JP2015083729A - 綿繊維の精練方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、綿繊維の精練方法を提供する。【解決手段】 本発明の綿繊維の精練方法は、綿繊維を精練剤の不存在下にて水中に浸漬し、上記綿繊維を含む水を30〜120℃に達するまで加熱して上記綿繊維からの溶出成分によってpH8〜8.9の処理水とし、上記処理水によって上記綿繊維の精練を行うことを特徴とするので、中和などといった工程を必要とせず、製造効率良く綿繊維の精練を行うことができ、得られる綿繊維は、優れた機械的強度及び吸水性を有していると共に、綿フィラメントの脱毛率が低く、表面に発生する皺の量も少なくて優れた品質を有している。【選択図】 なし

Description

本発明は、綿繊維の精練方法に関する。
綿繊維は、第二次壁と、この第二次壁をワインディング層を介して被覆する第一次壁とからなり、この第一次壁の表面は、ワックス、ペクチン質、タンパク質、灰分を主成分としたクチクル層に形成されており、第一次壁に含まれるワックス、ペクチン質、タンパク質、灰分などの夾雑物の一部又は全てを除去して綿繊維は精練される。
従来から綿繊維の精練は、pHが9以上に調整された水酸化ナトリウム水溶液中に綿繊維を浸漬し、綿繊維を浸漬した水酸化ナトリウム水溶液を加熱することによって行われている。
しかしながら、上記精練方法は、pHが9以上という強アルカリ下にて綿繊維を処理するため、綿繊維が痛んでしまい、得られる綿繊維の品質が低下するという問題を有する。
そこで、特許文献1には、プロトペクチナーゼ、α−アミラーゼ、界面活性剤及び綿ロウ除去剤を含有する綿繊維用精練剤及びこの綿繊維用精練剤を用いた綿繊維の精練方法が開示されているが、綿繊維の精練が不十分であるという問題点を有している。
特開2004−218179号公報
本発明は、従来の精練方法に比して優れた精練効果を有する綿繊維の精練方法を提供する。
本発明の綿繊維の精練方法は、綿繊維を精練剤の不存在下にて水中に浸漬し、上記綿繊維を含む水を30〜120℃に達するまで加熱して上記綿繊維からの溶出成分によってpH8〜8.9の処理水とし、上記処理水によって上記綿繊維の精練を行うことを特徴とする。
上記綿繊維には、綿繊維の他に、麻、絹等の天然繊維やポリエステル繊維などの合成繊維が混合していてもよく、本発明の綿繊維の精練方法に適用される綿繊維の形態は、特に限定されず、例えば、綿花、スライバ、綿糸の他、タオルなどの織物、編み物、不織布などが挙げられ、更に、シャツなどの二次製品に縫製したものであってもよい。なお、本発明において用いられる綿繊維は、糊コーティング及び蝋引きが施されていないことが好ましい。又、綿繊維は、ワタの実から得られるが、ワタの生育からワタの実の収穫に至るまで石油鉱物系薬剤(化学肥料、除草剤、農薬、枯葉剤、合成界面活性剤)を一切使用しないことが好ましい。
先ず、綿繊維を水中に浸漬する。綿繊維を浸漬させる水の量は、少ないと、綿繊維の精練が不十分となることがあり、多いと、綿繊維を浸漬させた水のpHを高くすることができず、綿繊維の精練が不十分となることがあるので、綿繊維100重量部に対して700〜1500重量部が好ましく、900〜1200重量部がより好ましい。
しかる後、綿繊維を含む水を30〜120℃に加熱する。この加熱によって綿繊維を含む水に、綿繊維に含まれている成分を溶出させて、綿繊維を含む水をpH8〜8.9の処理水とし、この処理水によって綿繊維を精練する(以下「精練工程」という)。綿繊維の第一次壁のワックス、ペクチン質、タンパク質及び灰分などの夾雑物の一部又は全てが除去される。処理水のpHは、低いと、綿繊維の精練が不十分となるので、8〜8.9に限定され、8.3〜8.9が好ましく、8.5〜8.9がより好ましい。
本発明において、綿繊維を含む水を30〜120℃に加熱することによって、綿繊維を含む水のpHが高くなる(アルカリ性になる)理由は明確に解明されていないが、綿繊維にはカリウム成分が含まれており、綿繊維を浸漬させている水を上記温度範囲に達するまで加熱することによって綿繊維からカリウム成分が溶出し、その結果、綿繊維を浸漬している水のpHが高くなると推察される。
