JP2015081259A - インクおよび前処理液のセット - Google Patents

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Abstract

【課題】白色系色材の沈降が抑制され、かつ、白色度に優れた画像を形成することができる、白色系インク組成物および前処理液のセットを提供する。【解決手段】本発明に係るインクおよび前処理液のセットは、白色系色材を含有する白色系インク組成物と、凝集剤を含有する前処理液と、を含み、前記白色系色材は、平均粒子径200nm未満の第1粒子が複数集合して形成された平均粒子径200nm以上1μm以下の第2粒子からなり、前記凝集剤は、前記第2粒子を凝集させるものであり、前記白色系インク組成物は、前記前処理液の付与された記録媒体の領域に、前記白色系色材が0.1mg/cm2以上となるように付着させることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、インクおよび前処理液のセットに関する。
従来から、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどのカラーインクを用いて、記録媒体に多様な色の画像が形成されてきた。近年では、このようなカラーインクだけでは表現できない色の画像を形成できるインクが注目されている。例えば、特許文献1では、二酸化チタン等の白色系色材を含有する白色系インク組成物が開示されている。このような白色系インク組成物は、上述したカラーインクでは形成できない白色系画像を形成することができる。
上記の白色系色材を含有する白色系インク組成物は、例えばプラスチック製品や金属製品のような下地の色が白色とは限らない記録媒体にカラー画像を記録する場合において、カラー画像の発色性を向上させるべく下地の色を消す用途に使用されることがある。また、透明シートにカラー画像を記録する場合にあっては、カラー画像の透過性を下げる白色遮蔽層の形成に用いられることがある。そのため、白色系インク組成物は、記録媒体に付着させた際の白色度が高いことが求められていた。
しかしながら、上記のような二酸化チタンに代表される白色系色材は、ある程度大きな粒子径(例えば200nm程度以上)を有していなければ、記録される画像の白さが不足していると感じられる傾向にある。そのため、白色度を上げるために白色系色材の粒子径を大きくすることが好ましいが、白色系色材の粒子径の増大に伴ってインク組成物中で沈降してしまうという問題がある。このような問題に対して、例えば、特許文献2および特許文献3には、白色系色材として多孔質の二酸化チタン粒子を使用することが記載されている。多孔質の白色系色材を用いれば、従来の二酸化チタンを用いた白色系色材よりも比重を低くすることができる。
特開平6−322306号公報 特開2007−211176号公報 特許第4958001号公報
上記のような多孔質の二酸化チタン粒子を使用した場合、当該白色系色材の沈降を改善することができるが、記録される白色系画像の隠蔽性や発色性を高めるために、さらなる白色度の向上が要求される。
本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、白色系色材の沈降が抑制され、かつ白色度に優れた画像を形成することができる、白色系インク組成物および前処理液のセットを提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る白色系インク組成物および前処理液のセットの一態様は、
白色系色材を含有する白色系インク組成物と、
凝集剤を含有する前処理液と、
を含み、
前記白色系色材は、平均粒子径200nm未満の第1粒子が複数集合して形成された平均粒子径200nm以上1μm以下の第2粒子からなり、
前記凝集剤は、前記第2粒子を凝集させるものである。
適用例1の白色系インク組成物および前処理液のセットによれば、白色系色材の沈降が抑制され、かつ、白色度に優れた画像を得ることができる。
[適用例2]
請求項1において、
前記白色系インク組成物は、前記前処理液の付与された記録媒体の領域に、前記白色系色材が0.1mg/cm以上となるように付着させることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記白色系インク組成物は、さらに樹脂を含有し、
前記白色系色材の含有量は、前記樹脂の含有量に対して、固形分換算で0.2倍以上20倍以下であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記白色系インク組成物は、インクジェット記録装置に用いられ、
前記インクジェット記録装置は、前記白色系インク組成物を記録媒体に付着させて得られた画像を加圧する加圧手段を備えることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記白色系インク組成物は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インクであり、重合性化合物を含有することができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
インク非吸収性の記録媒体に対する記録に用いられることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
前記白色系インク組成物は、記録媒体に付着した前記前処理剤が湿潤している状態で、該前処理液と接触させることができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか1例において、
前記白色系インク組成物は、インクジェット記録装置に用いられ、
前記インクジェット記録装置は、インクを吐出するノズルが設けられたノズル形成面と、前記ノズル形成面を払拭する払拭手段と、該払拭手段または前記ノズル形成面に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、を備え、
前記洗浄液の表面張力が、20mN/m以上45mN/m以下であることができる。
本発明に係るインクジェット記録装置の構成を模式的に示す斜視図。 本発明に係るインクジェット記録装置におけるヘッドのノズル形成面を模式的に示す概略図。 実施例2に係る白色系色材の凝集前後の状態を示すSEM画像。 比較例2に係る白色系色材の凝集前後の状態を示すSEM画像。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.白色系インク組成物および前処理液のセット
本発明の一実施形態に係る白色系インク組成物および前処理液のセットは、白色系色材を含有する白色系インク組成物と、凝集剤を含有する前処理液と、を含み、前記白色系色材は、平均粒子径200nm未満の第1粒子が複数集合して形成された平均粒子径200nm以上1μm以下の第2粒子からなり、前記凝集剤は、前記第2粒子を凝集させることを特徴とする。
本発明に係る白色系インク組成物および前処理液のセットは、少なくとも、白色系インク組成物と、前処理液と、を含んでいれば、他のインク組成物(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックインク組成物等のカラーインク組成物)を含むものであってもよい。
本発明において、白色系インク組成物とは、社会通念上「白」と呼称される色を記録できるインク(インキ)であり、微量着色されているものも含む。また、その顔料を含有するインク(インキ)が「白色インク(インキ)、ホワイトインク(インキ)」などといった名称で呼称、販売されるインク(インキ)を含む。さらに、例えば、インク(インキ)が、エプソン純正写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に100%duty以上又は写真用紙の表面が十分に被覆される量で記録された場合に、インクの明度(L)および色度(a、b)が、分光測光器Spectrolino(商品名、GretagMacbeth社製)を用いて、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、として設定して計測した場合に、70≦L≦100、−4.5≦a≦2、−6≦b≦2.5、の範囲を示す、インク(インキ)を含む。
上記白色系インクの定義において、「duty」とは、下式で算出される値である。
duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位長さ当たりの解像度である。)
以下、本実施形態に係る白色系インク組成物および前処理液のセット(以下、単に「インクセット」ともいう。)について、白色系インク組成物、前処理液の順に詳細に説明する。
1.1.白色系インク組成物
1.1.1.白色系色材
本実施形態に係るインクセットに含まれる白色系インク組成物は、白色系色材を含有す
