JP2018178064A - アクリル系接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
アクリル系接着剤は、短時間で接着強度が発現すること、各成分の混合比率の許容範囲が広いこと、低温での硬化が速いことなどの利点を有することから、構造用接着剤として利用され、その需要も拡大している。
構造用接着剤には、靭性を付与するために、コアシェルゴムのようなポリマー微粒子が改質剤として利用されることが多い。この微粒子はアクリル系接着剤組成物中の分散性が悪く、その機能が効率的に発現していないという難点があった。この問題は、特許文献1によって解決され、ビニルモノマー中にポリマー微粒子が一次粒子の状態で分散したビニルモノマー組成物と、その強度改善効果が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載のビニルモノマー組成物を用いて、接着剤とした場合に、剥離接着強度が不十分であるという課題を有することが判明した。
[1]ビニルモノマー(A)、体積平均粒子径が0.05〜1μmのポリマー微粒子(B)、リン酸基含有ビニルモノマー(C)、を含むアクリル系接着剤組成物であって、 ポリマー微粒子(B)がビニルモノマー(A)中で一次分散していることを特徴とするアクリル系接着剤組成物に関する。
[2]さらに本発明は、リン酸基含有ビニルモノマー(C)が、一般式1で示される化合物である[1]に記載のアクリル系接着剤組成物に関する。
(一般式1中、R1は、水素またはメチル基であり、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基である)
[3]さらに本発明は、エラストマー(D)を含む[1]あるいは[2]に記載のアクリル系接着剤組成物に関する。
[4]さらに本発明は、エラストマー(D)が、ポリクロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレンおよびブタジエン−アクリロニトリル共重合体からなる群より選ばれる1種以上である[3]に記載のアクリル系接着剤組成物に関する。
[5]さらに本発明は、エポキシ樹脂(E)を含む[1]〜[4]のいずれかに記載のアクリル系接着剤組成物に関する。
[6]さらに本発明は、[1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系接着剤組成物を用いた接着剤に関する。
[7]さらに本発明は、[6]に記載の接着剤であり、T型剥離接着強度が2.0N/mm以上であることを特徴とする接着剤に関する。
本発明のアクリル系接着剤組成物は、ビニルモノマー(A)体積平均粒子径が0.05〜1μmのポリマー微粒子(B)リン酸基含有ビニルモノマー(C)を含むアクリル系接着剤組成物であって、ポリマー微粒子(B)がビニルモノマー(A)中で一次粒子の状態で分散しているアクリル系接着剤組成物に関する。
酸性基は、リン酸基、カルボン酸基やスルホン酸基などの酸性基があるが、本発明は、それら酸性基のうちのリン酸基に着目し、リン酸基含有ビニルモノマーを使用することで、接着剤の剥離接着強度が改善することを見出したものである。
また、本発明のアクリル系接着剤組成物は、エラストマー(D)、エポキシ樹脂(E)、ラジカル重合開始剤(F)、助触媒や硬化促進剤を含んでもよい。
また、本発明の硬化物は、このような本発明のアクリル系接着剤組成物を硬化してなる硬化物であって、ポリマー微粒子(B)が、ビニルモノマー(A)、又はそれを含むマトリックス樹脂中に、一次粒子の状態で分散しているので、接着層となる硬化物自体が破壊される際に、進展するクラックがより多くのゴム粒子とぶつかる確立が高くなることに加え、せん断降伏やクレーズなどのより多くのエネルギーを吸収する変形が起き易くなるため、高い剥離接着強度を示す。
本発明の(A)ビニルモノマーは、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸とアルコールのエステル化合物が使用できる。
本発明のビニルモノマー(A)は、炭素数3以上のアルコールと(メタ)アクリル酸から合成される(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、からなる群から選ばれる1種以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50重量%以上含むことがとすることが好ましい。
本発明のポリマー微粒子(B)は、1層からなる粒子、あるいは、内側のコア層、及び外側のシェル層の少なくとも2層を含むコアシェル型構造のポリマー微粒子である。本発明のポリマー微粒子(B)は、コアシェル型構造のポリマー微粒子であることが好ましい。本発明のポリマー微粒子(B)は、コア層の存在下に、グラフト共重合可能なモノマー成分をグラフト重合してシェル層を形成したポリマー微粒子であることがより好ましい。
