JP2015079085A - 弦楽器 - Google Patents

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Ryuji Hashimoto
隆二 橋本
亮 篠田
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亮 篠田
教崇 永井
Noritaka Nagai
教崇 永井
朗 水谷
Akira Mizutani
朗 水谷
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Abstract

【課題】利用者による音響特性の調整を可能にする弦楽器を提供する。
【解決手段】ギターの胴体には、内部の音響空間に連通する響孔(サウンドホール)52および複数の調整孔57が形成される。胴体には弦40の一端が固定される。胴体に対して遮蔽部材60を着脱することで、遮蔽部材60で各調整孔57を閉塞した状態と、遮蔽部材60を取外して調整孔57を開放した状態とを切替可能である。調整孔57は表板53、側板、または裏板に形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、弦楽器の音響特性を調整する技術に関する。
自然楽器の音響特性(例えば音色や音量)を調整するための技術が従来から提供されている。例えば特許文献1には、アコースティックギター等の弦楽器の音色を調整する技術が開示されている。具体的には、弦楽器の胴体の内壁面に固定される響棒(力木)に透孔を形成し、透孔の大きさや個数を適宜に変更することで弦楽器の音色が調整される。
特開2008−52054号公報
利用者(演奏者)が意図する演奏表現や利用者の嗜好に応じて弦楽器の音響特性を調整したいという要望がある。特許文献1の技術では、目的の音色に応じた透孔が製造段階で響棒に形成されるから、弦楽器の音響特性を利用者が事後的に調整することは実質的に不可能である。以上の事情を考慮して、本発明は、利用者による弦楽器の音響特性の調整を可能にすることを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の弦楽器は、内部の音響空間に連通する響孔および調整孔が形成された胴体と、胴体に一端が固定された弦とを具備し、調整孔を閉塞した状態と調整孔を開放した状態とを切替可能である。以上の構成では、胴体に形成された調整孔の閉塞および開放が切替可能であるから、利用者が弦楽器の音響特性(特に音量)を調整できるという利点がある。
本発明の好適な態様に係る弦楽器は、胴体に対して着脱可能な遮蔽部材を具備し、遮蔽部材は、胴体に装着された状態で調整孔を閉塞する。以上の態様では、胴体に対する遮蔽部材の着脱という簡便な作業で調整孔の閉塞および開放を切替えることが可能である。
本発明の好適な態様において、胴体には、複数の調整孔が形成され、胴体に対して着脱可能な複数の遮蔽部材を具備し、複数の遮蔽部材の各々は、胴体に装着された状態で1個以上の調整孔を閉塞する。以上の態様では、胴体に対する各遮蔽部材の着脱という簡便な作業で調整孔の閉塞および開放を切替えることができるほか、1個の遮蔽部材のみを装着可能な構成と比較して弦楽器の音響特性を多様に調整できるという利点がある。複数の遮蔽部材を利用する構成では、複数の遮蔽部材が、平面視で弦を挟んで相互に反対側に位置する第1遮蔽部材(例えば遮蔽部材60B)と第2遮蔽部材(例えば遮蔽部材60C)とを含む構成が好適である。以上の態様では、胴体から弦を取外すことなく第1遮蔽部材と第2遮蔽部材とを胴体に対して着脱できるという利点がある。胴体に対して遮蔽部材が着脱される構成の具体例は、例えば第1実施形態として後述される。
本発明の好適な態様に係る弦楽器は、調整孔に対応する貫通孔が形成された遮蔽部材を具備し、遮蔽部材は、当該遮蔽部材が調整孔を閉塞する第1位置と、貫通孔を介して調整孔が開放される第2位置との間で、胴体に対して相対的に移動可能である。以上の態様では、遮蔽部材の移動という簡便な作業で調整孔の閉塞および開放を切替えることが可能である。また、遮蔽部材を第1位置と第2位置との間で連続的に移動させることで、弦楽器の音響特性を連続的に調整できるという利点もある。