る。白色系色材は、平均粒子径200nm未満の第1粒子が複数集合して形成された第2粒子からなり、当該第2粒子の平均粒子径は、200nm以上1μm以下である。このように、第2粒子は微小な第1粒子を複数集合させて形成されたものであることから、第2粒子の表面には多数の孔(空隙)が形成されている。これにより、第2粒子の空隙に分散媒が侵入できるので、白色系インク組成物中における第2粒子(白色系色材)の分散性が良好になる。さらに、第2粒子は、表面に多数の孔が形成されていない同一の粒子径を有する白色系色材と比較して比重が小さいので、インク中で沈降しにくくなる。
白色系色材の含有量(固形分換算)は、白色系インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。白色系インク色材の含有量が上記範囲内にあることで、分散性に優れた白色系インク組成物が得られやすく、また発色性に優れた画像が得られやすい。
<第1粒子>
第1粒子の平均粒子径は、200nm未満である必要があるが、50nm以上200nm未満であることが好ましく、60nm以上150nm以下であることがより好ましく、70nm以上110nm以下であることが特に好ましい。第1粒子の平均粒子径が200nm未満であることで、インク中に第2粒子を構成していない第1粒子が存在する場合であっても、当該第1粒子の沈降を抑制できる。また、第1粒子の粒子径が50nm以上であると、インク中に第2粒子を構成していない第1粒子が存在する場合に、第2粒子と比較してその効果は低いが、当該第1粒子が画像の白色度の向上に寄与する。一方、第1粒子の平均粒子径が200nm以上になると、これを用いて形成された第2粒子の粒子径が大きくなりすぎて、インク中での沈降や、吐出不良等を引き起こす場合がある。
第1粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られる画像に基づいて測定できる。具体的には、第1粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡によって得られた画像において、最も大きい粒子径を有するものから順に10個の粒子と、最も小さい粒子径を有するものから順に10個の粒子と、を除外した上で、10個の粒子を選択して、これらの直径を個々に測定することで得られた値の算術平均値のことをいう。
第1粒子は、金属酸化物(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、イットリア安定化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化スズ、チタン酸バリウム等)、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウムから選択される少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。これらの化合物は、1種以上単独で使用されてもよいし、2種以上併用されてもよい。これらの化合物の中でも、白色度、遮蔽性および物理的強度の観点から、金属酸化物を用いることがより好ましく、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、シリカであることがさらに好ましい。なお、第1粒子は、1種類以上の化合物を1種類以上の化合物で被覆した、いわゆるコアシェル構造を有していてもよい。
第1粒子は、公知の製造方法により製造されるものであり、具体的には、粉砕法、合成法(例えば、蒸発凝縮法、気相反応法、コロイド法、均一沈殿法、水熱合成法、マイクロエマルション法等)などの製造方法が挙げられる。
第1粒子には、市販品を用いてもよく、例えば、石原産業株式会社製のTTO−51(A)、TTO−51(C)、TTO−55(A)、TTO−55(B)、TTO−55(C)、TTO−55(D)、テイカ株式会社製のMT−700B、JR−301、JR−403、JR−405、JR-600A、JR−605、JR−600E、JR−603、JR−805、JR−806、JR−701、JRNC、JR−800、JR、JA−1、JA−C、JA−3(以上すべて商品名)等が挙げられる。
また、第1粒子は、シランカップリング剤(例えば、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の高分子、有機酸等の表面処理剤によって、表面処理されたものであってもよい。これにより、第1粒子の表面に表面処理剤に由来する基が導入されるので、媒体中での第1粒子の分散性を向上できる。
なお、白色系インク組成物は、第2粒子から脱離した第1粒子を含有してもよい。
<凝集前の第2粒子>
白色系インク組成物に含まれる第2粒子(白色系色材)は、上記の第1粒子が複数集合して形成されたものである。本発明では、後述する前処理液の作用により凝集する前の第2粒子を「凝集前の第2粒子」といい、後述する前処理液の作用により凝集した後の第2粒子を「凝集後の第2粒子」という。また、本発明において、単に「第2粒子」という場合には、「凝集前の第2粒子」を指し、「凝集後の第2粒子」とは区別するものとする。
第2粒子(白色系色材)の平均粒子径は、200nm以上1μm以下である必要があるが、250nm以上800nm以下であることが好ましく、270nm以上600nm以下であることがより好ましく、300nm以上500nm以下であることが特に好ましい。第2粒子の平均粒子径が200nm以上であることで、記録される画像の白色度が良好になる。また、第2粒子の平均粒子径が1μm以下であることで、第2粒子の沈降を抑制できたり、液滴吐出装置に適用した際の吐出安定性が良好となる。一方、第2粒子の平均粒子径が200nm未満であると、記録される画像の白色度が不足する傾向にあり、第2粒子の平均粒子径が1μmを超えると、第2粒子が沈降しやすくなったり、吐出不良を引き起こしたりすることがある。
第2粒子の平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて回折散乱光の光強度分布パターンを検出し、その光強度分布パターンをMie散乱理論に基づいて計算することにより体積基準の粒度分布を求め、その粒度分布から算出された体積平均粒子径のことをいう。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)が挙げられる。
第2粒子(白色系色材)は、上述した第1粒子を含むものであるが、さらに有機ポリマー粒子を含んでいてもよい。有機ポリマー粒子を使用すれば、複数の第1粒子を集合させて、一の粒子(第2粒子)とすることが容易となる。有機ポリマー粒子としては、水系媒体に分散可能なものを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリブタジエン等から選択される少なくとも一種を原料として得られる非水溶性有機ポリマー粒子が挙げられる。
有機ポリマー粒子の平均粒子径は、10nm以上300nm以下であることが好ましく、10nm以上200nm以下とすることがより好ましい。第2粒子が有機ポリマー粒子を含む場合には、第2粒子中の有機ポリマー粒子と第1粒子との比を、質量比で10:90〜90:10とすることができる。有機ポリマー粒子の平均粒子径とは、第2粒子径と同様の方法・測定装置を用いて測定された粒度分布から算出された体積平均粒子径のことをいう。
第2粒子は、その表面に複数の孔を有する多孔質粒子である。第2粒子の孔の平均細孔径は、10nm以上300nmであることが好ましく、10nm以上200nm以下であることが好ましい。本発明における平均細孔径とは、全細孔容積と比表面積から算出され
る平均細孔直径を指す。なお、全細孔容積および比表面積はガス吸着法(窒素ガスを使用)によって得られる細孔分布に基づいて算出でき、具体的には、全細孔容積はBJH法を用い、比表面積はBET法を用いて算出できる。ガス吸着法を実施可能な装置としては、例えば、カンタクローム社製のオートソーブ3(製品名)等が挙げられる。
第2粒子の空孔率は、特に限定されるものではないが、例えば、20%以上90%以下であることができ、さらには30%以上85%以下であることができる。空孔率は、上記の全細孔容積に基づいて算出される。
<白色系色材(第2粒子)の製造方法>
上記の白色系色材(第2粒子)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の工程(i)〜(iii)を実施することによって製造できる。以下の工程では、第1粒子として金属酸化物を使用した場合を例に挙げて説明する。
工程(i)は、上記の第1粒子の水分散体を用いて、上記の有機ポリマー粒子の水分散液と混合または反応させた混合液を調製する工程である。
第1粒子の水分散体は、第1粒子を水系媒体に添加して攪拌することで得られる。第1粒子は、水系媒体中での水分散性を向上させるために、上記の表面処理剤を導入したもの使用してこれを水系媒体に添加してもよいし、上記の表面処理剤を含む水系媒体に添加してもよい。有機ポリマー粒子の水分散体は、有機ポリマー粒子を水系媒体に添加して攪拌することで得られる。このようにして得られた各水分散体を混合して攪拌することで、第1粒子および有機ポリマー粒子を含有する混合液が得られる。
水系媒体としては、水および極性有機溶媒の少なくとも一方を使用できる。極性有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
