JP2015087281A - 力検出装置、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、および部品加工装置 - Google Patents

力検出装置、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、および部品加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】装置を小型化しつつ、力検出の精度を向上させることができる力検出装置、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、および部品加工装置を提供する。
【解決手段】力検出装置1は、第1基部2と、外力に応じて信号を出力する素子10(6)と、第1基部2との間に素子10(6)を設ける第2基部3と、第1基部2に設けられ、第1基部2の温度Tbを検出する第1の温度センサー7aと、第2基部3に設けられ、第2基部3の温度Tcを検出する第2の温度センサー7bと、素子10(6)から出力される信号と、第1の温度センサー7aの出力と、第2の温度センサー7bの出力とに基づき、外力を検出する外力検出回路40とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、力検出装置、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、および部品加工装置に関する。
近年、生産効率向上を目的として、工場等の生産施設への産業用ロボット導入が進められている。このような産業ロボットは、1軸または複数軸方向に対して駆動可能なアームと、アーム先端側に取り付けられる、ハンド、部品検査用器具または部品搬送用器具等のエンドエフェクタとを備えており、部品の組み付け作業、部品加工作業等の部品製造作業、部品搬送作業および部品検査作業等を実行することができる。
このような産業用ロボットにおいては、例えば、アームとエンドエフェクタとの間に、力検出装置が設けられている。産業用ロボットに用いられる力検出装置としては、例えば、特許文献1に開示されているような力検出装置が用いられる。特許文献1に記載の力検出装置は、1対の基部(ベースプレートおよびカバープレート)と、その1対の基部の間に設けられた複数の圧電素子とを備えている。前記基部に外力が加わると、1対の基部が相対的に変位することにより圧電素子に外力が加わる。該圧電素子からの出力を用いることによって、1対の基部間の外力を検出することができる。このような圧電素子を用いた力検出装置では、外力による圧電素子の変形が信号に変換され、出力される。また、1対の基部間は、与圧ボルトによって固定されており、圧電素子に与圧が加えられている。
このような力検出装置を産業用ロボットに用いた場合、アームやエンドエフェクタに設けられたモーター等の発熱源からの熱伝達により、一方の基部が加熱されると、その基部は熱膨張し、次に、与圧ボルト等を介し、または輻射熱により、他方の基部が加熱され、熱膨張する。これにより、一対の基部の間に設けられた圧電素子に対する与圧が変化してしまう。このような与圧変化は、圧電素子の出力における真値に対するノイズ成分となってしまう。
このような温度変化に起因するノイズ成分を除去または減少可能な力検出装置としては、例えば、特許文献2は、外力検出用のメイン圧電素子と、温度補償用のサブ圧電素子とを備える力検出装置を開示している。特許文献2に開示の力検出装置では、サブ圧電素子は、外力による与圧変化が発生せず、力検出装置の温度変化によってのみ与圧変化が発生するよう配置されている。そのため、サブ圧電素子からは、外力が作用したことによる出力変化は検出されず、力検出装置の温度変化に応じた出力変化、すなわち温度変化に起因するノイズ成分のみが検出される。このようなサブ圧電素子からの出力を用いて、メイン圧電素子の出力を補正(補償)することにより、特許文献2に記載の力検出装置は、力検出装置の温度変化に起因するノイズ成分を除去または減少している。
特開2011−80586号公報 特開2010−25735号公報
しかしながら、特許文献2に記載の力検出装置では、別途、温度補償用のサブ圧電素子を力検出装置内部に設ける必要がある。そのため、サブ圧電素子を設けるためのスペースを確保する必要があり、力検出装置の小型化が困難である。また、温度補償用のサブ圧電素子の出力特性と、外力検出用のメイン圧電素子の出力特性とを一致させるための部品精度管理が必要となるという問題があった。
そこで、本発明者らは、温度変化に起因する圧電素子の出力変動は、主として、一対の基部の熱膨張の差、すなわち、一対の基部の温度差に依存することに着目し、温度補償用のサブ圧電素子を用いずに、力検出装置の温度変化に起因する圧電素子の出力変動を補償可能な力検出装置を発明するに至った。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、装置を小型化しつつ、力検出の精度を向上させることができる力検出装置、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、および部品加工装置を提供することを目的とする。
このような目的は、下記の発明により達成される。
<適用例1>
本発明に係る力検出装置は、第1基部と、
外力に応じて信号を出力する素子と、
前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする。
これにより、第1基部と第2基部の温度差を、第1の温度センサーおよび第2の温度センサーを用いて検出することができる。力検出装置の温度変化に起因する素子のノイズ成分は、主として、第1基部と第2基部との熱膨張の差、すなわち、第1基部と第2基部の温度差に依存することから、外力検出回路は、第1基部と第2基部の温度差を用いて、素子の出力から温度変化に起因するノイズ成分を除去または減少させることができる。そのため、力検出装置の測定精度を向上させることができる。さらに、本発明に係る力検出装置では、力検出装置の温度変化に起因する圧電素子の出力変動を補償するための温度補償用のサブ素子が不要である。そのため、サブ圧電素子を設けるためのスペースを確保する必要がなくなり、力検出装置を小型化することができる。また、温度補償用のサブ圧電素子の出力特性と、外力検出用のメイン圧電素子の出力特性とを一致させるための部品精度管理も不要となるため、部品の製造・管理コストを減少させることができる。
<適用例2>
本発明に係る力検出装置では、前記外力検出回路は、前記第1の温度センサーの前記出力と、前記第2の温度センサーの前記出力との差分を算出し、前記差分に基づき前記素子から出力される前記信号を補正することにより前記外力を検出することが好ましい。
これにより、温度補償用のサブ素子等を用いない簡易な構成で、素子の出力から温度変化に起因するノイズ成分を除去または減少させることができ、より精度の高い力検出を行うことができる。
<適用例3>
本発明に係る力検出装置は、複数の前記素子を有し、前記各素子は、前記第1基部または前記第2基部の周方向に、当角度間隔に配置されていることが好ましい。
これにより、力検出装置に加えられた外力を偏りなく検出することができる。
<適用例4>
本発明に係る力検出装置は、複数の前記素子の数と等しい数の前記第1の温度センサーと、複数の前記素子の前記数と等しい数の前記第2の温度センサーとを有することが好ましい。
これにより、各素子近傍における第1基部および第2基部の温度を検出することができ、より正確に各素子から出力される信号を補償することができる。
<適用例5>
本発明に係る力検出装置では、前記素子は、積層された3つの外力センサーを有しており、
前記外力センサーの積層方向をγ軸方向とし、前記γ軸方向に直交し且つ互いに直交する方向をそれぞれα軸方向、β軸方向とした場合、
前記外力センサーの1つは、前記α軸方向への前記外力に応じて前記信号を出力し、前記外力センサーの1つは、前記β軸方向への前記外力に応じて前記信号を出力し、前記外力センサーの1つは、前記γ軸方向への前記外力に応じて前記信号を出力することが好ましい。
これにより、素子は3軸力(x、y、z軸方向の並進力成分)に応じて電荷を出力することができる。
<適用例6>
本発明に係る力検出装置は、少なくとも4つの前記素子を有し、前記外力検出回路は、前記各素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、6軸力を検出することが好ましい。
4つの素子(2対の素子)からの出力を用いることにより、6軸力、すなわち、x、y、z軸方向の並進力成分(せん断力および圧縮/引張力)およびx、y、z軸周りの回転力成分(モーメント))を検出することができる。
<適用例7>
本発明に係る力検出装置では、前記素子は、前記第1基部に対して垂直な状態で、前記第1基部と前記第2基部との間に設けられていることが好ましい。
これにより、素子からの出力の内、力検出装置の温度変化の影響が小さい、せん断力(x、y軸方向の並進力成分)に応じた出力のみを用いて6軸力を検出することができる。そのため、素子の出力から温度変化に起因するノイズ成分を、さらに除去または減少させることができる。
<適用例8>
本発明に係るロボットは、アームと、
前記アームに設けられたエンドエフェクタと、
前記アームと前記エンドエフェクタの間に設けられ、前記エンドエフェクタに加えられる外力を検出する力検出装置とを備え、
前記力検出装置は、
第1基部と、
外力に応じて信号を出力する素子と、
前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする。
これにより、前記本発明に係る力検出装置と同様の効果が得られる。そして、力検出装置が検出した外力をフィードバックし、より精密に作業を実行することができる。また、力検出装置が検出した外力によって、エンドエフェクタの障害物への接触等を検知することができる。そのため、従来の位置制御では困難だった障害物回避動作、対象物損傷回避動作等を容易に行うことができ、より安全に作業を実行することができる。さらに、温度補償用のサブ素子が不要なので、力検出装置を小型化できる。そのため、ロボットを小型化することができる。
<適用例9>
本発明に係る電子部品搬送装置は、電子部品を把持する把持部と、
前記把持部に加えられる外力を検出する力検出装置とを備え、
前記力検出装置は、
第1基部と、
外力に応じて信号を出力する素子と、
前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする。
これにより、前記本発明に係る力検出装置と同様の効果が得られる。そして、力検出装置が検出した外力をフィードバックし、より精密に作業を実行することができる。また、力検出装置が検出した外力によって、把持部の障害物への接触等を検知することができる。そのため、従来の位置制御では困難だった障害物回避動作、対象物損傷回避動作等を容易に行うことができ、より安全に電子部品搬送作業を実行することができる。さらに、温度補償用のサブ素子が不要なので、電子部品搬送装置を小型化できる。そのため、ロボットを小型化することができる。