本発明の好適な態様において、胴体には、複数の調整孔が形成され、各調整孔に対応する貫通孔が形成された複数の遮蔽部材を具備し、複数の遮蔽部材の各々は、当該遮蔽部材が1個以上の調整孔を閉塞する第1位置と貫通孔を介して調整孔が開放される第2位置との間で、胴体に対して相互に独立に移動可能である。以上の態様では、各遮蔽部材の移動という簡便な作業で調整孔の閉塞および開放を切替えることが可能である。また、複数の遮蔽部材の各々が相互に独立に移動可能であるから、1個の遮蔽部材のみを設置した構成と比較して弦楽器の音響特性を多様に調整できるという利点がある。また、各遮蔽部材を第1位置と第2位置との間で連続的に移動させることで、弦楽器の音響特性を連続的に調整できるという利点もある。以上の態様の具体例は、例えば第2実施形態として後述される。
遮蔽部材が第1位置と第2位置との間で移動可能な構成の好適例において、胴体は、
響孔および調整孔が形成され、弦が固定される表板と、調整孔が形成され、表板に対向する裏板と、表板と裏板とを各々の周縁にて相互に連結する側板とを含み、遮蔽部材は、貫通孔が形成され、表板に重なる第1部分と、貫通孔が形成され、裏板に重なる第2部分とを含み、第1部分が表板の調整孔を閉塞するとともに第2部分が裏板の調整孔を閉塞する第1位置と、第1部分の貫通孔を介して表板の調整孔が開放されるとともに第2部分の貫通孔を介して裏板の調整孔が開放される第2位置との間で、第1部分と第2部分とが連動して移動する。以上の態様では、遮蔽部材の第1部分と第2部分とが連動して移動するから、弦楽器の音響特性の調整幅を充分に確保できるという利点がある。なお、以上の態様の具体例は、例えば第3実施形態として後述される。
本発明の第1実施形態に係るギターの外観図である。 ギターの胴体の正面図である。 ギターの胴体の背面図である。 胴体に各遮蔽部材を装着した各状態の説明図である。 遮蔽部材の有無を変化させた各場合の音量のグラフである。 遮蔽部材の有無を変化させた各場合の放射音の周波数特性である。 図6の拡大図である。 ギターの胴体に形成される各調整孔の説明図である。 第2実施形態に係るギターの外観図である。 図9におけるX-X線の断面図である。 第2実施形態における遮蔽部材の第1位置および第2位置の説明図である。 第3実施形態に係るギターの遮蔽部材の説明図である。 変形例に係るギターの側面図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るギター(アコースティックギター)100の外観図である。図1に例示される通り、ギター100は、ヘッド10とネック20と胴体30と複数の弦40とを具備する弦楽器である。長尺状のネック20の基端部が胴体30に固定され、ネック20の先端部にヘッド10が固定される。ヘッド10は、各弦40の一方の端部が固定されるペグ12を含んで構成される。胴体30は、弦40の振動を共鳴させる音響空間が内部に形成される中空の共鳴胴である。図1に例示される通り、胴体30には複数の遮蔽部材60が装着される。
図1に例示される通り、胴体30は、表板53と側板54と裏板55とを含んで構成される。表板53と側板54と裏板55とは、木材を所定の形状に裁断した平板材である。例えば、表板53はスプルース材から形成され、側板54および裏板55はローズウッド材から形成される。表板53と裏板55とは外形が概ね共通し、略一定の間隔をあけて相互に対向する。側板54は、表板53および裏板55の外形に沿う形状に湾曲した帯状の板材であり、表板53および裏板55の各々の周縁を全周にわたり相互に連結して両者間の間隔を閉塞する。
表板53の表面(裏板55とは反対側の表面)にはブリッジ(駒)51が固定される。各弦40のうちヘッド10のペグ12に固定される端部とは反対側の端部がブリッジ51に固定される。すなわち、胴体30のブリッジ51とヘッド10のペグ12とにわたり所定の張力をもって複数の弦40が架設される。表板53と側板54と裏板55とで包囲された空間(胴体30の内部の空間)は、各弦40の振動を共鳴させる音響空間として機能する。