なお、工程(i)は、上記の方法に変えて、有機ポリマー粒子の存在化で金属酸化物の前駆体を用いたゾルゲル反応によって反応溶液を調製する方法を採用してもよい。具体的には、有機ポリマー粒子、金属酸化物の前駆体、水系媒体、ゾルゲル反応触媒等を任意の割合、反応条件に従って混合することで、反応溶液が得られる。金属酸化物の前駆体としては、例えば、上述した金属酸化物を構成する金属のアルコキシド等(例えば、チタンチタンテトライソプロポキシド等)を使用できる。また、ゾルゲル反応触媒としては、例えば、酸触媒(無機および有機酸等)、アルカリ触媒(アルカリ金属水酸化物、アミン類等)を使用できる。
工程(ii)は、上記工程(i)によって得られた混合液を乾燥する工程である。これにより、第1粒子および有機ポリマー粒子を含む有機無機複合体が得られる。
有機無機複合体は、例えば、混合液を加熱乾燥して得られた固体を粉砕等したり、混合液を凍結乾燥した後に加熱乾燥することで得られた固体を粉砕したり、混合液を噴霧して乾燥させたりすることによって製造できる。
混合液を加熱乾燥させる場合には、20℃以上300℃以下の条件で行うことが好ましく、80℃以上200℃以下の条件で行うことが好ましい。これにより、複数の第1粒子で構成されるマトリックス中に有機ポリマー粒子が分散して配置されやすくなる。
また、粉砕等を行った後、得られた有機無機複合体を公知のふるい装置等で分級するこ
とで、所望の平均粒子径を有する有機無機複合体が得られやすくなる。
工程(iii)は、上記工程(ii)によって得られた有機無機複合体に存在する有機ポリマー粒子の少なくとも一部を除去する工程である。これにより、第1粒子が複数集合して形成された第2粒子を得ることができる。得られた第2粒子は、その表面に略均一な孔を有する多孔質粒子である。
有機ポリマー粒子を除去する方法としては、加熱によって焼成する方法や、プラズマ、遠赤外線、マイクロ波、真空紫外線等を照射する方法や、溶剤や水などを用いて溶出除去する方法などが挙げられる。有機ポリマー粒子を焼成によって除去する場合には、焼成温度を300℃以上2000℃以下とすることが好ましく、400℃以上1000℃以下とすることがより好ましく、500℃以上800℃以下とすることが好ましい。焼成温度を上記範囲内とすることで、有機無機複合体の表面に存在する有機ポリマー粒子を適切に除去できる。また、結晶子サイズが安定化したり、酸化物粒子の溶融を抑制できるので、有機ポリマー粒子の除去によって生じる孔が良好に形成される。
<凝集後の第2粒子>
凝集後の第2粒子とは、後述する前処理液の作用によって、複数の第2粒子が密に配置された状態のこという。
本実施形態に係るインクセットにおいて、第2粒子は、記録媒体上に付与された前処理液の作用によって凝集することから、前処理液の作用を受ける前はほとんど凝集していない。すなわち、凝集前の第2粒子は、多孔質であるという性質を備えることから沈降を抑制できつつ、凝集後の第2粒子と比較して粒子径が小さいことからインクジェット記録装置のノズルから吐出させた際の吐出性にも優れる。一方で、凝集後の第2粒子は、記録媒体上で第2粒子が密に配置されたものであることから、記録される白色系画像の白色度が著しく向上する。また、記録媒体上で第2粒子が密に配置されることで、記録される白色系画像の滲みを低減できる。このように、本実施形態に係るインクセットによれば、白色系色材の沈降性および吐出安定性を改善しつつ、記録される白色系画像の白色度を著しく向上できる。
1.1.2.樹脂
樹脂は、記録される画像の耐擦性等の物理的強度を向上させることができる。このような樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂や、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
上記の例示した樹脂の中でも、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィンワックスを好ましく用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、Eastek1100、1300、1400(以上商品名、イーストマンケミカルジャパン社製)、エリーテルKA−5034、KA−3556、KA−1449、KT−8803、KA−5071S、KZA−1449S、KT−8701、KT9204(以上商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチ
レン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。なお、スチレンアクリル系樹脂としては、市販されているものを利用してもよい。スチレンアクリル系樹脂の市販品としては、ジョンクリル62J(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造されたワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、画像のヒビ割れの発生を低減できるという観点から、ポリエチレン系ワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィンワックスの市販品としては、「ケミパールW4005」(三井化学株式会社製、ポリエチレン系ワックス、粒径200〜800nm、環球法軟化点110℃、針入度法硬度3、固形分40%)等のケミパールシリーズが挙げられる。その他、AQUACER513(ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER840(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等のAQUACERシリーズや、ハイテックE−7025P、ハイテックE-2213、ハイテックE-9460、ハイテックE-9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上、東邦化学株式会社製)等のハイテックシリーズ、ノプコートPEM−17(サンノプコ社製、ポリエチレンエマルジョン、粒径40nm)等が挙げられる。これらは、常法によりポリオレフィンワックスを水中に分散させた水系エマルジョンの形態で市販されている。
樹脂を含有する場合には、その含有量(固形分換算量)は、白色系インク組成物の全質量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上7質量%以下である。
白色系色材の含有量は、前記樹脂の含有量に対して、固形分換算で0.2倍以上20倍以下であることが好ましく、1倍以上10倍以下であることがより好ましい。上記範囲内にあることで、記録媒体に対する白色系色材の定着性が良好になるので、得られる白色系画像の耐擦性が向上する。
樹脂は、皮膜の耐擦性、密着性、インクの保存安定性を向上できる等の観点から、エマルジョンであることが好ましい。本実施形態に係る白色系インクに含まれる樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよいが、後述する前処理液に含まれる凝集剤との反応を阻害しないという観点から、乳化剤を含まない自己乳化型の分散体(自己乳化型のエマルジョン)であることが好ましい。
1.1.3.溶媒
白色系インク組成物は、溶媒として水および有機溶剤(後述)の少なくとも一方を含有することができる。白色系インク組成物が溶媒として水を含有する場合には、いわゆる水系インクとして用いられる。一方、白色系インク組成物が実質的に水を含有しない場合には、いわゆる非水系インクとして用いられる。
本発明において、「Aを実質的に含まない」とは、インクを製造する際にAを意図的に添加しないという程度の意味、または、Aを添加する意義を十分に達成する量を超えて添
加しない程度の意味である。「実質的に含まない」の具体例としては、たとえば1.0質量%以上含まない、好ましくは0.5質量%以上含まない、より好ましくは0.1質量%以上含まない、さらに好ましくは0.05質量%以上含まない、特に好ましくは0.01質量%以上含まない、一層好ましくは0.001質量%以上含まないことである。
水を含有する場合には、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものを用いることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いたインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。
白色系インク組成物が水系インクである場合には、例えば水の含有量を、白色系インク組成物の全質量に対して、50質量%以上とすることができる。
1.1.4.有機溶剤
