される構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物、を含有する色素化合物が提供される。
Figure 2018131567
[式(3−A),(3−B)中、A〜Aは、下記式(4)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表し、nは1〜4の整数を表し、Mは、Mg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)、TiO、AlCl、AlOHを表す。]
Figure 2018131567
[式(3−C)中、A〜Aは、下記式(4)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表し、nは1〜4の整数を表し、Xは、ハロゲン、ヒドロキシ基を表す。]
Figure 2018131567
[式(4)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、又はシアノ基を表す。RとRまたはRとRは互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜Rは環構造を形成するために必要な原子団を表す。]
Figure 2018131567
[式(5)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アミノ基を表し、Yは、下記式(6)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表す。]
Figure 2018131567
[式(6)中、R〜R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、またはシアノ基を表す。RとRまたはRとR10は互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜R10は環構造を形成するのに必要な原子団を表す。]
本発明によれば、発色性及び耐光性に優れる色素化合物及びトナーを提供することができる。
以下に、発明を実施するための形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、
(i)式(1−A)又は式(1−B)で示される構造を有する化合物と式(2)で示される構造を有するキノン化合物との混合物、
(ii)式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有する化合物、
(iii)式(1−C)で示される構造を有する化合物と式(2)で示される構造を有するキノン化合物との混合物、又は
(iv)式(3−C)又は式(5)で示される構造を有する化合物、
を含有することで発色性と耐光性に優れた色素化合物及びトナーを提供することを見出し本発明に至った。
上記(i)は、フタロシアニン骨格を有する化合物とキノン化合物との混合物を用いる場合であって、上記(ii)は、フタロシアニン骨格を有する化合物とキノン化合物とが結合した化合物を用いる場合である。即ち、(i)及び(ii)において重要な点は、フタロシアニンユニットとキノンユニットとの両方が含有されていることである。以下、上記の(i)〜(ii)の態様について同時に議論する場合、「フタロシアニン−キノン着色剤」と称する。
上記(iii)は、サブフタロシアニン骨格を有する化合物とキノン化合物との混合物を用いる場合であって、上記(iv)は、サブフタロシアニン骨格を有する化合物とキノン化合物とが結合した化合物を用いる場合である。即ち、(iii)及び(iv)において重要な点は、サブフタロシアニンユニットとキノンユニットとの両方が含有されていることである。以下、上記の(iii)〜(iv)の態様について同時に議論する場合、「サブフタロシアニン−キノン着色剤」と称する。
まず上記(i)及び(ii)について説明する。その後、上記(iii)及び(iv)については説明する。
Figure 2018131567
[式(1−A)および(1−B)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、又はアミノ基を表し、MはMg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)、TiO、AlCl、又はAlOHを表す。]
Figure 2018131567
[式(2)中、R〜R12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、又はシアノ基を表す。RとR10又はR11とR12は互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜R12は環構造を形成するために必要な原子団を表す。]
Figure 2018131567
[式(3−A),(3−B)中、A〜Aは、下記式(4)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表し、nは1〜4の整数を表し、Mは、Mg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)、TiO、AlCl、AlOHを表す。]
Figure 2018131567
[式(4)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、又はシアノ基を表す。RとRまたはRとRは互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜Rは環構造を形成するために必要な原子団を表す。]
まず、式(1−A)又は式(1−B)で示される構造を有する色素化合物について説明する。
式(1−A)又は式(1−B)中、R〜Rにおけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下のものが挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、ノナデシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、2−エチルプロピル、2−エチルヘキシル基、シクロヘキセニルエチル基等の飽和、又は不飽和の直鎖状、分岐状、または、環状の炭素数1〜20個の1級〜3級のアルキル基。
式(1−A)又は式(1−B)中、R〜Rにおけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o-キシリル基等が挙げられる。
式(1−A)又は式(1−B)中、R〜Rにおけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。
式(1−A)又は式(1−B)中、R〜Rにおけるアルキルチオ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下のものが挙げられる。エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、シクロヘキシルチオ基。
式(1−A)又は式(1−B)中、R〜Rにおけるハロゲン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、クロル基、フルオロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。
式(1−A)又は式(1−B)中、R〜Rにおけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下のものが挙げられる。無置換アミノ基、N−ブチルアミノ、N−ベンジルアミノ基のようなモノ置換アミノ基、N,N−ジエチルアミノ基のようなジ置換アミノ基。
式(1−A)中、中心金属MはMg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)、TiO、AlCl、又はAlOHである。
式(2)中、R〜R12におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下のものが挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基等の飽和、又は不飽和の直鎖状、分岐状、または、環状の炭素数1〜20個の1級〜3級のアルキル基。