図2は、胴体30の正面図であり、図3は、胴体30の背面図である。図2および図3では、胴体30から各遮蔽部材60を取外した状態が図示されている。図2に例示される通り、表板53には、胴体30の内部の音響空間に連通する響孔(サウンドホール)52と複数の調整孔57Aとが形成される。響孔52は、ブリッジ51とネック20との間に位置する円形状の開口である。複数の調整孔57Aの各々は、表板53を貫通する円形状の貫通孔である。表板53の全域にわたり複数の調整孔57Aは略均等に分布する。
図3に例示される通り、裏板55には複数の調整孔57Bが形成される。複数の調整孔57Bは、表板53の調整孔57Aと同様に、裏板55を貫通する円形状の貫通孔であり、裏板55の全域にわたり略均等に分布する。以上の説明から理解される通り、第1実施形態のギター100の胴体30には複数の調整孔57(57A,57B)が形成される。
複数の遮蔽部材60(60A,60B,60C,60D)の各々は、胴体30に装着された状態で各調整孔57を閉塞するシート状(フィルム状ないし膜状)の部材である。すなわち、各遮蔽部材60が胴体30に装着されることで各調整孔57を介した空気の流通が遮断される。各遮蔽部材60は、胴体30に対して着脱可能である。例えば、各遮蔽部材60は、反復的な貼着および剥離が可能な両面テープで胴体30に装着される。以上の説明から理解される通り、第1実施形態のギター100は、胴体30の各調整孔57(57A,57B)を閉塞した状態と各調整孔57を開放した状態とを切替可能である。なお、各遮蔽部材60を胴体30に装着するための構成は任意である。例えば、遮蔽部材60および胴体30に設置された磁石で遮蔽部材60を胴体30に装着する構成や、例えば遮蔽部材60および胴体30の一方に形成された凹部(例えば溝部)に他方の凸部を嵌合することで遮蔽部材60を胴体30に装着する構成が採用される。
各遮蔽部材60は、胴体30に装着された状態で胴体30の振動に殆ど影響しない材料で形成される。具体的には、ゴムやプラスチックや紙や不織布等の可撓性の部材(低剛性の材料)で各遮蔽部材60が形成される。例えばゴムで形成された遮蔽部材60の厚さは1mm程度に設定され、プラスチックで形成された遮蔽部材60の厚さは0.25mm程度に設定される。なお、相異なる材質の複数の遮蔽部材60を胴体30に装着することも可能である。
図2に例示される通り、遮蔽部材60Aは、表板53のうちブリッジ51の側方および下方の領域を被覆する形状(当該領域に略相似な形状)に成形される。遮蔽部材60Bは、表板53のうちブリッジ51の左上方の領域を被覆する平面形状に成形され、遮蔽部材60Cは、表板53のうちブリッジ51の右上方の領域を被覆する平面形状に成形される。遮蔽部材60Aと遮蔽部材60Bと遮蔽部材60Cとが表板53に装着されることで、表板53の全部の調整孔57Aが閉塞される。図2から理解される通り、遮蔽部材60Bと遮蔽部材60Cとは、弦40(ギター100の中心線)を挟んで相互に反対側に位置する。すなわち、遮蔽部材60は、平面視で弦40の両側にわたり連続しない。したがって、弦40が架設された状態を維持したまま(すなわち弦40を取外すことなく)、遮蔽部材60Bや遮蔽部材60Cを胴体30に対して着脱できるという利点がある。
他方、遮蔽部材60Dは、図3に例示される通り、裏板55の全域を被覆する形状(裏板55に略相似な形状)に成形される。遮蔽部材60Dが裏板55に装着されることで、裏板55の全部の調整孔57Bが閉塞される。
以上に例示した複数の遮蔽部材60が選択的に胴体30に装着される。具体的には、図4に例示される通り、表板53および裏板55の双方に全部の遮蔽部材60(60A,60B,60C,60D)を装着した状態(以下「両板閉塞」という)や、表板53および裏板55の何れにも遮蔽部材60を装着しない状態(以下「両板開放」という)が構成され得る。また、裏板55に遮蔽部材60Dを装着して表板53には遮蔽部材60(60A,60B,60C)を装着しない状態(以下「裏板閉塞」という)や、表板53に遮蔽部材60(60A,60B,60C)を装着して裏板55には遮蔽部材60Dを装着しない状態(以下「表板閉塞」という)も構成され得る。表板53には、遮蔽部材60Aと遮蔽部材60Bと遮蔽部材60Cとが選択的に装着され得る。
