JP2015078114A - ランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法 - Google Patents

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【課題】 本発明は、焼成工程後に得られる微粒子の合着が少なく、特に分散性が必要とされる用途において好適に使用することが可能なランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 アップコンバージョン機能を有するランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法であって、ランタノイドを含有する金属塩溶液にアルカリ溶液を添加して、ランタノイド含有水酸化物微粒子を析出させる析出工程、前記ランタノイド含有水酸化物微粒子を焼成する焼成工程、及び、解粒工程を有し、前記析出工程において、難熱分解性有機高分子を0.025〜0.25重量%添加して、ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面に前記難熱分解性有機高分子を吸着させ、前記焼成工程において、焼成温度を700〜1200℃とするランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、焼成工程後に得られる微粒子の合着が少なく、特に分散性が必要とされる用途において好適に使用することが可能なランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法に関する。
赤外線等の長波長の光を、可視光や紫外線等の短波長の光へと変換する「アップコンバージョン」機能を有する無機微粒子は、バイオマーカー等の医療用途への応用が期待されている。また、このような無機微粒子をマトリックス材料中に分散させることにより、アップコンバージョン機能を付与した高機能化材料が近年着目を浴びている。
アップコンバージョン機能を有する無機微粒子としては、主にランタノイド元素を含有するものが知られており、これら元素のエネルギー準位差による「多光子励起」という現象を利用している。
アップコンバージョン機能を有する無機微粒子のホスト材料にはランタノイド元素の光吸収、エネルギー移動、光放出過程を阻害しないよう、酸素欠損部位が少なく、低フォノンエネルギーで且つ化学的安定性の高い材料が求められており、それらを満たす材料として酸化物材料が知られている。特にイットリウムと組み合わせた酸化イットリウムが注目されている。
酸化イットリウムからなる無機微粒子の合成法としては、様々な手法が行われているが、ランタノイド元素の取り込みやすさ(ドープのしやすさ)や、粒子径の制御の容易性、得られる微粒子の結晶性等の観点から、まず金属塩溶液中にアルカリを添加し水酸化物を析出させ、その後高温での焼成処理を行う「共沈法」が好適とされ、様々な検討が行われている。
しかしながら、この共沈法を用いた方法は、高温での焼成処理を行うため、無機微粒子同士が合着してしまうという課題があった。このような合着が生じると、例えば、マトリックス材料中へ無機微粒子を分散させる際に、均一に分散せず、所望の効果が得られないという問題があった。更に、光学用途に用いる際には、合着化によって見掛けの粒子径が増大することで、光散乱が発生し、特に可視光域における光学設計が困難になるという弊害もあった。
これに対して、特許文献1には、従来の方法を用いて得られたアップコンバージョン機能を有する無機微粒子を、非水系溶媒の存在下で解粒処理する方法が記載されている。
しかしながら、無機微粒子同士で合着が生じている場合は、解粒処理を行った場合でも、一次粒子径までの分散化が難しく、また、解粒時における物理的衝撃により、結晶性が低下、結晶粒界や歪みが発生することからエネルギー移動に障害が起こりうるという問題点があった。
特開2006−249253号公報
本発明は、焼成工程後に得られる微粒子の合着が少なく、特に分散性が必要とされる用途において好適に使用することが可能なランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、アップコンバージョン機能を有するランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法であって、ランタノイドを含有する金属塩溶液にアルカリ溶液を添加して、ランタノイド含有水酸化物微粒子を析出させる析出工程、前記ランタノイド含有水酸化物微粒子を焼成する焼成工程、及び、解粒工程を有し、前記析出工程において、難熱分解性有機高分子を0.025〜0.25重量%添加して、ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面に前記難熱分解性有機高分子を吸着させ、前記焼成工程において、焼成温度を700〜1200℃とするランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ランタノイド含有水酸化物