上述のように、処理水はpH8〜8.9の弱アルカリ性に保持されており、このアルカリ性の処理水によって、綿繊維の第一次壁のワックス、ペクチン質、タンパク質及び灰分の一部又は全てを除去し、綿繊維の精練を行う。処理水のpHを8〜8.9にするために、別途用意した精練剤は、綿繊維を含む水に添加されておらず、綿繊維に含まれている溶出成分によって、綿繊維を浸漬させている水のpHを8〜8.9にしており、綿繊維が精練過程において損傷を受けることを概ね防止している。
上記精練剤としては、綿繊維の精練を行うことができるものが挙げられ、具体的には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ほう砂、三リン酸ナトリウム、アンモニア水の他、プロトペクチナーゼなどのペクチン質を分解する酵素などが挙げられる。
精練工程における綿繊維を含む水の加熱は、低いと、綿繊維からの成分の溶出が不十分となり、綿繊維の精練が不十分となり、高いと、綿繊維が熱によって痛み、得られる綿繊維の品質が低下するので、30〜120℃に達するまで行われ、50〜70℃に達するまで行われることが好ましく、50〜65℃に達するまで行われることがより好ましく、55〜60℃に達するまで行われることが特に好ましい。精練工程における綿繊維を含む水の加熱は、30〜120℃に達した後は30℃を下回ってもよいし、又、精練工程の全てにおいて、綿繊維を含む水は、一定の加熱温度に維持する必要もなく変動してもよい。精練工程における綿繊維を含む水の加熱の上限温度は、綿繊維が熱によって痛む虞れがあるので、120℃が好ましく、70℃がより好ましく、65℃が特に好ましく、60℃が最も好ましい。
例えば、精練工程において、綿繊維を含む水の加熱は精練工程の全てにおいて継続して行われてもよいが、綿繊維を含む水を加熱して30〜120℃に達した時点で水の加熱を停止し、その後、綿繊維を含む水が保有する熱によって、綿繊維を含む水を放冷などにより冷却しながら、綿繊維に含まれている成分を水に溶出させてもよい。このとき、綿繊維を含む水を加熱した後、綿繊維を含む水の冷却は、高いと、綿繊維に含まれている成分の溶出が不十分となることがあるので、50℃に達するまで行われることが好ましい。
上記精練工程は、一回だけ行われてもよいが、綿繊維に含まれている成分を十分に水に溶出させるために、複数回、繰返し行われてもよい。精練工程を複数回行う場合にあっても、綿繊維を浸漬させている水は入れ換えることなく、精練工程の全てにおいて同一の水が用いられる。精練工程の全てにおいて同一の水を用いることによって、綿繊維の精練をより効果的に行うことができると共に、水の使用量を低減して地球環境の保護に寄与することもできる。
精練工程を行う時間は、短いと、綿繊維に含まれている成分を水に十分に溶出させることができないことがあり、長いと、精練効果が低下し又は綿繊維が熱によって痛むことがあるので、2〜5時間が好ましく、2.5〜4時間がより好ましい。なお、精練工程を複数回行う場合は、全ての精練工程の合計時間をいう。
又、上記精練工程の前に、綿繊維を精練剤の不存在下にて水中に浸漬し、この綿繊維を含む水を加熱して30〜120℃に達した時点で水の加熱を停止し、その後は、綿繊維を含む水が保有する熱によって、綿繊維を含む水を放冷などにより冷却しながら、綿繊維に含まれている成分を水に溶出させ、綿繊維を含む水をpH8未満とする予備加熱工程を一回又は複数回行ってもよい。このように予備加熱工程を精練工程の前に行うことによって、綿繊維が精練によって痛むのを概ね防止しながら、綿繊維に含まれている成分の水への溶出を容易に行うことができる。
予備加熱工程における綿繊維を含む水の加熱は、低いと、綿繊維からの成分の溶出が不十分となって、綿繊維の精練が不十分となることがあり、高いと、綿繊維が熱によって痛み、得られる綿繊維の品質が低下することがあるので、30〜120℃に達するまで行われることが好ましく、50〜70℃に達するまで行われることがより好ましく、50〜65℃に達するまで行われることが特に好ましく、55〜60℃に達するまで行われることが最も好ましい。予備加熱工程における綿繊維を含む水の加熱は、30〜120℃に達した後は30℃を下回ってもよいし、又、予備加熱工程の全てにおいて、綿繊維を含む水は、一定の加熱温度に維持する必要もなく変動してもよい。予備加熱工程における綿繊維を含む水の加熱の上限温度は、綿繊維が熱によって痛む虞れがあるので、120℃が好ましく、70℃がより好ましく、65℃が特に好ましく、60℃が最も好ましい。