本発明のポリマー微粒子(B)の体積平均粒子径は、0.05〜1μmである。
また、ポリマー微粒子(B)は、ビニルモノマー(A)の中に、一次粒子で分散している。また、ポリマー微粒子(B)は、ビニルモノマー(A)に溶解していない。さらに、ポリマー微粒子(B)は、その良溶剤とされる溶媒に対しても膨潤することはあっても溶解して微粒子の形態を失うことはないように、架橋構造を有するポリマーとすることが好ましい。ポリマー微粒子(B)が、ビニルモノマー(A)の連続層中に、一次粒子の状態で分散していることは、分散粒子径を測定することにより確認できる。例えば、透過型顕微鏡や、光散乱を利用した粒子径測定装置により分散粒子径が測定できる。
ポリマー微粒子(B)の量は、剥離接着強度の観点から、ビニルモノマー(A)100重量部に対し、0.1〜45重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましく、3〜10重量部が特に好ましい。
コア層とシェル層の重量比率は、30/70〜99/1の範囲であることが好ましく、60/40〜90/10がより好ましく、70/30〜88/12が特に好ましい。
コア層の重量比率30より低くなると、組成物の粘度が高くなるため、好ましくない。
また、シェル層の重量比率が99より高くなると、組成物中にてポリマー微粒子が凝集しやすくなる場合があるため、好ましくない。
コア層は、ゴム状重合体からなり、組成物の靭性を向上させる。また、コア層は、単層構造でも、多層構造でもよい。コア層が多層構造の場合、各層のポリマー組成が同じでも、相違していてもよい。
コア層は、架橋構造を有していることが好ましい。架橋構造を有するコア層は、ビニルモノマー(A)成分あるいは溶媒に溶解しない。
コア層のガラス転移温度は、組成物の靱性を向上させる観点から、0℃未満が好ましく、−20℃以下がより好ましく、−45℃以下が特に好ましい。
コア層の体積平均粒子径は、0.05〜1μmが好ましく、0.05〜0.6μmがより好ましい。上述したようにコア部分は前記ビニルモノマー(A)に好ましくは不溶なので、その場合、本発明の組成物の硬化物を、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を使って観察すれば、容易にコア部分の粒子径を確認できる。
コア層は、以下の単量体を重合した重合体からなる。単量体としては、共役ジエン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体シリコーン系単量体、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアン系モノマーが挙げられる。上記単量体は併用複合化してもよい。上記単量体のうち、靭性付与の観点から、共役ジエン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましく、共役ジエン系単量体が特に好ましい。
コア層への架橋構造の導入方法としては、例えば、コア層の重合時に、多官能性単量体を添加する方法が挙げられる。
ポリマー微粒子(B)のゲル含量は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
ゲル含量とは、トルエン不溶分とトルエン可溶分100重量%に対する、トルエン不溶分の重量比率である。具体的な測定方法としては、まず、ポリマー微粒子約1.2gをトルエン100gに浸漬し、23℃で24時間静置する。不溶分と可溶分を濾別し、乾燥する。乾燥後の不溶分と乾燥後の可溶分の重量を測定し、不溶分の重量比率を算出する。
多官能性単量体は、例えば、アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレート等のアリルアルキル(メタ)アクリレート類;ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンが挙げられる。なお、本発明の多官能性単量体には、ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエン系単量体を含めない。
シェル層は、ポリマー微粒子(B)とビニルモノマー(A)との相溶性が向上するよう設計され、組成物中にポリマー微粒子(B)が一次粒子の状態で分散するための役割を担う。
シェル層は、以下の単量体を重合した重合体からなる。ポリマー微粒子の相溶性や一次分散性の観点からは、
シェル層を形成する単量体は、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、多官能性単量体、(メタ)アクリルアミド系モノマー、アリルエステルモノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーである。
アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートである。
芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレンである。
ビニルシアン単量体は、例えば、アクリロニトリルである。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、2−メトキシエチル、4−メトキシブチル、2−エトキシエチル、テトラヒドロフルフリル、2−フェノキシエチルである。
多官能性単量体は、例えば、アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレート等のアリルアルキル(メタ)アクリレート類;ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンである。
(メタ)アクリルアミド系モノマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドである。
アリルエステルモノマーは、例えば、フタル酸ジアリルである。
N−ビニルピロリドン系モノマーは、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムである。
本発明のリン酸基含有ビニルモノマー(C)は、(メタ)アクリル基とリン酸基を同一分子内に有する化合物である。例えば、本発明のリン酸基含有ビニルモノマー(C)は、2価以上のアルコールに、リン酸と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られる。
リン酸基とは、リン酸、ホスホン酸、またはホスフィン酸のモノエステルまたはジエステルである。
リン酸基含有モノマー(C)を用いることにより、本発明の組成物を用いた接着剤の剥離接着強度を高めることができる。
(一般式1中、R1は、水素またはメチル基であり、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基である)
(一般式2中、R1、R4は、水素またはメチル基であり、R2、R3は、炭素数1〜10の炭化水素基である)
リン酸基含有ビニルモノマー(C)の量は、剥離接着強度の観点から、ビニルモノマー(A)100重量部に対し、1〜10重量部が好ましく、2〜8重量部がより好ましく、3〜5重量部が特に好ましい。
本発明の組成物には、さらに、エラストマー(D)を含有してもよい。エラストマー(D)としては、例えば、クロロスルホン化ポリエチレン、ブタジエン系ポリマー、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、エチレンとアクリル酸エステルの共重合体、及びエピクロロヒドリンゴムである。剥離接着強度や取扱い易さの観点から、ポリクロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。
ポリクロロプレンは、高結晶性であり、溶媒に溶解しやすいものが好ましい。ポリクロロプレンは比較的低粘度のものが好ましく、その粘度の測定には、ポリクロロプレン溶液を使用してもよい。5重量%のポリクロロプレンを溶解したトルエン溶液の25℃における粘度は、5〜200mPa・sが好ましく、10〜150mPa・sがより好ましく、25〜115mPa・sが更に好ましく、25〜80mPa・sが特に好ましい。例えば、デュポンエラストマー株式会社の製品であるNeoprene AD−10、AD−20(登録商標)やデンカ株式会社のデンカクロロプレン A−91やA−30である。
ブタジエン系ポリマーは、例えば、ブタジエン−スチレンコポリマー(ランダム共重合体、ブロック共重合体やグラフト共重合体を含む)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリルエステルブタジエンゴム(ブタジエンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体)がである。中でも、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(NBR)は、ビニルモノマー(A)へ溶解しやすいことから、好ましくい。ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(NBR)のアクリロニトリル含量は、5〜45重量%が好ましい。
エラストマー(D)の量は、剥離接着強度の観点から、ビニルモノマー(A)100重量部に対し、1〜40重量部が好ましく、5〜30重量部がより好ましく、15〜25重量部が特に好ましい。
本発明の組成物には、さらに、エポキシ樹脂(E)を含有してもよい。組成物にエポキシ樹脂(E)を添加することにより、架橋構造により組成物の硬さを調節すること、エポキシ基が開環することで生じる水酸基により金属との接着性を向上すること、ポリマー凝集力向上させること、希釈剤として粘度を低下させることなどができる。