白色系インク組成物は、有機溶剤を含有してもよい。白色系インク組成物には、複数種の有機溶剤が含有されていてもよい。有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体、ラクトン、グリコールエーテル類等が挙げられる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、記録媒体上に密着性に優れた画像を形成することができる場合がある。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量が、白色系インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下とすることができる。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、インクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル形成面において、インクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ましく用いることができる。多価アルコール類を含有する場合には、白色系インク組成物の全質量に対して、2質量%以上20質量%以下とすることができる。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂成分の良好な溶解剤として作用することができる。ピロリドン誘導体を含有する場合には、その含有量が、白色系インク組成物の全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下とすることができる。
本発明において「ラクトン」とは、環内にエステル基(−CO−O−)を有する環状化合物の総称をいう。ラクトンとしては、上記定義に含まれるものであれば特に制限されないが、炭素数2以上9以下のラクトンであることが好ましい。このようなラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジ
エチルプロピオラクトン等が挙げられるが、これらの中でもγ−ブチロラクトンが特に好ましい。ラクトンは、記録媒体が塩化ビニル樹脂等のフィルムである場合に、記録媒体の内部にインクを浸透させて、密着性を高めることができる。特にラクトンは、白色系インク組成物が非水系インクである場合に好ましく用いられ、この場合の含有量としては、白色系インク組成物の全質量に対して、5質量%以上30質量%以下とすることができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。グリコールエーテル類は、インクの記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を制御することできる。そのため、濃淡ムラが少ない鮮明な画像を記録することができる。白色系インク組成物を水系インクとして用いる場合に、グリコールエーテル類を含有させる際には、その含有量は、白色系インク組成物の全質量に対して、0.05質量%以上6質量%以下とすることができる。一方、白色系インク組成物を非水系インクとして用いる場合には、その含有量は、白色系インク組成物の全質量に対して、70質量%以上90質量%以下とすることができる。
1.1.5.界面活性剤
白色系インク組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好
ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、白色系インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
1.1.6.その他の成分
白色系インク組成物は、必要に応じて、増粘剤、重合性化合物、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
<増粘剤>
増粘剤は、インクの粘度調整のために使用することができる。増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリエーテル類、ポリビニルピロリドン類、ポリビニルホルマール類、タンパク質(例えば、ゼラチン、カゼイン、にかわ等)、多糖類(例えば、プルラン、デキストラン、デキストリン、シクロデキストリン、カラギーナン、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グアーガム、タマリンドガム等)、澱粉類(例えば、澱粉、酸化澱粉、カルボキシル澱粉、ジアルデヒド澱粉等)、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム等)アルギン酸エステル(例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)などが挙げられる。
増粘剤を含有する場合には、その含有量は白色系インク組成物の粘度に応じて適宜設定することができるが、例えば、白色系インク組成物の全質量に対して、1質量%以上10質量%以下とすることができる。
<重合性化合物>
本実施形態に係る白色系インク組成物は、紫外線の照射によって硬化する、いわゆる紫外線硬化型インク組成物として用いることができる。この場合には、白色系インク組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。重合性化合物とは、光や熱等のエネルギーを加えることで重合するモノマーの総称である。具体的には、重合性化合物は、ラジカル発生剤の存在下で光の照射や加熱を行うことで、ラジカル発生剤から生じるラジカルによって重合を開始する。
重合性化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等)、2官能(メタ)アクリレート(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート(例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等)などの各種の(メタ)アクリレートが挙げられる。ラジカ
ル発生剤としては、アセトフェノン、アシルホスフィンオキサイド等の光重合開始剤や、tert−ブチルパーアセテート等の熱重合開始剤等が挙げられる。
本実施形態に係る白色系インク組成物に含まれる白色系色材は、中空樹脂粒子と比較して、紫外線硬化型インク組成物に用いることが適している。すなわち、中空樹脂粒子は白色系色材の一種であるが、重合性化合物を含む紫外線硬化型インク組成物に適用した場合、中空樹脂粒子の空洞内に重合性化合物が侵入してしまい、白色度が著しく低下してしまうためである。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
<防腐剤・防かび剤>
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
<キレート化剤>
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
1.1.7.白色系インク組成物の製造方法
本実施形態に係る白色系インク組成物は、それぞれ、上述の成分(材料)を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過などを行い、不純物を除去することにより得ることができる。ここで、顔料を添加する場合、顔料は、予め溶媒中に均一に分散させた状態に調製してから混合することが、取り扱いが簡便になるため好ましい。各材料の混合方法としては、メカニカルスターラーやマグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法として、例えば、遠心濾過やフィルター濾過などを必要に応じて行うことができる。
1.1.8.白色系インク組成物の物性
本実施形態に係る白色系インク組成物は、画像品質とインクジェット記録装置に適用する場合のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係る白色系インク組成物の20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MC
R−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.2.前処理液
1.2.1.凝集剤
本実施形態に係る前処理液は、凝集剤を含有する。凝集剤は、白色系インク組成物に含まれる白色系色材や、白色系インク組成物に含まれ得る樹脂と反応することで、白色系色材を凝集させるという機能を有する。これにより、白色系インク組成物により形成された白色系画像の白色度を向上させたり、滲みの発生を抑制できる。
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸等やこれらの塩)、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体、多価金属化合物等が挙げられ、これらの中でも、上記の白色系色材の凝集作用に一層優れているという点から、多価金属化合物、有機酸を好ましく使用することができ、多価金属化合物をより好ましく使用することができる。