式(2)中、R〜R12におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
式(2)中、R〜R12におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
式(2)中、R〜R12におけるハロゲン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、クロル基、ブロモ基等が挙げられる。
式(2)中、R〜R12におけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、フェニルアミノ基のようなモノ置換アミノ基、N,N−ジエチルアミノ基のようなジ置換アミノ基等が挙げられる。
式(2)中、R〜R10またはR11〜R12の何れかが互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えばナフタレン、アントラセンのような多環芳香族炭化水素や、チオフェンのような複素環等が挙げられる。以下に具体例を示す。
Figure 2018131567
式(2)で示される構造を有するキノン化合物の使用量は、式(1−A)又は式(1−B)で示される構造を有する化合物1質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは1〜5質量部である。かかる範囲内であれば発色性が特に優れる。
次に、式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有する化合物について説明する。
式(3−A)中、中心金属MはMg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)、TiO、AlCl、AlOHである。
〜Aは式(4)に示すキノン骨格を有する構造であり、nは1〜4の整数を表し、A〜Aは同一でも異なっていてもよい。
式(4)は具体的には次に示すような構造を意味する。「*」はエーテル基との結合部位を表す。
Figure 2018131567
前記式(1−A)、式(1−B)、式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有する色素化合物は、例えば、以下の方法等を参考にして合成することが可能である。
Meller,A;Ossko,A.Monatsh.Chem.1972,103,150や、Journal of Medicinal Chemistry 1997,40,3897−3904等に記載されている方法。
前記式(1−A)、式(1−B)、式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有する色素化合物の製造方法について、一態様を示すが、製造方法がこれに限定されるわけではない。
Figure 2018131567
式(1−A)、式(1−B)、式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有する化合物に関して詳細に言及する。
フタロニトリル誘導体は、Journal of Organic Chemistry 1996,61,891−8597J等に記載されている公知の方法で1,2−ジシアノベンゼン誘導体から容易に合成することができる。
式(1−A)、式(1−B)、式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有する化合物は、フタロニトリル誘導体及びハロゲン化金属をキノリンまたは、クロロナフタレン等の溶媒中、200℃以上で反応させることで容易に合成することができる。
反応終了後、得られた固体を濾過して、残渣をn−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の非極性溶剤で洗浄した後、更に、アルコールのような極性溶媒、次いでイオン交換水等で洗浄を行う。このようにして式(1−A)、式(1−B)、式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有する色素化合物を得ることができる。
式(1−A)又は(1−B)で示される構造を有する化合物は、使用する用途の目的に応じて、色調等を調整するために、単独、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、公知の顔料や染料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
式(1−A)又は(1−B)で示される構造を有するフタロシアニン色素の好ましい具体例として、色素化合物(1)〜(21)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2018131567
Figure 2018131567
式(2)で示される構造を有する化合物の好ましい具体例として、色素化合物(22)〜(42)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2018131567
式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有する化合物は、使用する用途の目的に応じて、色調等を調整するために、単独、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、公知の顔料や染料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
式(3−A)又は式(3−B)で示される構造を有するフタロシアニン色素の好ましい具体例として、色素化合物(43)〜(50)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2018131567
式(1−A)、式(1−B)、式(2)、式(3−A)で示される構造を有する色素化合物は、各トナーの製造手段に応じて、色調等を調整するために、これらの色素化合物を単独で、あるいは公知の顔料又は染料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明の「フタロシアニン−キノン着色剤」において耐光性が向上する理由は、以下のように考えられる。一般的にフタロシアニンの耐光性が低下する原因は、励起状態の寿命が長いためであるとされている。励起状態は基底状態に比べ自由エネルギーが高く構造的に不安定であることが予想されることと、活性酸素を発生しやすくなることが原因と考えられる。一方、本発明の「フタロシアニン−キノン着色剤」は、励起状態の寿命を短くすることができ、その結果、耐光性が向上したと考えられる。
次に、上記(iii)及び(iv)(「サブフタロシアニン−キノン着色剤」)について説明する。
Figure 2018131567
[式(1−C)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、またはアミノ基を表し、Xはハロゲン、ヒドロキシ基を表す。]
Figure 2018131567
[式(2)中、R〜R12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、又はシアノ基を表す。RとR10又はR11とR12は互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜R12は環構造を形成するために必要な原子団を表す。]
Figure 2018131567
[式(3−C)中、A〜Aは、下記式(4)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表し、nは1〜4の整数を表し、Xは、ハロゲン、ヒドロキシ基を表す。]
Figure 2018131567
[式(4)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、又はシアノ基を表す。RとRまたはRとRは互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜Rは環構造を形成するために必要な原子団を表す。]
Figure 2018131567
[式(5)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アミノ基を表し、Yは、下記式(6)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表す。]