エポキシ樹脂(E)は、例えば、ビスフェノール−Aやビスフェノール−F型グリシジルエーテル;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸エステルや3,4エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸エステルのような脂環式エポキシ化合物、及びそれらの組み合わせ等が挙げられる。例えば、Hexion Specialty Chemicals社のEpon828やダウ・ケミカル社のDER331として市販されているビスフェノールA型エポキシ樹脂や、Hexion Specialty Chemicals社のEpon862やEpon863として市販されているビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
本発明ラジカル重合開始剤(F)としては、有機過酸化物、、光線・電子線・熱によりフリーラジカルを発生可能な化合物を用いることができる。
ラジカル重合開始剤(F)は、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物である。その中でもより好ましくは、クメンハイドロパーオキシド、過酸化ベンゾイルである。
本発明の組成物は、さらに、助触媒を含んでもよい。助触媒は、ラジカル重合開始剤に作用してラジカルを発生させ、所定の時間で本発明の接着剤を硬化せしめるための添加剤である。助触媒は、例えば、N,N−ジメチルアニリンや、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルトルイジン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、更には、ブチルアルデヒド−アニリン、ブチルアルデヒド−ブチルアミンのような、アルデヒドとアミンの反応生成物等が好ましく例示される。ブチルアルデヒド−アニリンの反応生成物は工業的に生産され入手可能であり、好ましくは、ノクセラー8(登録商標)(大内新興化学製)、VANAX808(登録商標)(R.T. Vanderbilt社製)、Reilly PDHP(登録商標)(Vertellus Specialty Chemicals社製)などが例示できる。
本発明の組成物は、さらに、硬化促進剤を含んでもよい。
硬化促進剤は、ラジカル重合開始剤の分解反応の触媒として作用する添加剤である。
硬化促進剤は、例えば、ナフテン酸コバルトやナフテン酸鉄、オクタン酸銅、ヘキサン酸鉄、銅アセチルアセトン等のコバルトや鉄、銅、錫、鉛等の金属塩である。
硬化促進剤の量は、前記ビニルモノマー(A)100重量部に対して、0.00001〜1重量部用いることが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、1液型でも、2液型でもよく、長期間にわたり保存したときに粘度が上昇しにくい、つまり貯蔵安定性の観点から、2液型が好ましい。
2液のうちB液は、アクティベーター側であり、ラジカル重合開始剤の構成成分であるフリーラジカルの発生剤か、もしくはフリーラジカルの発生を促進させる成分の何れかを含んでなる。有機過酸化物はフリーラジカルの発生剤に含まれるが、これは、フリーラジカルの発生を促進させる成分として含まれる助触媒や硬化促進剤(プロモーター)とは、同じ側に含まれない(配合しない)。
2液のうち、A液は、接着側という。ビニルモノマー(A)、ポリマー微粒子(B)は、A液・B液いずれかあるいは両方に含むことができる。
このようにした本発明の接着剤組成物は、使用する直前に、両構成成分を混ぜ合わせて、接着される基材に塗布することで使用できる。或いは、接着される基材のうち、片方にアクティベーター側を塗布し、接着側を基材の他方に塗布して、両者を貼り合せれば、接着面で2液が接触するので硬化が開始し、接着剤として使用できる。
接着側とアクティベーター側は、重量比率で、接着側:アクティベーター側=20:1〜1:20の割合で混合するように調製することが好ましく、10:1〜0.8:1.2の割合がさらに好ましい。
本発明の接着剤組成物には、更に必要に応じて、空気と接触する界面部分での酸素による硬化阻害を避ける目的で、ワックスやパラフィン類を添加することも可能である。更に充填剤、着色剤、増量剤、チキソトロピー付与剤、有機溶剤、水、シランカップリング剤などのカップリング剤類、酸化防止剤、光開始剤、光増刊剤、等を添加して用いることも可能である。
本発明の接着剤組成物を用いて得られる接着剤のT型剥離接着強度は、1.0N/mmであることがより好ましく、2.0N/mm以上であることがより好ましい。
(A1)テトラヒドロフルフリルメタクリレート(昭栄薬品(株)社製、ライトエステルTHF(1000))