多価金属化合物としては、以下に限定されないが、例えば、チタン化合物、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、及びマグネシウム化合物、並びにこれらの塩(多価金属塩)が挙げられる。これら多価金属化合物の中でも、顔料を効果的に凝集させることができるため、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、及びマグネシウム化合物、並びにこれらの塩からなる群より選択される一種以上が好ましく、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の解離性塩がより好ましく、カルシウム塩及びマグネシウム塩のうち少なくともいずれかがさらに好ましく、カルシウム塩がさらにより好ましい。なお、多価金属化合物はイオン性のものが好ましい。
特に、上記多価金属化合物がカルシウム塩である場合、前処理液の安定性がより良好となり、かつ、前処理後の記録媒体(特に布帛)をヒートプレスした場合に記録媒体表面に多価金属化合物(カルシウム塩)が析出しにくくなる。
上記の多価金属化合物の具体例としては、重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムといった炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、及びベントナイト等の無機顔料、並びにアクリル系プラスチックピグメント、及び尿素高分子物質などの有機顔料が挙げられる。これらの中でも、水への十分な溶解性を確保でき、かつ、前処理の跡残りが低減する(跡が目立たなくなる)ため、硝酸カルシウム及び塩化カルシウムのうち少なくともいずれかが好ましく、硝酸カルシウムがより好ましい。
凝集剤として多価金属化合物を使用する場合には、多価金属化合物に含まれる金属イオンの含有量、即ち多価金属化合物に由来する金属イオン濃度は、前処理液の全質量(100質量%)に対して、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。当該濃度が上記範囲内であると、白色系色材(第2粒子)が十分に凝集し、かつ、前処理液の跡が目立たなくなる。
1.2.2.樹脂
本実施形態に係る前処理液は、樹脂を含有してもよい。これにより、記録媒体に対する前処理液の定着性を向上できるため、記録される白色系画像の耐擦性が良好となる。また
、樹脂は、エマルジョンの形態で加えられることが好ましい。樹脂エマルジョンは、溶液タイプの樹脂を使用する場合に比べて、同じ固形分濃度を添加した場合でも、前処理液の粘度上昇を抑えることが可能となる。樹脂の具体例としては、白色系インク組成物の説明で例示した樹脂と同様のものを用いることができるので、その記載を省略する。
樹脂を含有する場合には、その含有量は、前処理液の全質量に対して、固形分換算で1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上16質量%以下であることが好ましく、3質量%以上16質量%以下であることがより好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内にあることで、得られる白色系画像の耐擦性を一層良好にできる。
1.3.3.その他の成分
前処理液は、上記以外の成分を含有してもよい。このような成分としては、例えば、界面活性剤、水、増粘剤、有機溶媒、pH調製剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、白色系インク組成物の説明で例示した界面活性剤と同様のものを用いることができるので、その記載を省略する。界面活性剤を含有する場合には、その含有量は特に制限されないが、前処理液の全質量に対して、例えば0.05質量%以上0.5質量%以下とすることができる。
水は、前処理液の主となる媒体であり、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、白色系インク組成物の説明で例示したものと同様のものを用いることができる。水の含有量としては、特に制限されないが、前処理液の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
増粘剤としては、白色系インク組成物の説明で例示した増粘剤と同様のものを用いることができるので、その記載を省略する。増粘剤を含有する場合には、その含有量は特に制限されないが、前処理液の全質量に対して、例えば20質量%以下とすることができる。
有機溶媒、pH調製剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤およびキレート化剤は、白色インク組成物の説明で例示したものと同様のものを用いることができるので、その記載を省略する。
1.3.4.前処理液の製造方法
本実施形態に係る前処理液は、それぞれ、上述の成分(材料)を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過などを行い、不純物を除去することにより得ることができる。各材料の混合方法としては、メカニカルスターラーやマグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法として、例えば、遠心濾過やフィルター濾過などを必要に応じて行うことができる。
1.3.5.前処理液の物性
本実施形態に係る前処理液の20℃における粘度は、インクジェット法やスプレー法を使用した場合のノズルからの吐出性の向上や、ロールコーター等の使用した場合の塗布性の向上という観点から、30mPa・s以下であることが好ましく、25mPa・s以以下であることがより好ましく、20mPa・s以下であることがさらに好ましく、15mPa・s以下であることが特に好ましく、10mPa・s以下であることが一層好ましく、5mPa・s以下であることがより一層好ましい。下限は限られるものではないが1mPa・s以上であることが好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
2.記録方法
本発明に係る記録方法は、上記のインクセット(白色系インク組成物および前処理液のセット)を使用するものである。本発明の一実施形態に係る記録方法は、記録媒体に上述した前処理液を付着させる工程と、前記前処理液が付着した領域に上述した白色系インク組成物を付着させる工程と、を含む。本実施形態に係る記録方法によれば、白色系インク組成物の沈降性を改善しつつ、白色度の高い白色系画像を得ることができる。特に、白色系インク組成物を記録媒体に付着させる工程をインクジェット記録装置によって行う場合には、ノズルから吐出される白色系色材の粒子径が十分に小さいことから、吐出安定性にも優れたものとなる。
以下、本実施形態に係る記録方法について、工程毎に説明する。
2.1.前処理液の付着工程
本実施形態に係る記録方法は、記録媒体に上述した前処理液を付着させる工程(以下、「前処理液の付着工程」ともいう。)を含む。
前処理液を付着させる方法としては、例えば、前処理液中に記録媒体を浸漬させる方法や、前処理液をロールコーター等で塗布する方法や、前処理液を噴射する方法等が挙げられ、いずれの方法も使用できる。前処理液の噴射は、スプレー式、インクジェット式などを採用した噴射装置を使用して行うことができ、いずれの場合も記録媒体に対して非接触で行われる。
前処理液の付着量は、0.1mg/cm以上30.0mg/cm以下であることが好ましく、0.4mg/cm以上10mg/cm以下であることがより好ましい。0.4mg/cm以上であることで、白色系色材(第2粒子)が一層凝集しやすくなる。また、10mg/cm以下であることで、前処理液の乾燥時間を短くできるので、記録の高速化を図ることができる。
前処理液の付着工程の後、白色系インク組成物を付着工程前に、前処理液を乾燥させる工程を備えていてもよい。この場合には、前処理液が湿潤している状態で乾燥を中止することが好ましい。前処理液の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上や、前処理液に含まれる樹脂成分の布帛に対する融着を促進するという観点から、加熱を伴う乾燥であってもよい。前処理液の乾燥工程が加熱を伴う場合には、その加熱方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、及びサーモフィックス法が挙げられる。また、加熱の熱源としては、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。
記録媒体としては、普通紙、コート紙、プラスチックフィルム、布帛、皮革等のいずれの種類の記録媒体にも用いることができる。これらの記録媒体の中でも、プラスチックフィルム等のインク非吸収性の記録媒体を使用した場合には、第2粒子から離脱した第1粒子が記録媒体内部に入り込みにくくなり、記録媒体の表面に残留することになるので、第1粒子が白色系画像の白色度の向上に寄与する。
インク非吸収性の記録媒体としては、以下に限定されないが、例えば、表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、並びに紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの及びプラスチックフィルムが接着されているものが挙げられる。当該プラスチックとしては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。
