JP2015078355A - 樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃強度及び弾性率の双方に優れる、樹脂複合材料及びその製造方法を提供する。【解決手段】ポリオレフィンと、エラストマーと、薄片化黒鉛とを含んでおり、上記薄片化黒鉛が、上記エラストマー中に偏在化している、樹脂複合材料、並びに薄片化黒鉛を含むエラストマーを準備する工程と、上記ポリオレフィンと、上記薄片化黒鉛を含むエラストマーとを混練することにより、樹脂複合材料を得る工程とを備える、樹脂複合材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂複合材料及びその製造方法に関し、特に、ポリオレフィンと、エラストマーと、薄片化黒鉛とを含む、樹脂複合材料及びその製造方法に関する。
従来、ポリオレフィンの耐衝撃強度と弾性率の双方を高める手法として、ポリオレフィンに、エラストマー及び無機フィラーをブレンドする手法が知られている。
例えば、下記の特許文献1,2には、ポリプロピレンと、エチレン−プロピレン共重合体からなるエラストマーと、無機フィラーとからなるポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。
また、下記の特許文献3には、ポリプロピレンと、エチレン・1−オクテン共重合体ゴムと、無機フィラーとからなるポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。
特開平5−98092号公報 特開平5−98095号公報 特開平10−87919号公報
特許文献1〜3によると、上記組成のポリプロピレン樹脂組成物を用いることにより、弾性率、耐衝撃強度及び引張破断伸び等に優れたポリプロピレン樹脂組成物が提供できるとされている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載のような従来のポリプロピレン樹脂組成物では、ポリプロピレン樹脂組成物に衝撃が加わった際、ポリプロピレンと無機フィラーの界面において、クラック又は剥離が生じ易いという問題点があった。すなわち、従来のポリプロピレン樹脂組成物では、耐衝撃強度が不十分であるという問題点があった。
本発明の目的は、耐衝撃強度及び弾性率の双方に優れる、樹脂複合材料及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る樹脂複合材料では、ポリオレフィンと、エラストマーと、薄片化黒鉛とを含んでいる。そして、上記薄片化黒鉛は、上記エラストマー中に偏在化している。
本発明に係る樹脂複合材料では、好ましくは、上記薄片化黒鉛の50重量%以上が、上記エラストマー中に分散している。
本発明に係る樹脂複合材料では、好ましくは、上記エラストマーが上記薄片化黒鉛にグラフトされている。上記薄片化黒鉛にグラフトされているエラストマーのグラフト率は、好ましくは、5重量%以上である。
本発明に係る樹脂複合材料では、好ましくは、上記ポリオレフィンが、ポリプロピレンとポリエチレンとのうち少なくとも一方を含んでいる。
本発明に係る樹脂複合材料では、上記エラストマーが、好ましくは、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホンゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム、ニトリル−イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、水素添加スチレンイソプレンゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群から選択された少なくとも1種のエラストマーである。より好ましくは、エチレン−プロピレン−ジエンゴムである。
本発明に係る樹脂複合材料のある特定の局面では、マトリックスが上記ポリオレフィンであり、ドメインが上記エラストマーである。
本発明に係る樹脂複合材料の他の特定の局面では、マトリックスが上記エラストマーであり、ドメインが上記ポリオレフィンである。
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法では、上記本発明の樹脂複合材料の製造方法であって、薄片化黒鉛を含むエラストマーを準備する工程と、ポリオレフィンと、上記薄片化黒鉛を含むエラストマーとを混練することにより、樹脂複合材料を得る工程とを備える。上記薄片化黒鉛を含むエラストマーを準備する工程は、好ましくは、エラストマーがグラフトされている薄片化黒鉛とエラストマーの混合物を準備する工程である。
本発明によれば、耐衝撃強度及び弾性率の双方に優れる、樹脂複合材料を提供することができる。
本発明の樹脂複合材料の製造方法によれば、耐衝撃強度が高く、かつ弾性率の高い樹脂複合材料を提供することが可能となる。
実施例5で得られた厚み0.5mmの樹脂複合材料シート断面の倍率30000倍の透過型電子顕微鏡写真である。
