JP2015083756A - トンネル低周波音低減装置 - Google Patents

トンネル低周波音低減装置 Download PDF

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Abstract

【課題】歩行者通路の確保が容易であり、設置・撤去作業や低減対象音の周波数調整が容易なトンネル低周波音低減装置を提供する。
【解決手段】トンネル軸方向に沿って立設されたパネル列11と、パネル列11の一面側の空間(右側空間5R、左側空間5L)を閉塞するようにパネル列11のトンネル軸方向の両端部に設置された第1隔壁12および第2隔壁13とを有し、パネル列11が、トンネル軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のパネルユニット21によって構成され、互いに隣接するパネルユニット21の間に形成されたスリット22を介してパネル列11の一面側の空間(5R、5L)と他面側の空間(中央空間5C)とが連通するように低周波音低減装置1を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トンネル坑内の低周波音発生源とトンネル坑口との間に設置されて、低周波音発生源からトンネル坑口に伝播する低周波音を低減するトンネル低周波音低減装置に関する。
近年、山岳トンネルの工事現場では、トンネル内部の騒音がそのまま外部に漏れ出すことを防止するために、坑口付近に隔壁を設置することが多くなっている。隔壁は、トンネルの全断面を閉塞する形状および大きさとされ、車両や作業員が通行できるようにその一部が防音扉とされている。このような隔壁は、鋼鉄製とされることが多く、金属音などの高周波音の遮断には有効であるが、発破音のような低周波音に対する遮音効果は低い。そこで、発破作業を行う山岳トンネルの工事現場では、低周波の発破音がトンネル外部にそのまま漏れ出すことを防止するために、隔壁をコンクリート製としたり、二重にしたうえで砂などを間に充填したりして、隔壁を重厚な造りとすることで低周波音を遮断しようとすることがあった。
ところが、このような重厚な隔壁であっても、低周波音に対する防音効果は不十分であったため、低周波音を遮断するのではなく、低減させようとする技術が種々提案されている。例えば、トンネル坑口ないし坑内を所定隔壁で閉塞し、それぞれ一端がトンネル坑内に開口し他端が閉塞された経路長が異なる複数の管体を一体にして所定隔壁よりも切羽側に設置したトンネル発破音消音器が提案されている(特許文献1参照)。この消音器は、管体の経路長を消音対象の低周波音の1/4波長とすることにより、管体に入った音波が1/2波長位相が遅れてトンネル坑内に戻り、逆位相の音波同士で互いに打ち消し合って消音するようにしている。
また、トンネル坑内にトンネル軸方向と略平行に設置され、トンネル軸方向に向けて通路を画成する周面に多数の貫通孔を有するダクトと、ダクトの両端開口の周囲にそれぞれトンネル軸方向と略直角に設置され、ダクトの外側のトンネル内空断面を閉鎖する2つの隔壁とを備えるトンネルサイレンサが提案されている(特許文献2参照)。このサイレンサは、切羽側で発生する騒音をダクトの周面の多数の貫通孔とダクト周囲の閉鎖空洞部との作用によって共鳴吸音するようにしている。
特開2011−256609号公報 特開2012−177221号公報
しかしながら、特許文献1のトンネル発破音消音器では、管体を設置するために専用スペースが必要となり、このスペースがデッドスペースになってしまう。また、管体の設置・撤去作業や、管体の経路長変更によって行われる消音性能の調整、すなわち消音対象音の周波数調整が煩雑である。一方、特許文献2のトンネルサイレンサでは、ダクト部分が狭隘部分となり、歩行者通路の確保が難しいために安全上好ましくない。また、ダクトの寸法変更や貫通孔の寸法変更などが困難であるため、消音対象音の周波数を調整することができない。
本発明はこのような背景に鑑みなされたもので、歩行者通路の確保が容易であり、設置・撤去作業や低減対象音の周波数調整が容易なトンネル低周波音低減装置を提供することをその主な目的とする。