例えば、予備加熱工程において、綿繊維を含む水の加熱は予備加熱工程の全てにおいて継続して行われてもよいが、綿繊維を含む水が30〜120℃に達した時点で水の加熱を停止し、その後、綿繊維を含む水が保有する熱によって、綿繊維を浸漬した水を放冷などにより冷却しながら、綿繊維に含まれている成分を水に溶出させてもよい。このとき、綿繊維を含む水を加熱した後、綿繊維を含む水の冷却は、高いと、綿繊維に含まれている成分の溶出が不十分となることがあるので、50℃に達するまで行われることが好ましい。
予備加熱工程を行う時間は、短いと、綿繊維に含まれている成分を水に十分に溶出させることができないことがあり、長いと、綿繊維が熱によって痛むことがあるので、1時間未満が好ましい。なお、予備加熱工程を複数回行う場合は、全ての予備加熱工程の合計時間をいう。
上述のように、精練工程を行うことによって綿繊維に含まれている成分を水に溶出させて、綿繊維を浸漬している水をpH8〜8.9として処理水とし、このアルカリ性の処理水によって綿繊維の精練を行う。
又、明確に解明されていないが、綿繊維に含まれている酵素もpH8〜8.9の水中において良好に作用し、脂質及びタンパク質の分解、並びに、ケン化が進行して界面活性効果が発現し、本発明の綿繊維の精練方法によって得られる綿繊維は、優れた耐久性及び柔軟性を有すると共に、必要に応じて染色が施される場合にあっても染色ムラが少なく、美麗な綿製品を提供することができる。
次に、上記処理水に石鹸を加え、石鹸を含む処理水で綿繊維を処理する(以下「石鹸処理工程」という)。上記処理水に加えられる石鹸は、精練工程において綿繊維から除去された第一次壁の成分が綿繊維に再付着することを防止し、得られる綿繊維に柔軟性を付与するために加えられる。綿繊維の処理は、綿繊維を全体的にムラなく処理水と接触させることができれば特に限定されず、例えば、綿繊維を含む処理水を攪拌する方法、綿繊維を処理水中にて移動させる方法などが挙げられる。
上記処理水に加えられる石鹸としては、特に限定されないが、綿繊維へのペクチン質の再付着防止効果が高いことから、シア石鹸が好ましい。
上記シア石鹸は、シアの実を原料として製造されたものである。なお、シアの実とは、シアの木に実った実であり、このシアの木は、アフリカ大陸の北緯5〜15°付近に分布するアカテツ科の双子葉植物であって学名は「Butyrospermun parkii」であり、常緑の小高木である。
シア石鹸は具体的には下記の要領で製造される。先ず、シアの実に含まれている種子を取り出す。この種子の殻を除去して種子内にある胚(シアカーネル)を取り出す。このシアカーネルを好ましくは半年から1年、室温にて保管した後、シアカーネルを粉砕した上で、シアカーネルの粉砕物を熱湯に供給してシアカーネル中に含まれているシアオイルを抽出、分離し、熱湯上に浮いた油分をシアオイルとして回収する。
次に、シアカーネルの粉砕物を麻袋などの圧搾袋内に収納し、この圧搾袋に入れた状態でシアカーネルの粉砕物を万力などを用いて圧搾してシアカーネルに含まれている油分をシアオイルとして絞り出す。なお、シアカーネルの粉砕物を熱湯に供給してシアオイルを抽出、分離する工程は省略してもよい。
しかる後、得られたシアオイル中には余分な水分が含まれており、シアオイル中に過剰の水分が含まれていると、シアオイルの保管中に酸化してシアオイルの品質の低下を招くので、得られたシアオイルを加熱して余分な水分を除去することが好ましい(水分低減化工程)。シアオイルの加熱温度としては、低いと、シアオイル中の水分量を低減させることができず、高いと、シアオイルが分解してしまう虞れがあるので、100〜200℃に加熱することが好ましい。又、シアオイルの加熱時間としては、短いと、シアオイル中の水分量を低減させることができず、長くても、シアオイル中の水分の低減効果に変化はないので、20〜40分が好ましい。次に、シアオイル中に含まれている不純物を除去するために濾過する(濾過工程)。このシアオイルの水分低減化工程及び濾過工程を一サイクルとして複数サイクル、好ましくは、2〜3サイクル行った後、室温まで冷却して精製されたシアオイルを得ることができる。