Figure 2018131567
[式(6)中、R〜R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、またはシアノ基を表す。RとRまたはRとR10は互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜R10は環構造を形成するのに必要な原子団を表す。]
式(1−C)で示される構造を有する色素化合物について説明する。
式(1−C)中のR〜Rにおけるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン基、アミノ基は、式(1−A)中のR〜Rにおけるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン基、アミノ基と同様である。
式(1−C)中、Xにおけるハロゲン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、クロル基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。
式(2)については既に説明したとおりである。
式(2)で示される構造を有するキノン化合物の使用量は、式(1−C)で示される構造を有する化合物1質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは1〜5質量部である。かかる範囲内であれば発色性が特に優れる。
式(3−C)で示される構造を有する化合物について説明する。
式(3−C)中、Xにおけるハロゲン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、クロル基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。
式(3−C)中のA〜Aは、式(3−A)中のA〜Aと同様である。
式(4)については既に説明したとおりである。
式(5)で示される構造を有する化合物及び式(6)で示される構造を有する化合物について説明する。
式(5)中のR〜Rにおけるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン基、アミノ基は、式(1−A)中のR〜Rにおけるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン基、アミノ基と同様である。
式(6)は具体的には次に示すような構造を意味する。「*」はエーテル基との結合部位を表す。
Figure 2018131567
式(1−C)、(3−C)および(5)で示される構造を有する色素化合物は、例えば、以下の方法等を参考にして合成することが可能である。
Meller,A;Ossko,A.Monatsh.Chem.1972,103,150や、Journal of Medicinal Chemistry 1997,40,3897−3904等に記載されている方法。
式(1−C)、(3−C)および(5)で示される構造を有する色素化合物の製造方法について、一態様を示すが、製造方法がこれに限定されるわけではない。
Figure 2018131567
Figure 2018131567
Figure 2018131567
式(1−C)又は(3−C)で示される構造を有する色素化合物について詳細に説明する。
フタロニトリル誘導体は、Journal of Organic Chemistry 1996,61,891−8597J等に記載されている公知の方法で1,2−ジシアノベンゼン誘導体から容易に合成することができる。
式(1−C)又は(3−C)で示される構造を有する色素化合物は、フタロニトリル誘導体及びハロゲン化金属をキノリンまたは、クロロナフタレン等の溶媒中、200℃以上で反応させることで容易に合成することができる。
反応終了後、得られた固体を濾過して、残渣をn−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の非極性溶剤で洗浄した。その後、更に、アルコールのような極性溶媒、次いでイオン交換水等で洗浄を行い、式(1−C)又は(3−C)で示される構造を有する色素化合物を得ることができる。
式(5)で示される構造を有する化合物について詳細に説明する。
式(5)で示される構造を有する色素化合物は、ブロモサブフタロシアニンとキノン系アルコールを反応させる軸導入反応で得ることができる。軸導入反応は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ピリジン、キノリン等が挙げられる。また、2種以上の溶媒を混合して用いることもでき、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記反応溶媒の使用量は、ブロモサブフタロシアニンに対して0.1〜1,000倍重量の範囲で用いられ、好ましくは1.0〜150倍重量で用いられる。
軸導入反応の反応温度は、−80℃〜250℃の範囲で行なわれ、好ましくは−20℃〜150℃である。通常反応は10時間以内に完結することができる。
軸導入反応では、必要に応じて塩基の添加を行うと反応が速やかに進行する。
軸導入反応で用いる塩基としては、具体的には、以下のものが用いられるカリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド;ピペリジン、ピリジン、2−メチルピリジン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルエチルアミン、酢酸カリウム、1、8−ジアザビシクロ[5、4、0]ウンデカ−7−エン(以下、DBUと略記する)等の有機塩基;n−ブチルリチウム、tert−マグネシウムクロリド等の有機塩基;水素化ホウ素ナトリウム、金属ナトリウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基。好ましくは、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ピペリジン等であり、より好ましくは、安価で取り扱いの容易な水素化ナトリウム、ピペリジン等である。
軸導入反応で用いる塩基の使用量は環状アルコールAに対して0.1〜1.5当量、好ましくは0.2〜1.3当量、より好ましくは0.3〜1.1当量である。
反応終了後、得られた固体を濾過して、残渣をn−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の非極性溶剤で洗浄した後、更に、アルコールのような極性溶媒、次いでイオン交換水等で洗浄を行い、式(5)で表される色素化合物を得ることができる。
式(1−C)で示される構造を有する化合物は、使用する用途の目的に応じて、色調等を調整するために、単独、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、公知の顔料や染料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
式(1−C)で示される構造を有するサブフタロシアニン色素の好ましい具体例として、色素化合物(51)〜(71)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2018131567
Figure 2018131567
式(2)で示される構造を有する化合物の好ましい具体例は、色素化合物(22)〜(42)として前記したとおりであるが、前記の例に限定されるものではない。
式(3−C)で示される構造を有する化合物は、使用する用途の目的に応じて、色調等を調整するために、単独、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、公知の顔料や染料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
式(3−C)で示される構造を有するサブフタロシアニン色素の好ましい具体例として、色素化合物(72)〜(78)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2018131567
式(5)で示される構造を有する化合物は、使用する用途の目的に応じて、色調等を調整するために、単独、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、公知の顔料や染料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