(樹脂複合材料)
本発明に係る樹脂複合材料は、ポリオレフィンと、エラストマーと、薄片化黒鉛とを含む。
上記ポリオレフィンとしては、特に限定されず、従来公知のポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ブテン単独重合体、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンの単独重合体または共重合体などが挙げられる。好ましくは、ポリプロピレンである。より好ましくは、上記ポリプロピレンとして、MFR(JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定)が、30g/10分以下であるポリプロピレンが用いられる。その場合には、耐衝撃強度をより一層効果的に高めることができる。
上記エラストマーとしては、特に限定されないが、好ましくは、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホンゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム、ニトリル−イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、水素添加スチレンイソプレンゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群から選択された少なくとも1種のエラストマーである。より好ましくは、エチレン−プロピレン−ジエンゴムが用いられる。さらに好ましくは、上記エラストマーとして、ムーニー粘度(JIS K6300−1に準拠し、温度125℃、予熱時間1分、ロータの回転時間4分の条件で測定)が、20以上、80以下であるエラストマーが用いられる。その場合には、耐衝撃強度をより一層効果的に高めることができる。
本発明において、薄片化黒鉛とは、グラフェンシートの積層体である。薄片化黒鉛は、黒鉛を剥離処理することにより得られる。すなわち、薄片化黒鉛は、元の黒鉛よりも薄い、グラフェンシートの積層体である。
薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、2以上である。樹脂の引張弾性率等の機械的強度を効果的に高める観点から、積層数は、1000以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましい。
薄片化黒鉛は、薄いグラフェンシートが積層された構造を有する。よって、薄片化黒鉛のアスペクト比は比較的大きい。なお、本発明において薄片化黒鉛のアスペクト比とは、薄片化黒鉛の厚みに対する薄片化黒鉛の積層面方向における最大寸法の比をいう。
薄片化黒鉛のアスペクト比が低すぎると、上記積層面に交差する方向に加わった外力に対する補強効果が十分でないことがある。薄片化黒鉛のアスペクト比が高すぎると、効果が飽和してそれ以上の補強効果が望めないことがある。従って、薄片化黒鉛のアスペクト比の好ましい下限は50程度であり、好ましい上限は5000程度である。
薄片化黒鉛を製造する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により薄片化できる。例えば、黒鉛の層間に硝酸イオンなどのイオンを挿入した後に加熱処理する化学的処理方法、黒鉛に超音波を印加するなどの物理的処理方法、黒鉛を作用極として電気分解を行う電気化学的方法などの方法により得られる。また、薄片化黒鉛は市販されているものを用いてもよい。
本発明において、上記薄片化黒鉛は、樹脂複合材料100質量部に対し、5〜30質量部の範囲で含まれていることが好ましく、10〜20質量部の範囲で含まれていることがより好ましい。薄片化黒鉛の含有量が少なすぎると、弾性率が低くなる場合があり、他方薄片化黒鉛の含有量が多すぎると、耐衝撃強度が低くなることがあるためである。
本発明において、上記薄片化黒鉛は、上記エラストマー中に偏在化している。なお、薄片化黒鉛がエラストマー中に偏在化していることは、本発明に係る樹脂複合材料の任意の断面を透過型電子顕微鏡写真により観察することによって確認されている。具体的には、本発明に係る樹脂複合材料の任意の断面を透過型電子顕微鏡写真により観察したときに、どの任意の断面写真においても、視野中に観察される薄片化黒鉛がポリオレフィン側よりもエラストマー側に多く存在することが確認されている。
上記エラストマー中に分散している上記薄片化黒鉛は、薄片化黒鉛全体の50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。また、エラストマー中に分散している薄片化黒鉛は、薄片化黒鉛全体の95重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましい。
エラストマー中に分散している薄片化黒鉛が50重量%未満であり、薄片化黒鉛がポリオレフィン中に多く含まれると、上記樹脂複合材料に衝撃が加わった際、ポリオレフィンと薄片化黒鉛の界面において、クラック又は剥離が生じることがある。すなわち、薄片化黒鉛がポリオレフィン中に多く含まれると、耐衝撃強度を高め難い場合がある。