一方、アルカリ水溶液を用意する。アルカリ水溶液は、アルカリを水に溶解させて得られる。アルカリとしては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ水溶液中におけるアルカリの含有量は、少ないと、後述するシアオイルとアルカリ水溶液とを混合して生じる反応が不充分となることがあり、多くても、シアオイルとアルカリ水溶液とを混合して生じる反応に変化はないので、水100重量部に対して60〜80重量部が好ましく、70〜75重量部がより好ましい。
アルカリ水溶液を好ましくは38〜42℃に加熱、保持する。更に、上述のようにして得られたシアオイルも好ましくは38〜42℃に加熱、保持する。しかる後、シアオイルをアルカリ水溶液中に供給することによってシアオイルとアルカリ水溶液とを混合して好ましくは30分〜2時間に亘って攪拌し、更に、室温(20〜25℃)にて3〜4週間に亘って放置して、シアオイル中の脂肪酸とアルカリとを反応させて固体状の脂肪酸の金属塩、即ち、シア石鹸を得ることができる。
シアオイルとアルカリ水溶液との混合比率は、シアオイル中に含まれている脂肪酸のモル数よりもアルカリ水溶液中に含まれているアルカリのモル数の方が多くなるように調整することが好ましく、具体的には、水100重量部に対して水酸化ナトリウム60〜80重量部を溶解させて得られたアルカリ水溶液を用いる場合、アルカリ水溶液100重量部と、シアオイル200〜350重量部とを混合することが好ましい。
上記処理水への石鹸の供給量は、少ないと、精練工程において綿繊維から除去された第一次壁の成分が綿繊維に再付着することがあり、多いと、得られる綿繊維に石鹸が残留する虞れや、その後の綿繊維の洗浄工程において水の増量が必要となる虞れがあるので、綿繊維100重量部に対して0.1〜1重量部が好ましく、0.2〜0.5重量部がより好ましい。
石鹸処理工程を行う時間は、短いと、精練工程において綿繊維から除去された第一次壁の成分が綿繊維に再付着することを防止する効果が低くなることがあり、長いと、綿繊維が痛むことがあるので、0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。
石鹸処理工程を行う際の処理水の温度は、低すぎても高すぎても、精練工程において綿繊維から除去された第一次壁の成分が綿繊維に再付着することを防止する効果が低くなることがあるので、35〜55℃が好ましく、40〜55℃がより好ましい。
石鹸処理工程を行う際の処理水の温度は、石鹸処理工程の全てにおいて、一定の加熱温度に維持する必要もなく変動してもよい。
例えば、石鹸処理工程において、処理水の加熱は石鹸処理工程の全てにおいて継続して行われてもよいが、処理水を加熱して50〜55℃に達した時点で処理水の加熱を停止し、その後、処理水が保有する熱によって、処理水を放冷などにより冷却しながら、綿繊維を石鹸によって処理してもよい。このとき、処理水を加熱した後、処理水の冷却は、高いと、精練工程において綿繊維から除去された第一次壁の成分が綿繊維に再付着することを防止する効果が低くなることがあるので、45℃に達するまで行われることが好ましい。
石鹸処理工程で綿繊維を石鹸を含む処理水で処理した後、精練された綿繊維を処理水から取り出し、精練された綿繊維を水で洗浄して精練された綿繊維を得ることができる。
加えて、精練された綿繊維に付着した付着物を更に除去するために、精練された綿繊維を洗浄水に供給すると共に、洗浄水に石鹸、好ましくはシア石鹸を供給し、洗浄水を35〜50℃に加熱して綿繊維を洗浄する(仕上げ洗浄工程)ことが好ましい。洗浄水の温度は、低いと、綿繊維の洗浄効果が低下することがあり、高いと、綿繊維の洗浄効果が低下することがあり、又は、綿繊維が痛み、得られる綿繊維の品質が低下することがある。
仕上げ洗浄工程において、綿繊維を供給する洗浄水の量は、少ないと、精練された綿繊維の洗浄が不十分となることがあるので、綿繊維100重量部に対して800〜1500重量部が好ましく、1000〜1200重量部がより好ましい。
