JP2015086191A - チオエーテル含有ウレア誘導体、およびこれを含有する密着性向上剤 - Google Patents

チオエーテル含有ウレア誘導体、およびこれを含有する密着性向上剤 Download PDF

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Abstract

【課題】密着性向上効果および安定性、低発泡性に優れるチオエーテル含有ウレア誘導体の提供。【解決手段】下記式で例示されるチオエーテル含有ウレア誘導体等。【選択図】なし

Description

本発明は、密着性向上剤等に好適に用いられる新規なチオエーテル含有ウレア誘導体に関する。
従来より、各種塗料をガラス等の無機基材に塗工する際に、密着性を向上させる目的でシランカップリング剤等の密着性向上剤が塗料に添加されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、シランカップリング剤は加熱すると分解するため、量産ラインで使用すると、オーブン等の加熱炉に酸化ケイ素が析出し汚染の原因となることが問題となっている。また、シランカップリング剤は密着性向上効果も充分とは言えず、例えばチタン、ジルコニウム等の塩や、イミダゾール等のアミン、リン酸エステル、ウレタン樹脂等の密着性助剤も同時に添加することによって初めて密着性を達成できる場合も多かった。しかし、密着性助剤の添加は、製造工数増大やコスト増大につながるだけではなく、密着性助剤を添加することによって、塗料の室温における保存安定性の悪化や耐熱性、硬度が低下するといった問題があった。
そこで、上記の問題を改良するために、特許文献2には、特定の構造のチオエーテル含有アルコキシシランを密着性向上剤として用いることにより、密着性助剤無しでも、特に無機基材に対して、密着性を高められることが開示されている。しかしながら、その有機基材に対する密着性向上効果についてはなんら着目されていなかった。
特開平7−300491号公報 特開2011−136985号公報
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、密着性助剤無しで無機基材と有機基材の双方に対して密着性向上効果を発揮する材料を提供することにある。
本発明は次の〔1〕から〔3〕である。
〔1〕 下記式1で表されるチオエーテル含有ウレア誘導体。

(式中のaは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、a+b=3である。Rは下記式2で表される3価の基であり、Rは下記式3または下記式4で表される2価の基である。Rは炭素数2〜6のアルキレン基である。RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜7のアシロキシ基である。)

(式中のRは−CH−、−CHCH−、または−CHCH(CH)−である。)

(Rは水素原子またはメチル基である。)

(Rは水素原子またはメチル基である。)
〔2〕下記式5で表されるウレア基含有化合物と下記式6で表される多価チオール化合物とを反応させてなる、上記〔1〕に記載のチオエーテル含有ウレア誘導体。

(式中のRは炭素数2〜6のアルキレン基である。RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜7のアシロキシ基である。Rは水素原子またはメチル基である。)

(式中のRは−CH−、−CHCH−、または−CHCH(CH)−である。)
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載のチオエーテル含有ウレア誘導体を有効成分とする密着性向上剤。
本発明のチオエーテル含有ウレア誘導体は、無機基材と有機基材の双方に優れた密着性向上効果を有している。そのため、例えば塗料に少量添加することで、密着性助剤の添加を必要とすることなく塗料に高い密着性を付与することが可能である。上述の密着性向上効果は、ウレア構造とチオエーテル基が1分子内に共存することによって初めて効果を発揮する。ウレア構造が基材と引き合うため、結果としてチオエーテル基と基材との距離が近くなり、チオエーテル基と基材との化学的な結合を形成しやすくなる。さらに、その後の加熱により脱離したピラゾール誘導体のアミンが系中の塩基性を高めチオール基とエポキシ基の反応を促進することにより上述の密着性向上効果が得られると考えられる。そのため、加熱することで高い密着性向上効果を発揮することができるが、40℃以下での保存安定性に優れる。また、このチオエーテル含有ウレア誘導体は、加熱により脱離しても揮発しにくく、発泡しにくい。これは、このチオエーテル含有ウレア誘導体は分子量が大きいことに加え、チオール基またはチオエーテル基を含有していることから熱分解しにくいことが考えられる。したがって、密着性向上剤に有用である。
実施例1−1で得られた合成物1のIRスペクトルである。 実施例1−2で得られた合成物2のIRスペクトルである。 実施例1−3で得られた合成物3のIRスペクトルである。 実施例1−4で得られた合成物4のIRスペクトルである。 実施例1−1で得られた合成物1のH−NMRスペクトルである。 実施例1−2で得られた合成物2のH−NMRスペクトルである。 実施例1−3で得られた合成物3のH−NMRスペクトルである。 実施例1−4で得られた合成物4のH―NMRスペクトルである。
以下に本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
<チオエーテル含有ウレア誘導体>
本実施形態のチオエーテル含有ウレア誘導体は、下記式1で表される化合物である。

