JP2015078280A - ポリマー微粒子含有硬化性樹脂組成物 - Google Patents

ポリマー微粒子含有硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、チクソ性と接着性を両立する硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、ポリマー微粒子(B)1〜100質量部、無機充填材(C)0.1〜100質量部、を含有する硬化性樹脂組成物であって、(B)成分が、体積平均粒子径が150nm以上20,000nm未満であるポリマー微粒子(B1)であり、かつ、(C)成分が、平均粒子径が5〜500nmであるケイ酸および/またはケイ酸塩であることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、靱性および耐衝撃性に優れた、エポキシ樹脂を主成分とする硬化性樹脂組成物に関するものである。
エポキシ樹脂の硬化物は、寸法安定性、機械的強度、電気的絶縁特性、耐熱性、耐水性、耐薬品性などの多くの点で優れている。しかしながら、エポキシ樹脂の硬化物は破壊靭性が小さく、非常に脆性的な性質を示すことがあり、広い範囲の用途においてこのような性質が問題となることが多い。
エポキシ樹脂を主成分とする硬化性樹脂組成物にポリマー微粒子を添加し、得られる硬化物の靱性や耐衝撃性を改善したエポキシ樹脂組成物を、車両などの構造接着剤などに応用する技術が、特許文献1や特許文献2などに開示されている。
前記の構造接着剤は、車両などの製造ラインにて、鋼板などの接合に使用されるペースト状の接着剤であり、車両パネルの接合部の剛性向上に寄与し、輸送機器の軽量化による燃費向上のニーズに貢献する。
また、自動車車体の軽量化の要請により薄化された板金を、樹脂によって補強する方法が採用されている。靱性や耐衝撃性を改善したエポキシ樹脂組成物が、板金の表面に塗布して加熱硬化させる塗布型板金補強材として使用されている。
一方で、特許文献3や特許文献4や特許文献5などに開示されている様に、車両などの製造ラインにおいて、前記接着剤や前記板金補強材の塗布工程と、硬化工程の間に、水洗シャワー工程が存在する場合がある。未硬化状態の接着剤組成物は、水洗シャワー工程中に、シャワー水圧により、組成物が一部溶解したり、飛散したり、変形したりする場合があり、その結果、塗布部の鋼板の耐食性に悪影響を与えたり、鋼板の剛性の低下に繋がるなどの問題がある。
水圧による未硬化組成物の飛散や変形を少なくするためには、特許文献3や特許文献4や特許文献5などに開示されている様に、組成物の粘度を高くすればよいが、塗布作業性が低下する。
特開2005−255822号公報 WO2008−127923号公報 特開2009−299028号公報 特開平8−302278号公報 特開平4−88077号公報
シャワー水圧により組成物が変形する現象は、静止状態の組成物の変形であり、低せん断速度域での粘度と考える事ができる。塗布時の高せん断速度域での粘度を低くし、低せん断速度域での粘度を高くする、つまり、組成物のチキソ性を高くすれば、水洗シャワー工程での変形抑制と塗布作業性を両立すると考えられる。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、エポキシ樹脂を主成分とする硬化性樹脂組成物であって、チクソ性に優れ、さらに、得られる硬化物の接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、
エポキシ樹脂(A)、エポキシ基を有するポリマー微粒子(B)、無機充填材(C)を含有する硬化性樹脂組成物において、
(B)成分を特定の粒子径を有するポリマー微粒子(B1)とし、(C)成分を特定の粒子径を有する特定の無機充填材(C)とすることにより前記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本願発明は、
エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、ポリマー微粒子(B)1〜100質量部、無機充填材(C)0.1〜100質量部、を含有する硬化性樹脂組成物であって、
(B)成分が、体積平均粒子径が150nm以上20,000nm未満であるポリマー微粒子(B1)であり、かつ、
(C)成分が、平均粒子径が5〜500nmであるケイ酸および/またはケイ酸塩であることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
(B)成分は、該硬化性樹脂組成物中で1次粒子の状態で分散していることが好ましい。
体積平均粒子径が10nm以上150nm未満であるポリマー微粒子(B2)を更に含有し、(B2)成分の質量(W2)と(B1)成分の質量(W1)の比(W2/W1)が、0.01〜2であることが好ましい。
体積平均粒子径が10nm以上150nm未満であるポリマー微粒子(B2)を実質的に含有しないことが好ましい。
(B1)成分の体積平均粒子径が200nm以上7,000nm未満であることが好ましい。
(B1)成分の質量(W1)と硬化性樹脂組成物の全質量(W)の比(W1/W)が、0.01〜0.49であることが好ましい。
(B1)成分は、コアシェル構造を有することが好ましい。
(B1)成分は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴム、及びオルガノシロキサン系ゴムよりなる群から選択される1種以上のコア層を有することが更に好ましい。
前記ジエン系ゴムは、ブタジエンゴム、および/または、ブタジエン−スチレンゴムであることが更に好ましい。
(B1)成分は、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアンモノマー、(メタ)アクリレートモノマー、よりなる群から選択される1種以上のモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することが更に好ましい。
(A)成分100質量部に対して、更に、エポキシ硬化剤(D)1〜40質量部を含有することが好ましい。
(A)成分100質量部に対して、更に、硬化促進剤(E)0.1〜10質量部を含有することが好ましい。
(C)成分は、乾式シリカ、湿式シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、から成る群から選択される少なくとも1種類の無機充填材であることが好ましい。
(D)成分は、ジシアンジアミドであることが好ましい。
好ましくは、一液型硬化性樹脂組成物である。
好ましくは、前記いずれかの硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物である。
好ましくは、構造接着剤である。
好ましくは、塗布型板金補強材である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、チクソ性に優れ、さらに、得られる硬化物の接着性を改善することができる。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物について詳述する。
<エポキシ樹脂(A)>
本発明の硬化性樹脂組成物の主成分として、エポキシ樹脂(A)を使用する。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA(又はF)型エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m−アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンのような多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂などのような不飽和重合体のエポキシ化物、含アミノグリシジルエーテル樹脂や、上記のエポキシ樹脂にビスフェノールA(又はF)類または多塩基酸類等を付加反応させて得られるエポキシ化合物などが例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用され得る。これらエポキシ樹脂は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
これらのエポキシ樹脂の中でもエポキシ基を一分子中に少なくとも2個有するものが、硬化に際し、反応性が高く硬化物が3次元的網目を作りやすいなどの点から好ましい。
<ポリマー微粒子(B)>
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分100質量部に対して、ポリマー微粒子(B)1〜100質量部を使用する。(B)成分の靱性改良効果により、得られる硬化物は靱性および耐クラック性に優れる。
本発明では、(B)成分は、体積平均粒子径が150nm以上20,000nm未満であるポリマー微粒子(B1)を含有する事が必須であり、後述の(C)成分と組合わせた場合に、組成物のチクソ性と得られる硬化物の接着性を両立することができる。(B1)成分の体積平均粒子径が150nm未満では得られる組成物のチクソ性が低下する傾向がある。20,000n以上では、得られる硬化物の靱性や接着性が低下する傾向がある。
(B1)成分の体積平均粒子径は、組成物のチクソ性と得られる硬化物の接着性を両立する観点から、200nm以上7,000nm未満が好ましく、250nm以上3,000nm未満がより好ましく、300nm以上1,000nm未満が更に好ましく、350nm以上700nm未満が特に好ましい。なお、ポリマー粒子の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明では、体積平均粒子径が10nm以上150nm未満であるポリマー微粒子(B2)を更に含有してもよい。得られる組成物の粘度とチクソ性の観点から、(B2)成分の質量(W2)と(B1)成分の質量(W1)の比(W2/W1)が、0.01〜2であることが好ましい。(W2/W1)の値は、0.03〜1がより好ましく、0.05〜0.5が更に好ましく、0.1〜0.3が特に好ましい。
一方、本発明の硬化性樹脂組成物は、体積平均粒子径が10nm以上150nm未満であるポリマー微粒子(B2)を実質的に含有しない組成物とすることも可能である。この場合、チクソ性の特に良好な組成物となる。