図5は、各遮蔽部材60の有無を相違させた複数の場合におけるギター100の放射音のうち1kHz以下の帯域成分の音量(所定の基準値に対する相対値)のグラフである。両板閉塞と裏板閉塞と表板閉塞(遮蔽部材60Aと遮蔽部材60Bと遮蔽部材60Cとを装着した状態)と両板開放との各状態について放射音の音量が図示されている。
胴体30に対する遮蔽部材60の装着の有無(遮蔽部材60で閉塞される調整孔57の個数)に応じてギター100の音量が変化することが図5から確認できる。具体的には、第1に、胴体30に形成された複数の調整孔57の一部または全部を開放した状態(裏板閉塞,表板閉塞,両板開放)では、両板閉塞の状態と比較して音量は低下する。第2に、複数の調整孔57の全部を開放した両板開放の状態では、複数の調整孔57のうちの一部を開放した状態(裏板閉塞,表板閉塞)と比較して音量が低下する。第3に、表板53の各調整孔57Aを閉塞(裏板55の各調整孔57Bを開放)した表板閉塞の状態では、裏板55の各調整孔57Bを閉塞(表板53の各調整孔57Aを開放)した裏板閉塞の状態と比較して音量が低下する。
図6は、胴体30の複数の調整孔57の一部または全部を開放した複数の状態(裏板閉塞,表板閉塞,両板開放)におけるギター100の放射音の周波数特性であり、図7は、図6のうち10Hzから1kHzまでの範囲の拡大図である。遮蔽部材60で閉塞される調整孔57の位置や個数に応じて100Hz付近の周波数成分の音圧が変動することが図6および図7から確認できる。100Hz付近の周波数成分は高音域の周波数成分と比較して放射効率が高く、胴体30の前面側に放射され易い(受聴者に到達し易い)という傾向がある。したがって、胴体30の複数の調整孔57の閉塞/開放を遮蔽部材60の着脱により適宜に切替えることで、胴体30から前面側に対する放射音の音量を大きく変動させることが可能である。
調整孔57が形成されない通常のギター100では、響孔52内の空気の振動に起因したヘルムホルツ共鳴により100Hz付近の周波数成分が増幅されて放射される。第1実施形態のギター100において各調整孔57が開放された状態では、胴体30の内外にわたる空気の流通が響孔52に加えて各調整孔57でも発生するから、結果的にヘルムホルツ共鳴の効果が低減される。調整孔57の閉塞/開放に応じて100Hz付近の周波数成分の音圧が変動するのは、以上のように調整孔57に起因してヘルムホルツ共鳴の効果が低減される結果であると推察される。
また、表板53が振動すると、表板53の前面側に音が放射されるとともに、表板53の背面側(裏板55側)に前面側とは逆位相の音が放射される。裏板55の調整孔57Bが閉塞された状態(裏板閉塞)では、表板53から背面側に放射された音は裏板55で遮蔽される。他方、裏板55の調整孔57Bが開放された表板閉塞または両板開放の状態では、表板53から背面側に放射された逆位相の音が裏板55の調整孔57から外部に伝播して前面側に回折し、表板53から前面側に放射された音を打消すように作用する。図5を参照して説明したように表板閉塞の状態で裏板閉塞の状態と比較して音量が低下するのは、表板閉塞または両板開放の状態では、表板53から背面側に対する放射音と前面側に対する放射音とが逆位相で相互に相殺する結果であると推察される。
以上に説明した通り、第1実施形態では、胴体30に形成された各調整孔57の閉塞/開放が切替えられるから、利用者がギター100の音量を調整できるという利点がある。第1実施形態では特に、遮蔽部材60の着脱という簡便な作業で各調整孔57の閉塞/開放を切替えることが可能である。また、複数の遮蔽部材60の各々が胴体30に対して別個に着脱されるから、例えば1個の遮蔽部材60のみが胴体30に着脱される構成と比較して、ギター100の音量を多様に調整できるという利点もある。更に、ギター100の胴体30にシート状の遮蔽部材60が装着されるから、既存のギターと同等の演奏感が維持されるという利点がある。