(式中のaは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、a+b=3である。Rは下記式2で表される3価の基であり、Rは下記式3または下記式4で表される2価の基である。Rは炭素数2〜6のアルキレン基である。RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜7のアシロキシ基である。)

(式中のRは−CH−、−CHCH−、または−CHCH(CH)−である。)

(Rは水素原子またはメチル基である。)

(Rは水素原子またはメチル基である。)
上記式1中のRである炭素数が2〜6のアルキレン基としては、直鎖のアルキレン基、側鎖を持つアルキレン基、環状のアルキレン基が挙げられる。直鎖のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられ、側鎖をもつアルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基などが挙げられ、環状のアルキレン基としては、シクロブチレン基などが挙げられる。Rとしては、密着性向上効果が高くなることから、炭素数2〜4の直鎖のアルキレン基が特に好ましいが、エチレン基が特に好ましい。
上記式1中のRおよびRの炭素数が1〜6のアルキル基としては、直鎖のアルキル基、側鎖を持つアルキル基、環状のアルキル基が挙げられる。直鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられ、側鎖をもつアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基などが挙げられ、環状のアルキル基としては、シクロブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数1〜7のアシロキシ基としては、メタノイロキシ基、エタノイロキシ基、プロパノイロキシ基、ブタノイロキシ基、ペンタノイロキシ基、ヘキサノイロキシ基、ヘプタノイロキシ基が挙げられる。塗料との相溶性が良いことから、RおよびRとしては、水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖のアルキル基が好ましいが、メチル基が特に好ましい。
上記式2中のRは、メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基であり、密着性向上効果が高くなることから、エチレン基、イソプロピレン基が特に好ましい。
上記式3および式4中のRは、水素原子またはメチル基であり、密着性向上効果が高くなることから、メチル基が特に好ましい。
<チオエーテル含有ウレア誘導体の製造方法>
上記式1で表されるチオエーテル含有ウレア誘導体は、例えば下記式5で表されるように(メタ)アクリロイル基を有するウレア基含有化合物(以降、A成分という)と、下記式6で表されるチオール基(−SH)を有する多価チオール化合物(以降、B成分という)とを反応させることによって得ることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「メタアクリロイル基」と「アクリロイル基」の両方を含む概念である。

(式中のRは炭素数2〜6のアルキレン基である。RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜7のアシロキシ基である。Rは水素原子またはメチル基である。)