なお、本明細書において「インク非吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
2.2.白色系インク組成物の付着工程
本実施形態に係る記録方法は、前記前処理液が付着した領域に上述した白色系インク組成物を付着させる工程を含む。これにより、記録媒体上で凝集剤と第2粒子が反応して、第2粒子が凝集するので、白色度に優れた画像が得られる。
白色系インク組成物は、前記前処理液の付与された記録媒体の領域に、前記白色系色材が0.1mg/cm以上となるように付着させることが好ましく、0.3mg/cm以上30.0mg/cm以下となるように付着させることがより好ましい。白色系色材の付着量を上記範囲内とすることで、得られる白色系画像の白色度や隠蔽性を向上させることができる。また、白色系色材の付着量が30.0mg/cmを超えても、白色度の向上が認められない傾向にあるので、インクの節約の観点から、白色系色材の付着量を30.0mg/cm以下とすることが好ましい。
前処理液の付与された記録媒体上の領域において、白色系色材の付着量(mg/cm)は、凝集剤の付着量(mg/cm)に対して、0.2倍以上20倍以下であることが好ましく、1倍以上10倍以下であることがより好ましい。上記範囲内にあることで、白色系色材と凝集剤の付着量のバランスが良好になるので、白色度に優れ、滲みの少ない白色系画像が得られやすくなる。
白色系インク組成物の付着工程において、白色系インク組成物の付着は、記録媒体上の前処理液が湿潤している状態で行われることが好ましい。このようにすれば、前処理液に含まれる凝集剤と、白色系インク組成物に含まれる第2粒子との反応性を良好にできるので、第2粒子の凝集が進行しやすくなる。ここで、前処理液が湿潤している状態とは、記録媒体に付着させた際の前処理液に含まれる液媒体を100質量%とした場合に、30質量%以上(好ましくは30質量%以上80質量%以下、より好ましくは40質量%以上70質量%以下)の液媒体が残存している状態のことをいう。80質量%以下とすることで、白色系インク組成物が前処理液と混ざりすぎてしまうことを抑制できるので、白色系画像の滲み等が生じることを抑制できる。
白色系インク組成物の付着工程後、白色系インク組成物を乾燥させる工程を備えていてもよい。白色系インク組成物の乾燥は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上や、インクに含まれる樹脂成分等の皮膜化を促進するという観点から、加熱を伴う乾燥であることが好ましい。白色系インク組成物の乾燥工程が加熱を伴う場合には、その加熱方法は、特に限定されるものではないが、上述した前処理液の乾燥工程で例示した方法を用いることができる。
記録媒体として布帛を使用する場合には、白色系インク組成物の乾燥工程の後に、印捺物を水洗して乾燥する工程を行ってもよい。このとき、必要に応じてソーピング処理、即ち未固着の顔料を熱石鹸液などで洗い落とす処理を行ってもよい。これにより白色系画像の発色性などが高まる場合がある。
2.3.インクジェット記録装置
上記の白色系インク組成物を付着させる方法は、例えば、インクジェット記録装置を用いて行うことができる。以下、上記の白色系インク組成物を用いて白色系画像を記録可能なインクジェット記録装置の一例について、図面を参照しながら説明する。以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、インクジェット記録装置としてインクジェットプリンター(以下、単に「プリンター」という。)を例示する。
図1は、本実施形態におけるプリンター1の構成を示す斜視図である。図1に示すプリンター1は、シリアルプリンターである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジにヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するもののことをいう。なお、図1では、シリアルプリンターを例示したが、これに限定されず、インクジェット記録装置として、ラインプリンターを用いてもよい。ラインプリンターとは、ヘッドが記録媒体の幅よりも広く形成され、ヘッドが移動せずに記録媒体に対して液滴を吐出するもののことをいう。
図1に示すように、プリンター1は、ヘッド2を搭載すると共にインクカートリッジ3を着脱可能に装着するキャリッジ4と、ヘッド2の下方に配設され記録媒体Pが搬送されるプラテン5と、キャリッジ4を被記録媒体Pの媒体幅方向に移動させるキャリッジ移動機構7と、記録媒体Pを媒体送り方向に搬送する媒体送り機構8と、を有するものである。また、プリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御する制御装置CONTを有している。なお、上記媒体幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)である。上記媒体送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
本実施形態に係るインクカートリッジ3は、独立した4つのカートリッジからなる。4つのカートリッジのいずれか1つに、上述した白色系インク組成物が充填される。上述した白色系インク組成物を充填したカートリッジ以外のカートリッジには、所望のインク組成物(例えば、イエローインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、ブラックインク組成物等)が充填される。なお、図1の例では、カートリッジの数が4つであるが、これに限定されず、所望の数のカートリッジを搭載することができる。また、上述した前処理液をインクジェット方式によって記録媒体に付着させる場合には、当該前処理液を充填したカートリッジをキャリッジ4に搭載して、前処理液をヘッド2に供給できるようにすればよい。
インクカートリッジ3は、本実施形態のようにキャリッジ4に装着するものに限らず、例えばプリンター1の筐体側にインクカートリッジを装着しインク供給チューブを介してヘッド2に供給するタイプのものであってもよい。
キャリッジ4は、主走査方向に架設された支持部材であるガイドロッド9に支持された状態で取り付けられたものである。また、キャリッジ4は、キャリッジ移動機構7によりガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するものである。なお、図1の例では、キャリッジ4が主走査方向に移動するものを示したが、これに限定されず、主走査方向の移動に加えて、副走査方向に移動するものであってもよい。
リニアエンコーダ10は、キャリッジ4の主走査方向上における位置を信号で検出するものである。この検出された信号は、位置情報として制御装置CONTに送信されるようになっている。制御装置CONTは、このリニアエンコーダ10からの位置情報に基づいてヘッド2の走査位置を認識し、ヘッド2による記録動作(吐出動作)などを制御するようになっている。また、制御装置CONTは、キャリッジ4の移動速度を可変制御可能な構成となっている。
ヘッド2のインクジェット記録方式としては、静電吸引方式、ポンプ圧力によりインク滴を噴射させる方式、圧電素子を用いる方式、インク液を微小電極で加熱発泡させインク滴を噴射させる方式、などを挙げることができる。これらの中でも、圧電素子を用いる方式を好ましく用いることができる。
図2は、本実施形態に係るヘッド2におけるノズル形成面21Aを示す概略図である。図2に示すように、ヘッド2は、ノズル形成面21Aを備える。インクの吐出面でもあるノズル形成面21Aには、複数のノズル列16が配列されている。複数のノズル列16は、ノズル列毎に、インクを吐出するための複数のノズル孔17からなる。
ノズル形成面21Aの表面には、撥液膜が設けられていている。撥液膜としては、特に限定されず、例えばSCA(silane coupling agent)膜や、特許第4424954号に記載されたものも用いることができる。なお、特に撥水性を有するものを撥水膜ともいう。
ノズル孔17の直径は、15μm以上30μm以下であることが好ましい。このようにノズル孔17の直径が小さくても、上述した白色系インク組成物に含まれる白色系色材(凝集前の第2粒子)の粒子径が十分に小さいので、吐出安定性が良好となる。
図1に戻り、ヘッド2の移動範囲のうちプラテン5の外側の領域には、ヘッド2の走査起点となるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、キャップ部材12およびワイピング部材13を含むメンテナンスユニット11が設けられている。
メンテナンスユニット11は、記録動作以外でヘッド2をキャップ部材12でキャッピングしてインクの蒸発を抑制する保湿動作と、ヘッド2の各ノズル孔17からインクをキャップ部材12に予備吐出させることで増粘インクによるノズル孔17の目詰まり防止やノズル孔17のメニスカスを調整してヘッド2から正常にインクを吐出させるフラッシング動作と、キャップ部材12でヘッド2をキャッピングした後に不図示の吸引ポンプを駆動させて各ノズル孔17から粘性が高くなったインクや付着したゴミ等を強制吸引してメニスカスを調整し、ヘッド2から正常にインクを吐出させる吸引動作(ヘッドクリーニング)と、ヘッド2のノズル形成面21A(図2参照)をワイプ部材13で払拭(ワイピング)することでノズル孔17近傍に付着したインクや増粘したインク等を除去したり、ノズル孔17のメニスカスを破壊してメニスカスを再調整させるパージ処理を行うワイピング動作と、を実行する構成となっている。