<適用例10>
本発明に係る電子部品検査装置は、電子部品を把持する把持部と、
前記電子部品を検査する検査部と、
前記把持部に加えられる外力を検出する力検出装置とを備え、
前記力検出装置は、
第1基部と、
外力に応じて信号を出力する素子と、
前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする。
これにより、前記本発明に係る力検出装置と同様の効果が得られる。そして、力検出装置が検出した外力をフィードバックし、より精密に作業を実行することができる。また、力検出装置が検出した外力によって、把持部の障害物への接触等を検知することができる。そのため、従来の位置制御では困難だった障害物回避動作、対象物損傷回避動作等を容易に行うことができ、より安全に電子部品検査作業を実行することができる。さらに、温度補償用のサブ素子が不要なので、力検出装置を小型化できる。そのため、電子部品検査装置を小型化することができる。
<適用例11>
本発明に係る部品加工装置は、工具を装着し、前記工具を変位させる工具変位部と、
前記工具に加えられる外力を検出する力検出装置とを備え、
前記力検出装置は、
第1基部と、
外力に応じて信号を出力する素子と、
前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする。
これにより、前記本発明に係る力検出装置と同様の効果が得られる。そして、力検出装置が検出した外力をフィードバックすることにより、部品加工装置は、より精密に部品加工作業を実行することができる。また、力検出装置が検出する外力によって、工具の障害物への接触等を検知することができる。そのため、工具に障害物等が接触した場合に緊急停止することができ、部品加工装置は、より安全な部品加工作業を実行可能である。さらに、温度補償用のサブ素子が不要なので、力検出装置を小型化できる。そのため、部品加工装置を小型化することができる。
本発明に係る力検出装置の第1実施形態を示す断面図である。 図1に示す力検出装置の平面図である。 図1に示す力検出装置を概略的に示す回路図である。 図1に示す力検出装置の電荷出力素子を概略的に示す断面図である。 本発明に係る力検出装置の第2実施形態を示す断面図である。 図5に示す力検出装置の平面図および各センサーデバイスの検出方向を示す概念図である。 図5に示す力検出装置を概略的に示す回路図である。 本発明に係る力検出装置の第3実施形態を示す平面図である。 図8中のA−A線での断面図である。 本発明に係る力検出装置を用いた単腕ロボットの1例を示す図である。 本発明に係る力検出装置を用いた複腕ロボットの1例を示す図である。 本発明に係る力検出装置を用いた電子部品検査装置および電子部品搬送装置の1例を示す図である。 本発明に係る力検出装置を用いた電子部品搬送装置の1例を示す図である。 本発明に係る力検出装置を用いた部品加工装置の1例を示す図である。 本発明に係る力検出装置を用いた移動体の1例を示す図である。
以下、本発明に係る力検出装置、力検出装置、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、および部品加工装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る力検出装置の第1実施形態を示す断面図である。図2は、図1に示す力検出装置の平面図である。図3は、図1に示す力検出装置を概略的に示す回路図である。図4は、図1に示す力検出装置の電荷出力素子を概略的に示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。なお、図1は、図2に示すA−A線断面図である。
図1、図2および図3に示す力検出装置1は、互いに直交する3軸(α(X)軸、β(Y)軸、γ(Z)軸)に沿って加えられた外力(せん断力および圧縮/引張力)を検出する機能を有する。
力検出装置1は、第1基部(ベースプレート)2と、外力に応じて信号を出力する電荷出力素子(素子)10と、第1基部2との間に素子10を設ける第2基部(カバープレート)3と、第1基部2と第2基部3との間に設けられたアナログ回路基板(回路基板)4と、第1基部2と第2基部3との間に設けられ、アナログ回路基板4と電気的に接続されたデジタル回路基板5と、アナログ回路基板4に接続され、加えられた外力に応じて信号を出力する電荷出力素子(素子)10および電荷出力素子10を収納するパッケージ60を有するセンサーデバイス6と、第1基部2に設けられ、第1基部2の温度Tbを検出する第1の温度センサー7aと、第2基部3に設けられ、第2基部3の温度Tcを検出する第2の温度センサー7bと、2つの与圧ボルト(固定部材)81とを備えている。
<第1基部および第2基部>
図1および図2に示すように、第2基部(カバープレート)3は、第1基部2から所定の間隔を隔てて配置され、第1基部2に対向している。また、第1基部2は、第1基部2の第2基部3と対向する面上に設けられた第1の凸部21を有している。第1基部2は、第1の凸部21を介して、第2基部3に対して所定の間隔を隔てて対向するよう配置されている。なお、第1の凸部21の第2基部3と対向する面は、平面である。また、デジタル回路基板5は、アナログ回路基板4よりも第1基部2側、すなわち、アナログ回路基板4と第1基部2との間に配置されている。なお、第1基部2と、第2基部3とのいずれを外力が加わるプレートとしてもよいが、本実施形態では、第2基部3を外力が加わるプレートとして説明する。
図1および図2に示すように、第1基部2と、第2基部3とは、2つの与圧ボルト81により、所定の間隔を隔てて対向するよう固定されている。第1基部2と、第2基部3とは、2つの与圧ボルト81により、互いに所定量の変位(移動)が可能なように固定される。すなわち、第1基部2および第2基部3は、所定量だけ、互いにx軸周りに回転する相対変位、y軸周りに回転する相対変位、およびz軸周りに回転する相対変位が可能に固定される。そのため、第2基部3に外力が加えられた場合、第2基部3が第1基部2に対して変位し、センサーデバイス6に対する与圧が変化する。なお、与圧ボルト81の数は、2つに限定されず、例えば、3つ以上であってもよい。
アナログ回路基板4には、2つの与圧ボルト81が挿通する2つの孔42が形成され、同様に、デジタル回路基板5には、2つの与圧ボルト81が挿通する2つの孔52が形成されている。各与圧ボルト81は、それぞれ、その頭部815が第2基部3側となるように配置され、第2基部3に形成された孔35から挿入され、アナログ回路基板4の孔42、デジタル回路基板5の孔52を挿通し、その雄ネジ816が第1基部2に形成された雌ネジ25に螺合している。そして、各与圧ボルト81により、電荷出力素子10に、所定の大きさのZ軸方向(図4参照)の圧力、すなわち、与圧が加えられる。なお、前記与圧の大きさは、特に限定されず、適宜設定される。
第1基部2、第2基部3、アナログ回路基板4、デジタル回路基板5の形状は、それぞれ、特に限定されないが、本実施形態では、第1基部2、第2基部3、アナログ回路基板4、デジタル回路基板5の平面視での外形形状は、略円形をなしている。なお、第1基部2、第2基部3、アナログ回路基板4、デジタル回路基板5の平面視での前記の他の外形形状としては、例えば、四角形、五角形等の多角形、楕円形等が挙げられる。また、第1基部2、第2基部3、アナログ回路基板4の各素子および各配線以外の部位、デジタル回路基板5の各素子および各配線以外の部位の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、各種の樹脂材料、各種の金属材料等を用いることができる。
第1基部2上に設けられた第1の凸部21の位置は、特に限定されないが、本実施形態では、第1の凸部21は、第1基部2の中央部に配置されている。凸21部の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、第1基部2の平面視で、電荷出力素子10と同じ形状、すなわち、四角形をなしている。なお、第1の凸部21の平面視での前記の他の形状としては、例えば、四角形、五角形等の多角形、楕円形等が挙げられる。この第1の凸部21は、第1基部2と一体的に形成されていてもよく、また、別部材で形成されていてもよい。なお、第1の凸部21の構成材料は、特に限定されず、例えば、第1基部2と同様のものとすることができる。
また、アナログ回路基板4の電荷出力素子10が配置されている部位、すなわち、中央部には、第1の凸部21が挿入される孔41が形成されている。この孔41は、アナログ回路基板4を貫通する貫通孔である。孔41の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、第1基部2の平面視で、第1の凸部21と同じ形状、すなわち、四角形をなしている。なお、アナログ回路基板4は、第1の凸部21に支持されている。
同様に、デジタル回路基板5の電荷出力素子10が配置されている部位、すなわち、中央部には、第1の凸部21が挿入される孔51が形成されている。孔51の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、第1基部2の平面視で、第1の凸部21と同じ形状、すなわち、四角形をなしている。なお、デジタル回路基板5は、第1の凸部21に支持されている。
第1の凸部21は、アナログ回路基板4の孔41およびデジタル回路基板5の51に挿入され、第2基部3に向かって突出している。また、センサーデバイス6は、第1の凸部21上に配置されている。このような配置により、パッケージ60を介して第1の凸部21と第2基部3との間で、電荷出力素子10を挟持することができる。なお、第2基部3の第1基部2と対向する面は、平面であり、その面がセンサーデバイス6の蓋体62の中央部に当接し、第1の凸部21が基部61に当接している。
また、第1の凸部21の寸法は、特に限定されないが、第1基部2の平面視で、第1の凸部21の面積は、電荷出力素子10の面積よりも大きいことがより好ましい。そして、電荷出力素子10は、第1基部2の平面視で(第1基部2に対して垂直な方向から見て)、第1の凸部21内に配置され、また、電荷出力素子10の中心線と第1の凸部21の中心線とが一致している。この場合、電荷出力素子10は、第1基部2の平面視で、第1の凸部21からはみ出していなければよい。これにより、電荷出力素子10全体に与圧を加えることができ、また、力検出の際、電荷出力素子10全体に外力が加わり、より精度の高い力検出を行うことができる。
<センサーデバイス>
センサーデバイス6は、電荷出力素子10と、電荷出力素子10を収納するパッケージ60とを有している。図1に示すように、センサーデバイス6は、アナログ回路基板4の第2基部3側に配置され、第1基部2に設けられた第1の凸部21と第2基部3との間で挟持されている。すなわち、電荷出力素子10は、パッケージ60を介して第1の凸部21と第2基部3との間で挟持され、与圧されている。