式(5)で示される構造を有するサブフタロシアニン色素の好ましい具体例として、色素化合物(79)〜(88)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2018131567
式(1−C)、式(2)、式(3−C)、(5)で示される構造を有する色素化合物は、各トナーの製造手段に応じて、色調等を調整するために、これらの色素化合物を単独で、あるいは公知の顔料又は染料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明の「サブフタロシアニン−キノン着色剤」において耐光性が向上する理由は、以下のように考えられる。一般的にサブフタロシアニンの耐光性が低下する原因は、分子構造が歪み非平面構造であることから、本質的に構造安定性を欠き、不安定な励起状態の寿命が長いと考えている。一方、本発明においては、キノンとサブフタロシアニンとを併用することで、励起状態の寿命を短くすることができ、その結果、耐光性が向上したと考えられる。
<トナーの構成材料について>
次に本発明のトナーの構成について説明する。本発明のトナーは、結着樹脂、及び前記色素化合物を含有するトナー粒子を含むトナーである。トナーを製造する際に、色素分散体を用いることにより、分散媒体中で分散粘度の増加を抑制できるため、トナー製造工程上のハンドリングが容易になるとともに、着色剤の分散性が良好に保たれる。このため、高着色力を有するシアントナー、マゼンタトナーが提供可能である。
トナー粒子には、ワックスを含有させてもよい。ワックスとしては、例えば、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックスおよびその誘導体;モンタンワックスおよびその誘導体;フィッシャー・トロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体;ポリエチレン、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスおよびその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックスおよびそれらの誘導体。これらの誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。さらには、高級脂肪族アルコール等のアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらのワックスは、単独、または2種以上併せて用いることができる。
ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、2.5〜15質量部含有することが好ましい。より好ましくは3〜10質量部の範囲である。2.5〜15質量部の範囲であると、オイルレス定着が良好となり、ワックスがトナー粒子表面に過剰に存在することなく、所望の帯電特性を得られるために好ましい。また、ワックスのトナー中における含有量は、トナー粒子100質量部中に対して、1〜25質量部が好ましく、3〜20質量部がさらに好ましい。この範囲であると、離型性と現像性とを両立させることが可能である。
ワックスは、融点が50℃以上200℃以下のものが好ましく、55℃以上150℃以下のものがさらに好ましい。融点とは、ASTM D3418−82に準じて測定された示差走査熱量(DSC)曲線における主体吸熱ピーク温度を示す。具体的には、ワックスの融点は、示差走査熱量計(メトラートレード社製:DSC822)を用い、測定温度範囲を30〜200℃、昇温速度を5℃/分とし、常温常湿環境下における2回目の昇温過程によって温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線を得る。そして得られたDSC曲線における主体吸熱ピーク温度がワックスの融点である。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体。サリチル酸誘導体およびその金属錯体、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸や、その金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシンおよび脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩およびこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類、樹脂系帯電制御剤。本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独であるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明のトナーは、流動性を向上させる外添剤として無機微粉体が外部添加されていてもよい。無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナまたはそれらの複酸化物や、これらを表面処理したもの等の微粉体が使用できる。
本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)が4.0〜9.0μmであり、重量平均粒径と個数平均粒径(D1)の比(以下、D4/D1)が1.35以下であることが好ましい。さらには、重量平均粒径D4が4.9〜7.5μmであり、D4/D1が1.30以下であることがより好ましい。
重量平均粒径が4.0μm以上であると、帯電安定性が良好となり、多数枚の連続現像動作(耐久動作)において、画像カブリや現像スジなどの画像劣化が抑制される。また、重量平均粒径が8.0μm以下であると、ハーフトーン部の再現性が良好となる。D4/D1が1.35以下であると、カブリや転写性が良好となるとともに、細線などの線幅の太さばらつきが少なくなる(以下、鮮鋭性とも表記する)。
本発明のトナーは、フロー式粒子像分析装置で測定される該トナーの平均円形度が0.930〜0.995であることが好ましく、0.960〜0.990であることが、トナーの転写性が大幅に改善される点からより好ましい。
結着樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
具体的には、以下のものが挙げられる。スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれら非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体。これらの樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ポリエステル樹脂は、酸成分(ジカルボン酸)とアルコール成分(ジオール)とから合成されるものである。ポリエステル樹脂は、酸成分に由来する構成部位と、アルコール成分に由来する構成部位を有する。
酸成分は、例えば、脂肪族ジカルボン酸、2重結合を持つジカルボン酸、スルホン酸基を持つジカルボン酸などが挙げられる。具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、それらの低級アルキルエステルや酸無水物等が挙げられる。特に、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、さらに、脂肪族ジカルボン酸における脂肪族部位が飽和カルボン酸であることが好ましい。
アルコール成分としては、例えば、脂肪族ジオールが好ましい。具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。
本発明において、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナー分子の分子量を制御するために、結着樹脂の合成時に架橋剤を用いることも可能である。
架橋剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。二官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート、および上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたもの。