(式中のRは−CH−、−CHCH−、または−CHCH(CH)−である。)
上記式5で表されるA成分として、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルアクリレート、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]プロピルメタクリレート、2-(ピラゾリルカルボニルアミノ)エチルメタクリレートなどが好ましく挙げられる。
上記式6で表されるB成分として、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ) −エチル]−イソシアヌレート、トリス−[(3−メルカプトブチリルオキシ)−エチル]]−イソシアヌレート、トリス−[(3−メルカプトブチリルオキシ)−エチル]]−イソシアヌレートがある。
本実施形態のチオエーテル含有ウレア誘導体を製造するためには、A成分とB成分とを5℃以上の温度で反応させることができるが、60〜100℃で反応させることが好ましい。60℃以上で反応させると、5時間以内といった短時間で反応させることができる。また、100℃以下で反応させることによって、アミンの脱離を防ぐことができる。アミンの脱離の観点から、80〜90℃で反応させるのがより好ましい。塩基触媒やラジカル発生剤を添加すれば、より短時間で高収率にて反応させることができる。
塩基性触媒としては、アミン系の塩基性触媒が好ましく、一級、二級あるいは三級のア
ミン類、もしくはイミダゾール系化合物が使用できる。例えば一級アミンとしては、メチ
ルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチ
ルエチルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。三級アミンとしては、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8−ジアザビ
シクロ [5.4.0]ウンデカ−アミノメチル)フェノール等が挙げられる。イミダゾール系
化合物としては、例えば1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,
4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール等のイミダゾール同
族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミ
ダゾール等のアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよびアミノ誘導体、ベンゾイミダゾール、1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−ベンジルベンゾイミダゾール等が挙
げられる。
ラジカル発生剤としては、過酸化物もしくはアゾ化合物が好ましい。過酸化物として、
例えば、過酸化ジベンゾイル、tert-ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート、ジ
ラウロイルペルオキシドなどが挙げられる。アゾ化合物としては、例えばアゾビス(イソ
−ブチロニトリル)や2、2‘−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)などが挙げられ
る。
このチオエーテル含有ウレア誘導体の製造方法においては、無溶剤でも反応を進行させることができるが、低温で反応させる場合など、粘度を下げたい場合には溶剤を加えて反応させることもできる。その際には、(メタ)アクリロキシ基の炭素−炭素二重結合やチオール基と反応しない溶剤、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類が好ましい。
溶剤として用いられるアルコール類は炭素−炭素二重結合やチオール基と反応する、炭素−炭素二重結合、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、スルホニル基、ニトリル基、ハロゲン原子等の官能基を含んではならない。上記の官能基を含まないアルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ターシャリーブタノール、ヘキサノール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールのアルキルエーテルやエステル等が挙げられる。なかでも、好ましくは、沸点が80℃以上のアルコール類が反応温度を高く保てるために好ましい。
溶剤として用いられるケトン類は炭素−炭素二重結合やチオール基と反応する、炭素−炭素二重結合、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、スルホニル基、ニトリル基、ハロゲン原子等の官能基を含んではならない。上記の官能基を含まないケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等が挙げられる。なかでも、好ましくは、沸点が80℃以上のケトン類が反応温度を高く保てるために好ましい。
溶剤として用いられるエステル類は炭素−炭素二重結合やチオール基と反応する、炭素−炭素二重結合、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、スルホニル基、ニトリル基、ハロゲン原子等の官能基を含んではならない。上記の官能基を含まないケトン類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールアセテート等が挙げられる。なかでも、好ましくは、沸点が80℃以上のエステル類が反応温度を高く保てるために好ましい。
A成分とB成分との2成分は、A成分の(メタ)アクリロイル基と、B成分のチオール基とが下記式7で表される反応式で反応する。なお、Xは水素原子またはメチル基、YはA成分の(メタ)アクリロイル基の二重結合に結合するX以外の残基を表し、ZはB成分のチオール基に結合する残基を表す。

式7に示すように、A成分の(メタ)アクリロイル基の二重結合を形成する2つの炭素のどちらもチオール基のSと結合する。2つの生成物の生成比率は反応条件により異なり、例えば本反応の触媒にアミンなどの塩基触媒を反応系に添加した場合には、生成物(1)が多く生成し、ラジカル発生剤を反応系に添加した場合には生成物(2)が多く生成する傾向にある。多くの場合、製造後のチオエーテル含有ウレア誘導体は生成物(1)と(2)の混合物となっている。
<密着性向上剤>
本実施形態のチオエーテル含有ウレア誘導体は、塗料や接着剤等の樹脂組成物に配合することで、無機材料と有機材料の両方に対する密着性を向上させることができる。そのため、そのままで、あるいは溶剤等と調合して、密着性向上剤として用いることができる。特に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセチレンなどの二重結合を有する化合物等に配合することによって、高い密着性向上効果を発揮することができる。この密着性向上剤の密着性向上効果は、チオエーテル含有ウレア誘導体のチオエーテル基に起因している。したがって、チオエーテル基と化学的な結合を形成する(化学的な親和力の高い)基材、例えば、遷移金属あるいはその合金や珪素化合物、リン化合物、硫黄化合物、又はホウ素化合物等の無機基材、不飽和結合(芳香環を含む)を有する有機物、水酸基やカルボキシル基を有する有機物、又はプラズマやUVオゾン処理された有機物等への密着性向上効果に優れる。具体的には、無機基材としては、ガラス、シリコン、各種金属などが挙げられる。有機基材として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、ポリアセタールなどが好ましく挙げられる。
このチオエーテル含有ウレア誘導体を有効成分とする密着性向上剤は、樹脂組成物中の樹脂成分に対し、有効成分として好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.1〜10質量%添加すると高い密着性を発揮することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1−1〜1−4)
はじめに、実施例1−1〜1−4にて、下記A成分とB成分とを用いてチオエーテル含有ウレア誘導体(合成物1〜4)を合成した。用いたA成分及びB成分は次のとおりである。各成分の25℃における粘度は、東機産業株式会社製のR型粘度計を用いて測定した。
<ウレア基含有化合物:A成分>
A−1:2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート。その構造を下記式に示す(粘度0.13Pa・s、温度:25℃)。