また、本発明では、(B1)成分の質量(W1)と硬化性樹脂組成物の全質量(W)の比(W1/W)が、0.01〜0.49であることが好ましい。(W1/W)の値が0.01未満では得られる硬化物の靱性や接着性が十分ではない場合がある。0.49よりも大きいと、組成物の粘度が高くなり作業性が低下する場合がある。(W1/W)の値は、0.02〜0.4がより好ましく、0.03〜0.3が更に好ましく、0.05〜0.2が特に好ましい。
得られる硬化性樹脂組成物の取扱いやすさと、得られる硬化物の靭性改良効果のバランスから、(A)成分100質量部に対して、(B)成分は2〜70質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましく、4〜20質量部が特に好ましい。
(B)成分は、本発明の組成物中において、その粒子径の個数分布において、前記数平均粒子径の0.5倍以上、1倍以下の半値幅を有することが、得られる硬化性樹脂組成物が低粘度で取扱い易い為に好ましい。
上述の特定の粒子径分布を容易に実現する観点から、(B)成分の粒子径の個数分布において、極大値が2個以上存在することが好ましく、製造時の手間やコストの観点から、極大値が2〜3個存在することがより好ましく、極大値が2個存在することが更に好ましい。
(B)成分は硬化性樹脂組成物中で1次粒子の状態で分散していることが好ましい。本発明における、「ポリマー微粒子が硬化性樹脂組成物中で1次粒子の状態で分散している」(以下、一次分散とも呼ぶ。)とは、ポリマー微粒子同士が実質的に独立して(接触なく)分散していることで、その分散状態は、例えば、硬化性樹脂組成物の一部をメチルエチルケトンのような溶剤に溶解し、これをレーザー光散乱による粒子径測定装置等により、その粒子径を測定することにより確認できる。
前記粒子径測定による体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)の値は、特に制限されないが、3以下であることが好ましく、2.5以下がより好ましく、2以下が更に好ましく、1.5以下が特に好ましい。体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)が3以下であれば、良好に分散していると考えられる。逆に、3を超えた粒度分布を有する硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物の耐衝撃性や接着性などの物性が低い場合がある。
なお、体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)は、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)を用いて測定し、MvをMnで除することによって求めることができる。
硬化性樹脂組成物中での(B)成分の分散状態は、SEMやTEM等の電子顕微鏡による測定でも確認することができる。特に限定されないが、分散状態を表す指標として、以下の(式)で定義される粒子分散率を挙げることができる。粒子分散率は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましく、80%以上が特に好ましく、90%以上が最も好ましい。20%未満の場合には、得られる硬化物の接着性や耐衝撃性が十分ではない場合がある。
粒子分散率(%)=(1−(B/B))×100・・・(式)
(なお、(式)において、Bは、3個以上が接触しているゴム状重合体粒子(B)の個数B(なお、ある1個のゴム状重合体粒子(B)がn個に接触している場合、個数はn個とカウントする)であり、Bは、ゴム状重合体粒子(B)の総個数である。)
また、ポリマー微粒子の「安定な分散」とは、ポリマー微粒子が、連続層中で凝集したり、分離したり、沈殿したりすることなく、定常的に通常の条件下にて、長期間に渡って、分散している状態を意味し、また、ポリマー微粒子の連続層中での分布も実質的に変化せず、また、これらの組成物を危険がない範囲で加熱することで粘度を下げて攪拌したりしても、「安定な分散」を保持できることが好ましい。
(B)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
ポリマー微粒子の構造は特に限定されないが、2層以上のコアシェル構造を有することが好ましい。また、コア層を被覆する中間層と、この中間層をさらに被覆するシェル層とから構成される3層以上の構造を有することも可能である。
以下、各層について具体的に説明する。
≪コア層≫
コア層は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の靱性を高める為に、ゴムとしての性質を有する弾性コア層であることが好ましい。ゴムとして性質を有するためには、本発明の弾性コア層は、ゲル含量が60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。なお、本明細書でいうゲル含量とは、凝固、乾燥により得られたクラム0.5gをトルエン100gに浸漬し、23℃で24時間静置した後に不溶分と可溶分を分別したときの、不溶分と可溶分の合計量に対する不溶分の比率を意味する。
ゴムとしての性質を有する弾性コア層を形成し得るポリマーとしては、天然ゴムや、ジエン系モノマー(共役ジエン系モノマー)および(メタ)アクリレート系モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー(第1モノマー)を50〜100質量%、および他の共重合可能なビニル系モノマー(第2モノマー)を0〜50質量%含んで構成されるゴム弾性体や、ポリシロキサンゴム系弾性体、あるいはこれらを併用したものが挙げられる。得られる硬化物の靱性改良効果および耐衝撃剥離接着性改良効果が高い点、および、マトリックス樹脂との親和性が低い為にコア層の膨潤による経時での粘度上昇が起こり難い点から、ジエン系モノマーを用いたジエン系ゴムが好ましい。多種のモノマーの組合せにより、幅広いポリマー設計が可能なことから、(メタ)アクリレート系ゴムが好ましい。また、硬化物の耐熱性を低下させることなく、低温での耐衝撃性を向上しようとする場合には、弾性コア層はポリシロキサンゴム系弾性体であることが好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
弾性コア層に用いるジエン系ゴムを構成するモノマー(共役ジエン系モノマー)としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらのジエン系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
靱性改良効果および耐衝撃剥離接着性改良効果が高い点、および、マトリックス樹脂との親和性が低い為にコア層の膨潤による経時での粘度上昇が起こり難い点から、1,3−ブタジエンを用いるブタジエンゴム、または、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合体であるブタジエン−スチレンゴムが好ましく、ブタジエンゴムがより好ましい。また、ブタジエン−スチレンゴムは、屈折率の調整により得られる硬化物の透明性を高めることができ、より好ましい。
比較的大粒径の前記ジエン系ゴムを通常の乳化重合法で得るには、重合に長時間を要するために生産性がわるく、コストがかかる。大粒径のジエン系ゴムを得る為に、水溶性電解質や酸基含有共重合体ラテックスを添加し、グラフト重合前または重合中に肥大させる方法が公知である。水溶性電解質を用いて肥大させる方法は、特開平4−170458号公報や特開昭60−192754号公報などに開示されている。酸基含有共重合体ラテックスを用いて肥大させる方法は、特開平10−245468号公報や特開平8−12704号公報などに開示されている。
前記水溶性電解質は、ゴム粒子を凝集肥大させるために使用されるものであり、その具体例としては、たとえばNa、K、Mg2+、Ca2+、Al3+、NH 、H、Cl、Br、SO 2−、SO 2−、NO 、NO 、PO 3−、CO 2−、OH、などに解離する化合物などがあげられる。該化合物の具体例としては、たとえばNaCl、KCl、NaSO、CaCl、AlClなどがあげられる。
該化合物の添加量は、0.5〜5質量部であるのが好ましく、1.0〜3質量部であるのがさらに好ましい。該添加量が5質量部をこえるとラテックスが不安定になり、重合スケールが多くなりがちであり、0.5質量部未満では肥大が起こりにくくなる。
酸基含有共重合体ラテックスは、ゴム粒子を凝集肥大させるために使用されるものであり、前記の目的に使用される一般的な酸基含有共重合体の組成およびその肥大方法については、例えば特開昭56−166217号、特開昭58−61102号、特開平8−59704号、特開平8−157502号、特開昭60−118734号、特開2002−20566号等に開示されている。
特に制限されないが、酸基含有共重合体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸等の不飽和酸5〜25質量%、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体0〜90質量%、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキル5〜30質量%、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキル0〜90質量%、およびこれらと共重合可能なビニル系単量体0〜20質量%からなる単量体混合物(合わせて100質量%)を重合させて得ることができる。
前記の共重合可能なビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、メタクリル酸アリル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート等の分子内に2つ以上の重合性官能基を有する架橋性単量体があげられる。また、必要に応じてn−ドデシルメルカプタンやt−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤0〜3質量%を使用することができる。
また、酸基含有共重合体ラテックスは、不飽和酸による肥大能力を向上させる目的で、均一組成ではなく不均一組成であってよい。すなわち、多層構造を有する共重合体であることがより好ましい。