このような課題は、トンネル坑内の低周波音発生源とトンネル坑口との間に設置され、前記低周波音発生源から前記トンネル坑口に伝播する低周波音を低減するトンネル低周波音低減装置(10)であって、トンネル軸方向に沿って立設されたパネル列(11)と、前記パネル列(11)の一面側の空間(5R、5L)を閉塞するように前記パネル列(11)のトンネル軸方向の両端部に設置された第1隔壁(12)および第2隔壁(13)とを有し、前記パネル列(11)が、トンネル軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のパネルユニット(21)によって構成され、互いに隣接するパネルユニット(21)の間に形成されたスリット(22)を介して前記パネル列の前記一面側の空間(5R、5L)と他面側の空間(5C)とが連通しているトンネル低周波音低減装置を提供することにより達成される。
この発明によれば、他面側の空間が低周波音の伝播経路となり、他面側の空間とスリットを介して連通する一面側の空間が共鳴空間となるため、他面側の空間を伝播する低周波音を、一面側の空間とスリットとの共鳴吸音作用によって低減することができる。そして、第1隔壁に扉を設けることにより、一面側の空間を利用して容易に歩行者通路を確保することができる。さらに、パネルユニットを所定の間隔を空けてトンネル軸方向に沿って立設するだけでパネル列を形成することができるため、設置・撤去作業が容易であるとともに、スリット寸法などを変更することによって共鳴周波数を変更し、低減対象音の周波数を容易に調整することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記パネル列(11)の前記他面側の空間(5C)を閉塞するように前記パネル列(11)の前記トンネル坑口側の端部に設置された防音扉(17)をさらに有する構成とすることができる。
この構成によれば、他面側の空間を通過する際に低減された低周波音および他面側の空間を通過する低周波以外の音を防音扉によって遮断し、トンネル坑口に伝播する騒音を低減することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記パネル列(11)が互いに対向するように一対に設けられ、前記第1隔壁(12)および前記第2隔壁(13)が、少なくとも前記一対のパネル列(11・11)の外側方の空間(5R、5L)を閉塞するように設置された構成とすることができる。
この構成によれば、一対のパネル列間の空間が低周波音の伝播経路となり、その両外側方に形成される2つの空間が共鳴空間となるため、共鳴吸音作用による低周波音の低減効果を高めることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記パネルユニット(21)は、前記他面側に配置されてトンネル軸方向に延在する基部(23)と、当該基部(23)のトンネル軸方向の両端から前記一面側に延出する一対の延出部(24)とを有し、当該延出部(24)が前記スリット(22)に所定の深さ(t)を与えている構成とすることができる。
この構成によれば、スリットの深さに応じて共鳴周波数を変更することができるため、設計自由度が高まり、共鳴空間とスリットとによる共鳴吸音作用をより効果的に奏させることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記基部(23)および前記延出部(24)が平板状のパネル(25)を組み合わせて構成されている構成とすることができる。
この構成によれば、組み合わせるパネルの寸法や隣接配置するパネルの重畳寸法を変更することによってパネルユニットの形状および寸法を容易に変更できるため、低減対象音の周波数調整を容易にすることができる。また、パネルユニットを保管または運搬する際には、パネルに分解して重ねることでその容積を小さくすることができ、コストを削減できる。
このように、本発明によれば、歩行者通路の確保が容易であり、設置・撤去作業や低減対象音の周波数調整が容易なトンネル低周波音低減装置を提供することができる。
実施形態に係るトンネル低周波音低減装置の斜視図 切羽に向かって見た図1に示すトンネル低周波音低減装置の一断面図 図2中のIII−III断面図 図2中のIV−IV断面図 (A)パネルユニットの上面図(B)パネルユニットの正面図 図1に示す低周波音低減装置による共鳴周波数の説明図 変形例に係るトンネル低周波音低減装置の一断面図
以下、図面を参照しながら本発明に係るトンネル低周波音低減装置(以下、単に低周波音低減装置10という。)の実施形態について詳細に説明する。