パッケージ60は、凹部611を有する基部61と、その基部61に接合された蓋体62とを有している。電荷出力素子10は、基部61の凹部611内に設置されており、その基部61の凹部611は、蓋体62により封止されている。これにより、電荷出力素子10を保護することができ、信頼性の高い力検出装置1を提供することができる。なお、電荷出力素子10の上面は、蓋体62に接触している。また、パッケージ60の蓋体62は、上側、すなわち、第2基部3側に配置され、基部61は、下側、すなわち、第1基部2側に配置され、その基部61が第1の凸部21に当接されている。この構成により、基部61と蓋体62とが、第1の凸部21と第2基部3とで挟持されて与圧され、その基部61と蓋体62とにより、電荷出力素子10が挟持されて与圧される。
また、基部61の構成材料としては、特に限定されず、例えば、セラミックス等の絶縁性材料等を用いることができる。また、蓋体62の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等の各種の金属材料等を用いることができる。なお、基部61の構成材料と蓋体62の構成材料は、同一でもよく、また、異なっていてもよい。
また、パッケージ60の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、第1基部2の平面視で、四角形をなしている。なお、パッケージ60の平面視での前記の他の形状としては、例えば、五角形等の他の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。また、パッケージ60の形状が多角形の場合、例えば、その角部が、丸みを帯びていてもよく、また、斜めに切り欠かれていてもよい。
また、蓋体62は、本実施形態では、板状をなし、その中央部と、基部61に接する外周部との間の部位が屈曲することで、中央部が第2基部3に向って突出している。中央部の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、第1基部2の平面視で、電荷出力素子10と同じ形状、すなわち、四角形をなしている。なお、蓋体62の中央部の上面および下面は、いずれも平面である。
また、パッケージ60の基部61の下面の端部には、電荷出力素子10と電気的に接続された複数の端子63が設けられている。各端子63は、それぞれ、アナログ回路基板4と電気的に接続されており、これにより、電荷出力素子10とアナログ回路基板4とが電気的に接続される。なお、端子63の数は、特に限定されないが、本実施形態では、4つであり、すなわち、端子63は、基部61の4つの角部にそれぞれ設けられている。
<電荷出力素子(素子)>
センサーデバイス6の電荷出力素子10は、互いに直交する3軸(α(X)軸、β(Y)軸、γ(Z)軸)に沿って加えられた(受けた)外力のそれぞれに応じて3つの電荷Qα、Qβ、Qγを出力する機能を有する。
電荷出力素子10の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、第1基部2の平面視、すなわち、第1基部2に対して垂直な方向から見て、四角形をなしている。なお、電荷出力素子10の平面視での前記の他の外形形状としては、例えば、五角形等の他の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。
図4に示すように、電荷出力素子10は、グランド(基準電位点)に接地された4つのグランド電極層11と、β軸に平行な外力(せん断力)に応じて電荷Qβを出力するβ軸用外力センサー12と、γ軸に平行な外力(圧縮/引張力)に応じて電荷Qγを出力するγ軸用外力センサー13と、α軸に平行な外力(せん断力)に応じて電荷Qαを出力するα軸用外力センサー14とを有し、グランド電極層11と各外力センサー12、13、14は交互に積層されている。なお、図4において、グランド電極層11および各外力センサー12、13、14の積層方向をγ軸方向とし、γ軸方向に直交し且つ互いに直交する方向をそれぞれα軸方向、β軸方向としている。
図示の構成では、図4中の下側から、β軸用外力センサー12、γ軸用外力センサー13、α軸用外力センサー14の順で積層されているが、本発明はこれに限られない。各外力センサー12、13、14の積層順は任意である。
グランド電極層11は、グランド(基準電位点)に接地された電極である。グランド電極層11を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、金、チタニウム、アルミニウム、銅、鉄、クロム、ニッケルまたはこれらを含む合金が好ましい。これらの中でも特に、鉄合金であるステンレスを用いるのが好ましい。ステンレスにより構成されたグランド電極層11は、優れた耐久性および耐食性を有する。
β軸用外力センサー12は、β軸に沿って加えられた(受けた)外力(せん断力)に応じて電荷Qβを出力する機能を有する。β軸用外力センサー12は、β軸の正方向に沿って加えられた外力に応じて正電荷を出力し、β軸の負方向に沿って加えられた外力に応じて負電荷を出力するよう構成されている。
β軸用外力センサー12は、第1の結晶軸CA1を有する第1の圧電体層121と、第1の圧電体層121と対向して設けられ、第2の結晶軸CA2を有する第2の圧電体層123と、第1の圧電体層121と第2の圧電体層123との間に設けられ、電荷Qを出力する出力電極層122を有する。
第1の圧電体層121はβ軸の負方向に配向した第1の結晶軸CA1を有する圧電体によって構成されている。第1の圧電体層121の表面に対し、β軸の正方向に沿った外力が加えられた場合、圧電効果により、第1の圧電体層121内に電荷が誘起される。その結果、第1の圧電体層121の出力電極層122側表面近傍には正電荷が集まり、第1の圧電体層121のグランド電極層11側表面近傍には負電荷が集まる。同様に、第1の圧電体層121の表面に対し、β軸の負方向に沿った外力が加えられた場合、第1の圧電体層121の出力電極層122側表面近傍には負電荷が集まり、第1の圧電体層121のグランド電極層11側表面近傍には正電荷が集まる。
第2の圧電体層123は、β軸の正方向に配向した第2の結晶軸CA2を有する圧電体によって構成されている。第2の圧電体層123の表面に対し、β軸の正方向に沿った外力が加えられた場合、圧電効果により、第2の圧電体層123内に電荷が誘起される。その結果、第2の圧電体層123の出力電極層122側表面近傍には正電荷が集まり、第2の圧電体層123のグランド電極層11側表面近傍には負電荷が集まる。同様に、第2の圧電体層123の表面に対し、β軸の負方向に沿った外力が加えられた場合、第2の圧電体層123の出力電極層122側表面近傍には負電荷が集まり、第2の圧電体層123のグランド電極層11側表面近傍には正電荷が集まる。
このように、第1の圧電体層121の第1の結晶軸CA1は、第2の圧電体層123の第2の結晶軸CA2の方向と反対方向を向いている。これにより、第1の圧電体層121または第2の圧電体層123のいずれか一方のみと、出力電極層122によってβ軸用外力センサー12を構成する場合と比較して、出力電極層122近傍に集まる正電荷または負電荷を増加させることができる。その結果、出力電極層122から出力される電荷Qを増加させることができる。
なお、第1の圧電体層121および第2の圧電体層123の構成材料としては、水晶、トパーズ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等が挙げられる。これらの中でも特に、水晶が好ましい。水晶により構成された圧電体層は、広いダイナミックレンジ、高い剛性、高い固有振動数、高い対荷重性等の優れた特性を有するためである。また、第1の圧電体層121および第2の圧電体層123のように、層の面方向に沿った外力(せん断力)に対して電荷を生ずる圧電体層は、Yカット水晶により構成することができる。
出力電極層122は、第1の圧電体層121内および第2の圧電体層123内に生じた正電荷または負電荷を電荷Qβとして出力する機能を有する。前述のように、第1の圧電体層121の表面または第2の圧電体層123の表面にβ軸の正方向に沿った外力が加えられた場合、出力電極層122近傍には、正電荷が集まる。その結果、出力電極層122からは、正の電荷Qβが出力される。一方、第1の圧電体層121の表面または第2の圧電体層123の表面にβ軸の負方向に沿った外力が加えられた場合、出力電極層122近傍には、負電荷が集まる。その結果、出力電極層122からは、負の電荷Qβが出力される。
また、図示の構成では、出力電極層122、第1の圧電体層121および第2の圧電体層123は、全て等しい幅(図中の左右方向の長さ)を有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、出力電極層122の幅が、第1の圧電体層121および第2の圧電体層123の幅よりも広くてもよいし、その逆であってもよい。なお、後述する出力電極層132、142についても同様である。
γ軸用外力センサー13は、γ軸に沿って加えられた(受けた)外力(圧縮/引張力)に応じて電荷Qγを出力する機能を有する。γ軸用外力センサー13は、γ軸に平行な圧縮力に応じて正電荷を出力し、γ軸に平行な引張力に応じて負電荷を出力するよう構成されている。
γ軸用外力センサー13は、第3の結晶軸CA3を有する第3の圧電体層131と、第3の圧電体層131と対向して設けられ、第4の結晶軸CA4を有する第4の圧電体層133と、第3の圧電体層131と第4の圧電体層133との間に設けられ、電荷Qγを出力する出力電極層132を有する。
第3の圧電体層131は、γ軸の正方向に配向した第3の結晶軸CA3を有する圧電体によって構成されている。第3の圧電体層131の表面に対し、γ軸に平行な圧縮力が加えられた場合、圧電効果により、第3の圧電体層131内に電荷が誘起される。その結果、第3の圧電体層131の出力電極層132側表面近傍には正電荷が集まり、第3の圧電体層131のグランド電極層11側表面近傍には負電荷が集まる。同様に、第3の圧電体層131の表面に対し、γ軸に平行な引張力が加えられた場合、第3の圧電体層131の出力電極層132側表面近傍には負電荷が集まり、第3の圧電体層131のグランド電極層11側表面近傍には正電荷が集まる。
第4の圧電体層133は、γ軸の負方向に配向した第4の結晶軸CA4を有する圧電体によって構成されている。第4の圧電体層133の表面に対し、γ軸に平行な圧縮力が加えられた場合、圧電効果により、第4の圧電体層133内に電荷が誘起される。その結果、第4の圧電体層133の出力電極層132側表面近傍には正電荷が集まり、第4の圧電体層133のグランド電極層11側表面近傍には負電荷が集まる。同様に、第4の圧電体層133の表面に対し、γ軸に平行な引張力が加えられた場合、第4の圧電体層133の出力電極層132側表面近傍には負電荷が集まり、第4の圧電体層133のグランド電極層11側表面近傍には正電荷が集まる。