酸基含有共重合体ラテックスの体積平均粒子径は、特に限定されないが、60〜300nmの範囲が好ましく、80〜200nmがより好ましい。酸基含有共重合体ラテックスの体積平均粒子径が60nm未満では、肥大能力が不足する傾向がある。また、300nm以上では、肥大時に重合安定性が低下して重合スケールが発生しやすくなる傾向があり、工業的な実用性が低下する。
凝集肥大させる際、酸基含有共重合体ラテックスの使用量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.1〜15質量部(固形分量として)が好ましく、0.5〜6質量部がより好ましい。使用量が0.1質量部未満では、未肥大のジエン系ゴムの量が多くなり、目的とする平均粒子径まで充分に肥大させることが出来ない傾向がある。また、15質量部を越えると、平均粒子径のコントロールが困難であり、硬化物の物性を低下させる傾向がある。
一方、弾性コア層に用いる(メタ)アクリレート系ゴムを構成するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアルキル(メタ)アクリレートなどのグリシジル(メタ)アクリレート類;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレートなどのアリルアルキル(メタ)アクリレート類;モノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましくはエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
上記第1モノマーと共重合可能なビニル系モノマー(第2モノマー)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレンなどのビニルアレーン類;アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルケン類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーなどが挙げられる。これらのビニル系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましくはスチレンである。
また、弾性コア層を構成し得るポリシロキサンゴム系弾性体としては、例えば、ジメチルシリルオキシ、ジエチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシ、ジメチルシリルオキシ−ジフェニルシリルオキシなどの、アルキル或いはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系ポリマーや、側鎖のアルキルの一部が水素原子に置換されたオルガノハイドロジェンシリルオキシなどの、アルキル或いはアリール1置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系ポリマーが挙げられる。これらのポリシロキサン系ポリマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ジメチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジメチルシリルオキシ−ジフェニルシリルオキシが硬化物に耐熱性を付与する上で好ましく、ジメチルシリルオキシが容易に入手できて経済的でもあることから最も好ましい。
弾性コア層がポリシロキサンゴム系弾性体から形成される態様において、ポリシロキサン系ポリマー部位は、硬化物の耐熱性を損なわないために、弾性体全体を100質量%として80質量%以上(より好ましくは90質量%以上)含有していることが好ましい。
ポリマー微粒子の硬化性樹脂組成物中での分散安定性を保持する観点から、コア層は、上記モノマーを重合してなるポリマー成分やポリシロキサン系ポリマー成分に架橋構造が導入されていることが好ましい。架橋構造の導入方法としては、一般的に用いられる手法を採用することができる。例えば、上記モノマーを重合してなるポリマー成分に架橋構造を導入する方法としては、ポリマー成分に多官能性モノマーやメルカプト基含有化合物等の架橋性モノマーを添加し、次いで重合する方法などが挙げられる。また、ポリシロキサン系ポリマーに架橋構造を導入する方法としては、重合時に多官能性のアルコキシシラン化合物を一部併用する方法や、ビニル反応性基、メルカプト基などの反応性基をポリシロキサン系ポリマーに導入し、その後ビニル重合性のモノマーあるいは有機過酸化物などを添加してラジカル反応させる方法、あるいは、ポリシロキサン系ポリマーに多官能性モノマーやメルカプト基含有化合物などの架橋性モノマーを添加し、次いで重合する方法などが挙げられる。
前記多官能性モノマーとしては、ブタジエンは含まれず、アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレート等のアリルアルキル(メタ)アクリレート類;アリルオキシアルキル(メタ)アクリレート類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。特に好ましくはアリルメタアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、及びジビニルベンゼンである。
本発明において、コア層のガラス転移温度(以下、単に「Tg」と称する場合がある)は、得られる硬化物の靱性を高める為に、0℃以下であることが好ましく、−20℃以下がより好ましく、−40℃以下が更に好ましく、−60℃以下であることが特に好ましい。
一方、得られる硬化物の弾性率(剛性)の低下を抑制したい場合には、コア層のTgは、0℃よりも大きいことが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましく、80℃以上であることが特に好ましく、120℃以上であることが最も好ましい。
Tgが0℃よりも大きく、得られる硬化物の剛性低下を抑制し得るコア層を形成し得るポリマーとしては、単独重合体のTgが0℃よりも大きい少なくとも1種のモノマーを50〜100質量%(より好ましくは、65〜99質量%)、および単独重合体のTgが0℃未満の少なくとも1種のモノマーを0〜50質量%(より好ましくは、1〜35質量%)含んで構成されるポリマーが挙げられる。
コア層のTgが0℃よりも大きい場合も、コア層は架橋構造が導入されていることが好ましい。架橋構造の導入方法としては、前記の方法が挙げられる。
前記単独重合体のTgが0℃よりも大きいモノマーは、以下のモノマーの一つ以上を含有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、スチレン、2−ビニルナフタレン等の無置換ビニル芳香族化合物類;α―メチルスチレン等のビニル置換芳香族化合物類;3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6―トリメチルスチレン等の環アルキル化ビニル芳香族化合物類;4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン等の環アルコキシル化ビニル芳香族化合物類;2−クロロスチレン、3―クロロスチレン等の環ハロゲン化ビニル芳香族化合物類;4−アセトキシスチレン等の環エステル置換ビニル芳香族化合物類;4−ヒトロキシスチレン等の環ヒドロキシル化ビニル芳香族化合物類;ビニルベンゾエート、ビニルシクロヘキサノエート等のビニルエステル類;塩化ビニル等のビニルハロゲン化物類;アセナフタレン、インデン等の芳香族モノマー類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレート類;フェニルメタクリレート等の芳香族メタクリレート;イソボルニルメタクリレート、トリメチルシリルメタクリレート等のメタクリレート類;メタクリロニトリル等のメタクリル酸誘導体を含むメタクリルモノマー;イソボルニルアクリレート、tert−ブチルアクリレート等のある種のアクリル酸エステル;アクリロニトリル等のアクリル酸誘導体を含むアクリルモノマーを挙げることができる。更に、アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート及び1−アダマンチルメタクリレート、等のTgが120℃以上となるモノマーが挙げられる。
また、コア層の体積平均粒子径は0.01〜20μmが好ましいが、0.1〜6μmがより好ましく、0.2〜2.5μmが更に好ましく、0.25〜0.9μmが特に好ましく、0.3〜0.6μmが最も好ましい。体積平均粒子径が0.01μm未満のものを安定的に得ることは難しい場合が多く、20μmを超えると最終成形体の耐熱性や耐衝撃性が悪くなる恐れがある。なお体積平均粒子径は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
コア層は、ポリマー粒子全体を100質量%として40〜97質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜93質量%が更に好ましく、80〜90質量%が特に好ましい。コア層が40質量%未満では硬化物の靱性改良効果が低下する場合がある。コア層が97質量%よりも大きいとポリマー微粒子が凝集し易くなり、硬化性樹脂組成物が高粘度となり取り扱い難い場合がある。
本発明において、コア層は単層構造であることが多いが、多層構造であってもよい。また、コア層が多層構造の場合は、各層のポリマー組成が各々相違していてもよい。
≪中間層≫
本発明では、必要により、中間層を形成させてもよい。特に、中間層として、以下のゴム表面架橋層を形成させてもよい。得られる硬化物の靱性改良効果および耐衝撃剥離接着性改良効果の点からは、中間層として、以下のゴム表面架橋層を含有しないことが好ましい。
前記ゴム表面架橋層は、同一分子内にラジカル性二重結合を2以上有する多官能性モノマー30〜100質量%、及びその他のビニルモノマー0〜70質量%からなるゴム表面架橋層成分を重合してなる中間層重合体からなり、本発明の硬化性樹脂組成物の粘度を低下させる効果、ポリマー微粒子(B)の(A)成分への分散性を向上させる効果を有する。また、コア層の架橋密度を上げたりシェル層のグラフト効率を高める効果も有する。