一方、エラストマーと薄片化黒鉛の界面においては、衝撃が加わった際、エラストマーが弾性変形するため、剥離が生じ難い。よって、エラストマー中に分散している薄片化黒鉛が多いほど、より一層耐衝撃強度を高めることができる。
本発明においては、上記薄片化黒鉛に、エラストマーがグラフトされていてもよい。エラストマーを薄片化黒鉛にグラフトする方法については特に限定されず、エラストマーと薄片化黒鉛と、ラジカル開始剤とを溶融混練する方法などを用いることができる。上記ラジカル開始剤としてはベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物、過酸化物化合物、アゾ系化合物、ジハロゲン系化合物などを用いることができる。
エラストマーの薄片化黒鉛へのグラフト率としては、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。グラフト率が高いほど、エラストマー中により多くの薄片化黒鉛を分散させることができ、耐衝撃性をより一層高めることができる。また、エラストマーの薄片化黒鉛へのグラフト率としては、100重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましい。なお、上記グラフト率の測定方法については、後述の実施例にて詳細に説明する。
本発明における樹脂複合材料では、ポリオレフィンとエラストマーの質量比が、95:5〜70:30の範囲にあることが好ましく、90:10〜80:20の範囲にあることがより好ましい。ポリオレフィンが多すぎると、耐衝撃強度が低くなる場合があり、少なすぎると弾性率が低くなることがあるためである。
本発明に係る樹脂複合材料において、ポリオレフィンとエラストマーは、マトリックス−ドメイン構造をとることができる。この場合、ポリオレフィンをマトリックスとし、エラストマーがドメインとなるような構造をとってもよいし、エラストマーをマトリックスとし、ポリオレフィンがドメインとなるような構造をとってもよい。または、ポリオレフィンとエラストマーが、共連続構造をとってもよい。なお、本発明においては、いずれの場合も、薄片化黒鉛は、エラストマー側に偏在化している。
本発明に係る樹脂複合材料では、上記必須成分の他、任意成分として様々な添加剤を用いてもよい。添加剤としては、例えば、フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系などの酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系などの紫外線吸収剤;金属害防止剤;ヘキサブロモビフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン化難燃剤;ポリリン酸アンモニウム、トリメチルフォスフェートなどの難燃剤;各種充填剤;帯電防止剤;安定剤;顔料などが挙げられる。
本発明に係る樹脂複合材料では、ポリオレフィンと、エラストマーと、薄片化黒鉛とを含んでおり、上記薄片化黒鉛が上記エラストマー中に偏在化している。従って、耐衝撃性が高く、弾性率の高い、樹脂複合材料を提供することができる。
(樹脂複合材料の製造方法)
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法では、薄片化黒鉛を含むエラストマーを準備する工程と、上記ポリオレフィンと、上記薄片化黒鉛を含むエラストマーとを混練することにより、樹脂複合材料を得る工程とを備える。
例えば、エラストマーと、薄片化黒鉛と、ラジカル開始剤とを混練することにより、エラストマーがグラフトしている薄片化黒鉛とエラストマーの混合物を予め作製し、続いて、上記予め作製した混合物中に、ポリオレフィンを投入し混練することによって、樹脂複合材料を作製することができる。
上記混練をする温度としては、特に限定されないが、エラストマー及びポリオレフィンの融解温度以上で混練することが望ましい。また、熱劣化の観点から、温度230℃以下で混練することが好ましい。
上記混練をする時間についても、特に限定されないが、3〜30分であることが好ましい。混練時間が短すぎると、十分に薄片化黒鉛がエラストマー中に分散しない場合があり、混練時間が長すぎると、樹脂が熱劣化するおそれがあるからである。
また、上記混練方法についても、特に限定されないが、例えば、プラストミルなどの二軸スクリュー混練機、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールなどの混練装置を用いて、加熱下において混練する方法などが挙げられる。これらの中でも、プラストミルを用いて溶融混練する方法が好ましい。
さらに、本発明により得られる樹脂複合材料は、適宜の賦型方法を用いて様々な形状とすることができる。このような賦型方法としては、プレス加工、射出成型、または押出成型などの成型方法を好適に用いることができる。さらに、溶融塗工方法により賦型してもよい。上記のような賦型方法を用い、シート状などの所望の形状とすることができる。