第3の圧電体層131および第4の圧電体層133の構成材料としては、第1の圧電体層121および第2の圧電体層123と同様の構成材料を用いることができる。また、第3の圧電体層131および第4の圧電体層133のように、層の面方向に垂直な外力(圧縮/引張力)に対して電荷を生ずる圧電体層は、Xカット水晶により構成することができる。
出力電極層132は、第3の圧電体層131内および第4の圧電体層133内に生じた正電荷または負電荷を電荷Qγとして出力する機能を有する。前述のように、第3の圧電体層131の表面または第4の圧電体層133の表面にγ軸に平行な圧縮力が加えられた場合、出力電極層132近傍には、正電荷が集まる。その結果、出力電極層132からは、正の電荷Qγが出力される。一方、第3の圧電体層131の表面または第4の圧電体層133の表面にγ軸に平行な引張力が加えられた場合、出力電極層132近傍には、負電荷が集まる。その結果、出力電極層132からは、負の電荷Qγが出力される。
α軸用外力センサー14は、α軸に沿って加えられた(受けた)外力(せん断力)に応じて電荷Qαを出力する機能を有する。α軸用外力センサー14は、α軸の正方向に沿って加えられた外力に応じて正電荷を出力し、α軸の負方向に沿って加えられた外力に応じて負電荷を出力するよう構成されている。
α軸用外力センサー14は、第5の結晶軸CA5を有する第5の圧電体層141と、第5の圧電体層141と対向して設けられ、第6の結晶軸CA6を有する第6の圧電体層143と、第5の圧電体層141と第6の圧電体層143との間に設けられ、電荷Qαを出力する出力電極層142を有する。
第5の圧電体層141は、α軸の負方向に配向した第5の結晶軸CA5を有する圧電体によって構成されている。第5の圧電体層141の表面に対し、α軸の正方向に沿った外力が加えられた場合、圧電効果により、第5の圧電体層141内に電荷が誘起される。その結果、第5の圧電体層141の出力電極層142側表面近傍には正電荷が集まり、第5の圧電体層141のグランド電極層11側表面近傍には負電荷が集まる。同様に、第5の圧電体層141の表面に対し、α軸の負方向に沿った外力が加えられた場合、第5の圧電体層141の出力電極層142側表面近傍には負電荷が集まり、第5の圧電体層141のグランド電極層11側表面近傍には正電荷が集まる。
第6の圧電体層143は、α軸の正方向に配向した第6の結晶軸CA6を有する圧電体によって構成されている。第6の圧電体層143の表面に対し、α軸の正方向に沿った外力が加えられた場合、圧電効果により、第6の圧電体層143内に電荷が誘起される。その結果、第6の圧電体層143の出力電極層142側表面近傍には正電荷が集まり、第6の圧電体層143のグランド電極層11側表面近傍には負電荷が集まる。同様に、第6の圧電体層143の表面に対し、α軸の負方向に沿った外力が加えられた場合、第6の圧電体層143の出力電極層142側表面近傍には負電荷が集まり、第6の圧電体層143のグランド電極層11側表面近傍には正電荷が集まる。
第5の圧電体層141および第6の圧電体層143の構成材料としては、第1の圧電体層121および第2の圧電体層123と同様の構成材料を用いることができる。また、第5の圧電体層141および第6の圧電体層143のように、層の面方向に沿った外力(せん断力)に対して電荷を生ずる圧電体層は、第1の圧電体層121および第2の圧電体層123と同様に、Yカット水晶により構成することができる。
出力電極層142は、第5の圧電体層141内および第6の圧電体層143内に生じた正電荷または負電荷を電荷Qαとして出力する機能を有する。前述のように、第5の圧電体層141の表面または第6の圧電体層143の表面にα軸の正方向に沿った外力が加えられた場合、出力電極層142近傍には、正電荷が集まる。その結果、出力電極層142からは、正の電荷Qαが出力される。一方、第5の圧電体層141の表面または第6の圧電体層143の表面にα軸の負方向に沿った外力が加えられた場合、出力電極層142近傍には、負電荷が集まる。その結果、出力電極層142からは、負の電荷Qαが出力される。
β軸用外力センサー12、γ軸用外力センサー13、およびα軸用外力センサー14は、各外力センサーの力検出方向が互いに直交するように積層されている。これにより、各外力センサーは、それぞれ、互いに直交する力成分に応じて電荷を誘起することができる。そのため、電荷出力素子10は、3軸(α(X)軸、β(Y)軸、γ(Z)軸)に沿った外力のそれぞれに応じて3つの電荷Qα、Qβ、Qγを出力することができる。
また、Yカット水晶によって構成されるβ軸用外力センサー12、α軸用外力センサー14の単位力当たりの電荷発生量は、例えば、8pC/Nである。一方、Xカット水晶によって構成されるγ軸用外力センサー13の単位力当たりの電荷発生量は、例えば、4pC/Nである。このように、通常、電荷出力素子10のγ軸に平行な外力(圧縮/引張力)に対する感度は、α軸またはβ軸に平行な外力(せん断力)に対する感度以下となる。そのため、通常、電荷出力素子10から出力される電荷Qγは、電荷Qαおよび電荷Qβ以下となる。
また、β軸用外力センサー12、γ軸用外力センサー13、およびα軸用外力センサー14からそれぞれ出力される電荷Qα、Qβ、Qγには、力検出装置1の温度変化に起因するノイズ成分が含まれる。このようなノイズ成分は、主として、外部のモーター等の発熱源からの熱伝達により、第1基部2または第2基部3が加熱され、第1基部2の温度Tbと第2基部3の温度Tcとの間に温度差ΔTが発生することにより発生する。
第1基部2の温度Tbと第2基部3の温度Tcとの間に温度差ΔTがある場合、第1基部2の熱膨張と第2基部3の熱膨張とに差が生じる。この熱膨張の差によって、電荷出力素子10に対する与圧が変化する。この電荷出力素子10に対する与圧変化が、力検出装置1の温度変化に起因するノイズ成分として電荷Qα、Qβ、Qγに含まれてしまう。また、上述のように、通常、電荷出力素子10から出力される電荷Qγは、電荷Qα、Qβと比較して小さいので、電荷Qγに対する力検出装置1の温度変化に起因するノイズ成分の影響は大きい。
<変換出力回路>
図3に示すように、電荷出力素子10には、アナログ回路基板4に実装された変換出力回路90a、90b、90cが接続されている。変換出力回路90aは、電荷出力素子10から出力された電荷Qαを電圧Vαに変換する機能を有する。変換出力回路90bは、電荷出力素子10から出力された電荷Qγを電圧Vγに変換する機能を有する。変換出力回路90cは、電荷出力素子10から出力された電荷Qβを電圧Vβに変換する機能を有する。変換出力回路90a、90b、90cからそれぞれ出力される電圧Vα、Vβ、Vγは、信号として、デジタル回路基板5に実装された外力検出回路40のADコンバーター401に入力される。変換出力回路90a、90b、90cは、同様であるので、以下では、代表的に、変換出力回路90cについて説明する。
変換出力回路90cは、電荷出力素子10から出力された電荷Qβを電圧Vβに変換して電圧Vβを出力する機能を有する。変換出力回路90cは、オペアンプ91と、コンデンサー92と、スイッチング素子93とを有する。オペアンプ91の第1の入力端子(マイナス入力)は、電荷出力素子10の出力電極層122に接続され、オペアンプ91の第2の入力端子(プラス入力)は、グランド(基準電位点)に接地されている。また、オペアンプ91の出力端子は、外力検出回路40に接続されている。コンデンサー92は、オペアンプ91の第1の入力端子と出力端子との間に接続されている。スイッチング素子93は、オペアンプ91の第1の入力端子と出力端子との間に接続され、コンデンサー92と並列接続されている。また、スイッチング素子93は、駆動回路(図示せず)に接続されており、駆動回路からのオン/オフ信号に従い、スイッチング素子93はスイッチング動作を実行する。
スイッチング素子93がオフの場合、電荷出力素子10から出力された電荷Qβは、静電容量C1を有するコンデンサー92に蓄えられ、電圧Vβとして外力検出回路40に出力される。次に、スイッチング素子93がオンになった場合、コンデンサー92の両端子間が短絡される。その結果、コンデンサー92に蓄えられた電荷Qβは、放電されて0クーロンとなり、外力検出回路40に出力される電圧Vは、0ボルトとなる。スイッチング素子93がオンとなることを、変換出力回路90cをリセットするという。なお、理想的な変換出力回路90cから出力される電圧Vβは、電荷出力素子10から出力される電荷Qβの蓄積量に比例する。
スイッチング素子93は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の半導体スイッチング素子である。半導体スイッチング素子は、機械式スイッチと比べて小型および軽量であるので、力検出装置1の小型化および軽量化に有利である。以下、代表例として、スイッチング素子93としてMOSFETを用いた場合を説明する。
スイッチング素子93は、ドレイン電極、ソース電極、およびゲート電極を有している。スイッチング素子93のドレイン電極またはソース電極の一方がオペアンプ91の第1の入力端子に接続され、ドレイン電極またはソース電極の他方がオペアンプ91の出力端子に接続されている。また、スイッチング素子93のゲート電極は、駆動回路(図示せず)に接続されている。
各変換出力回路90a、90b、90cのスイッチング素子93には、同一の駆動回路が接続されていてもよいし、それぞれ異なる駆動回路が接続されていてもよい。各スイッチング素子93には、駆動回路から、全て同期したオン/オフ信号が入力される。これにより、各変換出力回路90a、90b、90cのスイッチング素子93の動作が同期する。すなわち、各変換出力回路90a、90b、90cのスイッチング素子93のオン/オフタイミングは一致する。
また、変換出力回路90a、90b、90cのような電圧変換機能を有する回路において、コンデンサー92の静電容量を小さくすると、電圧変換感度が向上するが、飽和電荷量が小さくなる。上述のように、通常、γ軸用外力センサー13から出力される電荷Qγは、β軸用外力センサー12およびα軸用外力センサー14から出力される電荷Qαおよび電荷Qβ以下である。したがって、電荷Qγに対する感度の観点からは、変換出力回路90bのコンデンサー92の静電容量C2は、変換出力回路90a、90cのコンデンサー92の静電容量C1以下であることが好ましい。これにより、電荷Qγを正確に電圧Vγに変換することができる。
なお、上述のように、電荷出力素子10から出力される電荷Qα、Qβ、Qγには、力検出装置1の温度変化に起因するノイズ成分が含まれているので、電荷Qα、Qβ、Qγをそれぞれ変換して得られた電圧Vα、Vβ、Vγにも、力検出装置1の温度変化に起因するノイズ成分が含まれることとなる。
<温度センサー>
第1の温度センサー7aは、第1基部2に設けられ、第1基部2の温度Tbを検出し、外力検出回路40に第1基部2の温度Tbを、信号として伝達する機能を有する。第2の温度センサー7bは、第2基部3に設けられ、第2基部3の温度Tcを検出し、外力検出回路40に第1基部2の温度Tbを、信号として伝達する機能を有する。