図1は、低周波音低減装置10が設置されたトンネル1の一部分を透視して示す斜視図である。トンネル1は、いわゆる山岳トンネルであり、切羽で掘削した地山の表面にコンクリートを吹き付け、覆工コンクリート2を構築することでトンネル壁面が仕上げられる。切羽での地山の掘削には発破が行われる。発破は、火薬を用いて地山を破砕する作業であり、爆発時に低周波音を発生させる。すなわち、発破が行われる切羽が低周波音の発生源となっている。発破による地山の破砕片であるずりは、切羽でダンプトラックなどの運搬車両に積載され、坑外に搬出される。
図2に併せて示すように、覆工コンクリート2は、円弧形状に構築されたアーチコンクリートを含んでおり、覆工コンクリート2の内面によってトンネル1が画成される。
低周波音低減装置10は、切羽で発生してトンネル坑口に伝播する低周波音を低減するための装置であり、トンネル掘削がある程度進んだ後、本実施形態では坑口付近に覆工コンクリート2が構築された後、トンネル坑内の坑口付近、すなわち低周波音発生源とトンネル坑口との間に設置される。低周波音低減装置10は、トンネル軸方向に沿って立設され、互いに対向するように設けられた一対のパネル列11・11と、一対のパネル列11・11の切羽側の端部に設置された第1隔壁12と、一対のパネル列11・11の坑口側の端部に設置された第2隔壁13とを主構成要素として有している。
一対のパネル列11・11は、トンネル中心1X(図2参照)を中心線として概ね対称となる位置に配置されている。他の実施形態では、トンネル中心1Xからの距離が異なる位置に一対のパネル列11・11が配置されてもよい。低周波音低減装置10が設置された位置では、パネル列11・11により、トンネル坑内の空間5が一対のトンネル軸方向と直交する方向(以下、切羽に向かって左右方向とする。)に3つの空間に区画される。以下では、一対のパネル列11・11間の空間を中央空間5Cと称し、一対のパネル列11・11の外側方(右方および左方)の2つの空間をそれぞれ右側空間5R、左側空間5Lと称する。一対のパネル列11・11は、ずりを搬出する運搬車両が通行できる程度の幅寸法をもって配置されるとよい。
ここで、区画されるとは、隣接する空間同士が完全に仕切られることを意味するものではなく、パネル列11が配置されている高さ範囲において隣接する空間同士が仕切られることを意味するものである。なお、仕切られるとは言っても、両空間は後述するようにパネル列11に形成されたスリット22を介して互いに連通しており、完全に離隔されるものではない。
各パネル列11は、トンネル軸線方向に配列され、鉛直に延在する複数のパネルユニット21によって構成されている。各パネル列11において、すべてのパネルユニット21は、配置された位置のトンネル高さ(内空鉛直高さ)よりも概ね同一の同一高さ寸法とされており、地面に直接設置される。なお、覆工コンクリート2の内面はアーチ形状となっており、パネルユニット21の上端を覆工コンクリート2に面接触させて3つの空間5R、5C,5Lを完全に仕切ることは難しいが、可能な限りパネルユニット21の下端および上端をトンネル内面に接触させて3つの空間5R、5C,5Lを完全に仕切ることが好ましい。このようにするためには、パネルユニット21の上端を覆工コンクリート2に適合する形状にしたり、パネル列11の上端にトンネル延長方向に沿って図示しない板片を取り付け、パネルユニット21の上端と覆工コンクリート2との間に生じた隙間を塞ぐようにしたりするとよい。他の実施形態では、パネルユニット21が地面に直接配置されていなくてもよい。また、板片によってパネルユニット21の上端と覆工コンクリート2との隙間を塞ぐ場合には、パネルユニット21の高さ寸法がユニット毎に異なっていてもよい。
第1隔壁12は、図2に示すように、右側空間5Rおよび左側空間5Lを閉塞する鉄鋼製の2枚のパネル14・14によって構成される。言い換えれば、2枚のパネル14・14は、切羽側から右側空間5Rおよび左側空間5Lを全面にわたって覆うように構成されており、中央空間5Cは切羽側の空間5Fに向けて開放されている。各パネル14の下部には歩行者用扉15が設けられており、低周波音低減装置10よりも切羽側の空間5Fと右側空間5Rおよび左側空間5Lとを歩行者が行き来できるようになっている。なお、パネル14は、1枚ものである必要はなく、複数のパネル部材を組み合わせて構成されてよい。