上記のワイプ部材13は、請求項における払拭手段の一例である。払拭手段としては、図1に示すブレード状のワイプ部材13の他に、ローラー状のワイプ部材等が挙げられる。ワイプ部材13の材質には、ゴム、布帛、スポンジ、パルプ等を用いることができ、これらの中でも、ワイピング時の撥液層を傷つけにくいことや、液の保持性に優れていることから、布帛、スポンジ、パルプであることが好ましい。
プリンター1は、ワイプ部材13またはノズル形成面21Aに洗浄液を付与するための洗浄液付与手段を備えていてもよい。洗浄液付与手段は、ワイプ部材13やノズル形成面21Aに洗浄液を付与できるのであれば、プリンター1のいずれの位置に設けられてもよい。洗浄液付与手段としては、例えば、洗浄液を滴下や噴霧させる機構や、洗浄液を保持する容器内にノズル形成面21Aやワイプ部材13を浸漬させるような機構などが挙げられる。
洗浄液としては、有機溶剤、水および界面活性剤から選択される少なくとも一種を含有
するものを用いることができる。洗浄液に使用可能な有機溶媒としては、特に限定されないが、例えばグリコールエーテル類、多価アルコール類、ラクトン類、ピロリドン誘導体、有機硫黄化合物、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類等が挙げられる。洗浄液に使用可能な界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体等が挙げられる。洗浄液は、さらに防腐剤・防かび剤、pH調整剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
洗浄液は、ノズル形成面に付着した際に濡れ広がりやすく、液膜を形成しやすくなるという観点、及び、ノズル形成面に付着した付着物への浸透性の観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上45mN/m以下であることが好ましく、22.5mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましく、22.5mN/m以上35mN/m以下がさらに好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
ノズル形成面21Aの表面をワイプ部材13で払拭する場合、インクに含まれる色材等がノズル形成面21Aに付着していることがある。このような場合、ノズル形成面21Aに付着した色材がノズル形成面21Aに設けられた撥液膜を傷つけてしまうことがある。特に、粒子径が大きい(例えば200nm以上)の色材は撥液膜を傷つけやすいが、上記の白色系色材の粒子径は十分に小さいことから、撥液膜の損傷を抑制できる。
ここで、上記の白色系色材が存在するノズル形成面21Aの表面をワイプ部材13で払拭する際に、ノズル形成面21Aに洗浄液が導入される場合がある。このような場合、白色系色材の撥液膜の損傷を抑制する効果と、特定の表面張力を有する洗浄液を使用することで発揮される上記効果とが相乗的に作用して、ノズル形成面21Aの耐用期間を長くできる。
プリンター1は、白色系インク組成物を記録媒体に付着させて得られた画像を加圧する加圧手段(図示せず)を備えていてもよい。加圧手段は、画像を加圧できるのであれば、いずれの位置に設けられてもよく、例えば、ヘッド2の媒体送り方向の下流側に設けることができる。加圧手段としては、プレス機、ニップロール等が挙げられる。なお、加圧手段は、画像を加圧するとともに、加熱や乾燥を行うことができるものであってもよい。
ここで、白色系色材の一種である中空樹脂粒子は、加圧するとその内部の空洞が潰れて、画像の白色度を低下させてしまうので、加圧手段を備えたプリンターに使用することが適していない。これに対して、上述した白色系色材(第2粒子)は、加圧によって白色度が低下してしまうということがほとんどないので、加圧手段を有するプリンターにも好適に用いることができる。
プリンター1は、記録される画像の乾燥性や皮膜化を促進する等の目的で、図示しない加熱機構を備えていてもよい。加熱機構としては特に限定されないが、例えば、記録媒体Pを熱源に接触させて加熱するプリントヒーター機構や、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長をもつ電磁波)などを照射する機構や、温風を吹き付けたりするドライヤー機構などを用いることができる。
3.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
3.1.インクの調製
3.1.1.分散液の調製
実施例および比較例で用いた白色系色材のうち、第2粒子A(多孔質二酸化チタン)、第2粒子B(多孔質二酸化チタン)については、以下のようにして製造したものを用いた。第2粒子Aおよび第2粒子B以外の白色系色材については、市販品を用いた。
<第2粒子Aを含有する分散液の製造>
まず、第1粒子として二酸化チタンナノ粒子(商品名「MT−700B」、テイカ株式会社製、平均粒子径50nm)を準備して、これを水系媒体(水とヘキサメタリン酸を1:10で混合した媒体)中に添加して、25℃・2時間の条件で混合攪拌し、二酸化チタンナノ粒子を固形分換算で20質量%含有するスラリー溶液を得た。
このスラリー溶液に塩化酸化ジルコニウム8水和物83.7gを添加した後、さらに水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり添加してpHが4.0〜4.5になるよう調整し、そのまま2時間攪拌した。このようにして得られたスラリー溶液をろ過し、固形分を取り出し乾燥させた。
次に、乾燥させた固形分を電気炉に配置して、室温から600℃の温度まで5℃/分で昇温し、600℃で2時間焼成することで、第2粒子(多孔質二酸化チタン粒子)を得た。そして、湿式型ビーズミルを用いて、得られた第2粒子を水中にて粉砕および分散処理を行い、平均粒子径200nmの第2粒子Aを含む分散液を得た。
ここで、第2粒子Aの平均粒子径は、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)によって測定された体積平均粒子径である。
<白色系色材(第2粒子B)を含有する分散液の製造>
第2粒子Bは、上記の第2粒子Aの製造において、第1粒子として二酸化チタンナノ粒子(商品名「JA−1」、テイカ株式会社製、平均粒子径180nm)を用いた以外は同様にして作成した。このようにして、第2粒子Bを含む分散液を得た。第2粒子Bの平均粒子径は、第2粒子Aと同様にして測定したところ、350nmであった。また、第2粒子Bの結晶構造は、第2粒子Aと同様にして測定したところ、アナターゼ型の結晶構造を有していた。
3.1.2.インクの調製
表1の組成になるように各成分を混合攪拌して、実施例および比較例に係る白色系インク組成物を得た。表1に記載した成分のうち、化合物名以外で記載したものは、以下の通りである。また、表1において、色材および樹脂エマルジョンの含有量は、固形分換算した値である。また、各色材の粒子径を表2に示す。
・第2粒子A(上記の製造方法参照、多孔質二酸化チタン粒子)
・第2粒子B(上記の製造方法参照、多孔質二酸化チタン粒子)
・第2粒子C(商品名「スノーテックスXL」、日産化学工業株式会社製、多孔質シリカ粒子)
・密充二酸化チタンA(商品名「ST-750EC」、チタン工業株式会社製)
・密充二酸化チタンB(商品名「Nano Tek Slurry」、シーアイ化成株式会社製、分散液固形分10%)
・BYK−348(商品名、BYK社製、シリコーン系界面活性剤)
・樹脂エマルジョン(商品名「レザミンD−1060」、大日精化工業株式会社製、固形分40%)
3.3.評価試験
3.3.1.沈降性
上記のようにして得られた各白色系インク組成物を20℃の恒温室内に1週間放置し、その上澄み液4gを精秤した後、1Lメスフラスコで希釈した。さらにこの希釈液を5mLホールピペットに計り取り、100mLメスフラスコで希釈した。この液の500nm波長における吸光度WA、及び放置前の上記インク組成物を同様に希釈したときの吸光度W0を測定し、下記計算式により沈降率Sを算出した。
沈降率S(%)=[1−(吸光度WA)/(吸光度W0)]×100
そして、算出した沈降率S(%)につき、下記の評価基準に基づいて沈降性を評価した。
A:10%未満
B:10%以上30%未満
C:30%以上。
3.3.2.ワイピング性
上記のようにして得られた実施例および比較例の白色系インク組成物を、インクジェットプリンター(商品名「PX−W8000」、セイコーエプソン株式会社製、ヘッドのノズル直径20μm)に搭載した。そして、全てのノズルから白色系インク組成物を吐出させる記録動作を行った後、ノズル形成面のワイピングを行った。なお、記録動作は、解像度720×720dpi、Duty100%の条件にて、1Passごとにワイピングを行い、評価は、室温(25℃)条件下の実験室で行った。評価基準は以下の通りであり、ワイピングによってノズル形成面の撥液膜の損傷が生じると、ノズルの吐出不良が生じることに基づいて評価基準を設定した。