(B1)製造例1に記載
(C1)東邦化学製PPME(65重量% 2−メタクリロキシエチルリン酸エステル)
(D1)ポリクロロプレン(デンカ製クロロプレンA−91(登録商標))
(D2)ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(NBR)(日本ゼオン社製、Nipol DN401(登録商標)、アクリロニトリル含量18wt%)
(E1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂;Hexion Specialty Chemicals社製 EPON828
(F1)過酸化ベンゾイル(ジシクロへキシルフタレート50%含有)
可塑剤;フタル酸ジオクチル
助触媒;N,N−ジメチルトルイジン
増粘剤;ブロックコポリマー(スチレンーエチレン/ブチレンースチレン)(Kratonポリマー製Kraton G1652M(登録商標))
ポリマー微粒子(B)の体積平均粒子径を、粒子径測定装置(堀場製作所(株)製Particle size analyzer LB−550)で測定した。
接着剤組成物の硬化物を、RuO4で染色し、透過型電子顕微鏡によって観察することで、その粒子径と分散状態を確認することができる。
JIS−K6854−3に記載の方法に準拠し、25×200mm×0.6mm厚みのJIS G3141に規定のSPCC−SD鋼板2枚を使用し、片方の板の表面に25mm幅×15mmの範囲で塗布して接着面を作り、100μmの接着層厚みで両方の板を張り合わせ、接着試験片を調製した後、室温で168時間以上放置して硬化したサンプルにつき、その後接着強度を、試験時の歪み速度を100mm/min.として測定した。
(ポリマー微粒子(B1)を含む水性ラテックスの作製)
100L耐圧重合機中に、水200重量部、リン酸三カリウム0.0300重量部、リン酸二水素カリウム0.250重量部、エチレンジアミン4酢酸0.00200重量部、硫酸第一鉄0.00100重量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.00重量部を投入し、攪拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン100重量部を投入し、45℃に昇温した。その温度を維持しながらそこに、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.0150重量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.0400重量部を投入し重合を開始した。重合開始から4時間目に、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.0100重量部、エチレンジアミン四酢酸0.00150重量部、及び硫酸第一鉄0.00100重量部を投入した。重合10時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去し、重合を終了した。重合転化率は98.0%であった。このようにしてポリマー微粒子のコア層となる、34.0重量%のポリブタジエンゴムを含む水性ラテックスを得た。
重合転化率は、98.0%であった。この水性ラテックス状態のポリマー微粒子(B1)の一部をとって水で希釈し、粒子径測定装置(堀場製作所(株)製Particle size analyzer LB−550)で体積平均粒子径を測定したところ、0.2μmであり、粒子径分布はシャープな単分散であった。
ポリマー微粒子(B1)を含む水性ラテックス100重量部に(ポリマー微粒子の濃度は、34.0重量%である)、酢酸メチル108重量部を加え攪拌した後、更に171重量部の水を加えてポリマー微粒子(B1)を再沈させた。再沈物から液相を分離後、この再沈物に83.0重量部の酢酸メチルを加え室温で90分間攪拌し、更に(A1)テトラヒドロフルフリルメタクリレート79重量部を混合した後、酢酸メチルを減圧下で留去することで、テトラヒドロフルフリルメタクリレート中にポリマー微粒子(B1)が30.0重量%のポリマー微粒子(B)が分散した組成物(X1)を得た。
製造例1の組成物(X1)を3.10gと、追加のテトラヒドロフルフリルメタクリレート(A1)1.36gからなる混合物に、ポリクロロプレン(D1)(デンカ製、デンカクロロプレンA−91(登録商標))を0.540g添加して24時間放置後、攪拌混合して均一な混合物を得た。
ここに、(C)リン酸基含有ビニルモノマーとして、(C1)東邦化学工業製PPME(65重量% 2−メタクリロキシエチルリン酸エステル)0.125g及び、助触媒であるN,N−ジメチルトルイジン0.0350gを添加し攪拌した後、本発明の接着剤組成物として、2液アクリル系接着剤のA液を得た。