一方、図1に示すように第2隔壁13は、右側空間5Rおよび左側空間5Lを閉塞するとともに坑口側から中央空間5Cの上部を覆う1枚のパネル状に構成されている。第2隔壁13の右側空間5Rおよび左側空間5Lを閉塞する部分のそれぞれの下部には、歩行者用扉16が設けられており、低周波音低減装置10よりも坑口側の空間5Mと右側空間5Rおよび左側空間5Lとを歩行者が行き来できるようになっている。また、第2隔壁13の左右方向の中央下部は開口13aとなっており、この開口13aには観音開き式の防音扉17が設置されている。この開口13aは運搬車両が通行できる大きさとされており、運搬車両通行時には防音扉17が開放される。すなわち、中央空間5Cが運搬車両の通行領域となる。本実施形態では、坑口付近に設置される防音用の隔壁を利用して第2隔壁13が構成されている。
発破を行うときには、すべての歩行者用扉15、16を閉じるとともに、防音扉17も閉じる。これにより、切羽側の空間5Fに向けて開放された中央空間5Cが切羽側の空間5Fから坑口側の空間5Mへと伝わると低周波音の主な伝播通路となり、中央空間5Cを通過する際に後述するようにして低減される低周波音および中央空間5Cを通過する低周波以外の音がさらに防音扉17によって遮断される。
図3および図4に併せて示すように、各パネル列11においては、複数のパネルユニット21がトンネル軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。言い換えれば、互いに隣接するパネルユニット21の間には、鉛直に延在して所定の幅寸法を有するスリット22が形成されている。なお、トンネル軸方向の両端に配置されるパネルユニット21は、第1隔壁12または第2隔壁13と接続する位置に配置されている。
各パネルユニット21は、中央空間5C側に配置されてトンネル軸方向に延在し、中央空間5Cを画成する基部23と、基部23のトンネル軸方向の両端から中央空間5Cと相反する側(右側のパネル列11では右側空間5R側、左側のパネル列11では左側空間5L側)に延出する一対の延出部24・24とを有している。すなわち、互いに隣接する2つのパネルユニット21・21の対向する延出部24・24により、延出部24の幅寸法(左右方向寸法)に相当する深さがスリット22に与えられている。なお、すべてのパネルユニット21は、基本的には同一の寸法および同一の形状を有するように構成されるが、トンネル軸方向の両端に配置されるパネルユニット21は、第1隔壁12または第2隔壁13と接続する側の延出部24を省略してもよい。
本実施形態では、基部23の幅寸法(トンネル軸方向寸法)が1m程度とされ、各延出部24の幅寸法すなわちスリット22の深さが50cm程度とされている。図5に示すように、基部23は、幅50cm、高さ2m程度の平板状の防音パネル25を上下左右に2枚ずつ組み合わせて構成されており、各延出部24は、幅50cm、高さ2m程度の平板状の防音パネル25を上下に2枚組み合わせて構成されている。
基部23および延出部24を構成する防音パネル25は、図示しない鳥居型枠に固定することで所定の位置に配置することができる。あるいは、H型鋼などからなる柱部材を立設し、これに固定することで防音パネル25を所定の位置に配置してもよい。いずれの場合にも、トンネル1のアーチ部に控えをとり、トンネル軸方向に隣接するパネルユニット21の防音パネル25、鳥居型枠または柱部材を連結するなどの転倒防止策を施すとよい。パネルユニット21の上部同士を一対のパネル列11・11間で連結して転倒防止を図ってもよい。この場合には、連結部材を運搬車両よりも高い位置に配置する。
他の実施形態では、図3に示すような平面視でコ字状を呈する所定高さのボックスを複数作成し、このボックスを必要な高さまで積み上げることでパネルユニット21を構成してもよい。この場合には、上下方向に隣接するボックス同士を連結したうえで、上述したような転倒防止策を施すとよい。
次に、このように構成された低周波音低減装置10の作用効果および吸音原理について説明する。
図6に示すように、低周波音低減装置10は、低周波音の伝播経路である中央空間5Cを画成する一対のパネル列11・11の内面にスリット状の開口(スリット22)を形成したことにより、単一のレゾネーター吸音構造26を複数連設したものと同等の構造となっている。そのため、低周波音低減装置10は、レゾネーター吸音構造26と同様の原理で、スリット22で吸音した低周波音を各パネル列11と覆工コンクリート2の側壁部分との間の空間(右側空間5Rまたは左側空間5L)で共鳴吸音するスリット型吸音構造といえる。
そして、パネルユニット21のトンネル軸方向寸法、スリット22の幅(トンネル軸方向寸法)および深さ(左右方向寸法)を適宜設定することにより、低減したい低周波音の周波数を調整することができる。