図3に示すように、第1の温度センサー7aから出力される第1基部2の温度Tbおよび第2の温度センサー7bから出力される第2基部3の温度Tcは、デジタル回路基板5に実装された外力検出回路40のADコンバーター401に入力される。
第1の温度センサー7aおよび第2の温度センサー7bは、それぞれ、第1基部2および第2基部3の温度を検出可能なセンサーであれば特に限定されない。例えば、第1の温度センサー7aおよび第2の温度センサー7bとして、熱電対、測温抵抗体やサーミスタ等を用いることができる。
図1および図2の構成では、第1の温度センサー7aは、第1基部2の第2基部3と対向する側の面上に設けられているが、本発明はこれに限られない。第1の温度センサー7aは、第1基部2の温度Tbを検出できるのであれば、第1基部2のもう一方の面上、第1基部2の側面上、第1の凸部21の側面上、第1の基部2の内部等に設けられていてもよい。このように、第1の温度センサー7aは、第1基部2の如何なる場所に設けられていてもよいが、第1の温度センサー7aは、センサーデバイス6の近傍に設けられていることが好ましい。ここでいう「近傍」とは、第1の温度センサー7aが設けられている領域(第1基部2の表面)の温度と、センサーデバイス6に接している領域(センサーデバイス6と接している第1の凸部21の表面)の温度との差が実質的に無視できる程度になる範囲のことをいう。これにより、センサーデバイス6の出力に影響を与える第1基部2の温度Tbの変化をより正確に検出することができる。
同様に、第2の温度センサー7bは、第2基部3の第1基部2と対向する側の面上に設けられているが、本発明はこれに限られない。第2の温度センサー7bは、第2基部3の温度Tcを検出できるのであれば、第2基部3のもう一方の面上、第2基部3の側面上、第2基部3の内部等に設けられていてもよい。このように、第2の温度センサー7bは、第2基部3の如何なる場所に設けられていてもよいが、第2の温度センサー7bは、センサーデバイス6の近傍に設けられていることが好ましい。ここでいう「近傍」とは、第2の温度センサー7bが設けられている領域(第2基部3の表面)の温度と、センサーデバイス6に接している領域(センサーデバイス6と接している第2基部3の表面)の温度との差が実質的に無視できる程度になる範囲のことをいう。これにより、センサーデバイス6の出力に影響を与える第2基部3の温度Tcの変化をより正確に検出することができる。
<外力検出回路>
外力検出回路40は、変換出力回路90aから出力される電圧Vαと、変換出力回路90bから出力される電圧Vγと、変換出力回路90cから出力される電圧Vβと、第1の温度センサー7aから出力される温度Tbと、第2の温度センサー7bから出力される温度Tcとに基づき、加えられた外力を検出する機能を有する。外力検出回路40は、変換出力回路90a、90b、90cと、第1の温度センサー7aと、第2の温度センサー7bに接続されたADコンバーター401と、ADコンバーター401に接続された演算部402と、演算部402に接続された補正値記憶部403を有する。
ADコンバーター401は、電圧Vα、Vβ、Vγおよび温度Tb、Tcをアナログ信号からデジタル信号へ変換する機能を有する。ADコンバーター401によってデジタル変換された電圧Vα、Vβ、Vγおよび温度Tb、Tcは、演算部402に入力される。演算部402は、デジタル変換された電圧Vα、Vβ、Vγおよび温度Tb、Tcに基づき、電荷出力素子10に加えられた3軸力(せん断力Fx、Fyおよび圧縮/引張力Fz)を算出する。
第1基部2の温度Tbと、第2基部3の温度Tcとの間に温度差ΔTが存在する場合の、電圧Vα、Vβ、Vγに含まれる温度変化に起因する素子のノイズ成分は、予め測定されており、補正値Gα、Gβ、Gαとして温度差ΔTを関連付けられた状態で、補正値記憶部403内に保存されている。温度差ΔTと補正値Gα、Gβ、Gγの関係は、補正値記憶部403内に、例えば、ルックアップテーブル等の形式で記憶されている。演算部402は、第1基部2の温度Tbと第2基部3の温度Tcとに基づき、温度差ΔTを算出した後、補正値記憶部403を参照することで、適切な補正値Gα、Gβ、Gγを得ることができる。
演算部402は、電圧Vα、Vβ、Vγおよび補正値Gα、Gβ、Gγに基づき、3軸力、すなわち、x軸方向の並進力成分Fx、y軸方向の並進力成分Fy、z軸方向の並進力成分Fzを以下の式により算出する。
Fx=Vα−Gα
Fy=Vβ−Gβ
Fz=Vγ−Gγ
このように、電圧Vα、Vβ、Vγを補正値Gα、Gβ、Gγを用いて補正することにより、力検出装置1の温度変化に起因するノイズ成分を除去または減少させることができる。そのため、力検出装置1の測定精度を向上させることができる。さらに、本発明に係る力検出装置1では、力検出装置1の温度変化に起因する電圧Vα、Vβ、Vγのノイズ成分を除去または減少するための補正値Gα、Gβ、Gγを求めるためのサブセンサーデバイスが不要である。そのため、サブセンサーデバイスを設けるためのスペースを確保する必要がなくなり、力検出装置1を小型化することができる。また、補正値Gα、Gβ、Gγを求めるためのサブセンサーの出力特性と、外力検出用のセンサーデバイス6の出力特性とを一致させるための部品精度管理も不要となるため、部品の製造・管理コストを減少させることができる。
<第2実施形態>
図5は、本発明に係る力検出装置の第2実施形態を示す断面図である。図6(a)は、図5に示す力検出装置の平面図である。図6(b)は、各センサーデバイス6の電圧Vα、Vβ、Vγの検出方向を示す概念図である。図7は、図5に示す力検出装置を概略的に示す回路図である。なお、以下では、説明の都合上、図5、6中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」、左側を「左」または「左方」と言う。なお、図5は、図6(a)に示すA−A線断面図である。また、図6(a)では、説明のため、第2基部3が省略されている。図6(b)では、説明のため、第1基部2の角筒状部22およびセンサーデバイス6を除く構成要素が省略されている。
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図5、図6および図7に示す、本実施形態の力検出装置1は、6軸力(x、y、z軸方向の並進力成分およびx、y、z軸周りの回転力成分)を検出する機能を有する。本実施形態の力検出装置1は、第1基部2と、第2基部3との間に、第1基部2に対して垂直な状態(第1基部2の第2基部3に対向する面に対して垂直な状態)で設けられた4つのセンサーデバイス6と、各センサーデバイス6の近傍に設けられた4つの第1の温度センサー7aと、4つの第2の温度センサー7bとを有している。
<第1基部および第2基部>
図6(a)に示すように、第1基部2は、平面視において、角が切欠けされた(R付された)略四角形の形状を有している。また、図6では省略されているが、第2基部3も同様の形状を有している。第1基部2は、第1基部2の第2基部3と対向する面上に設けられた角筒状部22と、角筒状部22の外周面上に設けられた4つの第1の凸部21とを有している。
角筒状部22は、平面視において中央部分が空洞の略矩形状の形状を有する部材である。角筒状部22は、第1基部2と一体的に形成されていてもよく、また、別部材で形成されていてもよい。角筒状部22の外周面上には、4つの第1の凸部21が第1基部2の第2基部3と対向する面に対して平行に突出するように設けられている。第1の凸部21は、角筒状部22と一体的に形成されていてもよく、また、別部材で形成されていてもよい。角筒状部22の外周面上に設けられた4つの第1の凸部21は、それぞれ、図6(a)において、角筒状部22の上下左右の外周面(4辺外側)における中央部に設けられている。
図5および図6(a)に示すように、第2基部3は、第1基部2と対向する面上に設けられた4つの第2の凸部31を有している。4つの第2の凸部31のそれぞれは、第1基部2と第2基部3とを対向するよう配置したとき、第1基部2の角筒状部22の外周面の4辺に対して対向するよう形成されている。また、図5に示すように、第2基部3の第1基部2と対向する面側には、デジタル回路基板5が設けられている。
また、角筒状部22の外周面に設けられた4つの第1の凸部21上には、それぞれ、センサーデバイス6が配置されている。そのため、本実施形態では、4つのセンサーデバイス6は、第1基部2の第2基部3に対向する面に対して垂直な状態で、配置されている。第2基部3の第2の凸部31のそれぞれと、第1基部2の角筒状部22の外周面の4辺のそれぞれとは、2つの与圧ボルト81により、互いに所定量の変位(移動)が可能なように固定される。このため、各センサーデバイス6を、第2基部3の第2の凸部31と第1基部2の第1の凸部21との間で挟持することができる。また、各センサーデバイス6の電圧Vα、Vβ、Vγの検出方向は、図6(b)に示すような配置になっている。
また、角筒状部22の内周面上であって、第1の凸部21が形成されている箇所に対応する箇所(角筒状部22を介して第1の凸部21と対向する箇所)のそれぞれには、第1の温度センサー7aが配置されている。さらに、第2の凸部31の第1基部2の角筒状部22に対向する面の反対側の面上であって、センサーデバイス6に対応する箇所(第2の凸部31を介してセンサーデバイス6と対向する箇所)のそれぞれには、第2の温度センサー7bが配置されている。
このように、センサーデバイス6の数と等しい数(本実施形態では4つ)の第1の温度センサー7aおよび第2の温度センサー7bを、各センサーデバイス6の近傍に設けることにより、各センサーデバイス6に影響を与える第1基部2の温度Tbおよび第2基部3の温度Tcより正確に検出することができる。
なお、角筒状部22の外周面に設けられた4つの第1の凸部21の位置、すなわち、各センサーデバイス6の位置は、特に限定されないが、本実施形態では、各センサーデバイス6、すなわち、各電荷出力素子10は、第1基部2、第2基部3の周方向に、等角度間隔(90°間隔)に配置されている。これにより、偏りなく外力を検出することができる。
また、第2基部3の第2の凸部31のそれぞれと、第1基部2の角筒状部22の外周面との間には、与圧ボルト81によって、アナログ回路基板4が固定されている。アナログ回路基板4と各センサーデバイス6とは、端子63によって電気的に接続されている。また、各アナログ回路基板4、第1の温度センサー7aおよび第2の温度センサー7bとデジタル回路基板5とは図示しない配線によって電気的に接続されている。
センサーデバイス6の数は、前記4つに限定されるものではなく、例えば、2つ、3つ、または5つ以上でもよい。但し、センサーデバイス6の数は、複数であることが好ましく、3つ以上であることがより好ましい。なお、力検出装置1は、少なくとも4つのセンサーデバイス6を有していれば、6軸力を検出可能である。また、センサーデバイス6が図示のように4つの場合、後述する非常に単純な演算によって6軸力を求めることができるので、演算部402を簡略化することができる。
<外力検出回路>