前記多官能性モノマーの具体例としては、上述の多官能性モノマーと同じモノマーが例示されるが、好ましくはアクリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートである。
≪シェル層≫
ポリマー微粒子の最も外側に存在するシェル層は、シェル形成用単量体を重合したものであるが、本発明に係る、ポリマー微粒子と(A)成分との相溶性を向上させ、本発明の硬化性樹脂組成物、又はその硬化物中においてポリマー微粒子が一次粒子の状態で分散することを可能にする役割を担うシェルポリマーからなる。
このようなシェル重合体は、好ましくは前記コア層にグラフトしている。より正確には、シェル層の形成に用いる単量体成分が、コア層を形成するコアポリマーにグラフト重合して、実質的にシェルポリマー層とゴムコアとが化学結合していることが好ましい。即ち、好ましくは、シェルポリマーは、コアポリマーの存在下に前記シェル形成用単量体をグラフト重合させることで形成され、このようにすることで、このコアポリマーにグラフト重合されており、コアポリマーの一部又は全体を覆っている。この重合操作は、水性のポリマーラテックス状態で調製され存在するコアポリマーのラテックス対して、シェル重合体の構成成分であるモノマーを加えて重合させることで実施できる。
シェル層形成用モノマーとしては、(B)成分の硬化性樹脂組成物中での相溶性及び分散性の点から、例えば、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアンモノマー、(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、(メタ)アクリレートモノマーがより好ましい。
硬化物や重合体中で(B)成分が凝集せずに良好な分散状態を維持するために、(A)成分と化学結合させる観点から、シェル層形成用モノマーとして、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、アミノ基、イミド基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、環状エステル、環状アミド、ベンズオキサジン基、及びシアン酸エステル基からなる群から選ばれる1種以上を含有する反応性基含有モノマーを含有することが好ましく、エポキシ基を有するモノマーが好ましい。
エポキシ基を有するモノマーは、シェル層の形成に使用することが好ましく、シェル層のみに使用することがより好ましい。
また、シェル層形成用モノマーとして、二重結合を2個以上有する多官能性モノマーを使用すると、硬化性樹脂組成物中においてポリマー微粒子の膨潤を防止し、また、硬化性樹脂組成物の粘度が低く取扱い性がよくなる傾向がある為好ましい。一方、得られる硬化物の靱性改良効果および耐衝撃剥離接着性改良効果の点からは、シェル層形成用モノマーとして、二重結合を2個以上有する多官能性モノマーを使用しないことが好ましい。
多官能性モノマーは、シェル形成用モノマー100質量%中に、1〜20質量%含まれていることが好ましく、より好ましくは、5〜15質量%である。
前記芳香族ビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
前記ビニルシアンモノマーの具体例としては、アクリロニトリル、又はメタクリロニトリル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記エポキシ基を有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記二重結合を2個以上有する多官能性モノマーの具体例としては、上述の多官能性モノマーと同じモノマーが例示されるが、好ましくはアクリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートである。
本発明では、例えば、スチレン0〜50質量%、アクリロニトリル0〜50質量%、メチルメタクリレート0〜100質量%、グリシジルメタクリレート0.5〜50質量%を組み合わせたシェル形成用モノマーの重合体であるシェル層とすることが好ましい。これにより、所望の靱性改良効果と機械特性をバランス良く実現することができる。特に、グリシジルメメタクリレートを構成成分として含ませることで(A)成分との界面接着が向上すると考えられ好ましい。
これらのモノマー成分は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シェル層は、上記モノマー成分の他に、他のモノマー成分を含んで形成されてもよい。
シェル層のグラフト率は、70%以上(より好ましくは80%以上、さらには90%以上)であることが好ましい。グラフト率が70%未満の場合には、液状樹脂組成物の粘度が上昇する場合がある。なお、本明細書において、グラフト率の算出方法は下記の通りである。
先ず、ポリマー微粒子を含有する水性ラテックスを凝固・脱水し、最後に乾燥してポリマー微粒子のパウダーを得た。次いで、ポリマー微粒子のパウダー2gをメチルエチルケトン(MEK)100gに23℃で24時間浸漬した後にMEK可溶分をMEK不溶分と分離し、さらにMEK可溶分からメタノール不溶分を分離した。そして、MEK不溶分とメタノール不溶分との合計量に対するMEK不溶分の比率を求めることによって算出した。
≪ポリマー微粒子の製造方法≫
(コア層の製造方法)
本発明で用いるポリマー微粒子を構成するコア層を形成するポリマーが、ジエン系モノマー(共役ジエン系モノマー)および(メタ)アクリレート系モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー(第1モノマー)を含んで構成される場合には、コア層の形成は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などによって製造することができ、例えばWO2005/028546号公報に記載の方法を用いることができる。
また、コア層を形成するポリマーがポリシロキサン系ポリマーを含んで構成される場合には、コア層の形成は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などによって製造することができ、例えばWO2006/070664号公報に記載の方法を用いることができる。
(シェル層および中間層の形成方法)
中間層は、中間層形成用モノマーを公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。コア層を構成するゴム弾性体をエマルジョンとして得た場合には、二重結合を2以上有するモノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましい。
シェル層は、シェル層形成用モノマーを、公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。コア層、または、コア層を中間層で被覆して構成されるポリマー粒子前駆体をエマルジョンとして得た場合には、シェル層形成用モノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましく、例えば、WO2005/028546号公報に記載の方法に従って製造することができる。
乳化重合において用いることができる乳化剤(分散剤)としては、ジオクチルスルホコハク酸やドデシルベンゼンスルホン酸などに代表されるアルキルまたはアリールスルホン酸、アルキルまたはアリールエーテルスルホン酸、ドデシル硫酸に代表されるアルキルまたはアリール硫酸、アルキルまたはアリールエーテル硫酸、アルキルまたはアリール置換燐酸、アルキルまたはアリールエーテル置換燐酸、ドデシルザルコシン酸に代表されるN−アルキルまたはアリールザルコシン酸、オレイン酸やステアリン酸などに代表されるアルキルまたはアリールカルボン酸、アルキルまたはアリールエーテルカルボン酸などの各種の酸類、これら酸類のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩などのアニオン性乳化剤(分散剤);アルキルまたはアリール置換ポリエチレングリコールなどの非イオン性乳化剤(分散剤);ポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体などの分散剤が挙げられる。これらの乳化剤(分散剤)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー粒子の水性ラテックスの分散安定性に支障を来さない限り、乳化剤(分散剤)の使用量は少なくすることが好ましい。また、乳化剤(分散剤)は、その水溶性が高いほど好ましい。水溶性が高いと、乳化剤(分散剤)の水洗除去が容易になり、最終的に得られる硬化物への悪影響を容易に防止できる。
乳化重合法を採用する場合には、公知の開始剤、すなわち2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを熱分解型開始剤として用いることができる。
また、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキサイドなどの有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物といった過酸化物と、必要に応じてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコースなどの還元剤、および必要に応じて硫酸鉄(II)などの遷移金属塩、さらに必要に応じてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート剤、さらに必要に応じてピロリン酸ナトリウムなどのリン含有化合物などを併用したレドックス型開始剤を使用することもできる。
レドックス型開始剤系を用いた場合には、前記過酸化物が実質的に熱分解しない低い温度でも重合を行うことができ、重合温度を広い範囲で設定できるようになり好ましい。中でもクメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物をレドックス型開始剤として用いることが好ましい。前記開始剤の使用量、レドックス型開始剤を用いる場合には前記還元剤・遷移金属塩・キレート剤などの使用量は公知の範囲で用いることができる。また二重結合を2以上有するモノマーを重合するに際しては公知の連鎖移動剤を公知の範囲で用いることができる。追加的に界面活性剤を用いることができるが、これも公知の範囲である。