図8は、各調整孔57(57A,57B)の拡大図である。図8に例示される通り、X方向(例えばギター100の横方向)に等間隔に配列された複数の調整孔57の列Gが、X方向に交差するY方向(例えばギター100の中心軸の方向)に所定の間隔をあけて並列する。Y方向に隣合う各列Gでは、各調整孔57のX方向の位置が、各調整孔57のピッチp(相互に隣合う2個の調整孔57の中心間の距離)の半分だけ相違する。図8に破線で図示される通り、相互に隣合う3個の調整孔57は、正三角形の各頂点を中心とする位置に形成される。以上の構成によれば、X方向に延在する複数の直線とY方向に延在する複数の直線との各交点(格子点)に調整孔57を形成する構成と比較して、表板53や裏板55に多数の調整孔57を高密度に形成できるという利点がある。ただし、各格子点に調整孔57を形成することも可能である。
ところで、表板53や裏板55の板厚と比較して各調整孔57の直径dが極端に小さいと、各調整孔57の閉塞/開放に応じた音量の調整という前述の効果が充分に実現されない可能性がある。以上の傾向を考慮すると、表板53の調整孔57Aの直径dを表板53の板厚の半分以上に設定した構成や、裏板55の調整孔57Bの直径dを裏板55の板厚の半分以上に設定した構成が好適である。例えば表板53および裏板55の板厚が3mmである場合、調整孔57(57A,57B)の直径dは1.5mm以上に設定される。他方、各調整孔57の直径dが極端に大きいと、調整孔57の形成に起因してギター100の音色が極端に変動する可能性(不自然な音色になる可能性)がある。以上の傾向を考慮すると、各調整孔57の直径dは響孔52の直径以下に設定され、各調整孔57の直径dを響孔52の直径の半分以下に設定した構成が特に好適である。
また、各調整孔57のピッチpが極端に小さいと表板53や裏板55の機械的な強度を充分に維持できない可能性がある。したがって、各調整孔57のピッチpを調整孔57の直径dの1.5倍以上に設定した構成が好適である。また、表板53の表面積に対する各調整孔57Aの合計面積の割合(開口率)や、裏板55の表面積に対する各調整孔57Bの合計面積の割合は、例えば図8の例示の態様で各調整孔57を配列した構成では40%以下程度に設定され、X方向およびY方向の各格子点に各調整孔57を配列した構成では35%以下程度に設定される。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図9は、第2実施形態におけるギター100の正面図であり、図10は、図9におけるX-X線の断面図である。図10に例示される通り、第2実施形態のギター100の表板53は、略同形状に成形された第1板531と第2板532とを含んで構成される。第1板531と第2板532とは、相互に平行な状態で間隔をあけて対向する。第1板531および第2板532の各々には、第1実施形態の表板53と同様に、円形状の響孔52が形成されるとともに複数の調整孔57Aが全域にわたり略均等に形成される。第1板531の各調整孔57Aと第2板532の各調整孔57Aとは平面視で相互に合致する。
第2実施形態の遮蔽部材60(60A,60B,60C)は、第1板531と第2板532との間に介挿されたシート状の部材である。遮蔽部材60には、第1板531および第2板532の各々の調整孔57Aに対応する複数の貫通孔62が全域にわたり略均等に形成される。また、図9および図10に例示される通り、各遮蔽部材60の周縁には、利用者が手指で保持可能な操作部64が形成される。利用者は、操作部64を保持した状態で手指を移動させることで、遮蔽部材60を胴体30(表板53)に対して相対的に移動させることが可能である。
具体的には、図11に例示される通り、遮蔽部材60(図11の例示では遮蔽部材60A)は第1位置と第2位置との間で移動可能である。遮蔽部材60が第1位置にある状態では、第1板531および第2板532の各々の調整孔57Aが遮蔽部材60により閉塞される。すなわち、調整孔57Aと遮蔽部材60の貫通孔62とは平面視で相互に重複しない。他方、遮蔽部材60が第2位置にある状態では、第1板531および第2板532の各々の調整孔57Aと遮蔽部材60の貫通孔62とが平面視で完全に合致する。すなわち、第1板531および第2板532の各調整孔57Aは遮蔽部材60の貫通孔62を介して開放される。