仕上げ洗浄工程において、洗浄水に供給する石鹸の量は、少ないと、綿繊維の洗浄効果が低下することがあり、多いと、得られる綿繊維に石鹸が残留し、又は、仕上げ洗浄工程において使用する洗浄水の量が多くなることがあるので、綿繊維100重量部に対して0.05〜2重量部が好ましく、0.5〜1重量部がより好ましい。
仕上げ洗浄工程において、精練された綿繊維の洗浄時間は、短いと、綿繊維の洗浄が不十分となることがあり、長いと、かえって綿繊維を痛め、得られる綿繊維の品質が低下することがあるので、1〜3時間が好ましく、1.5〜2.5時間がより好ましい。
仕上げ洗浄工程時の洗浄水の温度は、低いと、綿繊維の洗浄が不十分となることがあり、高いと、かえって綿繊維を痛め、得られる綿繊維の品質が低下することがあるので、35〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。
以上のようにして精練された綿繊維は脱水、洗浄された後に好ましくは40〜50℃にて熱風によって乾燥されて最終製品とされる。
本発明の綿繊維の精練方法は、上述のように、従来の綿繊維の精練で用いられていた精練剤を用いることなく、綿繊維の精練を行っており、中和などといった工程を必要とせず、製造効率良く綿繊維の精練を行うことができる。そして、精練された綿繊維も精練過程において損傷を殆ど受けておらず、品質が高く、優れた機械的強度及び吸水性を有していると共に、綿繊維からの綿フィラメントの飛散率(脱毛率)が低く、表面に発生する皺の量も少なくて優れた品質を有している。又、本発明の綿繊維の精練方法によって精練された綿繊維は、必要に応じて染色が施されるが染色ムラが少なく、美麗な綿製品を提供することができる。
又、綿繊維が有色化された原綿(カラーコットン)を含む場合、本発明の綿繊維の精練方法によって精錬されたカラーコットンは、濃色化されて鮮やかな色彩を呈する。
(実施例1)
未精練の綿繊維から形成されたタオル100重量部をpH7の水1100重量部に供給し、タオルを含む水を60℃に加熱した。タオルを含む水が60℃に達した時点で水の加熱を停止し、その後、タオルを含む水を放冷しながら1時間に亘って放置した。1時間放置後のタオルを含む水の温度は52℃であった。タオルを含む水は、タオルに含まれている成分が溶出し、pH8.45の処理水となっており、この処理水によってタオルを構成している綿繊維を精練した。
タオルを含む処理水を再度、60℃に加熱し、処理水が60℃に達した時点で処理水の加熱を停止し、その後、処理水を放冷しながら1時間に亘って放置した。1時間放置後の処理水の温度は52℃、pHは8.57であった。
しかる後、タオルを含む処理水を再度、60℃に加熱し、処理水が60℃に達した時点で処理水の加熱を停止し、その後、処理水を放冷しながら1時間に亘って放置した。1時間放置後の処理水の温度は52℃、pHは8.6であった(精練工程)。
一方、ウガンダ産のシアの実から種子を取り出し、種子の殻を取り除いて胚(シアカーネル)を取り出した。このシアカーネルを粉砕した上で熱湯に供給してシアカーネル中に含まれている油分をシアオイルとして抽出、分離した。更に、熱湯を用いて油分を抽出したシアカーネルの粉砕物を麻袋から形成された圧搾袋内に収納し、圧搾袋に入れた状態でシアカーネルの粉砕物を万力を用いて圧搾してシアカーネルに含まれている油分をシアオイルとして絞り出した。
次に、熱湯による抽出及び圧搾による絞り出しにて得られたシアオイルを100〜200℃にて30分間に亘って加熱してシアオイル中に含まれている水分を蒸発させてシアオイル中の水分を低減した(水分低減化工程)。しかる後、シアオイル中に含まれている不純物を除去するために濾過した(濾過工程)。上述のシアオイルの水分低減化工程及び濾過工程を一サイクルとしてニサイクル行った後、シアオイルを室温まで冷却して精製された固体状のシアオイルを得た。
一方、水500重量部に水酸化ナトリウム367重量部を完全に溶解させてアルカリ水溶液を作製した。なお、水酸化ナトリウムを水に溶解させた直後は発熱によってアルカリ水溶液が高温になっていたのでアルカリ水溶液が40℃となるまで放置し、その後、アルカリ水溶液を40℃に保持した。