多官能の架橋剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよびそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤は、結着樹脂100質量部に対して、0.05〜10質量部用いることが好ましく、0.1〜5質量部用いることがより好ましい。
本発明の色素分散体について説明する。なお、分散媒体とは、水、有機溶剤又はそれらの混合物のことを指す。
本発明に係る色素分散体は、分散媒体中に下記(i)〜(iv)を分散処理することで得られる。
(i)前記式(1−A)又は前記式(1−B)で示される構造を有する化合物と、前記式(2)で示される構造を有するキノン化合物との混合物、
(ii)前記式(3−A)又は前記式(3−B)で示される構造を有する化合物、
(iii)前記式(1−C)で示される構造を有する化合物と、前記式(2)で示される構造を有するキノン化合物との混合物、又は
(iv)前記式(3−C)又は前記式(5)で示される構造を有する化合物。
具体的には、例えば、分散媒体中に前記(i)〜(iv)と、必要に応じて樹脂を溶解させ、撹拌しながら十分に分散媒体になじませる。さらに、ボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的せん断力を加えることで、前記(i)〜(iv)を安定に均一な微粒子状に微分散させることができる。
色素分散体中の色素化合物の量は、分散媒体100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。より好ましくは2〜20質量部、特に好ましくは3〜15質量部である。色素化合物の含有量が上記の範囲内にすることにより、粘度の上昇や色素化合物分散性の低下を抑制することができ、良好な着色力を発揮することができる。
また色素分散体中の式(1−A)〜(1−C)で示される構造を有する化合物に対する式(2)で示される構造を有する化合物の量は、多ければ多いほど耐光性向上に効果がある。しかし、粘度の上昇や発色性の低下を抑制するため、式(1−A)〜(1−C)で示される構造を有する化合物1質量部に対して、式(2)で示される構造を有する化合物の量は0.1〜10質量部であることが好ましい。
色素分散体は乳化剤を用いて水に分散させることができる。乳化剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド。
アニオン界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪酸石鹸、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖。
分散媒体として用いられる有機溶剤としては、以下のものが挙げられる。メチルアルコール、エチルアルコール、変成エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類;ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄・窒素含有有機化合物類。
また色素分散体には、重合性単量体を用いることが好ましい。重合性単量体は、付加重合性あるいは縮重合性単量体であり、好ましくは、付加重合性単量体である。具体的には以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリロニトリル、アクリル酸アミド等のアクリレート系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリロニトリル、メタクリル酸アミド等のメタクリレート系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、シクロヘキセン等のオレフィン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン化合物。これらは使用用途に応じて、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。色素分散体を重合トナー用途に用いる場合は、上記重合性単量体の中でも、スチレン、または、スチレン系単量体を単独もしくは、他の重合性単量体と混合して使用することが好ましい。特に扱いやすさから、スチレンが好ましい。
色素分散体にはさらに樹脂を加えてもよい。色素分散体に使用し得る樹脂としては目的用途に応じて決められるものであり、特に限定されない。具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。ポリスチレン樹脂、スチレン共重合体、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、アクリル酸系共重合体、メタクリル酸系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルメチルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂。これらの樹脂は単独、あるいは2種以上混合して用いることができる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子の製造方法としては、粉砕法、懸濁重合法、懸濁造粒法、乳化重合法、乳化凝集法などが挙げられる。粉砕法は、結着樹脂および着色剤を含有する樹脂組成物を混練、粉砕してトナー粒子を得る方法である。懸濁重合法は、着色剤及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物を水系媒体に分散して懸濁液を調製し、この重合性単量体を重合して得られる前記結着樹脂を含有するトナー粒子を得る方法である。懸濁造粒法は、着色剤および結着樹脂を含有する溶液を水系溶媒に懸濁し、造粒してトナー粒子を得る方法である。乳化凝集法は、結着樹脂を乳化して分散した分散液、及び着色剤、添加剤の分散液を混合し、凝集、加熱融着してトナー粒子を得る方法である。
これらの中でも、特に懸濁重合法、懸濁造粒法等、水系媒体中で造粒する製造方法によってトナー粒子を得ることが好ましい。また、液体現像法に用いられる現像剤に用いることも可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。確認のための分析装置は、MALDI MS(autoflex装置、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いた。なお、MALDI MSにおいて検出イオンはネガティブモードを採用した。
〈製造例1:化合物(1)の製造〉
4−t−Bu−フタロニトリル(1.0部)のキノリン(10部)分散液に塩化亜鉛(1.8部)を滴下した。滴下終了後、230℃に昇温し、5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、n−ヘプタン(50部)で希釈して析出した固体を濾過した。得られた固体を、展開液としてクロロホルムを用いて、アルミナカラムクロマトグラフィーで精製を行い、亜鉛フタロシアニン(収率70%)を得た。
[化合物(1)についての分析結果]
MALDI−TOF−MS(飛行時間型質量分析計)による質量分析:m/z=800.329(M:分子イオンピーク)
〈製造例2:化合物(43)の製造〉
4−ニトロフタロニトリル(1.0部)と2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(1.0部)とをDMSO(ジメチルスルホキシド)中で撹拌し炭酸カリウム(4.5部)を加え、室温で12時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧濾過で取り除き、クロロホルムで抽出して、キノン基を側鎖に有するフタロニトリル(収率90%)を得た。
得られたフタロニトリル(1.0部)のキノリン(10部)分散液に塩化亜鉛(1.8部)を滴下した。滴下終了後、230℃に昇温し、5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、固体を減圧濾過した。得られた固体をトルエンに分散させ、80℃に昇温させた。熱時濾過を行い、水およびアセトンで置換し、減圧濾過で化合物(43)を(収率75%)を得た。
[化合物(43)についての分析結果]
MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1128.071(M
〈製造例3:化合物(47)の製造〉
製造例2において、塩化亜鉛(1.8部)を用いる代わりに、塩化アルミニウム(1.8部)を用いた以外は製造例1と同様の方法で製造し、目的とする化合物(47)(収率77%)を得た。
[化合物(47)についての分析結果]
MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1126.079(M
〈製造例4:化合物(49)の製造〉
製造例2において、塩化亜鉛(1.8部)を用いる代わりに、ジアザビシクロウンデセン(1.8部)を用いた以外は製造例1と同様の方法で製造し、目的とする化合物(47)(収率86%)を得た。
[化合物(49)についての分析結果]
MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=1126.079(M
[トナー(1)〜(5)、(比1)〜(比2)の製造]
以下に記載する方法で本発明のトナー(1)〜(5)及び比較トナー(1)〜(2)を製造した。
<実施例1>
色素化合物(1)10部、キノン化合物(26)10部、及びスチレン120部の混合物をアトライター(三井鉱山(株)製)により3時間分散させて色素分散体(1)を得た。
高速撹拌装置T.K.ホモミキサー(プライミクス(株)製)を備えた2L用四つ口フラスコ中にイオン交換水710部と0.1mol/L−リン酸三ナトリウム水溶液450部を添加し回転数を12,000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/L−塩化カルシウム水溶液68部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤リン酸カルシウムを含む水系分散媒体を調製した。
・色素分散体(1) 140.0部
・スチレン単量体 46.0部
・n−ブチルアクリレート単量体 34.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 2.0部
(オリエント化学工業(株)製 製品名:ボントロンE−88)
・極性樹脂 10.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg(ガラス転移点)=65℃、Mw(重量平均分子量)=10,000、Mn(数平均分子量)=6,000)
・エステルワックス 25.0部
(DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度=70℃、Mn=704)
・ジビニルベンゼン単量体 0.10部
上記、処方を60℃に加温し、T.K.ホモミキサーを用いて5000rpmにて均一に溶解・分散した。これに重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系分散媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、回転数12,000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え、液温60℃で重合を5時間継続させた後、液温を80℃に昇温させ8時間重合を継続させた。重合反応終了後、80℃/減圧下で残存単量体を留去した後、液温を30℃まで冷却し、重合体微粒子分散体を得た。
次に、重合体微粒子分散体を洗浄容器に移し、撹拌しながら、希塩酸を添加してpH1.5に調整し、2時間撹拌させた。濾過器で固液分離を行い、重合体微粒子を得た。重合体微粒子の水への再分散と固液分離とを、リン酸カルシウムを含むリン酸とカルシウムの化合物が十分に除去されるまで、繰り返し行った。その後に、最終的に固液分離した重合体微粒子を、乾燥機で十分に乾燥してトナー母粒子(1)を得た。
得られたトナー母粒子100部に対し、次の微粉体をヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)で5分間乾式混合して、トナー(1)を得た。ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子の個数平均粒子径7nm)1.00部、ルチル型酸化チタン微粉体(一次粒子の個数平均粒子径45nm)0.15部、ルチル型酸化チタン微粉体(一次粒子の個数平均粒子径200nm)0.50部。
<実施例2、3>
実施例1において、色素化合物(1)10部とキノン化合物(26)10部を、表1に示すように、化合物(47)、化合物(49)に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー(2)〜(3)を得た。
<比較例1〜2>
実施例2において、化合物(47)を、表1に示すように下記の比較化合物(1)、(2)に変更した以外は実施例2と同様にして比較トナー(比1)、(比2)を得た。
Figure 2018131567
<実施例4>
スチレン82.6部、アクリル酸n−ブチル9.2部、アクリル酸1.3部、ヘキサンジオールアクリレート0.4部、n−ラウリルメルカプタン3.2部を混合し溶解させた。この溶液にアニオン界面活性剤(製品名:ネオゲンRK、第一工業製薬(株)製)1.5部のイオン交換水150部の水溶液を添加して、分散させた。さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.15部のイオン交換水10部の水溶液を添加した。窒素置換をした後、70℃で6時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5質量%、体積基準のメジアン径が0.2μmの樹脂粒子分散液を得た。
下記の材料をイオン交換水385部に混合させ、湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて約1時間分散してワックス分散液を得た。ワックス粒子分散液の濃度は20質量%であった。
・エステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度=70℃、Mn=704) 100部
・アニオン界面活性剤(製品名:ネオゲンRK、第一工業製薬(株)製) 15部
化合物(43) 100部、アニオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬(株)製)15部をイオン交換水885部に混合させ、湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて約1時間分散して分散液(4)を得た。
着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、0.15μmであった。
樹脂粒子分散液160部、ワックス分散液10質量部、分散液(4)10質量部、硫酸マグネシウム0.2部をホモジナイザー(IKA社製、製品名:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、65℃まで昇温した。65℃で1時間撹拌した後、光学顕微鏡で、平均粒径が約5.5μmである凝集体粒子が形成されていることを確認した。更に、アニオン界面活性剤(製品名:ネオゲンRK、第一工業製薬(株)製)2.2部加えた後、80℃まで昇温して2時間撹拌した。室温に冷却後、濾過し、濾別した固体を720部のイオン交換水に入れ、1時間分散洗浄を行った。固体を濾過し、濾液の電気伝導度が150μS/cm以下となるまで、イオン交換水による分散洗浄を繰り返した。減圧乾燥機を用いて乾燥させ、トナー母粒子(4)を得た。
上記トナー母粒子(4)100部に、BET法で測定した比表面積が200m/gである疎水化処理されたシリカ微粉体1.8部をヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)で乾式混合し、トナー(4)を得た。
<実施例5>
下記の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75J型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−45型、池貝鉄鋼(株)製)にて60kg/hrのFeed量で混練した(混練物の吐出時の温度は約150℃)。