外力検出回路40は、各変換出力回路90aから出力される電圧Vα1、Vα2、Vα3、Vα4と、各変換出力回路90bから出力される電圧Vγ1、Vγ2、Vγ3、Vγ4と、各変換出力回路90cから出力される電圧Vβ1、Vβ2、Vβ3、Vβ4と、第1の温度センサー7aのそれぞれから出力された第1基部2の温度Tb1、Tb2、Tb3、Tb4と、第2の温度センサー7bのそれぞれから出力された第2基部3の温度Tc1、Tc2、Tc3、Tc4とに基づき、6軸力(x、y、z軸方向の並進力成分およびx、y、z軸周りの回転力成分)を検出する機能を有する。図7に示すように、外力検出回路40は、変換出力回路90a、90b、90cと、第1の温度センサー7aと、第2の温度センサー7bとに接続されたADコンバーター401と、ADコンバーター401に接続された演算部402と、演算部402に接続された補正値記憶部403とを有する。
ADコンバーター401は、電圧Vα1、Vβ1、Vγ1、Vα2、Vβ2、Vγ2、Vα3、Vβ3、Vγ3、Vα4、Vβ4、Vγ4と、温度Tb1、Tb2、Tb3、Tb4、Tc1、Tc2、Tc3、Tc4をアナログ信号からデジタル信号へ変換する機能を有する。ADコンバーター401によってデジタル変換された電圧Vα1、Vβ1、Vγ1、Vα2、Vβ2、Vγ2、Vα3、Vβ3、Vγ3、Vα4、Vβ4、Vγ4および温度Tb1、Tb2、Tb3、Tb4、Tc1、Tc2、Tc3、Tc4は、演算部402に入力される。
演算部402は、デジタル変換された電圧Vα1、Vβ1、Vγ1、Vα2、Vβ2、Vγ2、Vα3、Vβ3、Vγ3、Vα4、Vβ4、Vγ4および温度Tb1、Tb2、Tb3、Tb4、Tc1、Tc2、Tc3、Tc4に基づき、電荷出力素子10に加えられた6軸力を算出する。
演算部402は、最初に、温度Tb1、Tb2、Tb3、Tb4、Tc1、Tc2、Tc3、Tc4から、温度差ΔT1=Tb1−Tc1、ΔT2=Tb2−Tc2、ΔT3=Tb3−Tc3、およびΔT4=Tb4−Tc4を算出する。次に、演算部402は、補正値記憶部403を参照することで、温度差ΔT1に対応した補正値Gα1、Gβ1、Gγ1、温度差ΔT2に対応した補正値Gα2、Gβ2、Gγ2、温度差ΔT3に対応した補正値Gα3、Gβ3、Gγ3、および温度差ΔT4に対応した補正値Gα4、Gβ4、Gγ4を得ることができる。
次に、演算部402は、得られた補正値Gα1、Gβ1、Gγ1を用いて、電圧Vα1、Vβ1、Vγ1を、以下のように補正し、補正された電圧Vαt1、Vβt1、Vγt1を得る。同様に、演算部402は、補正された電圧Vαt2、Vβt2、Vγt2、補正された電圧Vαt3、Vβt3、Vγt3、および電圧Vα4、Vβ4、Vγ4から補正された電圧Vαt4、Vβt4、Vγt4を得る。
Vαt1=Vα1−Gα1
Vβt1=Vβ1−Gβ1
Vγt1=Vγ1−Gγ1
Vαt2=Vα2−Gα2
Vβt2=Vβ2−Gβ2
Vγt2=Vγ2−Gγ2
Vαt3=Vα3−Gα3
Vβt3=Vβ3−Gβ3
Vγt3=Vγ3−Gγ3
Vαt4=Vα4−Gα4
Vβt4=Vβ4−Gβ4
Vγt4=Vγ4−Gγ4
このように、補正された電圧Vαt1、Vβt1、Vγt1、Vα2、Vβ2、Vγ2、Vαt3、Vβt3、Vγt3、Vαt4、Vβt4、Vγt4を得ることにより、力検出装置1の温度変化に起因するノイズ成分を除去または減少させることができる。
次に、演算部402は、補正された電圧Vαt1、Vβt1、Vγt1、Vα2、Vβ2、Vγ2、Vαt3、Vβt3、Vγt3、Vαt4、Vβt4、Vγt4に基づき、x軸方向の並進力成分Fx、y軸方向の並進力成分Fy、z軸方向の並進力成分Fz、x軸周りの回転力成分Mx、y軸周りの回転力成分My、z軸周りの回転力成分Mzを演算する。各力成分は、以下の式により求めることができる。
Fx=Vγt1−Vβt2−Vγt3+Vβt4
Fy=Vβt1+Vγt2−Vβt3−Vγt4
Fz=Vαt1+Vαt2+Vαt3+Vαt4
Mx=a×(Vαt4−Vαt2)
My=b×(Vαt3−Vαt1)
Mz=a×(Vβt4+Vβt2)+b×(Vβt3+Vβt1)
ここで、a、bは定数である。
このように、力検出装置1は、6軸力を検出することができる。また、上記式からわかるように、補正された電圧Vγt1、Vγt2、Vγt3、Vγt4が全て0である場合であっても、6軸力(Fx、Fy、Fz、Mx、My、Mz)を算出することができる。すなわち、補正された電圧Vαt1、Vαt2、Vαt3、Vαt4、Vβt1、Vβt2、Vβt3、Vβt4のみを用いて、6軸力を算出することができる。
上述のように補正された電圧Vαt1、Vαt2、Vαt3、Vαt4、Vβt1、Vβt2、Vβt3、Vβt4に対する温度変化に起因するノイズ成分の影響は、補正された電圧Vγt1、Vγt2、Vγt3、Vγt4に対する温度変化に起因するノイズ成分の影響よりも小さい。そのため、補正された電圧Vαt1、Vαt2、Vαt3、Vαt4、Vβt1、Vβt2、Vβt3、Vβt4のみを用いて、6軸力を検出することにより、第1基部2および第2基部3の温度変化等に起因する変形による各力検出装置に対する与圧変化の影響をさらに低減しつつ、6軸力を検出することができる。
<第3実施形態>
図8は、本発明に係る力検出装置の第3実施形態を示す平面図である。図9は、図8中のA−A線での断面図である。以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8および図9に示す、本実施形態の力検出装置1は、6軸力(x、y、z軸方向の並進力成分およびx、y、z軸周りの回転力成分)を検出する機能を有する。本実施形態の力検出装置1は、第1基部2と、第2基部3との間に、第1基部2に対して平行な状態(第1基部2の第2基部3に対向する面に対して平行な状態)で設けられた4つのセンサーデバイス6と、各センサーデバイス6の近傍に設けられた4つの第1の温度センサー7aと、4つの第2の温度センサー7bとを有している。各センサーデバイス6の電圧Vα、Vβ、Vγの検出方向は、図8に示すような配置になっている。
このように、センサーデバイス6を第1基部2に対して平行な状態で配置することにより、力検出装置1の高さを低減することができる。また、この場合、演算部402は、補正された電圧Vαt1、Vβt1、Vγt1、Vα2、Vβ2、Vγ2、Vαt3、Vβt3、Vγt3、Vαt4、Vβt4、Vγt4に基づき、x軸方向の並進力成分Fx、y軸方向の並進力成分Fy、z軸方向の並進力成分Fz、x軸周りの回転力成分Mx、y軸周りの回転力成分My、z軸周りの回転力成分Mzを演算する。各力成分は、以下の式により求めることができる。
Fx=Vαt1+Vβt2−Vαt3−Vβt4
Fy=Vβt1−Vαt2−Vβt3+Vαt4
Fz=Vγt1+Vγt2+Vγt3+Vγt4
Mx=b×(Vγt4−Vγt2)
My=a×(Vγt3−Vγt1)
Mz=b×(Vβt2+Vβt4)+a×(Vβt1+Vβt3)
ここで、a、bは定数である。
<単腕ロボットの実施形態>
次に、図10に基づき、本発明に係るロボットの実施形態である単腕ロボットを説明する。以下、本実施形態について、前述した第1、第2および第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図10は、本発明に係る力検出装置を用いた単腕ロボットの1例を示す図である。図10の単腕ロボット500は、基台510と、アーム520と、アーム520の先端側に設けられたエンドエフェクタ530と、アーム520とエンドエフェクタ530との間に設けられた力検出装置100とを有する。なお、力検出装置100としては、前述した各実施形態と同様のものを用いる。
基台510は、アーム520を回動させるための動力を発生させるアクチュエーター(図示せず)およびアクチュエーターを制御する制御部(図示せず)等を収納する機能を有する。また、基台510は、例えば、床、壁、天井、移動可能な台車上などに固定される。
アーム520は、第1のアーム要素521、第2のアーム要素522、第3のアーム要素523、第4のアーム要素524および第5のアーム要素525を有しており、隣り合うアーム同士を回動自在に連結することにより構成されている。アーム520は、制御部の制御によって、各アーム要素の連結部を中心に複合的に回転または屈曲することにより駆動する。
エンドエフェクタ530は、対象物を把持する機能を有する。エンドエフェクタ530は、第1の指531および第2の指532を有している。アーム520の駆動によりエンドエフェクタ530が所定の動作位置まで到達した後、第1の指531および第2の指532の離間距離を調整することにより、対象物を把持することができる。
なお、エンドエフェクタ530は、ここでは、ハンドであるが、本発明では、これに限定されるものではない。エンドエフェクタの他の例としては、例えば、部品検査用器具、部品搬送用器具、部品加工用器具、部品組立用器具、測定器等が挙げられる。これは、他の実施形態におけるエンドエフェクタについても同様である。
力検出装置100は、エンドエフェクタ530に加えられる外力を検出する機能を有する。力検出装置100が検出する力を基台510の制御部にフィードバックすることにより、単腕ロボット500は、より精密な作業を実行することができる。また、力検出装置100が検出する力によって、単腕ロボット500は、エンドエフェクタ530の障害物への接触等を検知することができる。そのため、従来の位置制御では困難だった障害物回避動作、対象物損傷回避動作等を容易に行うことができ、単腕ロボット500は、より安全に作業を実行することができる。さらに、本発明に係る力検出装置100では、温度補償のためのサブセンサーデバイスが不要なので、力検出装置100を小型化できる。そのため、単腕ロボット500を小型化することができる。
なお、図示の構成では、アーム520は、合計5本のアーム要素によって構成されているが、本発明はこれに限られない。アーム520が、1本のアーム要素に構成されている場合、2〜4本のアーム要素によって構成されている場合、6本以上のアーム要素によって構成されている場合も本発明の範囲内である。
<複腕ロボットの実施形態>
次に、図11に基づき、本発明に係るロボットの実施形態である複腕ロボットを説明する。以下、本実施形態について、前述した第1、第2、第3および第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図11は、本発明に係る力検出装置を用いた複腕ロボットの1例を示す図である。図11の複腕ロボット600は、基台610と、第1のアーム620と、第2のアーム630と、第1のアーム620の先端側に設けられた第1のエンドエフェクタ640aと、第2のアーム630の先端側に設けられた第2のエンドエフェクタ640bと、第1のアーム620と第1のエンドエフェクタ640a間および第2のアーム630と第2のエンドエフェクタ640bとの間に設けられた力検出装置100を有する。なお、力検出装置100としては、前述した各実施形態と同様のものを用いる。