遮蔽部材60は、第1位置と第2位置との間で連続的に移動する。遮蔽部材60が第1位値と第2位置との途中に位置する状態では、図10から理解される通り、第1板531および第2板532の各々の調整孔57Aと遮蔽部材60の貫通孔62とが平面視で部分的に重複する。すなわち、各調整孔57Aは遮蔽部材60により部分的に閉塞される。以上の説明から理解される通り、遮蔽部材60を第1位置から第2位置まで連続的に移動させる過程では、各調整孔57のうち開放される部分(平面視で貫通孔62に重複する部分)の面積が連続的に増加する。したがって、第2実施形態によれば、遮蔽部材60を移動させることでギター100の音量を連続的に調整することが可能である。
なお、図10および図11では遮蔽部材60Aに便宜的に着目したが、遮蔽部材60Bおよび遮蔽部材60Cの各々についても同様に、表板53の各調整孔57Aを閉塞する第1位置と、各調整孔57Aが貫通孔62を介して開放される第2位置との間で連続的に移動可能である。また、以上の説明では表板53を例示したが、裏板55に対応する遮蔽部材60Dについても同様の構成が採用される。以上の説明から理解される通り、第2実施形態では、各調整孔57(57A,57B)を閉塞する第1位置と、各調整孔57が貫通孔62を介して開放される第2位置との間で、複数の遮蔽部材60の各々が相互に独立に胴体30に対して移動可能である。したがって、例えば1個の遮蔽部材60のみが設置された構成と比較して、ギター100の音量を多様に調整できるという利点がある。
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態におけるギター100の断面図である。図12に例示される通り、第3実施形態の遮蔽部材60は、表板53に対応する第1部分661と裏板55に対応する第2部分662とを相互に連結した形状の可撓性の部材であり、胴体30の内壁面に沿う形状に変形した状態で胴体30の内部に配置される。第1部分661は、表板53のうち裏板55との対向面を被覆し、第2部分662は、裏板55のうち表板53との対向面を被覆する。第1実施形態と同様に、表板53には複数の調整孔57Aが形成され、裏板55には複数の調整孔57Bが形成される。
第1部分661には、表板53の各調整孔57Aに対応する複数の貫通孔62が全域にわたり略均等に形成され、第2部分662には、裏板55の各調整孔57Bに対応する複数の貫通孔62が全域にわたり略均等に形成される。第2実施形態と同様に、利用者は、遮蔽部材60の周縁に形成された操作部(図示略)を利用して遮蔽部材60を胴体30に対して相対的に移動させることが可能である。第1部分661と第2部分662とは相互に連結されるから、第1部分661と第2部分662とは相互に連動して逆方向に移動する。なお、図12では1個の遮蔽部材60を便宜的に図示したが、実際には複数の遮蔽部材60が設置されて各々が相互に独立に移動可能である。
遮蔽部材60は、第1位置と第2位置との間で連続的に移動する。遮蔽部材60が第1位置にある状態では、図12に例示される通り、表板53の各調整孔57Aが遮蔽部材60の第1部分661で閉塞されるとともに裏板55の各調整孔57Bが遮蔽部材60の第2部分662で閉塞される。すなわち、胴体30の調整孔57と遮蔽部材60の貫通孔62とは相互に重複しない。他方、遮蔽部材60が第2位置にある状態では、図12に例示される通り、表板53の各調整孔57Aが遮蔽部材60の第1部分661の貫通孔62を介して開放されるとともに、裏板55の各調整孔57Bが遮蔽部材60の第2部分662の貫通孔62を介して開放される。すなわち、胴体30の調整孔57と遮蔽部材60の貫通孔62とが合致する。また、遮蔽部材60が第1位置と第2位置との途中に位置する状態では、表板53の各調整孔57Aと第1部分661の貫通孔62とが部分的に重複するとともに、裏板55の各調整孔57Bと第2部分662の貫通孔62とが部分的に重複する。
以上の説明から理解される通り、遮蔽部材60を第1位置から第2位置まで移動させることで、各調整孔57のうち開放される部分の面積が連続的に増加する。したがって、第2実施形態と同様に、第3実施形態においてもギター100の音量を連続的に調整することが可能である。また、第3実施形態では、第1部分661と第2部分662とが連動して移動するから、遮蔽部材60の移動により音量を大きく変動させることが可能である。
<変形例>
前述の形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