微粒子を析出させる工程において、難熱分解性有機高分子を所定量添加することにより、ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面に前記難熱分解性有機高分子を吸着させ、その後の焼成工程において、所定の温度で焼成し、難熱分解性有機高分子が熱分解されることによって生じる炭化物が微粒子間に介在することで、焼成工程後に得られる微粒子の合着が少なくなり、その結果、特に分散性が必要とされる用途において好適に使用することができるランタノイド含有酸化物微粒子が作製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法は、ランタノイドを含有する金属塩溶液にアルカリ溶液を添加して、ランタノイド含有水酸化物微粒子を析出させる析出工程を有する。
上記ランタノイドを含有する金属塩溶液を構成するランタノイドとしては、所定の範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することが可能な希土類元素であれば特に限定されるものではないが、例えば、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)、セリウム(Ce)等が挙げられる。これらのランタノイドは、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
なかでも、10000cm−1付近に強い吸収を有するイッテルビウムと、イッテルビウムからのエネルギー移動を受けて発光し、その得られる波長が可視光域であるエルビウム、ホルミウム、ツリウムのそれぞれの組み合わせが好ましい。
上記ランタノイドを含有する金属塩としては、例えば、上記ランタノイドの硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、硼酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩等の酸素酸塩や、上記ランタノイドのカルボン酸塩、スルホン酸塩、フェノール塩、スルフィン酸塩、1,3−ジケトン形化合物の塩、チオフェノール塩、オキシム塩、芳香族スルホンアミドの塩、第一級及び第二級ニトロ化合物の塩等の有機酸塩、上記ランタノイドの塩化物等が挙げられる。なかでも、溶媒への溶解性、反応速度の観点から硝酸塩が好ましい。
上記ランタノイドを含有する金属塩溶液中の上記ランタノイドを含有する金属塩の含有量は、好ましい下限が0.005モル%、好ましい上限が0.5モル%である。上記含有量が0.005モル%未満であると、アルカリ溶液を添加してもランタノイド含有水酸化物微粒子が析出しないことがある。0.5モル%を超えると、アルカリ溶液滴下時に即座に水酸化物が析出することがあり、得られるランタノイド含有水酸化物微粒子の粒子径制御が困難になることがある。上記含有量のより好ましい下限は0.01モル%、より好ましい上限は0.25モル%である。
また、上記ランタノイドを含有する金属塩溶液には、上記ランタノイド以外の金属及び金属塩が含まれていてもよい。上記ランタノイド以外の金属及び金属塩としては、上記ランタノイド以外の希土類元素及びその塩が挙げられる。
上記ランタノイド以外の希土類元素としては、例えば、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)等が挙げられる。なかでも、得られるランタノイド含有酸化物微粒子においてランタノイド間のエネルギー移動に関して高い効率が期待できることから、上記ランタノイドを含有する金属塩溶液には、イットリウム(Y)及びイットリウムの塩を含むことが好ましい。上記ランタノイド以外の金属塩としては、例えば、上記ランタノイド以外の金属の硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、硼酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩等の酸素酸塩や、上記ランタノイド以外の金属のカルボン酸塩、スルホン酸塩、フェノール塩、スルフィン酸塩、1,3−ジケトン形化合物の塩、チオフェノール塩、オキシム塩、芳香族スルホンアミドの塩、第一級及び第二級ニトロ化合物の塩等の有機酸塩、上記ランタノイド以外の金属の塩化物等が挙げられる。なかでも、溶媒への溶解性、反応速度の観点から硝酸塩が好ましい。
上記ランタノイドを含有する金属塩溶液中の上記ランタノイド以外の金属塩の含有量は、好ましい下限が0.005モル%、好ましい上限が2.5モル%である。上記含有量が上記好ましい下限以上であれば、アルカリ溶液を添加した際にランタノイド含有水酸化物微粒子を十分に析出させることができ、上記含有量が上記好ましい上限以下であれば、得られるランタノイド含有水酸化物微粒子の粒子径制御を容易にすることができる。上記含有量のより好ましい下限は0.05モル%、より好ましい上限は1モル%である。
上記ランタノイドを含有する金属塩溶液に使用される溶媒としては、例えば、水や、アルコール等の親水性有機溶媒が挙げられる。なかでも、水が好ましい。