・結着樹脂(ポリエステル樹脂):100質量部(Tg55℃、酸価20mgKOH/g、水酸基価16mgKOH/g、分子量:Mp(メインピーク分子量)4500、Mn2,300、Mw38,000)
・化合物(8)(Sigma Aldrich社より入手可能):6質量部
・キノン化合物(26):6部
・1,4−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物:0.5質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピーク温度78℃):5質量部
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗砕した後、機械式粉砕機(T−250:ターボ工業(株)製)にて20kg/hrのFeed量で微粉砕した。
更に得られたトナー微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機により分級することで、トナー母粒子(5)を得た。
トナー母粒子(5)100部に、BET法で測定した比表面積が200m/gである疎水化処理されたシリカ微粉体1.8部をヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)で乾式混合し、トナー(5)を得た。
上記トナー(1)〜(5)、(比1)〜(比2)の評価を以下のように行った。評価結果は表1に示した。
(1)画像サンプル評価
前記のトナーNo.1〜5と比1〜2とを用いて、画像サンプルを出力し後述する画像特性を比較評価した。なお、画像特性の比較に際し画像形成装置(以下、LBPと表記する。)としてLBP−5300(キヤノン(株)製)の改造機を使用して通紙耐久試験(繰り返し使用試験)を行った。改造内容としてはプロセスカートリッジ(以下、CRGと表記する。)内の現像ブレードを厚み8[μm]のSUSブレードに交換した。
その上でトナー担持体である現像ローラーに印加する現像バイアスに対して−200[V]のブレードバイアスを印加できるようにした。
評価に際しては各トナーを個別に充填したCRGを評価項目ごとに用意した。そして各々のトナーを充填したCRGごとにLBPにセッティングし、下記に記載した評価項目ごとに評価した。
<発色性の評価>
通常環境(温度25℃/相対湿度60%)下において最大トナー載り量を0.45mg/cmに調整した16階調画像サンプルをカラー複写機CLC−1100改造機(キヤノン(株)製、定着オイル塗布機構を省いた。)を用いて作製した。このとき、画像サンプルの基紙としては、CLCカラーコピー用紙(キヤノン(株)製)を用いた。得られた画像サンプルをSpectroLino(Gretag Machbeth社製)にて、L表色系における色度(L、a、b)を測定した。彩度(C)は色特性の測定値に基づき、下記の数式(1)によって算出した。
Figure 2018131567
発色性の評価を以下のように行った。
同じ単位面積当たりの着色剤量における彩度C*が大きい程、発色性が良好であるといえる。上記による画像サンプル作製時の彩度C*を用いて発色性を評価した。なお、C*は、前記式で算出される。
ランクA:Cが60以上
ランクB:Cが55以上60未満
ランクC:Cが55未満
<耐光性の評価>
色度測定の際に得られた画像サンプルをキセノン試験装置(AtlasCi4000、(株)東洋精機製作所製)に投入し、(照度:340nmで0.39W/m、温度:40℃、相対湿度:60%)の条件下、50hr曝露した。印字物の反射濃度を試験前後で測定した。初期の色度をそれぞれa 、b 、L とし、曝露後の色度をそれぞれa、b、Lとしたとき、色差ΔEを以下の数式(2)に示すように定義し、算出し、評価した。得られた結果を表1に示した。
Figure 2018131567
評価基準は以下のとおりである。
ランクA:ΔE<20.00
ランクB:20.00≦ΔE<40.00
ランクC:40.00≦ΔE
Figure 2018131567
表1に示すように、重合法トナー(実施例1〜3、比較例1〜2)、乳化凝集法トナー(実施例4)、粉砕法トナー(実施例5)のいずれにおいても、実施例1〜5のトナーは比較例1〜2のトナーと比較して発色性、耐光性ともに優れている。
〈製造例5:化合物(55)の製造〉
4−ニトロフタロニトリル(1.0部)とsec−ブタンチオール(1.0部)とをDMSO中で撹拌し、炭酸カリウム(4.5部)を加え、室温で12時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧濾過で取り除き、クロロホルムで抽出を行いt−ブトキシフタロニトリル(収率90%)を得た。
得られたt−ブトキシフタロニトリル(1.0部)のキノリン(10部)分散液に三臭化ホウ素(1.8部)を滴下した。滴下終了後、230℃に昇温し、5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、固体を減圧濾過した。得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)に分散させ、80℃に昇温させた。熱時濾過を行い、ブロモサブフタロシアニン(収率70%)を得た。得られたサブフタロシアニンを硫酸に溶かして1時間撹拌後、氷水へ滴下し減圧濾過で化合物(55)を(収率90%)を得た。
[化合物(55)についての分析結果]
MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=665.117(M
〈製造例6:化合物(40)の製造〉
製造例5において、sec−ブタンチオールを用いる代わりに、t−ブチルアルコール(1.0部)に変更した以外は製造例5と同様の方法で製造し、目的とする化合物(40)(収率82%)を得た。
[化合物(40)についての分析結果]
MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=626.889(M
〈製造例7:化合物(73)の製造〉
製造例5において、sec−ブタンチオールを用いる代わりに、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(1.0部)に変更した以外は製造例5と同様の方法で製造し、目的とする化合物(73)(収率86%)を得た。
[化合物(73)についての分析結果]
MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=825.012(M
〈製造例8:化合物(79)の製造〉
化合物(51)(WDB社より入手可能)(1.0部)と2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(4.0部)をトルエン中で24時間還流した。トルエン除去後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し化合物(79)(収率90%)を得た。
[化合物(79)についての分析結果]
MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=700.799(M
[トナー(6)〜(10)、(比3)〜(比4)の製造]
以下に記載する方法で本発明のトナー(6)〜(10)及び比較トナー(3)〜(4)を製造した。
<実施例6>
化合物(51)(WDB社より入手可能)10部、キノン化合物(26)10部、スチレン120部の混合物をアトライター(三井鉱山社製)により3時間分散させて色素分散体(6)を得た。
高速撹拌装置T.K.ホモミキサー(プライミクス(株)製)を備えた2L用四つ口フラスコ中にイオン交換水710部と0.1mol/L−リン酸三ナトリウム水溶液450部を添加し回転数を12,000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/L−塩化カルシウム水溶液68部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤リン酸カルシウムを含む水系分散媒体を調製した。
・色素分散体(6) 140.0部
・スチレン単量体 46.0部
・n−ブチルアクリレート単量体 34.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 2.0部
(オリエント化学工業(株)製 製品名:ボントロンE−88)