(1)胴体30に形成される各調整孔57の位置や分布は任意である。前述の各形態では表板53や裏板55に調整孔57を形成した構成を例示したが、図13に例示されるように側板54に調整孔57を形成した構成や、表板53および裏板55の一方のみに調整孔57を形成した構成も採用され得る。また、前述の各形態では複数の調整孔57を表板53や裏板55の全域にわたり略均等に形成したが、胴体30の特定の領域に複数の調整孔57を局所的に形成することも可能である。ただし、調整孔57が集中する箇所では胴体30の機械的な強度が低下するから、胴体30の機械的な強度の維持という観点からは、表板53や裏板55の全域にわたり略均等に複数の調整孔57が分布する構成が好適である。もっとも、胴体30に形成される調整孔57の個数は任意であり、例えば胴体30に調整孔57を1個だけ形成することも可能である。また、前述の各形態では、表板53の調整孔57Aと裏板55の調整孔57Bとを共通の条件で形成したが、調整孔57の形成条件(直径dやピッチp)を表板53と裏板55とで相違させることも可能である。また、各調整孔57の直径dやピッチpを胴体30の表面内で変化させる構成も採用され得る。
(2)前述の各形態では複数の遮蔽部材60で各調整孔57を閉塞する構成を例示したが、1個の遮蔽部材60を胴体30に装着可能な構成(第1実施形態)や、1個の遮蔽部材60を胴体30に対して相対的に移動可能な構成(第2実施形態,第3実施形態)も採用され得る。
(3)第2実施形態では、相互に対向する第1板531と第2板532との間に遮蔽部材60を保持する構成を例示したが、遮蔽部材60を保持する別個の仕組を採用した構成では、第2板532が省略され得る。
(4)前述の各形態では、ギター100を例示したが、本発明を適用可能な弦楽器はギター100に限定されない。例えば、バイオリン等の他の弦楽器にも本発明を適用することが可能である。
100……ギター、10……ヘッド、12……ペグ、20……ネック、30……胴体、40……弦、51……ブリッジ、52……響孔、53……表板、531……第1板、532……第2板、54……側板、55……裏板、57(57A,57B)……調整孔、60(60A,60B,60C,60D)……遮蔽部材、62……貫通孔、64……操作部、661……第1部分、662……第2部分。

Claims (5)

  1. 内部の音響空間に連通する響孔および調整孔が形成された胴体と、
    前記胴体に一端が固定された弦とを具備し、
    前記調整孔を閉塞した状態と前記調整孔を開放した状態とを切替可能である
    弦楽器。
  2. 前記胴体に対して着脱可能な遮蔽部材を具備し、
    前記遮蔽部材は、前記胴体に装着された状態で前記調整孔を閉塞する
    請求項1の弦楽器。
  3. 前記複数の遮蔽部材は、平面視で前記弦を挟んで相互に反対側に位置する第1遮蔽部材と第2遮蔽部材とを含む
    請求項2の弦楽器。
  4. 前記調整孔に対応する貫通孔が形成された遮蔽部材を具備し、
    前記遮蔽部材は、当該遮蔽部材が前記調整孔を閉塞する第1位置と、前記貫通孔を介して前記調整孔が開放される第2位置との間で、前記胴体に対して相対的に移動可能である
    請求項1の弦楽器。
  5. 前記胴体は、
    前記響孔および前記調整孔が形成され、前記弦が固定される表板と、
    前記調整孔が形成され、前記表板に対向する裏板と、
    前記表板と前記裏板とを各々の周縁にて相互に連結する側板とを含み、
    前記遮蔽部材は、
    前記貫通孔が形成され、前記表板に重なる第1部分と、
    前記貫通孔が形成され、前記裏板に重なる第2部分とを含み、
    前記第1部分が前記表板の調整孔を閉塞するとともに前記第2部分が前記裏板の調整孔を閉塞する前記第1位置と、前記第1部分の貫通孔を介して前記表板の調整孔が開放されるとともに前記第2部分の貫通孔を介して前記裏板の調整孔が開放される前記第2位置との間で、前記第1部分と前記第2部分とが連動して移動する
    請求項4の弦楽器。
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