基台610は、第1のアーム620および第2のアーム630を回動させるための動力を発生させるアクチュエーター(図示せず)およびアクチュエーターを制御する制御部(図示せず)等を収納する機能を有する。また、基台610は、例えば、床、壁、天井、移動可能な台車上などに固定される。
第1のアーム620は、第1のアーム要素621および第2のアーム要素622を回動自在に連結することにより構成されている。第2のアーム630は、第1のアーム要素631および第2のアーム要素632を回動自在に連結することにより構成されている。第1のアーム620および第2のアーム630は、制御部の制御によって、各アーム要素の連結部を中心に複合的に回転または屈曲することにより駆動する。
第1、第2のエンドエフェクタ640a、640bは、対象物を把持する機能を有する。第1のエンドエフェクタ640aは、第1の指641aおよび第2の指642aを有している。第2のエンドエフェクタ640bは、第1の指641bおよび第2の指642bを有している。第1のアーム620の駆動により第1のエンドエフェクタ640aが所定の動作位置まで到達した後、第1の指641aおよび第2の指642aの離間距離を調整することにより、対象物を把持することができる。同様に、第2のアーム630の駆動により第2のエンドエフェクタ640bが所定の動作位置まで到達した後、第1の指641bおよび第2の指642bの離間距離を調整することにより、対象物を把持することができる。
力検出装置100は第1、第2のエンドエフェクタ640a、640bに加えられる外力を検出する機能を有する。力検出装置100が検出する力を基台610の制御部にフィードバックすることにより、複腕ロボット600は、より精密に作業を実行することができる。また、力検出装置100が検出する力によって、複腕ロボット600は、第1、第2のエンドエフェクタ640a、640bの障害物への接触等を検知することができる。そのため、従来の位置制御では困難だった障害物回避動作、対象物損傷回避動作等を容易に行うことができ、複腕ロボット600は、より安全に作業を実行することができる。さらに、本発明に係る力検出装置100では、温度補償のためのサブセンサーデバイスが不要なので、力検出装置100を小型化できる。そのため、複腕ロボット600を小型化することができる。
なお、図示の構成では、アームは合計2本であるが、本発明はこれに限られない。複腕ロボット600が3本以上のアームを有している場合も、本発明の範囲内である。
<電子部品検査装置および電子部品搬送装置の実施形態>
次に、図12、図13に基づき、本発明の実施形態である電子部品検査装置および電子部品搬送装置を説明する。以下、本実施形態について、前述した第1、第2および第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図12は、本発明に係る力検出装置を用いた電子部品検査装置および部品搬送装置の1例を示す図である。図13は、本発明に係る力検出装置を用いた電子部品搬送装置の1例を示す図である。
図12の電子部品検査装置700は、基台710と、基台710の側面に立設された支持台720とを有する。基台710の上面には、検査対象の電子部品711が載置されて搬送される上流側ステージ712uと、検査済みの電子部品711が載置されて搬送される下流側ステージ712dとが設けられている。また、上流側ステージ712uと下流側ステージ712dとの間には、電子部品711の姿勢を確認するための撮像装置713と、電気的特性を検査するために電子部品711がセットされる検査台714とが設けられている。なお、電子部品711の例として、半導体、半導体ウェハー、CLDやOLED等の表示デバイス、水晶デバイス、各種センサー、インクジェットヘッド、各種MEMSデバイス等などが挙げられる。
また、支持台720には、基台710の上流側ステージ712uおよび下流側ステージ712dと平行な方向(Y方向)に移動可能にYステージ731が設けられており、Yステージ731からは、基台710に向かう方向(X方向)に腕部732が延設されている。また、腕部732の側面には、X方向に移動可能にXステージ733が設けられている。また、Xステージ733には、撮像カメラ734と、上下方向(Z方向)に移動可能なZステージを内蔵した電子部品搬送装置740が設けられている。また、電子部品搬送装置740の先端側には、電子部品711を把持する把持部741が設けられている。また、電子部品搬送装置740の先端と、把持部741との間には、力検出装置100が設けられている。更に、基台710の前面側には、電子部品検査装置700の全体の動作を制御する制御装置750が設けられている。なお、力検出装置100としては、前述した各実施形態と同様のものを用いる。
電子部品検査装置700は、以下のようにして電子部品711の検査を行う。最初に、検査対象の電子部品711は、上流側ステージ712uに載せられて、検査台714の近くまで移動する。次に、Yステージ731およびXステージ733を動かして、上流側ステージ712uに載置された電子部品711の真上の位置まで電子部品搬送装置740を移動させる。このとき、撮像カメラ734を用いて電子部品711の位置を確認することができる。そして、電子部品搬送装置740内に内蔵されたZステージを用いて電子部品搬送装置740を降下させ、把持部741で電子部品711を把持すると、そのまま電子部品搬送装置740を撮像装置713の上に移動させて、撮像装置713を用いて電子部品711の姿勢を確認する。次に、電子部品搬送装置740に内蔵されている微調整機構を用いて電子部品711の姿勢を調整する。そして、電子部品搬送装置740を検査台714の上まで移動させた後、電子部品搬送装置740に内蔵されたZステージを動かして電子部品711を検査台714の上にセットする。電子部品搬送装置740内の微調整機構を用いて電子部品711の姿勢が調整されているので、検査台714の正しい位置に電子部品711をセットすることができる。次に、検査台714を用いて電子部品711の電気的特性検査が終了した後、今度は検査台714から電子部品711を取り上げ、Yステージ731およびXステージ733を動かして、下流側ステージ712d上まで電子部品搬送装置740を移動させ、下流側ステージ712dに電子部品711を置く。最後に、下流側ステージ712dを動かして、検査が終了した電子部品711を所定位置まで搬送する。
図13は、力検出装置100を含む電子部品搬送装置740を示す図である。電子部品搬送装置740は、把持部741と、把持部741に接続された6軸力検出装置100と、6軸力検出装置100を介して把持部741に接続された回転軸742と、回転軸742に回転可能に取り付けられた微調整プレート743を有する。また、微調整プレート743は、ガイド機構(図示せず)によってガイドされながら、X方向およびY方向に移動可能である。
また、回転軸742の端面に向けて、回転方向用の圧電モーター744θが搭載されており、圧電モーター744θの駆動凸部(図示せず)が回転軸742の端面に押しつけられている。このため、圧電モーター744θを動作させることによって、回転軸742(および把持部741)をθ方向に任意の角度だけ回転させることが可能である。また、微調整プレート743に向けて、X方向用の圧電モーター744xと、Y方向用の圧電モーター744yとが設けられており、それぞれの駆動凸部(図示せず)が微調整プレート743の表面に押しつけられている。このため、圧電モーター744xを動作させることによって、微調整プレート743(および把持部741)をX方向に任意の距離だけ移動させることができ、同様に、圧電モーター744yを動作させることによって、微調整プレート743(および把持部741)をY方向に任意の距離だけ移動させることが可能である。
また、検出装置100は、把持部741に加えられる外力を検出する機能を有する。力検出装置100が検出する力を制御装置750にフィードバックすることにより、電子部品搬送装置740および電子部品検査装置700は、より精密に作業を実行することができる。また、力検出装置100が検出する力によって、把持部741の障害物への接触等を検知することができる。そのため、従来の位置制御では困難だった障害物回避動作、対象物損傷回避動作等を容易に行うことができ、電子部品搬送装置740および電子部品検査装置700は、より安全な作業を実行可能である。
<部品加工装置の実施形態>
次に、図14に基づき、本発明に係る部品加工装置の実施形態を説明する。以下、本実施形態について、前述した第1、第2および第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図14は、本発明に係る力検出装置を用いた部品加工装置の1例を示す図である。図14の部品加工装置800は、基台810と、基台810の上面に起立形成された支柱820と、支柱820の側面に設けられた送り機構830と、送り機構830に昇降可能に取り付けられた工具変位部840と、工具変位部840に接続された力検出装置100と、力検出装置1を介して工具変位部840に装着された工具850を有する。なお、力検出装置100としては、前述した各実施形態と同様のものを用いる。
基台810は、被加工部品860を載置し、固定するための台である。支柱820は、送り機構830を固定するための柱である。送り機構830は、工具変位部840を昇降させる機能を有する。送り機構830は、送り用モーター831と、送り用モーター831からの出力に基づいて工具変位部840を昇降させるガイド832を有する。工具変位部840は、工具850に回転、振動等の変位を与える機能を有する。工具変位部840は、変位用モーター841と、変位用モーター841に連結された主軸(図示せず)の先端に設けられた工具取付け部843と、工具変位部840に取り付けられ主軸を保持する保持部842とを有する。工具850は、工具変位部840の工具取付け部843に、力検出装置1を介して取り付けられ、工具変位部840から与えられる変位に応じて被加工部品860を加工するために用いられる。工具850は、特に限定されないが、例えば、レンチ、プラスドライバー、マイナスドライバー、カッター、丸のこ、ニッパ、錐、ドリル、フライス等である。
力検出装置100は、工具850に加えられる外力を検出する機能を有する。力検出装置100が検出する外力を送り用モーター831や変位用モーター841にフィードバックすることにより、部品加工装置800は、より精密に部品加工作業を実行することができる。また、力検出装置100が検出する外力によって、工具850の障害物への接触等を検知することができる。そのため、工具850に障害物等が接触した場合に緊急停止することができ、部品加工装置800は、より安全な部品加工作業を実行可能である。
<移動体の実施形態>
次に、図15に基づき、本発明に係る移動体の実施形態を説明する。以下、本実施形態について、前述した第1、第2および第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図15は、本発明に係る力検出装置を用いた移動体の1例を示す図である。図15の移動体900は、与えられた動力により移動することができる。移動体900は、特に限定されないが、例えば、自動車、バイク、飛行機、船、電車等の乗り物、2足歩行ロボット、車輪移動ロボット等のロボット等である。