スリット22の高さをa、スリット22の幅をb、パネルユニット21のトンネル軸方向の設置間隔をB、スリット22の深さをt、パネル列11の背後空気層(右側空間5Rまたは左側空間5L)の深さをLとすると、スリット型吸音構造の低周波音低減装置10の共鳴周波数frは、下式1により表される。
Figure 2015083756
ただし、c:音速、p:開口率(p=b/B)、δ:開口端補正値(δ=Kb)、K:定数であり、定数Kは、下式(2)となる。
Figure 2015083756
仮に、a=4m、b=0.3m、B=1m、t=0.5m、L=2.5mとすると、共鳴周波数frは20Hzとなり、この周波数を中心に吸音効果が現れる。スリット22の抵抗を増やすと共鳴周波数frでの吸音率は小さくなるが、吸音する周波数が広くなる。そこで、スリット22(隣接するパネルユニット21間)またはスリット22の背面(右側空間5Rまたは左側空間5L)にグラスウールなどの吸音材を配置することによって吸音する周波数を広くしてもよい。
また、低周波音低減装置10のトンネル軸方向寸法は、低減したい低周波音の波長と同程度が適当である。本実施形態では、低減したい低周波音の周波数を20Hzとし、低周波音低減装置10のトンネル軸方向寸法を波長と同一の17m程度としている。
低周波音低減装置10がこのように構成されたことにより、上述したように中央空間5Cが低周波音の伝播通路となり、スリット22を介して中央空間5Cと連通する右側空間5Rおよび左側空間5Lが共鳴空間となるため、中央空間5Cを伝播する低周波音が、共鳴空間とスリット22との共鳴吸音作用によって低減される。そして、第1隔壁12および第2隔壁13の右側空間5Rおよび左側空間5Lを閉塞する部分の少なくとも一方に歩行者用扉15が対で設けられたことにより、運搬車両の通行空間共鳴空間である右側空間5Rまたは左側空間5Lを歩行者通路として利用することができる。
なお、低周波音低減装置10による吸音効果は、少なくとも1列のパネル列11と、このパネル列11の左右一方の空間を閉塞するようにパネル列11の切羽側端部に設置された第1隔壁12および第2隔壁13とを備えることにより奏される。すなわち、パネル列11が2列に設けられて共鳴空間が低周波音の伝播通路の左右両側に設けられる構成は、低周波音低減装置10による吸音効果を高める役割を果たしている。
本実施形態では、パネルユニット21が中央空間5C側に配置されてトンネル軸方向に延在する基部23と、基部23のトンネル軸方向の両端から対応する共鳴空間となる右側空間5Rまたは左側空間5L側に延出する一対の延出部24・24とを有し、延出部24によってスリット22に所定の深さが与えられているため、スリット22の深さに応じて共鳴周波数frを変更することができ、設計自由度が高くなっている。
また本実施形態では、パネルユニット21が防音パネル25を組み合わせて構成されることにより、組み合わせる防音パネル25の寸法や隣接配置する防音パネル25の重畳寸法を変更することによってパネルユニット21の形状および寸法を容易に変更できるため、低減対象音の周波数調整が容易である。また、パネルユニット21を保管または運搬する際には、防音パネル25に分解して重ねることでその容積が小さくなり、コストが削減される。
図7は変形例に係る低周波音低減装置10の一断面を示している。この変形例では、左右方向に対向するように設けられた一対のパネル列11が上記実施形態よりも低い高さとそれたうえで、トンネル軸方向に沿って水平に延在するパネル列11が一対のパネル列11・11の上部を連結するように設けられている。水平に設けられたパネル列11は、設置方向が水平になるほかは他のパネル列11と同じ構成である。パネル列11がこのように配置されることにより、トンネル1内には中央空間5C、右側空間5R、左側空間5Lに加え、覆工コンクリート2の天井部分と水平に設けられたパネル列11との間に上側空間5Uが形成される。そして、第1隔壁12は、右側空間5Rおよび左側空間5Lに加え、上側空間5Uをも閉塞するような形状となっている。これにより、水平に設けられたパネル列11のスリット22と上側空間5Uとの共鳴吸音作用によっても低周波音が低減される。
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明に係る低周波音低減装置10は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、覆工コンクリート2を構築するトンネル1に対して本発明を適用しているが、覆工コンクリート2を構築しないトンネルや、コンクリート吹付けを行わないトンネルなどにも適用できる。また、上記実施形態では、覆工コンクリート2の構築後に低周波音低減装置10を設置しているが、低周波音低減装置10の設置は如何なる時期に行ってもよい。例えば、覆工コンクリート2の構築前すなわちコンクリート吹付け完了後や、インバートコンクリートを構築する場合にはその構築前あるいは構築後に低周波音低減装置10を設置してもよい。