上記アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等を含むものが挙げられる。
また、上記アルカリ溶液の添加量は、上記アルカリ溶液のpHや上記ランタノイドを含有する金属塩溶液の種類、濃度によって適宜選択することができる。
本発明では、上記析出工程において、難熱分解性有機高分子を更に添加して、ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面に上記難熱分解性有機高分子を吸着させる。これにより、後の焼成工程において、上記難熱分解性有機高分子が熱分解されたことによって炭化物が生じる。
この炭化物は、微粒子間に介在することで、焼成工程後に得られる微粒子の合着を防止することができる。
上記難熱分解性有機高分子としては、大気中において700℃で一時間加熱した際に、加熱前後の重量減少率が99.5%未満である難熱分解性有機高分子であることが好ましい。上記加熱前後の重量減少率は、例えば、示差熱・熱重量測定装置(TG/DTA6300、エスアイアイナノテクノロジー社製等)を用いて測定することが出来る。
上記難熱分解性有機高分子としては、可溶性の高分子化合物が挙げられる。上記可溶性の高分子としては、上記金属塩溶液に使用される溶媒に対して、23℃の条件で1質量%以上溶ける高分子であることが好ましい。具体的には例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸無水物、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、スチレンと無水マレイン酸との共重合体等が挙げられる。また、上記ポリカルボン酸及びポリカルボン酸無水物としては、主鎖に対しカルボキシル基を有する直鎖分岐鎖が櫛状に多数存在している櫛形ポリカルボン酸及び櫛形ポリカルボン酸無水物が好ましい。上記ポリカルボン酸及びポリカルボン酸無水物を用いることによって、より一層ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面に吸着しやすくなる。
上記櫛形ポリカルボン酸及び櫛形ポリカルボン酸無水物としては、ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面により一層吸着しやすくなるため、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル単位と、無水マレイン酸単位と、スチレン単位とを有する無水マレイン酸共重合体であることが好ましい。上記無水マレイン酸共重合体としては、ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面に更により一層吸着しやすくなるため、マリアリムAKM−1511、マリアリムAKM−0531、マリアリムAFB−1521(何れも日油社製)が好ましい。
上記難熱分解性有機高分子は、特にカルボキシル基、カルボニル基及びヒドロキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。これにより、ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面に吸着しやすくなり、本発明の効果を充分に発揮することができる。
上記難熱分解性有機高分子は、重量平均分子量が5000〜500000であることが好ましい。上記重量平均分子量が5000未満であると、熱分解時に炭化物として残留しにくく、効果が得られにくくなることがある。500000を超えると、難熱分解性有機高分子の体積が大きくランタノイド含有水酸化物微粒子に均一に吸着しにくくなることがある。上記重量平均分子量のより好ましい下限は10000、より好ましい上限は250000である。
上記難熱分解性有機高分子の添加量は、アルカリ溶液添加後のランタノイドを含有する金属塩溶液全量に対して0.025〜0.25重量%である。上記添加量が0.025重量%未満であると、微粒子間に介在する炭化物量が少なくなるため、充分な効果が得られない。0.25重量%を超えると、添加したアルカリ溶液を中和してしまい、水酸化物微粒子の析出を阻害する。上記添加量の好ましい下限は0.05重量%、好ましい上限は0.2重量%である。
本発明では、次いで、上記ランタノイド含有水酸化物微粒子を焼成する焼成工程を行う。この工程を行うことで、上記ランタノイド含有水酸化物微粒子は酸化物微粒子へと変わり、また同時に上記難熱分解性有機高分子がランタノイド含有水酸化物微粒子に吸着した状態で炭化物となり、微粒子の合着を抑制できる。
上記焼成工程としては特に限定されず、例えば、マッフル炉、トンネル炉等、陶芸用窯、ガス炉、電気炉等を用いて焼成する方法等が挙げられる。なお、上記焼成工程は、大気雰囲気で行うことが好ましい。
また、上記焼成工程を行う前に乾燥工程を行ってもよい。
上記焼成工程における焼成温度は、700〜1200℃とする。上記焼成温度が700℃未満であると、水酸化物微粒子の熱分解及び酸化が不充分となり、所望の酸化物微粒子を得ることができない。1200℃を超えると、合着が更に促進され、炭化物による介在によっても合着を抑制することができない。