・極性樹脂 10.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=10,000、Mn=6,000)
・エステルワックス 25.0部
(DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度=70℃、Mn=704)
・ジビニルベンゼン単量体 0.10部
上記、処方を60℃に加温し、T.K.ホモミキサーを用いて5000rpmにて均一に溶解・分散した。これに重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系分散媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、回転数12,000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え、液温を60℃で重合を5時間継続させた後、液温を80℃に昇温させ8時間重合を継続させた。重合反応終了後、80℃/減圧下で残存単量体を留去した後、液温を30℃まで冷却し、重合体微粒子分散体を得た。
次に、重合体微粒子分散体を洗浄容器に移し、撹拌しながら、希塩酸を添加してpH1.5に調整し、2時間撹拌させた。濾過器で固液分離を行い、重合体微粒子を得た。重合体微粒子の水への再分散と固液分離とを、リン酸カルシウムを含むリン酸とカルシウムの化合物が十分に除去されるまで、繰り返し行った。その後に、最終的に固液分離した重合体微粒子を、乾燥機で十分に乾燥してトナー母粒子(6)を得た。
得られたトナー母粒子100部に対し、次の微粉体をヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)で5分間乾式混合して、トナー(6)を得た。ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子の個数平均粒子径7nm)1.00部、ルチル型酸化チタン微粉体(一次粒子の個数平均粒子径45nm)0.15部、ルチル型酸化チタン微粉体(一次粒子の個数平均粒子径200nm)0.50部。
<実施例7、8>
実施例6において、化合物(51)10部とキノン化合物(26)10部を、表2に示すように、化合物(73)、化合物(79)に変更した以外は実施例6と同様にしてトナー(7)〜(8)を得た。
<比較例3〜4>
実施例7において、化合物(73)を比較化合物(3)、(4)に変更した以外は実施例7と同様にして比較トナー(比3)、(比4)を得た。
Figure 2018131567
<実施例9>
化合物(43)を、化合物(74)に変更した以外は実施例4と同様にして分散液(9)を得た。着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、0.15μmであった。
分散液(4)を、分散液(9)に変更した以外は実施例4と同様にしてトナー母粒子(9)を得た。
トナー母粒子(4)を、トナー母粒子(9)に変更した以外は実施例4と同様にしてトナー(9)を得た。
<実施例10>
化合物(8)を化合物(83)に変更し、キノン化合物(26)を混合しなかったこと以外は、実施例5と同様にしてトナー母粒子(10)を得た。
トナー母粒子(5)をトナー母粒子(10)に変更した以外は、実施例5と同様にしてトナー(10)を得た。
上記トナー(6)〜(10)、(比3)〜(比4)の評価を以下のように行った。評価結果は表2に示した。
<発色性の評価>
実施例1〜5、比較例1〜2と同様にして、実施例6〜10、比較例3〜4の彩度を算出した。
実施例6〜10、比較例3〜4の発色性は以下の基準によって評価した。
ランクA:C*が95以上
ランクB:C*が85以上95未満
ランクC:C*が85未満
<耐光性の評価>
実施例1〜5、比較例1〜2と同様にして、実施例6〜10、比較例3〜4の耐光性を評価した。
Figure 2018131567
表2に示すように、重合法トナー(実施例6〜8、比較例3〜4)、乳化凝集法トナー(実施例9)、粉砕法トナー(実施例10)のいずれにおいても、実施例6〜10のトナーは比較例3〜4のトナーと比較して耐光性が優れている。
本発明によれば、発色性及び耐光性が良好な色素化合物及びトナーを得ることができる。

Claims (3)

  1. 下記式(1−A)で示される構造を有する化合物、下記式(1−B)で示される構造を有する化合物及び下記式(1−C)で示される構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物、及び
    下記式(2)で示される構造を有するキノン化合物、を含有することを特徴とする色素化合物。
    Figure 2018131567
    [式(1−A)および(1−B)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、又はアミノ基を表し、MはMg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)、TiO、AlCl、又はAlOHを表す。]
    Figure 2018131567
    [式(1−C)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、またはアミノ基を表し、Xはハロゲン、ヒドロキシ基を表す。]
    Figure 2018131567
    [式(2)中、R〜R12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、又はシアノ基を表す。RとR10又はR11とR12は互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜R12は環構造を形成するために必要な原子団を表す。]
  2. 下記式(3−A)で示される構造を有する化合物、下記式(3−B)で示される構造を有する化合物、下記式(3−C)で示される構造を有する化合物、及び下記式(5)で示される構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物、を含有することを特徴とする色素化合物。
    Figure 2018131567
    [式(3−A),(3−B)中、A〜Aは、下記式(4)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表し、nは、1〜4の整数を表し、Mは、Mg、Pd、Zn、Ni、Ti(Cl)、TiO、AlCl、AlOHを表す。]
    Figure 2018131567
    [式(3−C)中、A〜Aは、下記式(4)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表し、nは1〜4の整数を表し、Xは、ハロゲン、ヒドロキシ基を表す。]
    Figure 2018131567
    [式(4)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、又はシアノ基を表す。RとRまたはRとRは互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜Rは環構造を形成するために必要な原子団を表す。]
    Figure 2018131567
    [式(5)中、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アミノ基を表し、Yは、下記式(6)で表されるキノン化合物から1つの水素原子を脱離させた構造を有する1価の基を表す。]
    Figure 2018131567
    [式(6)中、R〜R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、またはシアノ基を表す。RとRまたはRとR10は互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合、R〜R10は環構造を形成するのに必要な原子団を表す。]
  3. 請求項1又は2に記載の色素化合物を含有することを特徴とするトナー。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109704989A (zh) * 2019-01-24 2019-05-03 大连理工大学 一种邻苯二甲腈型丙烯酸酯类单体的合成方法

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