<多価チオール化合物:B成分>
B−1:トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ) −エチル]−イソシアヌレート。その構造を下記式に示す(粘度5.4Pa・s、温度:25℃)。

B−2:トリス−[(3−メルカプトブチリルオキシ)−エチル)]−イソシアヌレート。その構造を下記式に示す(粘度6.8Pa・s、温度:25℃)。
[チオエーテル含有ウレア誘導体の合成]
温度計、攪拌機、滴下ポンプを備えた3つ口フラスコに、下記表1に従いB成分を仕込み、90℃に昇温後、A成分を1時間かけて滴下した。滴下終了後さらに90℃で4時間攪拌をして反応させた。反応前後の混合物の粘度を表1に示す。粘度は、東機産業株式会社製のR型粘度計を用い、下記条件にて測定した。
(反応前)
使用ロータ:1°34′×R24
測定範囲:0.5183〜103.7 Pa・s
(反応後)
使用ロータ:3°×R14
測定範囲:5.002〜1000 Pa・s
[赤外線吸収スペクトル分析(IR)]
得られた合成物1〜4について、下記条件にて赤外線吸収スペクトル分析(IR)を行った。そのIRスペクトルを図1〜4に示すとともに、代表的なIRピークを以下に示す。
機種;日本分光(株)製 FT/IR−600
セル;KBr上に展開、分解;4cm−1、積算回数;32回
実施例1−1(合成物1):図1
3388cm−1:69%T、2972cm−1:67%T、1732cm−1:5%T、1695cm−1:5%T、1572cm−1:64%T、1518cm−1:10%T、1462cm−1:12%T、1417cm−1:42%T、1375cm−1:40%T、1346cm−1:19%T、1242cm−1:40%T、1163cm−1:27%T、1030cm−1:57%T、970cm−1:64%T、804cm−1:82%T,762cm−1:61%T,658cm−1:87%T
実施例1−2(合成物2):図2
3386cm−1:76%T、2972cm−1:71%T、1734cm−1:29%T、1695cm−1:26%T、1572cm−1:64%T、1518cm−1:44%T、1460cm−1:40%T、1375cm−1:67%T、1346cm−1:54%T、1242cm−1:66%T、1163cm−1:57%T、1030cm−178%T、970cm−1:84%T、810cm−1:87%T,764cm−1:73%T
実施例1−3(合成物3):図3
2968cm−1:82%T、1734cm−1:40%T、1695cm−1:30%T、1541cm−1:69%T、1520cm−1:59%T、1460cm−1:44%T、1373cm−1:73%T、1348cm−1:68%T、1246cm−1:72%T、1161cm−1:66%T、764cm−1:71%T,646cm−1:75%T
実施例1−4(合成物4):図4
3392cm−1:77%T、2970cm−1:74%T、1734cm−1:38%T、1697cm−1:38%T、1574cm−1:83%T、1518cm−1:50%T、1460cm−1:52%T、1375cm−1:74%T、1346cm−1:62%T、1163cm−1:64%T、1030cm−1:80%T、970cm−1:86%T、764cm−1:82%T
上記赤外線吸収スペクトル分析の結果からも明らかなように、C=Cに由来する1600〜1680cm−1のピークが観測されないことから、A−1は、B−1、B−2と反応していることがわかった。
[核磁気共鳴スペクトル分析(H−NMR)]
また、実施例1−1〜1−4で得られた合成物1〜4について、下記条件において核磁気共鳴スペクトル分析を行った。その結果を図5〜8に示すと共に、各スペクトルにおけるピークの帰属とそれにより解析された各合成物の構造を下記に示す。
機種;日本ブルカー(株)製、400MHz−Advance400
積算回数;32回
溶媒;重クロロホルム
基準;TMS
実施例1−1(合成物1):図5
a、c:2.5〜2.6ppm、b:5.9〜6.0ppm、d:7.4〜7.7ppm、m:3.6〜3.8ppm、e、l:4.3〜4.5ppm、f:4.1〜4.3ppm、g、i、j、k:2.6〜2.9ppm、h:1.3〜1.4ppm
実施例1−2(合成物2):図6