(実施例及び比較例)
以下、本発明について、具体的な実施例に基づき、さらに説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM、JSR社製、商品名:JSR EP96、JIS K6300−1に準拠し測定されたムーニー粘度ML1+4(125℃)=61)10質量部と、薄片化黒鉛(XGScience社製、商品名:xGnP−M5)10質量部と、ベンゾイルパーオキサイド(和光純薬社製)0.3質量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製、商品名:R−100)を用いて、温度180℃で溶融混練した。
次に、得られたエチレン−プロピレン−ジエンゴムがグラフトした薄片化黒鉛とエチレン−プロピレン−ジエンゴムの混合物と、ポリプロピレン(プライムポリマー社製、商品名:J105G、JIS K7210に準拠し測定されたMFR=9g/10分)90質量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製、商品名:R−100)を用いて、温度180℃で溶融混練して、樹脂複合材料を得た。続いて、得られた樹脂複合材料をプレス加工によりシート状に成形して、厚み0.5mm及び4.0mmの樹脂複合材料シートを作製した。
(実施例2)
エチレン−プロピレン−ジエンゴムを20質量部、ポリプロピレンを80質量部としたことを除いては、実施例1と同様にして、厚み0.5mm及び4.0mmの樹脂複合材料シートを得た。
(実施例3)
エチレン−プロピレン−ジエンゴムを30質量部、ポリプロピレンを70質量部としたことを除いては、実施例1と同様にして、厚み0.5mm及び4.0mmの樹脂複合材料シートを得た。
(実施例4)
薄片化黒鉛を20質量部としたことを除いては、実施例2と同様にして、厚み0.5mm及び4.0mmの樹脂複合材料シートを得た。
(実施例5)
ポリプロピレン(プライムポリマー社製、商品名:J105G、JIS K7210に準拠し測定されたMFR=9g/10分)90質量部と、スチレン−イソプレンゴム(SIS、クレイトンポリマー社製、商品名:D1161、MFR(200℃/5kg)=12g/10分)10質量部と、薄片化黒鉛(XGScience社製、商品名:xGnP−M5)10質量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製、商品名「R−100」)を用いて、温度180℃で溶融混練し、樹脂複合材料を得た。
次に、得られた樹脂複合材料をプレス加工によりシート状に成形して、厚み0.5mm及び4.0mmの樹脂複合材料シートを得た。
(比較例1〜4)
ベンゾイルパーオキサイドを添加せず、エチレン−プロピレン−ジエンゴムに薄片化黒鉛をグラフトしなかったことを除いては、実施例1〜4と同様にして、厚み0.5mm及び4.0mmの樹脂複合材料シートを得た。
(比較例5)
薄片化黒鉛を添加しなかったことを除いては、実施例1と同様にして、厚み0.5mm及び4.0mmの樹脂複合材料シートを得た。
(比較例6)
薄片化黒鉛を添加しなかったこと以外は、実施例5と同様にして、厚み0.5mm及び4.0mmの樹脂複合材料シートを得た。
(評価方法)
(1)グラフト率:エラストマー、薄片化黒鉛、ラジカル開始剤を溶融混練した樹脂複合材料を少量取り出し、樹脂複合材料片とした。次に、上記樹脂複合材料片を濾紙で包み、上記濾紙から上記樹脂複合材料片が漏れ出ないように、上記濾紙の端を折り込んだ。さらにその周囲を金属クリップで封止した。このようにして得られた包装体を、過剰量の熱キシレン(130℃)に12時間浸した。それによって、樹脂複合材料片に含まれる、グラフト化していないエラストマーを溶解除去した。
その後、上記包装体を溶媒から取り出し、真空乾燥させることにより、上記グラフト化薄片化黒鉛を単離した。
このようにして単離されたグラフト化薄片化黒鉛を、空気雰囲気下、30〜600℃の温度範囲において、10℃/分の昇温速度により熱重量測定(TGA測定)を行った。このとき、上記グラフト化薄片化黒鉛において、500℃に昇温されるまでに分解した分解物の重量をA、500℃まで昇温しても分解しなかった未分解物の重量をBとして、下記の式によりグラフト率を求めた。
グラフト率(重量%)=A/B×100
(2)引張弾性率:得られた厚み0.5mmのシートについて、長さ75mm×幅6mmの平面形状が長方形の試験片を切り出した。この試験片について、23℃における引張弾性率をJIS K7161に準拠して測定した。結果を下記の表1に示す。
(3)シャルピー衝撃強度:得られた厚み4.0mmの樹脂複合材料シートから、長さ80.0mm×幅10.0mmの平面形状が長方形の試験片を切り出した。続いてこの試験片にノッチ加工を行い、23℃におけるシャルピー衝撃強度をJIS K7111−1に準拠して測定した。結果を下記の表1に示す。