しかる後、上記シアオイルを40℃に保持して溶解させて液体状とした後、この液体状のシアオイル2760重量部を上記40℃のアルカリ水溶液867重量部中に供給して一時間に亘って攪拌することによってシアオイルとアルカリ水溶液とを均一に混合した後に25℃にて3週間に亘って放置して、シアオイル中に含まれている脂肪酸と水酸化ナトリウムとを反応させて固体状のシア石鹸を得た。
次に、上記タオルを含む処理水を52℃とした後、シア石鹸を処理水にタオル100重量部に対して0.3重量部添加した。しかる後、処理水の加熱を停止し、処理水を放冷しながら、処理水を2時間に亘って攪拌しながらタオルを処理水で処理した(石鹸処理工程)。石鹸処理工程終了時における処理水の温度は42℃、pHは7.9であった。
処理水からタオルを取り出した後、タオルを水で洗浄した。しかる後、洗浄水1100重量部にタオル100重量部及びシア石鹸0.6重量部を供給した後、洗浄水を43℃に加熱した上で、洗浄水を2時間に亘って攪拌しタオルを洗浄した(仕上げ洗浄工程)。次に、タオルを水洗、乾燥させて、精練された綿繊維から形成されたタオルを得た。
(比較例1)
未精練の綿繊維から形成されたタオルを90℃の水中に浸漬して10分間に亘って洗浄して綿繊維の表面に付着している不純物を除去した。次に、タオルを20〜30℃の水中に浸漬して水洗した。
しかる後、アミラーゼ酵素(上中化成社製 商品名「K−50」)を含む70℃の第一処理液中にタオルを60分間に亘って浸漬して綿繊維の精練を行った後、タオルを第一処理液から取り出して水洗した。
次に、マルセル石鹸(ミヨシ油脂社製 商品名「ミルクオールH」)を1g/リットル含む90℃の第二処理液中にタオルを10分間に亘って浸漬してソーピング処理を行った後、タオルを第二処理液から取り出して水洗した。
しかる後、セルラーゼ酵素(洛東化成工業社製 商品名「エンチロンCM−40L」)を含み且つpHが4.5に調整された55℃の第三処理液中にタオルを40分間に亘って浸漬して綿繊維の精練を行った後、第三処理液を加熱して80℃に15分間に亘って保持してセルラーゼ酵素を分解した上で、タオルを第三処理液から取り出して水洗した。
そして、マルセル石鹸(ミヨシ油脂社製 商品名「ミルクオールH」)を1g/リットル含む90℃の第四処理液中にタオルを10分間に亘って浸漬してソーピング処理を行った後、タオルを第四処理液から取り出して水洗して精練された綿繊維から形成されたタオルを得た。
得られた精練されたタオルの脱毛率を下記の要領で測定した。
(脱毛率)
一般財団法人日本タオル検査協会が定めるタオル検法の測定要領に基づいて脱毛率を測定した。実施例1のタオルの脱毛率は0.050%であり、比較例1のタオルの脱毛率は0.124%であった。

Claims (5)

  1. 綿繊維を精練剤の不存在下にて水中に浸漬し、上記綿繊維を含む水を30〜120℃に達するまで加熱して上記綿繊維からの溶出成分によってpH8〜8.9の処理水とし、上記処理水によって上記綿繊維の精練を行うことを特徴とする綿繊維の精錬方法。
  2. 綿繊維の精練の後に、処理水に石鹸を加えて綿繊維を処理することを特徴とする請求項1に記載の綿繊維の精練方法。
  3. 綿繊維を含む水を30〜120℃に達するまで加熱した後に、上記綿繊維を含む水の加熱を停止し、上記綿繊維を含む水の有する熱によって上記綿繊維を含む水を上記綿繊維からの溶出成分によってpH8〜8.9の処理水とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の綿繊維の精練方法。
  4. 石鹸が、シアの実を原料として製造されたシア石鹸を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の綿繊維の精練方法。
  5. シア石鹸は、シアの実の種子の胚から得られるシアオイルとアルカリ水溶液とを混合し反応させて得られた石鹸であることを特徴とする請求項4に記載の綿繊維の精練方法。
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