移動体900は、本体910(例えば、乗り物の筐体、ロボットのメインボディー等)と、本体910を移動させるための動力を供給する動力部920と、本体910の移動により発生する外力を検出する本発明に係る力検出装置100と、制御部930を有する。なお、力検出装置100としては、前述した各実施形態と同様のものを用いる。
動力部920から供給された動力によって本体910が移動すると、移動に伴い振動や加速度等が生じる。力検出装置100は、移動に伴い生じた振動や加速度等による外力を検出する。力検出装置100によって検出された外力は、制御部930に伝達される。制御部930は、力検出装置100から伝達された外力に応じて動力部920等を制御することにより、姿勢制御、振動制御および加速制御等の制御を実行することができる。さらに、本発明の力検出装置100では、温度補償のためのサブセンサーデバイスが不要なので、力検出装置100を小型化できる。そのため、移動体900を小型化することができる。
また、本発明に係る力検出装置では、最大検出荷重は250N、最大検出モーメントは180Nm、最小検出モーメントは0.00016Nm、破壊荷重は1000N以上、ヒステリシス特性は2%以下である高性能を有する。
以上、本発明に係る力検出装置、力検出装置、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、部品加工装置および移動体を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、前記実施形態では、外力に応じて信号を出力する素子として、水晶圧電体を用いたものを使用しているが、本発明では、加えられる外力に応じて出力が変化するものであればこれに限定されず、その他、例えば、感圧導電体等を用いたものが挙げられる。
また、本発明では、与圧ボルトに替えて、例えば、素子に与圧を加える機能を有してないものを用いてもよく、また、ボルト以外の固定方法を採用してもよい。
また、本発明に係るロボットは、アームを有していれば、アーム型ロボット(ロボットアーム)に限定されず、他の形式のロボット、例えば、スカラーロボット、脚式歩行(走行)ロボット等であってもよい。
また、本発明に係る力検出装置は、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、部品加工装置および移動体に限らず、他の装置、例えば、他の搬送装置、他の検査装置、振動計、加速度計、重力計、動力計、地震計、傾斜計等の測定装置、入力装置等にも適用することができる。
1、100…力検出装置 2…第1基部 21…第1の凸部 22…角筒状部 25…雌ネジ 3…第2基部 31…第2の凸部 35…孔 4…アナログ回路基板 40…外力検出回路 401…ADコンバーター 402…演算部 403…補正値記憶部 41、42…孔 5…デジタル回路基板 51、52…孔 6…センサーデバイス 60…パッケージ 61…基部 62…蓋体 63…端子 7a…第1の温度センサー 7b…第2の温度センサー 81…与圧ボルト 815…頭部 816…雄ネジ 90a、90b、90c…変換出力回路 91…オペアンプ 92…コンデンサー 93…スイッチング素子 10…電荷出力素子(素子) 11…グランド電極層 12…β軸用外力センサー 121…第1の圧電体層 122…出力電極層 123…第2の圧電体層 13…γ軸用外力センサー 131…第3の圧電体層 132…出力電極層 133…第4の圧電体層 14…α軸用外力センサー 141…第5の圧電体層 142…出力電極層 143…第6の圧電体層 500…単腕ロボット 510…基台 520…アーム 521…第1のアーム要素 522…第2のアーム要素 523…第3のアーム要素 524…第4のアーム要素 525…第5のアーム要素 530…エンドエフェクタ 531…第1の指 532…第2の指 600…複腕ロボット 610…基台 620…第1のアーム 621…第1のアーム要素 622…第2のアーム要素 630…第2のアーム 631…第1のアーム要素 632…第2のアーム要素 640a…第1のエンドエフェクタ 641a…第1の指 642a…第2の指 640b…第2のエンドエフェクタ 641b…第1の指 642b…第2の指 700…電子部品検査装置 710…基台 711…電子部品 712u…上流側ステージ 712d…下流側ステージ 713…撮像装置 714…検査台 720…支持台 731…Yステージ 732…腕部 733…Xステージ 734…撮像カメラ 740…電子部品搬送装置 741…把持部 742…回転軸 743…微調整プレート 744x、744y、744θ…圧電モーター 750…制御装置 800…部品加工装置 810…基台 820…支柱 830…送り機構 831…送り用モーター 832…ガイド 840…工具変位部 841…変位用モーター 842…保持部 843…工具取付け部 850…工具 860…被加工部品 900…移動体 910…本体 920…動力部 930…制御部 CA1…第1の結晶軸 CA2…第2の結晶軸 CA3…第3の結晶軸 CA4…第4の結晶軸 CA5…第5の結晶軸 CA6…第6の結晶軸

Claims (11)

  1. 第1基部と、
    外力に応じて信号を出力する素子と、
    前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
    前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
    前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
    前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする力検出装置。
  2. 前記外力検出回路は、前記第1の温度センサーの前記出力と、前記第2の温度センサーの前記出力との差分を算出し、前記差分に基づき前記素子から出力される前記信号を補正することにより前記外力を検出する請求項1に記載の力検出装置。
  3. 複数の前記素子を有し、
    前記各素子は、前記第1基部または前記第2基部の周方向に、当角度間隔に配置されている請求項1または2に記載の力検出装置。
  4. 複数の前記素子の数と等しい数の前記第1の温度センサーと、複数の前記素子の前記数と等しい数の前記第2の温度センサーとを有する請求項3に記載の力検出装置。
  5. 前記素子は、積層された3つの外力センサーを有しており、
    前記外力センサーの積層方向をγ軸方向とし、前記γ軸方向に直交し且つ互いに直交する方向をそれぞれα軸方向、β軸方向とした場合、
    前記外力センサーの1つは、前記α軸方向への前記外力に応じて前記信号を出力し、
    前記外力センサーの1つは、前記β軸方向への前記外力に応じて前記信号を出力し、
    前記外力センサーの1つは、前記γ軸方向への前記外力に応じて前記信号を出力する請求項1ないし4のいずれかに記載の力検出装置。
  6. 少なくとも4つの前記素子を有し、
    前記外力検出回路は、前記各素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、6軸力を検出する請求項5に記載の力検出装置。
  7. 前記素子は、前記第1基部に対して垂直な状態で、前記第1基部と前記第2基部との間に設けられている請求項1または6のいずれかに記載の力検出装置。
  8. アームと、
    前記アームに設けられたエンドエフェクタと、
    前記アームと前記エンドエフェクタの間に設けられ、前記エンドエフェクタに加えられる外力を検出する力検出装置とを備え、
    前記力検出装置は、
    第1基部と、
    外力に応じて信号を出力する素子と、
    前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
    前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
    前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
    前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とするロボット。
  9. 電子部品を把持する把持部と、
    前記把持部に加えられる外力を検出する力検出装置とを備え、
    前記力検出装置は、
    第1基部と、
    外力に応じて信号を出力する素子と、
    前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
    前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
    前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
    前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする電子部品搬送装置。
  10. 電子部品を把持する把持部と、
    前記電子部品を検査する検査部と、
    前記把持部に加えられる外力を検出する力検出装置とを備え、
    前記力検出装置は、
    第1基部と、
    外力に応じて信号を出力する素子と、
    前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
    前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
    前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
    前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする電子部品検査装置。
  11. 工具を装着し、前記工具を変位させる工具変位部と、
    前記工具に加えられる外力を検出する力検出装置とを備え、
    前記力検出装置は、
    第1基部と、
    外力に応じて信号を出力する素子と、
    前記第1基部との間に前記素子を設ける第2基部と、
    前記第1基部に設けられ、前記第1基部の温度を検出する第1の温度センサーと、
    前記第2基部に設けられ、前記第2基部の温度を検出する第2の温度センサーと、
    前記素子から出力される前記信号と、前記第1の温度センサーの出力と、前記第2の温度センサーの出力とに基づき、前記外力を検出する外力検出回路とを備えることを特徴とする部品加工装置。
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