(4)複合材料の内部構造:実施例5で得られた厚み0.5mmの樹脂複合材料シートから、ミクロトームにより、厚み20μmの試験片を切り出した。切り出した試験片の断面について、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率30000倍で観察した。結果を図1示す。
図1より、実施例5で得られた樹脂複合材料では、ポリプロピレンをマトリックスとし、エラストマーであるSISをドメインとするマトリックス−ドメイン構造が形成されていることがわかる。より詳細には、図1中、白色部分がマトリックスであるポリプロピレンであり、黒色部分がドメインであるエラストマーである。
また、図1より、写真中央部に存在するエラストマーのドメイン内において、エラストマーのドメインの長さ方向中央付近に、薄片化黒鉛が存在していることがわかる。より具体的には、写真中央部の黒色のエラストマーのドメイン内に、白色の薄片化黒鉛が数多く存在していることがわかる。すなわち、実施例5で得られた樹脂複合材料シートでは、エラストマー中に薄片化黒鉛が偏在化していることがわかる。実施例5では、薄片化黒鉛と親和性が高いSISをエラストマーとして用いているためであると考えられる。なお、エラストマーであるEPDMを薄片化黒鉛にグラフトした実施例1〜4においても同様に、エラストマー中に薄片化黒鉛が偏在化していることが確認されている。
表1から明らかなように、エラストマーがグラフトされた薄片化黒鉛を用いた実施例1〜4では、引張弾性率とシャルピー衝撃強度との双方が高められていることを確認した。
また、エラストマーとして薄片化黒鉛と親和性の高いSISを用いた実施例5においても、薄片化黒鉛を添加することにより、シャルピー衝撃強度を大きく低下させることなく、引張弾性率を向上できることが確認できた。すなわち、引張弾性率及びシャルピー衝撃強度の双方に優れる樹脂複合材料が得られていることを確認できた。

Claims (11)

  1. ポリオレフィンと、エラストマーと、薄片化黒鉛とを含んでおり、
    前記薄片化黒鉛が、前記エラストマー中に偏在化している、樹脂複合材料。
  2. 前記薄片化黒鉛の50重量%以上が、前記エラストマー中に分散している、請求項1に記載の樹脂複合材料。
  3. 前記エラストマーが、前記薄片化黒鉛にグラフトされている、請求項1又は2に記載の樹脂複合材料。
  4. 前記薄片化黒鉛にグラフトされているエラストマーのグラフト率が、5重量%以上である、請求項3に記載の樹脂複合材料。
  5. 前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンとポリエチレンとのうち少なくとも一方を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂複合材料。
  6. 前記エラストマーが、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホンゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム、ニトリル−イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、水素添加スチレンイソプレンゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群から選択された少なくとも1種のエラストマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂複合材料。
  7. 前記エラストマーが、エチレン−プロピレン−ジエンゴムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂複合材料。
  8. マトリックスが前記ポリオレフィンであり、ドメインが前記エラストマーである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂複合材料。
  9. マトリックスが前記エラストマーであり、ドメインが前記ポリオレフィンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂複合材料。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂複合材料の製造方法であって、
    薄片化黒鉛を含むエラストマーを準備する工程と、
    前記ポリオレフィンと、前記薄片化黒鉛を含むエラストマーとを混練することにより、樹脂複合材料を得る工程とを備える、樹脂複合材料の製造方法。
  11. 前記薄片化黒鉛を含むエラストマーを準備する工程が、エラストマーがグラフトされている薄片化黒鉛とエラストマーとの混合物を準備する工程である、請求項10に記載の樹脂複合材料の製造方法。
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