重合に際しての重合温度、圧力、脱酸素などの条件は、公知の範囲のものが適用できる。また、中間層形成用モノマーの重合は1段で行なっても2段以上で行なっても良い。例えば、弾性コア層を構成するゴム弾性体のエマルジョンに中間層形成用モノマーを一度に添加する方法、連続追加する方法の他、あらかじめ中間層形成用モノマーが仕込まれた反応器に弾性コア層を構成するゴム弾性体のエマルジョンを加えてから重合を実施する方法などを採用することができる。
<無機充填材(C)>
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分100質量部に対して、無機充填材(C)を1〜100質量部含有することが必須である。その中でも特に、平均粒子径が5〜500nmのケイ酸および/またはケイ酸塩である無機充填材を使用する。
(C)成分は、本願の硬化性樹脂組成物の粘度を上昇させ、チクソ性を付与する。更に、(C)成分は、本願の(A)成分および(B)成分と組み合わせた場合、(C)成分以外の無機充填材と比較して、チクソ性付与効果が高く、得られる硬化物の引張強度や弾性率が高く、耐衝撃性の低下が少ない充填材である。
(C)成分の具体例としては、特に制限されないが、乾式シリカ、湿式シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、または、ケイ酸カルシウムが、チクソ性付与効果や得られる硬化物の引張強度や弾性率の点から好ましく、乾式シリカ、湿式シリカ、または、ケイ酸カルシウムが、より好ましく、乾式シリカまたは湿式シリカが更に好ましく、乾式シリカが特に好ましい。
前記乾式シリカの製法としては、ハロゲン化ケイ素の分解により製造するアエロジル法や、ケイ砂を加熱還元した後、空気により酸化してケイ酸を得るアーク法等が挙げられるが、特に限定は無く、入手性の点からアエロジル法が好ましい。
前記乾式シリカはヒュームドシリカとも呼ばれ、表面無処理の親水性ヒュームドシリカと、親水性ヒュームドシリカのシラノール基部分にシランやシロキサンで化学的に処理することによって製造した疎水性ヒュームドシリカが挙げられるが、(A)成分への分散性の点から、疎水性ヒュームドシリカが好ましい。
疎水性ヒュームドシリカの表面処理剤としては、ジメチルジクロロシラン、(メタ)アクリルシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、ヘキサデシルシラン、アミノシラン、メタクリルシラン、などのシランカップリング剤、オクタメチルテトラシクロシロキサン、ポリジメチルシロキサン、等が挙げられるが、ポリジメチルシロキサンで表面処理した疎水性ヒュームドシリカは、(A)成分への分散安定性、得られる硬化性組成物の貯蔵安定性、の点から好ましい。
前記湿式シリカは、ケイ酸ナトリウムと鉱酸(通常は硫酸)との中和反応により合成される。湿式シリカの製法としては、比較的高温、アルカリ性のpH領域で中和反応させ、シリカ一次粒子の成長が早く進行し、一次粒子が凝集し沈降して得られる沈降法、および、中和反応を酸性のpH領域で進行させ、一次粒子の成長を抑えた状態で凝集させて得られるゲル法、が挙げられるが、(A)成分への分散性の点から、沈降法シリカが好ましい。
湿式シリカの表面処理剤としては、前記疎水性ヒュームドシリカの表面処理剤として記載した、前述の各化合物が挙げられる。
(C)成分は、平均粒子径が5〜500nmであることが必須であるが、6〜100nmが好ましく、7〜50nmがより好ましく、8〜30nmが更に好ましく、10〜20nmが特に好ましい。平均粒子径が5nm未満では硬化性樹脂組成物の粘度が高く作業性が低下する場合がある。平均粒子径が500nmよりも大きいと、得られる硬化物の引張強度や弾性率が低下する場合がある。なお、平均粒子径は、電子顕微鏡観察による直接的方法により、求めることができる。
(C)成分の比表面積(BET吸着法による)は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは30〜500m/g、更に好ましくは50〜300m/gが好ましい。なお、BET吸着法とは、粉体粒子表面に吸着占有面積のわかった不活性気体分子を液体窒素の温度で物理吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法である。
(C)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、1〜100質量部であり、2〜70質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましく、5〜40質量部が更に好ましく、7〜20質量部が特に好ましい。1質量部未満では、チクソ性付与効果が十分ではない場合があり、100質量部より多いと、硬化性組成物が高粘度となり、取り扱い難くなる場合がある。
(C)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
<(C)成分以外の充填材>
本発明では、本発明の効果を低下させない程度に、(C)成分以外の充填材を含むことができる。
充填材の具体例としては、ドロマイトおよびカーボンブラックの如き補強性充填材;膠質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華等が挙げられる。
<エポキシ樹脂硬化剤(D)>
本発明では、必要に応じてエポキシ樹脂硬化剤(D)を使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を仮に一成分型接着剤として使用する場合、80℃以上、好ましくは140℃以上の温度まで加熱すると接着剤が急速に硬化するように(D)成分を選択するのが好ましい。逆に、室温(約22℃)や少なくとも50℃までの温度では硬化するとしても非常にゆっくりとなるよう、(D)成分および後述の(E)成分を選択するのが好ましい。
(D)成分としては、例えば、三塩化ホウ素/アミン錯体、三フッ化ホウ素/アミン錯体、ジシアンジアミド、メラミン、ジアリルメラミン、グアナミン(例えば、アセトグアナミンおよびベンゾグアナミン)、アミノトリアゾール(例えば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール)、ヒドラジド(例えば、アジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド)、シアノアセトアミド、並びに、芳香族ポリアミン(例えば、ジアミノジフェニルスルホン)が挙げられる。ジシアンジアミド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを用いるのがより好ましく、ジシアンジアミドが特に好ましい。
上記硬化剤の中でも、潜在性エポキシ硬化剤は、本発明の硬化性樹脂組成物を一液化できるため好ましい。
(D)成分は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
(D)成分は、組成物を硬化させるのに十分な量で使用する。典型的には、組成物中に存在するエポキシド基の少なくとも80%を消費するのに十分な硬化剤を供給する。エポキシド基の消費に必要な量を超える大過剰量は、通常必要ない。(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、3〜25質量部が更に好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。1質量部未満では、本願の硬化性樹脂組成物の硬化性が悪くなる場合がある。40質量部より多いと、本願の硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が悪く、取り扱い難くなる場合がある。
<硬化剤促進剤(E)>
本発明では、必要に応じて硬化促進剤(E)を使用することができる。
(E)成分は、エポキシ基と、硬化剤や接着剤の他の成分上のエポキシド反応性基との反応)を促進するための触媒である。
(E)成分としては、尿素類、例えば、p−クロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(Monuron)、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素(Phenuron)、3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(Diuron)、N−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N’,N’−ジメチル尿素(Chlortoluron)、tert−アクリル−またはアルキレンアミン、例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリ(p−ビニルフェノール)マトリックスに組み込まれた2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピペリジンまたはこれらの誘導体、イミダゾール誘導体、一般にC1−C12アルキレンイミダゾールまたはN−アリールイミダゾール、例えば、2−エチル−2−メチルイミダゾールまたはN−ブチルイミダゾール、6−カプロラクタム、等が挙げられる。触媒は封入されていてもよく、あるいは、温度を上げた場合にのみ活性となる潜在的なものでもよい。
(E)成分は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
(E)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が更に好ましく、0.8〜2質量部が特に好ましい。0.1質量部未満では、本願の硬化性樹脂組成物の硬化性が悪くなる場合がある。10質量部より多いと、本願の硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が悪く、取り扱い難くなる場合がある。
<その他の配合成分>