また上記実施形態では、第1隔壁12を、中央空間5Cが切羽側の空間5Fに向けて開放されるように、右側空間5Rおよび左側空間5Lを閉塞する鉄鋼製の2枚のパネル14・14によって構成しているが、第2隔壁13と同様に、1枚のパネルにより(パネルを組み合わせて)中央空間5Cの上部をも覆う(塞ぐ)形状にしてもよい。このような構成とすることにより、低周波音低減装置による低周波音の低減効果を増大させることが可能である。なお、この場合には、第1隔壁12の形状を、防音扉17を除いて第2隔壁13と同形状にするとよい。
また上記実施形態では、図6を参照しながら説明したように、一対のパネル列11・11において、スリット22の幅b、深さt、間隔B、深さLを一律に同一寸法としているが、これら寸法の一部または全部をスリット22ごとに異ならせてもよい。このようにスリット22の寸法を異ならせることにより、より広域な低周波数帯をカバーし、低周波音の低減効果を高めることができる。
さらに上記実施形態では、パネルユニット21をコ字状の断面形状としているが、矩形の断面形状すなわち四角柱形状としてもよい。また、パネル列11を1列のみ配置する形態や、第2隔壁13を設けない形態などとすることもできる。このほか、各部材や、部位の具体的構成、形状、配置、数量、素材などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した低周波音低減装置10の構造の各要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択してもよい。
1 トンネル
5C 中央空間(他面側の空間)
5L 左側空間(一面側の空間)
5F 切羽側の空間
5M 坑口側の空間
5R 右側空間(一面側の空間)
10 低周波音低減装置
11 パネル列
12 第1隔壁
13 第2隔壁
13a 開口
21 パネルユニット
22 スリット
23 基部
24 延出部
25 防音パネル
t スリットの深さ

Claims (5)

  1. トンネル坑内の低周波音発生源とトンネル坑口との間に設置され、前記低周波音発生源から前記トンネル坑口に伝播する低周波音を低減するトンネル低周波音低減装置であって、
    トンネル軸方向に沿って立設されたパネル列と、
    前記パネル列の少なくとも一面側の空間を閉塞するように前記パネル列のトンネル軸方向の両端部に設置された第1隔壁および第2隔壁とを有し、
    前記パネル列が、トンネル軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のパネルユニットによって構成され、互いに隣接するパネルユニットの間に形成されたスリットを介して前記パネル列の前記一面側の空間と他面側の空間とが連通していることを特徴とするトンネル低周波音低減装置。
  2. 前記パネル列の前記他面側の空間を閉塞するように前記パネル列の前記トンネル坑口側の端部に設置された防音扉をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載のトンネル低周波音低減装置。
  3. 前記パネル列が互いに対向するように一対に設けられ、
    前記第1隔壁および前記第2隔壁が、少なくとも前記一対のパネル列の外側方の空間を閉塞するように設置されたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のトンネル低周波音低減装置。
  4. 前記パネルユニットは、前記他面側に配置されてトンネル軸方向に延在する基部と、当該基部のトンネル軸方向の両端から前記一面側に延出する一対の延出部とを有し、当該延出部が前記スリットに所定の深さを与えていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のトンネル低周波音低減装置。
  5. 前記基部および前記延出部が平板状のパネルを組み合わせて構成されていることを特徴とする、請求項4に記載のトンネル低周波音低減装置。
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