実施例1で用いた、ポリクロロプレン(D1)に替えて、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(NBR)(日本ゼオン社製、Nipol DN401(登録商標))、アクリロニトリル含量18wt%)(D2)を0.540g加えた。その他は実施例1と同様にして接着剤組成物を調製し、着試験片を作成した。T型剥離接着強度を測定したところ、2.79N/mmであった。
比較例1および2として、上記実施例1および2で用いた、リン酸基含有ビニルモノマー(C1)0.125gの代わりにメタクリル酸(C2)を0.125g加えた他は、実施例1および2と同様の手順で接着剤組成物を調製し、試験片を作成した。T型剥離接着強度を測定したところ、それぞれ、0.834N/mm、0.311N/mmであり、実施例1および2と比較し、著しく低い値を示した。
実施例3および4では、ポリマー微粒子(B)やエラストマー(D)の量を変化させた配合の接着強度を示す。実施例1および2では、ビニルモノマー(A)100重量部に対し、ポリマー微粒子(B)が26.3重量部、リン酸基含有ビニルモノマー(C)を3.54重量部、エラストマー(D)を15.3重量部、含む配合である。一方、実施例3および4では、実施例1,2と比較し、ポリマー微粒子(B)の重量部を減じ、(19.1重量部)、リン酸基含有ビニルモノマーの量を増し(7.08重量部)、エラストマー(D)の量も増した(22.5重量部)配合である。実施例3および4の配合においても実施例1および2と同様に、T型剥離接着強度が高く、それぞれ2.59N/mm、3.46N/mmであった。
比較例3および4では、上記実施例3および4で加えたリン酸基含有ビニルモノマー(C1)7.08重量部の代わりにメタクリル酸(C2)を7.08重量部加えた。その他は実施例1および2と全く同じ手順で接着剤組成物を調製し、T型剥離接着強度を測定したところ、それぞれ、1.46N/mm、0.687N/mmであり、リン酸基含有モノマー(C1)を含有しない比較例3および4は、(C)を含む実施例3および4と比較し、著しく低い値を示した。
実施例5では、実施例1〜4で接着剤組成のB液に加えていたエポキシ樹脂(E1)4.05重量部を加えず、代わりにTHFMAを4.05重量部追加した配合である。その配合におけるT型剥離接着強度は、1.30N/mmであり、実施例1〜4と比較し、著しい低下がみられた。
実施例6では、実施例1とほぼ同様の配合であるが、リン酸基含有ビニルモノマー(C1)の量を減じ、ビニルモノマー(A)100重量部に対して2.00重量部加えた。その結果、メタクリル酸を用いた比較例1,2や重合性酸モノマーを含まない比較例5よりもT型剥離接着強度は高く2.07N/mmであったものの、実施例1よりも強度が低く、リン酸基含有ビニルモノマーの含有量はビニルモノマー(A)100重量部に対して2.00重量部より3.54重量部以上の方がより好ましいことがわかった。
比較例6では、重合性酸モノマーである、リン酸含有ビニルモノマー(C)やメタクリル酸を加えず、その他は実施例1と全く同じ手順で接着剤組成物を調製し、T型剥離接着強度を測定した。著しく低い強度(0.145N/mm)を示した。
Claims (7)
- ビニルモノマー(A)、体積平均粒子径が0.05〜1μmのポリマー微粒子(B)、リン酸基含有ビニルモノマー(C)、を含むアクリル系接着剤組成物であって、 ポリマー微粒子(B)がビニルモノマー(A)中で一次分散していることを特徴とする、アクリル系接着剤組成物。
- リン酸基含有ビニルモノマー(C)が、一般式1で示される化合物である請求項1に記載のアクリル系接着剤組成物。
(一般式1中、R1は、水素またはメチル基であり、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基である)
- さらに、エラストマー(D)を含む請求項1あるいは請求項2に記載のアクリル系接着剤組成物。
- エラストマー(D)が、ポリクロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレンおよびブタジエン−アクリロニトリル共重合体からなる群より選ばれる1種以上である請求項3に記載のアクリル系接着剤組成物。
- さらに、エポキシ樹脂(E)を含む請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系接着剤組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系接着剤組成物を用いた接着剤。
- 請求項6に記載の接着剤であり、T型剥離接着強度が2.0N/mm以上であることを特徴とする接着剤。
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2017
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