本発明では、必要に応じて、その他の配合成分を使用することができる。その他の配合成分としては、酸化カルシウムなどの脱水剤、顔料や染料等の着色剤、体質顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定化剤(ゲル化防止剤)、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、減粘剤、低収縮剤、有機質充填剤、熱可塑性樹脂、乾燥剤、分散剤等が挙げられる。
<硬化性樹脂組成物の製法>
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分を主成分とする硬化性樹脂組成物中に、ポリマー微粒子(B)を含有する組成物であり、好ましくは、ポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した組成物である。
このような、ポリマー微粒子(B)を1次粒子の状態で分散させた組成物を得る方法は、種々の方法が利用できるが、例えば水性ラテックス状態で得られたポリマー微粒子を(A)成分と接触させた後、水等の不要な成分を除去する方法、ポリマー微粒子を一旦有機溶剤に抽出後に(A)成分と混合してから有機溶剤を除去する方法等が挙げられるが、国際公開WO2005/28546に記載の方法を利用することが好ましい。その具体的な製造方法は、順に、ポリマー微粒子(B)を含有する水性ラテックス(詳細には、乳化重合によってポリマー微粒子を製造した後の反応混合物)を、20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、ポリマー粒子を凝集させる第1工程と、凝集したポリマー微粒子(B)を液相から分離・回収した後、再度有機溶媒と混合して、ポリマー微粒子(B)の有機溶媒溶液を得る第2工程と、有機溶媒溶液をさらに(A)成分と混合した後、前記有機溶媒を留去する第3工程とを含んで調製されることが好ましい。
(A)成分は、23℃で液状であると、前記第3工程が容易となる為、好ましい。「23℃で液状」とは、軟化点が23℃以下であることを意味し、23℃で流動性を示すものである。
上記の工程を経て得た、(A)成分にポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した組成物に、更に(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、及び、前記その他配合成分、の各成分を、必要により更に追加混合する事により、ポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した本発明の硬化性樹脂組成物が得られる。
一方、塩析等の方法により凝固させた後に乾燥させて得た、粉体状のポリマー微粒子(B)は、3本ペイントロールやロールミル、ニーダー等の高い機械的せん断力を有する分散機を用いて、(A)成分中に再分散することが可能である。この際、(A)成分と(B)成分は、高温で機械的せん断力を与えることで、効率良く、(B)成分の分散を可能にする。分散させる際の温度は、50〜200℃が好ましく、70〜170℃がより好ましく、80〜150℃が更に好ましく、90〜120℃が特に好ましい。温度が50℃よりも小さいと、十分に(B)成分が分散しない場合があり、200℃よりも大きいと、(A)成分や(B)成分が熱劣化する場合がある。
<硬化物>
本発明には、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が含まれる。ポリマー微粒子が一次粒子の状態で分散している硬化性樹脂組成物の場合には、これを硬化することによって、ポリマー微粒子が均一に分散した硬化物を容易に得ることができる。また、ポリマー微粒子が膨潤し難く、硬化性樹脂組成物の粘性が低いことから、硬化物を作業性よく得ることができる。
<用途>
本発明の組成物は、取扱い性の点から、一液型の硬化性樹脂組成物であるのが好ましい。
本発明の組成物は、車両や航空機向けの構造用接着剤などの接着剤、塗布型板金補強材、塗料、ガラス繊維との積層用材料、プリント配線基板、電気絶縁材料等の用途に好ましく用いられる。特に、車両用構造接着剤として有用である。
また、本発明の組成物は、組成物のチキソ性が高く、高せん断速度域で比較的低粘度で、低せん断速度域での粘度が高い為、以下の(1)から(4)の順に行う車両部品の製造方法に適する。(1)本発明の硬化性樹脂組成物を、鋼板、アルミニウム板、繊維強化複合材、から成る群から選択される少なくとも1種類の車両用部材に塗布する工程、(2)前記車両用部材を温水シャワーで洗浄する工程、(3)前記車両用部材へ塗装する工程、(4)前記塗装の焼付と同時に前記硬化性樹脂組成物を硬化させる工程。
以下、実施例および比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実施例および比較例において「部」および「%」とあるのは、質量部または質量%を意味する。
評価方法
先ず、実施例および比較例によって製造した硬化性樹脂組成物の評価方法について、以下説明する。
[1]平均粒子径の測定
水性ラテックスに分散しているポリマー粒子の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定した。脱イオン水で希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水、またはメチルエチルケトンの屈折率、およびそれぞれのポリマー粒子の屈折率を入力し、計測時間600秒、Signal Levelが0.6〜0.8の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。 [2]粘度の測定
表1に示す硬化性樹脂組成物の粘度は、B型粘度形(東京計器製、ローターはNo.7)を用いて、23℃の条件下で測定した。
表2と表3に示す硬化性樹脂組成物の粘度は、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV−II+Pro型を用いて測定した。スピンドルCPE−52を使用し、23℃で測定した。
1.コア層の形成
製造例1−1;ポリブタジエンゴムラテックス(R−1)の調製
耐圧重合機中に、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)1.55質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(Bd)100質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.03質量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から3、5、7時間目それぞれに、パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.025質量部を投入した。また、重合開始4、6、8時間目それぞれに、EDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合15時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性コア層を含む水性ラテックス(R−1)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるポリマー微粒子の弾性コア層の体積平均粒子径は90nmであった。
製造例1−2;ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)の調製
耐圧重合機中に、製造例1−1で得たポリブタジエンゴムを主成分とする弾性コア層を含む水性ラテックス(R−1)を固形分で7質量部、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、EDTA0.002質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(Bd)93質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.02質量部、続いてSFS0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から24時間目まで3時間おきに、それぞれ、PHP0.025質量部、及びEDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合30時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性コア層を含む水性ラテックス(R−2)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるポリマー微粒子の弾性コア層の体積平均粒子径は195nmであった。
製造例1−3;ポリオルガノシロキサンゴムラテックス(R−3)の調製
脱イオン水200質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)1.0質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1.0質量部、平均分子量2000の末端ヒドロキシポリジメチルシロキサン97.5質量部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン2.5質量部の混合物をホモミキサーにより10000rpmで5分間撹拌後、高圧ホモジナイザーに500barの圧力下で3回通過させてシロキサンエマルジョンを調製した。このエマルジョンを速やかに温度計、撹拌器、還流冷却器、窒素流入口、モノマーと乳化剤などの副原料の添加装置を有するガラス反応器に一括して投入した。系を撹拌しながら、30℃で反応を開始させた。6時間後、23℃に冷却して20時間放置後、系のpHを炭酸水素ナトリウムで6.8に戻して重合を終了し、ポリオルガノシロキサンゴム粒子を含むラテックス(R−3)を得た。得られたラテックスに含まれるポリオルガノシロキサンゴム粒子の体積平均粒子径は280nmであった。
2.ポリマー微粒子の調製(中間層とシェル層の形成)
製造例2−1;コアシェルポリマーラテックス(L−1)の調製