A:ワイピングを1000回行っても全ノズル安定して吐出できる
B:ワイピングを1000回行っても吐出が安定しないノズルが5本以内
C:ワイピングを1000回行っても吐出が安定しないノズルが6本以上
3.3.3.白色度
上記のようにして得られた実施例および比較例の白色系インク組成物を、インクジェットプリンター(商品名「PX−G930」、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。そして、記録媒体に白色系インク組成物からなる画像を形成した。画像の印刷パターンとしては、横720dpi、縦720dpiの解像度で、100%のdutyで印刷できる塗り潰しパターンを形成した。なお、記録媒体としては、フィルム(商品名「クリアプルーフフィルム」、セイコーエプソン株式会社製、A4サイズにカット)、または布帛(商品名「ヘビーウェイト、黒色生地」、HANES社製、綿100%の黒色生地)を使用した。
なお、実施例1〜4、比較例2では、白色系画像を形成する予定の領域に、あらかじめロールコーターを用いて前処理液を塗布しておいた。前処理液の組成は、硝酸カルシウム5質量%(カルシウムイオン濃度:1.215質量%)、水95質量%である。また、前処理液を使用する場合、記録媒体上の前処理液に含まれる水の量を100質量%とした際に、60質量%となったときに白色系インク組成物を付着させた。
上記のようにして得られた白色系画像の白色度(L*)を、分光測色計Gretag Macbeth Spectrolino(商品名、X−RITE社製)によって測定した。測定時にはOD値2.0の黒色台紙を下地として用いた。評価基準は以下の通りである。
A:L*=75以上
B:L*=70以上75未満
C:L*=70未満
3.3.4.隠蔽性
上記の白色度の評価と同様にして得られたサンプルついて、隠蔽性の評価を行った。具体的には、各サンプルを偏角測色計ARM−500V(製品名、日本分光株式会社製)にセットして、可視光領域(380nm〜800nm)における1nm毎の各波長の透過率Tn(%)を測定した。得られた波長毎の透過率を積分して、隠蔽度Sを求めた。隠蔽度Sは、0〜32000の間の数値で、完全な遮蔽(隠蔽)では0、完全な透過では32000である。評価基準は以下の通りである。
A:隠蔽度Sが500未満
B:隠蔽度Sが500以上1000未満
C:隠蔽度Sが1000以上1300未満
D:隠蔽度Sが1300以上
3.3.5.耐擦性
上記の白色度の評価と同様にして得られたサンプルついて、耐擦性の評価を行った。具体的には、室温(25℃)条件下の実験室にて1時間放置した印刷物の印刷面を学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200g下・綿布にて20回擦ったときの印刷面の剥がれ状態や綿布へのインク移り状態を確認することにより、耐擦性を評価した。なお、この評価は室温(25℃)条件下の実験室で行った。耐擦性の評価基準は、以下のとおりである。
A:20回擦ってもインク剥がれ・綿布へのインク移りが認められなかった。
B:20回擦った後インク剥がれまたは綿布へのインク移りがわずかに認められた。
C:20回擦った後インク剥がれまたは綿布へのインク移りが認められた。
D:20回擦り終わる前に、インクの剥がれまたは綿布へのインク移りが認められた。
3.4.評価結果
以上の評価試験の結果を表1に示す。
実施例に係る白色系インク組成物と凝集液とのセットによれば、白色系色材が沈降しにくく、ワイピングによる撥液膜の損傷を生じさせにくく、白色度、隠蔽性および耐擦性に良好な画像を記録できることが示された。
一方、比較例1では、白色系色材として1000nmという平均粒子径の大きい密充タイプの二酸化チタン粒子を使用したため、白色系色材の沈降や、ワイピングによる撥液膜の損傷を生じさせてしまうことが示された。また、その粒子径が大きすぎたため、インクジェット記録装置のノズルから吐出することが困難であり、白色度、隠蔽性、耐擦性の試験を実施することができなかった。
比較例2では、白色系色材として300nmの平均粒子径の密充タイプの二酸化チタンを使用したため、ワイピングによる撥液膜の損傷はそれほど生じなかったが、白色系色材の沈降性が認められた。
比較例3では、実施例1で用いた白色系色材を使用したが、前処理液を使用しなかったため、白色系色材の凝集が生じず、記録された白色系画像の白色度および隠蔽性が不足することが示された。
以上の評価試験とは別に、実施例2および比較例2の白色系インク組成物について、前処理液による白色系色材の凝集前後の状態をSEMにより観察した。
図3は、実施例2の白色系色材の凝集前後の状態を示すSEM画像である。具体的には、図3(A)は、前処理液を塗布していない記録媒体上に実施例2の白色系インク組成物を吐出して得られた画像を、SEMにより観察したものである。また、図3(B)は、前処理液を塗布した記録媒体上に実施例2の白色系インク組成物を吐出して得られた画像を、SEMにより観察したものである。
図4は、比較例2の白色系色材の凝集前後の状態を示すSEM画像である。具体的には、図4(A)は、前処理液を塗布していない記録媒体上に比較例2の白色系インク組成物を吐出して得られた画像を、SEMにより観察したものである。また、図4(B)は、前処理液を塗布した記録媒体上に比較例2の白色系インク組成物を吐出して得られた画像を、SEMにより観察したものである。
図3および図4に示すように、前処理剤と反応させることで、白色系色材が凝集することが示された。具体的には、図3(A)および(B)の画像によれば、図3(B)の粒子の形状が、図3(A)の粒子の形状と比べて、鮮明に現れていることがわかる。このことから、図3(B)の粒子は、粒子同士が集合して密に凝集しているといえる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…プリンター、2…ヘッド、3…インクカートリッジ、4…キャリッジ、5…プラテン、7…キャリッジ移動機構、8…媒体送り機構、9…ガイドロッド、10…リニアエンコーダ、11…メンテナンスユニット、12…キャップ部材、13…ワイプ部材、16…ノズル列、17…ノズル孔、CONT…制御装置

Claims (8)

  1. 白色系色材を含有する白色系インク組成物と、
    凝集剤を含有する前処理液と、
    を含み、
    前記白色系色材は、平均粒子径200nm未満の第1粒子が複数集合して形成された平均粒子径200nm以上1μm以下の第2粒子からなり、
    前記凝集剤は、前記第2粒子を凝集させる、インクおよび前処理液のセット。
  2. 請求項1において、
    前記白色系インク組成物は、前記前処理液の付与された記録媒体の領域に、前記白色系色材が0.1mg/cm以上となるように付着させる、インクおよび前処理液のセット。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記白色系インク組成物は、さらに樹脂を含有し、
    前記白色系色材の含有量は、前記樹脂の含有量に対して、固形分換算で0.2倍以上20倍以下である、インクおよび前処理液のセット。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記白色系インク組成物は、インクジェット記録装置に用いられ、
    前記インクジェット記録装置は、前記白色系インク組成物を記録媒体に付着させて得られた画像を加圧する加圧手段を備える、インクおよび前処理液のセット。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記白色系インク組成物は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インクであり、重合性化合物を含有する、インクおよび前処理液のセット。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    インク非吸収性の記録媒体に対する記録に用いられる、インクおよび前処理液のセット。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
    前記白色系インク組成物は、記録媒体に付着した前記前処理剤が湿潤している状態で、該前処理液と接触させる、インクおよび前処理液のセット。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
    前記白色系インク組成物は、インクジェット記録装置に用いられ、
    前記インクジェット記録装置は、インクを吐出するノズルが設けられたノズル形成面と、前記ノズル形成面を払拭する払拭手段と、該払拭手段または前記ノズル形成面に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、を備え、
    前記洗浄液の表面張力が、20mN/m以上45mN/m以下である、インクおよび前処理液のセット。
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