a、c:2.5〜2.6ppm、b:5.9〜6.0ppm、d:7.4〜7.7ppm、m、n:3.6〜3.8ppm、e、l、o:4.3〜4.5ppm、f:4.1〜4.3ppm、g、i、j、k、p、q:2.6〜2.9ppm、h:1.3〜1.4ppm、r:1.7〜1.8ppm
実施例1−3(合成物3):図7





a、c:2.5〜2.6ppm、b:5.9〜6.0ppm、d:7.4〜7.7ppm、m、n:3.6〜3.8ppm、e、l、o:4.3〜4.5ppm、f:4.1〜4.3ppm、g、i、j、k、p、q:2.6〜2.9ppm、h:1.3〜1.4ppm、r:1.7〜1.8ppm
実施例1−4(合成物4):図8





a、c、g、i、j、l:2.5〜2.6ppm、b:5.9〜6.0ppm、d:7.4〜7.7ppm、e、m:4.3〜4.5ppm、f:4.1〜4.3ppm、h:1.3〜1.4ppm、k:1.2〜1.3ppm、n:3.6〜3.8ppm
図5〜8および上記帰属から、5.0〜5.8ppm付近にあるCH=C(CH)−に由来するピークが観測されないことからA−1は、B−1、B−2と反応していることがわかった。
(実施例2−1〜2−4、比較例1−1〜1−6)
次に、実施例2−1〜2−4にて、上記合成物1〜4を密着性向上剤として用い、その性能を評価した。表2に示される配合にて、樹脂組成物に密着性向上剤を添加し、試料を調製した。樹脂組成物として、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート(C−1、下記式)とYDPN638〔フェノールノボラック型エポキシ樹脂:新日鉄住友化学(株)製、商品名〕(D−1)の混合物を使用した。併せて、比較例1−1〜1−5にて、密着性向上剤として下記の材料を用い、また比較例1−6では密着性向上剤を用いずに、同様に性能を評価した。
比較例1−1〜1−5にて密着性向上剤とて用いた材料は次のとおりである。
比較例1−1:上記A−1
比較例1−2:上記B−1
比較例1−3:3,5-ジメチルピラゾール(E−1)
比較例1−4:2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(E−2)
比較例1−5:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとメチル−3−メルカプトプロピオネートの反応物(E−3)
C−1(硬化剤):トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)。その構造を下記式に示す(粘度0.15Pa・s、温度:25℃)。
[密着性評価1]
JIS K5600−5−6:塗膜の機械的性質−付着性(クロスカット法)試験法にて、密着性を評価した。無アルカリガラス(OA−10、日本電気硝子株式会社製、厚さ0.7mm)を基材とし、該基材上に各試料をバーコーターで厚みが100μmになるように塗工し、150℃で1時間加熱し各基材上に硬化膜を形成して試験片を作成した。評価基準は全く剥離の無いものを○、それ以外を×とした。その結果を表2に示す。
[密着性評価2]
JIS K6854−1:接着剤−はく離接着強さ試験方法−第 1 部:90 度はく離にて、密着性を評価した。試験片は、無アルカリガラス(OA−10、日本電気硝子株式会社製、厚さ0.7mm)を基材とし、該基材上に各試料をバーコーターで厚みが100μmになるように塗工し、25mm幅のPETフィルム(A4300、東洋紡績(株)製、厚さ50μm)を貼り合せた後、150℃で1時間加熱して試料を硬化させ、試験片を作成した。評価基準はPETフィルムが破断したものを○、剥離したものを×とした。その結果を表2に示す。
[発泡性]
密着性評価2で得た試験片に発泡による浮きがあるか目視により確認した。浮きが無いものを○、それ以外を×とした。その結果を表2に示す。
[保存安定性]
樹脂組成物と密着性向上剤を混合した直後に25℃における粘度(混合後の粘度)を測定するとともに、40℃で12時間加熱した後再度粘度(加熱後の粘度)を測定した。なお、密着性向上剤を用いない比較例1−6では混合後の粘度の代わりに25℃における樹脂組成物の粘度を測定した。加熱後の粘度を混合後の粘度で除して増粘率を算出し、増粘率1.0〜5.0のものを○、それ以外を×とした。その結果を表2に示す。なお、粘度は、東機産業株式会社製のR型粘度計を用い、下記条件にて測定した。
使用ロータ:1°34′×R24
測定範囲:0.5183〜103.7 Pa・s
密着性向上剤を添加していない比較例1−6では密着性評価1及び密着性評価2で剥離が生じたが、実施例2−1〜2−4では密着性評価1と2のいずれにおいても剥離が生じず、合成物1〜4を添加することにより有効に樹脂組成物の密着性が向上することが明らかとなった。一方、比較例1−1〜1−5では、密着性評価1と2との双方で剥離を生じなかったものはなかった。
密着性評価1の結果、シランを含むE−3を密着性向上剤として用いた比較例1−5と、合成物1〜4を用いた実施例2−1〜2−4とで剥離がなく、無機基材に対して高い密着性が認められた。その上で密着性評価2の結果を参照すると、比較例1−5では剥離があった。比較例1−5ではPETフィルムと試料の界面で剥離しており、E−3については有機材料に対する密着性向上効果は認められなかった。これに対し、実施例2−1〜2−4では剥離がなく、合成物1〜4を添加することで、無機基材に対して高い密着性向上効果を発揮することができるだけでなく、有機基材に対しても密着性向上効果を奏することが明らかとなった。また、実施例2−1〜2−4では、発泡性評価により、加熱による発泡がなく浮きが生じないことが確認されるとともに、保存安定性に優れることも確認された。
合成物1〜4の原料であるA成分を単独で密着性向上剤として用いた比較例1−1では、密着性評価1では剥離したものの、密着性評価2では剥離がなく、無機材料に対する格別に高い密着性向上効果は認められなかったものの、無機材料と有機材料との双方に対して密着性向上効果が認められた。比較例1−3でも同様の結果であったことから、基材に対してイソシアネートの結合力が発揮されたものと考えられる。しかし、保存安定性と発泡性の評価結果から、A成分を単独で樹脂組成物に添加すると、保存安定性が低下し、また発泡することがわかった。また、合成物1〜3のもう一方の原料であるB成分を単独で密着性向上剤として用いた比較例1−2では、密着性評価1と2の双方で剥離が生じ、密着性向上効果は認められなかった。これらのことから、A成分とB成分は、それぞれ単独では密着性向上剤として利用することができず、A成分とB成分とを合成することによって密着性向上剤として有効な材料が得られることが明らかとなった。
なお、比較例1−1で発泡が生じたのは、A成分は加熱によりイソシアネート成分とピラゾール成分に脱離するが、揮発性の高いイソシアネート成分が揮発したことにより発泡が生じたと考えられる。この場合、発泡により塗膜に外観不良を生じたり、接着の分野では浮きが生じるおそれもある。他方、合成物1〜4を用いた実施例2−1〜2−4では発泡は認められなかった。これは、化合物1〜4のチオエーテル含有ウレア誘導体は、A成分とB成分とを合成することで分子量が大きいことに加え、イソシアネート成分にチオール基またはチオエーテル基を含有しているため熱分解しにくく、発泡を生じないものと考えられる。
また、比較例1−1で保存安定性の評価結果が悪かったのは、A−1を単独で密着性向上剤として使用し40℃×12h加熱すると、チオール成分であるC−1との反応が進み、樹脂組成物の粘度が高くなることによる。これに対し、B成分と合成した化合物1〜4は、40℃では脱保護しないため、保存安定性に優れる。