3Lガラス容器に、製造例1−2で得たラテックス(R−2)1575質量部(ポリブタジエンゴム粒子510質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.024質量部、Fe0.006質量部、SFS1.2質量部を加えた後、グラフトモノマー(スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)40質量部、およびクメンヒドロパーオキサイド(CHP)0.3質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマーのラテックス(L−1)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は200nmであった。
製造例2−2;コアシェルポリマーラテックス(L−2)の調製
製造例2−1において、グラフトモノマーとして<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)40質量部>の代わりに<グリシジルメタクリレート(GMA)40質量部、メチルメタクリレート(MMA)50質量部>を用いたこと以外は製造例2−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−2)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は200nmであった。
製造例2−3;コアシェルポリマーラテックス(L−3)の調製
製造例2−1において、グラフトモノマーとして<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)40質量部>の代わりに<メチルメタクリレート(MMA)90質量部>を用いたこと以外は製造例2−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−3)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は200nmであった。
製造例2−4;コアシェルポリマーラテックス(L−4)の調製
3Lガラス容器に、製造例1−3で得たラテックス(R−3)1575質量部(ポリオルガノシロキサンゴム粒子510質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.024質量部、Fe0.006質量部、SFS1.2質量部を加えた後、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)12質量部を一括添加した。続いてt−ブチルハイドロパーオキサイド(TBP)0.04質量部を投入し重合を開始した。1時間撹拌を続けた後、グラフトモノマー(スチレン(ST)26質量部、アクリロニトリル(AN)16質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)36質量部、およびクメンヒドロパーオキサイド(CHP)0.3質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマーのラテックス(L−4)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は300nmであった。
製造例2−5;コアシェルポリマーラテックス(L−5)の調製
製造例2−1において、ポリブタジエンゴムラテックスとして<製造例1−2で得たラテックス(R−2)1575質量部(ポリブタジエンゴム粒子510質量部相当)>の代わりに<製造例1−1で得たラテックス(R−1)1575質量部(ポリブタジエンゴム粒子510質量部相当)>を用いたこと以外は製造例2−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−5)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は100nmであった。
3.硬化性樹脂中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物の調製
製造例3−1〜3−5;分散物(M−1〜M−5)の調製
25℃の1L混合槽にメチルエチルケトン(MEK)132gを導入し、撹拌しながら、それぞれ前記製造例2−1〜2−5で得られたコアシェルポリマーの水性ラテックス(L−1〜L−5)を132g(ポリマー微粒子40g相当)投入した。均一に混合後、水200gを80g/分の供給速度で投入した。供給終了後、速やかに撹拌を停止したところ、浮上性の凝集体および有機溶媒を一部含む水相からなるスラリー液を得た。次に、一部の水相を含む凝集体を残し、水相360gを槽下部の払い出し口より排出させた。得られた凝集体にMEK90gを追加して均一に混合し、コアシェルポリマーを均一に分散した分散体を得た。この分散体に、(A)成分であるエポキシ樹脂(A−1:三菱化学社製、JER828EL)80gを混合した。この混合物から、回転式の蒸発装置で、MEKを除去した。このようにして、エポキシ樹脂にポリマー微粒子が分散した分散物(M−1〜M−5)を得た。
(実施例1〜6、比較例1〜6)
表1に示す処方にしたがって、(A)成分であるエポキシ樹脂(A−1)、前記製造例3−1〜3−5で得られた分散物(M−1〜M−5)、(C)成分である無機充填材、(C)成分以外の各種無機充填材、反応性希釈剤、(D)成分であるエポキシ硬化剤、(E)成分である硬化促進剤、をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。
<チクソ性>
この硬化性樹脂組成物を、B型粘度形(東京計器製、ローターはNo.7)を用いて、23℃の条件下で、2rpmと10rpmの回転数での粘度を測定した。チクソ性は、『2rpmでの粘度/10rpmでの粘度』から評価した。この値が大きいほど、チクソ性が良いことを表す。試験結果を表1に示す。
<T字剥離接着強さ>
硬化性樹脂組成物を、寸法:25×200×0.5mmの2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、JIS K6854に従って、T字剥離接着強さを測定した。試験結果を表1に示す。
なお、表1中の各種配合剤は、以下に示すものを使用した。
<無機充填材(C)>
≪ヒュームドシリカ≫
Aerosil R202(EVONIK製、ポリジメチルシロキサンで表面処理されたヒュームドシリカ、平均粒子径:14nm、比表面積:100m/g)、
Aerosil R972(EVONIK製、ジメチルジクロロシランで表面処理されたヒュームドシリカ、平均粒子径:16nm、比表面積:110m/g)、
<(C)成分以外の無機充填材>
≪結晶性シリカ≫
クリスタライト5X(龍森製、平均粒子径:1μm)
≪溶融シリカ≫
ヒューズレックスE1(龍森製、平均粒子径:11μm)
≪膠質炭酸カルシウム≫
白艶華CCR(白石工業製、飽和脂肪酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム、平均粒子径:80nm)
≪重質炭酸カルシウム≫
ホワイトンSB赤(白石カルシウム製、無処理重質炭酸カルシウム、平均粒子径:1.8μm)
≪酸化カルシウム≫
CML#31(近江化学工業製)
≪カーボンブラック≫
MONARCH 280(Cabot製)
<反応性希釈剤>
Cardula E10P(Momentive製、バーサチック酸グリシジルエステル)
Figure 2015078280
表1から、本発明の硬化性樹脂組成物は、チクソ性が高く、かつ、剥離接着性に優れることが判る。
製造例4;肥大ポリブタジエン系コアシェルゴムの調整
<ポリブタジエンゴムラテックス(R−4)の調製>
100リットル耐圧重合器中に、水200質量部、過硫酸カリウム0.2質量部、t−ドデシルメルカプタン0.2質量部を入れて撹拌し、充分にチッ素置換を行なって酸素を除いたのち、オレイン酸ナトリウム1質量部、ロジン酸ナトリウム2質量部およびブタジエン100質量部を系中に投入し、60℃に昇温して重合を開始した。重合は12時間で修了した。転化率は96%、ゴムラテックス(R−4)の平均粒径は70nmであった。
<酸基含有ラテックスの調製>
8リットル重合器に、水200質量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.5質量部を入れ、撹拌下でチッ素を流しながら70℃に昇温した。ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3質量部、硫酸第一鉄0.0025質量部、エチレンジアミン四酢酸0.01質量部を添加し、数分後にメタクリル酸ブチル2質量部、アクリル酸ブチル23質量部、メタクリル酸2質量部、t−ドデシルメルカプタン0.125質量部、クメンハイドロパーオキサイド0.025質量部の混合物を定量ポンプを用い、20質量部/時の速度で連続的に滴下した。前記混合物追加後、さらにメタクリル酸ブチル58質量部、アクリル酸ブチル2質量部、メタクリル酸13質量部、t−ドデシルメルカプタン0.3質量部、クメンハイドロパーオキサイド0.08質量部の混合物を同様に20質量部/時の速度で滴下し、滴下終了後1.5時間後に重合を終了した。転化率は99.7%、平均粒径は120nm、濃度は33%、pHは2.8であった。
<ポリブタジエン肥大ゴムラテックス(R−5)の調製>
8リットル重合器中に、前記で得たポリブタジエンゴムラテックス(R−4)100質量部(固形分換算)、水20質量部を入れ、撹拌下でチッ素を流しながら60℃まで昇温した。水酸化ナトリウム0.1質量部、前記で得た酸基含有ラテックス3質量部(固形分換算)を添加し、1時間撹拌を続け、ポリブタジエンを肥大させた。水200質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4質量部を入れ、さらに30分間撹拌して肥大を終了させた。平均粒径460nmのポリブタジエン肥大ゴムのラテックス(R−5)がえられた。
<ポリブタジエン肥大ゴムのグラフト共重合>