好ましくは700〜1000℃である。
本発明では、上記焼成工程を行った後、解粒工程を行う。上記解粒工程としては、例えば、ビーズミル、高エネルギーボールミル、高速導体衝突式気流型粉砕機、衝突式粉砕機、ゲージミル、媒体攪拌型ミル、高水圧式粉砕装置などを用いる方法等が挙げられる。
本発明で得られるランタノイド含有酸化物微粒子は、特に分散性が必要とされる用途において好適に使用することができる。具体的には、透明性を有する樹脂フィルム等に分散させ、波長変換フィルム等として好適に用いることができる。
本発明によれば、焼成工程後に得られる微粒子の合着が少なく、特に分散性が必要とされる用途において好適に使用することが可能なランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法を提供できる。特に、一般的に酸化物微粒子の表面には酸素欠損といわれるエネルギーがトラップされやすい部位が多く、そこから粒子外へとエネルギーが流出するという問題がある。これに対して、本発明の製造方法では、表面が炭化物で覆われることで、バリア効果が得られ、エネルギーが外部に流出することを抑制することができる。
更にこのバリア効果は耐水、耐湿、耐候といった外部環境からの影響を防ぐ効果も期待出来る。
実施例1で得られたランタノイド含有酸化物微粒子を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られたランタノイド含有酸化物微粒子を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 炭素元素含有量測定において、実施例1と比較例1の炭素ピークを比較したグラフである。 アップコンバージョン機能の確認において、実施例1と比較例1の980nm入射光に対する蛍光発光ピークを比較したグラフである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(ランタノイド含有酸化物微粒子の作製)
櫛形ポリカルボン酸(無水マレイン酸共重合体、マリアリムAFB−1521、重量平均分子量50000)を0.1重量%添加した水溶液に硝酸イットリウム2.98g(0.0519モル%)、硝酸イッテルビウム0.83g(0.0154モル%)、硝酸エレビウム0.09g(0.0017モル%)を溶解させて金属イオン溶液150gを作製した。
同様に櫛形ポリカルボン酸を0.1重量%添加した水溶液50gに水酸化カリウム2.81gを溶解させてアルカリ溶液を作製した。攪拌しながら金属イオン溶液にアルカリ溶液を徐々に添加することで水酸化物微粒子を析出させた(アルカリ溶液添加後の櫛形ポリカルボン酸の濃度は0.1重量%)。
その後、遠心分離装置(日立工機社製、CR21N)及び純水を添加して超音波分散による洗浄を数回繰り返した後、1重量%となるように純水を添加し、分散することで水酸化物微粒子分散液を得た。
得られた水酸化物微粒子分散液を遠心分離装置を用いて回収し、80℃、24時間の条件において乾燥させた。その後、焼成炉(アドバンテック社製、KM−420)を用いて1000℃、1時間の条件において大気雰囲気下で焼成処理を行い、ランタノイド含有酸化物微粒子の粉体を得た。なお、実施例1で得られたランタノイド含有酸化物微粒子を撮影した走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
(酸化物微粒子/樹脂混合塗工膜の作製)
得られたランタノイド含有酸化物微粒子1gとエタノール(和光純薬工業社製、試薬特級)99g、ジルコニアビーズ(ニッカトー社製、直径50μm)400gを混合し、ビーズミル(アイメックス社製、RMBバッチ式ビーズミル)を用いて2000rpm、2時間の条件において解砕処理を行った。処理後、メッシュフィルターを用いてジルコニアビーズを分離し、1重量%のランタノイド含有酸化物微粒子分散液を得た。
得られたランタノイド含有酸化物微粒子分散液10gとアクリル樹脂(イソブチルメタクリレート重合体(重量平均分子量50000))100g、及びエタノールを200g混合することにより酸化物微粒子/樹脂混合液を得た。
得られた酸化物微粒子/樹脂混合液を石英ガラス基板(厚み1mm)上にスピンコーター(ミカサ社製、MS−A100)を用いて塗布後、100℃、1時間の条件において乾燥を行い、エタノールを除去することにより酸化物微粒子/樹脂混合塗工膜を得た。なお、塗布回数を調整することで膜厚を1μmとした。
(実施例2〜7、比較例2、3、4)
表1に示す種類、添加量の分散剤を用いた以外は実施例1と同様にしてランタノイド含有酸化物微粒子を作製した。比較例3及び比較例4は、水酸化物微粒子が析出しなかったため、以降の評価を行なわなかった。実施例2〜7及び比較例2で得られたランタノイド含有酸化物微粒子を用いて、実施例1と同様にして、酸化物微粒子/樹脂混合塗工膜を得た。