Claims (3)

  1. 下記式1で表されるチオエーテル含有ウレア誘導体。

    (式中のaは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、a+b=3である。Rは下記式2で表される3価の基であり、Rは下記式3または下記式4で表される2価の基である。Rは炭素数2〜6のアルキレン基である。RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜7のアシロキシ基である。)

    (式中のRは−CH−、−CHCH−、または−CHCH(CH)−である。)

    (Rは水素原子またはメチル基である。)

    (Rは水素原子またはメチル基である。)
  2. 下記式5で表されるウレア基含有化合物と下記式6で表される多価チオール化合物とを反応させてなる、請求項1に記載のチオエーテル含有ウレア誘導体。

    (式中のRは炭素数2〜6のアルキレン基である。RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜7のアシロキシ基である。Rは水素原子またはメチル基である。)

    (式中のRは−CH−、−CHCH−、または−CHCH(CH)−である。)
  3. 請求項1または請求項2に記載のチオエーテル含有ウレア誘導体を有効成分とする密着性向上剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015098456A (ja) * 2013-11-19 2015-05-28 日油株式会社 チオエーテル含有ウレア誘導体、及びこれを含有する密着性向上剤
JP2017052948A (ja) * 2015-09-11 2017-03-16 日油株式会社 粘着剤組成物、及びこれを用いた粘着シート

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