8リットル重合器中に、前記で得たポリブタジエン肥大ゴムラテックス(R−5)70質量部(固形分換算)を仕込み、撹拌下でチッ素を流しながら60℃まで昇温した。ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.18質量部、硫酸第一鉄0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸0.004質量部を添加し、グラフトモノマー混合物<スチレン(ST)8質量部、メチルメタクリレート(MMA)22質量部>にt−ブチルハイドロパーオキサイド0.2質量部を添加し、定量ポンプを用い、10質量部/時の速度で連続的に滴下した。単量体混合物の追加中にラテックスの安定性を保つ目的でジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.2質量部を1時間おきに4回加えた。単量体混合物の追加終了後さらに1時間撹拌をつづけて重合を完了させた。重合転化率は96%、ラテックスの平均粒径は560nmであった。ラテックスにジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート(DLTP)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を各0.5質量部添加後、塩化カルシウム5質量部を添加して塩析させ、90℃で加熱処理後、脱水乾燥させて、コアシェルポリマーの樹脂粉末(CS−1)を得た。
製造例5;アクリル酸エステル系コアシェルゴムの調整
アクリル酸ブチル10質量部に、メタクリル酸アリル0.06質量部、メタクリル酸ステアリル0.1質量部、ラウロイルパーオキサイド0.24質量部を混合し得られた混合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むイオン交換水と混合し、特殊機化工業社製のT.K.ロボミックスを用いて10000rpmで10分間処理して乳化液を調整した。得た乳化液を攪拌機付き8L重合器に仕込み、純水、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加し、撹拌下でチッ素を流しながら65℃まで昇温して30分間重合し、体積平均粒子径が2.9μmのシード粒子を得た。
その後、シード粒子に対しアクリル酸ブチル90質量部、メタクリル酸アリル0.48質量部からなる混合物を20質量部/時間の速度で連続的に滴下し、さらに1時間重合を継続し、体積平均粒子径が5.5μmのポリアクリル酸エステルの粒子を含むラテックスを得た。
このラテックス90質量部(固形分換算)を攪拌機付き8L重合器に仕込み、撹拌下でチッ素を流しながら70℃まで昇温した後、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム塩、硫酸第一鉄、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、メチルセルロースを加え、30分撹拌した。その後メタクリル酸メチル9.5質量部、アクリル酸ブチル0.5質量部、t−ブチルヒドロペルオキシドからなる混合物を20質量部/時間の速度で連続的に滴下し、さらに1時間重合を継続し、ポリアクリル酸エステルのコアを有するコアシェル粒子のラテックス得た。ラテックスの体積平均粒子径は6μmであった。得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥してポリアクリル酸エステルコアを有するコアシェルポリマーの樹脂粉末(CS−2)を得た。
製造例6−1〜6−2;硬化性樹脂中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物(M−6〜M−7)の調製
(A)成分であるエポキシ樹脂(A−1)75gと製造例4−4または製造例5で得られたコアシェルポリマーの樹脂粉末(CS−1またはCS−2)25gを混合し、100℃に加熱した後、3本ロールミルで分散させ、エポキシ樹脂にポリマー微粒子が分散した分散物(M−6またはM−7)を得た。
(実施例7〜8、比較例7〜8)
表2に示す処方にしたがって、(A)成分であるエポキシ樹脂(A−1)、前記製造例6−1、6−2、3−5で得られた分散物(M−6、M−7、M−5)、(C)成分である無機充填材、(C)成分以外の各種無機充填材、反応性希釈剤、(D)成分であるエポキシ硬化剤、(E)成分である硬化促進剤、をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。
なお、表2では、硬化促進剤として、Ancamine 2014FG(Air Products製、変性アミン類)を使用した。
<チクソ性>
この硬化性樹脂組成物を、コーンプレート型粘度形(BROOKFIELD社製、スピンドルCPE−52)を用いて、23℃の条件下で、Shear Rate(ずり速度)が2(s−1)と10(s−1)での粘度を測定した。チクソ性は、『2(s−1)での粘度/10(s−1)での粘度』から評価した。この値が大きいほど、チクソ性が良いことを表す。試験結果を表2に示す。
<T字剥離接着強さ>
硬化性樹脂組成物を、寸法:25×200×0.5mmの2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、JIS K6854に従って、23℃でのT字剥離接着強さを測定した。試験結果を表2に示す。
Figure 2015078280
表2から、本発明の硬化性樹脂組成物は、チクソ性が高く、かつ、剥離接着性に優れることが判る。

Claims (19)

  1. エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、ポリマー微粒子(B)1〜100質量部、無機充填材(C)0.1〜100質量部、を含有する硬化性樹脂組成物であって、
    (B)成分が、体積平均粒子径が150nm以上20,000nm未満であるポリマー微粒子(B1)であり、かつ、
    (C)成分が、平均粒子径が5〜500nmであるケイ酸および/またはケイ酸塩であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. (B)成分が該硬化性樹脂組成物中で1次粒子の状態で分散していることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 体積平均粒子径が10nm以上150nm未満であるポリマー微粒子(B2)を更に含有し、(B2)成分の質量(W2)と(B1)成分の質量(W1)の比(W2/W1)が、0.01〜2であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 体積平均粒子径が10nm以上150nm未満であるポリマー微粒子(B2)を実質的に含有しない事を特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. (B1)成分の体積平均粒子径が200nm以上7,000nm未満である請求項1から4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  6. (B1)成分の質量(W1)と硬化性樹脂組成物の全質量(W)の比(W1/W)が、0.01〜0.49であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  7. (B1)成分が、コアシェル構造を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  8. (B1)成分が、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴム、及びオルガノシロキサン系ゴムよりなる群から選択される1種以上のコア層を有することを特徴とする請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記ジエン系ゴムが、ブタジエンゴム、および/または、ブタジエン−スチレンゴムであることを特徴とする請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. (B1)成分が、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアンモノマー、(メタ)アクリレートモノマー、よりなる群から選択される1種以上のモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  11. (A)成分100質量部に対して、更に、エポキシ硬化剤(D)1〜40質量部を含有する事を特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  12. (A)成分100質量部に対して、更に、硬化促進剤(E)0.1〜10質量部を含有する事を特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  13. (C)成分が、乾式シリカ、湿式シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、から成る群から選択される少なくとも1種類の無機充填材である請求項1から12のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  14. (D)成分が、ジシアンジアミドである請求項11から13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  15. 請求項1から14のいずれかにに記載の一液型硬化性樹脂組成物。
  16. 請求項1から15のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  17. 請求項1から15のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる構造接着剤。
  18. 請求項1から15のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる塗布型板金補強材。
  19. (B)成分を含有する水性ラテックスを、20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、(B)成分を凝集させる第1工程と、凝集した(B)成分を液相から分離・回収した後、再度有機溶媒と混合して、(B)成分の有機溶媒溶液を得る第2工程と、前記有機溶媒溶液をさらに(A)成分と混合した後、前記有機溶媒を留去する第3工程とを含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。

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