なお、ポリビニルアルコールとしては、重合度が2000、ケン化度87%のものを用い、ポリビニルピロリドンとしては、ピッツコールK−30(重量平均分子量45000)を用いた。
(比較例1)
分散剤として櫛形ポリカルボン酸(無水マレイン酸共重合体、マリアリムAFB−1521)を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてランタノイド含有酸化物微粒子及び酸化物微粒子/樹脂混合塗工膜を得た。なお、比較例1で得られたランタノイド含有酸化物微粒子を撮影した走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
(実施例8、9、比較例5、6)
表1に示す焼成温度でランタノイド含有酸化物微粒子の粉体を得た以外は実施例1と同様にしてランタノイド含有酸化物微粒子及び酸化物微粒子/樹脂混合塗工膜を得た。なお、比較例6においては焼成炉(アドバンテック社製、FUH612PA)を用いて焼成を行った。
(評価)
(1)平均粒子径の測定
得られた水酸化物微粒子分散液、及び、ランタノイド含有酸化物微粒子分散液について動的光散乱解析装置(PSS−NICOMP社製、380DLS)を用いて平均体積粒子径を測定した。
(2)炭素元素含有量測定
得られたランタノイド含有酸化物微粒子について、X線光電子分法装置(アルバックファイ社製、PHI5000)を用いて、直径100μmの範囲内の粒子中に含まれる炭素ピークをArスパッタリングを繰り返しつつ測定した。得られた炭素ピークの中でも、表面汚染物等有機化合物に由来するピーク(292eV)ではなく、炭化物に由来するピーク(288eV)について、そのピークトップの検出強度の比較を行った。なお、実施例1と比較例1の炭素ピークを比較したグラフを図3に示す(太線:実施例1、細線:比較例1)。
(3)アップコンバージョン機能の確認
得られたランタノイド含有酸化物微粒子について、外部光源として赤外線発生装置(THORLABS社製、L980P300J)を用いて波長980nm、出力300mWの条件における蛍光発光を、蛍光分光光度計(日立ハイテク社製、U−2700)を用いて測定した。得られたスペクトルの中でも、蛍光波長662nmにおける検出強度の比較を行った。なお、実施例1と比較例1の980nm入射光に対する蛍光発光ピークを比較したグラフを図4に示す(太線:実施例1、細線:比較例1)。
(4)アップコンバージョン機能の失活速度の確認
「(3)アップコンバージョン機能の確認」において、赤外線発生をカットした後、蛍光が消えるまでの遅延時間を測定することにより、失活速度、即ちランタノイド含有酸化物微粒子表面の炭化物によるバリア効果の影響度合いを確認した。
(5)アップコンバージョン機能の耐環境性の確認
得られたランタノイド含有酸化物微粒子について、85℃に加熱した水中に分散させ、更に高圧水銀ランプ(セン特殊光源社製、HLR100T−2)を用いて紫外線を250時間照射した後、その前後における発光強度を比較し、蛍光スペクトルの最大強度における強度保持率を算出することで簡易的にアップコンバージョン機能の耐環境性を確認した。
(6)可視光平均透過率測定
得られた酸化物微粒子/樹脂混合塗工膜について、分光光度計(日立ハイテク社製、U−3900)を用いて可視光平均透過率(400〜750nm)を測定した。
本発明によれば、焼成工程後に得られる微粒子の合着が少なく、特に分散性が必要とされる用途において好適に使用することが可能なランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法を提供できる。

Claims (3)

  1. アップコンバージョン機能を有するランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法であって、ランタノイドを含有する金属塩溶液にアルカリ溶液を添加して、ランタノイド含有水酸化物微粒子を析出させる析出工程、前記ランタノイド含有水酸化物微粒子を焼成する焼成工程、及び、解粒工程を有し、
    前記析出工程において、難熱分解性有機高分子を0.025〜0.25重量%添加して、ランタノイド含有水酸化物微粒子の表面に前記難熱分解性有機高分子を吸着させ、
    前記焼成工程において、焼成温度を700〜1200℃とする
    ことを特徴とするランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法。
  2. 難熱分解性有機高分子は、カルボキシル基、カルボニル基及びヒドロキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする請求項1記載のランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法。
  3. ランタノイドがイッテルビウムを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のランタノイド含有酸化物微粒子の製造方法。
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